(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記次のマークが読み取られている場合のマークレベルが前記次のマークの有無の判定値以上である場合、前記設定手段は、前記次のマークの有無の判定値を維持することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
前記白レベルと印字品質に影響を与えるか否かを判定する閾値との比較に基づいて前記用紙の劣化を検出する第1検出手段と、前記用紙の劣化が検出された場合に、当該用紙の劣化を示すアラームを通知する通知手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の印刷装置。
前記所定回数読み取られたマークレベルが前記許容範囲内に収まらない場合に、前記通知手段は、濃度むらがあることを示すアラームを通知することを特徴とする請求項3又は4に記載の印刷装置。
前記次のマークの有無の判定値が書き込み回数に制限のある記憶媒体に記憶される場合には、前記次のマークの有無の判定値の設定は、用紙の交換時に実行されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
前記次のマークの有無の判定値が書き込み回数に制限のない記憶媒体に記憶される場合には、前記次のマークの有無の判定値の設定は、マーク毎に実行されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
用紙あり検出用の閾値及び用紙なし検出用の閾値と、前記センサの出力レベルとに基づいて、前記用紙の有無を検出する第2検出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷装置。
前記センサは、前記用紙に光を照射する発光部を備え、前記印刷装置は、前記発光部の劣化を検出する第3検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の印刷装置。
用紙なし時の前記センサの出力レベルの履歴に基づいて、前記センサの劣化を検出する第4検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2のマーク検出方法では、用紙の振動によるマーク検出への影響が考慮されていない。例えば、用紙は搬送時に振動しているので、マーク検出時のセンサレベルも上下動する。このため、高精度でマークを検出するためには、用紙の振動によるマーク検出への影響を検出されたセンサレベルから取り除く必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、高精度にマーク検出を行うことができる印刷装置及びマーク検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載の印刷装置は、光学式センサと、用紙上のマークを所定回数読み取ったセンサの出力レベルであるマークレベルの平均値を算出し、当該平均値に応じた許容範囲を算出する算出手段と、前記所定回数読み取られたマークレベルが前記許容範囲内に収まる場合に、前記用紙の非マーク領域を読み取ったときのセンサの出力レベルである白レベルと前記平均値との中間値を次のマークの有無の判定値として設定する設定手段と、前記次のマークが読み取られている場合のマークレベルが前記次のマークの有無の判定値未満である場合、当該次のマークが検出されたと判定する判定手段とを備えることを特徴とする。かかる構成によれば、用紙の振動によるマーク検出への影響をマークレベルの所定回数の平均値及び許容範囲を使って除去しているので、高精度にマーク検出を行うことができる。
【0008】
好ましくは、前記次のマークが読み取られている場合のマークレベルが前記次のマークの有無の判定値以上である場合、前記設定手段は、前記次のマークの有無の判定値を維持することを特徴とする。かかる構成によれば、マークが検出されない場合には、当該次のマークの有無の判定値が更新されないので、マークの誤検出を抑えることができる。
【0009】
好ましくは、印刷装置は、前記白レベルと印字品質に影響を与えるか否かを判定する閾値との比較に基づいて前記用紙の劣化を検出する第1検出手段と、前記用紙の劣化が検出された場合に、当該用紙の劣化を示すアラームを通知する通知手段とを備えることを特徴とする。かかる構成によれば、用紙の劣化を検出することにより、高精度にマーク検出を行うことを補助できる。
【0010】
