特許第6174512号(P6174512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174512
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】組織修復機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   A61B17/56
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-75295(P2014-75295)
(22)【出願日】2014年4月1日
(62)【分割の表示】特願2011-537683(P2011-537683)の分割
【原出願日】2009年11月23日
(65)【公開番号】特開2014-176712(P2014-176712A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2014年4月1日
【審判番号】不服2016-10947(P2016-10947/J1)
【審判請求日】2016年7月20日
(31)【優先権主張番号】61/255,995
(32)【優先日】2009年10月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/117,987
(32)【優先日】2008年11月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/166,907
(32)【優先日】2009年4月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504048135
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】SMITH & NEPHEW,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・ジェイ・ブルク
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・デーヴィス
(72)【発明者】
【氏名】スコット・フリードマン
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 平瀬 知明
【審判官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−515273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04-17/062
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織修復機器であって、
持ち手であるとともに、この持ち手に対して結合されたカニューレを有した持ち手と;
前記持ち手内に配置されていてばねを付帯した押圧アセンブリであるとともに、前記カニューレ内に配置されたアクチュエータを前記ばねの付勢力に抗して押圧し得るよう構成され、これにより、前記アクチュエータの前進移動に基づき、縫合糸を導出し得るものとされた、押圧アセンブリと;
前記縫合糸に対して連結し得るよう構成されたまたは前記縫合糸に対して連結された固着点と;
前記縫合糸内に配置され、第2固着点に対して連結された結びと;
前記カニューレ内に配置された針と;
を具備し、
前記針が、前記縫合糸に対して連結された固着点を保持し得るよう構成され、
前記アクチュエータが、固着点を、前記針の遠位端から導出させ得るよう構成されており、
前記持ち手(11)には、溝(13)が形成され、この溝が、互いに長さが異なる第1部分(13a)と第2部分(13b)とを有し、
前記押圧アセンブリ(14)からは、ピン(14c)が延出され、このピンが、前記溝を通して延在しており、この溝の前記第1部分または前記第2部分によって選択的に案内されることを特徴とする組織修復機器。
【請求項2】
請求項1記載の組織修復機器において、
さらに、前記縫合糸の移送を開始し得るよう構成されたノブまたはスライダーを具備していることを特徴とする組織修復機器。
【請求項3】
請求項2記載の組織修復機器において、
前記ノブまたは前記スライダーが、ユーザー駆動デバイスとして機能することを特徴とする組織修復機器。
【請求項4】
請求項2または3記載の組織修復機器において、
前記ノブまたは前記スライダーが、前記アクチュエータを駆動することを特徴とする組織修復機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の組織修復機器において、
さらに、前記カニューレに対して連結し得るよう構成された深さ表示機を具備していることを特徴とする組織修復機器。
【請求項6】
請求項5記載の組織修復機器において、
前記深さ表示機の表示に基づき、組織内への針の挿入深さを制限し得るよう構成されていることを特徴とする組織修復機器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の組織修復機器において、
