特許第6174451号(P6174451)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174451
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】電動ドライバ
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   B25B23/14 620J
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-219437(P2013-219437)
(22)【出願日】2013年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-80833(P2015-80833A)
(43)【公開日】2015年4月27日
【審査請求日】2016年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】肥田 浩和
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−35339(JP,A)
【文献】 特開2002−254354(JP,A)
【文献】 特開平9−76166(JP,A)
【文献】 実開昭59−17902(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0248893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25F 5/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ドライバ本体と、該電動ドライバ本体に外付けされる電動ドライバアクセサリと、を備える電動ドライバであって、
前記電動ドライバ本体は、
ドライバハウジングと、
該ドライバハウジング内に配置された電動ドライバ駆動制御回路と、
前記ドライバハウジングの後端面に設けられた第1の電源コード保持孔と、
前記電動ドライバ駆動制御回路に接続され前記第1の電源コード保持孔を介して前記ドライバハウジングの外部に通される電源コードと、
該電源コードの外周に固定された電源コード固定用環状部材と、
を備え、
前記電動ドライバアクセサリは、前記ドライバハウジングの後端部に固定されるアクセサリハウジングであって、前記電動ドライバ本体からの前記電源コードを通して前記電源コード固定用環状部材を係合固定することを可能とするサイズの第2の電源コード保持孔を有するアクセサリハウジングを備え、
前記第1の電源コード保持孔は、前記電源コード固定用環状部材を前記第2の電源コード保持孔に固定した状態において、当該第1の電源コード保持孔を通る前記電源コードとの間に隙間を生じるサイズとされ、前記電動ドライバ駆動制御回路から所要の信号を取り出すための信号線を、該隙間を通して配線することができるようにした、電動ドライバ。
【請求項2】
前記電源コード固定用環状部材は、前記ドライバハウジングの前記第1の電源コード保持孔に係合して固定される形状とされ、
前記電源コードは、前記電源コード固定用環状部材を、前記第1の電源コード保持孔から外して前記ドライバハウジングの外側に延ばされ、前記電動ドライバ本体に取り付けられた状態における前記アクセサリハウジングの前記第2の電源コード保持孔に係合して固定できる長さを有している、請求項1に記載の電動ドライバ。
【請求項3】
前記電動ドライバアクセサリが、
前記アクセサリハウジング内に配置された表示制御回路であって、前記電動ドライバ駆動制御回路と、当該電動ドライバの外部にある外部制御回路と、のうちの少なくとも一方に接続され、該少なくとも一方から受信した信号に基づき当該電動ドライバの操作に関する信号を発信する表示制御回路と、
前記アクセサリハウジングに設けられた操作情報表示部であって、前記表示制御回路からの当該電動ドライバの操作に関する信号を受信して当該電動ドライバの操作に関する情報を表示する操作情報表示部と、
をさらに備える、請求項1又は2に記載の電動ドライバ。
【請求項4】
前記表示制御回路と前記電動ドライバ駆動制御回路とが、前記第1の電源コード保持孔の前記隙間を通って延在するように配置された前記信号線により接続されている、請求項3に記載の電動ドライバ。
【請求項5】
