【実施例】
【0031】
以下に実施例をもって、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない
【0032】
<分子量、分散度の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いた。本発明において特に断りが無い場合、分子量はピークトップ分子量Mp、分散度は重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnとする。
装置名:東ソー社製「HLC−8220GPC」
使用カラム:昭和電工社製「ShodexGPCKF−404」を直列に4本接続
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率法
移動相:テトラヒドロフラン
サンプル濃度:2質量%
検量線:VARIAN社製標準ポリスチレン(ピークトップ分子量Mp=2,560,0000、841,700、280,500、143,400、63,350、31,420、9,920、2,930)を用いて検量線を作成した。
【0033】
<樹脂組成物の共役ジエン質量比>
重合例で使用した全モノマー量に対する1,3−ブタジエン量の割合および配合比から、樹脂組成物の共役ジエン質量比をそれぞれ算出した。参考例1、2は分析値を使用した。核磁気共鳴(NMR)を用いて
1H−NMRを測定し、ポリスチレンの芳香環上の5つのプロトンとして帰属される6.2〜7.6ppmのピーク強度の積分値から重クロロホルムのピーク強度の積分値を除算した値と、ブタジエンの1,2−付加により生じるビニル基上の2つのプロトンとして帰属される4.1〜5.1ppmのピーク強度の積分値およびブタジエンの1,2−付加により生じるビニル基上の1つのプロトンと1,4−付加により生じる二重結合上の2つのプロトンとして帰属される5.1〜5.8ppmのピーク強度の積分値を用い、スチレン、ブタジエンのモル比を求め、スチレン、ブタジエンの分子量から質量比に換算した。求めたブタジエンの質量比を共役ジエン質量比の分析値として使用した。
装置名:ブルカー・バイオスピン製AVANCE−300
測定核種:
1H
共鳴周波数:300MHz(
1H)
測定溶媒:CDCl
3
【0034】
<樹脂組成物のブロック率>
核磁気共鳴(NMR)を用いて
1H−NMRを測定し、ポリスチレンの芳香環上のプロトン5つの内、オルト位の2つのプロトンとして帰属される6.2〜6.8ppmのピーク強度積分値から、プロトン5つに換算した値をブロック状スチレン量(ブロック状ビニル芳香族炭化水素量)Wとした。一方、パラ位とメタ位に付加した3つのプロトンとして帰属される6.8〜7.6ppmのピーク強度の積分値を含む、6.2〜7.6ppmのピーク強度の積分値から重クロロホルムのピーク強度の積分値を除算した値を全スチレン量(全ビニル芳香族炭化水素量)W0とした。求めたW、W0を下記定義式に代入し、ブロック率を算出した。なお、ブロック状スチレン量(ブロック状ビニル芳香族炭化水素量)は、5個以上のモノマー単位からなる連鎖とする。
ブロック率(%)=(W/W0)×100
装置名:ブルカー・バイオスピン製AVANCE−300
測定核種:1H
共鳴周波数:300MHz(1H)
測定溶媒:CDCl3
【0035】
<重合例>
・重合例1
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1520mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン68.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は57℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン24.0kgを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は53℃まで上昇した。
(5)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン6.0kgとスチレン102.0kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は105℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例1のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は159,000、Mw/Mnは1.010であった。
【0036】
・重合例2
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液4230mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン44.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は45℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン90.0kgとスチレン66.0kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は130℃まで上昇した。
(5)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(6)この重合液を脱揮して、重合例2のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は64,000、Mw/Mnは1.025であった。
【0037】
・重合例3
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2050mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン15.6kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は51℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、1,3−ブタジエン48.0kgとスチレン65.2kgを同時に添加した。内温は104℃まで上昇した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、内温を70℃まで下げ、純水を14.0g加え、一部の重合活性末端を失活させた。
(6)反応系の内温を60℃に下げ、スチレン71.2kgを添加し、重合を完結させた。内温は87℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体2種類を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例3のブロック共重合体樹脂組成物を得た。ピークトップ分子量(Mp)および面積比は180,000/82,000=59.0%/41.0%、Mw/Mnは1.288であった。
【0038】
・重合例4