好ましくは、前記通知手段は、前記所定回数読み取られたマークレベルの最大値及び最小値を通知することを特徴とする。かかる構成によれば、マークレベルの最大値及び最小値を参照して、ユーザは用紙の交換を判断することができる。
【0011】
好ましくは、前記所定回数読み取られたマークレベルが前記許容範囲内に収まらない場合に、前記通知手段は、濃度むらがあることを示すアラームを通知することを特徴とする。かかる構成によれば、用紙の異常で印刷装置が停止する前に、ユーザは用紙を交換することができる。
【0012】
好ましくは、前記次のマークの有無の判定値が書き込み回数に制限のある記憶媒体に記憶される場合には、前記次のマークの有無の判定値の設定は、用紙の交換時に実行されることを特徴とする。かかる構成によれば、記憶媒体の製品寿命を伸ばすことができる。
【0013】
好ましくは、前記次のマークの有無の判定値が書き込み回数に制限のない記憶媒体に記憶される場合には、前記次のマークの有無の判定値の設定は、マーク毎に実行されることを特徴とする。かかる構成によれば、マーク毎に高精度にマーク検出を行うことができる。
【0014】
好ましくは、印刷装置は、用紙あり検出用の閾値及び用紙なし検出用の閾値と、前記センサの出力レベルとに基づいて、前記用紙の有無を検出する第2検出手段を備えることを特徴とする。かかる構成によれば、用紙の有無を検出することができる。
【0015】
好ましくは、印刷装置は、前記用紙あり検出用の閾値及び前記用紙なし検出用の閾値を変更する変更手段を備えていることを特徴とする。かかる構成によれば、用紙あり検出用の閾値及び用紙なし検出用の閾値を変更することができる。
【0016】
好ましくは、前記センサは、前記用紙に光を照射する発光部を備え、前記印刷装置は、前記発光部の劣化を検出する第3検出手段をさらに備えることを特徴とする。かかる構成によれば、センサの出力レベルの変動がマークの濃度むらによるのか又はセンサの劣化によるのかを判断できる。
【0017】
好ましくは、印刷装置は、用紙なし時の前記センサの出力レベルの履歴に基づいて、前記センサの劣化を検出する第4検出手段をさらに備えることを特徴とする。かかる構成によれば、センサの劣化を検出することにより高精度にマーク検出を行うことを補助できる。
【0018】
本明細書に記載のマーク検出方法は、用紙上のマークを所定回数読み取ったセンサの出力レベルであるマークレベルの平均値を算出し、当該平均値に応じた許容範囲を算出する算出工程と、前記所定回数読み取られたマークレベルが前記許容範囲内に収まる場合に、前記用紙の非マーク領域を読み取ったときのセンサの出力レベルである白レベルと前記平均値との中間値を次のマークの有無の判定値として設定する設定工程と、前記次のマークが読み取られている場合のマークレベルが前記次のマークの有無の判定値未満である場合、当該次のマークが検出されたと判定する判定工程とを含むことを特徴とする。かかる構成によれば、用紙の振動によるマーク検出への影響をマークレベルの所定回数の平均値及び許容範囲を使って除去しているので、高精度にマーク検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高精度にマーク検出を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照し説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る印刷装置と情報処理装置との接続関係を示す図である。本実施の形態に係る印刷装置は、例えば、サーマルプリンタ1である。尚、本実施の形態に係る印刷装置は、用紙上のマークを読み取ることによって、用紙の位置決めを行う装置であればよく、サーマルプリンタに限定されるものではない。用紙の位置決めを行うためのマークは用紙の片面に印刷されていてもよいし、両面に印刷されていてもよい。また、本実施の形態では、マークは、所定の間隔(例えば10cm)で用紙に印刷されている。マークの幅方向は、用紙の搬送方向と平行である。
【0023】
情報処理装置は、
図1の例では、コンピュータ2であるが、例えば、携帯電話又はタブレット端末などでもよい。コンピュータ2は、サーマルプリンタ1とデータ通信を行う。例えば、コンピュータ2は、サーマルプリンタ1に印字データを送信し、サーマルプリンタ1は印字データを記録用紙に印刷する。
【0024】
図2は、サーマルプリンタの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、サーマルプリンタ1は、オペレーションパネル10、メカユニット20、制御回路ユニット30を備え、バッテリ60が接続される。
