特許第6174335号(P6174335)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174335
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】骨材搬送貯蔵システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B28C 7/06 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   B28C7/06
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-32229(P2013-32229)
(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公開番号】特開2014-162015(P2014-162015A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年12月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(74)【代理人】
【識別番号】100080296
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英明
(72)【発明者】
【氏名】北川 博一
(72)【発明者】
【氏名】戸田 修実
(72)【発明者】
【氏名】▲辻▼村 武弥
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−122827(JP,A)
【文献】 特開2008−114459(JP,A)
【文献】 特表2008−512672(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0189991(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28C 7/00− 7/16
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬手段から上流側に供給された骨材を下流側に搬送する搬送手段と、
上記搬送手段の下流側に位置され、骨材を粒径に応じて貯蔵する複数の貯蔵手段と、
上記搬送手段からの骨材を粒径に応じて所定の上記貯蔵手段に振り分ける振分手段と、を備えた骨材搬送貯蔵システムの制御方法において、
上記骨材を運搬手段から、搬送手段の上流側に供給する前に、上記運搬手段に積載された状態の骨材を撮影して3次元画像を撮像し、骨材の粒径を判別する撮像手段を備え、
この撮像手段から出力される骨材の粒径に基づいて、上記振分手段を切り替え制御するとともに、
骨材製造現場から骨材が運搬手段に積載される時点で、発行される骨材の粒径データと、上記撮像手段から出力される骨材の粒径とが一致したときのみ運搬手段から搬送手段に骨材を供給するように指示することを特徴とする骨材搬送貯蔵システムの制御方法。
【請求項2】
上記骨材の粒径データは、骨材製造現場から運搬手段で運搬される骨材伝票に印字されることを特徴とする請求項記載の骨材搬送貯蔵システムの制御方法。
【請求項3】
上記骨材の粒径データは、骨材製造現場から通信手段により上記振分手段を切り替え制御する制御手段に送信されることを特徴とする請求項記載の骨材搬送貯蔵システムの制御方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の骨材の粒径を判別して各貯蔵槽に収容することが可能な骨材搬送貯蔵システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリートの製造に用いられる砂利や砂等の骨材は、当該骨材の粒径(粒度)に分類された状態で運搬車両等によりコンクリート製造プラントに運搬されると、1本の搬送コンベヤ等を介して骨材の粒径と対応する貯蔵槽に分類され、貯蔵される。そのため、搬送コンベヤの位置を運搬された骨材の粒径に応じた貯蔵槽へと切り替える必要がある。加えて、仮に搬送コンベヤの切り替えを行うオペレータ等の勘違いや操作ミス等の人為的ミスが発生した場合、骨材が本来の貯蔵槽と異なる貯蔵槽に混合した状態で貯蔵されてしまうおそれがある。
