(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
この手持ち器具は、医療器具と、歯科器具と、はんだ付け工具と、木材焼き印工具と、ドリルと、接着剤のアプリケーターとからなるグループから選択されることを特徴とする請求項1に記載の手持ち器具。
前記共用導管は、前記共用導管が前記ハンドピースの基端に隣接して前記ハンドピースを出る場合、前記ハンドピースにおよそ5.0oz.in.とおよそ7.0oz.in.との間の範囲のトルクを作り出すことを特徴とする請求項1に記載の手持ち器具。
前記共用導管は、前記共用導管が前記レセプタクルに隣接して前記ハンドピースを出る場合、前記ハンドピースにおよそ0oz.in.のトルクを作り出すことを特徴とする請求項1に記載の手持ち器具。
前記共用導管が前記ハンドピースにトルクを作り出し、このトルクは、前記共用導管が前記ハンドピースの基端に隣接して前記ハンドピースを出る場合のおよそ5.0oz.in.から、前記共用導管が中央部にて前記ハンドピースを出た場合のおよそ0oz.in.まで減少することを特徴とする請求項10に記載の電気外科器具。
前記長手溝は、この長手溝の長手方向に沿って間隔をあけた複数のディテントを具え、これら複数のディテントは前記共用導管の少なくとも一部を前記長手溝内に選択的に保持するように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の手持ち器具。
前記共用導管が前記ハンドピースにトルクを作り出し、このトルクは、前記共用導管が前記基端に隣接して前記ハンドピースを出る場合の最大値から、前記共用導管が前記ハンドピースの前記基端と前記先端との間の中間点あたりにて前記ハンドピースを出る場合の最小値まで減少することを特徴とする請求項16に記載の手持ち器具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気外科器具を切断または凝固のために用いる場合、煙が一般的に発生する。外科医または助手は、別個の煙排除装置を用いて手術領域から煙を除去する。煙排除装置は、配管を介してバキューム装置に接続する吸引ワンドを一般的に含む。外科医または助手は吸引ワンドを手術部位に近づけて保持し、煙が吸引ワンドおよび配管を通って引き込まれる。しかしながら、電気外科器具から独立した煙排除装置を使うことは理想的ではない。独立した煙排除装置を使用することは、手術部位の近傍に追加の手および器具を必要とし、これは外科医の手術部位の視界を妨げ、手術部位の周囲の外科医が動かすための利用可能な空間を減らす可能性がある。
【0008】
結果として、電気外科器具と煙排除とを組み合わせた器具が開発されている。これらの組み合わせ器具は、電気外科措置を行うための電極、すなわちチップを収容することができるハンドピースをしばしば含む。このハンドピースは電力ケーブルを介して発電装置に接続され、RF電流を電極、すなわちチップに伝える。加えて、ハンドピースと、手術部位から煙を遠く離れたところへ引き出す真空装置との間に煙排除ホースが接続している。場合によって、電力ケーブルは煙排除ホースの一部を通って延在している。
【0009】
電力ケーブルおよび煙排除ホースは、ある所定の可撓性と重量特性とを有し、これは外科的措置中に医者ができることを制限する。例えば、電気外科器具に対する電力ケーブルおよび/または煙排除ホースの接続箇所と同様に、電力ケーブルおよび/または煙排除ホースの重量/回転偶力アーム作用および抗力は、医者が電気外科器具を連続的に保持して使用できることを制限する。電極、すなわちチップはハンドピース(一般的にペンシルと呼称される)の一端内に収容され、電力ケーブルおよび/または煙排除ホースはハンドピースの反対端へと一般的に入る。医者は外科的措置の間に電気外科器具を操作するので、電力ケーブルおよび/または煙排除ホースの重量は、これが装着される電気外科器具の端部を連続的に引っ張る。より詳細には、医者は電極が患者の組織と接触状態となるように、彼または彼女の手首を動かすか、あるいは彼または彼女の指で電気外科器具の向きを調整するので、電力ケーブルおよび/または煙排除ホースの重量が医者の動きを妨げる。電力ケーブルおよび/または煙排除ホースにより作り出される一定の抵抗、すなわち抗力は、電気外科器具の包括的かつ連続的な使用を必要とする外科的措置中に医者を疲れさせてしまう可能性がある。
【0010】
加えて、多くの電気外科措置は、目またはその回りの如き身体の非常に敏感な部分に対して行われる。このような措置を行う場合、医者は高精度かつ正確に電極の動きを制御しなければならない。電力ケーブルおよび/または煙排除ホースにより作り出される抵抗、すなわち抗力は、医者がこれを精密かつ正確に行うことをより困難にする可能性がある。例えば、電気外科器具を動かして精密な切開を行う場合、医者は電力ケーブルおよび/または煙排除ホースからの抵抗に対して正確に補正しなければならない。医者が過補正した場合、深すぎるか、長すぎる切開が結果として生ずる可能性がある。あるいは、医者の補正が不足した場合、望ましい切開を達成するために多数回の試みを必要とする可能性がある。さらに、電力ケーブルおよび/または煙排除ホースからの抵抗によって引き起こされる疲労は、電力ケーブルおよび/または煙排除ホースからの抵抗に対して医者が正確に補正できることに反して悪影響を与える可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ここに請求した内容は、種々の欠点を解決するか、または上述した如き環境においてのみ機能する実施形態に限定されない。むしろ、ここに記述したいくつかの実施形態を実践することができる一つの典型的な技術分野を示すため、この背景を単に与えているに過ぎない。
【0012】
本発明は、概ね種々の措置の遂行を容易にすると共にこれらの措置を行うユーザーが被る疲労度を減少させるハンドピースに関する。例えば、一実施形態において、電気外科器具はその一端に電極チップを保持するハンドピースを含む。このハンドピースは電気ケーブルによって電気外科発電装置に接続している。ハンドピースの一端に接続された電気ケーブルを有する大部分の電気外科器具と対比すると、本発明の電気外科器具は、ハンドピースの中央部にてこのハンドピースに接続される電気ケーブルを設けている。ハンドピースに対する電気ケーブルの中央の接続場所は、電気ケーブルの重量によって作り出される電気外科器具の動きに対する抵抗を減少させる。減少した抵抗は、電気外科措置中の医者の手の疲労をより少なくさせる。ハンドピースと電気ケーブルとの間の中央の接続場所に加え、このハンドピースは、電気ケーブルがハンドピースから出るハンドピースの場所を医者が調整できるように構成可能である。従って、医者はハンドピースに対して電気ケーブルを調整し、医者の好みで電気外科器具をカスタマイズすることができる。
【0013】
本発明の典型的な一構成の一つの形態によると、電気外科器具は、電気外科発電装置に結合されて電気エネルギーをこの電気外科発電装置から電気外科器具のハンドピースへと伝送することができる電気ケーブルを含む。ハンドピースは、基端と、先端と、これらの間に配される中央部とを有する。電気エネルギーをハンドピースから患者の組織へと伝送するための導電性電極チップをハンドピースの先端内に収容することができる。ハンドピースの中央部は、電気ケーブルの一端をそこに収容するように構成したレセプタクルを有する。加えて、このハンドピースは、電気ケーブルの少なくとも一部を溝システム内に選択的に配置し、これによって電気外科器具の使用者が溝システムからの電気ケーブルのための出口を選択できるようにする溝システムをさらに含む。
【0014】
典型的な一実施形態において、溝システムは、第1および第2の対向する側方溝と、長手溝とを含む。第1および第2の対向する側方溝は、レセプタクルからハンドピースの対向する両側まで延在している。第1および第2の対向する側方溝は、電気ケーブルの少なくとも一部が選択的かつ取り外し可能にそこへ収容されるように構成され、電気ケーブルが中央部からハンドピースの何れかの側の溝システムから出ることができるようになっている。
【0015】
長手溝は、レセプタクルからハンドピースの基端に向けて延在している。この長手溝は、長手溝の長手方向に沿って間隔をあけた複数のディテントを具え、これらは電気ケーブルの少なくとも一部をそれらの間に選択的かつ取り外し可能に収容するように構成されている。複数のディテントは、電気ケーブルが溝システムから出ることができる複数の独立した出口を画成する。電気外科器具の使用者は、電気ケーブルの出口を溝システムから選択するため、電気ケーブルを長手溝または側方溝内に選択的に配置することができる。
【0016】