前記針の遠位端が、組織内へと挿入し得るよう構成されていることを特徴とする組織修復機器。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組織修復機器において、
前記押圧アセンブリが、ノブによって制御されることを特徴とする組織修復機器。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の組織修復機器において、
前記押圧アセンブリが、前記アクチュエータを付勢するためのコイルスプリングを有していることを特徴とする組織修復機器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の組織修復機器において、
前記アクチュエータが、金属材料、あるいは、ポリマー材料、あるいは、生体適合性材料から構成されていることを特徴とする組織修復機器。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の組織修復機器において、
生体吸収性材料から構成された縫合糸に適合していることを特徴とする組織修復機器。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の組織修復機器において、
前記押圧アセンブリが、前記縫合糸の移送方向とは逆向きに付勢されていることを特徴とする組織修復機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年11月26日付けで出願された米国仮出願番号61/117987、2009年4月6日付けで出願された米国仮出願番号61/166907、および2009年10月29日付けで出願された米国仮出願番号61/255995における優先権を主張する国際特許出願である。上記出願の全ての開示事項は、全体を通して参照することにより本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、組織を修復するための機器および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
組織が外科的に骨に再付着できる、または、損傷が組織に形成される際に外科的に修復できる体の領域は、限定することなく、二頭筋腱、膝の外側側副靱帯、膝の内側側副靱帯、膝の半月板、脚の膝窩靱帯、および膝の関節唇靱を含む。
【0004】
筋肉、靱帯、半月板損傷などの繊維組織の傷は、縫合をして関節鏡手術で修復することが可能である。従来、先鋭組織の傷に近付くために、外科医は、2つの縫合針を、縫合が一緒になった状態で組織内に挿入し、傷を交差して縫合を進め、次いで、組織内で結び目を作って縫合の自由端を固定していた。
【0005】
創縫合を単純化し、かつ固定を改善するために、様々なタイプの機器や、この機器を実現するのに使用されるための器具が開発されてきた。機器の一例が、半月板などの軟組織の損傷を修復するように設計されたFAST−FIXTM装置である。この装置、および創縫合で使用する別の装置が、特許文献1〜4に開示されており、これらの発明は、その全体を参照することによって本願に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許番号第7,153,312号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0130694号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0283192号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0033363号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
改良された組織修復機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある態様では、本発明は組織修復機器に関する。この機器は、持ち手、持ち手に結合されるノブ、および、持ち手に結合される針を含み、針は、近位端および遠位端を含み、遠位端はスロットを含み、第1固着点(first anchor)は遠位端内に収納され、第2固着点(second anchor)はスロット内に収納されて第1固着点に近接して位置し、また、アクチュエータは針内に配置されてノブに動作可能に結合され、ノブの前進が、アクチュエータを第1固着点と係合させ、それに続いてアクチュエータを介して第1固着点を前進させる。別の態様では、本発明は、組織修復方法に関する。この修復は、持ち手と、前記持ち手に結合されるノブと、前記持ち手に結合される針と、前記針に結合される第1固着点および第2固着点であって、前記第1固着点は可塑性部材を介して前記第2固着点に結合される、第1固着点および第2固着点と、前記針内に配置され、前記ノブに動作可能に結合されるアクチュエータと、を含む組織修復機器を用意するステップと、組織を通して前記針を挿入するステップであって、前記組織は裂傷を含み、前記針は前記裂傷の片側の組織を通して挿入されるように前記針を挿入するステップと、前記アクチュエータが前記第1固着点と係合し、前記第1固着点を前記針の外に押し出すように、前記組織修復機器の前記ノブを前進させるステップと、前記組織から前記針を除去し、前記裂傷の反対側の前記組織を通して前記針を再挿入するステップと、前記アクチュエータが前記第2固着点と係合し、前記第2固着点を前記針の外に押し出すように、前記組織修復機器の前記ノブを前進させるステップと、前記組織から前記針を除去し、前記裂傷の両側を並置するために前記第1および第2固着点間の前記可塑性部材の長さを短縮するステップと、を含む。
