(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、送信装置固有の参照信号用系列が前記受信装置から前記送信装置へ設定される場合、又は、送信装置固有の参照信号用系列が前記受信装置から前記送信装置へ設定可能な場合、当該送信装置が前記協調受信の対象であると判定する、
請求項1記載の送信装置。
前記制御手段は、自機向けの前記ビット列を通知する受信装置以外の受信装置に向けて信号を送信する場合、自機が前記協調受信の対象であると判定し、自機向けの前記ビット列を通知する受信装置に向けて信号を送信する場合、自機が前記協調受信の対象ではないと判定する、
請求項1記載の送信装置。
【背景技術】
【0002】
3GPP−LTE(3rd Generation Partnership Project Radio Access Network Long Term Evolution、以下、LTEという)の発展形であるLTE−Advanced(Release 11)では、更なるキャパシティ向上のため、カバーエリアの大きさが異なる複数の基地局を用いたヘテロジーニアスネットワーク(Heterogeneous Network:HetNet)が検討されている。
【0003】
HetNetは、大きなカバーエリアをカバーするマクロ基地局と、小さなカバーエリアをカバーするピコ基地局とを併用するネットワークである。マクロ基地局は、マクロセル、HPN(High Power Node)又はMacro eNBと呼ばれることもある。また、ピコ基地局は、ピコセル、LPN(Low Power Node)、小電力RRH(Remote Radio Head)又はPico eNBと呼ばれることもある。
【0004】
また、LTE−Advancedでは、HetNet環境において、複数基地局協調送受信(CoMP:Coordinated multiple point transmission and reception)の運用が検討されている。CoMPは、主にセルエッジに存在する端末(UE)のスループットを向上させることを目的として、複数の基地局(セル)が協調して端末との間の信号を送受信する通信方式である。
【0005】
上り回線のCoMP(以下、UL CoMPという)の場合、複数の基地局(セル。又は受信ポイント(RP:Reception Point)と呼ばれることもある)が協調して1つの端末から送信される上り回線の信号(上り回線信号)を受信する。そして、複数の基地局間で受信信号を合成することにより、受信品質を向上させる。
【0006】
次に、LTE−Advancedの従来(Release 10)における上り回線のデータ信号(PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)。上り回線データ)の送信電力制御について説明する。
【0007】
例えば、Serving cell#cのサブフレーム(sub-frame)#iにおけるPUSCHの送信電力P
PUSCH,c(i)は次式(1)に従って求められる(例えば、非特許文献1参照)。なお、Serving cellとは、端末に対して制御情報を通知する基地局(セル)のことである。制御情報の通知には下り回線のチャネルが用いられる。端末では、近隣の基地局から送信される下り回線の参照信号の受信レベル(RSRP:Reference Signal Received Power)が測定され、RSRPが最も高い基地局(セル)が当該端末に対するServing cellとなる。
【数1】
【0008】
式(1)において、P
CMAX,c(i)[dBm]は端末が送信可能なPUSCHの最大送信電力を示し、M
PUSCH,c(i)はPUSCHに割り当てられる周波数リソースブロック数を示し、P
o_PUSCH,c(j)[dBm]はPUSCHの送信電力の目標値(基地局から設定されるパラメータ)を示し、PL
cは端末が測定したパスロスレベル[dB]を示し、α
c(j)はパスロス(PL
c)の補償割合を表す重み係数(基地局から設定されるパラメータ。{0, 0.4, 0.5, 0.6, 0.7, 0.8, 0.9, 1})を示し、Δ
TF,c(i)はPUSCHのMCSに依存するオフセット値を示し、f
c(i)はクローズドループ制御されるTPC(Transmission Power Control)コマンド(制御値。例えば、+3dB、+1dB、0dB、−1dB)の過去の値を含めたサブフレーム#iにおける累計値を示す。
【0009】
また、式(1)に示すP
o_PUSCH,c(j)は、P
o_NOMINAL_PUSCH,c(j)及びP
o_UE_PUSCH,c(j)の2つのパラメータの加算値である。P
o_NOMINAL_PUSCH,c(j)は、セル固有パラメータ(セル毎に設定される値。同一セル内の全端末が共通に用いる値)であり、−126〜24[dBm]の範囲をステップ幅1[dB]で通知される。一方、P
o_UE_PUSCH,c(j)は、端末固有パラメータ(端末毎に設定される値)であり、−8〜7[dBm]の範囲をステップ幅1[dB]で通知される。例えば、
図1に示すように、4ビットのビット列で表されるP
o_UE_PUSCH,c(j)(
図1では単に「P
o_UE_PUSCH」と表す。以下同様である。)は基地局から端末へ通知される(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
また、式(1)に示すP
o_PUSCH,c(j)及びα
c(j)は、送信データのタイプに対応したj=0,1,2のそれぞれに対して値が設定される。送信データのタイプとしては、例えば、Dynamic schedulingが適用されたPUSCH送信、semi−persistent schedulingが適用されたPUSCH送信、又は、RACH responseのためのPUSCH送信などが挙げられる。
【0011】
上述したPUSCHの送信電力制御において、HetNet環境でのCoMP運用を考慮すると、マクロ基地局(Macro eNB)によって制御される端末(以下、マクロ端末(Macro UE)という)から、ピコ基地局(Pico eNB)によって制御される端末(以下、ピコ端末(Pico UE)という)への、上り回線信号の干渉(以下、上り回線干渉という)が問題となる。
【0012】
図2は、HetNet環境における上り回線干渉の一例を説明する図である。
【0013】
図2に示すMacro UEの上り回線の送信電力(上り回線送信電力)には、Macro UEとServing cellであるMacro eNBとの間のパスロスを補償する電力が設定される。一方、
図2に示すPico UEの上り回線送信電力には、Pico UEとPico eNBとの間のパスロスを補償する電力が設定される。ここで、
図2に示すように、Macro UEが、マクロセルのセルエッジ付近の領域(以下、セルエッジ領域という)に位置する場合又はMacro eNBからの直接波が受信困難な場所(例えば、ビルなどの障害物の陰)に位置する場合などでは、Macro UEとMacro eNBとの間のパスロスが大きくなる。この場合、Macro UEに設定される上り回線送信電力は、Pico UEに設定される上り回線送信電力よりも大きくなることが想定される。よって、このような状況では、Macro UEから送信される上り回線信号がPico UEから送信される上り回線信号に対して、上り回線干渉を与える可能性がある。特に、
図2に示すように、Macro UEがピコセル付近に位置する場合は、上り回線干渉の影響がより大きくなる。
【0014】
このような、HetNet環境における上り回線干渉問題を解決するために、UL CoMPを適用する端末(以下、CoMP UEという)に対して、複数の受信ポイントのうち、パスロスが最小の受信ポイント(基地局)に向けた上り回線送信電力(当該受信ポイントとのパスロスを補償する電力)を設定することが検討されている。例えば、
図2においてMacro eNB及びPico eNBが協調してMacro UEの上り回線信号を受信する場合、Macro UE(CoMP UE)の上り回線送信電力には、Pico UEとMacro UEとの間のパスロスを補償する電力が設定される。これにより、CoMP UEからピコセルへの干渉レベルを低減できるので、UL CoMP適用によるシステム性能改善効果の向上が期待できる。
【0015】
従来のServing cell向けの上り回線送信電力を式(1)とすると、パスロスが最小の受信ポイントに向けた上り回線送信電力は式(2)で表される。
【数2】
【0016】
式(2)では、式(1)のパラメータに加えて、Δ
PLが設定される。Δ
PLは、端末における、複数受信ポイントとの間のパスロスレベルのうち最小のパスロスレベルと、Serving cellとの間のパスロスレベルと、の差(以下、パスロス差という)を示す。例えば、
