(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の陰極を含み、それぞれの陰極が、前記集電体シートのそれぞれの表面に近接して前記高分子電解質上に配置され、それによって両面電気化学セルを形成する、請求項1に記載の電気化学セル。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質とシート状のアノード及びカソードから製造される二次電池は、従来の液体電解質電池に比べて多くの利点を示す。これらの利点には、電池の小さな総重量、高い電力密度、高い比エネルギー及び長寿命を有することが含まれ、加えて、有毒液体を環境中に流出する危険性が低減されるので環境に優しい。
【0003】
固体高分子電気化学セルの構成要素には、陽極、陰極、及びイオン伝導が可能なセパレータが含まれ、このセパレータは、例えばアノードとカソードとの間に挟まれた固体高分子電解質である。アノード(つまり、陰極)とカソード(つまり、陽極)は、アルカリ金属イオンの可逆的挿入を可能にする材料から製造される。高分子電解質セパレータは、アノードとカソードを電気的に分離し、それらの間の短絡を防止する。この短絡は、電気化学セルを役に立たない状態にするものである。
【0004】
カソードは、通常、リチウムを吸蔵及び放出することができる活物質と、導電性充填剤と、イオン伝導性の高分子接着剤との混合物からなる。活物質は、例えば遷移金属酸化物またはリン酸塩であり、導電性充填剤は、通常、カーボン、グラファイトまたはそれらの組み合わせである。カソード材料は、通常、ペースト状であり、通常、アルミホイルなどの導電材料の薄板である集電体を必要とする。アノードは、通常、アルカリ金属や合金などの軽量金属ホイルからなり、例えば、リチウム金属、酸化リチウム、及びリチウム−アルミニウム合金などである。アノードは、例えば高分子接着剤内にカーボンベースの層間化合物を有するペースト状の材料であってもよい。この場合、アノードは、好ましくは銅の薄板である集電体支持部を必要とする。
【0005】
複合材のカソード薄膜は、通常、集電体に溶剤コーティングし、または溶融押出することによって得られる。同様に、高分子電解質セパレータ層は、通常、溶剤コーティングまたは溶融押出によって製造される。
【0006】
固体リチウム高分子電気化学セルは、通常、陽極、電解質セパレータ及び陰極を連続して層形成することによって製造される。陽極材料は、集電体として機能する金属ホイル(例えば、アルミニウム)または金属化プラスチックフィルム上に予め被覆または押出される。その後、この高分子電解質セパレータは、前述の被覆されたカソード材料に直接被覆または押出されることが好ましく、この陰極は、この電解質に最後に積層され、電気化学セルが形成される。電気化学セルのエネルギー密度を増加するために、陽極材料が集電体の両側に積層、被覆、または押出される両面設計が好ましい。
【0007】
前述のような電気化学セルは、オフセットパターンで組み立てられる。すなわち、金属アノードまたは負の集電体がこの電気化学セルの一方から延び、カソードの集電体がこの電気化学セルの他方から延びる。一側の金属アノードまたは負の集電体の一部と他側のカソードの集電体の一部が電流の側方収集のために露出されたままでなければならない(すなわち、他の電気化学セルと電気化学的発電装置を構成する正及び負の端子に同時に接続することを可能にする)ので、電解質セパレータ(両面設計の場合、複数のセパレータ)は、アノードとカソードの間に位置するが、電気化学セルの全幅まで延びない。電気化学セルが組み合わされ、共に加圧される際に、露出されたアノードとカソードは、状況によっては互いに接触するかもしれない。その結果、短絡が生じ、このセルを役に立たないものとする。短絡は、電気化学セルの様々な層の置き違え又は位置合わせ誤差によって生じ、または電気化学セルの積層体の置き違え又は位置合わせ誤差によって生じるかもしれない。
【0008】