【0009】
本発明のさらなる応用範囲が、本願の明細書からより明らかになるだろう。本願の好ましい実施形態を示す本明細書および具体例は例示目的に過ぎず、本願の請求の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0010】
本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図は本願の実施形態を示し、説明とともに本願の原理、特性および特徴を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の組織修復機器の第1実施形態の透視図である。
図2図1の組織修復機器の側面図である。
図3図1の組織修復機器の持ち手の断面図である。
図4図1の組織修復機器の断面図である。
図5図1の組織修復機器の別の断面図である。
図6A図1の組織修復機器の針の先端の断面図および透視図である。
図6B図1の組織修復機器の針の先端の断面図および透視図である。
図7A】本願の組織修復機器を使用した組織修復方法を示す図である。
図7B】本願の組織修復機器を使用した組織修復方法を示す図である。
図7C】本願の組織修復機器を使用した組織修復方法を示す図である。
図7D】本願の組織修復機器を使用した組織修復方法を示す図である。
図7E】本願の組織修復機器を使用した組織修復方法を示す図である。
図8A】組織修復方法における図1の組織修復機器のノブの前進を示す図である。
図8B】組織修復方法における図1の組織修復機器のノブの前進を示す図である。
図9A】本願の組織修復機器の第2実施形態の透視図である。
図9B図9Bは、図9Aの組織修復機器の側面図である。
図9C図9Cは、図9Aの組織修復機器の垂直断面図である。
図10図10は、図9A〜9Cの組織修復機器の持ち手の等角図である。
図11A図9A〜9Cの組織修復機器のノブの透視図である。
図11B図11Aのノブの断面図である。
図12A図9A〜9Cの組織修復機器の管材の透視図である。
図12B図12Aの管材の断面図である。
図13A図9A〜9Cの組織修復機器の押圧アセンブリの透視図である。
図13B】押圧ディスクおよびコイルばねを有する図9A〜9Cの組織修復機器の押圧アセンブリの透視図である。
図14図13A〜13Bのアクチュエータの遠位端の透視図である。
図15図13Bの押圧アセンブリの押圧ディスクの透視図である。
図16A図9A〜9Cの組織修復機器のハブの透視図である。
図16B図16Aのハブの第1部の透視図である。
図16C図16Aのハブの第2部の透視図である。
図17A図9A〜9Cの組織修復機器の針アセンブリの透視図である。
図17B図17Aの針アセンブリの遠位端の透視図である。
図18A】固着点および透明管を有する図9Bの針アセンブリの遠位端の透視図である。
図18B】固着点および透明管を有する図9Bの針アセンブリの遠位端の透視図である。
図19図9A〜9Cの組織修復機器の第1固着点の透視図である。
図20図9A〜9Cの組織修復機器の第2固着点の透視図である。
図21図9A〜9Cの組織修復機器の深度管の透視図である。
図22A】深度管およびハブに結合されるスライダーを有する図21の深度管の透視図である。
図22B図22Aのスライダー、深度管、およびハブの側面図である。
図23図22Aのスライダーの透視図である。
図24A図9A〜9Cの組織修復機器の遠位端の透視図である。
図24B】縫合糸がない状態の、図24Aの組織修復機器の遠位端の透視図である。
図24C図9A〜9Cの組織修復機器の遠位端の断面図である。
図24D図9A〜9Cの組織修復機器の、特に押圧アセンブリに第1固着点が配置される前の断面図である。
図25】第1固着点の配置中の本発明の組織修復機器の押圧アセンブリの断面図である。
図26A】第1固着点の配置後の押圧ディスクの断面図である。
図26B】第1固着点の配置後、かつ第2固着点の配置前の本発明の組織修復機器の先端の断面図である。
図27図9A〜9Cの組織修復機器の使用による組織修復方法を示す図である。
図28図9A〜9Cの組織修復機器の使用による組織修復方法を示す図である。
図29図9A〜9Cの組織修復機器の使用による組織修復方法を示す図である。
図30図9A〜9Cの組織修復機器の使用による組織修復方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の好ましい実施形態の説明は、例示目的に過ぎず、決して発明その応用または用途を限定するものではない。
【0013】
