(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
略直方体フレーム状に形成された複数の建物ユニットを組み合わせてなる建物本体と、当該建物本体の上部に設けられる屋根と、を備えたユニット式建物の屋根構造において、
前記屋根は、陸屋根部の一部に勾配屋根部が設けられてなり、
前記勾配屋根部は、当該勾配屋根部の下端部を構成し、かつ前記一つの建物ユニットの上面に載置される小屋パネルと、前記屋根面を構成する屋根パネルと、前記屋根パネルを支持するようにして、当該小屋パネルと屋根パネルとを接合する接合金物と、を備えて組み立てられており、
前記勾配屋根部は、前記建物本体の最上階を構成する複数の建物ユニットのうち一つ分の建物ユニットの上方に設けられ、
前記陸屋根部の上面には、陸屋根用の太陽電池パネルが設置され、
前記勾配屋根部を構成する屋根面の下方には小屋裏空間が形成され、
前記小屋裏空間には、前記太陽電池パネルと前記建物本体内に設置されるパワーコンディショナーとを接続する接続ボックスを収納するための収納部が配設されており、
前記勾配屋根部に隣接する前記陸屋根部は、前記勾配屋根部側の端部から上方に向かって立ち上がる防水立ち上がりを有し、
前記勾配屋根部の勾配方向下端部は、前記陸屋根部における前記防水立ち上がりの直上に位置し、当該勾配屋根部の勾配方向下端部には、前記防水立ち上がりと上下方向に並ぶ外壁材が取り付けられていることを特徴とするユニット式建物の屋根構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のような陸屋根の一部に勾配屋根が設けられてなる屋根に太陽電池パネルを設置したいという要望があるが、陸屋根に対して勾配屋根が比較的広いことや、陸屋根上に勾配屋根の陰になる場所があることで、陸屋根への太陽電池パネルの設置効率がよくない場合がある。
さらに、このように勾配屋根が陸屋根に対して比較的広く設けられると、勾配屋根を、輸送車両の輸送制限以下のサイズにユニット化して輸送することが困難となるので、現場での組立や防水に係る手間が増えてしまい、屋根自体の施工効率がよくない場合がある。
【0005】
また、太陽電池パネルと室内に設置されたパワーコンディショナーとを接続する接続ボックスは、防水上の観点から屋内に設置することが望ましい。陸屋根を備えた建物の場合は小屋裏空間が無く、最上階の天井懐のスペースも狭いため、例えば接続ボックスを最上階の部屋の収納室等に設置していた。しかしながら、最上階のスペース内に接続ボックスの設置スペースを確保してしまうと、その分、最上階の他のスペースが狭められてしまうため、より好ましい接続ボックスの収納場所を確保することが望まれていた。
【0006】
また、陸屋根を備えた建物の場合、建物の上部が水平で画一的なため意匠性の面で単調になりがちだったため、単に陸屋根を備えるだけの屋根に比して、より意匠性に優れる屋根についても要望があった。
【0007】
本発明の課題は、意匠性に優れ、かつ接続ボックスの収納場所を確保でき、さらには太陽電池パネルの設置効率および屋根の施工効率を向上させることが可能な屋根構造
及び屋根の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、例えば
図1〜
図10に示すように、略直方体フレーム状に形成された複数の建物ユニット2aを組み合わせてなる建物本体2と、当該建物本体2の上部に設けられる屋根3と、を備えたユニット式建物1の屋根構造において、
前記屋根3は、陸屋根部4の一部に勾配屋根部5(5A)が設けられてなり、
前記勾配屋根部5(5A)は、当該勾配屋根部5(5A)の下端部を構成し、かつ前記一つの建物ユニット2aの上面に載置される小屋パネル20と、前記屋根面を構成する屋根パネル21と、前記屋根パネル21を支持するようにして、当該小屋パネル20と屋根パネル21とを接合する接合金物22と、を備えて組み立てられており、
前記勾配屋根部5(5A)は、前記建物本体2の最上階を構成する複数の建物ユニット2aのうち一つ分の建物ユニット2aの上方に設けられ、
前記陸屋根部4の上面には、陸屋根用の太陽電池パネルP1が設置され、
