【文献】
E. Beaurepaire et al.,Combined scanning optical coherence and two-photon-excited fluorescence microscopy,OPTICS LETTERS,1999年 7月15日,Vol.24, No.14,p.969-971
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一つの第2の機器は、(i)二次元画像又は(ii)三次元画像の少なくとも一つを前記更なるデータの関数として生成する、請求項1記載の検査用装置。
前記少なくとも一つの第1の機器は、明視野、暗視野、位相コントラスト、偏光、上部反射性(epirefiectance)又は反射顕微鏡検査情報の少なくとも一つを取得するように構成された、請求項1記載の検査用装置。
前記少なくとも一つの第1の機器は、波長が時間とともに変化する光源装置から提供される信号に関連する光コヒーレンストモグラフィー情報を取得するように構成された、請求項1記載の検査用装置。
既に取得した前記第1のデータ及び前記第2のデータの少なくとも一つに基づいて前記少なくとも一つの第1の機器及び前記少なくとも一つの第2の機器の少なくとも一つを制御するように構成された少なくとも一つの第3の機器を備える、請求項1記載の検査用装置。
前記第1のデータに基づいて少なくとも一つの第1の画像を、前記第2のデータに基づいて少なくとも一つの第2の画像を生成するように構成された少なくとも一つの第5の機器を備え、前記第1の画像と前記第2の画像は、前記第1のデータと前記第2のデータの関数としてお互いに関連付けられている、請求項1記載の検査用装置。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】広帯域幅光源を用いた代表的なSECMシステムの概略図である。
【
図2】代表的なスペクトル領域(SD)OCTシステムの概略図である。
【
図3】広帯域幅光源を用いた代表的な光コヒーレンス顕微鏡検査法(OCM)システムの概略図である。
【
図4】広帯域幅光源を用いた代表的なFFOCMシステムの概略図である。
【
図5】広帯域幅光源を用いた代表的な蛍光SECMシステムの概略図である。
【
図6】波長同調光源を用いた代表的なSECMシステムの概略図である。
【
図7】波長同調/変調光源を用いた代表的なOFDIシステムの概略図である。
【
図8】波長変調/同調光源を用いた代表的なOCMシステムの概略図である。
【
図9】波長変調/同調光源を用いた代表的なFFOCMシステムの概略図である。
【
図10】本発明の第1の代表的な実施の形態による、広帯域幅光源を用いた代表的な混合SECM/SD−OCT/OCMシステムの概略図である。
【
図11】本発明の第2の代表的な実施の形態による、広帯域幅光源を用いた代表的な混合SECM/SD−OCT/FFOCMシステムの概略図である。
【
図12】本発明の特定の代表的な実施の形態による、代表的なマルチモダリティ顕微鏡スライダの概略図である。
【
図13】本発明の第3の代表的な実施の形態による、波長同調光源を用いた代表的な混合SECM/OFDI/OCMシステムの概略図である。
【
図14】本発明の第3の代表的な実施の形態による、波長同調光源を用いた代表的な混合SECM/OFDI/FFOCMシステムの概略図である。
【
図15a】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15b】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15c】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15d】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15e】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15f】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15g】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15h】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15i】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15j】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15k】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15l】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図15m】代表的な実施の形態の生体TDOCT及びOFDI手法を用いた、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の代表的な画像の一つである。