図1〜5は、本発明の第1実施形態の軟組織修復機器10を示す。機器10は、持ち手11と、持ち手11に結合されるカニューレ12とを含む。持ち手11は、本体11aと、本体11aに結合される先端円錐部(nose cone)11bとを含む。先端円錐部11bは、近位端11b’および 遠位端11b”を含む。本体11aは、空洞部11a’とJ字型溝13とを含む(図1および図8A〜8B)。溝13は、第1部分13aおよび第2部分13bを含む。押圧部14は、空洞部内11a’内に収納される。押圧部14は、本体14a、本体14aに結合されるシャフト14b、および本体14aに結合されるピン14cを含む。ピン14cは、溝13を通過して延在する遠位部分14c’と、本体14aに結合される近位部分14c”とを含む。また図3に示すように、空洞部11a’はコイル15を含み、コイル15の一端15aは、押圧部本体14aに結合され、コイル15の他端15bは、先端円錐部11bの近位端11b’に結合される。さらに、ノブ16は、持ち手11の本体11a上に配置される。ノブ16は、ピン14cの遠位部分14c’を覆う開口16aを含む。図3に示すように、コイル15は、ノブ16が開始位置にある際に開放位置になり、図4および図5に示すように、ノブ16が先端円錐部11bに向かって前進する際に圧縮される。
【0014】
カニューレ12は、近位端12aおよび遠位端12bを含む。近位端12aは、先端円錐部11bの貫通孔11B’’’内に部分的に収納され、小径12a’の領域を含む。針17は、カニューレ12内に配置され、近位端17aおよび遠位端17bを含む。近位端17aは、先端円錐部11bの貫通孔11b’’’内に部分的に収納され、遠位端17bは、先細端17cおよびスロット17b’を含む。図6Aおよび図6Bに示すように、第1固着点20は、針17の遠位端17b内に収納され、第2固着点30は、スロット17b’内に収納され第1固着点20に近接して位置する。固着点20、30は、固着点20、30間に位置する引き結び41を含む、縫合糸などの可塑性部材40を介して結合される。縫合糸40は、固着点20、30に結合され、引き結び41は、上述の組み込まれる特許文献において説明される方法を介して形成される。自由端42は、引き結び41から延在し、固着点20、30間の縫合長が、一方向に自由端42を引くことによって短縮するが、下記で説明するように他方向では短縮しない。
【0015】
遠位端17bは、下記でさらに説明するように、修復中に針17の深さを表示するために使用されるレーザマーク17b”も含む。アクチュエータ18は、針17内に配置され、第1固着点20に係合する遠位端18aと、押圧シャフト14bに結合される近位端18bとを含む。深さ表示機19は、カニューレ12と針17との外側に配置される。表示機19は、近位端19aおよび遠位端19bを含む。近位端19aは、小径12a’の領域に係合し、表示機19をカニューレ12に結合する少なくとも2つのタブ19a’を含む。修復の前に、表示機19は、遠位端19bが針17の遠位端17bを覆うようにカニューレ12に結合される。図6Aは、遠位端17b、針17の遠位端19b、および表示機19を示す。示されるように、アクチュエータ18が第2固着点30の下に位置し、かつ遠位端18aが第1固着点20に係合するように、第1固着点20は針17の遠位端17b内に位置し、第2案カー30は開口17b’内に位置する。
【0016】
図7A図7Eを参照すると、使用時、好ましい関節鏡手術の指導のもと、例えば図7Aに示すように、使用者は、遠位端19bが半月板50の上面と接触するまで機器10を膝関節に挿入する。図7Bに示すように、表示機19は、針17の遠位端17bを露出するように、先端円錐部11bに向かって近づくように移動され、適切な針の挿入深さを判断する。実際には、半月板を通過する針17の挿入と、それに続く固着点20の移送を可能にするのに十分なだけ針17が露出されるべきであり、針17が損傷を与えかねない神経血管領域などの半月板の背後の領域まであまり深く延在しないようにするべきである。半月板を通過する端17bの挿入は、適切なレーザマーク17b”に到達するまでなされ、次いで図7Cに示すように、ノブ16が、第1固着点20を配置するために先端円錐部11bに向かって遠ざかるように移動される。第1固着点20の配置前に、ピン14cは、図8Aに示すように、溝13の第1部分13a内に位置する。しかしながら、第1固着点20の配置後、ピン14cは、図8Bに示すように溝13の第2部分13b内に位置する。
【0017】
第1固着点部20が配置されると、図7Dに示すように針17が、半月板50から除去され、裂傷51を交差して再挿入される。ノブ16は、第2案カー30を配置するために、もう一度、先端円錐部11bに向かって遠ざかるように移動される。それに続いて機器10は膝関節から除去され、自由端42は、矢印60の方向に引かれる。これより、図7Eに示すように、固着点20、30間の縫合長を短縮し、裂傷51の両側を並置する。固着点20、30に間の縫合長次第で、引き結び41が、軟組織の上になるか、または組織50内に移動する。引き結び41は、縫合糸が矢印61の方向にスライドすることを可能にし、反対方向60には縫合糸をスライドさせない。固着点20、30に対して縫合糸40を引っ張ることによる縫合糸40上の張力が、固着点の長い側面が軟組織面と接触するように固着点20、30を回転させる役割を果たす。次いで、縫合糸40の余りを切り落とすることができる。固着点20、30を固定するために縫合糸40のさらな巧みな操作は必要なく、外科医はバックアップの固定手段としての追加的な固定具の備えることを望むかもしれない。