そこで、特許文献1には、ホッパにより受け入れられた骨材を上流側から下流側に搬送する搬送コンベヤと、搬送コンベヤによって下流側に搬送された骨材を粒径ごとに分類貯蔵する貯蔵槽と、搬送コンベヤの上流側に配設され、搬送される骨材を個別に撮像するCCDカメラと、CCDカメラにより撮像した画像データと予め登録された画像データとを比較し、骨材の粒径を判別する画像処理装置とが設けられた骨材搬送貯蔵システムが開示されている。そして、画像処理装置は、搬送コンベヤ上の骨材を撮像し、当該骨材の粒径に基づいていずれの種類であるかを判別した後、骨材の粒径に対応した貯蔵槽へと搬送コンベヤを切り替えるので、骨材が異なる貯蔵槽に誤って投入される等の人為的ミスを防止することが可能である。
しかしながら、上記骨材搬送貯蔵システムにあっては、搬送コンベヤの側に配設されたCCDカメラにより搬送コンベヤ等を一旦停止して撮像して粒径を検知するのであるが、検知後はコンベヤを再度起動する。この再起動時に、搬送コンベヤに相当量の骨材が搭載されているために、搬送コンベヤ自体に大きなテンションが発生したり、搬送コンベヤあるいは搬送コンベヤ駆動ギア等に大きな負担が生じて寿命が短くなる可能性があり、またモータ負荷も大きくなるので、電力消費が大きくなる可能性もあった。また、CCDカメラにより粒径が予想と異なる骨材が発見された場合は、搬送コンベヤを緊急停止して骨材を例えば搬送コンベヤ上より排除するのであるが、このときに多くの人手を要し、また骨材の貯蔵作業が大幅な遅れを生じる可能性もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−307496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するため、作業者の勘違いや操作ミス等の人為的ミスにより骨材同士が混ざり合うことを確実に防止し、骨材の搬送中に搬送コンベヤを停止,再起動する必要がなく、搬送コンベヤに過度の負荷が生じることを抑制することができる骨材搬送貯蔵システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る骨材搬送貯蔵システムの制御方法として、運搬手段から上流側に供給された骨材を下流側に搬送する搬送手段と、搬送手段の下流側に位置され、骨材を粒径に応じて貯蔵する複数の貯蔵手段と、搬送手段からの骨材を粒径に応じて所定の上記貯蔵手段に振り分ける振分手段とを備えた骨材搬送貯蔵システムの制御方法において、骨材を運搬手段から搬送手段の上流側に供給する前に、運搬手段に積載された状態の骨材を撮影して3次元画像を撮像し、骨材の粒径を判別する撮像手段を備え、撮像手段から出力される骨材の粒径に基づいて振分手段を切り替え制御するとともに、骨材製造現場から骨材が運搬手段に積載される時点で、発行される骨材の粒径データと、上記撮像手段から出力される骨材の粒径とが一致したときのみ運搬手段から搬送手段に骨材を供給するように指示する態様とした。
本発明によれば、骨材を運搬手段から運搬手段の上流側に供給する前に、運搬手段に積載された状態の骨材を撮影して3次元画像を撮像し、骨材の粒径を判別する撮像手段を備え、撮像手段から出力される骨材の粒径に基づいて振分手段を切り替え制御する態様としたので、人為的ミスにより骨材同士が混ざり合うことを確実に防止し、骨材の搬送中に搬送手段を停止,再起動する必要がなく、搬送手段に過度の負荷が生じることを抑制可能としてシステムの長寿命化を図ることができるとともに、搬送手段上に粒径の異なる骨材が誤投入されることがなく、さらに貯蔵手段に粒径の異なる骨材同士が混入することを防止できる。