前記勾配屋根部5(5A)を構成する屋根面の下方には小屋裏空間Sが形成され、
前記小屋裏空間Sには、前記太陽電池パネルP1,P2と前記建物本体2内に設置されるパワーコンディショナーとを接続する接続ボックスを収納するための収納部6が配設され
ており、
前記勾配屋根部5(5A)に隣接する前記陸屋根部4は、前記勾配屋根部5(5A)側の端部から上方に向かって立ち上がる防水立ち上がり16を有し、
前記勾配屋根部5(5A)の勾配方向下端部は、前記陸屋根部4における前記防水立ち上がり16の直上に位置し、当該勾配屋根部5(5A)の勾配方向下端部には、前記防水立ち上がり16と上下方向に並ぶ外壁材21fが取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、前記勾配屋根部5(5A)は、前記建物本体2の最上階を構成する複数の建物ユニット2aのうち一つ分の建物ユニット2aの上方に設けられるものであるため、従来に比して、前記陸屋根部4に対する当該勾配屋根部5(5A)の広さは比較的狭くなる。これによって、前記陸屋根部4に前記陸屋根用の太陽電池パネルP1をより多く設置できるとともに、当該設置された前記陸屋根用の太陽電池パネルP1が、前記勾配屋根部5(5A)の陰になりにくくなるので、太陽電池パネルP1の設置効率を向上させることができる。
また、前記勾配屋根部5(5A)は、その平面上の大きさが前記一つ分の建物ユニット2aと略等しくなるため、工場等で、輸送車両の輸送制限以下のサイズにユニット化してから輸送することができる。これによって、現場での組立や防水に係る手間を軽減でき、前記屋根3の施工効率を向上させることができる。
また、前記屋根3が、前記陸屋根部4のみで構成される場合は、ユニット式建物1の上部が水平で画一的なために単調な印象になりがちである。これに対して、前記陸屋根部4に対する当該勾配屋根部5(5A)の広さを比較的狭くすることができるので、例えば前記屋根3が、前記陸屋根部4のみで構成される場合に比して、外観意匠性を高めることができる。
また、前記小屋裏空間Sに前記収納部6が設けられているので、前記接続ボックスの収納場所を確保することができる。これによって、従来とは異なり、最上階のスペース内に前記接続ボックスの設置スペースを確保する必要が無くなるので、最上階のスペースが狭められてしまうことを防ぐことができる。
さらに、前記勾配屋根部5(5A)の下端部を構成する前記小屋パネル20が前記一つの建物ユニット2aの上面に載置されるため、前記勾配屋根部5(5A)の荷重を、当該小屋パネル20を介して前記一つの建物ユニット2aに分散させることができる。また、前記勾配屋根部5(5A)は、前記一つの建物ユニット2a分の大きさとなるため、前記屋根パネル21も必要以上に大きくしなくて済み、前記接合金物22によって前記小屋パネル20と前記屋根パネル21とを接合することで前記勾配屋根部5(5A)を概ね構成できる。したがって、通常の屋根で使用される屋根束等の部材も必要が無くなり、施工コストの低減を図ることも可能となる。
さらに、前記勾配屋根部5(5A)に隣接する前記陸屋根部4は、前記勾配屋根部5(5A)側の端部から上方に向かって立ち上がる防水立ち上がり16を有するので、前記勾配屋根部5(5A)を、前記建物本体2の最上階に設置すると同時に、前記勾配屋根部5(5A)の側面における防水処理を行うことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のユニット式建物1の屋根構造において、
前記収納部6は、前記接続ボックスを設置するための床6aを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、前記収納部6は、前記接続ボックスを設置するための床6aを備えるので、例えば壁に設置する場合に比して前記接続ボックスを設置しやすくなる。さらに、メンテナンス時にも、当該床6aに工具や部品等を置いて作業を行うことができるのでメンテナンスしやすい。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のユニット式建物1の屋根構造において、
