(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174384
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】骨アンカー
(51)【国際特許分類】
A61B 17/86 20060101AFI20170724BHJP
A61L 27/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
A61B17/86
A61L27/00
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-124506(P2013-124506)
(22)【出願日】2013年6月13日
(65)【公開番号】特開2014-403(P2014-403A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2015年5月20日
(31)【優先権主張番号】12172413.2
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/661,234
(32)【優先日】2012年6月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511211737
【氏名又は名称】ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ・ビーダーマン
(72)【発明者】
【氏名】ビルフリート・マティス
【審査官】
中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0101530(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0319946(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/105196(WO,A1)
【文献】
特表2006−501908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/86
A61L 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカーであって、
第1の端(11)と、第2の端(12)と、前記第1の端と前記第2の端との間の管状部(13)と、前記第1の端から前記第2の端に延びる長手方向軸(L)と、骨に係合するための、前記管状部の少なくとも一部における骨係合構造(16)とを有するアンカー部材(1)を備え、
前記管状部(13)は、前記第1の端と前記第2の端との間の距離を縮めることによって径方向に膨張可能であり、
前記アンカー部材(1)は第1の材料からなり、
前記骨アンカーはさらに、
第1の端(21)および第2の端(22)を有し、前記アンカー部材に挿入可能かつ接続可能なコア部材(2,2′)を備え、前記アンカー部材と前記コア部材との接続は、
(i)アンカー部材(1)の第2の端(12)もしくはその近くに設けられたねじ穴(14)、および、コア部材(2)の第2の端(22)に設けられ、前記ねじ穴(14)と協働して螺合接続する雄ねじが形成された部分(24)によるねじ接続、または、
(ii)アンカー部材(1)の第2の端(12)もしくはその近くに設けられたねじ山のない穴(14′)、および、コア部材(2′)の第2の端(22)に設けられ、前記ねじ山のない穴(14′)と協働して圧入接続する前記ねじ山のない部分(24′)による圧入接続、または、
(iii)コア部材(2′)とアンカー部材(1)とを、それぞれの第2の端(12,22)で相対的に固定するために用いられる横断ピン(18)、または、
(iv)アンカー部材(1)の前記第2の端(12)もしくはその近くに設けられた対応の形状の凹部にスナップ嵌合する、コア部材(2′)の第2の端(22)における球形もしくは円筒形の突起部(190)
により提供され、
前記骨アンカーはさらに、
前記アンカー部材(1)の前記第1の端(11)に設けられるとともに、係合構造(38)を有する別個の部分である、ヘッド(3)を備え、前記アンカー部材(1)は、前記第1の端にまたは前記第1の端の近傍に、前記係合構造(38)と係合することによって前記アンカー部材(1)を前記ヘッド(3)に接続する係合構造(17)を有し、それによって、前記ヘッド(3)および前記アンカー部材(1)が互いに対して回転が固定され、
前記コア部材(2,2′)は、