本発明の典型的な他の実施形態によると、ハンドピースに形成されたこの溝システムは、さらに少ないか、さらに多い溝を含むことができる。溝システムを1本以上の側方溝か、1本以上の長手溝か、またはこれらの組み合わせにて形成することができる。加えて、この溝システムを電気外科器具と関連付けた排除ホースと共に用いることができる1本以上の溝にて形成することができる。排除ホースの一部を選択的に収容して保持するようにこの排除ホースの溝を構成することができ、電気外科器具の使用者が溝システムから選択的に排除ホースの出口を調整することができるようになっている。
【0017】
本発明の典型的なさらに別の実施形態において、電気外科措置中に使用するための電気外科器具が設けられている。この電気外科器具は、ハンドピースと、電気エネルギーを電気外科発電装置からハンドピースへと伝送すると共に煙を手術部位から遠く離れたところへ運ぶように構成された共用導管とを含む。ハンドピースは、基端と、そこに吸い込み口を有する先端とを含む。レセプタクルは、ハンドピースの基端と先端との間に配され、そこに接続される共用導管を有するように構成される。入力装置は電気外科器具の動作を選択的に制御するように構成される。加えて、溝システムがハンドピースに形成され、共用導管の少なくとも一部をそこに選択的に収容して保持するように構成されている。溝システムは、この溝システムからの共用導管の出口を選択的に調整することができ、出口をハンドピースの長手方向に沿ってレセプタクルと基端の間で選択的に変更することができるようになっている。
【0018】
典型的な他の実施形態において、電気外科措置中に用いて電気エネルギーを電気外科発電装置から患者の組織へと伝送すると共に手術部位から煙を除去するための電気外科器具が設けられる。この電気外科器具は共用導管を含む。この共用導管は、電気外科発電装置から電気エネルギーを伝送するように構成した電気ケーブルと、煙を手術部位から遠く離れたところへと運ぶように構成した煙排除ホースとを含む。電気外科器具はまた、基端と、先端と、これらの間に配された中央部とを有するハンドピースをも含む。中央部は共用導管が接続されるレセプタクルを有する。ハンドピースはまた、共用導管の少なくとも一部を選択的にそこに収容して保持するように構成された溝システムをも含む。この溝システムは、電気外科器具の使用者が共用導管のための出口をハンドピースの長手方向の少なくとも一部に沿って選択することを可能にする。
【0019】
本発明のまたさらなる一実施形態において、電気外科措置中に用いて煙を手術部位から遠く離れたところへと運ぶための医療器具が設けられる。この医療器具は、煙を手術部位から遠く離れたところへと運ぶように構成した煙排除ホースを有する共用導管を含む。医療器具はまた、基端と、吸い込み口を有する先端と、基端と先端との間に配された中央部とを有するハンドピースをも含む。中央部は煙排除ホースが接続されるレセプタクルを有する。煙排除ホースは吸い込み口と流体連通状態にある。ハンドピースは、共用導管の少なくとも一部を溝システム内に選択的に位置決めし、これによって溝システムから共用導管のための出口を選択することを可能にする溝システムをさらに含む。この溝システムは出口を選択的に調整することを可能にし、出口をハンドピースの長手方向に沿ってレセプタクルと基端との間で選択的に変更することができるようになっている。
【0020】
本発明の典型的な他の実施形態は、ハンドピースと、これに接続してそこから延在する共用導管とを有する手持ち器具を含んでいる。ハンドピースは基端および先端を含む。レセプタクルはこれら基端と先端との間に配され、これに接続される共用導管を有するように構成される。溝システムは、共用導管の少なくとも一部を選択的に収容してそこに保持するように構成されている。この溝システムは、出口がハンドピースの長手方向に沿ってレセプタクルと基端との間で選択的に動くことができるように、当該溝システムからの共用導管の出口を選択的に調整することが可能である。
【0021】
本発明の典型的なまた他の実施形態は、ハンドピースと、これに接続してそこから延在する共用導管と有する手持ち器具を含んでいる。ハンドピースは、基端と、先端と、これら基端と先端との間のほぼ中間に配された中央部とを含む。レセプタクルが先端と中央部との間に配され、これに接続される共用導管を有するように構成されている。共用導管はハンドピースの中央部あたりか、またはハンドピースの中央部と先端との間に配された出口にてハンドピースから離れて延在する。
【0022】
この簡単な概要は、以下の詳細な説明にてさらに記述される単純化した形態での構成概念の選択を紹介するために与えられている。この簡単な概要は、請求した内容の重要な特徴または本質的な特徴を明確にすることを意図しておらず、また請求した内容の範囲を決定するのに役立つように用いられることを意図していない。
【0023】
追加の特徴および利点が次の説明で述べられ、一部がこの説明から明白になるか、ここでの教示を実施することによって習得することができよう。添付した特許請求の範囲にて特に指摘した器具および組み合わせにより、本発明の特徴および利点を具体化および取得することができる。本発明の特徴は次の説明および添付した特許請求の範囲からより完全に明白になるか、次で述べるような本発明の実施によって習得することができよう。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、種々の措置の遂行を容易にすると共にこれらの措置を行うユーザーが被る疲労度を減少させる手持ち器具またはハンドピースに関する。いくつかの実施形態において、手持ち器具またはハンドピースは、その一端に電極チップを保持する電気外科器具である。このハンドピースは共用導管に接続されている。電極チップを含む実施形態において、共用導管は電気外科発電装置に接続された電気ケーブルを含むことができる。この共用導管はバキューム装置に接続された煙/流体排除ホースをまた、あるいは代わりに含むことができる。さらに、この共用導管は、電気信号や煙や流体などを電気外科器具へ、または電気外科器具から運ぶための他の管やケーブルなどを含むことができる。
【0027】
ハンドピースの一端に接続する電気ケーブルおよび/または煙/流体排除ホースを有する大部分の電気外科器具に対し、本発明の電気外科器具は、ハンドピースの中央部にてハンドピースに接続される共用導管を設けている。ハンドピースに対する共用導管の中央接続場所は、電気外科器具の動きに対し、共用導管の重量/モーメントアーム作用および抗力によって作り出される抵抗を減らす。減少した抵抗は、電気外科措置中の医者の手および腕の疲労をより低減させることをもたらす。ハンドピースと共用導管との間の中央接続場所に加え、ハンドピースは、このハンドピースに対して共用導管がハンドピースから出る場所を医者が調整することを可能にするように構成することができる。従って、医者はハンドピースに対して共用導管を選択的に調整し、電気外科器具を医者の好みでカスタマイズすることができる。
【0028】
図1を参照すると、典型的な環境が示され、これは本発明を使用するための一操作環境を提供する。
図1において、信号発生器102と、電気外科器具104と、戻り電極106とを含む電気外科システム100が示されている。一実施形態において、発生器102は、RF電気エネルギーを作り出し、このRF電気エネルギーを電気外科器具104にケーブル108を介して伝えるRF波発生器である。ケーブル108は一例、すなわち共用導管の構成要素であると見なすことができる。電気外科器具104は、ハンドピース、すなわちペンシル110と電極チップ112とを含む。この電気外科器具104はRF電気エネルギーを患者に伝え、患者の身体の組織を切断および/または血管を焼灼する。特に、電気放電がチップ112から患者へと発せられ、チップ112に対して極めて近接接触状態の患者の細胞物質を加熱する。この加熱は、電気外科器具104が電気外科措置を行うために用いられることを可能にする適切な高温にて行われる。戻り電極106およびケーブル114は、患者の身体の周囲の組織へと放散するあらゆる過剰電荷に関し、波発生器102への戻り電気通路をもたらす。
【0029】
図2には電気外科措置を行うために一般に用いられる電気外科器具120が示されている。電気外科器具120は、基端124および先端126を有するハンドピース122を含む。電極チップ128が先端126内に収容されている。ケーブル130が基端124にて電気外科器具120に接続している。ケーブル130は、
図1における発生器102の如き電気外科発電装置からの電気エネルギーを電気外科器具120へと送る。電気エネルギーは電極チップ128を介して患者の組織へと送られる。
【0030】
電気外科器具120の如き電気外科器具は、これらが使用中に筆記する場合のペンシルまたはペンと同じ方法でしばしば保持されるので、電気外科ペンシルまたはペンと一般的に呼称される。