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1120mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量167.6kgのスチレン、および総量24.4kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ83.8kg/h、12.2kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、4.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。内温は85℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例4のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は249,000、Mw/Mnは1.118であった。
【0039】
・重合例5
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1750mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン4.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量119.0kgのスチレン、および総量11.8kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ100.8kg/h、10.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、36.4kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は97℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、28.8kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。内温は83℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例5のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は125,000、Mw/Mnは1.021であった。
【0040】
・重合例6
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1920mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン50.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は55℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量45.0kgのスチレン、及び総量5.0kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ90.0kg/h、10.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、66.0kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は75℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を70℃に下げ、34.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。内温は85℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例6のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は150,000、Mw/Mnは1.015であった。
【0041】
・重合例7
(1)反応容器中にシクロヘキサン490.0kg、THF73.5gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1650mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン35.7kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は58℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン8.9kgとスチレン69.3kgを同時に添加した。内温は104℃まで上昇した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、内温を50℃まで下げ、純水を5.5g加えた。
(6)反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン26.8kgとスチレン69.3kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は107℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例7のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)および面積比は199,000/73,000=74.6%/25.4%、Mw/Mnは1.349であった。
【0042】
・重合例8
(1)反応容器中にシクロヘキサン490.0kg、THF73.5gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液950mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン105.0kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は73℃まで上昇した。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、n−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1160mLを加え、40℃に保った。
(5)スチレン23.1kgを加え、スチレンをアニオン重合させた。内温は52℃まで上昇した。
(6)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン33.6kgとスチレン48.3kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は100℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例8のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)および面積比は168,000/65,000=71.3%/28.7%、Mw/Mnは1.227であった。
【0043】
・重合例9
(1)反応容器中にシクロヘキサン518.0kg、THF77.7gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2200mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン18.2kgを加え、内温を65℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、5.5kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。
