【実施例】
【0018】
図1,
図2は、実施例に係る包装機としての横形製袋充填機における不良品検出装置の概略構成を示すものであって、該包装機は、フィルムロール10から引出した帯状フィルム12を、その長手方向両端縁部を合掌状に重合して筒状フィルム12aとして成形する製袋手段14と、筒状フィルム12aに向けて物品16を所定間隔毎に供給する供給コンベヤ18と、前記合掌状に重合した筒状フィルム12aの重合部12bに縦シール部26を形成する縦シール手段24と、前記筒状フィルム12aの重合部12bを挟持して縦シール手段24に向けて筒状フィルム12aを搬送するフィルム搬送手段22と、筒状フィルム12a中に供給された物品16の前後位置で筒状フィルム12aを挟み、筒状フィルム12aの搬送方向と交差する方向に横シールを施す横シール手段32と、の夫々を備え、縦シール手段24と横シール手段32との間のフィルム搬送路には、該フィルム搬送路を横断する方向にX線を照射するよう配置されたX線検査ユニット40が設けられる。そして、このX線検査ユニット40によって、横シールを施す前の筒状フィルム12aにおける筒状部25に所定間隔毎に供給されている物品16の位置ずれの有無と、縦シール手段24によって形成された縦シール部26のシール不良を検査し得るよう構成されている。具体的に、包装機は、フィルムロール10から引出した帯状フィルム12が、複数の案内ローラを経て製袋手段14まで案内され、該製袋手段14によって筒状に成形される。製袋手段14で成形される筒状フィルム12a中に物品16を一定間隔毎に供給する供給コンベヤ18が配設されている。実施例では、製袋手段14の上方から案内された帯状フィルム12は、該製袋手段14により筒状に成形される際に幅方向両端部が物品16の搬送路の下方(物品16の下側面)で合掌状に重合されるよう構成される。なお、包装に用いられるフィルムは、アルミ蒸着フィルムやアルミラミネートフィルム等、包装品の内部が視認不能なアルミ包材が用いられる。
【0019】
前記製袋手段14の下流側には、筒状フィルム12a中に供給された物品16がフィルムを介して載置されて搬送される搬送ベッド20が配設されている。搬送ベッド20は、
図2に示す如く、左右に配設される載置部20a,20a,20b,20bを備え、両載置部20a,20a,20b,20bの間に画成される間隙Sからフィルムの両端縁部が下方に延出するよう案内されて合掌状に重合する。本実施例では、搬送ベッド20は、後述するX線検査ユニット40の設置位置に対応して位置調節用空間S3が設けられて、該位置調節用空間S3を挟んで上流側に第1載置部20a,20aが左右に配置されると共に下流側に第2載置部20b,20bが左右に配置されて、左右の載置部20a,20a,20b,20bの間を筒状フィルム12aにおける合掌状の重合部12bが通過するよう構成される。そして、搬送ベッド20の下方で合掌状に重合したフィルムの重合部12bを挟持して回転する一対の送りローラ22a,22aからなるフィルム搬送手段22が配設されると共に、該フィルム搬送手段22の下流側には重合部12bに縦シールを施す一対のシールローラ24a,24aからなる縦シール手段24が配設されている。縦シール手段24によって縦シールを施して縦シール部26が得られた重合部12bは、筒状フィルム12aの物品16が収容された筒状部25から下方(上下方向)へ向けて突出する立った姿勢で延出し、筒状フィルム12aは重合部12b(縦シール部26)が搬送ベッド20の間隙S1から下方に延出した状態で下流側に向けて搬送される。フィルム搬送手段22には、送りローラ22a,22aを回転駆動するサーボモータに付設されたエンコーダが配設され、該エンコーダから出力されるパルス信号は制御手段27に入力されるようになっている。そして、制御手段27は、エンコーダから出力されるパルス信号に基づいて筒状フィルム12aの搬送量を知り得るようになっている。なお、フィルム搬送手段22で送られる筒状フィルム12aのフィルム搬送路と交差する幅方向(左右方向)の一側方が包装機の運転操作側として設定されており、この操作側を手前、これと反対側を奥と指称するものとする。
【0020】