前記勾配屋根部5(5A)の上面には、勾配屋根用の太陽電池パネルP2が設置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、前記勾配屋根部5(5A)の上面に、勾配屋根用の太陽電池パネルP2が設置されているので、前記陸屋根用の太陽電池パネルP1と併せて考慮すれば、前記屋根3全体における太陽電池パネルP1,P2の設置効率を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のユニット式建物1の屋根構造において、
前記勾配屋根部5(5A)を構成する屋根面に天窓8が形成されており、
前記小屋裏空間Sには、
前記収納部6に隣接して、前記建物本体2の最上階から当該小屋裏空間Sに吹き抜ける吹き抜け部7が設けられ、この吹き抜け部7の上方に前記天窓8が配置され
ており、
前記収納部6と前記吹き抜け部7との間には仕切り壁6bが設けられ、当該仕切り壁6bには開口部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、前記小屋裏空間Sには、前記建物本体2の最上階から当該小屋裏空間Sに吹き抜ける吹き抜け部7が設けられ、この吹き抜け部7の上方に前記天窓8が配置されているので、前記天窓8を利用して前記建物本体2内に採光や通風を行ったり、前記建物本体2内の排熱を行ったりすることができる。また、前記吹き抜け部7と前記収納部6とを連通させれば、当該吹き抜け部7から前記接続ボックスのメンテナンスを行うことができるので利便性が高い。
【0016】
請求項5に記載の発明は、
略直方体フレーム状に形成された複数の建物ユニット2aを組み合わせてなる建物本体2と、当該建物本体2の上部に設けられ、かつ、陸屋根部4の一部に勾配屋根部5(5A)が設けられてなる屋根3と、を備えたユニット式建物1の屋根
の施工方法であって、
前記勾配屋根部5(5A)に隣接する前記陸屋根部4は、前記勾配屋根部5(5A)側の端部から上方に向かって立ち上がる防水立ち上がり16を有し、
前記勾配屋根部5(5A)は、当該勾配屋根部5(5A)の下端部を構成し、かつ前記一つの建物ユニット2aの上面に載置される小屋パネル20と、前記屋根面を構成する屋根パネル21と
、前記屋根パネル21を支持するようにして、当該小屋パネル20と屋根パネル21とを接合する接合金物22と、を備え
て予め組み立てられており、
前記複数の建物ユニット2aうち、前記勾配屋根部5(5A)が設けられる前記一つの建物ユニット2aの上方に前記陸屋根部4を形成せずにしておき、
予め組み立てられた状態の前記勾配屋根部5(5A)を吊り上げて、前記陸屋根部4が形成されていない箇所の前記一つの建物ユニット2aの上に合致させるようにして、かつ、前記勾配屋根部5(5A)の勾配方向下端部が前記陸屋根部4における前記防水立ち上がり16の直上に位置するようにして設置することを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、前記勾配屋根部5(5A)の下端部を構成する前記小屋パネル20が前記一つの建物ユニット2aの上面に載置されるため、前記勾配屋根部5(5A)の荷重を、当該小屋パネル20を介して前記一つの建物ユニット2aに分散させることができる。
また、前記勾配屋根部5(5A)は、前記一つの建物ユニット2a分の大きさとなるため、前記屋根パネル21も必要以上に大きくしなくて済み、前記接合金物22によって前記小屋パネル20と前記屋根パネル21とを接合することで前記勾配屋根部5(5A)を概ね構成できる。したがって、通常の屋根で使用される屋根束等の部材も必要が無くなり、施工コストの低減を図ることも可能となる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項
5に記載
の屋根
の施工方法において、