また、本発明に係る骨材搬送貯蔵システムの他の制御方法として、骨材の粒径データは、骨材製造現場から運搬手段で運搬される骨材伝票に印字される態様とすれば、骨材製造現場で自動的に骨材伝票に印字されるので、運転者等が骨材の種類や量を記載する際の人為的なミスを防止することができる。
また、本発明に係る骨材搬送貯蔵システムの他の制御方法として、骨材の粒径データは、骨材製造現場から通信手段により上記振分手段を切り替え制御する制御手段に送信される態様とすれば、上記各態様から生じる効果に加え、骨材伝票をなくすことができるので、人為的なミスを確実に防止できるため信頼性を高めることができ、骨材搬送貯蔵システムを自動化,無人化を図ることが可能となる
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】骨材搬送貯蔵システムの全体を示す概略図である。
図2】撮像手段を示す概略図である。
図3】骨材搬送貯蔵システムのブロック図である。
図4】骨材の種類を示す模式図である。
図5】骨材を搬送,貯蔵するときのフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
図1(a)は、本発明に係る骨材搬送貯蔵システム10の概略構成図であり、図1(b)は、振分手段及び貯蔵手段を拡大して示す図である。
同図に示す骨材搬送貯蔵システム10は、例えばトラック、ダンプカーやトレーラー等の運搬車両21に積載された骨材を粒径(粒度)ごとに分類し、個別に貯蔵可能な設備である。
【0009】
図4に示すように、本実施形態において骨材の種類は、骨材の粒径によって以下の4種類に分類される。骨材は、例えば、砂(または細骨材)S(図4(a))、砂利小(粗骨材小)G3(図4(b))、砂利中(粗骨材中)G2(図4(c))、砂利大(粗骨材大)G1(図4(d))に分類される。なお、本実施形態では、骨材を粒径に応じて上記4種類に分類する形態としたが、これに限定されることなく、製造するコンクリートの種類や使用環境等によって適宜変更可能である。
【0010】
図1(a),(b)に示すように、骨材搬送貯蔵システム10は、概略、運搬手段としての運搬車両21等によって運搬される骨材を受け入れる受入ホッパ22と、当該受入ホッパ22の上流側に設けられ、受入時の骨材の粒径(種類)を判別する骨材判別用のステレオカメラ51と、受入ホッパ22の下方排出口23側に配設され、受入ホッパ22から排出された骨材を積載した状態で受入ホッパ22側の上流側から下流側に向かって搬送する搬送コンベヤ25と、当該搬送コンベヤ25の下流側に設けられ、搬送コンベヤ25により搬送された骨材を粒径ごとに振り分ける振分手段としての振分コンベヤ30と、当該振分コンベヤ30の下方に並設され、振分コンベヤ30からの骨材を粒径ごとに分類された状態で貯蔵する複数の貯蔵手段としての貯蔵槽37A乃至37Dと、ステレオカメラ51による骨材の画像に基づき粒径を判定する機能と、搬送コンベヤ25及び振分コンベヤ30を制御する機能等とを有する制御手段80とを備える。
【0011】
受入ホッパ22は、搬送コンベヤ25の上流側端部の上方側に位置し、下方排出口23側にいくにしたがって設定外径に漸次縮径するように形成され、この下方排出口23より常に定量の骨材を排出するように設定される。この受入ホッパ22は、図外の振動装置で振動が与えられて振動が付与される。したがって、受入ホッパ22は、運搬車両21により運搬される骨材が投入されると、搬送コンベヤ25上に定量に連続して排出される。
また、受入ホッパ22の上部側全体は、フレーム材に防音材を張り付けた外囲部材24で覆われる。なお、外囲部材24の前面は、運搬車両21による骨材投入側のために開口されて、骨材投入口となっている。
【0012】
搬送手段の一種としての搬送コンベヤ25は、搬送コンベヤ25を設置する地形に沿って、所定の角度傾斜したり、下降したりして延長する。この場合、搬送コンベヤ25は、図外の支柱により支えられる。