図2に示すMacro UEに設定されるΔ
PLは、Macro eNBとMacro UEとの間のパスロスレベルと、Pico eNBとMacro UEとの間のパスロスレベルとの差となる。
【0017】
パスロス差Δ
PLは、Macro eNBとPico eNBとの送信電力差に依存する。例えば、非特許文献2には、パスロス差Δ
PLは0〜−16[dB]の範囲の値を採りうることが開示されている。また、非特許文献3では、P
o_UE_PUSCH,c(j)に加えて、CoMP UE用に送信電力を補正するための端末固有パラメータ(例えば、式(2)に示すパスロス差Δ
PL)を新たに追加することが提案されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0027】
[実施の形態1]
[通信システムの概要]
本発明の実施の形態1に係る通信システムは、送信装置と受信装置とを有する。特に、本実施の形態では、送信装置を端末100とし、受信装置を基地局200として説明する。この通信システムは、例えば、LTE−Advancedシステムである。そして、端末100は、例えば、LTE−Advancedシステムに対応する端末であり、基地局200は、例えば、LTE−Advancedシステムに対応する基地局である。また、例えば、端末100がUL CoMPを適用するCoMP UEとして動作する場合、端末100から送信された信号は、複数の基地局200によって協調して受信される。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態1に係る端末100の主要構成図である。
図3に示す端末100において、制御部103は、基地局200から通知されたビット列(制御情報)に基づいて、送信電力を制御する。ここで、端末100がCoMP UEの場合、基地局200から通知されるビット列(制御情報)は、Non−CoMP UE向けの制御値候補群(第1の制御値候補群)の制御値候補が取り得る値の範囲、及び、CoMP時の送信電力の制御に関する制御値として取り得る値の範囲において設定された制御値に対応する。送信部114は、制御部103で算出された送信電力を用いてデータ信号(送信データ)を送信する。
【0029】
図4は、本発明の実施の形態1に係る基地局200の主要構成図である。
図4に示す基地局200において、信号生成部201は、端末100(送信装置)の送信電力に関する制御値を示すビット列を含む制御信号を生成する。ここで、端末100がCoMP UEの場合、信号生成部201が生成するビット列(制御情報)は、Non−CoMP UE向けの制御値候補群(第1の制御値候補群)の制御値候補が取り得る値の範囲、及び、CoMP時の送信電力の制御に関する制御値として取り得る値の範囲において設定された制御値に対応する。送信部205は、信号生成部201で生成された制御信号を送信する。
【0030】
[端末100の構成]
図5は、本発明の実施の形態1に係る端末100の構成を示すブロック図である。
【0031】
端末100において、受信部101は、基地局200から送信された信号をアンテナを介して受信し、受信信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信処理を施した受信信号を復調部102に出力する。受信信号には、送信電力制御に関する制御情報(例えば、式(1)に示す、基地局200から設定されるパラメータ)が含まれる。
【0032】
復調部102は、受信部101から入力される受信信号のうち、送信電力制御に関する制御情報を復調し、復調した制御情報を制御部103(制御値算出部105及び送信電力制御部106)に出力する。また、復調部102は、受信信号のうち送信電力制御に直接関連しない制御情報(詳細は後述する)を制御部103(CoMP判定部104)に出力する。
【0033】
制御部103は、基地局200から通知される制御情報(ビット列)に基づいて、端末100から送信される送信信号(上り回線信号)の送信電力を制御する。制御部103は、CoMP判定部104と、制御値算出部105と、送信電力制御部106とを有する。
【0034】
CoMP判定部104は、復調部102から入力される制御情報に基づいて、端末100が、複数の基地局200による協調受信が適用される端末(CoMP UE)であるか否かを判定し、判定結果を制御値算出部105へ出力する。つまり、CoMP判定部104は、端末100がCoMPの対象ではない端末(Non−CoMP UE)であるか、CoMPの対象である端末(CoMP UE)であるかを判定する。
【0035】
例えば、CoMP判定部104は、端末100に設定された制御情報に基づいて、端末100がCoMP UEであるかNon−CoMP UEであるかを暗示的に判定してもよい。例えば、端末100に設定された制御情報としては、UL CoMPを適用するために必要な端末固有の参照信号用系列グループ番号、端末固有の参照信号用系列番号、参照信号用系列グループ番号を得るための仮想のセルID(Virtual cell ID)が挙げられる。そして、CoMP判定部104は、上記制御情報が設定された端末100、又は、上記制御情報が設定可能な端末100であればCoMP UEと判定し、上記制御情報が設定されていない端末100、又は、上記制御情報が設定不可能な端末100であればNon−CoMP UEと判定する。
【0036】
または、CoMP判定部104は、自機向けの制御情報(例えば上記ビット列)を通知する基地局200(Serving cell)以外の基地局に向けて信号を送信する場合、端末100がCoMP UE(協調受信対象)であると判定し、自機向けの制御情報を通知する基地局200(Serving cell)に向けて信号を送信する場合、端末100がNon−CoMP UE(協調受信の対象ではない)と判定してもよい。
【0037】
また、端末100がCoMP UEであるか否かを示す情報が基地局200から端末100へ明示的に通知されてもよい。この場合、CoMP判定部104は当該情報に基づいて、端末100がCoMP UEであるかNon−CoMP UEであるかを判定する。
【0038】
制御値算出部105は、CoMP判定部104から入力される判定結果に応じて、復調部102から入力される送信電力制御に関する制御情報を用いて、送信電力の制御値を算出する。具体的には、制御値算出部105は、端末100がNon−CoMP UEである場合、送信電力制御に関する制御情報を、Non−CoMP UE用の制御情報として用いる。一方、制御値算出部105は、端末100がCoMP UEである場合、送信電力制御に関する制御情報を、CoMP UE用の制御情報として用いる。ここで、端末100がCoMP UEの場合、上記送信電力制御に関する制御情報(ビット列)は、Non−CoMP UE向けの制御値候補が取り得る値の範囲、及び、CoMP時の送信電力の制御に関する制御値として取り得る値の範囲において設定された制御値を示す。制御値算出部105は、算出した制御値を送信電力制御部106に出力する。
【0039】
送信電力の制御値として、例えば、式(1)に示すP
o_PUSCH,c(j)の算出に用いられる端末固有パラメータであるP
o_UE_PUSCH,c(j)が挙げられる。例えば、端末100がNon−CoMP UEの場合に基地局200から通知される送信電力制御に関する制御情報として、
図1に示すようなP
o_UE_PUSCH,c(j)に対応するビット列が挙げられる。一方、端末100がCoMP UEの場合に基地局200から通知される送信電力制御に関する制御情報(ビット列)に対応するP
o_UE_PUSCH,c(j)には、従来のパスロスの推定誤差を補正するための値(例えば、
図1に示す−8〜7dB)に加え、CoMP UEに対する最適な受信ポイント(パスロスがより小さい受信ポイント)向けの送信電力に補正するための値(例えば、式(2)に示すΔ
PLを考慮した値)が含まれる。本実施の形態における送信電力の制御値の詳細な説明については後述する。
【0040】
送信電力制御部106は、制御値算出部105から入力される送信電力の制御値(P
o_UE_PUSCH,c(j))、及び、復調部102から入力される送信電力制御に関する制御情報(例えば、セル固有パラメータであるP
o_NOMINAL_PUSCH,c(j))に基づいて、データ信号(PUSCH)の送信電力P
PUSCH,c(j)を決定し、決定した送信電力を送信部114(増幅部116)に出力する。具体的には、送信電力制御部106は、セル固有パラメータP
o_NOMINAL_PUSCH,c(j)と端末固有パラメータP
o_UE_PUSCH,c(j)とを加算することで、P
o_PUSCH,c(j)を導出する。そして、送信電力制御部106は、導出したP
o_PUSCH,c(j)を用いて、式(1)に従ってデータ信号(PUSCH)の送信電力P