予め組み立てられた状態の前記勾配屋根部5(5A)を、前記一つの建物ユニット2aの上に合致させるようにして設置した後、前記防水立ち上がり16と上下方向に並ぶ外壁材21fを、前記勾配屋根部5(5A)の勾配方向下端部に取り付けることを特徴とする。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、前記勾配屋根部5(5A)に隣接する前記陸屋根部4は、前記勾配屋根部5(5A)側の端部から上方に向かって立ち上がる防水立ち上がり16を有するので、前記勾配屋根部5(5A)を、前記建物本体2の最上階に設置すると同時に、前記勾配屋根部5(5A)の側面における防水処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、意匠性に優れ、かつ接続ボックスの収納場所を確保でき、さらには太陽電池パネルの設置効率および屋根の施工効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1において符号1は、ユニット式建物を示す。このユニット式建物1は、略直方体フレーム状に形成された複数の建物ユニット2aを組み合わせてなる建物本体2と、当該建物本体2の上部に設けられる屋根3と、を備える。屋根3は、陸屋根部4と、当該陸屋根部4の一部に設けられる勾配屋根部5と、を有するものである。すなわち、屋根3は、陸屋根部4の一部に勾配屋根部5が設けられてなる。
なお、陸屋根部4の上面には、陸屋根用の太陽電池パネルP1が設置され、勾配屋根部5の上面には、勾配屋根用の太陽電池パネルP2が設置される。
【0023】
建物本体2は、複数の建物ユニット2aを左右上下に組み合わせることによって複数階建てに構築されている。そのうち、最上階を構成する複数の建物ユニット2aは、本実施の形態においては6個(
図1において縦3個×横2個)並べられて構成されている。
なお、本実施の形態の建物本体2は複数階建てとしたが、平屋建てに構築されていてもよいものとする。
また、建物本体2を構成する建物ユニット2aの数は特に限定されるものではなく、その組み合わせ方も特に限定されるものではない。
【0024】
建物ユニット2aは、複数本の柱と、これらの柱の上端間どうしを結合する複数本の天井梁2bと、前記柱の下端間どうしを結合する複数本の床梁とを備える。天井梁2bおよび床梁は、長辺梁と短辺梁とで構成されており、これによって、建物ユニット2aは略直方体フレーム状に形成されている。
また、図示はしないが、柱の上端部と天井梁2b同士、長辺天井梁2bと短辺天井梁2b同士は、それぞれ仕口部材を介して連結されている。また、柱の下端部と床梁、長辺床梁と短辺床梁は、それぞれ仕口部材を介して連結されている。
また、一つ一つの建物ユニット2aは、輸送車両の輸送制限以下のサイズに設定されているため、輸送車両による輸送が可能となっている。さらに、このような建物ユニット2aには、外装材や内装材等を適宜装備させた状態としてもよく、その状態でも輸送車両による輸送が可能となっている。
【0025】
屋根3を構成する陸屋根部4は、前記最上階を構成する複数の建物ユニット2aのうち前記勾配屋根部5が設けられない略平坦な屋根面を有する箇所を指している。
そして、この陸屋根部4は、
図4および
図5に示すように、屋根面を構成するスラブ10と、このスラブ10を支持するための断面略C字状の支持フレーム11,12,13と、建物本体2の外周縁部に立設されるパラペット14と、排水溝15と、防水立ち上がり16と、を備える。
【0026】
スラブ10としては、ALC(autoclaved light concrete;高温高圧蒸気養生の軽量気泡コンクリート)板が採用されている。
また、
図4に示すように、支持フレーム11は、最上階の建物ユニット2aの長辺天井梁2bの上面に設置され、支持フレーム12は、前記支持フレーム11と直交して設けられる。さらに、
図5に示すように、支持フレーム13は、勾配屋根部5の妻側端部側に設けられている。
支持フレーム12の側面には、スラブ10を受けるアングル形状のスラブ受け10aが設けられている。当該支持フレーム12に設けられた当該スラブ受け10aは、スラブ10が建物本体2の外周縁部側に向かって水勾配を形成できるように、支持フレーム12に対して傾斜して取り付けられている。
また、支持フレーム13には、当該支持フレーム13に固定された固定部材13aを介してスラブ受け10aが設けられている。スラブ受け10aは、当該支持フレーム13に対して、スラブ10が建物本体2の外周縁部側に向かって水勾配を形成できるように、やや高い位置に設けられている。