図2は、医者が電気外科器具120を電気外科措置中に保持する最も一般的な方法の一つを示している。理解することができるように、ハンドピース122は手の屈曲部を通して置かれ、中指と親指とで適切に保持される。人指し指はハンドピース122の上に置かれて入力装置132を作動させるのみならず、ハンドピース122をさらに適切に保持する。
【0031】
この明細書の他の箇所で指摘したように、ケーブル130の可撓性および重量/モーメントアームおよび抗力特性と、ハンドピース122に対するケーブル130の接続場所とは、外科的措置中に医者ができることを制限する。
図2に示すように電気外科器具120を保持している間、医者は入力装置132を作動させて電極チップ128を患者の組織に対して接触状態へと動かすことにより、電気外科措置を行おう。電極チップ128と患者の組織との間での接触をもたらすため、医者は彼または彼女の手首または指を動かして電気外科器具120の位置および/または向きを調整しよう。
【0032】
例えば、医者は彼または彼女の手首を動かし、電極チップ128が患者の組織に向けて矢印Aの方向に移動するようにさせることができる。とりわけ、医者が電極チップ128を矢印Aの方向に動かした場合、基端124は矢印Bの方向に動く。ケーブル130の重量は、基端124を矢印Cの方向に絶えず引っ張っている。従って、ケーブル130の重量は、矢印Bの方向への基端124の動きに抵抗する。
【0033】
ケーブル130の重量により作り出される抵抗は、ケーブル130がハンドピース122に接続される場所によって強められる。理解されるように、軸線、すなわち回転中心から離れた場所で力を加えることによってトルクが作り出される。このトルクの大きさは、加えた力の大きさと、軸線/回転中心と力が加えられた場所との間の距離との結果である。電気外科器具120の場合において、ケーブル130の重量は、抵抗トルクの生成に寄与する力である。加えて、ケーブル130がハンドピース122に装着される場所およびハンドピース122がどのように保持されるかは、ケーブル130の重量がトルクを作り出すように働くレバーアームを作り出す。より詳細には、ケーブル130が基端124またはその近傍にてハンドピース122に入る。電気外科器具120を
図2に示すように保持した場合、基端124は回転中心として働く医者の手の屈曲部の上でここから離れて配される。ケーブル130の重量は、基端124を下方に引っ張り、それによってトルク、すなわちモーメントアームを作り出す。トルクの大きさは回転中心と力との間の距離に依存するので、ケーブル130とハンドピース122との間の接続箇所が手の屈曲部からさらに離れた場合、より大きなトルクが生じよう。当然のことながら、このより大きなトルクは、医者が電気外科器具120を操作している場合に被るより大きな度合いの抵抗になる。
【0034】
ケーブル130の重量によって作り出される抵抗を克服するため、医者は電気外科器具120を望ましい向きへと動かすために追加のエネルギーを加えなければならない。ケーブル130によって作り出される抵抗に対する連続的な仕事量は、医者の手および/または手首および/または腕を電気外科措置中に疲れさせてしまう可能性がある。この疲労はまた、措置を遂行する上での精度および正確性の損失につながる可能性がある。
【0035】
さて、電気外科器具を電気外科発電装置に接続する電気ケーブルにより作り出される抵抗を減少させる電気外科器具の実施形態を示す
図3〜
図8に注意が向けられる。
図3〜
図8に示す実施形態は、電気ケーブルとハンドピースとの間の接続部を含み、これはハンドピースの基端と先端との間のほぼ中央部分に配されている。加えて、ハンドピースはそこにケーブルを収容することができる1つ以上の溝、すなわち経路を含むことができる。これらの溝/経路および/またはケーブルは、ケーブルの「出口」として以下で呼称するハンドピースからケーブルが延在する場所を医者が選択することを可能にするように構成することができる。医者が出口を選択して調整することを可能にすることにより、医者はケーブルの重量によって作り出される抵抗を低減または排除することができ、電気外科措置中に被る疲労を低減させることが可能である。
【0036】
例えば、
図3〜
図5は本発明による電気外科器具150の典型的な一実施形態を示す。電気外科器具150は、基端154と先端156とを有するハンドピース152を含む。先端156は電極チップ158を収容するように構成されている。ハンドピース152は、電気エネルギーを
図1の発生器102の如き発生器から電極チップ158まで運ぶケーブル160に接続されている。ハンドピース152はまた、電極チップ158への電気エネルギーの流れを制御するための入力装置162を含む。
図3で見ることができるように、ケーブル130が
図2にあるようにハンドピースの基端から延在しているのに対し、ケーブル160はハンドピース152の中央部から延在している。
【0037】
図4は電気外科器具150の裏側からの立体投影図を示している。ここで見られるように、ハンドピース152はレセプタクル164を含む。ケーブル160の一端(
図4に図示せず)がレセプタクル164へと挿入され、ハンドピース152の内部構成要素に接続されて電気エネルギーを電極チップ158に供給する。ハンドピース152はまた、医者がケーブル160の出口を選択することを可能にする溝システム166を含む。換言すると、ケーブル160がレセプタクル164にてハンドピース152に接続されると共にケーブル160の一部を溝システム166内に配することができ、レセプタクル164に隣接するか、あるいはレセプタクルから遠いケーブル160がハンドピース152にある多数の場所の任意の1箇所でこのハンドピース152から出る、すなわち延在するようになっている。
【0038】
図4に示した典型的な実施形態において、溝システム166は、長手溝168と、対向する側方溝170および172とを含む。溝168,170および172のそれぞれは、レセプタクル164の近くから始まり、およびここから離れて延在する。長手溝168は、レセプタクル164から基端154まで直線で概ね延在する。対向する側方溝170および172は、レセプタクル164からハンドピース152の対向する外側に延在する。これらの溝168,170および172のそれぞれは、そこにケーブル160の少なくとも一部を選択的に収容して保持するような所定の大きさに作られている。
【0039】
図5は、さまざまな可能な場所にてハンドピース152から出る、すなわち離れて延在するケーブル160を描いている。明瞭性の目的のため、ケーブル160は、参照符号160,160A,160B,160Cおよび160Dにて
図5で特定されている。参照符号160,160A,160B,160Cおよび160Dは同じケーブル160を特定すると共に参照文字A,B,CおよびDは異なる場所にてハンドピース152から出る、すなわち延在するケーブル160の次に続く説明での補助に用いられる。類似する符号がケーブル192,210および222および共用導管260に関連してこの明細書の他の場所で同様に用いられる。
【0040】
図5に示すように、ケーブル160Aはレセプタクル164の外側に延在し、ケーブル160Aがハンドピース152の右外側(ハンドピース152の上面から見た場合)に延在するように溝170に配されることができる。上述したように、電気外科器具150の使用中にケーブル160Aが意図せず溝170から出てこないように、ケーブル160Aがそこにぴったりと保持される大きさに溝170を作ることができる。ケーブル160Aがハンドピース152の右側から出るようにケーブル160Aを溝170に位置させることは、左ききの医者にとって特に快適である可能性がある。ケーブル160Aを溝170内に位置させた場合、左ききの医者は、ケーブル160Aがハンドピース152の右側から自身の親指の方へと延在するように、ハンドピース152を保持することができる。医者は、ケーブル160Aを親指の下に下方へと延在させることを可能にすることができる。代わりに、医者はこれを下方へと延在させる前に、親指の上を越えて延在するように、ケーブル160Aを位置させることができる。
【0041】
同様に、ケーブル160Bをレセプタクル164から延在させ、ケーブル160Bがハンドピース152の左側(ハンドピース152を上から見た場合)から延在するように、溝172に位置させることができる。溝170と同様に、電気外科器具150の使用中にケーブル160Bが意図せず溝172から出てこないように、ケーブル160Bがそこにぴったりと保持される大きさに溝172を作ることができる。ケーブル160Bがハンドピース152の左側から出るようにケーブル160Bを溝172に位置させることは、右ききの医者にとって特に快適である可能性がある。溝172内に位置決めされたケーブル160Bと共にハンドピース152を保持する右ききの医者は、ケーブル160Aおよび溝170に関して上述したのと同じ方法で、親指の下または上を越えてケーブル160Bが延在することを可能にすることができる。