【0025】
また、制御回路ユニット30内には、電源制御回路33及びMCU(Micro Control Unit)36が設けられている。電源制御回路33は、MCU36と接続されており、バッテリ60から制御回路ユニット30に供給される電力を制御する。MCU36は、サーマルプリンタの全体の制御を行う。バッテリ60は、本実施の形態に用いられるサーマルプリンタの電源の供給源である。
【0026】
オペレーションパネル10は、電源スイッチ11、用紙送りスイッチ12及びLED(Light Emitting Diode)13及び入力部14により構成されている。電源スイッチ11は、ユーザにより操作されて、電源をオン、オフするための制御信号を制御回路ユニット内の電源制御回路33に伝え、電源のオン、オフの制御を行う。この電源スイッチ11としては、押しボタンスイッチ等が用いられる。
【0027】
用紙送りスイッチ12は、ユーザによる用紙送り操作のためのスイッチである。用紙送りスイッチ12はオペレーションパネル制御回路35を介して用紙送り用のコマンドをMCU36に送信する。LED13は、オペレーションパネル制御回路35を介してMCU36からの指示に応じて発光する。尚、LED13の代わりに、MCU36からの情報を表示する液晶表示パネルが搭載されてもよい。LED13及び液晶表示パネルは通知手段として機能する。変更手段として機能する入力部14は、オペレーションパネル制御回路35を介してMCU36にデータ(例えば、用紙あり検出用の閾値、用紙なし検出用の閾値など)を入力する。
【0028】
メカユニット20は、サーマルヘッド21、用紙送りモータ22、ヘッド温度検出サーミスタ23、カバーオープン検出センサ24及び光学式センサとしてのフォトセンサ25により構成されている。
【0029】
サーマルヘッド21は、直線的に並んだ発熱抵抗体に選択的に電位を与えて発熱させ、この熱により反応する感熱紙等の用紙に文字やイメージデータを印刷する。用紙送りモータ22は、ステッピングモータにより構成されており、用紙を搬送するために使用される。ヘッド温度検出サーミスタ23は、サーマルヘッド21の温度を検出する。カバーオープン検出センサ24はメカユニット20を覆うカバーの開閉状態を検出する。フォトセンサ25は、マークや用紙の有無の検出のために使用される光学式読取センサであり、発光素子及び受光素子を有する。発光素子は光を用紙に照射し、受光素子は用紙からの反射光を受信し、反射光をアナログ信号としてA/D変換回路42に出力する。尚、マークが用紙の両面に印刷されている場合に対処するため、メカユニット20は複数のフォトセンサ25を有してもよい。この場合、フォトセンサ25は用紙のおもて面と裏面にそれぞれ対向するように配置される。
【0030】
制御回路ユニット30は、電源制御回路33及びMCU36のほか、サーマルヘッド駆動回路31、モータ駆動回路32、センサ検出回路34、オペレーションパネル制御回路35、発振器37、インターフェース(I/F)回路38、リセット回路39、RAM(Random Access Memory)40、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)41及びA/D変換回路42を備えている。例えば、MCU36は、算出手段、設定手段、判定手段及び第1〜第4検出手段として機能する。
【0031】
サーマルヘッド駆動回路31は、MCU36からの指示に応じて、サーマルヘッド21を駆動する。モータ駆動回路32は、MCU36からの指示に応じて、用紙送りモータ22へ駆動電流を供給する。センサ検出回路34は、カバーオープン検出センサ24で検出された信号をMCU36に出力する。オペレーションパネル制御回路35は、MCU36からの指示に応じてLED13のオン・オフを制御するとともに、用紙送りスイッチ12からの制御信号をMCU36へ出力する。さらに、オペレーションパネル制御回路35は、入力部14からのデータをMCU36へ出力する。
【0032】
発振器37は、所定周波数のクロック信号をMCU36に供給する。インターフェース(I/F)回路38は、コンピュータ2から印字データやコマンドを受信すると共に、コンピュータ2からのコマンドに対する応答信号をコンピュータ2に返信する。また、リセット回路39は、サーマルプリンタ1の電源がオフになると、MCU36にリセット要求信号を出力してサーマルプリンタ1を初期状態にする。
【0033】