(5)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を35℃に下げ、1,3−ブタジエン56.4kgとスチレン101.9kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は120℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例9のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は108,000、Mw/Mnは1.033であった。
【0044】
・重合例10
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1200mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン10.0kgを加え、内温を65℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、4.0kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。
(5)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を40℃に下げ、1,3−ブタジエン32.0kgとスチレン57.8kgを同時に添加した。内温は107℃まで上昇した。
(6)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、スチレン96.2kgを添加し、重合を完結させた。内温は91℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ポリブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例10のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は180,000、Mw/Mnは1.013であった。
【0045】
・重合例11
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1150mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン10.0kgを加え、内温を50℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、1,3−ブタジエン26.5kgとスチレン49.1kgを同時に添加し、重合を完結させた。内温は90℃まで上昇した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、スチレン103.9kgを添加し、重合を完結させた。内温は98℃まで上昇した。
(6)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、スチレンとブタジエンのテーパードブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(7)この重合液を脱揮して、重合例11のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は202,000、Mw/Mnは1.018であった。
【0046】
・重合例12
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2190mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン8.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量106.4kgのスチレン、および総量12.2kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ106.4kg/h、12.2kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、65.4kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は95℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を85℃に下げ、8.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例12のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は120,000、Mw/Mnは1.014であった。
【0047】
・重合例13
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液1260mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン8.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量110.0kgのスチレン、および総量13.4kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ87.8kg/h、10.7kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、18.6kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は91℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を75℃に下げ、50.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。内温は97℃まで上昇した。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例13のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は206,000、Mw/Mnは1.021であった。
【0048】
・重合例14
(1)反応容器中にシクロヘキサン500.0kg、THF75.0gを入れた。
(2)この中に重合開始剤溶液としてn−ブチルリチウムの10質量%シクロヘキサン溶液2370mLを加え、30℃に保った。
(3)スチレン8.0kgを加え、内温を80℃まで上昇させ、スチレンをアニオン重合させた。
(4)スチレンが完全に消費された後、反応系の内温を80℃に保ちながら、総量114.0kgのスチレン、および総量9.4kgの1,3−ブタジエンを、それぞれ121.3kg/h、10.0kg/hの一定添加速度で両者を同時に添加した。
(5)スチレンと1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を50℃に下げ、60.6kgの1,3−ブタジエンを加え、1,3−ブタジエンをアニオン重合させた。内温は95℃まで上昇した。
(6)1,3−ブタジエンが完全に消費された後、反応系の内温を85℃に下げ、8.0kgのスチレンを一括添加し、重合を完結させた。