【0042】
図5に示すように、溝170/172内へのケーブル160A/160Bの位置決めは、
図2を参照して前述したように、電気ケーブルによって一般的に作り出される抵抗を著しく減少または排除する。ケーブル160A/160Bが溝170/172内に位置する場合、ケーブル160A/160Bの出口は、医者の手の屈曲部に相対的に近づく。ケーブル160A/160Bのための出口の位置決めは、このケーブルによって作り出されるトルクを減少させる。特に、加えられる力(すなわちケーブルの重量)と回転中心(すなわち手の屈曲部)との間の距離が相対的に短いので、ケーブル160A/160Bによって作り出されるトルクは、そうするための
図2を参照して上述したケーブル130によって作り出されるトルクよりもずっと小さい。溝170/172内にケーブル160A/160Bを位置させた電気外科器具150を使用する場合、ケーブルが基端に接続された典型的な電気外科器具と比較すると、より小さなトルクのため、医者はより少ない抵抗および疲労を被ろう。
【0043】
医者によっては、溝170および172により与えられた以外の場所にてハンドピース152を出るケーブル160を有することを好む可能性がある。このような場合、医者はケーブル160のための快適な出口を達成するために溝168を使うことができる。快適な出口を達成するため、医者は、ケーブル160が溝168を通ってレセプタクル164から延在し、レセプタクル164と基端154との間の望ましい箇所にて溝168を出るように、ケーブル160の一部を溝168内に位置させることができる。
【0044】
例えば、
図5のケーブル160Cに関し、医者はおよそ1または2インチの160Cを溝168内に位置させることができ、およびケーブル160Cの残りをハンドピース152から自由にしたままにしておくことを可能にする。このような場合、ケーブル160Cが手の屈曲部に置かれて医者の手首の近傍にて下向き方向に落ち込むように、ケーブル160Cはハンドピース152を出ることができる。代わりに、
図5のケーブル160Dに関し、医者はおよそ2および3インチの間でケーブル160Dを溝168内に位置させることができ、およびケーブル160Dの残りをハンドピース152から自由にしたままにすることを可能にする。また他の状況において、医者は、ケーブル160が基端154までハンドピース152を出ないように、溝168の全長に亙ってケーブル160を位置させることができる。
【0045】
ケーブル160,160A,160B,160Cおよび160Dのそれぞれと関連付けられた5つの出口が
図5に示されているけれども、溝システム166が電気ケーブルのための他の出口をさらに設けることができることは容易に理解されよう。この溝システム166は、医者が溝168の長手方向に沿った任意の場所を出口として選択することを可能にするように構成されている。例えば、より大きい手を持つ医者はケーブル160を基端154により近づけて出すことを望む可能性がある。これは、ケーブル160の出口が基端154にさらに近づくように、単に溝168内のケーブル160をさらに位置させることによって達成することができる。一方、より小さい手を持つ医者はケーブル160をレセプタクル164の直近に出すことを望む可能性がある。これは、溝170および172を用いるか、または単に溝168内に短い長さのケーブル160を位置させることによって達成することができる。従って、溝システム166は、ハンドピース152が医者にとって最も快適であって、かつケーブル160によって引き起こされる抵抗および疲労を減らすように、医者がハンドピース152をカスタマイズすることを可能にする。
【0046】
ここで
図6および
図7に注意が向けられ、電気外科器具に組み入れることができる溝システムの他の一実施形態が示されている。特に
図6に関し、ハンドピース176を含む電気外科器具174が示されている。ハンドピース176はレセプタクル178を含む。ケーブル192(
図7)の一端がレセプタクル178へと挿入され、ハンドピース176の内部構成要素に接続されて電気エネルギーを電極チップに供給する。
【0047】
ハンドピース176はまた、溝システム166と同様な溝システム182も含む。特に、溝システム182は対向する側方溝184および186と、長手溝188とを含む。対向する側方溝184および186は、上述した溝170および172と概ね同じである。溝188はまた、溝168と同様である。溝システム182は、溝システム166に関して上述したのとほぼ同じ方法で医者がケーブル192の出口を選択することを可能にする。より詳細には、ケーブル192を溝184,186,188の何れかに位置させることよって、医者はケーブル192の出口を選択することができる。溝184および186を選択すると、溝170および172を通ってハンドピース152の側方に出るケーブル160と同様に、ケーブル192がハンドピース176の側方に出ることをもたらす。溝188を用いた場合、医者は溝188の長手方向に沿ってあらかじめ画成された多数の出口から選択することもまた可能である。従って、溝システム182は、ケーブル192によって引き起こされる抵抗および疲労を減らすと共に電気外科器具174をより快適に使えるように、医者が電気外科器具174をカスタマイズすることを可能にする。
【0048】
溝188は溝168と同様であるが、溝188はディテント190A,190B,190C,190D,190Eおよび190Fをさらに含み、これらは一括してディテント190と呼称される。ディテント190A,190B,190C,190D,190Eおよび190Fのそれぞれは、溝188内に位置決めされた2つの対向する張り出し部を含む。ディテント190は、ケーブル192をこれらの間に選択的に収容して保持するように形成されている。従って、医者が電気外科器具174を使用する時にケーブル192を保持するように、医者はケーブル192を溝188内で1つ以上のディテントの190A,190B,190C,190D,190Eおよび190Fの間に位置させることができる。
【0049】
上述した溝168は、医者が溝168の長手方向に沿ってどこにでも出口を選択することを可能にする。これに対し、ディテント190はケーブル192のための複数の個別の出口を溝188の長手方向に沿って作り出す。換言すれば、ディテント190は多数のあらかじめ画成された出口から1つの出口を選択する自由を医者に与える。
【0050】
言及したように、ディテント190はケーブル192をこれらの間で選択的に保持するように形成されている。ディテント190間の溝188の部分は、後続のディテント190A,190B,190C,190D,190Eおよび/または190Fがケーブル192を溝188内に保持するように用いられていない場合、ケーブル192が溝188を出ることができるように形成することができる。例えば、
図7に示すように、医者は、ケーブル192Cがディテント190C,190D,190Eおよび190Fの間ではなく、ディテント190Aおよび190Bの間に延在するように、ケーブル192Cを溝188内に位置させることができる。この場合、ケーブル192Cは次のディテント190Bおよび190Cの間の溝188を出ることができる。従って、ディテント190Bおよび190Cの間の部分はケーブル190のための複数の個別の出口の1つを構成する。同様に、医者は、ケーブル192Dがディテント190Eおよび190Fの間ではなく、ディテント190A,190B,190Cおよび190Dの間に延在するように、ケーブル192Dを溝188内に位置させることができる。この場合、ケーブル192Dは次のディテント190Dおよび190Eの間の溝188を出ることができる。従って、ディテント190Dおよび190Eの間の部分はケーブル190のための複数の個別の出口の別な1つを構成する。ディテント190Aおよび190Bと、190Cおよび190Dと、190Eおよび190Fとの間の部分は、ケーブル190のための個別の出口を同様に構成することができる。
図6および
図7には6つのディテント190と5つの出口とを持つ溝188が示されているけれども、6つのディテント190および5つの出口よりも少ない、または多い1つの溝システムを形成することができることを理解されよう。
【0051】
従って、溝システム182は、ケーブル192によって引き起こされる抵抗および疲労を減らすように、医者が電気外科器具174をカスタマイズすることを可能にする。加えて、溝システム182はまた、医者がケーブル192の出口を調整し、この医者にとって電気外科器具174をより快適にすることを可能にする。
【0052】