前記コア部材(2)がその第1の端(21)の近傍で、前記アンカー部材と係合する前記ヘッド(3)の支持面(37)に当接した状態で、前記コア部材の回転によって前記ねじ穴(14)内に前記コア部材を進めることにより、または、
前記コア部材(2′)の前記第2の端(22)を、(i)ねじ穴(14)内に螺合させるか、(ii)ねじのない穴(14′)に圧入嵌合させるか、(iii)横断ピンによって前記アンカー部材(1)に固定するか、(iv)対応の形状の凹部にスナップ嵌合させるかのいずれかの状態で、前記コア部材を前記アンカー部材から遠ざかる方向に引くことにより、
前記アンカー部材の前記第1の端と前記第2の端との間の距離を減少させるように、前記アンカー部材(1)に対して前記コア部材を作動させることによって、前記管状部(13)が前記径方向に拡大するように、前記アンカー部材と協働するように構成され、
前記コア部材(2,2′)は、前記第1の材料とは異なる第2の材料からなることを特徴とする、骨アンカー。
【請求項2】
前記第1の材料は、前記第2の材料よりも高い可撓性を示す材料である、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項3】
前記第1の材料は高分子材料である、請求項1または2に記載の骨アンカー。
【請求項4】
前記第2の材料は金属材料である、請求項1〜3のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項5】
前記骨係合構造(16)は骨ねじ山である、請求項1〜4のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項6】
前記管状部(13)は、前記長手方向軸(L)と実質的に平行に延在する少なくとも2本のスリット(15)を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項7】
前記アンカー部材(1)は、前記第2の端における先端を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項8】
前記係合構造(17)は、前記第1の端(11)の前面から前記管状部(13)内に延在する、少なくとも1つの凹部の形態で設けられる、請求項1〜7のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項9】
前記アンカー部材(1)は、前記第2の端(12)にまたは前記第2の端の近傍に接続部(14)を含み、前記接続部(14)は、前記コア部材(2,2′)を前記アンカー部材に挿入する方向と反対の方向における前記アンカー部材に対する前記コア部材の摺動に少なくとも一時的に耐える前記アンカー部材と前記コア部材との接続が確立されるように、前記コア部材に係合するように構成される、請求項1〜8のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項10】
前記コア部材(2,2′)は実質的にロッド状の部材であり、前記第2の端に接続部(24)を含み、前記接続部(24)は、前記コア部材を前記アンカー部材(1)に挿入する方向と反対の方向における前記アンカー部材に対する前記コア部材の摺動に少なくとも一時的に耐える前記アンカー部材と前記コア部材との接続が確立されるように、前記アンカー部材に係合するように構成される、請求項1〜9のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項11】
前記ヘッド(3,3′)が球状外面部(33)を有する、請求項1〜10のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項12】
前記ヘッド(3)は、前記コア部材(2)の前記第1の端(21,25)を回転支持するための穴(35)および支持面(37)を含む、請求項11に記載の骨アンカー。
【請求項13】
前記ヘッド(3)は、前記第2の材料と同一の材料からなる、請求項11または12に記載の骨アンカー。
【請求項14】
前記コア(2)は、前記第1の端(21)に、前記ヘッド(3)の内部に支持されて当該内部で回転可能な円筒部(25)を含む、請求項11〜13のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項15】
前記コア部材(2′)は、前記第1の端(21)に、前記ヘッド(3)に係合するための係合部(28,29)を含み、前記係合部は、前記アンカー部材の前記第1の端と前記第2の端との間の距離が縮まるように前記コア部材に対する前記アンカー部材の移動を可能にしつつ、反対方向の移動を防止するように構成される、請求項10〜13のいずれかに記載の骨アンカー。
