特許第6174402号(P6174402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6174402焼成セッターおよびセラミック積層基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174402
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】焼成セッターおよびセラミック積層基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/10 20060101AFI20170724BHJP
   C04B 35/64 20060101ALI20170724BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   B28B11/10
   C04B35/64
   H05K3/46 H
   H05K3/46 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-148786(P2013-148786)
(22)【出願日】2013年7月17日
(65)【公開番号】特開2015-20304(P2015-20304A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2016年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森兼 圭一
(72)【発明者】
【氏名】井口 翔太朗
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−232774(JP,A)
【文献】 特開平04−338172(JP,A)
【文献】 特開2011−096821(JP,A)
【文献】 特開昭63−176990(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0263552(US,A1)
【文献】 特開2005−239462(JP,A)
【文献】 特開平08−151274(JP,A)
【文献】 特開2011−247502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 11/00−19/00
C04B 35/64
H05K 3/46
F27D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面に導体が形成されたセラミック積層基板を載置した状態で該セラミック積層基板の焼成処理を行う焼成セッターにおいて、
前記セラミック積層基板との接触面に複数の凸部が設けられており、これら凸部が前記セラミック積層基板の焼成時の収縮に伴う前記導体の移動軌跡と干渉しない位置に配列されていることを特徴とする焼成セッター。
【請求項2】
請求項1の記載において、セラミック積層基板がLTCC基板であると共に、前記焼成セッターの基材がアルミナ成分とガラス成分を含有する材料で構成されており、このガラス成分の配合比率が10〜20%の範囲に設定されていることを特徴とする焼成セッター。
【請求項3】
グリーンシートを焼成するときに外表面の導体が収縮に伴って移動する軌跡を確認する軌跡確認工程と、
前記軌跡確認工程で得られたデータに基づいて表面に複数の凸部が設けられた焼成セッターを加工するセッター加工工程と、
前記セッター加工工程で得られた焼成セッターにグリーンシートを載置した状態でセラミック積層基板に焼成する基板焼成工程と、
を備え、前記焼成セッターに設けられた前記凸部の配列パターンが前記基板焼成工程での収縮に伴って移動する前記導体の軌跡と干渉しない位置に設定されていることを特徴とするセラミック積層基板の製造方法。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記セッター加工工程が、前記凸部に対応する開口が穿設された金属板を作製する工程と、前記金属板と複数のグリーンシートを積層した状態で加圧することにより、該グリーンシートの一部を前記金属板の前記開口内に変位させて凸部付きシートを作製する工程と、前記凸部付きシートを焼成して前記焼成セッターを作製する工程とを含んでいることを特徴とするセラミック積層基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTCC基板等のセラミック積層基板を焼成する際に用いられる焼成セッターと、焼成セッターを用いたセラミック積層基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)基板は低導通抵抗体であるAgまたはCuを配線パターンやビア等の導体として使用したセラミック積層基板の一種であり、優れた電気的特性を有しているため高周波回路基板や車載用ECU基板等として各種分野で広く採用されている。
【0003】
このようなLTCC基板は、基板材料であるグリーンシートに超微細配線導体を印刷したりビア用の孔開け加工を施した後、そのグリーンシートを平板状の焼成セッターに複数積層した状態で焼成炉内に搬入し、これを約850℃〜1000℃の温度範囲で焼成することによって製造することができる。その際、焼成工程でグリーンシートのガラス成分が表面に溶け出すため、溶けたガラス成分が焼成セッターの表面に付着し、グリーンシートと焼成セッターが溶融接合してしまうという不具合が発生する。