【
図16a】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16b】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16c】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16d】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16e】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16f】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16g】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16h】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16i】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16j】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16k】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16l】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図16m】代表的な実施の形態のFFOCM手法を用いた、ツメガエルの心臓の代表的な三次元画像の一つである。
【
図17a】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図17b】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図17c】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図17d】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図17e】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図17f】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図17g】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図17h】代表的な実施の形態のSECM手法を用いた、生体内で取得した代表的な高分解能共焦点画像の一つである。
【
図18a】本発明の代表的な実施の形態の方法及び装置を用いて取得したツメガエルの心臓の動脈瘤壁拡張の代表的な画像の一つである。
【
図18b】本発明の代表的な実施の形態の方法及び装置を用いて取得したツメガエルの心臓の動脈瘤壁拡張の代表的な画像の一つである。
【
図18c】本発明の代表的な実施の形態の方法及び装置を用いて取得したツメガエルの心臓の動脈瘤壁拡張の代表的な画像の一つである。
【
図18d】本発明の代表的な実施の形態の方法及び装置を用いて取得したツメガエルの心臓の動脈瘤壁拡張の代表的な画像の一つである。
【
図18e】本発明の代表的な実施の形態の方法及び装置を用いて取得したツメガエルの心臓の動脈瘤壁拡張の代表的な画像の一つである。
【
図19】本発明の代表的な実施の形態の方法及び装置を用いたエタノール暴露による異常心臓の形成の代表的な画像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
代表的なSECM技術は、細胞下レベルの分解能で組織または生物検体の画像を提供しうるものである。或いは、SECM画像は、サンプルからの蛍光発光或いは反射率の何れかを表すことができる。