【請求項16】
前記コア部材(2′)は、前記管状部(13)が膨張したときに折取られ得る、好ましくは折取牽引部である牽引部(20)を含む、請求項15に記載の骨アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能な管状部を有するアンカー部材と、アンカー部材に挿入可能かつ接続可能なコア部材とを含む骨アンカーに関する。コア部材は、コア部材をアンカー部材に対して作動させることによって管状部が膨張可能であるように、アンカー部材と協働するように構成される。アンカー部材は、コア部材の材料よりも可撓性が高い材料からなる。特に、骨アンカーは、骨固定または安定化構造に使用することができ、骨粗鬆症の骨内のアンカー固定または安定化装置に特に適している。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2009/0131992号は、径方向に膨張可能な部分を有する取付装置を記載している。取付装置は、取付装置を骨にねじ込むのを容易にする螺旋状のねじ山を有し得る。取付装置は、実質的に皮質骨に囲まれた海綿骨内に膨張可能部を径方向に膨張させるように位置決めされ得る。特に、膨張可能な取付装置は、膨張可能部上の膨張可能なねじ山と、膨張不可能部上の膨張不可能なねじ山とを有し得る。当該装置は、遠位方向に向けられた力を遠端に印加することによって径方向に膨張され得る。
【0003】
米国特許出願公開第2011/0319946号は、骨および/または骨の一部を安定化させるために、たとえば脊椎構造、椎骨、海綿骨、皮質骨などの骨組織内に骨移植および安定化組立品を展開するための装置を記載している。骨安定化装置は、組立品の軸から離れる方向に展開可能な複数のアンカー固定要素またはアームを有する膨張管などの形態のアンカー領域を含む。アンカー固定要素を展開するためのアクチュエータが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0131992号
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0319946号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脆い骨領域におけるアンカー固定強度を高めるために骨アンカー内の膨張可能または展開可能な部分を利用することは上記文献から公知であるが、単純な設計で製造が容易な、改良された骨アンカーが依然として必要である。
【0006】
したがって本発明の目的は、脆い骨に適用するのに特に有用な、改良された骨アンカーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載の骨アンカーによって達成される。さらなる展開が従属請求項において与えられる。
【0008】
骨アンカーは、膨張可能なアンカー部材と、コア部材とを含む。アンカー部材は、コア部材の材料よりも可撓性が高い材料からなる。したがって、アンカー部材の径方向に膨張する能力は、コアの材料よりも高い可撓性を示すアンカー部材の材料に起因する。これによって、アンカー部材の単純な構造を有することが可能になる。アンカー部材の材料は好ましくは高分子材料であり、コア部材の材料は好ましくは金属材料である。
【0009】
アンカー部材の膨張は、アンカー部材が骨に挿入された後、すなわち手術時に生体内原位置で(in situ)行われ得る。
【0010】
好ましくは金属材料からなり得る別個のヘッドが設けられ得る。このようなヘッドによって、骨アンカーを公知の多軸受け部および他の安定化装置とともに用いることができる。ヘッドは、安定化装置に一般に用いられる材料からなる別個の部分であり得るため、ヘッドはそのような安定化装置に効果的に接続および固定され得る。
【0011】
骨アンカーは、特に骨粗鬆症の骨または脆い骨内に、安全な長期のアンカー固定を提供する。
【0012】
さらなる特徴および利点が、添付の図面によって実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施例に係る骨アンカーの分解斜視図である。
【
図2】コア部材がヘッドに装着された状態の、
図1の骨アンカーの分解斜視図である。
【
図3】第1の非膨張構成における、組立てられた状態の
図1および
図2の骨アンカーを示す図である。
【
図4】第2の膨張構成における、組立てられた状態の
図1および
