(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態1
図1;
図2に示すように、気液混合ノズル1は、基体2と、基体2に形成された液体流通孔3と気体流通孔4とを備えた構成である。
基体2は、板材等の中実材により形成された、例えば、合成樹脂製の円板により構成される。尚、中実材とは、中空ではない塊(ブロック)状の材料を言う。
液体流通孔3は、基体2を貫通するように形成される。例えば、液体流通孔3は、基体2を形成する円板の中心軸2Cに沿って延長して円板の両端面2a;2bに開口する断面円形状の貫通孔により形成される。
気体流通孔4は、基体2の外面から液体流通孔3に連通するように形成される。例えば、気体流通孔4は、基体2を形成する円板の外周面2S(基体2の外面)から円板の中心軸2Cと直交する方向に延長して複数の液体流通孔3に連通する貫通孔により形成される。
【0008】
液体流通孔3は、例えば、基体2を形成する円板の中心軸2Cと孔の中心軸とが一致するように形成された1つの中央側液体流通孔3Aと、中央側液体流通孔3Aと円板の外周面2Sとの間に設けられた複数の周辺側液体流通孔3B;3B…とを備える。
複数の周辺側液体流通孔3B;3B…は、中央側液体流通孔3Aを中心とした円周上において等間隔隔てて形成されている。例えば、6つの周辺側液体流通孔3B;3B…が、中央側液体流通孔3Aを中心とした円周上において円の中心角60°の等間隔を隔てて設けられている。
【0009】
また、気体流通孔4は、例えば、中央側気体流通孔4Aと周辺側気体流通孔4B;4Bとを備える。
中央側気体流通孔4Aは、基体2を形成する円板の中心軸2Cと直交して一直線状に延長するように設けられて、中央側液体流通孔3Aと中央側液体流通孔3Aを挟んで対向する2つの周辺側液体流通孔3B;3Bとを連通させるとともに、当該周辺側液体流通孔3Bと円板の外周面2Sとを連通させる連通孔により構成される。
周辺側気体流通孔4Bは、円板の中心軸2Cを通過せずに一直線状に延長するように設けられて、中央側液体流通孔3Aを中心とした円周上において隣り合う2つの周辺側液体流通孔3B;3Bを連通させるとともに、当該周辺側液体流通孔3Bと円板の外周面2Sとを連通させる連通孔により構成される。
【0010】
図1(b);
図2;
図3に示すように、基体2は、例えば、液体流入側基体21と液体流出側基体22とが組み合わされて構成される。
液体流入側基体21及び液体流出側基体22は、例えば、円板により構成され、液体流入側基体21を構成する板材の板厚寸法aは、液体流出側基体22を構成する板材の板厚寸法bよりも厚い寸法に構成される(
図1(b)参照)。
【0011】
図1(b);
図2;
図3;
図4に示すように、液体流通孔3は、例えば、液体流入側基体21に形成された液体流入側流通孔31と液体流出側基体22に形成された液体流出側流通孔32とが組み合わされて構成される。
液体流入側流通孔31及び液体流出側流通孔32は、例えば、断面円形状の貫通孔により形成され、液体流入側流通孔31の孔径寸法r1は、液体流出側流通孔32の孔径寸法r2よりも小径に形成される(
図4参照)。
【0012】
気体流通孔4は、
図3に示すように、例えば、液体流出側基体22を形成する円板の一方の円板面22aに複数の液体流出側流通孔32の
液体流入開口側の周壁を貫通して当該複数の液体流出側流通孔32内に連通するように直線状に形成された溝41と、当該液体流出側基体22を形成する円板の一方の円板面22aと面接触状態となるように突き合される液体流入側基体21を形成する円板の一方の円板面21aと、によって区画された空間により構成される。
【0013】
即ち、複数の液体流入側流通孔31が形成された液体流入側基体21の一方の円板面21aと複数の液体流出側流通孔32が形成された液体流出側基体22の一方の円板面22aとを突き合わせ、対応する液体流入側流通孔31の中心軸と液体流出側流通孔32の中心軸とを一致させた後に、液体流入側基体21と液体流出側基体22とを図外の固定手段で固定することにより、気液混合ノズル1が構成される(
図3;
図4参照)。
【0014】
液体流入側流通孔31の孔径寸法r1と液体流出側流通孔32の孔径寸法r2との差は、0.1mm〜0.3mm程度に設定されることが好ましい。
液体流入側流通孔31の孔径寸法r1は、例えば、0.7mm〜30mmに設定される。
液体流出側基体22を構成する板材の板厚寸法bは3mm以下とすることが好ましく、3mm以下とすることで、液体流入側流通孔31内で混合された液体と気体とを速く送出できる。
例えば、液体流入側流通孔31の孔径寸法r1は1.8mm、液体流出側流通孔32の孔径寸法r2は2.0mm、気体流通孔4の孔径寸法は0.5mm、液体流入側基体21の板厚寸法aは5mm、液体流出側基体22の板厚寸法bは2mmに形成される。
【0015】