図8は、ハンドピースに対するケーブルの重量と接続場所とによって引き起こされる抵抗および疲労を減らす電気外科器具194のまた別な実施形態を示している。この例示した実施形態において、電気外科器具194は、レセプタクル198と、基端200と、溝システム202とを有するハンドピース196を含む。レセプタクル164および178と同じように、レセプタクル198は電極チップに電気エネルギーを与えるケーブル210の一端を収容するように構成されている。溝システム202は溝システム166と概ね同じである。特に、溝システム202は対向する側方溝204および206と長手溝208とを含み、これらのそれぞれは、そこにケーブル210を選択的に収容して保持するように構成されて所定の大きさに作られている。
【0053】
ここに記述した先の溝システムと同じように、溝システム202は医者がケーブル210の出口を選択することを可能にし、これによって電気外科器具194をより快適にすると共にケーブルによって作り出される抵抗を減少させる。しかしながら、本実施形態におけるケーブル210は、その長手方向に沿った複数のディテント212をその外面に含む。ディテント190は、上述したディテント212と同様な機能をもたらす。特に、ディテント212が溝204,206および208内にぴったりと嵌合し、ケーブル210がそこに保持されるようにこれを所定の大きさに作ることができる。加えて、どのくらいのケーブル210が溝システム202内に保持されるのかを選択するためにディテント212を用いることができる。例えば、6つのディテント212が溝208内に保持されて残りのケーブル210Cが溝208の外へ自由に垂れ下がるように、医者はケーブル210Cを溝208内に位置させることができる。代わりに、ケーブル210の出口が基端200により近づくように、医者はケーブル210の更なるディテント212をケーブル210Dと共に示すように溝208内に位置させることができる。このように、
図6および
図7を参照して議論したあらかじめ画成された個別の出口と同様に、医者はケーブル210のための複数のあらかじめ画成された個別の出口から再び選択することができる。しかしながら、この場合、あらかじめ画成された個別の出口は、溝システムに形成されたディテント190ではなく、ケーブル210のディテント212によって作り出される。
【0054】
図9は電気外科器具220を示す。電気外科器具220をここに記述した溝システムおよび/またはケーブル/ホース222の何れかに組み入れることができる。
図9は、ケーブルまたはホース222が電気外科器具220のどこからどのように出て医者の手に対してどこにどのように垂れ下がるかについてのいくつかの例を示している。例えば、ケーブル222Aは側方溝224を通って電気外科器具220を出ている。認識することができるように、ケーブル222Aは医者の親指に向けて電気外科器具220の外に延在している。代わりに、医者は、ケーブル222Bが医者の手の掌に位置するように、ケーブル222Bが医者の掌の前側にある電気外科器具220を出るようにすることができる。医者は、ケーブル222Cが手首に向けて手の屈曲部の下方に延在するように、手の屈曲部の近くの出口をさらに選択することができる。医者は、基端226により近付けたケーブル222Dのための出口をさらに選択することができる。またさらに一般的な電気外科器具と同様に、医者はケーブル222が基端226にて電気外科器具220を出るようにすることを選択することができる。
【0055】
本発明による溝システムはまた、電気外科器具と普通に結合される多数のケーブルおよび/またはホースを収容するように構成することも可能である。例えば、多くの電気外科器具は、電気ケーブルに加え、電気外科処置中に手術部位から煙または流体を除去するための排除ホースを含む。排除ホースは、電気ケーブルと同じようにハンドピースの基端に普通に接続され、それによって電気外科器具の動きに対する抵抗を引き起こす。この抵抗は、電気ケーブルからの抵抗のように、電気外科措置中に医者が被る疲労を引き起こすことができる。
【0056】
排除ホースによって引き起こされる疲労を減らすため、ここに記述したような溝システムは、医者が排除ホースの出口を調整することを可能にするように、電気外科器具に組み入れることができる。例えば、医者の手により近付けた場所にて排除ホースがハンドピースを出ることを可能にする溝システムを組み入れることができ、これにより排除ホースの重量によって作り出されるトルクを減少させる。上述したように、医者が出口をハンドピースの長手方向に沿った何れかから、または複数のあらかじめ画成された個別の出口の1つから選択することを可能にするように、この溝システムを構成することができる。
【0057】
例えば、
図10〜
図14は本発明による電気外科器具250の他の典型的な実施形態を示している。電気外科器具250は、基端254と先端256とを有するハンドピース252を含む。先端256は、電極チップ258を少なくとも部分的にそこに収容することができるノズルとして構成されている。より詳細には、電極チップ258は少なくとも一部が先端256の吸い込み口259内に収容されている。
図10で見ることができるように、電極チップ258と吸い込み口259の内面との間には、煙および/または流体が吸い込み口259へと引き込まれることを可能にする空間がある。
【0058】
ハンドピース252は共用導管260に接続している。ケーブル130が
図2にあるようにハンドピースの基端から延在しているのに対し、
図10で見ることができるように、共用導管260はハンドピース252の中央部から延在している。例示した実施形態において、共用導管260はケーブル262を含み、これは
図1における発生器102の如き発生器から電極チップ258へと電気エネルギーを送出する。
【0059】
加えて、共用導管260はまた、手術部位から煙/流体を運び出す煙/流体排除ホース264を含む。煙/流体排除ホース264は、吸い込み口259と流体連通状態となるようにハンドピース252に接続されている。煙および/または流体が手術部位から煙/流体排除ホース264につながる吸い込み口259へと引き込まれるように、煙/流体排除ホース264をバキューム装置に接続することができる。ハンドピース252がバキューム装置を制御するように、ハンドピース252とバキューム装置とをケーブル262または他のケーブルで接続することができる。
【0060】
ケーブル262および煙/流体排除ホース264の両方を含むように共用導管260をここで記述したけれども、このような構成は単なる例示に過ぎない。例えば
図3〜
図9に示したものの如き他の実施形態において、共用導管は電力ケーブルのみを含むことができる。また他の実施形態において、共用導管は煙/流体排除ホースのみを含むことができる。また他の実施形態において、共用導管は1本以上のケーブルおよび/または1本以上のホースを含むことができる。
【0061】
例示した実施形態において、ケーブル262の少なくとも一部は煙/流体排除ホース264内に配される。しかしながら、他の実施形態においてはケーブル262の全部を煙/流体排除ホース264の外に配することができる。このような実施形態において、ケーブル262および煙/流体排除ホース264の少なくとも一部をオプションとしてこれらの長手方向に沿って相互に接続することができる。
【0062】
ハンドピース252はまた、電極チップ258への電気エネルギーの流れおよび/または手術部位からの煙および/または流体の排除を制御するための入力装置266を含む。
【0063】
図11はハンドピース252の裏側からの立体投影図を示す。ここに見られるように、ハンドピース252はレセプタクル268を含む。共用導管260(
図11に示していない)の一端をレセプタクル268に接続することができる。例えば、煙/流体排除ホース264の一端をレセプタクル268の周囲に配するか、またはその内部に収容することができる。
図11に見られるように、レセプタクル268は吸い込み口259と流体連通状態にある導管270を含む。結果として、煙/流体排除ホース264をレセプタクル268に接続している場合、煙/流体排除ホース264は吸い込み口259と流体連通状態にある。従って、煙および/または流体は吸い込み口259へと引き込まれ、導管270を通り、煙/流体排除ホース264を介して運び出されることができる。
【0064】