搬送コンベヤ25は、通常複数のローラ26を搬送方向に直角に整列し、このローラ26を平行に架設された図外のフレーム間に回転自在に横架し、ローラ26における下流側のローラ26Aの回転軸の片側又は両側に設けたギア28にチェーン28Aを掛けて、減速モータ28Bによりチェーン28Aを介してギア28を回転させることにより、ベルト材27の上方の骨材積載面を前方(貯蔵槽37A乃至37D方向)に移動可能とする。なお、搬送コンベヤ25の幅方向両側には、骨材がこぼれ落ちるのを規制する図外の規制板が取付けられる。
ここで骨材は、搬送コンベヤ25のベルト材27上に受入ホッパ22より定量に排出されて、ほぼ所定の厚みを有して載置される。この骨材の総重量は、骨材の粒径(種類)にも影響するが、全体で数トン前後にも及ぶこともある。
【0013】
貯蔵槽37A乃至37Dは、振分コンベヤ30の進退方向に沿って複数並設されるタンクである。貯蔵槽37A乃至37Dは、受入ホッパ22,搬送コンベヤ25,振分コンベヤ30を経由して搬送された骨材を粒径(種類)に分けて個別に貯蔵する。本実施例において、例えば、貯蔵槽37Aには粒径の最も小さい砂Sが貯蔵される。また、貯蔵槽37B,貯蔵槽37C及び貯蔵槽37Dには、それぞれ砂利小G3,砂利中G2及び砂利大G1が個別に貯蔵される。
【0014】
振分コンベヤ30は、短いコンベヤより成り、各貯蔵槽37A乃至37Dの投入口38A乃至38Dをまたぐように位置する2本のレール上に沿って一定区間の範囲にわたって往復運動かつ正逆回転可能に制御可能となっている。
【0015】
この振分コンベヤ30は、移動方向に直角に配列された複数(本例では3本)の平行配置のローラ31と、上記各ローラ31に掛けられたベルト材32と、上記ローラ31における他端30g側のローラ31Aに取り付けられ、チェーン33で駆動されるギア34と、上記チェーン33に回転力を与えるモータ30aと、上記ローラ31等を支持するフレーム30bと、このフレーム30bを上記レール上に載置するコロ30cと、コロ30cを回転するモータ30dと、各モータ30a,30dを制御し、振分コンベヤ30の位置及びベルト材32の移動方向を制御する制御部30eとより成る。
この制御部30eは、有線または無線の受信器30hを有し、上記制御手段80の送信器80nからの指令信号を受信して上記モータ30dを制御して、振分コンベヤ30の停止位置を制御し、モータ30aを制御してベルト材32の移動方向を制御する。
【0016】
この構成において、搬送コンベヤ25より砂Sが振分コンベヤ30のベルト材32の上に投下される場合は、前もって振分コンベヤ30の一端30fが貯蔵槽37Aの投入口38Aに一致するように振分コンベヤ30の位置を制御し、ベルト材32を貯蔵槽37A方向に駆動しておくことで、砂Sを貯蔵槽37A内に投下して貯蔵できる。
また、一端30fが貯蔵槽37Bの投入口38Bに一致するように(図示位置)振分コンベヤ30の位置を制御し、ベルト材32を貯蔵槽37B方向に駆動しておくことで、搬送コンベヤ25から落下する砂利小G3を貯蔵槽37Bに投下して貯蔵できる。
また、他端30gが貯蔵槽37Cの投入口38Cに一致するように振分コンベヤ30の位置を制御し、ベルト材32を貯蔵槽37C方向に駆動しておくことで、搬送コンベヤ25から落下する砂利中G2を貯蔵槽37Cに投下して貯蔵できる。
また、他端30gが貯蔵槽37Dの投入口38Dに一致するように(図示位置)振分コンベヤ30の位置を制御し、ベルト材32を貯蔵槽37D方向に駆動しておくことで、搬送コンベヤ25から落下する砂利大G1を貯蔵槽37Dに投下して貯蔵できる。
【0017】
したがって、制御手段80の指示に基づき振分コンベヤ30を制御しておくことで、骨材を分類に応じていずれかの貯蔵槽37A乃至37Dに投入して貯蔵できる。なお、振分コンベヤ30は、コンベヤにより構成することなく、例えば搬送コンベヤ25の終端下部に中心側が位置され、左右方向に回動自在となった傾斜樋と、この樋を移動制御する制御部とより構成し、樋の先端側に円周方向に沿って貯蔵槽37A乃至37Dを配置して、樋の回動位置を制御することで、搬送コンベヤ25より投下される骨材を各貯蔵槽37A乃至37Dに振り分けるように構成してもよい。