実施形態1の気液混合ノズル1を図外の区画された設置空間に固定状態に設置し、当該気液混合ノズル1が設置された設置空間に加圧された液体と
加圧された気体とを供給した場合、液体が液体流通孔3を通過する際に液体流通孔3と連通する気体流通孔4内に気液混合ノズル1の外面側から液体流通孔3側に向かう気体流が生じ、液体流出側流通孔32内で液体と気体とが混合されて液体流通孔3の出口より送出される。
【0016】
実施形態1の気液混合ノズル1によれば、例えば合成樹脂製の円板のような板材等の中実材により形成された基体2と、基体2を貫通するように形成された液体流通孔3と、基体2の外面(基体2を形成する円板の外周面2S)から液体流通孔3に連通するように形成された気体流通孔4と、を備えた構成であるので、構成が簡単で低コスト化が図れるとともに、基体2の大きさを小さくすることが容易となる。即ち、液体と気体とを効果的に混合できるとともに、構成が簡単でかつ小型化及び低コスト化が図れる気液混合ノズル1を提供できる。
【0017】
実施形態1の気液混合ノズル1によれば、
図4に示すように、液体流入側流通孔31の孔径寸法r1が液体流出側流通孔32の孔径寸法r2よりも小径に形成され、かつ、気体流通孔4が液体流出側流通孔32に連通するように形成されたので、気体が液体流出側流通孔32内に流れ込みやすくなり、液体と気体とが混合しやすくなる。
【0018】
また、実施形態1の気液混合ノズル1によれば、複数の液体流通孔3を備えるとともに、複数の液体流通孔3に連通する気体流通孔4を複数備えた構成であるので、液体と気体とが混合しやすくなる。
【0019】
また、実施形態1の気液混合ノズル1によれば、液体流入側基体21と液体流出側基体22とを組み合わせて構成し、液体流入側基体21及び液体流出側基体22のうちのいずれか一方の基体の一方の板面に溝41を形成して、当該一方の基体の一方の板面と他方の基体の一方の板面とが面接触するように液体流入側基体21と液体流出側基体22とを固定したので、一方の基体の一方の板面に溝41を形成することで気体流通孔4を簡単に形成できるようになり、製造容易な気液混合ノズル1となる。
【0020】
また、実施形態1の気液混合ノズル1は、加圧された気体と
加圧された液体とが供給されるように構成された設置空間に固定状態に設置するだけで、当該設置空間に供給された気体と液体とを混合することが可能な気液混合部を簡単に構成できるようになる。
また、当該設置空間及び気液混合ノズル1を小型化すれば、小型の気液混合部を構成することが可能となり、小型の気液混合部を備えた種々の装置を構成することが可能となる。
【0021】
実施形態2
図5に示すように、液体流入側流通孔31の流入口の孔径寸法を液体流入側流通孔31の孔径寸法r1よりも大きくして、液体流入側流通孔31の流入口側を孔径寸法r1よりも大径の円錐面状開口部35に形成すれば、液体が液体流入側流通孔31に取り込まれ易くなり、液体と気体とを速くかつ多く混合させることが可能となる。
また、
図5に示すように、液体流出側流通孔32の流出口の孔径寸法を液体流出側流通孔32の孔径寸法r2よりも大きくして、液体流出側流通孔32の流出口側を孔径寸法r2よりも大径の円錐面状開口部36に形成すれば、液体と気体とが混合された気液混合物を速くかつ多く送出させることが可能となる。
【0022】
実施形態3
次に、気液混合ノズル1を用いた酸水素水又は水素水又は酸素水の製造装置を説明する。
図6に示すように、酸水素水又は水素水又は酸素水の製造装置50(以下、単に製造装置という)は、撹拌容器60と、気体供給源51と、水供給源52と、気体循環路70と、を備えて構成される。
撹拌容器60は、撹拌部60Aと、気液取込部61と、気体排出部62と、出口部63と、を備える。
気体供給源51は、水素及び酸素のいずれか一方又は両方を、気体供給管54;56により構成される気体供給路51Aを介して撹拌容器60の気液取込部61に供給するための例えば電気分解装置である。電気分解装置は、例えば水道水を電気分解して水素及び酸素を発生させる装置である。
水供給源52は、水を撹拌容器60の気液取込部61に供給するための例えば水道である。
気体循環路70は、撹拌容器60の気体排出部62と気体供給路51Aとを連通させて気体排出部62から排出した気体を撹拌容器60の気液取込部61に循環させる循環路であり、例えば気体排出部62と気体供給路51Aとを連通させる連通管71と、気体循環路70の気体排出部62側に設けられた気体流量調整バルブ72とを備えた構成である。
気体流量調整バルブ72は、撹拌部60Aの気体排出部62側に上昇してきた気泡中の気体だけを気体循環路70を介して気体供給路51Aに戻して水分を気体循環路70に送出しないようにするための弁である。