前記ドライバハウジングの前記後端部に、前記電動ドライバ本体を吊り下げるための吊り下げ用穴が設けられており、
前記アクセサリハウジングが、該アクセサリハウジングの外周面から内周面にまで貫通する貫通孔を有し、
該貫通孔を通って前記吊り下げ用穴に挿入されて前記アクセサリハウジングと前記ドライバハウジングの前記後端部とを連結する連結部材をさらに備える、請求項1乃至4の何れか一項に記載の電動ドライバ。
【請求項6】
前記アクセサリハウジングの前記貫通孔が雌ネジになっており、前記連結部材が前記雌ネジに螺合する雄ネジ部材とされている、請求項5に記載の電動ドライバ。
【請求項7】
前記アクセサリハウジングが、吊りフックを固定するための吊り下げ用穴を有する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の電動ドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドライバに関する。より具体的には、電動ドライバ内部の電動ドライバ駆動制御回路から当該電動ドライバの操作に関する所要の信号を取り出すための信号線を、電動ドライバのハウジングに追加工することなく設けることを可能とした電動ドライバに関する。
【背景技術】
【0002】
電動ドライバにおいて、該電動ドライバの駆動状態を作業者に知らせる表示手段を備えたものが知られている(特許文献1)。この電動ドライバにおいては、モータが駆動状態にあることを示すLEDと、規定以上のトルクが発生してモータが停止された状態であることを示すLEDとが電動ドライバ本体に備えられていて、モータの駆動状態が視覚的に確認できるようになっている。
【0003】
また、上述の電動ドライバのように表示器を内蔵するのではなく、電動ドライバの内部にある電動ドライバ駆動制御回路から所要の信号を取り出すための信号線を電動ドライバの外部に引き出して、電動ドライバ本体の外側に設けた表示器にその電気信号に基づく情報を表示するようにした電動ドライバもある(特許文献2)。この電動ドライバにおいては、電動ドライバのネジ締め作業における締め付けトルクを測定して、測定されたトルク値に基づいて制御装置がネジの締め付けの合否を示す信号を出力するようになっている。合否信号は、信号線を介して当該電動ドライバの外部に送られて、合否の結果がLED表示部に表示されるようになっている。
【0004】
上述のような、電動ドライバのモータの駆動状態を示す情報やネジ締め付けの合否を示す情報などは、電動ドライバを使用する全てのユーザが求めるものではなく、また、そのような情報が求められる場合でもユーザ毎に必要な情報は異なる場合が多い。そのため、各ユーザの個別のニーズに対応するために、従来は、特注品として所要信号を外部に取り出せるようにした電動ドライバや、所要情報を表示する機能を有する電動ドライバを製造していた。また、既に使用している電動ドライバから必要な信号を取り出したい場合もあるが、そのような場合には、電動ドライバの操作に関する信号を送信する信号線を電動ドライバ本体の外部に取り出すための穴を電動ドライバ本体に追加工して信号線を引き出すようにする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−83272号公報
【特許文献2】特開2003−53678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のような方法で電動ドライバに情報表示機能を付加したり、信号線を外部に引き出したりすることは繁雑で手間のかかる作業であるために、その作業をより簡易にできるようにすることが望まれていた。
【0007】
そこで本発明は、既存の電動ドライバから簡易な作業で信号線を外部に取り出すことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、
電動ドライバ本体と、該電動ドライバ本体に外付けされる電動ドライバアクセサリと、を備える電動ドライバであって、
前記電動ドライバ本体は、
ドライバハウジングと、
該ドライバハウジング内に配置された電動ドライバ駆動制御回路と、
前記ドライバハウジングの後端面に設けられた第1の電源コード保持孔と、
前記電動ドライバ駆動制御回路に接続され前記第1の電源コード保持孔を介して前記ドライバハウジングの外部に通される電源コードと、
該電源コードの外周に固定された電源コード固定用環状部材と、
を備え、