図2の骨アンカーを示す図である。
【
図5】第1の実施例に係る骨アンカーのアンカー部材の中心長手方向軸を含む平面内の断面図である。
【
図8】第1の実施例に係る骨アンカーのコア部材の第1の端の上面図である。
【
図10】第1の実施例に係る骨アンカーのヘッドの頂部からの斜視図である。
【
図11】骨アンカーのヘッドの底部からの斜視図である。
【
図14】骨アンカーを骨内にアンカー固定する第1のステップにおける、第1の実施例に係る骨アンカーのアンカー部材の断面図である。
【
図15】ヘッドが取付けられたコア部材を、骨に挿入されたアンカー部材に装着する断面図である。
【
図16】コア部材をアンカー部材に接続する第3のステップの断面図である。
【
図17】コア部材を回転させてアンカー部材を膨張させる断面図である。
【
図18】第1の実施例に係る骨アンカーを椎骨の椎弓根にアンカー固定するステップを示す図である。
【
図19】第1の実施例に係る骨アンカーを椎骨の椎弓根にアンカー固定するステップを示す図である。
【
図20】第1の実施例に係る骨アンカーを椎骨の椎弓根にアンカー固定するステップを示す図である。
【
図21】第1の実施例に係る骨アンカーを椎骨の椎弓根にアンカー固定するステップを示す図である。
【
図22】第1の実施例に係る骨アンカーが取付られた多軸骨アンカー固定装置の断面図である。
【
図23】第1の実施例に係る骨アンカーが取付られた骨プレートの断面図である。
【
図24】第2の実施例に係る第1の非膨張構成における、組立てられた状態の骨アンカーの斜視図である。
【
図25】第2の実施例に係る膨張構成における骨アンカーの斜視図である。
【
図26】牽引部材が折取られた状態の、第2の膨張構成における
図25の骨アンカーの斜視図である。
【
図27】第2の実施例に係る骨アンカーのコア部材の斜視図である。
【
図31】第2の実施例に係る骨アンカーのヘッドの底部からの斜視図である。
【
図34】第2の実施例に係る骨アンカーを用いる第1のステップの断面図である。
【
図36】牽引部材が折取られた状態の、骨に挿入されて膨張した第2の実施例に係る骨アンカーの断面図である。
【
図37】第2の実施例のアンカー部材とコア部材との接続の変形例の拡大断面部分図である。
【
図38】第2の実施例のアンカー部材とコア部材との接続の変形例の拡大断面部分図である。
【
図39】第2の実施例のアンカー部材とコア部材との接続の変形例の拡大断面部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜
図4に示すように、第1の実施例に係る骨アンカーは、ねじ部材の形態のアンカー部材1と、コア部材2と、ヘッド3とを含む。コア部材2はヘッド3に挿入可能であり、コア部材2とヘッド3との組立品をアンカー部材1に挿入して骨アンカーを形成することができる。コア部材を回転させることによって、アンカー部材を径方向に膨張させることができる。
【0015】
さらに
図5〜
図7に示すように、アンカー部材1は、第1の端11と、反対の第2の端12と、第1の端11および第2の端12を通る長手方向軸Lと有する。アンカー部材の第2の端12は、先端として形成される。第1の端11に隣接して、第1の内径を有し、かつ第2の端12からのある距離に至るまで延在する管状部13がある。第1の端11と反対の方向の管状部13の端には、管状部13の第1の内径よりも小さい第2の内径を有するねじ穴14が設けられる。管状部13には、少なくとも2つの、好ましくは3つ以上のスリット15が壁に設けられ、スリット15は長手方向軸Lと実質的に平行な長手方向に延在する。スリット15は、第1の端11からのある距離で、かつ第2の端12からのある距離で、それぞれ終端する。スリット15によって、管状部13は以下に説明するように可撓性を有する。
【0016】
アンカー部材1の外面の少なくとも一部に、骨ねじ山16が設けられる。好ましくは、骨ねじ山16は、少なくともスリット15を含む管状部13の部分に設けられる。
【0017】
第1の端11において、複数の凹部17が第1の端11の前面から管状部13内に延在しており、ヘッド3との嵌合係合のための係合部を形成する。
【0018】
アンカー部材1は、コア部材2の材料の弾性率と比べて弾性率が低い材料からなる。好ましくは、アンカー部材1は高分子材料からなり、特に生体適合性高分子材料からなる。たとえば、当該材料は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)およびポリエーテルケトン(PEK)を含むポリアリルエーテルケトン(PAEK)のグループから選択され得る。しかし、他の高分子材料も使用可能である。管状部13が膨張可能な程度は、適切な材料、管状部13の壁の厚み、ならびのスリット15の長さおよび幅を選択することによって、製造時に調整可能である。