RAM40は、揮発性メモリであり、コンピュータ2から入力された受信データを一時的に記憶したり、処理途中のデータを一時的に記憶する。EEPROM41は不揮発性メモリであり、MCU36が実行するためのソフトウエア等を内蔵しており、MCU36からの要求に応じて読み出される。A/D変換回路42は、フォトセンサ25からのアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換したデジタル信号をMCU36に出力する。つまり、MCU36は、A/D変換回路42を介してフォトセンサ25からの出力値(レベル)を受信する。
【0034】
図12は、サーマルプリンタの構成を示す図である。尚、
図2の構成と同一の構成は、同一の参照番号で示す。
【0035】
サーマルプリンタ1は、情報処理装置2と接続され、MCU36を有する。さらに、サーマルプリンタ1は、サーマルヘッド21、フォトセンサ25、モータ駆動回路32、感熱紙51、センサ駆動回路52、用紙ガイド53、用紙送りモータ22、及びプラテン54を有する。センサ駆動回路52は、A/D変換回路42を含む。MCU36は、フォトセンサ25、センサ駆動回路52及びモータ駆動回路32に接続されている。モータ駆動回路32は、MCU32からの駆動信号に応じて、用紙送りモータ22を駆動させる。用紙送りモータ22は、感熱紙51をサーマルヘッド21に押し付けるプラテン54を回転駆動させる。プラテン54の回転駆動により感熱紙51は矢印B方向に搬送される。サーマルヘッド21は、プラテン54、フォトセンサ25及び用紙ガイド53と対向して配置されており、MCU36からの印字データに基づいて、感熱紙51に熱を印加し、感熱紙51に文字やイメージデータを印刷する。MCU36は、A/D変換回路42を介してフォトセンサ25からの出力値(レベル)を受信すると共に、センサ駆動回路52を介してフォトセンサ25を駆動する。フォトセンサ25は用紙ガイド53の中央部に装着されている。フォトセンサ25が装着された用紙ガイド53はプラテン54とロール状の感熱紙51との間に配置されている。サーマルヘッド21のプラテン54側の端部近傍に用紙切断位置が設定されている。
【0036】
図3は、MCU36で実行されるメインルーチンの処理の一例を示すフローチャートである。
【0037】
まず、電源スイッチ11の操作によりプリンタ電源がオンされると(ステップS1)、MCU36は、初期化処理を実行する(ステップS2)。初期化処理では、サーマルプリンタ1の動作に必要な各種情報をMCU36の内部RAMに設定する。尚、サーマルプリンタ1の動作に応じて、内部RAMに設定した各種情報の値は変化する。
【0038】
次いで、MCU36は、リセット回路39からリセット要求があるか否かを判断し(ステップS3)、リセット要求がある場合には、手順はステップS2に戻る。リセット要求がない場合には、MCU36は、プリンタ状態遷移判定処理を実行する(ステップS4)。具体的には、MCU36は、サーマルプリンタ1の状態が変化したかの判定を行い、サーマルプリンタ1の状態が変化した場合には、コンピュータ2へサーマルプリンタ1の状態を通知する。
【0039】
次いで、MCU36は、サーマルプリンタ1がエラー状態であるか否かを判断する(ステップS5)。サーマルプリンタ1がエラー状態である場合には(ステップS5でYES)、手順はステップS3に戻る。
【0040】
サーマルプリンタ1がエラー状態でない場合には(ステップS5でNO)、コンピュータ2からの受信データがあれば、MCU36は、この受信データから印刷に関する各コマンドを抽出して実行するためのコマンド解析処理を行う(ステップS6)。尚、コンピュータ2からの受信データは、タイマ割込処理によって受信されて、所定の領域に格納されるが、この処理の説明は省略する。
【0041】
次いで、MCU36は、コンピュータ2からの受信データに印字データが含まれているか否かを判断する(ステップS7)。印字データが含まれていない場合には(ステップS7でNO)、手順はステップS3に戻る。印字データが含まれている場合には(ステップS7でYES)、MCU36は、印字起動処理を実行し、印字処理を開始する(ステップS8)。具体的には、印字データをサーマルヘッド21に転送し、印字ステップ数を設定し、タイマ割込処理により用紙送りモータ22のステップ数と同期させて印字を実行する。
【0042】
図4は、
図3のコマンド解析処理を示すフローチャートである。
【0043】
MCU36は、コンピュータ2から受信したコマンドデータを解析する(ステップS11)。MCU36は、当該コマンドデータが印字データであるか否かを判別する(ステップS12)。当該コマンドデータが印字データである場合には(ステップS12でYES)、MCU36は、コマンドデータをサーマルヘッド21で利用可能な印字データに変換する印字データ展開処理を実行し(ステップS13)、本処理を終了する。