前記電動ドライバアクセサリは、前記ドライバハウジングの後端部に固定されるアクセサリハウジングであって、前記電動ドライバ本体からの前記電源コードを通して前記電源コード固定用環状部材を係合固定することを可能とするサイズの第2の電源コード保持孔を有するアクセサリハウジングを備え、
前記第1の電源コード保持孔は、前記電源コード固定用環状部材を前記第2の電源コード保持孔に固定した状態において、当該第1の電源コード保持孔を通る前記電源コードとの間に隙間を生じるサイズとされ、前記電動ドライバ駆動制御回路から所要の信号を取り出すための信号線を、該隙間を通して配線することができるようにした、電動ドライバを提供する。
【0009】
当該電動ドライバにおいては、電動ドライバ駆動制御回路から所要の信号を取り出したいときには、第1の電源コード保持孔の電源コードとの間に形成される隙間を通して信号線を引き出すことができるので、上述の従来技術のように、信号線を通すための穴をドライバハウジングに追加工する必要がなく簡易に信号線を外部に引き出すことが可能となる。
【0010】
好ましくは、
前記電源コード固定用環状部材は、前記ドライバハウジングの前記第1の電源コード保持孔に係合して固定される形状とされ、
前記電源コードは、前記電源コード固定用環状部材を、前記第1の電源コード保持孔から外して前記ドライバハウジングの外側に延ばされ、前記電動ドライバ本体に取り付けられた状態における前記アクセサリハウジングの前記第2の電源コード保持孔に係合して固定できる長さを有しているようにすることができる。
【0011】
このような構成とすることで、電動ドライバアクセサリの電動ドライバ本体への取付の前後で同じ電源コードを使用することができるので、電動ドライバアクセサリを取り付ける際に電源コードを交換したりその長さを延長したりする必要がなくなる。
【0012】
好ましくは、
前記電動ドライバアクセサリが、
前記アクセサリハウジング内に配置された表示制御回路であって、前記電動ドライバ駆動制御回路と、当該電動ドライバの外部にある外部制御回路と、のうちの少なくとも一方に接続され、該少なくとも一方から受信した信号に基づき当該電動ドライバの操作に関する信号を発信する表示制御回路と、
前記アクセサリハウジングに設けられた操作情報表示部であって、前記表示制御回路からの当該電動ドライバの操作に関する信号を受信して当該電動ドライバの操作に関する情報を表示する操作情報表示部と、
をさらに備えるようにすることができる。
【0013】
具体的には、前記表示制御回路と前記電動ドライバ駆動制御回路とが、前記第1の電源コード保持孔の前記隙間を通って延在するように配置された前記信号線により接続されているようにすることができる。
【0014】
電動ドライバアクセサリに電動ドライバの操作に関する情報を表示する機能を持たせることで、作業者が情報の確認をより容易かつ確実に行うことが可能となる。
【0015】
好ましくは、
前記ドライバハウジングの前記後端部に、前記電動ドライバ本体を吊り下げるための吊り下げ用穴が設けられており、
前記アクセサリハウジングが、該アクセサリハウジングの外周面から内周面にまで貫通する貫通孔を有し、
該貫通孔を通って前記吊り下げ用穴に挿入されて前記アクセサリハウジングと前記ドライバハウジングの前記後端部とを連結する連結部材をさらに備えるようにすることができる。
【0016】
具体的には、前記アクセサリハウジングの前記貫通孔が雌ネジになっており、前記連結部材が前記雌ネジに螺合する雄ネジ部材とされているようにすることができる。
【0017】
ドライバハウジングとアクセサリハウジングとの連結を、吊りフックを取り付けるために既に設けられている吊り下げ用穴を利用して行うようにすることで、電動ドライバ本体に追加工を行うことなく、電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に連結することが可能となる。
【0018】
好ましくは、前記アクセサリハウジングが、吊りフックを固定するための吊り下げ用穴を有するようにすることができる。
【0019】
吊りフックは、通常、電動ドライバの後端部に取り付けられるが、電動ドライバアクセサリが電動ドライバ本体の後端部に外付けされることで電動ドライバ本体に吊りフックが取り付けられなくなってしまった場合でも、電動ドライバアクセサリに吊りフックを取り付けられるようになるので、この吊りフックを利用して電動ドライバを所定の位置に吊すことが可能となる。