前記搬送ベッド20の下流端には、斜め方向に延出する折曲げ部材30が配設され、搬送ベッド20から下方に延出する重合部12b(縦シール部26)は、筒状フィルム12aが搬送されるのに伴い折曲げ部材30によって前記筒状部25の下面に沿って倒れた姿勢となるように徐々に傾倒するよう案内されて折り重ねられるように折曲げ形成される。
【0021】
図1に示す如く、前記搬送ベッド20より下流側には、筒状フィルム12aを、その搬送方向と交差する方向に横シールを施すと共に切断する上下一対のシール体32a,32aを備えた横シール手段32が配設される。一対のシール体32a,32aは、フィルムが一包装分の長さだけ搬送される毎に、物品16を挟む前後位置で筒状フィルム12aを挟持して横シールを施すようサーボモータによって動作制御されるようになっている。このようにして前記折曲げ部材30で重合部12bが下面に折り重ねられた筒状フィルム12aには、横シールが施されると共に切断されるようになっている。また、シール体32a,32aでの筒状フィルム12aの挟持位置の上流側には搬入コンベヤ34が配設されると共に、下流側には、搬出コンベヤ36が配設される。搬入コンベヤ34および搬出コンベヤ36の対向する端部は、一対のシール体32a,32aが相互に接近する際には相互に離間移動して下側のシール体32aの上昇時の通過を許容すると共に、一対のシール体32a,32aが相互に離間する際には相互に近接するよう移動して筒状フィルム12a中の物品16のコンベヤ間の受渡しを円滑になし得るようになっている。そして、横シール手段32で横シール・切断されて筒状フィルム12aから切離された包装品が、搬出コンベヤ36で搬出されるよう構成される。なお、搬入コンベヤ34における搬送上流端は、前記搬送ベッド20の下流端に近接する位置まで延在している。
【0022】
前記製袋手段14の下流側から前記縦シール手段24の配設位置までの間に亘るフィルム搬送路の上方に、押えコンベヤ38が配設される。この押えコンベヤ38には、前記搬送ベッド20上を搬送される筒状フィルム12aの上面に当接してその筒状フィルム12a中に所定間隔毎に供給された物品16の上面を軽接触状態で押えてフィルム搬送速度と同速で走行するスポンジ状またはブラシ状の複数の押圧部材が設けられている。これにより、筒状フィルム12a中に所定間隔毎に供給された物品16を位置ずれさせることなく補助送りし得るようになっている。なお、押えコンベヤ38は、物品16の性状その他必要に応じて設置の要否を選択することができる。
【0023】
前記包装機は、制御手段27によって、供給コンベヤ18、フィルム搬送手段22、横シール手段32等の各種作動機構を回転駆動するサーボモータの夫々を作動するよう同期駆動制御信号により駆動制御される。また、制御手段27は、各種作動機構の運転動作パラメータ等のデータの設定や運転状況や各種設定条件等を入力設定表示し得るタッチパネルからなる入力・表示手段が接続される。前記制御手段27には、後述するX線検査ユニット40、X線検査ユニット用の制御部が接続されて、X線検査ユニット40からの検知信号が制御手段27に入力されるようになっている。
【0024】
前記横シール手段32の上流側であって、前記縦シール手段24の下流端から折曲げ部材30までの間(縦シール手段24より下流における重合部12bを筒状部25に沿って折り重ねる折曲げ部材30の配設位置に至るまでの間)の、前記重合部12b(縦シール部26)が立った姿勢で筒状部25から延出した状態で筒状フィルム12aが搬送されるフィルム搬送区間におけるフィルム搬送路の左右に、物品16の位置ずれおよび縦シール部26の不良を検査し得るようフィルム搬送路に対して直交して横断するようにX線を照射するX線検査ユニット40が配置されている。X線検査ユニット40は、
図2,
図3に示す如く、フィルム搬送路の手前側にX線発生器42が奥側に向けてX線を照射するように配置され、該X線発生器42と対向するようにフィルム搬送路より奥側にX線検出器44が配置されている。X線発生器42におけるX線の出力部42aとX線検出器44におけるX線の検出部44aとは、前記第1載置部20a,20aと第2載置部20b,20bとに分割された搬送ベッド20からなる仕切り体の間隙S2を挟んで対向している。このように本実施例では、X線発生器42から照射されたX線が、X線検出器44に至るまでに搬送ベッド20で遮られることがなく、筒状フィルム12aの上部から前記縦シール部26までの全高さ範囲をX線検出器44で精度よく検出し得る。