【0019】
なお、第2の端12は閉じた先端の形状である必要はない。第2の端12は開いていてもよいし、外縁に歯を含んでもよい。管状部13およびねじ穴14は内径が同一であってもよい。
【0020】
骨ねじ山16の代わりに、たとえば返しやテクスチャ面などの別の骨係合構造が設けられてもよい。
【0021】
さらに
図8および
図9に示すように、コア部材2は、第1の端21と、反対の第2の端22と、アンカー部材1の管状部13の内径よりもわずかに小さい外径を有するロッド状中心部23とを含む。第2の端22に隣接して、アンカー部材1のねじ穴14と協働する外側ねじ山を有する部分24が設けられる。第1の端21に隣接して、自由端に凹部26の形態の係合部を有する円筒部25が駆動部を形成する。係合部26は、駆動工具との係合を可能にする任意の形状を有し得る。たとえば、係合部26は六角形状またはトルクス(登録商標)形状を有し得る。円筒部25の外径は、ロッド状中心部23の外径よりも大きい。ロッド状中心部の長さは、コア部材2をヘッド3とともに組立てて、当該組立品を
図16に示すようにアンカー部材1に挿入すると、ねじ部24がアンカー部材のねじ穴14の開放端においてねじ穴14のねじ山に係合するようなものである。なお、第2の端におけるコア部材とアンカー部材とのねじ接続の代わりに、コア部材をアンカー部材内に進めることができ、かつコア部材を一定の位置に保持するように構成される、すなわちコア部材が不用意に摺動して戻ることに耐える、任意の他の接続を用いてもよい。
【0022】
コア部材2は、好ましくはアンカー部材の材料よりも剛性が高い材料からなり、すなわち、より高い弾性率を有する。たとえば、コア部材2は、チタン、ステンレス鋼などの金属材料、たとえばニチノールなどのNi−Ti合金などの生体適合性金属合金からなる。
【0023】
さらに
図10〜
図13に示すように、ヘッド3は第1の端31および第2の端32を含む。第1の端31に隣接して、球面部33が設けられる。この直径は第2の端32に向かって減少し、第2の端32に隣接して円筒ネック部34が存在する。円筒軸Lは、ヘッドをアンカー部材に接続したときのアンカー部材の長手方向軸Lに対応する。第1の端31に隣接して第1の同軸穴35が設けられ、この内径はコア部材2の円筒部25の外径よりもやや大きい。また、同軸穴35の長さは、軸方向において円筒部25の長さと同一であるか、それよりも長い。円筒穴35に隣接して、直径は第1の円筒穴35よりも小さいが内径はコア部材のロッド状中心部23よりも大きい第2の円筒穴36が設けられ、コア部材の中心部23は第2の円筒穴36を貫通し得る。第1の円筒穴35と第2の円筒穴36との移行部に、円筒部25をヘッド3内に支持するための支持面37として作用する肩部が形成される。したがって、コア部材をヘッド3に挿入すると、コア部材の円筒部25が支持面37に載る。
【0024】
第2の端32には、第2の端32の端縁に複数の突起部38が同軸配置される。突起部38は、アンカー部材1の凹部17との嵌合係合を可能にするように成形およびサイズ決めされる。
【0025】
ヘッド3は好ましくは、アンカー部材1の材料よりも剛性が高い材料からなる。好ましくは、ヘッド3はコア部材と同一の材料からなり、たとえば、チタン、ステンレス鋼などの金属材料、たとえばニチノールなどのNi−Ti合金などの生体適合性金属合金からなる。
【0026】
ヘッド3は、以下に説明するように、多軸ねじの受け部またはプレートなどの他の装置との接続のための役割を果たし得る。
【0027】
図14〜
図17を参照して、アンカー部材を用いる方法の第1の実施例を説明する。まず、
図14に示すように、アンカー部材を骨、骨部または椎骨(図示せず)に挿入する。コア孔を予め準備しておいてもよい。アンカー部材に係合する工具(図示せず)を用いてもよい。工具のための係合部として、アンカー部材1とヘッドとの嵌合接続のための役割を果たす係合部17を用いてもよい。他の係合部(図示せず)を設けてもよい。
【0028】
第2のステップでは、
図15に示すように、予め組立てたコア部材2およびヘッド3をアンカー部材1に挿入する。コア部材2はヘッドの支持面37上に支持されるため、コア部材を管状部13に押込むと、ヘッド3もアンカー部材1に向かって動く。次に、