【0020】
以下、本発明に係る電動ドライバを添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る電動ドライバの上面図である。
図2図1の電動ドライバの側面図である。
図3】電動ドライバ本体の側面図である。
図4図3の電動ドライバ本体の断面図である。
図5図2の電動ドライバの断面図である。
図6】コード保持部材を示す図である。
図7A】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第1の図である。
図7B】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第2の図である。
図7C】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第3の図である。
図7D】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第4の図である。
図7E】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第5の図である。
図7F】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第6の図である。
図7G】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第7の図である。
図7H】電動ドライバアクセサリを電動ドライバ本体に取り付ける手順を示す第8の図である。
図8】種々の電動ドライバ本体を示す図である。
図9図8の種々の電動ドライバ本体の後端部の断面図である。
図10図8の種々の電動ドライバ本体の後端部の外周面に沿う形状を有する支持固定部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る電動ドライバ1は、図1及び図2に示すように、電動ドライバ本体10と、電動ドライバ本体10の後端部14に外付けされた電動ドライバアクセサリ50とからなる。電動ドライバアクセサリ50は、後述するように、電動ドライバ本体10に固定されていた電源コード32の電源コード固定用環状部材34を固定保持するようになっている。
【0023】
電動ドライバアクセサリ50が取り付けられる電動ドライバ本体10は、図3及び図4に示すように、筒状のドライバハウジング12と、ドライバハウジング12内に配置されたモータ20と、モータ20を駆動制御するための電動ドライバ駆動制御回路22とを備える。ドライバハウジング12の前端部16には、モータ20によって回転駆動されるビットホルダ26が設けられており、該ビットホルダ26にはドライバビット(図示しない)が取り付けられるようになっている。ドライバハウジング12の後端面15には電源コード保持孔28が形成されており、該電源コード保持孔28に電源コード32の外周に固定された電源コード固定用環状部材34を係合して固定することで、ドライバハウジング12から抜けないように保持している。電動ドライバ駆動制御回路22から延在し電源コード固定用環状部材34に至るまでの電源コード32の部分は、ドライバハウジング12内で折り畳まれて長さに余裕をもった状態で配置されている。ドライバハウジング12の後端部14には、ドライバハウジング12の外周面18からドライバハウジング12の長手軸線Lに直交する内側向きに延びる2つの吊り下げ用穴30が互いに対向する位置に形成されている。この2つの吊り下げ用穴30には、電動ドライバ本体10を吊り下げておくための吊りフック36が取り付けられる。ドライバハウジング12にはさらに、ドライバハウジング12の外から操作可能なように切替スイッチ38が設けられている。この切替スイッチ38は電動ドライバ駆動制御回路22に接続されており、切替スイッチ38を操作することによりモータ20の駆動方向が正転、逆転、又はニュートラルに切り替わるようになっている。この電動ドライバ本体10は、ビットホルダ26に保持されたドライバビットを押し込むように操作したときにモータ20が回転駆動されるようになっており、モータ20が正転駆動したときには右ネジを締める方向にビットホルダ26が回転し、モータ20が逆転駆動したときには右ネジを緩める方向にビットホルダ26が回転する。また、切替スイッチ38がニュートラルになっているときには、モータ20は駆動しない。