【0044】
当該コマンドデータが印字データでない場合には(ステップS12でNO)、MCU36は、当該コマンドデータが状態通知要求であるか否かを判別する(ステップS14)。当該コマンドデータが状態通知要求である場合には(ステップS14でYES)、MCU36は、コンピュータ2へサーマルプリンタ1の状態を通知する状態通知処理を実行し(ステップS15)、本処理を終了する。
【0045】
当該コマンドデータが状態通知要求でない場合には(ステップS14でNO)、MCU36は、当該コマンドデータがマーク検出要求であるか否かを判別する(ステップS16)。当該コマンドデータがマーク検出要求である場合には(ステップS16でYES)、MCU36は、後述するマーク検出処理及びマーク有無の判定値の設定処理を実行し(ステップS17)、本処理を終了する。当該コマンドデータがマーク検出要求でない場合には(ステップS16でNO)、MCU36は、各コマンド内容に応じたコマンド解析処理を実行し(ステップS18)、本処理を終了する。
【0046】
図5は、
図4のマーク有無の判定値の設定処理を示すフローチャートである。
図6(A)は、フォトセンサの出力レベルと用紙上のマークとの関係を示す図であり、
図6(B)は、マークが読み取られている場合のフォトセンサの出力レベル(即ち、マークレベル)を示す図であり、
図6(A)の領域Aの拡大図である。
【0047】
図5において、用紙の読み取りが開始され、MCU36は、A/D変換回路42を介してフォトセンサ25の出力レベルを受信する(ステップS21)。次に、MCU36は、フォトセンサ25の出力レベルに基づいて用紙があるか否かを判別する(ステップS22)。
【0048】
用紙有無の判別方法は、
図7を用いて説明する。
図7は、フォトセンサの出力レベルの一例を示す図である。
図7の実線は、マークを読み取った場合のフォトセンサ25の出力レベルを示す。
図7の破線は、用紙がない場合のフォトセンサ25の出力レベルを示す。ここでは、マーク幅が5mmの用紙を使用している。また、例えば、用紙送りモータ22は用紙を1ステップあたり0.125mm搬送する。この場合、用紙送りモータ22の40ステップが5mmのマーク幅に対応する。
【0049】
フォトセンサ25が非マーク領域を読み取っている場合、即ち、用紙の白色領域を読み取っている場合、フォトセンサ25の出力レベルは約4.8Vである。この出力レベルを白レベル(LW)という。そして、マークが読み取られる場合には、用紙の搬送に応じてフォトセンサ25の出力レベルは徐々に低下する、また、用紙がない場合も、フォトセンサ25の出力レベルは低下する。これは、マーク又は用紙搬送路では光の反射率が低下するためである。マークが読み取られている場合のフォトセンサ25の出力レベルの最小値をLMとする。
【0050】
図7に示すように、マークを読み取り中のフォトセンサ25の出力レベルは低下するが、マーク読み取り後は、フォトセンサ25の出力レベルは、元の出力レベル(即ち白レベル)に戻る。一方、用紙がない場合には、フォトセンサ25の出力レベルは、元の出力レベル(即ち白レベル)に戻らず、マーク読み取り時のLMよりも更に低下する。
【0051】
本実施の形態では、例えば、用紙あり検出用の閾値が初期値として4.0Vに設定され、用紙なし検出用の閾値が初期値として1.0Vに設定されている。この場合、フォトセンサ25の出力レベルが4.0V以上である場合に、MCU36は用紙ありと判定し、フォトセンサ25の出力レベルが1.0V以下である場合に、MCU36は用紙なしと判定する。用紙あり検出用の閾値及び用紙なし検出用の閾値は、RAM40又はEEPROM41に記憶されている。用紙あり検出用の閾値及び用紙なし検出用の閾値は、入力部14又はコンピュータ2によって変更可能である。
【0052】
例えば、用紙ありの場合の白レベルは約4.8Vであるので、用紙あり検出用の閾値は白レベル以下の4.6Vに設定できる。この場合、フォトセンサ25の出力レベル(白レベル)が4.6V以上の場合に、MCU36は、用紙ありと判定する。一方、用紙が変色するなど劣化している場合、用紙からの反射光量が低下し、用紙の白色領域を読み取ったフォトセンサ25の出力が例えば4.5Vとなり、用紙あり検出用閾値に達しない可能性がある。このような場合には、用紙あり検出用の閾値を4.6Vから4.3Vに変更してもよいし、あるいは、後述するように、MCU36がコンピュータ2に用紙の劣化を示すアラームを通知してもよい。また、用紙をすぐに交換できない場合は、印字濃度の低下を抑えるために、MCU36は用紙への印加エネルギーを高めてもよい(例えば、サーマルヘッド21の温度を上げてもよい)。