【0025】
前記X線発生器42として、透過力が弱く、樹脂製のカバーで十分遮蔽可能な軟X線を照射するX線発生器が好適に用いられる。このX線発生器42は、出力部42aからX線をフィルム搬送路に交差する方向に照射すると共に、X線は上下方向の所定範囲に広がって照射される。X線発生器42のX線照射範囲は、
図4に示す如く、前記搬送ベッド20に載置されて搬送される筒状フィルム12aの筒状部25の通過位置および搬送ベッド20の間隙S1から下方に向けて延出する重合部12bにおける縦シール部26の通過領
域をカバーし得るように設定される。また、X線発生器42は、搬送ベッド20の載置面に載置されて搬送される筒状フィルム12aにおける筒状部25と重合部12bとの境界位置から該重合部12bに施されている縦シール部26の延出側に出力部42aが位置するよう配置されて、出力部42aから横向きに照射されたX線が物品16と重なってX線検出器44に至るまでに遮られることなく、垂直に立った状態の縦シール部26の延出長の全範囲に照射される。
【0026】
前記X線検出器44は検出部44aが、複数のX線検出素子が上下方向に直線状に連続して配列されたラインセンサであって、前記フィルム搬送手段22による搬送中の筒状フィルム12aにおける前記筒状部25および縦シール部26(重合部12b)を横断して検出部44aへ至ったX線の透過量をその上下方向の所定長さ範囲で検出し得るよう構成される。
図4に示す如く、X線検出器44によるX線の有効検出領域Lの範囲内に、前記筒状部25の通過位置を移動する筒状部25を透過したX線の透過量を検出する第1の判定区域N1と、前記縦シール部26の通過位置を移動する縦シール部26を透過したX線の透過量を検出する第2の判定区域N2とが区分して設けられる。具体的に、第1の判定区域N1は、前記搬送ベッド20の載置面(筒状部25と重合部12bとの境界位置)を基準位置としてそれより上側であって物品16の上縁までの照射X線に対応した検出可能範囲として設定され、第2の判定区域N2は、前記基準位置の下側で照射X線に対応した縦シール部26の下縁までに対応した検出可能範囲として設定される。すなわち、X線検出器44は、筒状フィルム12aにおける筒状部25と重合部12bにおける縦シール部26の形成範囲との夫々に対して照射されたX線透過量を検出可能に構成されている。
【0027】
前記X線検出器44は、1列に並んでいるラインセンサの検出素子毎でX線の透過量を検出する。そして、前記X線検出器44で1ライン毎に得た検出値によって、前記第1の判定区域N1と前記第2の判定区域N2との各区域における検出透過量が、夫々の区域での許容最低透過量として予め設定されている閾値(判定値)を下回った場合に、X線検査ユニット40から制御手段27に対してその検知信号が出力される。すなわち、X線検査ユニット40の制御部において、X線検出器44での検出値(検出透過量)と閾値とを比較して検知信号の出力の有無を判定している。第1の判定区域N1における判定結果が前記閾値より少ない透過量である場合には、筒状フィルム12a内に物品16の存在が認められるものとして、検知信号が出力される。また、前記第2の判定区域N2における判定結果が前記閾値より少ない透過量である場合には、縦シール部26への異物混入やシール皺あるいは重合部12bの重ね合わせずれ等のシール不良が認められるものとして、検知信号が出力される。そして、制御手段27は、前記第1の判定区域N1における検知信号(判定検知信号)が出力されたタイミングで、前記筒状フィルム12aに供給されている物品16が、筒状フィルム12aの搬送位置との関係で得られる一包装分の長さの筒状フィルム12aの位置に対して収容位置が所定範囲内となっているか否かを判定する。すなわち、筒状フィルム12aが搬送されるのに伴って筒状フィルム12aに収容されている物品16が前進し、物品16の前端がX線の照射位置を横切るとX線検出器44によるX線の透過検出量が減少する。そして、その検出された透過量は前記閾値より少ない値となるので、第1の判定区域N1での判定結果として、物品16の存在を示す前記検知信号が発信されて、物品16の後端がX線検査ユニット40における照射領域を通過するまで検知状態を示す信号出力が継続する。