PUSCH,c(j)を決定する。
【0041】
信号生成部107は、入力される送信データに対して、設定されている送信方式に応じた信号生成処理を行う。例えば、送信方式がOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)方式である場合、信号生成部107は、符号化部108と、変調部109と、DFT(Discrete Fourier Transform)部110と、マッピング部111と、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部112と、CP(Cyclic Prefix)付加部113とを有する。ただし、送信方式はOFDM方式に限らず、信号生成部107は、設定された送信方式に応じた構成を採るものとする。
【0042】
符号化部108は、送信データを符号化して、符号化データを変調部109に出力し、変調部109は、符号化部108から入力される符号化データを変調して、変調データをDFT部110に出力する。
【0043】
DFT部110は、変調部109から入力される変調データ信号にDFT処理を施して、マッピング部111に出力する。
【0044】
マッピング部111は、基地局200から指示された周波数リソース割当情報(図示せず)に基づいて、DFT部110から入力されるDFT処理後のデータ信号を、周波数リソースにマッピングしてIFFT部112に出力する。
【0045】
IFFT部112は、データ信号がマッピングされた複数のサブキャリアに対してIFFT処理を行い、IFFT処理後の信号をCP付加部113に出力する。
【0046】
CP付加部113は、IFFT部112から入力されるIFFT後の信号の後尾部分と同じ信号をCPとして先頭に付加し、CP付加後の信号を送信部114(D/A部115)に出力する。
【0047】
送信部114は、制御部103から入力される送信電力値(P
PUSCH,c(j))を用いて、信号生成部107から入力される信号(PUSCH)に対して送信処理を行い、送信処理後の信号をアンテナを介して送信する。送信部114は、D/A部115と、増幅部116と、アップコンバート部117とを有する。
【0048】
D/A部115は、CP付加部113から入力される信号をD/A変換し、D/A変換後の信号を増幅部116に出力する。
【0049】
増幅部116は、送信電力制御部106から入力される送信電力に従って、D/A部115から入力される信号の送信電力を増幅し、増幅後の信号をアップコンバート部117に出力する。
【0050】
アップコンバート部117は、増幅部116から入力される信号に対し、搬送波周波数への周波数変換を行う。アップコンバート部117は、送信処理後の信号をアンテナを介して送信する。
【0051】
[基地局200の構成]
図6は、本発明の実施の形態1に係る基地局200の構成を示すブロック図である。
【0052】
基地局200において、信号生成部201は、各端末100に対する送信電力制御に関する制御情報を生成し、生成した制御情報に対して信号生成処理を行う。信号生成部201は、パスロス差推定部202と、送信電力制御情報生成部203と、変調部204と、を有する。
【0053】
パスロス差推定部202は、端末100と基地局200との間のパスロスと、端末100と各受信ポイントとの間のパスロスのうち最も小さいパスロスと、の差(パスロス差:Δ
PL)を推定し、推定したパスロス差を送信電力制御情報生成部203に出力する。
【0054】
例えば、端末100が送信する上り回線信号(PUSCH、SRS(Sounding Reference Signal)又はPRACH(Physical Random Access Channel)など)の受信レベル(RSRP:Reference Signal Received Power)が複数の受信ポイントで同時に測定され、基地局200(CoMPが適用されるエリア内のスケジューラ(図示せず))が測定結果を複数の受信ポイントから受け取ってもよい。そして、パスロス差推定部202は、測定結果の差分を求めることで上記パスロス差を導出してもよい。又は、パスロス差推定部202は、端末100がServing cellへ定期的に報告する、隣接セル(複数の受信ポイント)からの参照信号の受信レベル(RSRP)を用いて、パスロス差を導出してもよい。
【0055】
送信電力制御情報生成部203は、端末100の送信電力制御に関する制御情報を生成し、生成した制御情報を変調部204へ出力する。具体的には、送信電力制御情報生成部203は、端末100の受信品質に基づいて、端末100に適した送信電力を決定し、式(1)に示す、基地局200が設定するパラメータ(端末固有パラメータP
o_UE_PUSCH,c(j)を含む)を生成する。ただし、送信電力制御情報生成部203は、端末100がNon−CoMP UEの場合、Serving cell向けの送信電力となるように、端末固有パラメータP
o_UE_PUSCH,c(j)[dB]を決定する。一方、送信電力制御情報生成部203は、端末100がCoMP UEの場合、パスロスが最小の受信ポイント向けの送信電力となるように、パスロス差推定部202から入力されるパスロス差を用いて、端末固有パラメータP
o_UE_PUSCH,c(j)[dB]を決定する。
【0056】
変調部204は、送信電力制御情報生成部203から出力された送信電力制御に関する制御情報を変調して、送信部205に出力する。
【0057】
送信部205は、変調部204から入力される信号に対してD/A変換、アップコンバート、増幅等の送信処理を施し、送信処理を施した信号をアンテナを介して送信する。
【0058】
一方、受信部206は、端末から送信された信号をアンテナを介して受信し、受信信号に対してダウンコンバート、A/D変換等の受信処理を施し、受信処理を施した受信信号をCP除去部208に出力する。
【0059】
信号処理部207は、受信部206から入力される受信信号に対して、設定されている送信方式に応じた信号生成処理を行う。例えば、送信方式がOFDM方式である場合、信号処理部207は、CP除去部208と、FFT(Fast Fourier Transform)部209と、デマッピング部210と、周波数領域等化部211と、IDFT(Inverse Discrete Fourier Transform)部212と、復調部213と、復号部214とを有する。ただし、送信方式はOFDM方式に限らず、信号処理部207は、設定された送信方式に応じた構成を採るものとする。
【0060】
CP除去部208は、受信部206から入力される受信信号の先頭に付加されたCPを除去して、FFT部209に出力し、FFT部209は、CP除去部208から入力される受信信号に対してFFT処理を施して周波数領域の信号に変換し、周波数領域に変換した信号をデマッピング部210に出力する。
【0061】
抽出手段としてのデマッピング部210は、端末100の送信帯域に対応する信号を抽出し、抽出した信号を周波数領域等化部211に出力する。
【0062】
周波数領域等化部211は、デマッピング部210から入力される信号に対して等化処理を施して、IDFT部212に出力し、IDFT部212は、周波数領域等化部211から入力される信号に対してIDFT処理を施して、復調部213に出力する。
【0063】
復調部213は、IDFT部212から入力される信号に対して復調処理を施して、復号部214に出力し、復号部214は、復調部213から入力される信号に対して復号処理を施し、受信データを抽出する。
【0064】
[端末100及び基地局200の動作]
以上の構成を有する端末100及び基地局200の動作について説明する。
【0065】
例えば、式(2)において、仮に、Serving cell向けの送信電力制御に用いられるP
o_PUSCH,c(j)をP
o_PUSCH,c,serving(j)とし、パスロスが最小の受信ポイント向けの送信電力制御に用いられるP
o_PUSCH,c(j)をP
o_PUSCH,c,min(j)とする。この場合、P
o_PUSCH,c,serving(j)とP
o_PUSCH,c,min(j)との間には次式(3)に示す関係が成り立つ。
【数3】
【0066】
すなわち、P
o_PUSCH,c,serving(j)をα
c(j)・Δ
PLだけ小さい値に変更することで、P
o_PUSCH,c,min(j)が得られる。つまり、基地局200から端末100へ通知されるパラメータである従来のP
o_PUSCH,c(j)(Serving cell向けの送信電力制御に関する制御値)をα
c(j)・Δ
PLだけ小さい値に変更することで、CoMP UE向けの送信電力制御が実施可能となる。
【0067】
ここで、パスロス差Δ
PLは端末100の位置に依存して決まる。つまり、パスロス差Δ