この潜在的な問題を解決するために、米国特許番号5,360,684には、潜在的な短絡を排除することを唯一の目的として、アノード及びカソードの集電体の露出端部間にポリプロピレンまたは他のプラスチック材料の絶縁バンドを付加することが開示されている。米国特許出願番号09/876,567(公開番号:米国2002/0197535A1)には、同一のコンセプトの変形例が開示されており、絶縁端部材料がカソード材料の端部に被覆され又は押出され、アノードとカソード層の露出端部間の潜在的な短絡を防止している。米国特許番号5,670,273には、電気化学セルの製造方法が開示されており、連続するアノード層とカソード層は、突出する高分子端部を有する高分子電解質層によって分離されており、その高分子端部は、アノードとカソードの集電体間の不慮の接触の可能性を低減している。
【0009】
上記の全ての解決方法は、これらの目的を達成するが、電気化学セルの製造工程に他の工程を追加し、または集電体の適切な平行接続を妨害する突出したセパレータを有するという点で犠牲にする事項を有する。また、重量面において潜在的な不利益をもたらす。
【0010】
したがって、アノード及びカソード間の不慮の短絡を防止する電気化学セル構成に対する要求があり、また、リチウム高分子電池における電気化学セルサブアセンブリの製造において信頼性のある製造方法及び製造装置に対する要求がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、以下の詳細な説明と添付の図によってさらに理解され、他の利点も明らかになるであろう。
図1は、本発明の実施形態による電気化学セルサブアセンブリの概略断面図である。
図2は、本発明の実施形態による電気化学セルの概略断面図である。
図3は、本発明の実施例による、集電体上に予め堆積された電極を高分子電解質を用いて封入するための押出工程の概略側方正面図である。
図4は、押出ダイスを通過する集電体−電極アセンブリを示す、
図3に示される押出工程の概略平面図である。
図5は、集電体−電極アセンブリの両側上に電極層を付ける
図3の押出ダイスの概略断面図である。
図6は、
図3で示される工程で得られる電気化学セルサブアセンブリの概略断面図である。
図7は、本発明の他の実施例による、集電体上に予め堆積された電極層を封入する押出工程の概略断面図である。
図8は、集電体−電極アセンブリの両側上に電極層を付ける
図7の対向する押出ダイスの概略水平断面図である。
図9は、
図7に示される工程で得られる電気化学セルサブアセンブリの概略断面図である。
図10は、本発明の他の実施例による、集電体上に予め堆積された電極を封入するための押出工程の概略側方正面図である。
図11は、本発明の他の実施例による、集電体上に予め堆積された電極を封入するための押出工程の概略側方正面図である。
図12は、本発明の他の実施例による、集電体上に予め堆積された電極を封入するための押出工程の概略側方正面図である。
図13は、集電体−電極アセンブリの第1側上に第1高分子電解質層を堆積する
図10、11、12の第1押出ダイスの概略断面図である。
図14は、集電体−電極アセンブリの第2側上に第2高分子電解質層を堆積する
図10、11、12の第2押出ダイスの概略断面図である。
図15は、
図10、11、12のそれぞれに示される工程で得られる電気化学セルサブアセンブリの概略断面図である。
図16は、本発明の他の実施例による、集電体上に予め堆積された電極を封入するための積層工程の概略側方正面図である。
図17は、
図16の線17−17の概略断面図である。
図18は、
図16の線18−18の概略断面図である。
図19は、本発明の実施形態の変形例による、デュアル電気化学セルサブアセンブリの概略断面図である。
図20は、本発明の実施形態の他の変形例による、電極材料層が予め被覆された大きな集電体のプレアセンブリの概略断面図である。
図21は、切断後における、
図20に示されたプレアセンブリの概略断面図である。
図22は、高分子電解質封止体で封入された、
図21に示されるプレアセンブリの概略断面図である。
【0022】
図1を参照すると、本発明の実施形態による電気化学セルサブアセンブリ10の断面が示されている。この電気化学セルサブアセンブリ10は、中心の集電体部材12と、この集電体部材12のそれぞれの表面に被覆される電極材料層14と、高分子電解質16とを含む。この高分子電解質16は、この集電体部材12の一端13と共に中心の集電体部材12の表面に被覆される電極材料層14を完全に包む。この例では、電極材料層14は、カソードつまり陽極材料からなる。高分子電解質包装体16は、当該技術で周知のように、陽極及び陰極間のイオン交換を可能にし、電気化学セルの陽極及び陰極間の電流経路の形成を阻止するために、イオン伝導性であり、非導電性である。