【0004】
そこで従来より、グリーンシートと接触する焼成セッターの表面に規則性をもった凹凸を形成し、この凹凸によってグリーンシートと焼成セッターの接触面積を低減するという技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような焼成セッターを用いてグリーンシートを焼成すると、焼成時に収縮するグリーンシートの反りや歪みを焼成セッターで抑制しつつ、ガラス成分の溶融に起因するグリーンシートと焼成セッターの接着を凹凸によって防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−225186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述したセラミック積層基板の製造工程において、焼成時にグリーンシートが収縮すると、それに伴ってグリーンシートの外表面に形成された配線パターンやビア等の導体が収縮方向へ移動するため、これら導体が焼成セッターの表面と擦れ合いながら移動することになる。ここで、特許文献1に開示された従来技術のように、焼成セッターの表面に規則性をもった凹凸が設けられていると、グリーンシートと焼成セッターの接着を抑制することは可能であるが、焼成時に収縮する導体の表面に焼成セッターの凸部と擦れ合う擦れ傷や、擦れによる導体の変形が発生し易くなり、このことがキズ不良を含めて製品の歩留まりを低下させる大きな要因となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、セラミック積層基板の外表面に露出する導体に擦れ傷や擦れに伴う変形等のキズ不良が発生しにくい焼成セッターを提供することにあり、第2の目的は、そうした導体のキズ不良を低減することができるセラミック積層基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するために、本発明は、外表面に導体が形成されたセラミック積層基板を載置した状態で該セラミック積層基板の焼成処理を行う焼成セッターにおいて、前記セラミック積層基板との接触面に複数の凸部が設けられており、これら凸部が前記セラミック積層基板の焼成時の収縮に伴う前記導体の移動軌跡と干渉しない位置に配列されているという構成にした。
【0009】
このような構成の焼成セッターを用いてセラミック積層基板の基板材料であるグリーンシートを焼成すると、グリーンシートと焼成セッターの接触面積が凸部によって低減されるため、グリーンシートが焼成セッターの表面に溶融接合してしまうことを防止でき、しかも、グリーンシートの外表面に露出する導体が焼成時の収縮に伴って位置変動しても、焼成セッターの凸部が導体の移動軌跡と干渉しない位置に配列されているため、焼成時に発生する導体の擦れ傷や、擦れによる導体の変形を低減することができる。
【0010】
この場合において、セラミック積層基板がLTCC基板であると共に、焼成セッターの基材がアルミナ成分とガラス成分を含有する材料で構成されており、このガラス成分の配合比率が10〜20%の範囲に設定されていることが好ましい。このような構成を採用すると、焼成セッターがLTCC基板の基板材料であるグリーンシートと同じアルミナ成分とガラス成分で構成されるため、安価に焼成セッターを作製することが可能になり、しかも、焼成セッターのガラス成分の配合比率が10〜20%とLTCC基板に比べてかなり低く設定されているため、焼成時にLTCC基板側と焼成セッター側のガラス成分が溶融して接着することを防止できる。
【0011】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明によるセラミック積層基板の製造方法は、グリーンシートを焼成するときに外表面の導体が収縮に伴って移動する軌跡を確認する軌跡確認工程と、前記軌跡確認工程で得られたデータに基づいて表面に複数の凸部が設けられた焼成セッターを加工するセッター加工工程と、前記セッター加工工程で得られた焼成セッターにグリーンシートを載置した状態でセラミック積層基板に焼成する基板焼成工程と、を備え、前記焼成セッターに設けられた前記凸部の配列パターンが前記基板焼成工程での収縮に伴って移動する前記導体の軌跡と干渉しない位置に設定されているようにした。
【0012】
本発明は、自由収縮タイプのグリーンシートは焼成時に中心に向かって放射状に収縮していく特性があることに着目し、例えばCAD(Computer Aided Design)を用いて収縮前後の導体配置を結ぶ軌道の確認データを取得した後、その取得データに基づいて複数の凸部が設けられた焼成セッターを作製するようにしたので、かかる焼成セッターにグリーンシートを載置して焼成するとき、グリーンシートの外表面に露出する導体が焼成時の収縮に伴って位置変動しても、導体は焼成セッターの凸部と接触することなく収縮方向へ移動する。したがって、グリーンシートと焼成セッターの接触面積を凸部によって低減した上で、焼成時に発生する導体の擦れ傷や、擦れによる導体の変形を低減することができ、表面平滑性を確保するために必要とされる最終工程の研磨を省略することができる。このように、導体のキズ不良を低減して歩留まりの良好なセラミック積層基板を製造することができる。
【0013】