PLは端末固有パラメータであると言える。また、上述したように、式(2)に示すP
o_PUSCH,c(j)(式(3)に示すP
o_PUSCH,c,serving(j)に相当)は、セル固有パラメータP
o_NOMINAL_PUSCH,c(j)及び端末固有パラメータP
o_UE_PUSCH,c(j)の2つのパラメータで表される。
【0068】
よって、P
o_PUSCH,c(j)の変更(P
o_PUSCH,c,serving(j)からP
o_PUSCH,c,min(j)への変更)は、端末固有パラメータであるP
o_UE_PUSCH,c(j)を用いて基地局200から端末100へ通知することができる。具体的には、端末固有パラメータであるP
o_UE_PUSCH,c(j)として、式(3)に示すP
o_PUSCH,c,serving(j)、及び、パスロス差Δ
PLの双方を考慮した値を端末100毎に設定することが可能である。
【0069】
従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)(−8〜7[dB]。例えば、
図1参照)の通知は、端末100におけるパスロスの測定誤差を補正する目的がある。一方、パスロスの測定誤差を補正する目的に加え、上述したパスロス差Δ
PLを考慮したCoMP UEの送信電力への変更を目的として、P
o_UE_PUSCH,c(j)の通知を行う場合には、双方の目的を考慮した範囲のP
o_UE_PUSCH,c(j)が設定される必要がある。例えば、パスロスの測定誤差の補正範囲として、
図1に示す−8〜7[dB]を想定し、パスロス差Δ
PLの範囲として0〜−16[dB]を想定した場合、パスロス差Δ
PLも考慮されたP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲は、−24〜7[dB]となる。
【0070】
このように、CoMP UE向けの送信電力に関する制御値であるP
o_UE_PUSCH,c(j)の各候補は、Non−CoMP向けの送信電力に関する制御値である従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)が取り得る値の範囲(−8〜7[dB])、及び、CoMP時の送信電力の制御に関する制御値として取り得る値の範囲(−24〜7[dB])において設定される。
【0071】
次に、パスロス差Δ
PLを考慮したP
o_UE_PUSCH,c(j)を通知する場合と、式(2)に示すP
o_UE_PUSCH,c(j)及びΔ
PLを個別に通知する場合とを比較する。P
o_UE_PUSCH,c(j)及びΔ
PLを個別に通知する場合、P
o_UE_PUSCH,c(j)(−8〜7[dB])の通知のための4ビット(
図1参照)、及び、パスロス差Δ
PL(0〜−16[dB])の通知のための5ビットの合計9ビットが必要となる。一方、パスロス差Δ
PLを考慮したP
o_UE_PUSCH,c(j)を通知する場合、P
o_UE_PUSCH,c(j)(−24〜7[dB])の通知のための5ビットが必要となる。つまり、P
o_UE_PUSCH,c(j)に加えて新たな端末固有パラメータであるΔ
PLを追加で通知する場合よりも、パスロス差Δ
PLを考慮したP
o_UE_PUSCH,c(j)を設定して通知することにより、通知ビット数(シグナリング量)を削減することができる。
【0072】
つまり、本実施の形態によれば、従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知に要するシグナリング量(
図1では4ビット)からのシグナリング量の増加を抑えて、CoMP UEに対する送信電力に関する制御値を、基地局200から端末100へ通知することができる。
【0073】
[実施の形態2]
実施の形態1では、新たな端末固有パラメータであるΔ
PLを追加で通知することなく、パスロス差Δ
PLを考慮したP
o_UE_PUSCH,c(j)を通知する場合について説明した。ただし、この場合、従来(Release 10又はLTE)のシグナリングフォーマットからLTE−Advanced(Release 11)向けのシグナリングフォーマットへの変更が必要になる。しかし、LTE−Advanced(Release 11)では、システムの複雑さの観点より、従来(Release 10)のシグナリングフォーマットからの変更が無いことがより望ましい。
【0074】
そこで、本実施の形態では、上記対応付けルールにおいて、Non−CoMP UEとCoMP UEとの間でビット列と制御値(P
o_UE_PUSCH,c(j))との対応関係を互いに異ならせる。
【0075】
なお、本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態1に係る端末100及び基地局200と基本構成が共通するので、
図3〜
図6を援用して説明する。
【0076】
[端末100及び基地局200の主要構成]
図3は、本発明の実施の形態2に係る端末100の主要構成図である。
図3に示す端末100において、制御部103は、基地局200から通知されたビット列(制御情報)、及び、ビット列と送信電力に関する制御値との対応付けに基づいて、送信電力を制御する。上記対応付けでは、ビット列の各々と、Non−CoMP UE向けの制御値候補群(第1の制御値候補群)及びCoMP UE向けの制御値候補群(第2の制御値候補群)と、がそれぞれ対応付けられている。制御部103は、端末100(自機)が複数の基地局200によるCoMP(協調受信)の対象ではない場合、Non−CoMP向けの制御値候補群のうち、通知されたビット列に対応付けられた制御値候補を用いて送信電力を算出し、端末100がCoMPの対象である場合、CoMP向けの制御値候補群のうち、通知されたビット列に対応付けられた制御値候補を用いて送信電力を算出する。
【0077】
図4は、本発明の実施の形態2に係る基地局200の主要構成図である。
図4に示す基地局200において、信号生成部201は、ビット列の各々と端末100(送信装置)の送信電力に関するNon−CoMP UE向けの制御値候補群(第1の制御値候補群)及びCoMP UE向けの制御値候補群(第2の制御値候補群)とがそれぞれ対応付けられた対応関係に基づいて設定されたビット列を含む制御信号を生成する。信号生成部201では、端末100が複数の基地局200によるCoMP(協調受信)の対象ではない場合、Non−CoMP UE向けの制御値候補群のうち、設定されたビット列に対応付けられた制御値候補が用いられ、端末100がCoMPの対象である場合、CoMP UE向けの制御値候補群のうち、設定されたビット列に対応付けられた制御値候補が用いられる。
【0078】
[端末100及び基地局200の構成]
図5に示す端末100において、制御値算出部105は、送信電力制御に関する制御情報(ビット列)と上記送信電力の制御値(P
o_UE_PUSCH,c(j):dB値)との対応付けルールを参照して、当該制御情報(ビット列)に対応する送信電力の制御値(dB値)を算出する。ここで、上記対応付けルールは、端末100と基地局200との間で予め共有されている。また、上記対応付けルールには、端末100がCoMP UEであるかNon−CoMP UEであるかによって、同一ビット列に対して異なる制御値が対応付けられている。上記対応付けルールの詳細な説明については後述する。
【0079】
図6に示す基地局200において、、送信電力制御情報生成部203は、送信電力制御に関する制御情報(ビット列)と送信電力の制御値であるP
o_UE_PUSCH,c(j)(dB値)との対応付けルールを用いて、決定した端末固有パラメータP
o_UE_PUSCH,c(j)(dB値)をビット列に変換する。上記対応付けルールは、端末100と基地局200との間で予め共有している。上記対応付けルールの詳細な説明については後述する。
【0080】
次に、端末100の制御値算出部105及び基地局200の送信電力制御情報生成部203で用いられる、制御情報(ビット列)とP
o_UE_PUSCH,c(j)(dB値)との対応付けルールについて説明する。
【0081】
具体的には、対応付けルールでは、ビット列の各々と、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)及びCoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の2種類の値と、がそれぞれ対応付けられる。なお、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)は、従来(例えば
図1)と同様の範囲(−8〜7[dB])が設定され、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)は、従来の通知範囲に加えて、パスロス差Δ