図1に示されるように、電極層14と中心の集電体12の一端13は、高分子電解質包装体16内に完全に取り囲まれており、従って、完全に電気的に分離されている。中心の集電体12の一端15のみが、他の電気化学セル、または少なくとも1つの電気化学セルを有する発電装置の電気ポストに電気接続されるために露出されたままである。
【0023】
図2は、本発明の実施形態による完成した電気化学セル20を示す。この電気化学セル20は、中心の集電体部材12と、中心の集電体部材12の各々の面に被覆された電極材料層14と、電極材料層14を完全に囲う高分子電解質包装材料16とを含むサブアセンブリ10から形成される。陰極18は、陽極材料層14に面する高分子電解質包装体16のそれぞれの側に配置され、それによって、高分子電解質包装体16を挟み、電気化学セル20を完成する。図示されるように、陽極材料層14と中心の集電体部材12の端部13は、陰極18から完全に電気的に分離され、それによって、陰極18と陽極材料14または中心の集電体部材12の端部13のどちらかとの間で短絡が起こる危険性を減少させる。この特定の配置では、正及び負の電気接点はオフセットされている。より具体的には、電気接点が電気化学セル20の反対側に位置するように、陽極の集電体部材12は、電気化学セル20の一端まで延びており、陰極18は、電気化学セル20の他端まで延びている。当該技術で周知のように、複数の電気化学セルは共に積層され、各々の陽極は平行であって共に接続され、各々の陰極も平行であって接続され、それによってそれらの全体の総容量(Amp/hr)が増加される。
【0024】
ここに記載された電気化学セルは、極端に薄い構成要素で形成される。例えば、以下の通りである。
・中心の集電体部材12の厚さは、12μmから50μmの範囲でありえる。
・1つの陽極材料層14の厚さは、15μmから100μmの範囲でありえる。
・高分子電解質包装体16の一側の厚さは、15μmから50μmの範囲でありえる。
・陰極18の厚さは、20μmから80μmの範囲でありえる。
【0025】
上記の厚さの範囲は、このようなアセンブリを製造することの困難性を示すために一例として挙げられるものである。中心の集電体部材12、陽極材料14、高分子電解質包装体16及び陰極18のそれぞれにおいて他の厚さの範囲も考えられ、本発明の範囲に含まれる。
【0026】
図3及び
図4は、本発明の実施形態によるものであって、
図1に示される電気化学セルサブアセンブリ10を形成するために、その両方の表面に電極材料層を有する中心の集電体部材に高分子電解質包装体を被せるための装置と方法の実施例を示す。プレアセンブリ22は、両方の表面に電極材料層14が予め被覆された集電体部材12を含み、この例では一連の円筒状ローラー34である搬送機構を用いてデュアル押出ダイス30まで移動され、そこで、薄い高分子電解質24がプレアセンブリ22のそれぞれの側に被せられる。短軸または二軸押出機31は、高分子電解質材料をデュアル押出ダイス30に供給する。
【0027】
図3及び
図4に示されるように、プレアセンブリ22は、デュアル押出ダイス30を通過し、ここで、薄い高分子電解質層24がプレアセンブリ22の両側に同時に付けられる。
図4により明確に示されるように、高分子電解質層24は、電極材料層14より幅が広く、2つの高分子電解質層24が集電体12の一端13を避けると共に電極材料層14を完全に囲う。次いで、この高分子電解質包装体16を有するプレアセンブリ22は、一連の円筒状ローラー32A、32Bに向かう。この円筒ローラーは、高分子電解質包装体16の凝固を加速し、ローラーへの高分子の望まない付着を防止するために冷温に維持されることが好ましい。次いで、完成した電気化学セルサブアセンブリ10(
図1)は、次の処理のための他の場所または倉庫に向けて送られる。
【0028】
図5は、プレアセンブリ22がデュアル押出ダイスを直接通過する際の
図3及び
図4のデュアル押出ダイス30の断面図を概略的に示す。押出ダイス30は、プレアセンブリ22の両側に薄板として放出される前において、高分子電解質が押出ダイス30の内側に進む通路を決定する点線で示される2つの放出ノズル35、37を含む。高分子電解質材料は、円筒状流路39を通って押出機31(