この場合において、セッター加工工程が、凸部に対応する開口が穿設された金属板を作製する工程と、この金属板と複数のグリーンシートを積層した状態で加圧することにより、該グリーンシートの一部を金属板の開口内に変位させて凸部付きシートを作製する工程と、この凸部付きシートを焼成して焼成セッターを作製する工程とを含んでいると、焼成セッターを簡単かつ安価に作製することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の焼成セッターは、セラミック積層基板との接触面に複数の凸部が設けられているので、セラミック積層基板の基板材料であるグリーンシートが焼成セッターに溶融接合してしまうことを防止でき、しかも、グリーンシートの外表面に露出する導体が焼成時の収縮に伴って位置変動しても、焼成セッターの凸部が導体の移動軌跡と干渉しない位置に配列されているため、焼成時に発生する導体の擦れ傷や、擦れによる導体の変形を低減することができる。
【0015】
また、本発明によるセラミック積層基板の製造方法は、グリーンシートの外表面の導体が焼成に伴って収縮する前後の移動軌跡を予めデータとして取得しておき、このデータに基づいて複数の凸部が設けられた焼成セッターを作製するようにしたので、かかる焼成セッターを用いて実際にグリーンシートを焼成するとき、導体が焼成時の収縮に伴って位置変動しても、導体は焼成セッターの凸部と接触することなく収縮方向へ移動する。したがって、グリーンシートと焼成セッターの接触面積を凸部によって低減した上で、焼成時に発生する導体の擦れ傷や、擦れによる導体の変形を低減することができ、導体のキズ不良を低減して歩留まりの良好なセラミック積層基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態例に係るセラミック積層基板の焼成工程を示す説明図である。
図2図1の焼成工程におけるグリーンシートの収縮状態を示す説明図である。
図3】実施形態例に係るセラミック積層基板の製造工程を示すフローチャートである。
図4図3中のセッタ加工工程における焼成セッターの作製工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本実施形態例に係る焼成セッター1は、セラミック積層基板であるLTCC基板2との接触面に複数の凸部3が設けられており、この焼成セッター1を用いてLTCC基板2が製造されるようになっている。
【0018】
LTCC基板2の基板材料であるグリーンシート4は、アルミナ成分とガラス成分を含む原料粉末にバインダーや溶剤等を混練してスラリーを作り、これをドクターブレード成形機を用いてシート状に成形したものであり、アルミナ成分とガラス成分の配分比率は5対5となっている。そして、このグリーンシート4にAgペーストの印刷や孔開け加工をして導体5を形成した後、そのグリーンシート4を焼成セッター1に複数積層した状態で焼成炉内に搬入し、これを約830℃〜870℃で焼成することによってLTCC基板2が製造される。
【0019】
焼成セッター1はアルミナ成分とガラス成分を含有する複数のグリーンシートを積層して焼成したものであり、そのグリーンシートにおけるアルミナ成分とガラス成分の配分比率は9対1〜8対2の範囲、つまりアルミナ成分に対するガラス成分の配合比率が10〜20%の範囲に設定されている。このように焼成セッター1はLTCC基板2と同様のグリーンシートを焼成して構成されたものであるが、そのグリーンシートにおけるガラス成分の配合比率がLTCC基板2のグリーンシート4に比べてかなり小さい値に設定されている。
【0020】
焼成セッター1にグリーンシート4を載置して焼成すると、グリーンシート4は図1の矢印方向に移動して破線で示す状態に収縮する。ここで、図2に示すように、焼成前のグリーンシート2の実線で示す位置にそれぞれ導体5a,5b,5cが形成されていると、焼成後のグリーンシート2は中心Oに向かって破線で示すように収縮し、それに伴って各導体5a,5b,5cもそれぞれ中心Oに向かって破線で示す位置まで移動する。なお、図2では導体5(5a,5b,5c)としてAgビアを例示して説明したが、配線パターンやランド等の他の導体5についても同様に収縮する。そして、これら導体5(5a,5b,5c)の収縮前後の移動軌跡を見越して、焼成セッター1に導体の軌跡を避けた位置に複数の凸部3が形成されており、具体的には、導体5a,5b,5cが収縮前後で図2の実線位置から破線位置まで移動する線上に凸部3は形成されておらず、それ以外の領域に複数の凸部3がバランス良く配列されている。
【0021】
次に、本実施形態例に係るLTCC基板2(セラミック積層基板)の製造方法を図3図4を参照しつつ説明する。
【0022】
まず、図3のステップS−1で示すように、LTCC基板2の基板材料であるグリーンシート4を焼成するときに外表面の導体5が収縮に伴って移動する軌跡を確認する(軌跡確認工程)。この軌跡確認工程では、例えばCADの同一画面上に収縮前と収縮後の導体位置を表示し、収縮前後の導体配置を直線で結ぶことによって軌道の確認データを取得する。
【0023】
次に、図3のステップS−2で示すように、ステップS−1で取得されたCADデータに基づいて、表面に複数の凸部3が設けられた焼成セッター1を作製する(セッター加工工程)。このセッター加工工程では、図4(a)に示すように、CADデータに基づいて凸部3の形成位置や形状(円形、四角形、三角形等)あるいは大きさ等を導体5の収縮軌道に合わせて最適に設定した加工データを作成し、この加工データを用いて凸部3に対応する開口が穿設された樹脂フィルム6と、凸部3に対応する開口が穿設された金属板7とをそれぞれ作製する。ここで、樹脂フィルム6にはPET,PP,PE等の剥離性に富んだ材質が用いられ、金属板7にはSUS等の耐食性に優れた材料が用いられ、両者の加工方法には金型、ドリル、レーザー、エッチング等が適宜用いられる。