【0018】
図1図2において、51は、通称、ステレオカメラ(3次元カメラ)51を構成する2個のデジタルカメラ51A,51Bよりなり、近傍に照明装置55と、コントローラ50aを備え、全体として撮像手段50を構成する。
【0019】
ステレオカメラ51は、外囲部材24の開口の上部側の取付板57に2台のデジタルカメラ51A,51Bを互いに離間した状態で、運搬車両21に積載される骨材方向に向けて配設して構成される。ステレオカメラ51は、受入ホッパ22の前にバックして停止した運搬車両21の荷台に積載される骨材を異なる方向から同時に撮影することにより、運搬車両21に積載された広範囲の骨材を一括で撮像することで、コントローラ50aがこの撮像した3次元画像に基づき各骨材の個々の粒径を検出することにより、運搬車両21の荷台に積載された骨材の粒径の種類を判別する。粒径データは、後述の制御手段80に出力される。
なお本実施例において、ステレオカメラ51をデジタルカメラ51A,51Bより構成したが、これに限定されず、ミラーを搭載したカメラであってもよい。また、ステレオカメラ51は、デジタルカメラ51A,51Bを2台配置する形態としたが、3台以上のカメラを用いて撮像してもよい。さらに、2台分以上のカメラのレンズ機構及びシャッター機構を1台のカメラに集約し、1台のカメラにより骨材を撮像する形態としてもよい。
【0020】
図1図2に示すように、照明手段としての照明装置55は、互いに離間して設けられるデジタルカメラ51A,51B付近に位置し、ステレオカメラ51とともに取付板57の先端側に取り付けられる。照明装置55としては、設置する環境や条件に応じて適宜選択されるが、例えば、水銀灯,蛍光灯、白熱電球、ハロゲンランプ又は発光ダイオード等が用いられる。また照明装置55は、ステレオカメラ51が撮像する撮像領域Pが必要以上の照度となるように運搬車両21に積載された骨材を照らす。このため、ステレオカメラ51による撮像の際に、所定の照度を確保でき、撮像の精度を向上することが可能となる。
【0021】
運搬車両21の前方側に支持棒61を介して立設され、複数の回転灯60A乃至60Cを有する。制御手段80は、回転灯60A乃至60Cが点灯あるいは点滅等することにより、骨材搬送貯蔵システム10の状態をオペレータ及び運搬車両21の運転者に報知する。
【0022】
具体的には、回転灯60A乃至60Cうち、下方側に位置する「青」の回転灯60Aは、点灯,回転することで、運搬車両21の荷台に積載された骨材を受入ホッパ22に投入可能であることを運転者に認識させることができる。
一方、中央に位置する「黄」の回転灯60Bが点灯,回転することで、振分コンベヤ30の切り替え前や骨材を撮像,判別前である等、いわゆるスタンバイの状態である等の理由により、骨材を受入ホッパ22に投入不可能な待機状態であることを運転者に認識させ得る。
また、上方に位置する「赤」の回転灯60Cが点灯,回転することで、後述する入力手段81により入力された骨材の粒径(種類)と、ステレオカメラ51の撮像結果から判別された骨材の粒径(種類)とが不一致であることから、制御手段80が異常と判定し、骨材搬送貯蔵システム10が非常停止した状態を表示する。
【0023】
車両検知センサ65は、回転灯60Aの下方側に設けられ、例えば超音波センサ等が採用され、運搬車両21に向かって超音波を照射し、当該照射した超音波の反射の有無を検知することにより運搬車両21の位置を検知する。車両検知センサ65は、バックで入れた運搬車両21が受入ホッパ22の前側に停止していることを検知すると、このことを制御手段80に報知する。
【0024】
図1乃至図3に示すように、制御手段80は、マイクロコンピュータより成り、入力手段81、演算手段としてのCPU、記憶手段としてのROM,RAM、通信手段としての入出力インターフェース等を備える。この制御手段80の入出力インターフェースに送信器80nが接続されて、振分コンベヤ30に振分信号を送出する。