PLを考慮した範囲(−24〜7[dB])が設定される。
【0082】
図7は、本実施の形態における制御情報(ビット列)とP
o_UE_PUSCH,c(j)との対応付けの一例を示す。
図7に示すように、ビット列の長さは4ビット(0000〜1111)の固定値であり、当該ビット列で通知可能なP
o_UE_PUSCH,c(j)は16種類である。
【0083】
図7に示すように、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−8〜7[dB]の範囲のうち16値が設定される。すなわち、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−8〜7[dB]の値が1dB間隔で設定される(ステップ幅:1[dB])。一方、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−23〜7[dB]の範囲のうち16値が設定される。すなわち、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−23〜7[dB]の値が2dB間隔で設定される(ステップ幅:2[dB])。
【0084】
すなわち、
図7に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)における隣接する制御値間の間隔(ステップ幅)は、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)における隣接する制御値間の間隔(ステップ幅)よりも大きい(粗い)。これにより、CoMP UEに対して、Non−CoMP UEの場合と同一のビット数(
図7では4ビット)のビット列を用いて、P
o_UE_PUSCH,c(j)の通知範囲を拡張することが可能となる。つまり、
図7に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)における最大値(7[dB])と最小値(−23[dB])との差は、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)における最大値(7[dB])と最小値(−8[dB])との差よりも大きい。
【0085】
よって、基地局200の送信電力制御情報生成部203は、端末100がNon−CoMP UEであるかCoMP UEであるかに応じて、同一の制御情報(ビット列)を用いて互いに異なるP
o_UE_PUSCH,c(j)を設定することができる。つまり、基地局200は、同一の制御情報を用いて、端末100がNon−CoMP UE又はCoMP UEの双方の場合における最適な送信電力を指示することが可能となる。例えば、
図7では、送信電力制御情報生成部203は、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)=−8[dB]と、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)=−23[dB]と、を同一ビット列「0000」として設定することができる。
【0086】
また、端末100の制御値算出部105は、端末100がNon−CoMP UEであるかCoMP UEであるかに応じて、基地局200から通知される制御情報(ビット列)に対応するP
o_UE_PUSCH,c(j)を読み替えることにより、Non−CoMP UE及びCoMP UEの双方の送信電力の制御値を適切に特定することができる。例えば、
図7では、制御値算出部105は、ビット列「0000」が通知された場合、端末100がNon−CoMP UEであれば、P
o_UE_PUSCH,c(j)=−8[dB]と特定し、端末100がCoMP UEであれば、P
o_UE_PUSCH,c(j)=−23[dB]と特定する。
【0087】
このように、端末100は、端末100がCoMP UEではない場合、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)のうち、通知されたビット列に対応付けられたP
o_UE_PUSCH,c(j)を用いて送信電力を算出し、端末100がCoMP UEである場合、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)のうち、通知されたビット列に対応付けられたP
o_UE_PUSCH,c(j)を用いて送信電力を算出する。
【0088】
こうすることで、本実施の形態におけるP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知(
図7)では、従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知(
図1)と比較して、シグナリング量が増加しない。すなわち、シグナリング量を増加させることなく、基地局200から端末100へ送信電力に関する制御値を通知することができる。また、本実施の形態におけるP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知(
図7)では、従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知(
図1)と比較して、シグナリングフォーマットの変更が不要となり、シグナリングフォーマットの変更によってシステムが複雑になることを回避することができる。
【0089】
つまり、本実施の形態によれば、従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知(
図1)と比較して、シグナリングフォーマットを変更することなく、かつ、シグナリング量を増加させることなく、CoMP UEに対する送信電力制御を行うことで、UL CoMPによるシステム性能改善効果を得ることができる。
【0090】
なお、送信電力の設定誤差は、上り回線の割当制御情報(UL grant)に含まれるTPCコマンド(式(1)に示すf
c(i))を用いても補正可能であるが、TPCコマンドを用いる方法は効率が悪い。例えば、式(1)に示すf
c(i)は、+3dB、+1dB、0dB、−1dBの値が設定可能であるので、3dBより大きな値を補正するためには複数回のUL grant送信が必要となるので、シグナリング量が増加してしまう。さらに、端末の上り回線の送信モードが変更された場合には、TPCコマンドの累計値がリセットされる。このため、送信モードが変更されるたびに複数回のUL grant送信による送信電力補正が必要となるので、オーバーヘッドが更に増加してしまう。これに対して、本実施の形態では、CoMP UEに対する端末固有パラメータであるP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知範囲を拡張することにより、適切な送信電力が設定される。こうすることで、上述したような複数回のUL grant送信の発生を回避することができる。
【0091】
[実施の形態3]
本実施の形態では、P
o_PUSCH,c(j)の変更を考慮したP
o_UE_PUSCH,c(j)(つまり、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j))の各候補値の使用頻度、つまり、基地局200がセル内の端末100へ通知する頻度に着目する。
【0092】
なお、本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態2に係る端末100及び基地局200と基本構成が共通するので、
図5,6を援用して説明する。
【0093】
上述したように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の用途は2つある。
【0094】
1つ目の用途は、従来(Non−CoMP UE)と同様、端末100(UE)におけるパスロスの測定誤差を補正することである。この場合、P
o_UE_PUSCH,c(j)として想定される値の範囲は−8〜7[dB]であり(例えば
図1参照)、P
o_UE_PUSCH,c(j)の使用頻度は、0[dB]を中心としてプラス方向及びマイナス方向にガウス分布することが予想される。
【0095】
2つ目の用途は、Serving cell向けの送信電力からパスロスが最小の受信ポイント向けの送信電力(CoMP UEの送信電力)への切替のために、送信電力を補正することである。この場合、P
o_UE_PUSCH,c(j)は、パスロス差Δ
PLに応じて、Serving cell向けの送信電力を低下させるために用いられる(例えば、式(3)参照)。そのため、Δ
PLの使用頻度は、0[dB]よりもマイナス方向(例えば、−16〜0[dB])に分布することが予想される。
【0096】