図16に示すように、ヘッド3が突起部38でアンカー部材の第1の端11の凹部17に係合するため、ヘッド3とアンカー部材1とが互いに回転固定される。
図16に示す構成では、ねじ部24はねじ穴14の開放端に係合するに過ぎない。コア部材2をさらに回転させることによって、コア部材2がねじ穴14内に進む。コア部材2はヘッド3の支持面37に当接するため、アンカー部材の第1の端11と第2の端12との間の距離を縮めようとする圧縮力が働く。これによって、
図17に示すように、管状部13はスリット15のために径方向に膨張する。
【0029】
図18〜
図21は、
図14〜
図17に示すステップに対応する、椎骨100の椎弓根に骨アンカーを適用する上述の使用方法を示す。
図18は、工具101を用いたアンカー部材1の挿入を示す。特に
図18に示すように、管状部13の膨張は、コア部材2をアンカー部材1に挿入すると生じる。特に脆い骨粗鬆症の骨領域において、アンカー部材が膨張すると骨アンカーのアンカー固定強度が増大する。
【0030】
使用方法の第2の実施例では、
図16に示すようなコア部材およびヘッドを有する予め組立てられたアンカー部材を完全な組立品として骨粗鬆症の骨に挿入した後、コア部材2を回転させることによって
図17に示すようにアンカー部材が膨張する。
【0031】
骨アンカーを安定化装置と組合わせた第1の応用例を
図22に示す。第1の実施例に係る骨アンカーは、多軸骨アンカーの受け部4に受けられる。受け部4は実質的に円筒形であり、上端41と、下端42と、上端から下端からのある距離まで延在する同軸穴43とを含む。穴43は下端42に向かって細くなり、開口部44を提供する。下端の近傍に、ヘッド3を枢動可能に受けるための座部45が設けられる。ロッド5を受けるためのU字形凹部が、上端から上端からのある距離まで延在する。U字形凹部によって、ロック固定部材6を挿入するための内部ねじ山48を有する2本の自由脚部46,47が設けられる。さらに、ロック固定部材を締付けることによってヘッド3を一定の角度位置にロック固定できるように、ヘッド3に圧力をかける圧力部材7が設けられる。骨アンカーは、受け部の他の部分および多軸骨ねじの他の設計とともに用いられ得る。また、骨アンカーのヘッド3は、ロッドを受け、かつロック固定部材を受けて単軸骨ねじから公知のようにロッドを固定するための部分を含むように設計され得る。
【0032】
第2の応用例を
図23に示す。
図23では、第1の実施例に係る骨アンカーを、ヘッド3を受けるための孔10および座部11を有する骨プレート9とともに用いる。このような骨プレートの多くの構成が考えられる。またここでは、ヘッド3は、骨プレートに設けられた受け部に対応するようにその形状が適合され得る。
【0033】
図24〜
図26を参照して、骨アンカーの第2の実施例を示す。アンカー部材1は、第1の実施例のアンカー部材1と同一である。コア部材2´は牽引要素として作用し、牽引部20を含み得る。第2の端においてアンカー部材1に接続されたコア部材2´を牽引部20を用いて引張ると、アンカー部材の第1の端11と第2の端12との間の距離が縮まり、
図25に示すように管状部13が膨張する。牽引部20は折取部であり得、
図26に示すように管状部13が膨張した後に折取られ得る。
【0034】
図27〜
図30を参照して、コア部材2´をより詳細に説明する。コア部材2´は自身の第2の端22に、ねじ穴14と協働する外部ねじ部24を含む。さらに、ロッド状中心部23が設けられる。中心部23の端に、ロッド状中心部23の外面の円周に配置され、かつ第1の端21に向かって延在する複数の可撓性口縁28が設けられる。可撓性口縁28は、円周方向に延在し、かつ以下に説明するようにヘッドの対応する溝と協働する歯29を第1の端21に隣接して有する。牽引部20は、口縁28同士の間の中心部23の端から延在し、かつ第1の端21を越えて突出するロッド状または棒状の部分である。牽引部20は、
図30に示すように、軸方向において口縁28同士の間の位置に薄くなったネック20aとして形成される折取部を含む。ネック部20aは、牽引部20を手または工具で折取ることができるような直径を有する。牽引部20の長さは、牽引部20を把持して折取ることができるようなものである。
【0035】
さらに
図30〜
図33を参照して、ヘッド3´は、係合構造35´が設けられて第1の端31に隣接して配置された第1の同軸穴35と、コア部材2´の歯29に対応する溝構造36aが設けられた第2の端32´における同軸穴36´とを有する点で、ヘッド3と異なる。第2の端における突起部38´は、ネック29に係合するための溝をさらに有し得る。他の部分はすべて、第1の実施例と同一である。