【0053】
また、フォトセンサ25の出力レベルが用紙なし検出用の閾値(1.0V)よりも低下する場合には、MCU36は、用紙なしと判別する。例えば、用紙交換時におけるフォトセンサ25の出力レベルが0.3Vである場合は、用紙なし検出用の閾値を1.0Vから0.6Vに変更してもよい。
【0054】
得られるフォトセンサ25の出力レベルは、周辺の構造物からの光の反射やフォトセンサ25の劣化により変動する。特に、サーマルプリンタ1が長時間使用される場合、フォトセンサ25は劣化する。MCU36は、用紙無しの場合(つまり用紙がセットされていない場合)のフォトセンサ25の出力レベルからフォトセンサ25の劣化を検出してもよい。例えば、
図11に示すように、用紙なし時のフォトセンサ25の出力レベルが0.5Vであり、次の用紙なし時のフォトセンサ25の出力レベルが0.4Vである場合、MCU36は、フォトセンサ25の出力レベルが0.1V低下している(即ちフォトセンサ25が劣化している)と判定し、出力レベルが0.1V低下していることを示すフォトセンサ25の劣化情報をコンピュータ2に通知してもよい。つまり、MCU36は、読み取られたフォトセンサ25の出力レベル及びフォトセンサ25の出力レベルの履歴に基づいて、フォトセンサ25の劣化を検出することができる。
【0055】
図5に戻り、ステップS22で、用紙がない場合には(NO)、MCU36は、用紙なしを示すアラームをコンピュータ2に通知し(ステップS23)、本処理を終了する。尚、LED13が用紙なしを示すアラームをユーザに通知してもよい。
【0056】
一方、用紙がある場合には(ステップS22でYES)、MCU36は、非マーク領域を読み取ったフォトセンサ25の出力レベル(即ち白レベル)が、印字品質に影響を与えるかどうかを判定するための判定用閾値以上であるか否かを判別する(ステップS24)。ここでは、用紙の変色(きばみ)による用紙の劣化を検出している。例えば、劣化していない用紙の白レベルが4.8Vであるとする。用紙の変色より白レベルが約10%低下する(4.3V)と、印字濃度も1.0(正常値)から0.7に低下する。この場合、用紙にデータを印字しても見えにくい。そこで、印字品質に影響を与える閾値を、例えば正常な白レベルの95%(約4.6V)とする。この印字品質に影響を与える閾値は、予めRAM40及びEEPROM41に記憶しておく。白レベルが印字品質に影響を与える閾値未満である場合は、MCU36は、用紙が劣化していると判断する。一方、白レベルが印字品質に影響を与えるかどうかを判定するための判定用閾値以上である場合はその用紙が印字品質に影響を与えないものであるとして、MCU36は、用紙が正常であると判断する。
【0057】
白レベルが印字品質に影響を与えるかどうかを判定するための判定用閾値未満である場合(ステップS24でNO)、MCU36は、用紙の劣化を示すアラームをコンピュータ2に通知し(ステップS25)、本処理を終了する。この場合、用紙にデータを印字しても見えにくいので、コンピュータ2を介してユーザに用紙の交換を促すことができる。尚、LED13が用紙の劣化を示すアラームをユーザに通知してもよい。
【0058】
白レベルが印字品質に影響を与える閾値以上である場合(ステップS24でYES)、MCU36は、マークを読み取っているフォトセンサ25の出力レベル(以下、単にマークレベルという)を受信すると共に、受信したマークレベルがマークレベルの最大値である場合には、受信したマークレベルをマークレベルの最大値として、受信したマークレベルがマークレベルの最小値である場合には、受信したマークレベルをマークレベルの最小値として、RAM40又はEEPROM41に記憶する(ステップS26)。 尚、後述するように、フォトセンサ25は1つのマークに対して複数回のマークレベルの読み取りを行うので、マークレベルの最大値及び最小値は、マークレベルの読み取りが行われるたびに適宜更新される。
【0059】
次に、MCU36は、1つのマークに対する所定回数(複数回)のマークレベルの読み取りが完了したか否かを判別する(ステップS27)。所定回数は例えば、1つのマーク幅を用紙送りモータ22の1ステップあたりの搬送距離で除算することにより得られる回数とする。1つのマークに対する所定回数のマークレベルの読み取りが完了していない場合には(ステップS27でNO)、手順はステップS26に戻る。