図1に広帯域幅光源を用いた代表的なSECM装置の概略図を示す。この代表的な構成図において、準単色光または広帯域幅光100でサーキュレータ1110を照射するか、またはビームスプリッタを照射してよい。一実施の形態では、このサーキュレータ或いはビームスプリッタに光ファイバ結合が用いられている。光ファイバのコアは共焦点顕微鏡システム用のピンホールとしての役割を果たすことができる。或いは、ファイバは、例えば、サンプルを励起する光は単一モード、収集する光は多重モードとなるように光を伝送するための多重クラッディングを有してもよい。この素子からの光は、サンプルを1回以上の横断的に走査をするように、ビーム角度を走査するための走査機構115に投射される。走査機構は共振スキャナ、ガルバノメータスキャナ、ポリゴン走査鏡、音響光スキャナ(acousto−optic scanner)等の何れか一つで構成してもよい。対物レンズ130の後焦点面に走査軸を作るために望遠鏡器材を用いてもよい。走査機構からの光は、次いで、透過回折格子、プリズム、回折プリズム、双対回折プリズム(dual prism grating:DP− GRISM)等で構成された波長分散素子120へ投射することができる。この代表的な素子は、広帯域幅光源を様々な波長に分散し、対物レンズ130に波長に応じて様々な角度で入射するようにしている。
【0021】
一代表的な実施の形態では、レンズは微小な焦点を結ぶことができる開口数を有することができる。或いは、レンズはNA>0.2となる高い開口数を有する。対物レンズ130は、各波長領域毎にサンプルに焦点を結ぶ。サンプル160の各波長領域は、空間的に異なる位置であってもよい。回折格子及び対物レンズについて、これらの代表的な素子は、サンプル上に波長符号化ライン140(wavelength encoded line)を形成することができる。このラインの各位置は、波長領域に従って符号化されている。サンプル160からの光は
図1に示す代表的なシステムを通して反射される。焦点外れの光は光ファイバのクラッディングにより除去され、他方、焦点が合った(つまり共焦点の)光はサーキュレータ/ビームスプリッタ110を通して送り返され、帰還光145のスペクトル成分を測定する分光計に戻る。このスペクトルを測定することにより、共焦点光は空間位置の関数として画像上に一列に復号される。一連のラインは走査機構115の角度位置毎に形成され、スペクトル符号化共焦点顕微鏡検査画像を生成する。
【0022】
図2は、代表的なスペクトル領域OCTシステムの概略図である。代表的なSECMシステムと異なり、代表的なSD−OCTは、フーリエ領域のコヒーレンス回折を用いて生物検体の断面画像を提供することができる。一般的に、SD−OCT画像は分解能が低く(〜3〜10μm)、他方視野は広い(数mm)。この代表的なSD−OCTシステムでは、広帯域幅即ち準単色光源200を干渉計に投射することができる。干渉計は光ファイバで構成することができる。ファイバに連結された光は、サーキュレータ210及びビームスプリッタ220へ送られる。サーキュレータ210に接続された光は、好ましくは、ビームスプリッタ220によって、その一部が基準アーム225に送られまた一部がサンプルアーム235へ送られるようで分配することができる。基準アーム225から送られた光はミラー230(基準ミラー)によってビームスプリッタ220へ反射することができる。或いは、即ちビームスプリッタ220へ返送することができる。一代表的な実施の形態として、スプリッタ220は光の大部分をサンプルアーム235へ送るように構成することができる。次いで、サンプルアームのファイバからの光はレンズ及び走査機構240へ導かれる。走査機構はサンプルアーム235の光を任意の一次元又は二次元のパターンとして走査することができる。光は走査機構からレンズ250へ送られる。レンズ250は、一代表的な実施の形態では、共焦点パラメータが生物検体或いはサンプル260の断面画像を生成するために十分に大きくなる、開口数NAを有することができる。
【0023】
サンプルからの光は、一連の光学器材を通してサーキュレータ/ビームスプリッタ210へ返送され、また分光計280へ導かれる。反射率は、組織内の深度(A−ライン)の関数として、中央演算処理装置或いはコンピュータ290により、バックグラウンド除去、λ―スペースからk−スペースへの再マッピング、およびスペクトル干渉信号の逆フーリエ変換の処理を行って、再度構築される。一連のA−ラインは、走査機構の位置毎に連続して取得され、その結果サンプルの断面画像が再構築される。当技術分野で周知の代替の代表的な実施の形態には、スペクトル干渉の短時間フーリエ変換(STFT)によるサンプルからのスペクトル情報の取得機能、ドップラー検出型SD−OCT機能、及び偏光検出型SD−OCT機能が含まれ、これらもまた吸収率、流れ(flow)、複屈折等生物検体から他の情報を抽出するために利用してよい。
【0024】