撹拌容器60の気液取込部61は、上述した気液混合ノズル1、及び、気泡生成促進手段67が設置されるとともに、気体供給源51からの気体及び水供給源52からの水とが供給される空間である。気泡生成促進手段67は、例えばステンレス網により構成される。気液混合ノズル1から送出される酸水素水又は水素水又は酸素水(以下、酸水素水等という)が当該ステンレス網に衝突して網目を通過する際に気泡が発生しやすくなる。尚、気液混合ノズル1は、液体流入側流通孔31の流入口を連結部材65側に向けて設置され、気泡生成促進手段67としてのステンレス網は、気液混合ノズル1の
液体流出側流通孔32の流出口と対向するように設置される。
【0023】
また、
撹拌容器60の気体排出部62と気体循環路70の始端とが連結部材66により連通可能に連結される。気体循環路70の終端と気体供給源51に接続された気体供給管54の終端と気体供給管56の始端とが連結部材74により連通可能に連結される。気体供給管56の終端と気液取込部61とが連結部材64により連通可能に連結される。水道管53aを介して水供給源52に接続された蛇口と水供給管53cの始端とが連結部材53bにより連通可能に連結され、水供給管53cの終端とが気液取込部61とが連結部材65により連通可能に連結される。
蛇口の上流には水栓57が設けられている。
連結部材74と気体供給源51との間の気体供給管54の中途には、気体が気体供給源51に逆流することを防止するための逆止弁55が設けられている。
撹拌容器60の気体排出部62側は、
撹拌部60A内に貯留される
酸水素水等の量を確認するための透明パネル製の覗窓部68に形成されている。
撹拌容器60の中腹部は、
撹拌部60A内に貯留される
酸水素水等の水中の気泡の状態を確認するための透明パネル製の覗窓部69に形成されている。
【0024】
製造装置50によれば、水供給源52からの水と気体供給源51からの気体とが気液取込部61に供給されて気液混合ノズル1により混合された後、気泡生成促進手段67を通過して
撹拌部60A内に送出され、かつ、
撹拌部60A内で撹拌されて
酸水素水等が生成され、この
酸水素水等が
出口部63を介して送出される。この
出口部63に連結部材81を介して例えばシャワーホース82を接続すれば、シャワーホース82の先端に設けられたシャワーヘッド80のシャワーノズル83から
酸水素水等が放出されるようになる。
【0025】
製造装置50によれば、気体循環路70を備えたので、気体供給源51からの気体と気体循環路70を経由した気体とを気液取込部61に供給できるようになる。即ち、気体供給源51の供給能力以上の量の気体を気液取込部61に供給できるようになるため、気体供給源51のコストを抑えることができて、かつ、所望の量の気体を気液取込部61に供給し続けることが可能となるため、気体溶存率の高い
酸水素水等を安定に生成し続けることが可能な
製造装置50となる。
【0026】
尚、覗窓部69を介して
撹拌部60A内に貯留される
酸水素水等の状態を確認し、気泡の発生が少なければ、気液取込部61への水供給量に対して気液取込部61への気体供給量が少ない状態である。この場合、水栓57を調整して気液取込部61への水供給量を減らすように調整することにより、気泡が発生しやすいようにすれば、気泡が上昇して気泡中の気体が気体循環路70を介して気液取込部61に供給されるので、気液取込部61への気体供給量を多くでき、気体溶存率の高い
酸水素水等を生成できる。
また、覗窓部68を介して
撹拌部60A内の
酸水素水等又は
酸水素水等の水面を確認できた場合も、
撹拌部60Aの圧力が高い状態となっていて気体循環路70に送出される気泡の少ない状態である。この場合も、水栓57を調整して気液取込部61への水供給量を減らすように調整することにより、気泡が発生しやすいようにすれば、気泡が上昇して気泡中の気体が気体循環路70を介して気液取込部61に供給されるので、気液取込部61への気体供給量を多くでき、気体溶存率の高い
酸水素水等を生成できる。
【0027】
当該製造装置50では、気液取込部61に供給する気体を選択することにより、
酸水素水又は水素水又は酸素水を製造できるようになる。
また、
出口部63には、散水ホースを繋げてもよい。また、気体供給源51としては、気体を収容し、当該気体を所定の圧力で気液取込部61に供給可能なボンベを使用してもよい。
【0028】
尚、上記においては、孔径寸法が異なる液体流入側流通孔31と液体流出側流通孔32とで構成された液体流通孔3を有した気液混合ノズル1を示したが、全長に亘って孔径寸法が同じ寸法の液体流通孔を備えた気液混合ノズルであってもよい。
【0029】
また、上記においては、液体流入側基体21と液体流出側基体22とが組み合わされて構成された基体2を備えた気液混合ノズル1を示したが、1つの基体に液体流通孔と気体流通孔とが形成された構成の気液混合ノズルであってもよい。
【0030】
また、液体流通孔と気体流通孔とが1つずつ形成された構成の気液混合ノズルであってもよい。
【0031】
また、1つの液体流通孔に複数の気体流通孔が連通するように構成された気液混合ノズルであってもよい。
【0032】
尚、基体2の材料、及び、形状は、特に限定されない。