(7)最後に全ての重合活性末端を水により失活させて、ポリスチレンブロック、ブタジエンブロック、スチレンとブタジエンのランダムブロックを持つ重合体を含む重合液を得た。
(8)この重合液を脱揮して、重合例14のブロック共重合体を得た。ピークトップ分子量(Mp)は113,000、Mw/Mnは1.014であった。
【0049】
<配合例>
・配合例1〜16
重合例で得られたブロック共重合体を表1に示した配合比率で混ぜ、田端機械工業社製φ40mm単軸押出機HV−40−30を用い、押出温度200℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、ストランド状に押し出した樹脂組成物を冷却し、ペレタイザーにてペレットとした。それぞれの配合、共役ジエン質量比、ブロック率を表1に記した。
【0050】
なお配合例15では、市販のSBSであるJSR社製スチレン・ブダジエン熱可塑性エラストマー(商品名「JSR TR2000」、ピークトップ分子量(Mp)104,000、Mw/Mn1.014)を押出せずにそのまま使用した。また配合例16では、市販のGPPSとして、東洋スチレン社製ポリスチレン樹脂(商品名「トーヨースチロールGP HRM10N」、ピークトップ分子量(Mp)172,000、Mw/Mn1.810)を押出せずにそのまま使用した。
【0051】
【表1】
【0052】
<実施例・比較例・参考例>
・シートの作製
先端に幅40cmのTダイを取り付けた田辺プラスチックス社製φ40mm単軸押出機VS40−26を用い、押出温度200℃、Tダイ温度200℃、スクリュー回転数50rpmにて、配合例の樹脂を用いてシート押出を実施し、田辺プラスチックス社製480型シーティング装置を用い、冷却ロール温度50℃でシート厚0.3mmの単層シートを作製した。シートの厚みはダイのリップ開度で調整し、シートの引き取り速度は一定とした。使用した樹脂について表2に記載した。
【0053】
・シートの電子線照射
アイ・エレクトロンビーム社製電子線照射装置「CB250/30/180L」を用い、加速電圧250kV、吸収線量200kGyでシートに電子線を照射した。照射の有無について表2に記載した。
【0054】
・シートの欠点・ブツの評価
電子線未照射のシートについて、次の様に行った。シートの作製を開始してから15分後に、MD方向200mm、TD方向150mmのサンプルを3枚採取し、目視にて外観をチェックし、これらの平均を下記の様に1から4までの4段階で評価した。欠点とは樹脂の未溶融物もしくは劣化物が集中して発生している箇所、ブツは欠点以外の目視で確認可能な異物のことを表す。
4:欠点なし、ブツが4個以下
3:欠点なし、ブツが5個以上9個以下
2:欠点なし、ブツが10個以上14個以下
1:欠点あり、もしくはブツが15個以上
それぞれの評価結果を表2に記載した。
【0055】
・トルエンに対する不溶物の割合(ゲル分率)の測定
電子線照射前あるいは電子線照射後のシートについて、次の様に測定した。シートより任意に切り出した試験片2.0g(試験サンプル量)をトルエン200g中で48時
間撹拌もしくは振とう(シェイキング)し、これをろ過した。ろ過物をトルエンで十分に洗浄した後、ろ過物を60℃、0.02MPa下の真空乾燥機で24時間真空乾燥し、重量を測定することでトルエン不溶分とし、下記に示す式で計算した。
ゲル分率(質量%)=(トルエン不溶分/試験サンプル量)×100
それぞれの評価結果を表2に記載した。
【0056】
・耐溶剤性試験
耐溶剤性試験は次の様に行った。縦横17mm、深さ20mmの直方体形状の空間を有する治具を用意し、シート(0.3mm厚)よりMD方向×TD方向=10mm×50mmに切削した試験片を弓状にたわませて、直方体形状の空間へ挿入した。この際、試験片の両端が治具表面から同じ深さとなる様に位置させると共に、試験片の頂点が治具表面より15mm高い位置となる様に調整した(
図1参照)。その頂点にスポイトでヤシ油もしくはトルエンを1滴垂らし、シートが割れるまでの時間を測定した。測定は目視で行い、割れを確認した段階で測定終了とした。測定は2回行い、割れるまでの時間がより早い値を採用した。測定は対象溶剤滴下から1時間後、3時間後、5時間後、10時間後、24時間後、48時間後とした。48時間後でも割れが発生しなかった場合は「>48」と表現した。
それぞれの評価結果を表2に記載した。
【0057】
【表2】
【0058】
実施例1、実施例2より、請求項1記載の樹脂組成物を使用することで、欠点・ブツが少なく、外観が良好なシートが得られることがわかった。
【0059】
実施例3〜実施例8より、請求項1記載の樹脂組成物を使用し、電子線を照射することで、ゲル分率が38%以上、トルエンによる耐溶剤性試験が24時間以上、ヤシ油による耐溶剤性試験が48時間以上となることがわかった。つまり電子線照射により架橋し、耐溶剤性が向上した。
【0060】
実施例7と実施例8の比較より、請求項1記載の樹脂組成物において、ブロック率が同じであれば、共役ジエン質量比が多いほうが、電子線を照射した際のゲル分率、トルエンによる耐溶剤性試験が良好であった。
【0061】
比較例8より、ブロック率が79%以下であると、電子線を照射しても架橋せず、ゲル分率が0%、つまりトルエンに可溶であり、トルエンによる耐溶剤性試験が5時間、ヤシ油による耐溶剤性試験が1時間となり、耐溶剤性が不良となることがわかった。
【0062】
比較例1、比較例3、比較例4より、ブロック率が86%以上であると、電子線を照射しても架橋せず、ゲル分率が0%、つまりトルエンに可溶であり、トルエンによる耐溶剤性試験が3時間、ヤシ油による耐溶剤性試験が1時間となり、耐溶剤性が不良となることがわかった。
【0063】
比較例2、比較例6より、共役ジエンの質量比が17%以下であると、電子線を照射しても架橋せず、ゲル分率が0%、つまりトルエンに可溶であり、トルエンによる耐溶剤性試験が5時間以下、ヤシ油による耐溶剤性試験が2時間となり、耐溶剤性が不良となることがわかった。
【0064】
比較例5、比較例7より、共役ジエンの質量比が30%以上であると、欠点・ブツが多く、シートの外観に難があった。
【0065】
参考例1、参考例5より、請求範囲外のSBSでは欠点・ブツが多く、シート成形時にネッキングが酷いため、厚み、幅調整が難しく、また金属ロールに対する粘着が酷いため、成形加工性、外観に難があった。
【0066】
参考例1、参考例5より、請求範囲外のSBSに電子線を照射することで、ゲル分率が37%、トルエンによる耐溶剤性試験が10時間、ヤシ油による耐溶剤性試験が24時間となることがわかった。つまり電子線照射により請求範囲外のSBSは架橋し、耐溶剤性が向上するものの、その程度は請求範囲のブロックポリマーには及ばない事が判った。
【0067】
参考例2より、請求範囲外のGPPSでは電子線を照射したが架橋せず、ゲル分率が0%、つまりトルエンに可溶であり、耐溶剤性試験も不良となることがわかった。
【0068】
比較例1、参考例3より、電子線の照射有無でゲル分率、耐溶剤性試験の結果に変化がなかった。つまり請求範囲外のブロックポリマーでは電子線照射により架橋しないことがわかった。
【0069】
参考例2、参考例4より、電子線の照射有無でゲル分率、耐溶剤性試験の結果に変化がなかった。つまりGPPSは電子線照射により架橋しないことがわかった。