図3及び
図4)から押出ダイス30に圧力をかけられて供給される。押出ダイス30に入った後、高分子電解質材料は、分流器44によって2つの分離された内部流路41、43に分割され、2つの内部流路は、それぞれ放出ノズル35、37に導く。放出ノズル35、37に入ると、高分子電解質材料は、広くて薄い薄膜に仕上げられる。この薄膜は、電極材料層14と、集電体部材12の端部13の全体と、集電体部材12の他端15の一部とを覆う領域上に放出される。したがって、2つの電極材料層14は囲まれ、電気的に分離される。
【0029】
図6は、デュアル押出ダイス30から出た電気化学セルサブアセンブリ10の断面図を概略的に示す。ここで、2つの高分子電解質層24が集電体12の端部13の端の上にある合流点45で結合され、それによって高分子電解質包装体16が形成されることが見られる。
【0030】
図7は、
図1に示される電気化学セルサブアセンブリ10を形成するために、両面に電極材料層を有する中心の集電体部材に高分子電解質包装体を被せるための装置と方法の他の実施例を示す。両面に予め電極材料層14が被覆された集電体部材12で形成されるプレアセンブリ22は、一連の円筒状ローラー48(1つのみ示してある)を通して一対の押出ダイス50、60に移動され、ここで、薄い高分子電解質層52、62はプレアセンブリ22のそれぞれの側に同時に被せられる。高分子電解質の両方の層52、62は、電極材料層14より幅が広いので、それらは電極材料層14を完全に囲む。次に、高分子電解質層52、62を有するプレアセンブリ22は、円筒状ローラー55に案内される。この円筒ローラーは、高分子電解質層の凝固を加速し、高分子電解質層のあらゆる望まない付着を防止するために冷温に維持されることが好ましい。完成した電気化学セルサブアセンブリ10は、次の処理のための他の場所または倉庫に向けて送られる。
【0031】
図8は、その電極材料層14を含むプレアセンブリ22が押出ダイス50、60の放出端部の直ぐ前に移動した際における、
図7の一対の対向する押出ダイス50、60の上部断面図を概略的に示す。押出ダイス50、60の内部流路54、64は、それぞれ点線で示され、プレアセンブリ22の両面に薄板として放出される前において、高分子電解質がそれぞれの押出ダイス50、60の内側に進む通路を決定する。高分子電解質シート52、62は、端部13の端を囲んで電気的に分離するために、電極材料層14を覆うと共に集電体部材12の端部13上に僅かに延びる領域上に広げられる。高分子電解質シート52、62は、集電体部材12の他端15の一部上にも延び、それによって2つの電極材料層14を囲う共に電気的に分離する。
【0032】
図9は、
図7及び
図8に関して示されて記述された押出装置及び押出方法から得られる電気化学セルサブアセンブリ10を示す。前述のように、高分子電解質シート52、62は、高分子電解質シート52、62が端部13上で結合され、それによって端部13を囲い、高分子電解質包装体16を形成するように、集電体部材12の端部13上に僅かに延びる領域上に放出される。
【0033】
図7は、互いに正反対に位置する押出ダイス50、60を示すが、これらは互いにオフセットされていてもよい。
【0034】
図10は、
図1に示される電気化学セルサブアセンブリ10を形成するために、両面に電極材料層を有する中心の集電体部材に高分子電解質包装体を被せるための装置と方法の他の変形例を示す。この例では、押出ダイス70、80は、互いにオフセットされる。移動するプレアセンブリシート22に高分子電解質層72、82が付けられる際に、このプレアセンブリシート22は、円筒状ローラー74、84によって支持されることが好ましい。高分子電解質層またはシート72、82は、集電体部材12の端部13上に僅かに延びる領域上に放出される。したがって、高分子電解質シート72、82は、
図15でより詳細に説明されるように、電極材料層14を完全に覆い、端部13上で結合し、それによって端部13を囲い、高分子電解質包装体16を形成する。
【0035】
図11は、
図1に示される電気化学セルサブアセンブリ10を形成するために、両面に電極材料層を有する中心の集電体部材に高分子電解質包装体を被せるための装置と方法の他の変形例を示す。この例でも、押出ダイス90、100は互いにオフセットされているが、