共用導管260とレセプタクル268と間の接続は、ハンドピース252と共用導管260との間での相対移動を可能にすることができる。例えば、レセプタクル268をハンドピース252とは別に形成し、後でこれに接続することができる。よりさらに詳細には、レセプタクル268は、ハンドピース252に接続することができる第1の端と、共用導管260に接続することができる第2の端とを含むスイベルの形態を取ることができる。レセプタクル268の第1の端とハンドピース252との間の接続および/またはレセプタクル268の第1および第2の端の間の接続(2つ以上の部品を形成した場合)の間の接続、および/またはレセプタクル268の第2の端と共用導管260との間の接続は、ハンドピース252が共用導管260に対して回転すること、またはその逆を可能にすることができる。例えば、レセプタクル268の第1の端をハンドピース252に回転接続することができ、ハンドピース252と共用導管260との間の相対移動を可能にする。同様に、レセプタクル268の第2の端を共用導管260に回転接続することができ、ハンドピース252と共用導管260との間の同様な相対移動を可能にする。同じく、レセプタクル268の第1および第2の端を相互に回転接続することができ、ハンドピース252と共用導管260との間の相対移動を可能にする。いずれにしろ、このような相対移動は、共用導管260によるハンドピース252の長手方向の回転トルクを減少または排除することができる。
【0065】
相互に移動可能に接続されるハンドピース252および共用導管260(例えばスイベル型レセプタクル268)に加え、またはこれに代えて、共用導管260は2つ以上の部分を含むことができ、これらは隣り合う部分の間での相対移動を可能にする方法で相互に接続されている。例えば、
図10および
図12〜
図14に示すように、共用導管260はスイベル267を介して相互に接続される第1の部分265Aと第2の部分265Bとを含むことができる。スイベル267は、相互に回転することができる第1の片方と第2の片方とを含むことができる。第1の部分265Aをスイベル267の第1の片方に接続することができ、第2の部分265Bをスイベル267の第2の片方に接続することができる。スイベル267の第1および第2の片方が相互に回転できることは、共用導管260の第1および第2の部分265A,265Bもまた相互に回転することを可能にする。結果として、ハンドピース252および第1の部分265Aは、第2の部分265Bに対してより少ない長手方向の回転トルクを伴って移動および回転することができる。
【0066】
手術部位から効率的に煙/流体を運び出すため、ハンドピース252と、レセプタクル268と、共用導管260と、第1および第2の部分265A,265Bと、スイベル267(およびその第1および第2の片方)との間の接続は、ほぼ気密および/または水密であってよい。
【0067】
図11に示していないけれども、レセプタクル268はまた、ケーブル262をハンドピース252に接続するための電気接続部を含む。ハンドピース252とケーブル262との間のこの電気接続部は、電極チップ258への電気エネルギーの流れの制御および/または手術部位からの煙および/または流体の排除を可能にする。
【0068】
ハンドピース252はまた、溝システム166,182および202と同様な溝システム272を含む。ここに記述した他の溝システムのように、溝システム272は医者がハンドピース252から共用導管260の出口を選択することを可能にする。すなわち、共用導管260がレセプタクル268にてハンドピース252に接続される場合、共用導管260がレセプタクル268に隣接していようとなかろうと、ハンドピース252に沿った多数の場所の任意の箇所にてハンドピース252から出るか、または延在するように、共用導管260の一部を溝システム272内に位置させることができる。
【0069】
図11に示した典型的な実施形態において、溝システム272は長手溝274を含んでいる。長手溝274はレセプタクル268の近傍で始まり、ここから基端254に向けて概ね直線状に離れるように延在する。他の実施形態において、長手溝274および/またはレセプタクル268を他の構成にて配することができる。例えば、レセプタクル268を先端256と一直線に並べなくてよく、および/または溝274を基端254に向けて概ね直線状に延在させなくてもよい。どちらかと言えば、溝274および/またはレセプタクル268を装置の設計および/または望ましい流路構成に応じたオフセット配列で構成することができる。
【0070】
長手溝274はそこに共用導管260の少なくとも一部を選択的に収容して保持するように所定の大きさに作られる。すなわち、電気外科器具250を使用中の場合、共用導管260が長手溝274から不用意に出てこないように、長手溝274はそこに共用導管260をぴったりと保持するように所定の大きさに作られることができる。長手溝274の寸法および構成の結果として、ハンドピース252はレセプタクル268と基端254との間でほぼ中空である。例えば、いくつかの実施形態においてはハンドピース252の少なくとも70%が中空である。より詳細には、いくつかの実施形態において、長手溝274はハンドピース252の全容積を70%よりも多く減少させる。例えば、例示した実施形態におけるハンドピース252は対向する側面の間におよそ0.65インチの幅を有すると共に長手溝274はおよそ0.55インチの幅を有する。従って、ハンドピース252および長手溝274の幅の間の比率はおよそ0.85であり、結果としてハンドピース252がおよそ85%中空である。しかしながら、前述の百分率および比率は単なる例示に過ぎないことを認識されよう。限定しない例として、ハンドピースの幅と長手溝の幅との間の比率がおよそ25%か、およそ40%か、およそ50%か、またはおよそ75%よりも大きい場合、ハンドピースはほぼ中空であってよい。
【0071】
図12は1つの可能な場所にてハンドピース252を出るか、またはここから延在する共用導管260を描いている。
図12に示すように、共用導管260は(例示した実施形態においては入力装置266の概ね下方にある)レセプタクル268から離れて延在し、長手溝274に位置することができる。
図12においては、共用導管260が長手溝274の全長に亙って配され、共用導管260が基端254のそばからハンドピース252を出るようになっていることを示している。
【0072】
長手溝274は、長手溝168,188および208に関して上述したのと大体同じ方法で医者が共用導管260の出口を選択することを可能にする。より詳細には、医者が長手溝274内に共用導管260を異なる長さで位置させることにより、共用導管260の出口を選択することができる。例えば、
図12に示すように長手溝274の全長に亙って共用導管260を埋め込むのではなく、
図13に示すように長手溝274の一部にのみ、そこに位置した共用導管260を有することができる。
【0073】
溝システム272は、出口として長手溝274の長手方向に沿った実質的に任意の場所を医者が選択することを可能にするように構成される。例えば、より大きい手を持つ医者は、共用導管260が基端254のより近くから出ることを望む可能性がある。これは、共用導管260の出口が基端254により近付くように、共用導管260の大部分を単に長手溝274内に位置させることによって達成することができる。一方、より小さな手を持つ医者は、共用導管260がレセプタクル268の直近から出ることを望む可能性がある。これは、単に短い長さの共用導管260を長手溝274内に位置させることによって達成することができる。従って、溝システム272は、ハンドピース252がその医者にとって最も快適となり、かつ共用導管260の重量によって引き起こされる抵抗および疲労を減らすように、医者がハンドピース252をカスタマイズすることを可能にする。
【0074】
とりわけ、共用導管260を先端256に隣接して接続することにより、ハンドピース252は煙/流体搬送導管として機能せず、すなわちこれを含まない。すなわち、ハンドピース252は、先端256から基端254まで延在し、その全長に亙ってシールされる溝または他の導管を含む必要がない。典型的な煙排除装置に関し、第1のシールがハンドピースのノズルと先端との間に必要とされると共に第2のシールがハンドピース内の導管の基端と煙排除ホースとの間に必要とされる。共用導管260が吸い込み口259に接続されかつこれに隣接してシールされているので、基端254と共用導管260との間に第2のシールを必要としない。
【0075】
共用導管260を先端256に近づけて接続することはまた、先端256から関連するバキューム装置までほぼ一定の直径を有する流動溝を提供する。より詳細には、共用導管260の内部は、ここを通って煙/流体を手術部位から運び出すことができる流動溝を提供する。共用導管260がその全長に亙って概ね一定の内径を有しているので、ハンドピース252の先端256から関連するバキューム装置までの流動溝は、概ね一定である。当業者によって認識されるように、概ね一定の流動溝は、運び出される煙/流体の増大した流動効率をもたらす。これに対し、普通の煙排除装置は、ハンドピースを通る流動溝と異なる径を有する煙排除ホースとを含み、これによってこれらを通る流動効率を減じてしまう。
【0076】