【0018】
本発明の目的のために、持ち手11、先端円錐部11b、押圧部14、シャフト14b、ノブ16、アクチュエータ18、カニューレ12、および深さ表示機19が非金属材料で作られるが、金属材料で作られてもよい。また、コイル15、ピン14c、および針17は、ステンレススチールなどの生体適合性金属材料から作られる。固着点20、30および縫合糸40は、ポリマー材などの吸収性または非吸収性の非金属材料から作られてもよい。持ち手11および先端円錐部11bは、機械的手段、毒性のない生体適合性の接着剤などの接着手段、または当業者には既知の別手段を介して結合されてもよい。また、カニューレ12および針17は、先端円錐部11bに結合され、アクチュエータ18は、シャフト14bに結合され、そしてコイル15は同様の手段を介して先端円錐部11bおよび押圧部14に結合される。機器10およびその部品は全て、当業者に既知の方法で作られる。
【0019】
図9A図9Cは、本発明の軟組織修復機器100の別の実施形態を示す。機器100の構成部品は、図10図11A図11B図12A図12B図13A図13B図14図15図16A図16C図17A図17B図18A図18B図19図20図21A図21B図22A図22B、および図23を参照に説明される。機器100は、図10に示すように、閉じられた端の近位部分110aと、開口端部分110bと、挿管(cannulation)110cと、持ち手110の反対側に穴110eを含む外側面110dとを含む持ち手110を含む。穴110eの目的は、下記にさらに説明する。ノブ120が持ち手110内に配置される。図11A図11Bに示すように、ノブ120は、シャフト121、シャフト121に結合される頭部122、および挿管123を含む。頭部122は、双方がシャフト121より大きい径を有するフランジ122aおよび頚部122bを含む。フランジ122aは、凹部122a’を含む。頭部122の内壁122cは複数の溝122c’を含む。シャフト121は、スロット121bおよび内壁121cを有する外壁121aを含む。ロッド121dは内壁121cに結合され、挿管121d’を有する。挿管121d’は、挿管121d’の一部分は平坦で、挿管の残部は円弧であるようにD字型を有する。ロッド121dは、第1部分121eおよび第2部分121fを有する。第1部分121eは、スパイク121e”と、スパイク121e”間に位置するくぼみ121e’’’とを有する面121e’を含む。第2部分121fの端121f’は、第2部分121fの外側面121f”からシャフト121の内壁121cへの間に延在する脚部121gを含む。
【0020】
管材130は、挿管123ひいては持ち手110内に配置される。図12A図12Bに示すように、管材130は、近位部分131、遠位部分132、外側面133、内側面134、および挿管135を含む。管材130の近位部分131は、近位部分131を2つの側131a、131bに分割するスロット136を含む。近位部分131の両側131a、131bは、管材130の外側面133から外向きに延在するタブ137を含む。管材130が持ち手110内に配置される際は、タブ137は持ち手110の穴110e内に配置され、それにより管材130を持ち手110に結合する。管材130の遠位部分132は、遠位部分132の反対側に位置する溝132aを含む。穴138は、各溝132aの端132a’に位置する。溝132aおよび穴138の目的は下記に説明される。遠位部分132は、レール139間に位置するレール139およびスロット132b、132cをさらに含む。スロット132b、132c双方は、レール139の全長に亘って延在する。しかしながら、スロット132bは、異なる深さを有する2つの領域132b’、132b”を含み、図12Bにより明確に示すように、それにより、段が付いた領域132’’’がスロット132bに沿って存在する。押圧アセンブリ140が、持ち手100内にさらに配置される。押圧アセンブリ140は図13Bに示される。図13Aは、コイルばね150または押圧ディスク160なしで押圧アセンブリ140を示す。アセンブリ140は、シャフト141とシャフト141に結合されるアクチュエータ142を含む。シャフト141は、近位部分141aおよび遠位部分141bを含む。近位部分141aは、近位部分141aがD字型形状になるように平坦部分141a’を含む。上述のように、ロッド121dの挿管121d’もD字型形状を有する。図9Cに示すように、ロッド121dの近位部分141aは、挿管121d’の平坦部分と近位部分141aとが互いに隣接するようにロッド121dの挿管121d’内に収納され、それにより押圧アセンブリ140をノブ120に結合する。下記にさらに説明するように、手術中、D字形状の挿管121d’および近位部分141aは、挿管121d’内の軸方向の移動を可能にし、かつ挿管121d’内の近位部分141aの回転動作を制限する。
【0021】
遠位部分141bは、遠位部分141b上に位置するフランジ蓋(flanged cap)141cと内溝141b’とを含む。フランジ蓋141cは、近位部分141aとフランジ141c”との間に位置する小径部141dの領域ができるように遠位部分141b上に位置する。遠位部分141bは、下記で図15に関してさらに説明するように、押圧ディスク160が取り付けられるように構成される。