【0024】
電動ドライバ本体10の後端部14に外付けされる電動ドライバアクセサリ50は、図1図2及び図5に示すように、電動ドライバ本体10のドライバハウジング12に固定されるアクセサリハウジング58と、電動ドライバ本体10の後端部14の外周面18に固定されてアクセサリハウジング58を支持するリング状の支持固定部材52と、アクセサリハウジング58内に配置された表示制御回路78とを備える。支持固定部材52の内周面54は、後述するようにドライバハウジング12の後端部14の外周面18の形状に沿う形状とされており(図10)、ドライバハウジング12に固定されたときに、該ドライバハウジング12の外周面18との間に隙間が形成されないようになっている。支持固定部材52の外周面には段差形状を有する支持固定部56が形成されている。また、アクセサリハウジング58の内周面には段差形状を有する固定部60が形成されている。アクセサリハウジング58と支持固定部材52とは、リング状の支持固定部材52の軸線方向でアクセサリハウジング58の固定部60と支持固定部材52の支持固定部56とが嵌合した状態で固定される。
【0025】
アクセサリハウジング58は、支持固定部材52に嵌合する円筒状のアクセサリハウジング本体62と、光を透過する透明な材料で形成された光透過リング68と、コード保持部材70と、を備える。アクセサリハウジング58は、後述するように、アクセサリハウジング本体62とコード保持部材70との間に光透過リング68を挟持した状態で、アクセサリハウジング本体62とコード保持部材70とをネジ固定することで構成されている。表示制御回路78にはLEDが設けられており、表示制御回路78からの信号に応じて発光するようになっている。LEDの光は、光透過リング68を介して電動ドライバアクセサリ50の外から視認できるようになっていて、光透過リングが操作情報表示部として機能する。
【0026】
電動ドライバアクセサリ50が電動ドライバ本体10の後端部14に外付けされた状態では、図5に示すように、電源コード固定用環状部材34は、ドライバハウジング12の電源コード保持孔28から外されて、電動ドライバアクセサリ50のコード保持部材70に保持固定される。コード保持部材70は、図6に示すように、第1部材70−1及び第2部材70−2からなり、この第1部材70−1及び第2部材70−2の間に電源コード固定用環状部材34を固定保持する電源コード保持孔72が構成される。コード保持部材70の電源コード保持孔72に保持された電源コード32は、図5に示すように、ドライバハウジング12内の電動ドライバ駆動制御回路22から、ドライバハウジング12の電源コード保持孔28およびアクセサリハウジング58内を通って延在した状態となる。電動ドライバ駆動制御回路22には、電動ドライバ本体10の操作に関する信号を出力する信号出力端子24(図7B)が設けられている。一方、表示制御回路78には、電動ドライバ本体10からの信号を受信するための内部信号入力端子80(図7G)が設けられている。電動ドライバ駆動制御回路22の信号出力端子24と表示制御回路78の内部信号入力端子80との間は、内部信号用信号線82によって接続されている。この内部信号用信号線82は、電源コード固定用環状部材34が取り外されることによって電源コード32との間に隙間が形成された電源コード保持孔28を通って延在するように配線される。表示制御回路78にはさらに外部信号入力端子81(図7G)が設けられており、外部制御回路からの外部信号を送信する外部信号用信号線88が接続されるようになっている。この外部信号用信号線88は、その外周に固定された送信配線固定用環状部材90がコード保持部材70の第1部材70−1と第2部材70−2との間に形成された信号線保持孔74(図6)に固定保持されることで保持されている。なお、本実施形態においては、電源コード固定用環状部材34は、電源コード32の被覆部に固定され該被覆部よりもさらに大径となるように形成されているが、被覆部が電源コード保持孔28に直接係合して保持されるようにしてもよい。この場合には、電源コード保持孔28に係合する部分が電源コード固定用環状部分となる。
【0027】