よって、上記2つの用途の双方を考慮すると、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の使用頻度は、
図8に示すように、0[dB]よりもマイナス方向の領域において最も高くなることが予想される。すなわち、
図8に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の使用頻度は、dB値において、マイナス方向の領域の方がプラス方向の領域よりも高くなる傾向がある。
【0097】
そこで、本実施の形態では、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の使用頻度に応じて、P
o_UE_PUSCH,c(j)の設定間隔(ステップ幅)を異ならせる。
【0098】
以下、端末100の制御値算出部105及び基地局200の送信電力制御情報生成部203で用いられる、制御情報(ビット列)とP
o_UE_PUSCH,c(j)(dB値)との対応付けルールについて説明する。
【0099】
図9は、本実施の形態における制御情報(ビット列)とP
o_UE_PUSCH,c(j)との対応付けの一例を示す。
【0100】
図9に示すように、ビット列の長さは、実施の形態2(
図7)と同様、4ビット(0000〜1111)の固定値であり、当該ビット列で通知可能なP
o_UE_PUSCH,c(j)は16種類である。また、
図9に示すように、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、実施の形態2と同様、−8〜7[dB]の値がステップ幅1[dB]で設定される。
【0101】
また、
図9に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−24〜7[dB]の値が設定される。ただし、
図9に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)のうち、−18〜−11[dB]の範囲では値が1dB間隔で設定される(ステップ幅:1[dB])。これに対して、
図9に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)のうち、−24〜−18[dB]の範囲、及び、−8〜7[dB]の範囲では、値が3dB間隔で設定される(ステップ幅:3[dB])。
【0102】
すなわち、
図9に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲(−24〜7[dB])において、セル内での使用頻度がより高い値を含む範囲(
図9では−18〜−11[dB])では、より細かいステップ幅(1[dB])の値が設定され、隣接する制御値間の間隔がより小さくなる。一方、
図9に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲(−24〜7[dB])において、セル内での使用頻度がより低い値を含む領域(−24〜−18[dB]、又は、−11〜7[dB])では、より粗いステップ幅(3[dB])の値が設定され、隣接する制御値間の間隔がより大きくなる。
【0103】
こうすることで、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲のうち、使用頻度が高い範囲では、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として使用可能な値が細かく設定されるので、基地局200は、端末100に対して送信電力を高精度に設定することができる。すなわち、CoMP UEに対する送信電力の設定誤差によるシステム性能改善効果の低下を抑えることが可能となる。
【0104】
また、使用頻度が低い範囲では、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として使用可能な値が粗く設定されるので、使用頻度が高い範囲と比較して送信電力の設定誤差が発生しやすくなる。ただし、送信電力の設定誤差は、上り回線割当制御情報(UL grant)に含まれるTPCコマンド(式(1)に示すf
c(i))を用いても補正可能である。例えば、式(1)に示すf
c(i)は、+3dB、+1dB、0dB、−1dBの値が設定可能であるので、
図9に示すステップ幅が粗い範囲(ステップ幅:3[dB])のP
o_UE_PUSCH,c(j)が設定された端末100に対して、UL grantでTPCコマンド(例えば、±1dBの範囲の値)を通知することで、ステップ幅(3[dB])に起因する送信電力の設定誤差を補償して、適切な送信電力に調整することができる。
【0105】
また、本実施の形態によれば、実施の形態2と同様、従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知(
図1)と比較して、シグナリングフォーマットを変更することなく、かつ、シグナリング量を増加させることなく、CoMP UEに対する送信電力制御を行うことで、UL CoMPによるシステム性能改善効果を得ることができる。
【0106】
なお、本実施の形態では、
図8及び
図9に示すように、P
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲を、P
o_UE_PUSCH,c(j)の使用頻度が最も高い領域、及び、最も高い領域の両端の領域(使用頻度が低い領域)の3つの領域に分ける場合について説明した。しかし、これに限らず、簡素化のために、P
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲を、P
o_UE_PUSCH,c(j)の使用頻度の高い領域と、使用頻度の低い領域の2つの領域に分けてもよい。例えば、
図10に示すように、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲(−23〜7[dB])のうち、所定のdB値(−14[dB])以下のP
o_UE_PUSCH,c(j)の候補を含む範囲(−23〜−14[dB])では、使用頻度がより高いと予想されるので、より細かいステップ幅の値が設定される(ステップ幅:1[dB])。一方、所定のdB値(−14[dB])以上のP
o_UE_PUSCH,c(j)の候補を含む範囲(−14〜7[dB])では、使用頻度がより低いと予想されるので、より粗いステップ幅の値が設定される(ステップ幅:3[dB])。
【0107】
[実施の形態4]
本実施の形態では、Serving cell向けの送信電力からパスロスが最小の受信ポイント向けの送信電力(CoMP UEの送信電力)への切替が、パスロスの補償割合α
c(j)に依存することに着目する。
【0108】
なお、本実施の形態に係る基地局及び端末は、実施の形態2に係る端末100及び基地局200と基本構成が共通するので、
図5,6を援用して説明する。
【0109】
また、以下の説明では、パスロス差Δ
PLの範囲を−16〜0[dB]とし、パスロスの補償割合α
c(j)が採りうる値を0.0、0.6、1.0の3種類とする。
【0110】
Serving cell向けの送信電力からパスロスが最小の受信ポイント向けの送信電力への切替時におけるP
o_UE_PUSCH,c(j)の変更量は、式(3)に示すように、α
c(j)・Δ
PLで表される。よって、α
c(j)が大きいほど、上記変更量はより大きくなり得る。
【0111】
例えば、α
c(j)=0.0の場合、Serving cell向けの送信電力からパスロスが最小の受信ポイント向けの送信電力への切替時における変更量(α
c(j)・Δ
PL)はゼロとなる。一方、α
c(j)=0.6の場合、上記変更量(α
c(j)・Δ
PL)は最大で9.6[dB](=0.6・16.0)となる。また、α
c(j)=1.0の場合、上記変更量(α
c(j)・Δ
PL)は最大で16.0[dB](=1.0・16.0)となる。
【0112】
よって、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として採りうる値の範囲は、α
c(j)の値に応じて以下のように設定されることが予想される。
α
c(j)=0.0の場合:−8〜7[dB]
α
c(j)=0.6の場合:−17.6〜7[dB]
α
c(j)=1.0の場合:−24〜7[dB]
【0113】
そこで、本実施の形態では、α
c(j)の値に応じて、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲を異ならせる。換言すると、本実施の形態では、α
c(j)の値に応じて、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定間隔(ステップ幅)を異ならせる。
【0114】
以下、端末100の制御値算出部105及び基地局200の送信電力制御情報生成部203で用いられる、制御情報(ビット列)とP