上記入力手段81は、例えばキーボードやマウス、バーコードリーダー等より成り、運転者が運搬車両21の荷台に骨材を積載した際に発行される伝票をオペレータが受領してこの伝票の記載情報(骨材分類データ)を基に、入力手段81からオペレータによって運搬車両21に積載される骨材の種類や量あるいは車両番号等の情報が入力され、記憶手段83に記憶される。
【0025】
また、撮像手段50は、ステレオカメラ51により撮像された3次元画像の結果に基づいて、骨材の凹凸形状を画像処理して検出し、コントローラ50aにより画像処理結果に基づいて骨材の粒径(粒度)を算出して、骨材の種類を特定して、制御手段80に送出する。制御手段80は、運転者の伝票により上述のように入力手段81により入力された骨材の粒径(種類)と、撮像手段50からの画像処理結果から算出された上述の骨材の粒径(種類)とを照合し、骨材の種類が一致するか否かを判別する。
また、制御手段80は、撮像手段50により撮像して特定した骨材の粒径、骨材の判別結果及び伝票の内容を表示させる表示信号をモニタ82に対して対比して出力して表示させる。
【0026】
制御手段80は、送信器80nから振分コンベヤ30の無線受信器30hに振分信号を出力して振分コンベヤ30を制御し、搬送コンベヤ25を駆動し、受入ホッパ22の振動装置を駆動する。上記振分コンベヤ30は、骨材の粒径(種類)に応じた貯蔵槽37A乃至37Dのいずれかに骨材を受け入れる状態に設定される。
【0027】
以下、動作の詳細を図6のフローチャートを用いて説明する。
まず、骨材製造側で、運搬車両21の荷台には、骨材製造工場の保管場所に山積みされた粒径毎に分類された骨材が積載される。骨材積載時に運転者は、積載した骨材の粒径(種類)や積載量あるいは車両番号等の情報が印字された伝票を受け取り、運搬車両21で運搬して骨材を骨材搬送貯蔵システム10のある現場へと運搬する。
【0028】
運搬車両21が現場に到着すると運転者は、骨材製造側の骨材製造工場で発行された伝票をオペレータに渡し、オペレータは、伝票の印字内容に基づいて運搬車両21に積載される骨材の情報を入力手段81を介して制御手段80に入力する(ステップS1)。また、運転者は、運搬車両21を受入ホッパ22の開口に向かって後退させ、停止させる。
この場合、車両検知センサ65は、骨材を受け入れる受入ホッパ22の開口側に運搬車両21が存在するか否かの検知を行う(ステップS2)。車両検知センサ65が、運搬車両21の荷台が規定位置に有り(YES)と判断した場合には、撮像手段50は運搬車両21の荷台に積載された骨材をステレオカメラ51により撮像する(ステップS3)。
【0029】
撮像手段50のコントローラ50aは、ステレオカメラ51により撮像された3次元画像の凹凸形状から骨材の粒径の種類を特定する(ステップS4)。
次に、制御手段80は、上記ステップS1で入力された運搬車両21の骨材の種類と、ステップS4で算出された骨材の種類とを判別し、当該判別結果をモニタ82に表示する(ステップS5)。この場合、伝票内容(データ)も並列に表示してもよい。
ステップS5でYESの場合には、制御手段80は、振分コンベヤ30及び搬送コンベヤ25を起動する(ステップS6,7)。振分コンベヤ30は、制御手段80で指定された貯蔵槽37A乃至37Dのいずれかに骨材を投入する位置に位置決めされ、その後ギア28が駆動され、受入ホッパ22の駆動装置が駆動される。
【0030】
制御手段80は、「黄」の回転灯60Bが消灯,停止した後、「青」の回転灯60Aを点灯させる(ステップS8)。この回転灯60Aを運転者が視認して、運搬車両21の荷台を後方へ傾斜作動させることにより、運搬車両21の荷台に積載された骨材を受入ホッパ22に対して投入する(ステップS9)。
【0031】