電動ドライバ駆動制御回路22は、電動ドライバ1の操作に関する信号として、例えば、モータ20のON/OFFの状態、切替スイッチ38によって設定されている正転・逆転・ニュートラルの設定状態、ネジ締めの完了、モータ20の温度などを示す信号を信号出力端子24から出力する機能を有する。また、外部制御回路は、外部信号として、例えば、該外部制御回路に接続されている複数の電動ドライバのうちのどの電動ドライバを使用するべきであるか又はどの電動ドライバが使用可能であるかを示す信号を出力する機能を有する。電動ドライバアクセサリ50の表示制御回路78は、電動ドライバ駆動制御回路22及び外部制御回路から上述のような信号を受信し、受信した信号に応じて電動ドライバ1の操作に関する情報を、LEDを発光させることで作業者に対して表示するようになっている。電動ドライバ1の操作に関する情報としては、例えば、電動ドライバ1が使用可能であることを示す情報、電動ドライバ本体10の動作状態を示す情報、電動ドライバ本体10の修理点検を行う時期を示す情報、電動ドライバ本体10が強制的に停止された状態を示す情報、などがある。電動ドライバ1が使用可能であることを示す情報は、外部制御回路から送信される信号に基づき表示される。また、動作状態を示す情報には、具体的には、ビットホルダ26に規定のトルクが掛かってビットホルダ26の回転駆動が一時的に停止され、規定のトルクでのネジ締めが正常に完了したことを示す情報や、切替スイッチ38に設定されている、正転、逆転、及びニュートラルの状態を示す情報などが含まれる。また、修理点検を行う時期を示す情報は、使用開始時からのネジ締め完了の回数を積算してそれが規定値以上になったときや、モータ20の駆動時間を積算しそれが規定値以上になったとき、電動ドライバ本体10のモータ20がブラシモータである場合においてブラシモータのブラシが規定値以下にまで減ったとき、ビットホルダ26に規定のトルクが掛かってもモータ20が停止せず、ビットホルダ26の回転駆動が停止しないとき、などに表示される。また、電動ドライバ本体10が強制的に停止された状態を示す情報は、モータ20の温度が一定値以上にまで上昇してモータ20を冷却する必要があると判断されたときなどに表示される。
【0028】
本実施形態においては、操作情報の表示手段としてLEDの点灯/点滅を用いているが、これに代えて文字を表示できるディスプレイによって表示を行うようにすることもできる。その場合には、電動ドライバ本体10の操作に関する情報として、ネジ締めを正常に完了した回数や、モータ20の駆動時間の積算値等を数値で表示するようにしてもよいし、上述のような作業者に知らせる情報を文字で表示するようにしてもよい。
【0029】
なお、当該電動ドライバアクセサリ50に表示可能な情報は、1つではなく、例えば複数の異なる色のLEDを備えるようにするなどして、複数の情報を同時に表示するようにすることもできる。また、表示制御回路78は、どの情報を表示するようにするかをユーザの要求に応じて選択して設定可能となっている。
【0030】
表示制御回路78は、電動ドライバ1の操作に関する信号を発信する機能だけでなく、電動ドライバ駆動制御回路22や外部制御回路から受信した信号をデータとして蓄積しておく記録手段を有すると共に蓄積したデータを外部に転送するためのデータ出力端子としてUSB端子等を備えるようにすることもできる。蓄積されたデータを取り出して解析することにより、作業者が効率的に作業をしているかを管理することが可能となる。具体的には、逆転して駆動している回数が多い場合には、ネジの締め直し作業を多く行っている可能性が高いのでネジ締めのミスが多いと判断できるし、モータ20の駆動時間が長い場合には、無駄にモータ20を駆動させている時間が多いと判断することもできる。また、電動ドライバ本体10の修理調整の時期が迫っていることも分かるので、それに合わせて交換用の電動ドライバ本体10を事前に準備しておくこともできる。なお、上述した電動ドライバ操作情報表示器50にどの情報を表示するかの設定は、上記USB端子をコンピュータに接続して該コンピュータから表示制御回路78の設定を変更することにより行なうことができる。
【0031】
アクセサリハウジング58のコード保持部材70には、第1部材70−1及び第2部材70−2のそれぞれの外周面から長手軸線Lに直交する内側向きに開いた吊り下げ用穴76(図7G)が互いに対向するように形成されている。この2つの吊り下げ用穴76には、電動ドライバ本体10に取り付けられていた吊りフック36が取り付けられるようになっている。なお、吊りフック36が取り付けられる吊り下げ用穴76の底面には、第1部材70−1と第2部材70−2とを連結するネジ96が通るネジ穴95がコード保持部材70の中心に向かう方向にさらに延在するように設けられている。