【0028】
ここで、筒状フィルム12aの搬送位置は、前記フィルム搬送手段22における送りローラ22a,22aを駆動するサーボモータに付設されたエンコーダから出力されるパルス信号により得たフィルム搬送量によってフィルムの現在搬送位置を知ることができる。これにより、搬送中の一包装分の長さのフィルムの始端から終端までの筒状フィルム12aの位置と、第1の判定区域N1からの検知信号の入力タイミングによって前記物品16の収容位置が許容値を超えているか否か、すなわち、予め定められた一包装分の長さの筒状フィルム12aに対して物品16が収容された位置の良否を判定することができる。そして、その判定結果が許容範囲を超えた場合に、物品16の位置不良信号(不良信号)が出力される。具体的には、物品16の前端が検出されたタイミング(第1の判定区域N1からの検知信号が、非出力状態から出力状態になった時)に、筒状フィルム12aの搬送位置との関係で、搬送状態にある一包装分の長さのフィルムの始端から物品16の前端までの距離が許容範囲であるか否か判定され、許容値より短い場合には、物品16の前方が前記横シール手段32のシール体32a,32aに干渉して物品16の噛込みが生ずるものとして、異状信号(不良信号)が発信され、また、許容値より長い場合には、物品16の後方が前記シール体32a,32aに干渉して物品16の噛込みが生ずるものとして異状信号(不良信号)が発信される。そして、一包装分の長さのフィルムが搬送される都度、この判定が繰り返し実施される。すなわち、制御手段27は、X線検査ユニット40の検出結果(検知信号)に基づき不良判定された際に、前記フィルム搬送手段22により搬送される一包装分の長さのフィルム搬送量から得た一包装単位毎に不良信号を出力し得るよう構成されている。なお、フィルム搬送量は、筒状フィルム12aが搬送される際にパルス信号を発信するパルス発信手段から発信されたパルス信号から得るようにしてもよい。
【0029】
このようにして、筒状フィルム12aにおける筒状部25で発生する物品16の位置不良と、筒状フィルム12aにおける縦シール部26で発生する不良とを同時に検出できるようになっている。第1の判定区域N1と第2の判定区域N2とでは、発生する不良の種類(物品16の位置ずれ、縦シール部26への異物の混入、シール皺、重合部12bの重ね合わせずれ)が異なることから、各判定区域N1,N2毎に適切な判定種別に応じて閾値を個別に定めることが判定精度を高める上で最も好ましく、実施例では判定区域N1,N2毎に適切な閾値が個別に定められている。なお、各判定区域N1,N2で発生する不良を適切に検出し得るものであれば、各判定区域N1,N2において同一の閾値を用いることができる。
【0030】
前記X線発生器42およびX線検出器44は、高さ位置(上下位置)を調節手段によって調節可能に構成されている。また、X線発生器42およびX線検出器44は、調節手段によって左右(フィルム搬送路に対する近接・離間方向)に位置調節可能に構成されている。
図2に示す如く、X線発生器42およびX線検出器44は、前記搬送ベッド20に設けられた調節用空間S3に位置して、該搬送ベッド20と干渉することなく位置調節し得るようになっている。
【0031】
前記制御手段27は、前記エンコーダから得たフィルム搬送量によって、前記第1の判定区域N1で物品16の位置ずれ有りとして判定された筒状フィルム12aの不良箇所が、横シール手段32までに至るタイミングを得ることができる。そして、制御手段27は、前記X線検査ユニット40の検出結果によって不良判定した際に、筒状フィルム12aの不良箇所が横シール手段32まで搬送される時期に合わせて前記不良信号を出力し、シール体32a,32aが閉じ動作による筒状フィルム12aに接触する前の開位置で横シール手段32の動作を一時停止し、その不良箇所を含む筒状フィルム12aの一包装分が横シール手段32を通過するまで、シール体32a,32aによるシール動作を休止(停止状態と)するように、制御手段27が