例示した実施形態において、長手溝274が概ねまっすぐで滑らかな内面を有していることが示される。長手溝274の概ねまっすぐで滑らかな内面は、共用導管260が長手溝274の長手方向に沿った実質的に任意の場所にてハンドピース252から出ることを可能にする。従って、長手溝274は、共用導管260の出口を連続的に変えることを可能にする。換言すれば、長手溝274の長手方向に沿った実質的に任意の場所に対し、共用導管260の出口を選択的に調整することができる。
【0077】
しかしながら、他の実施形態において、長手溝274内への共用導管260の確実な保持を容易にするため、および/または長手溝274の長手方向に沿って1つ以上のあらかじめ画成した個々の出口を作り出すため、
図6〜
図7に示すディテント190と同様な1つ以上のディテントをオプションとして長手溝274に形成することができる。ディテント190と同じように、長手溝274のディテントによって出口を画成することができる。溝システム272はまた、側方溝170,172、184,186,204および206と同様な1つ以上の側方溝をオプションとして含むことができる。
【0078】
図10,
図12および
図13にて見ることができるように、共用導管260の少なくとも一部に波状,渦巻状,溝状の畝か、またはその外面に配したディテントを有するようにできる。上述したディテント212のように、共用導管260にある波形,渦巻形,溝形の畝か、またはディテントは、長手溝274内の共用導管260の確実な保持を容易にし、および/または長手溝274の長手方向に沿って1つ以上のあらかじめ画成した個々の出口を作り出す。ディテント212と同じように、出口を長手溝274にではなく、共用導管260にある波形,渦巻形,溝形の畝か、またはディテントによって画成することができる。しかしながら、共用導管260が波状,渦巻状,溝状の畝か、またはディテントをそこに含まなくてよいことを理解されよう。加えて、(波状,渦巻状,溝状の畝か、または平滑な)共用導管と(直線状またはディテント付きの)溝との任意の組み合わせを採用することができることを理解される。
【0079】
図14は使用中の電気外科器具250を示す。特に、
図14は共用導管260がハンドピース252を出て医者の手に対して垂れ下がることができる場所と方法とのいくつかの例を示している。例えば、共用導管260Aが医者の手の手掌に位置するように、共用導管260Aは医者の手掌の前側から電気外科器具250を出る。結果として、医者は彼または彼女の指の数本またはすべてを共用導管260Aのまわりに巻き付けることにより、共用導管260Aを把持することができる。共用導管260Aを把持している間、医者はまた、
図14に示すようにハンドピース252を(例えば入力装置を制御するために上にある人指しと共に親指と中指との間で)保持することもできる。この構成において、共用導管260Aは電気外科器具250のための取手として機能することができる。加えて、電気外科器具250に安定性を与えるように共用導管260Aを形成することができる。例えば、共用導管260Aを取手として用いる場合、ハンドピース252の位置または向きを維持するために共用導管260Aを充分に硬質の配管にて形成するか、またはこれを含むことができる。より詳細には、医者がハンドピース252から手を離して共用導管260Aのみを保持している場合であっても、共用導管260Aがハンドピース252をその現在の位置に維持するように、共用導管260Aは充分に硬質であってよい。さらにまた、共用導管260Aを医者の手の中で具合よく適合するような所定の大きさに作ることができ、医者が共用導管260Aをしっかりと保持することを可能にする。
【0080】
上で指摘した安定性および把持機能性を与えるため、共用導管はおよそ0.1インチとおよそ3インチとの間の外径を有することができる。一実施形態において、共用導管はおよそ0.5インチの外径を有している。共用導管はまた、上で指摘した機能性に寄与する何らかの弾力可撓性を有することも可能である。例えば、共用導管をそこの内部空隙や流動溝をつぶしたり、実質的に減少させたりすることなく、直角にするか、曲げることができるように共用導管を形成することができる。例として、共用導管を形成するために用いられる材料は、この共用導管がおよそ0°とおよそ180°との間の曲げ範囲を有することを可能にすることができる。およそ180°の曲げ範囲を持つ共用導管の場合、スイベルが共用導管とハンドピースとの間を接続することができ、共用導管が図に示すようにハンドピースから離れて延在することを可能にする。他の実施形態において、共用導管のすべてまたは一部を区分けし、相互に接合して継手の運動可撓性を与えることができる。
【0081】
指摘したように、共用導管を多数の部分から形成することができる。共用導管のこれらの部分は、相互に異なる直径および/または可撓特性を有することができる。例えば、ハンドピースに接続される第1の部分は、上で指摘した安定性および把持機能性を与えるために相対的に硬質であってよい。これに対し、この第1の部分に接続される第2の部分は、第1の部分よりも大きな可撓性であってよい。
【0082】
ここで指摘したように、共用導管を1本以上のケーブルおよび/または1本以上のホースにより形成することができる。従って、指摘した直径および可撓性は、多数本のホース,ケーブルおよび/またはこれらの組み合わせの結果であってよい。例えば、2本以上のホースがおよそ0.1インチとおよそ3インチとの間の組み合わせた直径を有することができる。
【0083】
医者は、共用導管260Bが手首に向けて手の屈曲部の下方へと延在するように、医者の手の屈曲部の近くの出口をさらに選択することができる。より基端254に近い共用導管260Cのための出口を医者はさらに選択することができる。またさらに、医者は通常の電気外科器具と同様に、電気外科器具250の基端254にて出る共用導管260を有するように選択することができる。
【0084】
ここで指摘したように、ハンドピースの基端から出るケーブルまたはホースは、ハンドピースの動きに対してトルクの形態の抵抗を一般的に作り出す。従って、使用者がハンドピースを新しい場所に動かしたり、このハンドピースをほぼ同じ場所で向きを直したりしてハンドピースを操作した場合、ケーブルまたはホースはハンドピースの移動または新たな方向付けに抵抗する。従って、共用導管260の出口をハンドピース252の長手方向に沿って調整可能にすることは、ケーブルまたはホースにより一般的に作り出される抵抗の量を減らす。
【0085】
ケーブルまたはホースによって一般的に作り出される全体の抵抗を減らすことに加え、共用導管260の出口をハンドピース252の先端により近付けて移動させることはまた、ハンドピース252を動かしたり向け直したりした際に被る抵抗の変化を減らす。ハンドピース252が動かされるか、向け直されると、ケーブルまたはホースによって作り出される抵抗が変化する。抵抗の変更が移動または向け直しの方向および/またはこの移動の速度の少なくとも一部に起因する可能性があるけれども、この抵抗の変化は主としてケーブルまたはホースの出口のせいである。ここで論じたように、ハンドピースの出口と回転中心との間の距離が増大すると、より大きいトルクが作り出される。結果として、ケーブルまたはホースの出口がハンドピースの基端またはその近傍にある場合、ハンドピースの移動または向け直し中の抵抗の変化は、出口がハンドピースの先端により近付けられている場合に作り出される抵抗の変化よりも大きい。
【0086】
例えば
図14に関し、共用導管260がハンドピース252の基端254から外に延在している場合、共用導管260はハンドピース252の動きに対して抵抗を作り出す。加えて、ハンドピース252が動かされたり向け直しされたりすると、共用導管260によって作り出す抵抗が変化する。共用導管260がハンドピース252の先端により近い場所からハンドピース252を出る場合、共用導管260によって作り出される抵抗は減じられる。さらに、ハンドピース252を動かすか向け直した場合に共用導管260によって作り出される抵抗の変化もまた、共用導管260の出口がハンドピース252の先端の方に移動するので、減少する。共用導管260がハンドピース252の先端の近傍から(例えば共用導管260Aにより示すように)出る場合、その抵抗および共用導管260によって作り出される抵抗の変化は劇的に低下する。このような構成において、抵抗および抵抗の変化はゼロ近傍か、少なくともごくわずかなレベルまで低下する。
【0087】
次の表は、出口を先端側に配した結果として生ずるトルクの大きさがハンドピースの基端またはその近傍に出口を配した場合よりも著しく小さいことを明示している。多数のハンドピースに接続したケーブルおよび/またはホースに起因するトルクを測定した。特に、11の異なる器具に関するトルクを種々の高さおよび種々の向きにて測定した。器具1〜4はハンドピースの基端から延在している電力ケーブルを含む通常の電気外科器具である。器具5〜10はハンドピースの基端から延在している電力ケーブルおよび煙排除ホースの両方を含む電気外科器具である。2つの異なる出口から延在した共用導管260を持つ電気外科器具250に関するトルクもまた測定された。第1の出口は、