【0036】
歯29、および第2の穴36´の溝構造36aは、水平方向の側面がヘッドの第2の端32に向かって方向付けられるように、実質的に鋸歯状である。コア部材2´およびヘッド3´は、コア部材がヘッド3´の第1の端31に向かって移動することはできるが、歯29が溝構造36aに係合しているために反対方向に移動することはできないように、互いに協働する。なお、同一の機能を果たす任意の他の係合構造も可能である。
【0037】
ロッド状中心部23の長さは、
図34に示すように、コア部材2´をアンカー部材1に完全に挿入したときに口縁28がヘッド3´の第2の穴36´の溝構造36aにまだ係合しないようなものである。
【0038】
使用時、
図34に示すように、第1のステップにおいて骨アンカーが予め組立てられる。コア部材2´のねじ部24がねじ穴14に完全にねじ込まれて、ねじ穴14と管状部13との間に形成された肩部にロッド状中心部23が当接するまで、コア部材2´をアンカー部材1に挿入する。アンカー部材1の凹部17とヘッド3´の突起部38との係合によって、ヘッド3´を回転固定するようにアンカー部材に装着する。牽引部20は、把持され得るように骨アンカーから出てヘッド3´を越えて延在する。この構成において、骨アンカーを骨または骨部または椎骨にねじ込む。
【0039】
その後、
図35aおよび
図35bに示すように、コア部材2´を矢印の方向に、すなわち、口縁28が歯29でヘッドの穴36´の溝構造36aに係合するまでアンカー部材1から離れるように引張る。これによって、ヘッド3´はアンカー部材1に固定されるため、アンカー部材1の第1の端11と第2の端12との間の距離が縮まり、可撓性部13が膨張する。歯29と溝構造36aとの協働によって、アンカー部材1の第1の端11と第2の端12との間の距離を拡大することになるコア部材2´の反対方向のさらなる相対移動が防止されるため、膨張は維持される。
【0040】
所望の膨張が達成されると、
図36に示すように牽引部20がネック部20aで折取られ得る。
【0041】
第2の端におけるコア部材2´とアンカー部材1´との接続は、ねじ接続である必要はない。たとえば、
図37に示すように、アンカー部材1はねじ山のない孔14´を有し得、コア部材は孔14´に圧入される対応のねじ山のない部分24´を有し得る。さらなる変形例では、
図38に示すように、横断ピン18を用いて、コア部材2´とアンカー部材1´とを第2の端で互いに固定する。さらなる変形例では、
図39に示すように、コア部材2´の第2の端における球形または円筒形の突起部190が、アンカー部材1´の内部に設けられた対応の形状の凹部19にスナップ嵌合する。アンカー部材の先端をヘッドの方向に引張ることができるようにコア部材とアンカー部材とを第2の端で互いに固定する任意の他の接続も可能である。
【0042】
第2の実施例の他の変形例も可能である。たとえば、コア部材2´は2つ以上の部分で構成され得る。たとえば、折取ネック部20aを有する牽引部20は、コア部材の対応の孔にねじ込まれる別個の部分として形成され得る。また、コア部材2´とヘッド3´との係合機構を別個の部分として形成することも考えられ得る。たとえば、歯部は、コア部材2´に装着される、たとえば螺合される別個のリング要素として形成され得る。
【0043】
第2の実施例に係るアンカー部材は、多軸骨ねじの受け部とともに用いられ得るか、単軸骨ねじの形態のロッドを受ける脚部およびチャネルを有する適合されたヘッド3´を有し得る。アンカー部材はさらに、骨プレートおよび他の安定化装置とともに用いられ得る。
【0044】
また本実施例では、第1の実施例と同様に、第2の端における先端が省かれ得る。たとえば、返しなどの任意の他の骨係合構造が設けられ得る。また、ヘッドは、骨アンカーの意図された使用に依存して異なる形状を有し得る。材料および材料の組合わせは、第1の実施例と同一であり得る。
【0045】
さらなる変形例では、骨アンカーにカニューレが挿入され得る。これを達成するために、コア部材にカニューレが挿入され得る。これによって、骨セメントまたは薬剤などの物質を周囲の骨領域に導入することが可能になる。
【符号の説明】
【0046】
1 アンカー部材、2 コア部材、3 ヘッド、11 第1の端、12 第2の端、13 管状部、15 スリット、16 骨ねじ山、17 凹部、21 第1の端、22 第2の端、23 ロッド状中心部、24 ねじ部、25 円筒部、26 係合部、35 第1の円筒穴、38 突起部、L 長手方向軸。