o_UE_PUSCH,c(j)(dB値)との対応付けルールについて説明する。
【0115】
図11は、本実施の形態における制御情報(ビット列)とP
o_UE_PUSCH,c(j)との対応付けの一例を示す。
【0116】
図11に示すように、ビット列の長さは、実施の形態2(
図7)と同様、4ビット(0000〜1111)の固定値であり、当該ビット列で通知可能なP
o_UE_PUSCH,c(j)は16種類である。また、
図11に示すように、Non−CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、実施の形態2と同様、−8〜7[dB]の値がステップ幅1[dB]で設定される。
【0117】
図11に示すように、α
c(j)=0.0が設定されたCoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−8〜7[dB]の値がステップ幅1[dB]で設定される。
【0118】
また、
図11に示すように、α
c(j)=0.6(又は0.0<α
c(j)≦0.6)が設定されたCoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−15.5〜7.0[dB]の値がステップ幅1.5[dB]で設定される。
【0119】
また、
図11に示すように、α
c(j)=1.0(又は0.6<α
c(j)≦1.0)が設定されたCoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−23〜7[dB]の値がステップ幅2[dB]で設定される。
【0120】
このようにして、α
c(j)に応じて、制御情報(4ビットのビット列)によって通知する値の範囲を変更する。具体的には、
図11に示すように、α
c(j)が大きいほど、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲はより広くなる。換言すると、α
c(j)が大きいほど、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)における最大値と最小値との差はより大きくなる。すなわち、
図11に示すように、α
c(j)が大きいほど、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定間隔(ステップ幅)はより大きくなる。
【0121】
こうすることで、CoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)は、α
c(j)に応じて想定される範囲の値に設定されるので、基地局200は、端末100に対する送信電力を、α
c(j)に応じて適切に設定することができる。
【0122】
例えば、本実施の形態(
図11)と実施の形態2(
図7)とを比較する。
図7では、α
c(j)に依らず、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−23〜7[dB]の値がステップ幅2[dB]で設定される。これに対して、
図11では、α
c(j)=1.0の場合にはCoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−23〜7[dB]の値がステップ幅2[dB]で設定され、α
c(j)=0.0の場合にはCoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として、−8〜7[dB]の値がステップ幅1[dB]で設定される。
【0123】
つまり、本実施の形態では、特に、α
c(j)が小さいほど、CoMP UE向けのP
o_UE_PUSCH,c(j)として設定される値の設定間隔(ステップ幅)をより小さくすることで、基地局200は、端末100に対して送信電力をより高精度に設定することができる。すなわち、本実施の形態によれば、実施の形態2と比較して、端末100向けの送信電力を精度良く設定することができるので、送信電力の設定誤差によるシステム性能改善効果の低下を抑えることが可能となる。
【0124】
また、本実施の形態によれば、実施の形態2と同様、従来のP
o_UE_PUSCH,c(j)の通知(
図1)と比較して、シグナリングフォーマットを変更することなく、かつ、シグナリング量を増加させることなく、CoMP UEに対する送信電力制御を行うことで、UL CoMPによるシステム性能改善効果を得ることができる。
【0125】
なお、本実施の形態では、パスロス補償割合α
c(j)がセル固有パラメータである場合について説明した。しかし、本実施の形態は、端末固有パラメータとしてパスロス補償割合α
c(j)が新たに導入される場合でも同様に適用できる。つまり、端末固有のパスロス補償割合α
c(j)に応じて、CoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲(ステップ幅)を調整することにより、本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0126】
[他の実施の形態]
(1)なお、上記各実施の形態において、「CoMP UE」は複数の基地局による協調受信が常に適用される端末でなくてもよい。例えば、以下の(i)〜(iv)の端末(UE)をCoMP UEとしてもよい。
(i)Serving cellとは異なるセル(基地局)に向けて上り回線信号を送信する端末。この場合、複数セル間で受信信号を合成するか否かには依らない。
(ii)端末固有のDMRS(Demodulation Reference Signal)系列が設定可能な端末、又はDMRS系列が設定された端末。
(iii)Virtual cell IDが設定可能な端末、又は、Virtual cell IDが設定された端末。
(iv)CoMP UEであることを基地局から明示的に通知された端末。
【0127】
(2)また、上記各実施の形態では、
図7、
図9、
図10、
図11に示すテーブルを用いて、P
o_UE_PUSCH,c(j)を表すビット列とdB値との変換を行う場合について説明した。しかし、上記テーブルの代わりに、式を用いてP
o_UE_PUSCH,c(j)を導出してもよい。例えば、P
o_UE_PUSCH,c(j)を次式(4)に従って導出してもよい。
【数4】
【0128】
式(4)において、P
dBは、P
o_UE_PUSCH,c(j)のdB値を表し、P
bitは、ビット列(4ビットの場合、P
bit=0〜15)を表し、Δ
stepは、ステップ幅[dB]を表し、P
dB_MINは、dB値の最小値を表す。
【0129】
また、式(4)に示すΔ
step及びP
dB_MINは、Non−CoMP UEとCoMP UEとで値が異なる。例えば、
図7に示すテーブルの対応関係に相当するΔ
step及びP
dB_MINを
図12Aに示し、
図11に示すテーブルの対応関係に相当するΔ
step及びP
dB_MINを
図12Bに示す。このように式を用いてP
o_UE_PUSCH,c(j)のdB値を導出することにより、端末100及び基地局200では
図7、
図11などのテーブルを予め保持する必要が無くなるので、端末100及び基地局200のメモリ使用量を低減することができる。
【0130】
さらに、例えば、
図7又は
図11に示すように、P
o_UE_PUSCH,c(j)の最大値がNon−CoMP UEとCoMP UEとで同一(
図7及び
図11では7dB)の場合、次式(5)を用いてP
o_UE_PUSCH,c(j)を導出してもよい。
【数5】
【0131】
式(5)を用いる場合、端末100及び基地局200は、
図12A及び
図12Bに示すΔ
stepのみを保持すればよいので、式(4)を用いる場合と比較して、端末100及び基地局200のメモリ使用量をさらに低減することができる。
【0132】
また、P
o_UE_PUSCH,c(j)の通知の度にΔ
step及びP
dB_MINは基地局200から端末100へ通知されてもよい。これにより、端末100及び基地局200において、P
o_UE_PUSCH,c(j)に関して予め保持する必要がある情報が無くなるので、端末100及び基地局200のメモリ使用量を更に低減でき、セル毎に適した送信電力制御が可能となる。
【0133】
(3)また、上記各実施の形態では、データ信号(PUSCH)の送信電力制御について説明したが、本発明における送信電力制御の対象はデータ信号に限らない。本発明は、Serving cellとは異なるセルに向けて上り回線信号を送信する場合について適用することができる。例えば、Serving cellとは異なるセルに向けて上り回線信号として、SRS、DMRS、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)、PRACHなどが挙げられる。