受入ホッパ22に投入された骨材は、受入ホッパ22の振動に伴って下方排出口23からベルト材27上に定量ずつ排出され、この骨材は、搬送コンベヤ25に積載されてほぼ一定の厚みの状態を保って振分コンベヤ30まで運ばれる。この場合、すでに振分コンベヤ30はいずれかの貯蔵槽37A乃至37Dに骨材を投入するように切り替えられているので、所定の貯蔵槽37A乃至37Dに骨材が投入される(ステップS10,S11)。
【0032】
一方、上記ステップS5で伝票に記載された骨材の粒径の種類と、3次元画像から判別された骨材の粒径の種類とが不一致であった場合には、制御手段80は、「赤」の回転灯60Cを点灯させ(ステップS20)、骨材の投入禁止を報知する(ステップS21)。このような場合、投入禁止に対して、骨材製造工場で発行される伝票に記載された骨材の粒径の種類と、運搬車両21に積載された骨材の粒径を現場で目視にて確認する等して対処し、骨材を受入ホッパ22に投入しないようにして、搬送コンベヤ25への誤投入を防止し、誤投入された骨材を排除するという作業を回避する。
なお、各貯蔵槽37A乃至37Dに分類して貯蔵された骨材は、貯蔵槽37A乃至37Dの下方側に設けられる図外の取出口からコンクリート製造プラントへ送出され、セメントや水等と配合される。これにより、仕様に基づく所定のコンクリート構造物が製造される。
【0033】
このように上述の骨材搬送貯蔵システム10によれば、運搬車両21に積載された状態で骨材の粒径(種類)を判別し、骨材の粒径に対応する貯蔵槽37A乃至37Dのいずれかにに振分コンベヤ30を切り替え、搬送コンベヤ25を起動した後、運搬車両21から受入ホッパ22に骨材を投入して搬送コンベヤ25上に排出するので、従来のように大量の骨材が積載された搬送コンベヤ25を一時停止して撮像してから搬送コンベヤ25を再起動することや、3次元画像から特定された骨材の種類と入力手段81により入力された骨材の種類とが異なる場合にこの搬送コンベヤ25を非常停止する必要がなく、搬送コンベヤ25自体あるいはギア28等の駆動機構に過度の負荷が生じることを抑制することが可能となる。また、伝票への誤印字あるいは誤入力のために分類の異なる骨材が貯蔵槽37A乃至37D中に誤投入されるおそれがなく、従って誤投入された骨材が分類の異なるものと混在してしまい、これが誤って構造物のコンクリートとして使われてしまうという問題も解消できる。
【0034】
以上、本発明を実施形態を通じて説明したが、例えば上記実施形態においては、運搬車両21が受入ホッパ22の前側に停止した状態で運搬車両21に積載された骨材を撮像する形態としたが、外囲部材24の開口よりも相当程度前方にゲートを設け、ここに制御手段80を有するオペレータ室、撮像手段50を設置すれば運搬車両21がこのゲートをくぐった段階で骨材の分類を判別でき、運搬車両21が外囲部材24の開口に着く時点では振分コンベヤ30の切り替え、搬送コンベヤ25の起動、受入ホッパ22の振動開始がすでに始まっているので、即時に荷台より骨材を受入ホッパ22に投入でき、タイムラグをなくして迅速な骨材の投入処理が可能となる。
また、本発明では、ステレオカメラ51を用いたので、運搬車両21に積載された骨材に対する、撮像手段50による比較的高精度な粒径の分類判別が可能となり、伝票の発行及び伝票印字データの制御手段80への入力を省略することができ、無人化が図れる。
あるいは、骨材製造側で、伝票印字データを電子化して、図外の通信システムにより制御手段80に自動送信して、入力,記憶させておくことで、制御手段80によりこの伝票印字データと、運搬車両21に積載されてきて撮像手段50で撮像され処理して求められた骨材の粒径の分類データとを制御手段80で自動的に比較可能となるので、信頼性の高い無人化が図れる。
【符号の説明】
【0035】
10 骨材搬送貯蔵システム、21 運搬車両、22 受入ホッパ、
25 搬送コンベヤ、30 振分コンベヤ、37A乃至37D 貯蔵槽、
50 撮像手段、51 ステレオカメラ、55 照明装置、60A乃至60C 回転灯、
65 車両検知センサ、80 制御手段。
図1
図2
図3
図4
図5