固定部材13aは、
図5に示すように、支持フレーム13から建物本体2の外周縁部側に突出して設けられており、スラブ受け10aは、当該固定部材13aの突出方向先端の上端部に固定されている。
そして、各スラブ受け10a,10aによって支持されるようにして前記スラブ10が設けられている。
【0027】
パラペット14は、前記建物本体2の外周縁部から上方に立ち上がる壁状体である。また、このパラペット14は、前記スラブ10の外周側端部から離間して配置されている。
排水溝15は、前記パラペット14と、前記スラブ10の外周側端部との間に形成されており、スラブ10の水勾配の下方側に配置される。なお、このように排水溝15を形成するために、前記スラブ10は、その水勾配下方側の端部が前記パラペット14に達しない程度に短く形成されている。
【0028】
防水立ち上がり16は、前記勾配屋根部5に隣接する前記陸屋根部4の勾配屋根部5側の端部から上方に向かって立ち上がるものである。当該防水立ち上がり16は、前記勾配屋根部5を取り囲むようにして互いに間隔を空けて配置される複数の支柱16aと、複数の支柱16a間にわたって設けられて防水面を形成する外壁材16bと、を有する。
支柱16aは、
図4に示すように、支持フレーム12に取り付けられた支持部材12aを介して設けられている。この支持部材12aは断面略C字状に形成され、前記支持フレーム11と平行になるようにして前記支持フレーム12に接合されている。
なお、当該支持部材12aには、前記スラブ10と防水立ち上がり16との隙間に設けられる補助床10bを支持するための補助床用支持部材12bが固定されている。
また、支柱16aは、
図5に示すように、支持フレーム13の上面に設けられている。
【0029】
パラペット14の内側面から、排水溝15と、スラブ10の上面と、補助床10bの上面とを介して、防水立ち上がり16の外壁材16bの表面にかけて、防水シート17が貼設されている。
パラペット14の内側面に貼設された防水シート17の上端部は、当該パラペット14の上端部に設けられる笠木によって覆われている。また、防水立ち上がり16の外壁材16bの表面に貼設された防水シート17の端部は、前記支柱16aおよび外壁材16b上端面に貼設されている。
【0030】
屋根3を構成する勾配屋根部5は、前記建物本体2の最上階を構成する複数の建物ユニット2aのうち一つ分の建物ユニット2aの上方に設けられている。換言すれば、当該勾配屋根部5の大きさは、平面視において建物ユニット2a一つ分の大きさと略等しく設定されている。さらに、当該勾配屋根部5は、一つの建物ユニット2aの上方に設けられている。つまり、このような勾配屋根部5、および当該勾配屋根部5の配置は、建物本体2の最上階を構成する複数の建物ユニット2aの配置に合わせたものとなっている。
なお、勾配屋根部5は切妻屋根とされており、棟と、当該棟から両側に流れる二つの屋根面とがある。
【0031】
勾配屋根部5を構成する屋根面の下方には小屋裏空間Sが形成され、当該小屋裏空間Sには、前記太陽電池パネルP1,P2と前記建物本体2内に設置されるパワーコンディショナー(図示せず)とを接続する接続ボックス(図示せず)を収納するための収納部6が配設されている。
また、当該収納部6は、前記接続ボックスを設置するための床6aを備える。この床6aは、例えばパーティクルボード等の面材によって構成されている。
【0032】
また、勾配屋根部5を構成する屋根面には、天窓8,8が形成されている。
さらに、小屋裏空間Sには、建物本体2の最上階から当該小屋裏空間Sに吹き抜ける吹き抜け部7が設けられ、この吹き抜け部7の上方に前記天窓8,8が配置されている。
収納部6と吹き抜け部7は、
図1(b)および
図3に示すように、勾配屋根部5の平面視における短手方向の約半分が収納部6、もう約半分が吹き抜け部7とされている。
【0033】
なお、前記パワーコンディショナーは、前記太陽電池パネルP1,P2によって太陽光を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換するためのものである。当該パワーコンディショナーは建物本体2内に設置されており、パワーコンディショナーから出力された交流電力は分電盤やコンセントを通じて各種電気機器に供給される。