図3は代表的な光コヒーレンス顕微鏡検査法(OCM)システムの概略図である。代表的なOCMシステムは、共焦点顕微鏡検査法並びにOCT技術を組み合わせて用いることが効果的である。これは、代表的なこれら両技術の軸上点拡がり関数が大幅に増強され、より広範囲の光学切片化がなされうるからである。一代表的な実施の形態のOCMシステムでは、広帯域幅光源からの光を変調素子310へ入力して、変調周波数が干渉計のスペクトル干渉周波数を近似するようにすることができる。この代表的な変調素子はマイケルソン干渉計、パルス整形器、スペクトルフィルタなどの何れか一つであってもよい。スペクトルの干渉成分のみを抽出するために連続スペクトルを除去するよう、変調により時間に従ってスペクトル位相をある値シフトさせてもよい。変調素子に従って、光はサーキュレータ/ビームスプリッタ320、次いで、サーキュレータを使用する場合には、ビームスプリッタ330へ送られる。光は再度基準アーム335およびサンプルアーム345へ送ることができる。基準アーム335からの光はミラー340で反射される。サンプルアーム345からの光は、共振スキャナ、ガルバノメータスキャナ、ポリゴン走査鏡、音響光スキャナなどの何れか一つ或いはこれらの組み合わせで構成することができる、x−yスキャナ350へ送られる。
【0025】
スキャナ350からの光は対物レンズ355へ導かれ、サンプル内でしっかりと焦点が合ったスポットを走査することができる。或いは、対物レンズ又はサンプル360を3つの次元の何れかで走査して、当該サンプル内の異なる部位から容易にデータ収集できるようにしてもよい。光はサンプル360からサーキュレータ/ビームスプリッタ320、続いて検出器へ戻され、続けて検出器装置に送られる。一実施の形態では、検出器は分光計で構成され、OCMデータは代表的なSD−OCTと同様の方法でサンプルからA−ラインを取り出すことにより取得される。スペクトル変調の実施の形態では、検出器は光ダイオード又は光源変調素子310に同期したその他の単一の検出器で構成することができる。代表的なロックイン技術或いは減算技術が用いてOCM信号を抽出することもできる。
【0026】
全域光可干渉顕微鏡検査法は通常、広帯域幅光源を用いて生物検体の光学的断面を横断的に高分解能で得る、自由空間干渉計技術である。
図4Aは代表的なFFOCMシステムの概略図である。広帯域幅光400はビームスプリッタ410へ放射され、サンプルアーム423と基準アーム422へ分割される。一代表的な実施の形態では、基準アーム422の光は415によって基準用対物レンズ420および軸方向に移動可能なミラー425へ向けて導かれる。サンプルアーム423内の光はサンプル用対物レンズ430並びにサンプル440へ導かれる。一代表的な実施の形態では、基準用対物レンズ420とサンプル用対物レンズ430は類似した特性を有する。
【0027】
他の代表的な実施の形態では、基準用対物レンズ420とサンプル用対物レンズ430は、サンプルと類似の屈折率を有する浸漬液を用いて最適化される。サンプルは三次元に移動可能なステージ443に連結することができる。基準アーム422及びサンプルアーム423からの光はレンズ445によりCCDカメラ450に結像する。基準アーム422とサンプルアーム423との干渉により生じた干渉縞はCCDカメラ450で検出される。通常、基準アームのミラー425の位置を変えることによって複数の画像を検出することができる。代表的な画像を数学的に組み合わせて処理して、サンプル内の光学的断面から情報を抽出してもよい。
【0028】
図4Bに示す、他の代表的な実施の形態のFFOCMシステムでは、広帯域幅の光源451はマイケルソン干渉計又はその他の干渉計(例えば、マッハーゼンダー:Mach−Zhender、サグナック:Sagnac型)、又はスペクトル変換ユニットなどの変調素子に接続することができる。マイケルソン干渉計の場合、光源451からの光はビームスプリッタ452へ送られる。光は次いで代表的アームA453及びアームB455用に2分割される。アームA453からの光はミラー送られ、背面反射されてビームスプリッタへ戻される。アームB455からの光は、同様にミラー456へ送られ、背面反射されてビームスプリッタ452へ戻される。アームAの光路長LaとアームBの光路長Lbとの差、|La−Lb|は、第2の干渉渉計の基準アームとサンプルアームとの光路差とほぼ等しくなるように設定することができる。少なくともアームA又はアームBの一方を、光路長を変更する、或いは光の位相をシフトするように構成してもよい。一体表的な実施の形態では、光路長を、ミラー又は高速走査光学遅延ラインの何れかを移動することによって変更するようにしてもよい。この移動は、圧電変換器、検流計、リニアモータなどにより駆動してもよい。或いは、光路長の変更を、音響光学変調器または電気光学変調器の何れかにより行ってもよい。
【0029】