図10に示される形態とは僅かに異なる形態で配置される。移動するプレアセンブリシート22に高分子電解質層92、102が付けられる際に、このプレアセンブリシート22は、円筒状ローラー94、104によって支持される。
図8を参照して前述されたように、高分子電解質層またはシート92、102は、集電体部材12の端部13上に僅かに延びる領域上に放出される。したがって、高分子電解質シート92、102は、
図15でより詳細に説明されるように、電極材料層14を完全に覆い、端部13上で結合し、それによって端部13を囲い、高分子電解質包装体16を形成する。
【0036】
図12は、
図1に示される電気化学セルサブアセンブリ10を形成するために、両面に電極材料層を有する中心の集電体部材に高分子電解質包装体を被せるための装置と方法の他の変形例を示す。この例では、プレアセンブリ22は、一連の円筒状ローラー122(1つのみが示される)を用いて第1押出ダイス110に移動され、ここで、高分子電解質層24がプレアセンブリ22の第1側上に被せられる。前述のように、高分子電解質層が電極材料層を完全に囲うように、高分子電解質層24は、電極材料層よりも幅が広い。次いで、表面の一方に高分子電解質層24が付加されたプレアセンブリ22は、円筒状ローラー114によって方向を変えられる。この円筒状ローラー114は、高分子電解質層24の凝固を加速するために冷温で維持されることが好ましい。次いで、高分子電解質層24が付加されたプレアセンブリ22は、他の一連の円筒状ローラー116(1つのみが図示される)を介して第2押出ダイス120に移動され、ここで、他の薄い高分子電解質層24がプレアセンブリ22の第2側に被せられる。ここでも、高分子電解質層24が電極材料層を完全に囲うように、プレアセンブリ22の第2側に付けられた高分子電解質層24は、電極材料層よりも幅が広い。包装体16を形成する両方の高分子電解質層24を有するプレアセンブリ22は、円筒状ローラー118によって支持される。この円筒状ローラーは、第2の高分子電解質層24の凝固を加速し、第1の高分子電解質層24の望まない付着を防止するために冷温で維持されることが好ましい。完成した電気化学セルサブアセンブリ10は、円筒状ローラー122(1つのみが示される)を用いて次の処理のための他の場所または倉庫に向けて送られる。
【0037】
図13は、プレアセンブリ22が押出ダイスの放出端部の直ぐ前に移動した際における、
図10、11、12の第1押出ダイス70、90、110のそれぞれの断面図を概略的に示す。押出ダイス70、90、110の内部流路125は、点線で示され、プレアセンブリ22の第1側に薄板として放出される前において、高分子電解質が押出ダイス70、90、110の内側に進む通路を決定する。高分子電解質シート24は、第1の電極材料層14と、集電体部材12の端部13の全体と、集電体部材12の他の端部15の一部とを囲う領域上に広げられ、それによって、第1の電極材料層14を囲い、電気的に分離する。
【0038】
図14は、第1の高分子電解質層24が付けられたプレアセンブリ22が、プレアセンブリ22の第2側または第2面が押出ダイスに面して押出ダイスの放出端部の直ぐ前に移動した際における、
図10、11、12の第2押出ダイス80、100、120の各々の断面図を概略的に示す。押出ダイス80、100、120の内部流路127は、点線で示され、プレアセンブリ22の第2側または第2表面に薄板として放出される前において、高分子電解質が押出ダイス80、100、120の内側に進む通路を決定する。高分子電解質シート26は、端部13の端を囲って電気的に分離するために、第2の電極材料層14を囲う領域上に広げられ、集電体部材12の端部13上に僅かに延びる。高分子電解質シート26は、集電体部材12の他端15の一部上にも延長し、それによって、第2の電極材料層14を囲って電気的に分離する。
【0039】
図15は、
図10から
図14に関連して示されて記述された押出装置及び押出方法から得られる電気化学セルサブアセンブリ10を示す。前述のように、高分子電解質シート26は、集電体部材12の端部13上に僅かに延びる領域上に放出される。したがって、それは端部13を囲うために毛管現象によって端部13上で折り曲がり、高分子電解質包装体16を形成するために、既に付けられた高分子電解質層24に付着される。