【0060】
1つのマークに対する所定回数のマークレベルの読み取りが完了した場合には(ステップS27でYES)、MCU36は、
図6(B)に示すように、所定回数読み取られたマークレベルの平均値及び許容範囲を算出する(ステップS28)。この許容範囲は、ステップS28で算出された平均値に所定値を増減した範囲である。例えば、所定回数読み取られたマークレベルの平均値が0.8Vで、所定値が0.3Vである場合、許容範囲は、0.5〜1.1Vである。
【0061】
次に、MCU36は、所定回数読み取られたマークレベルがいずれも許容範囲内に収まるか否かを判別する(ステップS29)。ここでは、マークレベルのばらつきが許容範囲内に収まるかを判断している。
【0062】
所定回数読み取られたマークレベルが許容範囲内に収まらない場合(ステップS29でNO)、MCU36は、マークに濃度むらがあることを示すアラームと、RAM40又はEEPROM41に記憶されたマークレベルの最大値及び最小値とをコンピュータ2に通知し(ステップS30)、本処理を終了する。この場合、マークに濃度むらがあることをコンピュータ2を介してユーザに通知できる。従って、用紙の異常でサーマルプリンタ1が停止する前に、ユーザは用紙を交換することができる。尚、LED13がマークに濃度むらがあることを示すアラームをユーザに通知してもよい。また、LED13の代わりに液晶表示パネルが搭載される場合には、液晶表示パネルがマークに濃度むらがあることを示すアラームとマークレベルの最大値及び最小値とを表示する。
【0063】
所定回数読み取られたマークレベルが許容範囲内に収まる場合には(ステップS29でYES)、MCU36は白レベルとステップS28で算出された平均値との中間値を、次のマークの有無の判定値として設定し、RAM40又はEEPROM41に記憶する(ステップS31)。例えば、
図6(A)では、中央のマークの有無の判定値は、左のマークの白レベルV1とステップS28で左のマーク読み取りの結果算出されたマークレベルの平均値V2の中間値である(即ち、(V1+V2)/2)。右のマークの有無の判定値は、中央のマークの白レベルV3とステップS28で中央のマーク読み取りから算出されたマークレベルの平均値V4の中間値である(即ち、(V3+V4)/2)。
【0064】
最後に、MCU36は、RAM40又はEEPROM41に記憶されたマークレベルの最大値及び最小値をコンピュータ2に通知し(ステップS32)、本処理を終了する。これにより、ユーザは、マークレベルの最大値及び最小値を参照して、用紙の交換を判断することができる。
【0065】
ステップS26〜ステップS31では、フォトセンサ25が1つのマークを複数回読み取り、MCU36は、複数回読み取られたマークレベルの平均値を使って許容範囲を算出し、読み取られたマークレベルが許容範囲内に収まるか否かを判別するので、用紙搬送時のマークレベルの検出のバラツキによるマークの誤検出を抑えることができる。
【0066】
図8は、
図4のマーク検出処理を示すフローチャートである。
【0067】
フォトセンサ25がマークの読み取りを開始すると(ステップS41)、即ち、フォトセンサ25の出力レベルが低下し始めると、MCU36は、フォトセンサの出力レベルが
図5のステップS31で設定されたマークの有無の判定値未満であるか否かを判別する(ステップS42)。
【0068】
マークレベルがマークの有無の判定値未満である場合には(ステップS42でYES)、MCU36は、マークが検出されたと判定し(ステップS43)、読み取られた白レベルとマークレベルの平均値とから次のマークの有無の判定値を設定する(ステップS44)。
図6(A)の例では、中央のマーク読み取り時のフォトセンサの出力レベルが判定値(V1+V2)/2を下回るので、マーク検出と判定される。手順はステップS41に戻る。このように、MCU36は、マークの検出時に、次のマークの有無の判定値を設定、即ち更新するので、マークの濃淡によりフォトセンサ25の出力レベルが変動しても、高精度にマーク検出を行うことができる。
【0069】
フォトセンサの出力レベルがマークの有無の判定値以上である場合には(ステップS42でNO)、MCU36は、マークが検出されないと判定し、マークの不検出を示すアラームをコンピュータ2に通知する(ステップS45)。