また、前記接続ボックスは、接続線を介して、太陽電池パネルP1,P2とパワーコンディショナーとを接続するものである。
また、前記接続線は、例えば後述の、下地材21eおよび外壁材21fと、支柱16aおよび外壁材16bとの間に形成される目地(隙間)や、前記勾配屋根部5の棟(一方の屋根面と他方の屋根面との間)等を利用して屋内に引き込むことができる。すなわち、前記屋根3を構成する各部材間の隙間を利用して接続線を屋内に引き込むことができる。ただし、接続線が通過する箇所の隙間は十分に防水処理されているものとする。
【0034】
そして、勾配屋根部5は、
図1〜
図9に示すように、当該勾配屋根部5の下端部を構成し、かつ前記一つの建物ユニット2aの上面に載置される小屋パネル20と、前記屋根面を構成する屋根パネル21と、前記小屋パネル20の四隅に設けられるとともに前記屋根パネル21を支持するようにして、当該小屋パネル20と屋根パネル21とを接合する接合金物22と、を備える。
【0035】
小屋パネル20は、建物本体2の最上階を構成する複数の建物ユニット2aのうち一つの建物ユニット2aの上面に設置されるものである。この小屋パネル20は、矩形枠状部20aと、中間梁20dと、複数の小梁20eと、を有する。
矩形枠状部20aは、長辺梁20bと短辺梁20cとからなるものであり、長辺梁20bは、前記一つの建物ユニット2aの長辺天井梁2b上に設置され、短辺梁20cは、前記一つの建物ユニット2aの短辺天井梁2b上に設置される。
中間梁20dは、前記長辺梁20bと平行に配置されるとともに短辺梁20c,20c間に架設されるものである。
複数の小梁20eは、中間梁20dと一方の長辺梁20b間に架設されるものであり、これら複数の小梁20eは、中間梁20dおよび一方の長辺梁20bの長さ方向に間隔を空けて配置されている。
そして、前記収納部6の床6aは、一方の長辺梁20bと中間梁20dと複数の小梁20eの上面に敷設されている。
【0036】
屋根パネル21は、勾配屋根部5が切妻屋根の形式を採用していることから、二つの屋根面を構成するために少なくとも二つ使用される。
当該屋根パネル21は、縦横の框材21aによって形成された矩形枠体に、母屋や垂木に相当する複数の桟材が架設され、上面に野地板に相当する面材21bが取り付けられたものである。当該面材21bには複数の屋根材21cが葺設されている。
【0037】
また、勾配方向下端部に位置する框材21aには、垂直面を形成するための調整材21dが取り付けられている。また、当該調整材21dの垂直面には、下地材21eを介して外壁材21fが取り付けられている。
下地材21eおよび外壁材21fは、前記防水立ち上がり16の支柱16aおよび外壁材16bの直上に位置しており、これら下地材21eおよび外壁材21fと、支柱16aおよび外壁材16bとの間に形成される目地(隙間)は、コーキング等によって防水処理されている。
また、下地材21eおよび外壁材21fの位置と、支柱16aおよび外壁材16bの位置とが上下方向に並んで揃った状態となっているので、屋根パネル21の勾配方向下端部は、陸屋根部4の上方に対して極力張り出さない状態となっている。
【0038】
屋根パネル21,21の妻側両端部には、屋根3(切妻屋根)の両流れ形状に合わせて破風21gが取り付けられている。
また、勾配屋根部5の妻側面には、
図2に示すように、山型の受けフレーム9aおよび複数の受金物9bを介して、建物本体2の外装材と同様の外装材9が取り付けられている。当該外装材9の上端部は、
図2および
図7に示すように、切妻屋根の形状に合わせて山型に形成されている。また、外装材9の下端部は、
図9に示すように、防水立ち上がり16との間に目地(隙間)を形成した状態となっており、当該目地は、コーキング等によって防水処理されている。
なお、破風21gは、
図7〜
図9に示すように、外装材9の上端部を包含可能な形状に形成されており、当該外装材9の上端部を包含するようにして前記屋根パネル21,21の妻側両端部に取り付けられている。
【0039】