制御対象である横シール手段32を動作制御する。なお、横シール手段32の横シール動作の休止は、前記検知結果において噛込みが予想される物品16の端部に対応して、シール体32a,32aが閉じて筒状フィルム12aを挟持する動作前のタイミングであり、この休止によって横シール・切断されずに2包装長以上連続する包装体が得られる。そして、その不良箇所を含む2倍以上の長い包装長となった不良包装品は、下流への搬送過程において系外に排出するようになっている。なお、このシール体32a,32aによる横シール動作の休止は、前記第2の判定区域N2での判定結果でシール不良と判定された不良箇所(検出値と閾値との比較によってシール不良が検出された箇所)に対応して実施してもよい。そのようにすることで、不良包装品を良品の長さより長くして排出し、不良品として排除する際に良品との区別を一目で見分けることができて好適である。
【0032】
なお、不良判定した場合に、制御手段27は、前記同様に不良箇所が存在する一包装分の長さの筒状フィルム12aが横シール手段32によるシール位置に至る時期(シール体32a,32aが筒状フィルム12aに接触する前のタイミング)に合わせて、
制御対象である包装機の全ての作動機構の動作を停止して包装運転を休止するようにしてもよい。また、制御手段27が不良判定した場合に、横シール手段32による横シール動作の休止および包装運転の休止の何れの動作制御とするかを予め選択設定し得るようにしてもよい。また、不良判定した場合に、警報ブザー
(制御対象)を鳴らしたり、警報ランプ
(制御対象)の点灯、あるいは入力・表示手段
(制御対象)の操作画面に不良の種類を表示する等によって作業者に不良発生を報知することも可能である。
【0033】
ここで、前記制御手段27は、不良判定に応じて前記X線検出ユニット40から得た検出値を記憶し、該検出値とフィルム搬送手段22におけるエンコーダから得られるフィルム搬送量とに基づいて、一包装分の長さの筒状フィルム12aを検出値の大小に応じた明暗(濃淡)で表わすよう画像処理してX線透過画像として前記入力・表示手段に一包装分の長さ毎に表示するようにしてもよい。それにより、画像により作業者が視覚的に不良箇所を知り得るので好ましい。そして、そのような不良判定された一包装分の
長さのフィルム毎の画像を、包装品の生産個数と関連付けて制御手段27に記憶するよう構成することで、不良判定された包装品についての不良解消のために使用したり、生産記録として利用することができる。また、そのように記憶したX線透過画像は、包装運転中に常に入力・表示手段や別途設置した不良画面表示用モニター等に表示するようにしてもよいし、不良判定時において不良包装品として包装後系外に排出される時点で入力・表示手段や不良画面表示用モニター等に表示するようにしてもよい。
【0034】
前記押えコンベヤ38の配設位置の上流側から前記折曲げ部材30の配設位置(重合部12bの折曲げ形成位置)の下流側までの間(重合部12bに縦シールが施される位置から重合部12bの折曲げ形成位置までの間)の上部空間を閉鎖可能に覆う透明樹脂製の防護カバー46が開閉自在に設けられている。防護カバー46は、フィルム搬送路の奥側に配設される背面壁48の手前側に、奥側の端部を支点として手前側が上下に揺動自在に支持されて、上部空間を閉鎖する下方の閉鎖位置と上部空間を開放する上方の開放位置との間を開閉動するよう構成される。防護カバー46は、
図3に示す如く、閉鎖位置において搬送ベッド20の上方を背面壁48から手前側に延在する天井壁46aと、該天井壁46aの前端から搬送ベッド20の手前側に延在する前壁46bとを備え、防護カバー46の閉鎖位置において前記X線検査ユニット40が防護カバー46の内部に収容されて、X線発生器42から照射されたX線が防護カバー46の外部に漏れるのを防止する。また、X線検査ユニット40の奥側は、防護カバー46の閉鎖位置および開放位置の何れの状態であっても、前記背面壁48で遮蔽されるよう構成されている。また、前記搬送ベッド20の手前側に、該搬送ベッド20より下方の空間の前側を覆う前面壁が設けられており、防護カバー46の閉鎖位置において前記前壁46bの下端は前面壁の前側に重なるようになっている。