【0032】
次に電動ドライバ本体10に電動ドライバアクセサリ50を外付けする手順を図7A乃至図7Hを参照しながら説明する。まず、電動ドライバ10の後端部14に取り付けられている吊りフック36(図4)を吊り下げ用穴30から外す。さらに電動ドライバ本体10の前端部16に取り付けられた円筒状のカバー40及びカップリング42を外し、ドライバハウジング12を構成する第1及び第2のハウジング部材12−1、12−2(図1)を連結している3つのネジ44−1,44−2、44−3を外して(図7A)、第1のハウジング部材12−1から第2のハウジング部材12−2を取り外す(図7B)。なお、ネジ44−1が通るネジ穴は、吊りフック36が取り付けられていた吊り下げ用穴30の底面からドライバハウジング12の中心に向かう方向にさらに延在するように設けられている。次に、電源コード固定用環状部材34をドライバハウジング12の電源コード保持孔28から外して、電源コード32のドライバハウジング12内に折り畳まれるように収納されていた部分を電源コード保持孔28から外部に引き出す。また、内部信号用信号線82の第1端部84を電動ドライバ駆動制御回路22の信号出力端子24に接続するとともに、電源コード保持孔28を通って延在するように配置する(図7C)。取り外していた第2のハウジング部材12−2を再び取り付けて3つのネジ44−1,44−2、44−3で第1及び第2のハウジング部材12−1、12−2を連結固定する(図7D)。次に、ドライバハウジング12の後端部14の外周面18にリング状の支持固定部材52を圧入して固定する(図7E)。上述のように支持固定部材52の内周面54の形状は、ドライバハウジング12の外周面18の形状に沿う形状となっているので、支持固定部材52の内周面54とドライバハウジング12の外周面18との間は実質的に隙間がない状態で固定される。なお、ドライバハウジング12と支持固定部材52との固定は、接着材により固定してもよい。次に、アクセサリハウジング本体62を、その固定部60が支持固定部材52の支持固定部56に軸線方向で嵌合するように、支持固定部材52に取り付ける(図7F)。アクセサリハウジング本体62の固定部60には外周面から内周面にまで貫通するネジ穴64(図5)が2つ設けられており、このネジ穴64に止めネジ92を螺合することでアクセサリハウジング58と支持固定部材52とが固定される。また、アクセサリハウジング本体62には、ドライバハウジング12の吊り下げ用穴30に対応する位置においてその外周面から内周面に貫通するネジ穴66がさらに2つ設けられており、雄ネジ部を有する連結部材94(図7G)がアクセサリハウジング本体62の内周面から突出してさらにドライバハウジング12の吊り下げ用穴30の中にまで延在するように、このネジ穴66に螺合されるようになっている。この連結部材94によって、アクセサリハウジング本体62がドライバハウジング12に連結支持されて電動ドライバ本体10から抜けないように保持される。次に、表示制御回路78の内部信号入力端子80にドライバハウジング12内から延在する内部信号用信号線82の第2端部86を接続する(図7G)。さらに光透過リング68の内側を通るようにして外部信号用信号線88の接続端子89を表示制御回路78の外部信号入力端子81に接続する。次に、コード保持部材70の第1部材70−1と第2部材70−2(図6)とを、電源コード固定用環状部材34と送信配線固定用環状部材90とがそれぞれ電源コード保持孔72と信号線保持孔74とに挟持された状態で、ネジ96をネジ穴95に通して連結固定する。連結固定されたコード保持部材70を、アクセサリハウジング本体62との間に表示制御回路78及び光透過リング68を挟んだ状態で、アクセサリハウジング本体62にネジ98で固定する。最後に、吊り下げ用穴76に吊りフック36を取り付けて、電動ドライバアクセサリ50の電動ドライバ本体10への取付作業が完了する(図7H)。
【0033】