【0022】
アクチュエータ142は、近位部分142aおよび遠位部分142bを含む。近位部分142aは、内溝142b’内に収納され、それによりアクチュエータ142をシャフト141に結合する。図14に示すように、アクチュエータ142の遠位部分142bは平坦な上部分142b’、円弧状の下部分142b”、および先細端部分142b’’’を含む。下記にさらに説明するように、上部分142b’および端部分142b’’’は、軟組織固着点に係合するような形状にされる。図13Bにより明瞭に示すように、コイルばね150は、ばね150の端150aが蓋141c’に支えられるように、アクチュエータ142上に配置される。下記にさらに説明するように、押圧ディスクが機器100の操作中に押圧ディスク160の回転を制限しないようにすることより、ばね150の端150aが蓋141c’に支えられることが重要である。
【0023】
図15に示すように、押圧ディスク160は、挿管161、前部分162、後部分163、内側面164、および外側面165を含む。突起166は、ディスク160の外側面165上に位置する。挿管161は、第1部分161a、第2部分161b、および第3部分を含む。第2部分161bは、第1部分161aおよび第3部分161cの双方より小さな径を有し、それにより、押圧ディスク160を遠位部分141bに結合すると、第2部分161bが小径部141dに領域内に位置する。また、第1および第3部分161a、161cは、機器100の操作中に、ディスク160がフランジ141c”または近位部分141aのいずれかに制限されることなく回転可能なような径を有する。ディスク160の後部分163は、スパイク163aとスパイク163aと間に位置するくぼみ163bとを含む。下記にさらに説明するように、機器100の操作中に、スパイク163およびくぼみ163bは、ロッド121dのスパイク121e”およびくぼみ121e’’’と、管材130のレール139とに係合する。また、下記にさらに説明するように、操作中に、突起166は、管材130のスロット132b、132c内でスライドする。
【0024】
図16A図16Cは、2部構成ハブ170を示す。ハブ170は、図16Bにより明瞭に示すように第1部171と、図16Cにより明瞭に示すように第2部172と含む。第1部171および第2部172の双方は、第1部分171a、172aと第2部分171b、172bとを含む。第1部分171a、172aは、凹部171a’、172a’および溝171a”、172a”を含む。第2部分171b、172bは、溝171b’、172b’および各溝171b’、172b’内に位置する少なくとも2つのボス171b”、172b”を含む。第1部分171は、ハブ170を形成するために第1部171および第2部172を結合する上で、第2部172上の穴172c内に位置するピン171cをさらに含む。各部171、172は、第2部分171b、172bの外側面171b’’’、172b’’’上に位置するタブ171d、172dをさらに含む。図9Cに示すように、第2部分171b、172bは、管材130の挿管135内に収納され、それにより、タブ171d、172dは、管材130の穴138内に配置され、それにより、ハブ170を管材130に結合する。
【0025】
図17Aおよび図17Bは、針アセンブリ180を示す、アセンブリ180は、使い捨てロッド181とロッド181内に配置される針182とを含む。ロッド181は、近位部分181a、遠位部分181b、および内溝181cを含む。近位部分181aは、近位部分181aの両側の凹部181a’を含む。図9Cに示すように、針アセンブリ180は、両部171、172のボス171b”、172b”が凹部181a’内に配置されように、ハブ170内に配置され、それにより、アセンブリ180をハブ170に結合する。遠位部分181bはフランジ181b’を含む。遠位部分181bが2つ以上のフランジ181b’を含むことは本発明の範囲内のことである。針182は、ロッド181の内溝181c内に収納される近位部分(図示せず)ならびに、先細端182b’と、先細端182b’から延在し、前部分182d、後部分182e、および2つの側面182fを含むスロット182b”と、レーザマーク182b’’’とを含む遠位部分182bを含む。下記にさらに説明するように、レーザマーク182b’’’は、針182の深さを表示するために修復中に利用される。
【0026】
図18Aおよび18Bに示すように、固着点190、1000は、図19および図20により明瞭に示すように。針182の遠位部分182bに結合される。両固着点190、1000は、穴190a、1000aとスロット190b、1000bとを含む。第2固着点1000は、固着点1000の両側上の溝1000cと、突起1010とを含む。第2固着点1000は、スロット182b”の両側面182fが溝1000bに収納され、スロット182b”の後部分182eがスロット1000b内になるように、針182に結合される。図18Aおよび18Bに示すように、透明管200にはカニューレを挿入される。管200は、フランジ181b’が管200の内壁200cに係合するようにロッド181の遠位部分181bの上に配置される近位部分200aと、第2固着点1000の突起1010の上に配置される遠位部分200bとを含む。突起1010は、遠位部分200bが固着点100の突起1010の上に配置された際の、管200の遠位部分200bと固着点1000との間の増大した干渉量を考慮している。この増大した干渉量によって、針182に対する固着点1000の保持力が増大する。