【0035】
前記防護カバー46の開閉状態(開閉)を検知する検知手段50が設けられている。この検知手段50の検知信号は、前記制御手段27に入力される。そして、制御手段27は、検知手段50の検知結果において防護カバー46の閉鎖状態で、包装運転の運転スイッチが操作されて運転信号がONであるときに、前記X線発生器42からのX線の照射がなされるように前記X線検査ユニット40への信号出力が制御される。すなわち、X線発生器42からのX線照射は、検知手段50により防護カバー46の閉鎖が検知されて前記フィルム搬送手段22により筒状フィルム12aの搬送動作がなされた包装運転中に行われる。X線発生器42は、包装機の運転中はX線を連続的に照射する。また、包装機の運転が停止中であり、防護カバー46が開放されて検知手段50による検知が防護カバー46の閉鎖を検知していない場合は、X線発生器42からのX線が照射されることはない。
【0036】
次に、実施例の作用について説明する。前記防護カバー46を閉鎖位置とした状態で、包装運転の運転スイッチを操作して運転信号がONになると、各種作動機構が駆動されて包装運転(フィルム搬送手段22による筒状フィルム12aの搬送)が開始される。また、前記検知手段50は防護カバー46の閉鎖を検知しているので、包装運転の開始と共に前記X線発生器42からX線が奥側に向けて照射される。フィルム搬送路を搬送中の筒状フィルム12aに照射されるX線は、前記X線検出器44で検出されて、そのX線の透過量が閾値より少ない透過量である場合に制御手段27に検知信号が出力される。そして、制御手段27は、前記第1の判定区域N1における検知信号が出力されたタイミングで、一包装分の長さの筒状フィルム12aの位置に対して物品16の収容位置が所定範囲内となっているか否かを判定し、不良判定した場合に位置不良信号(不良信号)を出力する。また、制御手段27は、前記第2の判定区域N2における検知信号が出力されると(検出値と閾値との比較による検出結果によってシール不良と判定された場合)、縦シール部26への異物混入やシール皺あるいは重合部12bの重ね合わせずれ等のシール不良が認められるものとして、シール不良信号(不良信号)を出力する。そして、制御手段27は、不良箇所を含む一包装分の長さの不良フィルム12aが前記横シール手段32で横シールされる位置に至る時期に合わせて、前記横シール手段32の横シール動作を一時停止し、不良フィルム12aが横シール手段32を通過するまで横シール動作を休止させる。不良フィルム12aが横シール手段32を通過した後、制御手段27は横シール手段32のシール動作を再開させる。横シール動作の休止によって横シール・切断されずに2包装長以上連続する包装体が得られ、該不良箇所を含む2倍以上の長い包装長となった不良包装品は、下流への搬送過程において系外に排出される。不良箇所を含む不良包装品は、良品とは長さが異なるので良品との区別を一目で見分けることができる。
【0037】
前記横シール手段32より上流側に前記X線検査ユニット40を配置したので、筒状フィルム12aが横シールされる位置に至る前(包装途中)に不良判定することができ、不良箇所が包装品となる前に対策を講ずることができる。また、横シール前に物品16の位置ずれを検出して横シール動作を停止することができるので、シール体32a,32aに位置ずれした物品16が噛み込んで該物品16を損傷させるのを未然に防ぐことができる。また、位置ずれした物品16をシール体32a,32aで挟み付けることがないので、シール体32a,32aその他の機械的損傷を未然に防止し得る。
【0038】
前記重合部12b(縦シール部26)が筒状部25から下方に向けて立った姿勢で左右の載置部20a,20a,20b,20bの間隙S1から延出して案内される筒状フィルム12aのフィルム搬送区間に前記X線検査ユニット40を配置したので、縦シール部26の各種シール不良を安定的に精度よく検出することができる。特に、縦シール手段24と折曲げ部材30との間にX線検査ユニット40を配置することで、縦シール手段24でシールされて略真っ直ぐに立った姿勢で案内される縦シール部26を直交して横断するX線の照射によって検査するので、シール不良の検出精度をより高めることができる。前記X線発生器42の出力部42aは、