このように、当該電動ドライバアクセサリ50は、既存の電動ドライバ本体10に対して追加工を施すことなく外付けすることが可能である。また、電源コード32は、電動ドライバアクセサリ50が取り付けられることを想定して、ドライバハウジング12の外に引き出されて、電源コード固定用環状部材34を表示器ハウジング58の電源コード保持孔72にまで移動させるのに十分な長さを有するようにドライバハウジング12内で折り畳まれて配置されている。そのため、電動ドライバアクセサリ50を取り付けるに際して、電源コード32を交換したり、電源コード32の長さを延長したりするなどの作業も必要ない。なお、電動ドライバアクセサリ50の取付の前後で必ずしも同じ電源コード32を使用する必要はなく、電動ドライバアクセサリ50の取り付けに際して、電源コードを別のものに交換するようにしてもよい。この場合には、電動ドライバアクセサリ50が取り付けられる前に電動ドライバ本体10に配置されている電源コードは、本実施形態のように折り畳まれるなどして長さに余裕を持った状態で配置されている必要はない。
【0034】
既存の電動ドライバ本体10の大きさ及び形状は図8a乃至8cに例示するように様々である。従って、ドライバハウジング12の後端部14の外周面18の大きさ及び形状も図9a乃至図9cに例示するよう様々である。そのため、アクセサリを外付けするには、通常、アクセサリ本体を電動ドライバの各種形状に合わせて複数用意する必要がある。しかし、本発明に係る電動ドライバアクセサリ50においては、電動ドライバ本体10の外周面18に直接係合固定される支持固定部材52が、アクセサリハウジング58とは別部材であるため、図10a乃至図10cに示すように各電動ドライバの外周面18の形状に合った内周面54を有する支持固定部材52さえ用意すれば、アクセサリハウジング58は形状の異なる電動ドライバ本体10に対して共通して使用することが可能となる。このように、当該電動ドライバアクセサリ50は、外周面18の形状の異なる様々な電動ドライバ本体10に対して隙間なく外付けしたい場合においても、構造が比較的に単純な支持固定部材52のみをその電動ドライバ本体10に合わせて準備するだけでよい。
【0035】
なお、上記実施形態においては、電動ドライバ1の操作に関する情報を表示する操作情報表示部として発光表示素子であるLEDを用い、該情報を視覚的に表示するようにしているが、他の発光表示素子とすることもできるし、また音声によって表示するようにしてもよい。また、表示制御回路78は、電動ドライバ駆動制御回路22と外部制御回路との両方に接続されるようになっているが、いずれか一方のみに接続するようにしてもよい。さらに、支持固定部材52は、必ずしもリング形状である必要はなく、アクセサリハウジング58を支持できる形状であればよい。支持固定部材52は、ドライバハウジング12と一体の部材として形成するようにしてもよいし、表示器ハウジング本体62と一体の部材として形成するようにしてもよい。
【0036】
上記実施形態では、支持固定部材52をドライバハウジング12の外周面18に圧入により固定するようにしているが、支持固定部材52に固定された表示器ハウジング58は連結部材94によりドライバハウジング12から抜けないように支持されているので、支持固定部材52は、必ずしもドライバハウジング12の外周面18に強固に固定されている必要はなく、表示器ハウジング58が連結部材94を軸として傾かないようにドライバハウジング12の外周面18に係合しているだけでもよい。
【符号の説明】
【0037】
電動ドライバ1;電動ドライバ本体10;ドライバハウジング12;第1のハウジング部材12−1;第2のハウジング部材12−2;後端部14;後端面15;前端部16;外周面18;モータ20;電動ドライバ駆動制御回路22;信号出力端子24;ビットホルダ26;電源コード保持孔28;長手軸線L;吊り下げ用穴30;電源コード32;電源コード固定用環状部材34;吊りフック36;切替スイッチ38;カバー40;カップリング42;ネジ44;電動ドライバアクセサリ50;支持固定部材52;内周面54;支持固定部56;アクセサリハウジング58;固定部60;アクセサリハウジング本体62;ネジ穴64;ネジ穴66;操作情報表示部、光透過リング68;コード保持部材70;第1部材70−1;第2部材70−2;電源コード保持孔72;信号線保持孔74;吊り下げ用穴76;表示制御回路78;内部信号入力端子80;外部信号入力端子81;内部信号用信号線82;第1端部84;第2端部86;外部信号用信号線88;接続端子89;送信配線固定用環状部材90;止めネジ92;連結部材94;ネジ穴95;ネジ96;ネジ98
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図7H
図8
図9
図10