図6(A)の例では、右側のマークに対するフォトセンサの出力レベルが判定値(V3+V4)/2を下回らないため、マーク未検出と判断される。これにより、コンピュータ2を介してユーザに用紙の交換を促すことができる。この場合、MCU36は、マークの有無の判定値を更新せずに、前回のマーク読み取り時に設定した判定値を維持する(ステップS46)。これにより、マークを検出できたときに設定されたマークの有無の判定値が次のマークの有無の判定値として使用されるので、マークの誤検出を抑えることができる。手順はステップS41に戻る。
【0070】
ところで、EEPROM41では、書き込み回数に制限がある。一方、RAM40では、書き込み回数に制限がない。
【0071】
従って、マークレベルの最大値及び最小値並びにマークの有無の判定値を記憶する記憶媒体としてEEPROM41が使用される場合には、MCU36は、用紙交換時のみマークの有無の判定値を設定するか、用紙交換時のみマークの有無の判定値をEEPROM41へ記憶する。この場合、用紙交換時に設定されたマークの有無の判定値が当該用紙の全てのマークに対して使用される。これにより、EEPROM41の書き込み回数が抑えられる。
【0072】
マークレベルの最大値及び最小値並びにマークの有無の判定値を記憶する記憶媒体としてRAM40が使用される場合には、MCU36は、マーク毎にマークの有無の判定値を設定する。この場合、マークレベルの最大値及び最小値並びにマークの有無の判定値がマーク毎に更新される。
【0073】
上記の実施例では、フォトセンサ25の出力レベルが変動する原因としてマークの濃淡を検討したが、以下、フォトセンサ25の出力レベルが変動する原因としてフォトセンサ25の発光量の経時変化を検討する。
【0074】
図9は、フォトセンサの構成を示すブロック図である。
【0075】
フォトセンサ25は、発光部251及び受光部252を有する。発光部251は、ダイオード251aを有し、ダイオード251aのアノードがバッテリ60の5V端子に接続され、ダイオード251aのカソードが抵抗253を介してバッテリ60の0V端子に接続されている。受光部252は、トランジスタ252aを有し、トランジスタ252aのエミッタが抵抗254を介してバッテリ60の0V端子に接続されている。トランジスタ252aのコレクタはバッテリ60の5V端子に接続されている。
【0076】
発光部251は光を用紙に照射し、受光部252は用紙からの反射光を受信する。受光部252が受信した反射光は、配線255を介して電圧信号としてA/D変換回路42に出力される。A/D変換回路42で変換された電圧信号はフォトセンサの出力レベルとしてMCU36に出力される。
【0077】
発光部251では、
図10に示すように、時間経過に従って、発光部251に流れる電流の変化率が減少する。この変化率は、最初に発光部251に流れる電流を1とした場合の発光部251に流れる電流の割合を示す。つまり、発光部251に流れる電流(即ち、発光量)は時間経過に従って徐々に減少する。この結果、受光部252の受光量が減少し、フォトセンサ25の出力レベルが低下し、マークの誤検出が発生する場合がある。
【0078】
そこで、発光部251に流れる電流変化を電圧変化として検出するために、ダイオード251aのカソードが配線256を介してA/D変換回路42に接続されている。これにより、MCU36はA/D変換回路42を介してフォトセンサ25の特性低下、即ち発光部251の電圧降下による発光量の減少を検出する。これにより、MCU36は、フォトセンサの出力レベルの変動がマークの濃度むらによるのか、又はフォトセンサ25の特性低下(即ち劣化)によるのかを判断できる。
【0079】
本実施の形態によれば、MCU36は、所定回数のマークレベルの平均値を算出し、当該平均値に応じた許容範囲を算出し、所定回数読み取られたマークレベルが許容範囲内に収まる場合に、白レベルと上記平均値との中間値を次のマークの有無の判定値として設定し、次のマークが読み取られている場合のマークレベルが次のマークの有無の判定値未満である場合、当該次のマークが検出されたと判定する。よって、用紙の振動によるマーク検出への影響をマークレベルの所定回数の平均値及び許容範囲を使って除去しているので、高精度にマーク検出を行うことができる。
【0080】
尚、上述したマークの検出に関する処理、即ち、
図5のマークの有無の判定値の設定処理及び
図8のマークの検出処理は、サーマルプリンタ1のような印刷装置以外にも適用可能である。例えば、
図5のマークの有無の判定値の設定処理及び
図8のマークの検出処理は、OCR(Optical Character Recognition)等でマークを検出する場合にも使用できる。
【0081】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。