図4に示す如く、前記搬送ベッド20に載置されて搬送される筒状フィルム12aの筒状部25と重合部12bとの境界位置より該重合部12bに施された縦シール部26の延出側に位置しているので、第2の判定区域N2での検出にあたり、該出力部42aから筒状フィルム12aの搬送路を横断して照射されるX線が筒状部25に収容されている物品16に遮られることなくX線検出器44に達した透過量によって縦シール部26の全体を検査することができる。更に、前記制御手段27は、筒状部25の通過位置に対応して物品16の位置ずれを検出する第1の判定区域N1と、縦シール部26の通過位置に対応してシール不良を検出する第2の判定区域N2とに分けて夫々異なる閾値(判定値)と比較して判定するので、各判定区域N1,N2での判定精度を高めると共に誤判定を防ぐことができる。また、X線検査ユニット40で検査される筒状フィルム12aにおける筒状部25と縦シール部26とは搬送ベッド20で上下に仕切られているので、筒状部25が縦シール部26の検出区域と定めたエリアに入り込んだり、縦シール部26が筒状部25の検出区域と定めたエリアに入り込んだりすることはなく、各部25,26を分割して物品16の位置ずれと縦シール部26のシール不良とを良好に検出することができる。
【0039】
前記X線は、前記防護カバー46が閉鎖位置で該防護カバー46で覆われた状態のときに限ってX線発生器42から照射されるので、包装機の運転時においてX線が機械外部に漏れることはない。しかも、X線は手前から奥側に向けて照射するようX線発生器42の出力部42aが配置されているので、防護カバー46の開放時であっても包装機の手前側で操作を行う作業者に向けて誤ってX線が照射されるようなことはない。また、実施例では、防護カバー46の閉鎖位置および開放位置の何れの状態であっても、X線検査ユニット40の奥側(X線発生器42からのX線の照射側)の背面壁48で遮蔽されるので、それより外部へX線が漏出することはない。また、実施例では、搬送ベッド20の下方でX線検査ユニット40の手前側の空間は前面壁で遮蔽されており、該空間に作業者の体が誤っ
て入り込むことはない。
【0040】
前記X線発生器42およびX線検出器44は、上下方向(上下)に位置調節可能に構成されているので、X線発生器42の出力部42aから筒状フィルム12aの搬送路を横断するように照射されたX線が物品16に遮られることなく縦シール部26の全体に照射して透過した透過量を検出できる高さ位置に調節し得る。また、X線発生器42およびX線検出器44は、筒状フィルム12aの搬送路の左右方向(左右)に位置調節可能に構成されているので、X線発生器42から照射されて上下に広がるX線を、物品16および縦シール部26の全体に照射して透過した透過量を検出できる位置に調節し得る。すなわち、高さや形状の異なる物品16や縦シール部26の延出長さ等が異なる品種に合わせて、X線発生器42およびX線検出器44の高さと筒状フィルム12aからの離間位置とを位置調節し得るので、多品種の包装に柔軟に対応し得る。
【0041】
(別実施例について)
図5は、帯状フィルム12が製袋手段14により筒状に成形される際に、幅方向両端部が物品16の搬送路の上方(物品16の上側面)で合掌状に重合されるよう構成された横形製袋充填機に不良品検出装置を採用した別実施例を示している。この別実施例については、前記実施例と異なる部分についてのみ説明し、既出の同一部材や部分には同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0042】