図12に示すように基端254にある。第2の出口は、
図13に示すように使用者入力装置266の下にある。
【0088】
表1は、ハンドピースが水平な向き(すなわちハンドピースの基端および先端がほぼ同じ高さにある)にある場合の11の器具と関連するトルクを含む。これに対し、表2は、ハンドピースの先端がその基端よりも下方に配された45°の角度にハンドピースを保持した場合の11の器具と関連するトルクを含む。器具が異なる向きにある場合のトルクの測定に加え、ハンドピースを異なる高さ(すなわち2.5ft,3ft,3.5ftおよび4ft)に保持した場合のトルクもまた測定した。
【0089】
表1および表2はまた、評価した器具のそれぞれに関する他の基本的な情報を含む。この情報は、ハンドピースの長さと、ハンドピースおよび関連するケーブル/ホースの質量と、ハンドピースの回転中心とハンドピースの両端との間の距離とを含む。試料全体に一貫性を与えるため、ハンドピースの基端に最も近くにある使用者入力ボタンの場所をそれぞれのハンドピースの回転中心に決定した。
【0092】
表1および表2の資料から見ることができるように、通常の電気外科器具の電力ケーブルは水平な向きにおいて0.65oz.in.から3.5oz.in.まで、傾斜させた向きにおいて0.7oz.in.から3.5oz.in.までに及ぶトルクを作り出す。同様に、器具5〜10の電力ケーブルおよびホースは水平および傾斜させた向きの両方において1.5oz.in.から7.5oz.in.までに及ぶトルクを作り出す。ハンドピースの高さが増大すると、それぞれの器具でのトルクが概ね増大することが認められる。これは、ハンドピースの高さが増大すると、電力ケーブルおよび/または排除ホースのぶら下がった部分の長さ、つまり重量が増大するので、理解できる。
【0093】
電気外科器具250に関し、共用導管260からのトルクは、共用導管260が使用者入力装置266の近傍からハンドピース252を出る場合よりも、共用導管がハンドピース252の基端254から出る場合の方が実質的により高いことが指摘される。特に、共用導管がハンドピース252の基端254から出る場合、共用導管260はハンドピース252の高さに応じて5oz.in.から7oz.in.までに及ぶトルクを作り出す。これに対し、共用導管260が使用者入力装置266の近傍からハンドピース252を出る場合、共用導管260はトルクを作り出さないか、またはほんのわずかなレベルのトルクを作り出す。従って、共用導管260の出口をハンドピース252の長手方向に沿って調整できるようにしたことにより、使用者はおよそ0oz.in.からおよそ7oz.in.、またはそれ以上にまで及ぶトルクを与えるために電気外科器具250をカスタマイズすることができる。
【0094】
上述した実施形態の特徴は相互に排除しないことが理解される。むしろ、当業者は記述した特徴を必要または希望に応じて組み合わせおよび/または修正できることを認識しよう。例えば、さまざまな溝システムの溝は概ね滑らかな内面を有することができ、またはこれらをディテントと共に形成することができ、これらの何れかはそのいずれかが概ね滑らかな外面を持つケーブル/ホース/導管を収容することができる。他方、溝が滑らかな面またはディテントを持つかどうかにかかわらず、そこに形成されたそれ自身にディテントを持つケーブル/ホース/導管を収容することができる。
【0095】
さらに、2つの対向する側方溝と単一の長手溝を有するようにいくつかの溝システムを示すと共に記述しているけれども、本発明による溝システムを単一の側方溝のみか、単一の長手溝のみか、多数の側方溝か、多数の長手溝か、あるいはこれらを組み合わせて形成することができることを理解されよう。例えば、溝システムはハンドピースの長手方向に沿ってそれぞれがハンドピースの同じ側に出る1本以上の側方溝を含むことができる。溝システムはまた、ハンドピースのそれぞれの側にある多数の側方溝を有することができる。さらに、溝システムは電気ケーブルのためのいくつかの大きさに作られ、排除ホースのためのいくつかの大きさに作られた多数の溝を有することができる。またさらに、溝システムは電気ケーブルおよび排除ホースを同じ溝に同時に収容して選択的に保持するように構成した1本以上の溝を有することができる。
【0096】
ここに記述した実施形態は調整可能な共用導管を持つ電気外科器具を対象としているけれども、本発明が電気外科器具にのみ限定されることは意図していない。どちらかと言えば、本発明はここで記述したような調整可能な共用導管を有するあらゆる手持ち器具を概括的に対象としている。より詳細には、本発明は手持ち器具からの共用導管の出口の選択的な調整を手持ち器具の基端と先端との間で可能にする溝システムを有するあらゆる手持ち器具を含む。このような手持ち器具の例は、歯科用の器具(例えばドリル,研磨工具,歯石除去器,圧縮空気工具,吸引工具,洗浄工具,カリエス検出工具,水掃除工具(例えばウォーターピック))と、はんだ付け工具(例えば加熱工具,煙採取工具、はんだ除去工具)と、高速研削および研磨工具(例えば Dremel 工具,彫刻工具,マニキュア工具、歯科ラボ用研削機/研磨機)と、レーザー処理器具と、外科用レーザー器具と、光プローブと、吸引ハンドル(例えば Yankauer)と、噴射工具(例えばサンドブラスト、グリットブラスト)と、衝撃波治療工具と、超音波治療工具と、超音波プローブ工具と、超音波外科工具と、接着剤塗布器具と、グルーガンと、空気圧ピペットと、溶接工具と、RFしわ治療ハンドピースと、水晶体ハンドピースと、剪断機と、ひげそり器またはかみそりハンドピースと、微小ドリルハンドピースと、真空ハンドピースと、小物取り扱いハンドピースと、入れ墨針ハンドルと、小トーチハンドピースと、電気ハンドピースと、低速研削研磨および彫刻工具と、パーマネントメーキャップ用ハンドピースと、電気プローブハンドピースと、強磁性外科ハンドピースと、外科用吸引器具(例えば脂肪吸引カニューレ)と、外科的吸引カニューレと、微小皮膚剥離ハンドピースと、光ファイバーカメラのハンドルと、極小カメラハンドピースと、pHプローブハンドピースと、光ファイバーおよびLED光源ハンドピースと、ハイドロサージェリーハンドピースと、整形外科用ひげそり器と、カッターと、木材燃焼工具と、電気ねじ回しと、電子パッドスタイラスなどとを含むが、これらに限定されない。
【0097】
さらに、本発明は共用導管の出口を調整できる手持ち器具に限定されない。どちらかと言えば、本発明はまた手持ち器具を含み、共用導管がそこに接続されると共にこれが手持ち器具の基端以外の場所から延在する手持ち器具を含む。例えば、共用導管の出口は手持ち器具の長手方向に沿って調整可能でなくてもよい。そうであっても、共用導管の出口を4 持ち器具の先端から離れた手持ち器具の長手方向に沿った1つの場所に位置させることができる。
【0098】
よりさらに詳細には、手持ち器具はこの器具の基端と先端との間のほぼ中間に配された中央部を有することができる。共用導管の出口を手持ち器具の中央部あたりか、または手持ち器具の中央部と先端との間に位置させることができる。手持ち器具はまた、中央部と基端との間のほぼ中央に配された四分の三部を有することができる。換言すれば、手持ち器具の長さのおよそ四分の一が基端と四分の三部との間に配され、また手持ち器具の長さの四分の三がこの四分の三部と先端との間に配されている。共用導管の出口を手持ち器具の四分の三部あたりか、または手持ち器具の四分の三部と先端との間に位置させることができる。
【0099】
例として、
図5のケーブル160Aおよび160Bか、
図8のケーブル210Aおよび210Bか、
図9のケーブル222Aか、
図10および
図13の共用導管260か、または
図14の共用導管260Aと同様に、出口を手持ち器具の中央部近傍か、または手持ち器具の中央部と先端との間に位置させることができる。出口は同じく手持ち器具の中央部および基端の間のが、手持ち器具の基端から先で位置決めされることができる。出口が固定または調整可能であるか否かにかかわらず、これを手持ち器具の基端から離して位置決めすることは、共用導管からの抵抗を減らし、これによって手持ち器具の使用者が被る疲労を減少させる。
【0100】
本発明は、その精神または必須の特性から逸脱することなく、他の特定な形態で具体化することができる。記述した実施形態が単なる例示であってすべての点で限定されないように考慮すべきである。従って、本発明の範囲は前述の説明ではなく添付した特許請求の範囲によって示されている。特許請求の範囲の趣旨および均等の範囲内にあるすべての変更は、その範囲内に包含されるべきである。