【0040】
図16は、
図1に示される電気化学セルサブアセンブリ10を形成するために、両面に電極材料層を有する中心の集電体部材に高分子電解質包装体を被せるための装置と方法の他の変形例を示す。この例では、高分子電解質包装体16は、中心の集電体12のそれぞれの表面の電極層14上に高分子電解質膜24を積層することによって形成される。
図16に示されるように、プレアセンブリ22は、両方の表面に電極材料層14が予め被覆された集電体部材12を含み、あらゆる搬送システムを用いて第1の一対のローラー200に搬送され、そこで、薄い高分子電解質膜24がプレアセンブリ22のそれぞれの側に被せられる。あるいは、高分子電解質膜24は、
図16に示される同時適用とは対照的に、異なる位置でプレアセンブリ22のそれぞれの側に連続して被せられてもよい。
【0041】
この特定の例では、それぞれの高分子電解質膜24は、プラスチック支持膜202に置かれており、他の保護プラスチック膜204によって覆われており、保管のためにロール201、203に巻かれている。
図16に示されるように、積層に際して高分子電解質膜24を電極材料層14に露出させるために、保護プラスチック膜204A、204Bは、薄い高分子電解質膜24から剥離され、ローラー200への経路から外れ、回収ロール205、207に巻き取られる。次いで、高分子電解質膜24は、
図17に示されるように、プレアセンブリ22の一側とオフセットされるように、電極材料層14に接触される。より具体的には、アセンブリ全体が共に加圧された際に、高分子電解質層24の延長部210が互いに接触をもたらすように、両方の高分子電解質膜24は、プレアセンブリ22の一端206の上、従って、プレアセンブリ22の中心の集電体12の一端上に延長する。アセンブリ全体が共に加圧された際に電極材料層14を囲むように、高分子電解質膜24の端部208は、電極材料層14の端部を過ぎて延びる。
【0042】
次いで、中心の集電体12と2つの電極材料層に加えて高分子電解質層24とその両側にあるプラスチック支持膜202とで形成される積層板212は、加熱領域215に進入する。この加熱領域215では、2つの高分子電解質層24は、高分子電解質層24の延長部210の互いの付着に加え、電極層14上への高分子電解質層210の付着を促進するために十分な温度に加熱される。この加熱は、当業者に周知の手段によって行われる。
【0043】
次いで、積層板212のプロファイに一致させ、各々の高分子電解質膜24の全表面に圧力Pを与えるために、加熱された積層板212は、ゴムまたは他のフレキシブル材料の層で覆われた少なくとも1つの一対の積層ローラー216を通過する。したがって、高分子電解質層24の延長部210は、互いに接着され、中心の集電体12の端部を包み、高分子電解質層24の端部208が電極材料層14の端部を囲む。結果的に、高分子電解質層24は、
図18に示されるように、電極層14の全体と中心の集電体部材12の一端部を封入する。
【0044】
その後、積層板212は、一連の冷却ローラー217、219を通して送られる。冷却ローラー217、219は、室温以下の温度(10°から15℃)に維持される。積層板212は、それぞれのローラー217、219の外周の円弧上を移動するので、冷却ローラー217、219に接触しており、冷却ローラーの円弧は、積層板212が冷却ローラー217、219を通して残余の熱を放出するために十分な長さである。
【0045】
次いで、積層板212は、剥離部220に移動され、ここで、プラスチック支持膜202は、積層板212から除去され、回収ロール221、223に巻き取られる。プラスチック支持膜202が除去される際に電極層14を囲う高分子電解質膜24に加えられるあらゆる損傷を防止するために、適切な溶剤が各々の剥離点222、224に導入される。この溶剤は、高分子電解質層24とプラスチック支持膜202の間の付着力を減少させ、従って、高分子電解質膜24の部分または断片のあらゆる裂けを防止する。
図16に示されるように、剥離角度は、90°未満である。このように、一対のプラスチック支持膜202と一対の高分子電解質膜24は、分離されることで小さなプールを形成し、ここで溶剤が留まり、プラスチック支持膜202と高分子電解質膜24との間の界面に作用する。