別実施例では、筒状部25から上方(上下方向)に向けて立った姿勢で重合部12b(縦シール部26)が延出する筒状フィルム12aは、搬送コンベヤ52に筒状部25が載置された状態で下流側に搬送される。搬送コンベヤ52の上方に離間して、重合部12bの通過を許容すると共に、縦シール部26と筒状部25とを上下に仕切る仕切り体として仕切り板54が設けられている。この仕切り板54は、重合部12bに縦シールを施す縦シール手段24からの熱が筒状部25に伝わるのを防ぐと共に、ゴミ等が下方に落ちるのを防止するよう機能する。また、仕切り板54は、前記X線発生器42とX線検出部44との間が上流側と下流側とに分割されて前記搬送ベッド20と同様に間隙が画成されており、該間隙を挟んでX線発生器42におけるX線の出力部42aとX線検出器44におけるX線の検出部44aとが対向して、X線発生器42から照射されたX線が、X線検出器44に至るまでに仕切り板54で遮られることがない。
【0043】
別実施例において、前記X線発生器42は、前記搬送コンベヤ52に載置されて搬送される筒状フィルム12aにおける筒状部25と重合部12bとの境界位置より該重合部12bに施された縦シール部26の延出側に出力部42aが位置するように設置されると共に、筒状部25の通過位置を移動する筒状部25を透過したX線の透過量を検出する下側の第1の判定区域N1と、縦シール部26の通過位置を移動する縦シール部26を透過したX線の透過量を検出する上側の第2の判定区域N2とが区分して設けられている。すなわち、別実施例においても、前記実施例と同様の作用効果を奏する。なお、別実施例において、搬送コンベヤ52に代えて搬送ベッドを用いることができる。
【0044】
(変更例)
本発明は、以上に例示した各実施例の構成に限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得るものであって、例えば、以下のようにも変更実施可能である。
(1) 仕切り体は、実施例に示したように、X線検査ユニット40の上流と下流とに分離して形成して設置するものに限らず、一体的に形成されているものであってもよい。すなわち、筒状部25から延びる延出部(重合部12b)は、仕切り体を越えて延出した部位を加熱することでシール部を得るようにしているので、縦シール部26のシール不良の判定区域は、その仕切り体の配設位置を除外した範囲を前記第2の判定区域N2として定めて検出結果を得るようにすればよい。また、搬送ベッドは、搬送ベルトの下方に敷設される支持板等により構成してもよい。
(2) 縦シール手段24としては、実施例として示したように回転ロール式シーラによるシール方式に限るものではない。例えば、一対のシールバーの隙間に重合部12bを通過させて加熱した重合部12bを圧着ローラで挟持するシール方向、あるいは、重合部12bを加熱ベルトで挟持するシール方式等、その他の少なくとも重合部12bを合掌状とし得る種々のシール方式を採用することができる。
(3) 横シール手段32としては、ボックスモーション式や回転式、あるいはシール体の対向移動によってシール可能な各種シール方式を選択的に採用することができる。
(4) 横シール手段32において、横シール位置を挟んで搬送方向前後にコンベヤ34,36を設置したものとして例示したが、このコンベヤ34,36は前記ボックスモーション式シーラの採用に合わせて設置するものであればよく、物品16の性状その他必要に応じて設置の要否を選択することができる。
(5) X線検査ユニット40での検出結果に基づく不良判定は、当該X線検査ユニット40の制御部で行うことができる。例えば、第1の判定区域N1での検出結果とエンコーダから得たフィルム搬送量に基づいて、X線検査ユニット40の制御部で一包装分の長さの筒状フィルム12aに対する物品16の収容位置の良否を判定して、X線検査ユニット40から出力される不良信号に基づいて制御手段27が横シール手段32や包装機を動作制御する構成を採用し得る。
(6) 第2の判定区域N2で検出されるX線透過量と閾値とを比較判定した結果によって、包装機の制御手段27で縦シール部26のシール不良の有無を判定することができる。
(7) 各判定区域N1,N2で検出されるX線透過量(検出値)を、包装機の制御手段27で閾値(判定値)と比較して物品16の位置ずれや縦シール部26のシール不良を検出する構成を採用し得る。すなわち、X線検査ユニット40での検出値に基づいて、物品16の位置ずれおよび縦シール部26のシール不良の不良判定を制御手段27で行うことができる。