また、屋根パネル21の勾配方向下端部には、屋根面を伝い落ちる雨水等を下方へと導く水切り部材が適宜設けられている。また、この水切り部材によって、屋根パネル21と周囲の部材(例えば外壁材21f)との隙間を閉塞可能となっている。
【0040】
接合金物22は、小屋パネル20の隅部に固定されるベースプレート22aと、当該ベースプレート22aに立設される柱状部22bと、当該柱状部22bの上端部に設けられるととも屋根パネル21の下面(母屋に相当する桟材)に当接固定される当接部22cと、補強リブ22dと、を有する。当該補強リブ22dは、ベースプレート22aと当接部22cとの間に、かつ柱状部22bに沿うようにして設けられている。
なお、接合金物22を構成する各部は全て一体的に形成されている。
また、接合金物22を小屋パネル20に対して固定する際は、ボルト・ナット等の固定材を用いたり、溶接等の手段を用いたりする。
【0041】
なお、前記勾配屋根部5の小屋裏空間Sは、以上のような矩形枠状の小屋パネル20と、屋根パネル21,21と、四隅の接合金物22と、防水立ち上がり16の外壁材16bおよび勾配屋根部5の外壁材21fとで囲まれた空間を指している。
また、収納部6の下方には、建物本体2の最上階の部屋と面一な天井板が取り付けられるものとする。
また、収納部6と吹き抜け部7との間には、これら収納部6と吹き抜け部7とを仕切る仕切り壁6bが設けられている。当該仕切り壁6bには、図示はしないが、前記接続ボックスのメンテナンス用の開口部(点検口)が形成される。
【0042】
また、以上のような構成の勾配屋根部5は予め工場等で大部分が組み立てられており、組み立てられた状態において輸送車両による輸送が可能となっている。すなわち、上述のように勾配屋根部5は、一つ分の建物ユニット2aの大きさと略等しく設定されているので、例えば前記外装材9等を装備させていたとしても、輸送車両による輸送が可能となっている。なお、本実施の形態においては、小屋パネル20と、屋根パネル21と、接合金物22と、天窓8,8と、太陽電池パネルP2とが少なくとも予め工場等で組み立てられている。
また、前記屋根パネル21には、図示しないアイボルトが設けられており、当該アイボルトにクレーン等のフックを引っ掛けて、勾配屋根部5の吊り込み作業を行うことができるようになっている。
【0043】
次に、以上のような屋根3の施工方法について説明する。
まず、建物本体2を構築し、最上階を構成する複数の建物ユニット2aの上面に、前記支持フレーム11,12,13等の各種フレーム材によって陸屋根部4の骨組みを形成する。その後、前記スラブ10やパラペット14、前記防水立ち上がり16の施工を行い、最終的に防水シート17の貼設を行う。
また、複数の建物ユニット2aうち、勾配屋根部5が設けられ一つの建物ユニット2aの上方には陸屋根部4を形成せずにしておく。
なお、支持フレーム11,12,13やスラブ10等は、予め工場等で組み立てておくようにしてもよい。
【0044】
続いて、予め組み立てられた状態の勾配屋根部5を、クレーン等によって吊り上げて、
図2に示すように、前記陸屋根部4が形成されていない箇所に合致させるようにして設置する。より詳細には、勾配屋根部5の小屋パネル20を、前記一つの建物ユニット2aの天井梁2bの上面に設置させるようにする。
【0045】
続いて、勾配屋根部5の現場施工を行う。すなわち、前記下地材21eおよび外壁材21fや、破風21g、水切り部材等を取り付けていく。また、コーキング等によって、下地材21eおよび外壁材21fと、支柱16aおよび外壁材16bとの間に形成される目地の防水処理を行う。
【0046】
小屋裏空間Sの内部についても、例えば前記床6aや仕切り壁6b等を小屋裏空間Sの内面に取り付けるなどして、予め工場等で組み立てておいてもよいものとする。
続いて、前記収納部6の床6aに接続ボックスを設置して、当該収納部6に接続ボックスを収納する。また、前記陸屋根部4にも太陽電池パネルP1を設置し、当該太陽電池パネルP1および前記太陽電池パネルP2と、接続ボックスとを接続線によって接続する。
以上のようにして屋根3の施工を行うことができる。
【0047】
なお、本実施の形態の勾配屋根部5は、