【0027】
アクチュエータ142は、アクチュエータ142の端部分142b’’’が第1固着点190に近接し、第2固着点1000から遠位側に位置するように、針182内に配置される。
【0028】
図21は、第1部分300a、第2部分300b、および挿管300cを含む、深度管300を示す。図1C図22Aおよび図22Bに示すように、図23により明瞭に示されるスライダー400は、深度管300に結合され、それにより、スライダー400のシャフト401は、深度管300の第2部分300b内に収納される。スライダー400は、シャフト401、シャフト401に結合される筐体402、および挿管403を含む。シャフト401は、遠位部分401aおよびシャフト401が第2部分300bの内壁300b’に係合するような径を有する近位部分401bを含み、それによりスライダー400を深度管300に結合する。筐体402は、上部分402a、下部分402b、および開口402cを含む。上部分402aはタブ402a”を含む。図22Bに示すように、筐体402は、タブ402a”が溝171a”、172a”内に位置するように、ハブ170内に位置する。針アセンブリ180は深度管300の挿管300c内に収納される。深度管300の長軸方向の動作により、溝171a”、172a”の1つからタブ402a”を除去するように下部分402bに向かう方向に筐体402の上部分402の上を押圧することで、持ち手110に向かって近位方向、または遠位方向において長軸方向に筐体402を移動し、次いで、タブ402a”が溝171a”、172a”のもう1つの中に配置されるように、上部分402aを開放する。
【0029】
図24Aに示すように、固着点190、1000は、引き結び501を含む縫合糸が固着点190、1000間に位置するように、可塑性部材に結合される。縫合糸500は固着点190、1000に結合されて、引き結び501は、上術の組み込まれた特許文献に記載される方法を介して形成される。下記にさらに説明するように、自由端502は、引き結び501から延在し、固着点190、1000間の縫合距離が、どちらか一方向に自由端502を引くことで短縮する。
【0030】
図27図30を参照すると、図27に示すように使用では、好ましい関節鏡手術指導のもとで使用者は、例えば膝関節内に針182の先細端182b’が半月板700の上面と接触するまで機器100を挿入する。今回は、装置100、特にその部品の開始位置を図24B図24Dに示す。すなわち、上述のように、アクチュエータ142の端部分142b’’’は、第1固着点190に近接して、また第2固着点1000に遠位側に位置し、管200の遠位部分200bは、第2固着点1000の少なくとも一部分の外側に配置される。ハブ170の第1部分171a、172a、部分171a、172aの前部分(図22Aの171a”、172a”)は、第2部分300bのマーキング300dに合わせて配置される。同様に、図27で分かるように、深度管300の前部分300a’は、針182のマーキング182b’’’に合わせて配置される。修復中、深度管300は、針182に沿って長軸方向に移動され、ハブ170および深度管300の前部分171a”、172a”、300a’は、マーキング300d、182’’’に合わせたまま位置し、それにより、前部分171a”、172a”、300a’が合わせられるマーキング300d、182’’’が互いに同一になる。例えば、前部分171a”、172a”は、1mmのマーキング300dに合わせて配置され、前部分300a’は、1mmのマーキング182d’’’に合わせて配置される。
【0031】
付随的に、深度管300は、針アセンブリ180の上に配置され、関節への機器100の挿入後、管300は、上述の手段で、ノブ120に向かって近づくように移動され、針182の遠位端182bを露出し、レーザマーク182b’’’、300dを利用するなどして適切な針の挿入深さを判断する。実際には、半月板を通過する針182の挿入と、次の固着点190の移送を可能にするのに十分なだけ針182が露出されるべきであり、針182が損傷を与えかねない神経血管領域などの半月板の背後の領域まであまり深く延在しないようにするべきである。
【0032】
針182の先細端182b’の開始位置に加えて、ディスク160の開始位置が図24Dに開示される。ディスク160は、突起166がスロット132b内に位置するように位置し、突起166のスパイク163aは、段が付いた領域132b’’’に支えられる。
【0033】