【0134】
(4)実施の形態3と実施の形態4とを組み合わせてもよい。すなわち、
図13に示すように、実施の形態4と同様にしてCoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲(ステップ幅)をα
c(j)に応じて異ならせて、かつ、実施の形態3と同様にして、α
c(j)毎のP
o_UE_PUSCH,c(j)において、P
o_UE_PUSCH,c(j)の各値の使用頻度に応じてステップ幅を異ならせてもよい。こうすることで、P
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲及びステップ幅をより適切に設定できるので、UL CoMPによるシステム性能改善効果を得ることができる。
【0135】
(5)また、CoMP UEが上り回線において送信対象とするピコセルにおけるCRE(Cell Range Expansion)の大きさに応じて、P
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲(ステップ幅)を異ならせてもよい。ここで、CREは、ピコセルが選択されるエリアを拡大する技術である。CREでは、ピコセルの接続リンク選択基準(例えば、下り回線の受信電力、又は、伝搬ロスなど)に対してオフセット値(dB値によって設定される値。CREオフセット値)が付加される。例えば、CREオフセット値が正の場合、端末がピコセルに接続されるエリアが拡大し(例えば
図14B参照)、CREオフセット値が負の場合、端末がピコセルに接続されるエリアが縮小する(図示せず)。例えば、CREオフセット値は、端末に予め通知される情報(例えば、「3GPP TS36.331」に記載されたMeasObjectEUTRAのCellsToAddMod::cellIndividualOffsetの値)を用いて推測できる。
【0136】
図14A(CREオフセット値が小さい場合)及び
図14B(CREオフセット値が大きい場合)に示すように、CREオフセット値が大きいほど、Macro UEとMacro eNBとのパスロス(
図14A及び
図14BではPL
macro)と、Macro UEとPico eNBとのパスロス(
図14A及び
図14BではPL
pico)と、のパスロス差がより小さくなる。このため、CREオフセット値が大きいほど、P
o_UE_PUSCH,c(j)の採りうる値の範囲(設定範囲)はより狭くなる。つまり、CREオフセット値が大きいほど、P
o_UE_PUSCH,c(j)のステップ幅をより小さくすることが可能となる。
【0137】
そこで、例えば、
図15に示すように、CREオフセット値が所定値(
図15では8dB)以上の場合(例えば
図14B参照)には、CoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲を−8〜7[dB]とし、ステップ幅を1dBステップとしてもよい。一方、
図15に示すように、CREオフセット値が所定値(
図15では8dB)未満の場合(例えば
図14A参照)には、CoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)の設定範囲を−23〜7[dB]とし、ステップ幅を2dBステップとしてもよい。こうすることで、端末100に隣接するピコセルが適用したCREオフセット値を把握さえすれば、CoMP UEに対するP
o_UE_PUSCH,c(j)を、新たなシグナリング無しで適切に設定することができる。さらに、
図15に実施の形態3の構成(
図9または
図10)を組み合わせてもよい。
【0138】
(6)上記各実施の形態では、本発明をハードウェアで構成する場合を例にとって説明したが、本発明はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0139】
また、上記各実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0140】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0141】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0142】
本開示の送信装置は、受信装置から通知されたビット列、及び、前記ビット列の各々と送信電力に関する第1の制御値候補群及び第2の制御値候補群とがそれぞれ対応付けられた対応関係に基づいて、自機が複数の受信装置による協調受信の対象ではない場合、前記第1の制御値候補群のうち前記通知されたビット列に対応付けられた制御値候補を用い、自機が前記協調受信の対象である場合、前記第2の制御値候補群のうち前記通知されたビット列に対応付けられた制御値候補を用いて、送信電力を制御する制御手段と、前記送信電力を用いて信号を送信する送信手段と、を具備する構成を採る。
【0143】
本開示の送信装置では、前記第2の制御値候補群における隣接する制御値候補間の間隔は、前記第1の制御値候補群における隣接する制御値候補間の間隔よりも大きい。
【0144】
本開示の送信装置では、前記第2の制御値候補群における最大値と最小値との差は、前記第1の制御値候補群における最大値と最小値との差よりも大きい。
【0145】
本開示の送信装置では、前記第2の制御値候補群の各制御値候補は、前記第1の制御値候補群の制御値候補が取り得る値の範囲、及び、前記協調受信時の送信電力の制御に関する制御値として取り得る値の範囲において設定される。
【0146】
本開示の送信装置では、前記第2の制御値候補群において、使用頻度がより高い制御値候補を含む第1の範囲では、隣接する制御値候補間の間隔がより小さく、使用頻度がより低い制御値候補を含む第2の範囲では、隣接する制御値候補間の間隔がより大きい。
【0147】
本開示の送信装置では、前記第2の制御値候補群において、所定値以下の制御値候補を含む第1の範囲では、隣接する制御値候補間の間隔がより小さく、前記所定値以上の制御値候補を含む第2の範囲では、隣接する制御値候補間の間隔がより大きい。
【0148】
本開示の送信装置では、前記送信電力の制御に使用されるパスロス補償割合が前記受信装置から前記送信装置へ通知され、前記対応付けでは、前記第2の制御値候補群において、前記パスロス補償割合が大きいほど隣接する制御値候補間の間隔はより大きい。
【0149】
本開示の送信装置では、前記送信電力の制御に使用されるパスロス補償割合が前記受信装置から前記送信装置へ通知され、前記対応付けでは、前記パスロス補償割合が大きいほど、前記第2の制御値候補群における最大値と最小値との差はより大きい。
【0150】
本開示の送信装置では、前記制御手段は、送信装置固有の参照信号用系列が前記受信装置から前記送信装置へ設定される場合、又は、送信装置固有の参照信号用系列が前記受信装置から前記送信装置へ設定可能な場合、当該送信装置が前記協調受信の対象であると判定する。
【0151】
本開示の送信装置では、前記制御手段は、自機向けの前記ビット列を通知する受信装置以外の受信装置に向けて信号を送信する場合、自機が前記協調受信の対象であると判定し、自機向けの前記ビット列を通知する受信装置に向けて信号を送信する場合、自機が前記協調受信の対象ではないと判定する。
【0152】
本開示の受信装置は、ビット列の各々と送信装置の送信電力に関する第1の制御値候補群及び第2の制御値候補群とがそれぞれ対応付けられた対応関係に基づいて設定されたビット列を含む制御信号を生成する信号生成手段と、前記制御信号を送信する送信手段と、を具備し、前記送信装置が複数の受信装置による協調受信の対象ではない場合、前記第1の制御値候補群のうち前記設定されたビット列に対応付けられた制御値候補が用いられ、前記送信装置が前記協調受信の対象である場合、前記第2の制御値候補群のうち前記設定されたビット列に対応付けられた制御値候補が用いられる。
【0153】
本開示の送信電力制御方法は、受信装置から通知されたビット列、及び、前記ビット列と送信電力に関する制御値との対応付けに基づいて、送信電力を制御する送信電力制御方法であって、前記対応付けでは、前記ビット列の各々と、第1の制御値候補群及び第2の制御値候補群と、がそれぞれ対応付けられ、送信装置が複数の受信装置による協調受信の対象ではない場合、前記第1の制御値候補群のうち、前記通知されたビット列に対応付けられた制御値候補を用いて送信電力を算出し、送信装置が前記協調受信の対象である場合、前記第2の制御値候補群のうち、前記通知されたビット列に対応付けられた制御値候補を用いて送信電力を算出する。
【0154】
2012年3月8日出願の特願2012−051836の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。