【0046】
少量の溶剤が各々の高分子電解質膜24の表面に残るかもしれないことは注記すべきことである。次いで、積層板10は、乾燥部226を通過し、ここで過度の又は残っている溶剤は蒸発される。
【0047】
封入された積層板10を収納する際に、積層板10がロール200に巻かれる際に近接する高分子電解質層24の接着を防止し、積層板10が電気化学セルのアノード部分を有する最終的なアセンブリをもたらす際に剥離を容易にするために、高分子電解質に対して弱い接着性を有する新たな保護膜230がその上に付けられる。もちろん、積層板10は、組立のための次の処理部に直接運ばれ、完成された電気化学セルになる。
【0048】
図19は、本発明の実施形態の変形例を示し、大きな集電体部材150は、その表面のそれぞれに2つの分離した電極材料層が被覆されている。より具体的には、層152、153は、集電体部材150の第1表面を被覆し、層154、155は、集電体部材150の第2表面を被覆する。次いで、電極材料層152、153、154、155は、高分子電解質包装体158、159が集電体部材150の端部160、161をそれぞれ避けながら、2つの異なる高分子電解質包装体158、159で封入され、デュアルアセンブリ175を形成する。
図19に示されるように、集電体部材150の2つの端部160、161と共に電極層152、153、154、155は、完全に囲まれ、従って、2つの高分子電解質包装体158、159内で電気的に分離される。集電体部材150の中間部分165のみが露出されたままである。後続の製造段階で、
図1に示される2つの分離した電気化学セルサブアセンブリ10を形成するために、集電体部材150は、中間部分165の中心でA−A軸に沿ってスリットが入れられる。前述のスリットが入れられた集電体部材150の露出された端部によって、他の電気化学セルまたは一連の積層された電気化学セルを形成する発電装置の電気ポストへの電気的接続が可能になる。
【0049】
図3、7、10、11、12、16に示され、記述された何れの装置も、
図19に示されるデュアルサブアセンブリ175を形成するのに適している。しかしながら、
図19に示される高分子電解質包装体158、159を形成するために高分子電解質層が押し出されることができるように、高分子電解質層を押し出す装置は、2つの分離された内部流路を有する押出ダイスを含む。それぞれの流路がそれぞれの高分子電解質層のためのものである。さらに、スリットを入れる前に、両方の電極層と中心の集電体150の両方の端部とを被覆するために、プレアセンブリ22に高分子電解質層を積層する装置は、2対の平行な高分子電解質膜を用いて提供される。サブアセンブリ175にスリットを入れるのは、あらゆる通常の方法によって行うことができる。
【0050】
本発明の実施形態の他の変形例では、
図20は、その両面に大きな電極材料層252で被覆された大きな集電体部材250を示し、大きな集電体部材250の両端部253、254は露出された状態である。次の製造工程では、
図21に示される2つの分離したプレアセンブリ255を形成するために、集電体部材250と電極層252で形成されたプレアセンブリは、スリットが入れられ、または、中心点でA−A軸に沿って切断される。プレアセンブリ255の切断面256の集電体部材250の端部と電極層252の端部は平坦であり、端部253、254は露出されたままである。
【0051】
図22に示される最終の製造段階で、高分子電解質258、259が端部256と共に電極層252の全体を高分子電解質包装体260で封入するように、高分子電解質層258、259は、前述のあらゆる方法でプレアセンブリ255上に被覆される。従って、端部256は、あらゆる潜在的な短絡を防止するために電気的に絶縁され、集電体部材250の端部253、254は露出されたままであり、他の電気化学セルまたは一連の積層された電気化学セルで形成される発電装置の電気ポストに電気的に接続されることを可能にする。
【0052】
本発明は、特定の変形例に関連して記述されているが、他の変形または修正が考えられ、それも本発明の範囲に含まれる。したがって、本発明は、上記の詳細な説明によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲で特定される。