半月板700を通過する端182bの挿入は、深度管300が針182のそれ以上の挿入を防止する、または使用者が針182の挿入を止めると判断するまで行われる。図28に示すように、次いでノブ120が、第1固着点190を配置するようにハブ170の外側で遠位側に移動される。このときの押圧ディスク160の位置を図25に示す。特に、遠位方向におけるノブ120の動きが、スロット132bからディスク160を押し出す。また、ノブの動きにより、ディスク160のスパイク163aとロッド121d”のスパイク121e”との間に係合が起こり、それによりディスク160が部分的に回転することを可能にする。第1固着点190の配置後、ノブ120は、持ち手110に向かって近位側に移動される。遠位方向におけるノブ120の動きの上で、ノブ120の突起166はレール139に係合し、それがディスク160の部分的な回転を可能にし、それにより、スロット132c内に突起166を配置する。図26Aに示すように、突起166がスロット132c内に位置すると、ディスク160は、ノブ120の頭部122が持ち手110に支えられるまで、近位方向に動き続ける。図26Aは、ロッド121d’の面121e’に支えられる、ディスク160の後部分163を示す。図26Bに示すように、ディスク160が図26Aに示すように位置する際、アクチュエータ142の端部分142b’’’は、第2固着点1000に近接して位置する。
【0034】
第1固着点190が配置されると、図29に示すように、針182は半月板から除去され、裂傷701を交差して再挿入される。ノブ120は、第2固着点1000を配置するために、もう一度ノブ170の外側を遠位側に移動される。図26Bに示すように、特にアクチュエータ142の端部分142b’’’は、第2固着点1000に近接して位置すると、端部分は上向きに反り、このことが端部分142b’’’を固着点1000に係合させ、遠位方向におけるノブ120の移動で、スロット1000b内に挿入される。アクチュエータ142のさらなる移動が針182から固着点1000を押し出す。また、遠位方向へのノブの動きが、ディスク160をスロット132bから払いのける。第2固着点1000の配置後、ノブ120は、持ち手110に向かって近接するに移動される。近位方向へのノブ120の移動上、ディスク160の突起166が、レール139に係合し、このことがディスク160の別の部分的な回転をもたらし、それにより、突起166をスロット132内に配置する。突起166がスロット132b内に位置すると、図24Dに示すように、ディスク160は、突起166のスパイク163aがもう一度段が付いた領域132b’’’に支えられるまで近位方向に移動を続ける。
【0035】
機器10は、結果的に膝関節から除去され、自由端502は矢印600の方向へ引かれる。このことが、固着点190、1000間の縫合長を短縮し、図30に示すように、裂傷701の両側を並置する。固着点190、1000間の縫合長次第で、引き結び501が、軟組織の上になるか、または組織700内に移動する。引き結び501は、縫合糸500が矢印601の方向にスライドすることを可能にし、反対方向600には縫合糸500をスライドさせない。固着点190、1000に対して縫合糸500を引っ張ることによる縫合糸400上の張力が、固着点の長い側面が軟組織面と接触するように固着点190、1000を回転させる役割を果たす。次いで、縫合糸500の余分を切り落とすることができる。固着点190、1000を固定するために縫合糸500のさらなる巧みな操作は必要なく、外科医はバックアップの固定手段としての追加的な固定具の備えることを望むかもしれない。
【0036】
本発明の目的のために、針182、ロッド181、アクチュエータ142、およびばね150は、ステンレススチールなどの生体適合性金属材料から作られるが、非金属材料で作られてもよい。他の全ての部品は、非金属材料から作られる。固着点190、1000および縫合糸500は、吸収性材料または非吸収性材料のポリマー材から作られてもよい。アクチュエータ142は、シャフト141に結合され、針182は、機械的手段、毒性のない生体適合性接着剤のような接着手段、または当業者には既知に別の手段を介してロッド181に結合されてもよい。機器100およびその部品は全て、射出成形を含みはするが限定することない、当業者には既知の手段で作られる。
【0037】
本発明の範囲をから逸脱することなく、対応する図を参照に上述したように様々な変形が実施形態を例に作られるが、前述に含まれる全ての事項と示された添付図が、限定するのではく、例示として理解されるべきである。従って、本発明の広さと範囲とは上述の例示的な実施形態のいずれによって限定されるべきではなく、下記の本願に添付される請求項の範囲およびその同類物によってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0038】
10、100 組織修復機器
11、110 持ち手
16、120 ノブ
17、182 針
17a、182a 近位端
17b、182b 遠位端
17b’、182b” スロット
18、142 アクチュエータ
20、190 第1固着点
30、1000 第2固着点
700 組織
701 裂傷
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23
図24A
図24B
図24C
図24D
図25
図26A
図26B
図27
図28
図29
図30