図1に示すように、建物本体2の上面の右側端部の中央側に配置したが、これに限られるものではなく、例えば
図10に示すように、建物本体2の上面の隅部に配置してもよいものとする。
このような場合も、
図10に示す勾配屋根部5Aは、建物本体2の最上階を構成する複数の建物ユニット2aのうちの一つの建物ユニット2aの上面に設置されており、当該一つの建物ユニット2aの大きさと略等しい大きさに設定されている。なお、このような配置の場合は、勾配屋根部5Aの形状を招き屋根状に形成して、屋根パネル21の下端部が、建物本体2の外壁の上端部まで到達するように設定することが望ましい。
【0048】
本実施の形態によれば、前記勾配屋根部5(5A)は、前記建物本体2の最上階を構成する複数の建物ユニット2aのうち一つ分の建物ユニット2aの上方に設けられるものであるため、従来に比して、前記陸屋根部4に対する当該勾配屋根部5(5A)の広さは比較的狭くなる。これによって、前記陸屋根部4に前記陸屋根用の太陽電池パネルP1をより多く設置できるとともに、当該設置された前記陸屋根用の太陽電池パネルP1が、前記勾配屋根部5(5A)の陰になりにくくなるので、太陽電池パネルP1の設置効率を向上させることができる。
また、前記勾配屋根部5(5A)は、その平面上の大きさが前記一つ分の建物ユニット2aと略等しくなるため、工場等で、輸送車両の輸送制限以下のサイズにユニット化してから輸送することができる。これによって、現場での組立や防水に係る手間を軽減でき、前記屋根3の施工効率を向上させることができる。
また、前記陸屋根部4に対する当該勾配屋根部5(5A)の広さを比較的狭くすることができるので、例えば前記屋根3が、前記陸屋根部4のみで構成される場合に比して、外観意匠性を高めることができる。
また、前記小屋裏空間Sに前記収納部6が設けられているので、前記接続ボックスの収納場所を確保することができる。これによって、従来とは異なり、最上階のスペース内に前記接続ボックスの設置スペースを確保する必要が無くなるので、最上階のスペースが狭められてしまうことを防ぐことができる。
【0049】
また、前記収納部6は、前記接続ボックスを設置するための床6aを備えるので、例えば壁に設置する場合に比して前記接続ボックスを設置しやすくなる。さらに、メンテナンス時にも、当該床6aに工具や部品等を置いて作業を行うことができるのでメンテナンスしやすい。
【0050】
また、前記勾配屋根部5(5A)の前記屋根面に、前記勾配屋根用の太陽電池パネルP2が設置されているので、前記陸屋根用の太陽電池パネルP1と併せて考慮すれば、前記屋根3全体における太陽電池パネルP1,P2の設置効率を向上させることができる。
【0051】
また、前記小屋裏空間Sには、前記建物本体2の最上階から当該小屋裏空間Sに吹き抜ける吹き抜け部7が設けられ、この吹き抜け部7の上方に前記天窓8が配置されているので、前記天窓8を利用して前記建物本体2内に採光や通風を行ったり、前記建物本体2内の排熱を行ったりすることができる。また、前記吹き抜け部7と前記収納部6とを連通させれば、当該吹き抜け部7から前記接続ボックスのメンテナンスを行うことができるので利便性が高い。
【0052】
また、前記勾配屋根部5(5A)の下端部を構成する前記小屋パネル20が前記一つの建物ユニット2aの上面に載置されるため、前記勾配屋根部5(5A)の荷重を、当該小屋パネル20を介して前記一つの建物ユニット2aに分散させることができる。
また、前記勾配屋根部5(5A)は、前記一つの建物ユニット2a分の大きさとなるため、前記屋根パネル21も必要以上に大きくしなくて済み、前記接合金物22によって前記小屋パネル20と前記屋根パネル21とを接合することで前記勾配屋根部5(5A)を概ね構成できる。したがって、通常の屋根で使用される屋根束等の部材も必要が無くなり、施工コストの低減を図ることも可能となる。
【0053】
また、前記勾配屋根部5(5A)に隣接する前記陸屋根部4は、前記勾配屋根部5(5A)側の端部から上方に向かって立ち上がる防水立ち上がり16を有するので、前記勾配屋根部5(5A)を、前記建物本体2の最上階に設置すると同時に、前記陸屋根部4と前記勾配屋根部5(5A)の側面における防水処理を行うことができる。