【0024】
そして、SUS等からなる下部平滑板8上に離型のためのPETフィルム9を重ね、その上に焼成セッター1の基材である前述のグリーンシート10を所定の枚数重ね、さらに最上層のグリーンシート10に樹脂フィルム6と金属板7を順次重ね合わせる。最後に、金属板7の上に離型のためのPETフィルム11とSUS等からなる上部平滑板12を重ねた状態で、図4(b)に示すように、上部平滑板12を下部平滑板8側に向けて所定の圧力(例えば50MPa)で加圧すると、図4(c)に示すように、グリーンシート10の一部が金属板7と樹脂フィルムの開口内に変位する。しかる後、図4(d)に示すように、上下の平滑板8,12とPETフィルム9,11を離型して凸部付きシート13を作製し、この凸部付きシート13を850℃〜900℃で焼成することにより、表面に複数の凸部3が設けられた前述の焼成セッター1を作製する。なお、金属板7と下部平滑板8および上部平滑板12に離型剤を塗布等の手段を用いて付着しておけば、樹脂フィルム6や上下のPETフィルム9,11を省略することができる。
【0025】
このようにしてセッター加工工程で焼成セッター1を作製した後、図3のステップS−3で示すように、この焼成セッター1にLTCC基板2の基板材料であるグリーンシート4を載置して焼成する(基板焼成工程)。この基板焼成工程において、凸部3が設けられた焼成セッター1の接触面に複数のグリーンシート4を積層載置し、この状態で約830℃〜870℃で焼成することによってLTCC基板2が製造される。その際、グリーンシート4の外表面に露出する導体5は焼成時の収縮に伴って位置変動するが、焼成セッター1の凸部3が導体5の移動軌跡と干渉しない位置に配列されているため、導体5は焼成セッター1の凸部3と接触することなく収縮方向へ移動する。したがって、グリーンシート4と焼成セッター1の接触面積を凸部3によって低減した上で、焼成時に発生する導体5の擦れ傷や、擦れによる導体の変形を低減することができ、導体5のキズ不良を低減して歩留まりの良好なLTCC基板2を製造することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態例に係る焼成セッター1は、LTCC基板2との接触面に複数の凸部3が設けられているので、焼成時にLTCC基板2の基板材料であるグリーンシート4が焼成セッター1の接触面に溶融接合してしまうことを防止でき、しかも、グリーンシート4の外表面に露出する導体5が焼成時の収縮に伴って位置変動しても、焼成セッター1の凸部3が導体5の移動軌跡と干渉しない位置に配列されているため、焼成時に発生する導体5の擦れ傷や、擦れによる導体の変形を低減もしくは完全になくすことができる。
【0027】
また、本実施形態例に係る焼成セッター1では、焼成セッター1の基材がLTCC基板2と同様のグリーンシートを用いて構成され、そのグリーンシート10のアルミナ成分に対するガラス成分の配合比率が10〜20%の範囲に設定されているため、焼成セッター1を安価に作製することが可能になり、しかも、焼成セッター1のガラス成分の配合比率がLTCC基板2に比べてかなり低く設定されているため、焼成時にLTCC基板2側と焼成セッター1側のガラス成分が溶融して接着することを防止できる。
【0028】
また、本実施形態例に係るLTCC基板2の製造方法は、予めグリーンシート4の外表面の導体5が焼成に伴って収縮する前後の移動軌跡を確認データとして取得しておき、このデータに基づいて複数の凸部3が設けられた焼成セッター1を作製するようにしたので、かかる焼成セッター1を用いて実際にグリーンシート4を焼成するとき、導体5は焼成セッター1の凸部3と接触することなく収縮方向へ移動する。したがって、グリーンシート4と焼成セッター1の接触面積を凸部3によって低減した上で、焼成時に発生する導体4の擦れ傷や、擦れによる導体の変形を低減もしくは完全になくすことができ、導体5のキズ不良を低減して歩留まりの良好なLTCC基板2を製造することができる。
【0029】
しかも、本実施形態例に係るLTCC基板2の製造方法では、焼成セッター1を加工するセッター加工工程が、凸部3に対応する開口が穿設された金属板7を作製する工程と、この金属板7と複数のグリーンシート10を積層した状態で加圧することにより、該グリーンシート10の一部を金属板7の開口内に変位させて凸部付きシート13を作製する工程と、この凸部付きシート13を焼成して焼成セッター1を作製する工程とを含んでいるため、焼成セッター1を簡単かつ安価に作製することができる。
【0030】
なお、上記実施形態例では、セラミック積層基板としてLTCC基板2を例示して説明したが、本発明による焼成セッターとセラミック積層基板の製造方法をHTCC(High Temperature Co-fired Ceramics)基板に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 焼成セッター
2 LTCC基板(セラミック積層基板)
3 凸部
4 グリーンシート
5,5a,5b,5c 導体
6 樹脂フィルム
7 金属板
8 下部平滑板
9,11 PETフィルム
10 グリーンシート
12 上部平滑板
13 凸部付きシート
図1
図2
図3
図4