基準アーム光とサンプルアーム光の両方は、ビームスプリッタで結合処理され、ビームスプリッタ459を有する他の固定干渉計に送られて、それぞれ基準アーム458とサンプルアーム457と分割される。二つのアーム457及び458からの光は、ほぼ同様の、対物レンズ460と470とにそれぞれ入射する。基準アーム458では、基準用対物レンズ460は、通常は固定された反射体465上に焦点を結ぶようにすることができ、一方サンプルアームでは、サンプル対物レンズ470によりサンプルアーム光がサンプル480上或いはその内部に焦点を結ぶ。サンプル480又はサンプル対物レンズ470を載物台481に搭載して、載物台481を手動又はコンピュータ制御により三次元のいずれの方向へも動かせるようにしてもよい。
【0030】
基準アーム458とサンプルアーム457の光路長差は第一の干渉計の|La−Lb|とほぼ等しく設定してもよい。基準アーム458とサンプルアーム457からの光はそれぞれ、ビームスプリッタ459で混合され、次いでレンズ485を通してCCDアレイ490または検出器アレイ上に結像できる。FFOCM画像即ちデータは、ミラー456を移動させながら或いは異なる位置に配置して、CCD490により取得した画像を線形結合して生成することができる。FFOCM画像の処理、表示及び保存はCPU495が実行する。加算処理又は平均処理を利用して信号対雑音比を改善する。
【0031】
図5に、広帯域幅光源を用いた代表的な蛍光検出用のSECMシステムを示す。例えば、光源500からの光はビームスプリッタ510へ送られ、二つの経路515及び520に分割される。二つのアーム/経路はミラー520及び525を終端に有し、少なくとも一つのアームは、経路長又は位相が時間とともに変化するようになっている。二つのアーム530から戻された光はビームスプリッタ510に結合され、535により格子或いは分散素子540、及び対物レンズ550を含むSECMプローブへ送られる。既に説明したように、格子および対物レンズ550からなる装置は、検体562上又はその内部にスペクトル符号化ライン560の焦点を結ぶ。検体562は三次元の載物台に配置してもよい。サンプル内部の蛍光は照明光によって励起して発光し、対物レンズ550を通過して戻され、他のレンズ565によって検出器570上に結像する。検出光はデジタル化され、処理装置(例えばCPU)580により画像内のラインに変換される。ビーム走査機構537は様々な位置で、画像内に別のラインを発生させてもよい。可動ミラーの非線形性は、同じ可動ミラー520を照射する狭帯域幅光源を有する代表的な干渉計521によって修正できる。
【0032】
図6は、波長同調光源600を用いた代表的な実施の形態のSECMシステムの概略図である。例えば、光源600をサーキュレータ/ビームスプリッタ610に結合することができる。代表的な一実施の形態では、スプリッタ610からの光は光ファイバを経由してスキャナへ送られる。このスキャナは、対物レンズ625の後焦点面に走査軸を投影する望遠鏡レンズ画像生成システムを備えてもよい。走査機構からの光は、(回折格子、プリズム、GRISM、又はDP−GRISM等の)分散素子620へ送られる。620からの光は、サンプル635の内部にビームの焦点を結ばせる対物レンズ625へ送られる。このレンズは大きな開口数を有することが好適である。どの時点においても、波長掃引光源600から放射されるそれぞれの波長の光により、サンプルの明確に異なる部分が照射される。掃引光源600の波長が時間に従って変化する毎に、ビームはサンプル635内部をライン630に沿って走査することができる。サンプル635から送られた光は、それぞれ素子625、620、および615を通って、光ファイバまたはピンホールにより空間的にフィルタされてサーキュレータビームスプリッタ610へ戻ることができる。スプリッタ610からの光は、検出器640へ送られて処理装置(例えば、CPU)650によりデジタル化され、表示されるとともにデジタルで記憶される。波長同調光源を一回完全に掃引することにより画像内の一つのラインが得られる。走査機構の様々な位置で複数のラインが取得されて画像が構築される。波長同調型光源600により励起されてサンプルから送出された蛍光は、或いは、検出器660によって検出して蛍光画像を構築することもできる。
【0033】
図7は代表的なOFDIシステムの概略図である。一実施の形態のこの代表的なOFDIシステムにおいて、波長同調型光源は光ファイバを用いたサーキュレータ705及びビームスプリッタ710に接続してもよい。サーキュレータ705からの光は、好適な実施の形態では、大半の光をサンプルアーム725へ送るように構成されたビームスプリッタ710に送出される。こうして分割されて基準アーム715へ送られた光は、終端の反射鏡720に至り、次いでビームスプリッタ710及びサーキュレータ705へ送り返される。サンプルアーム725の光は、走査機構730及び生物検体の断面画像を生成することができる十分小さな開口数の結像レンズへ送られる。基準ミラー720とサンプル740とから反射された光は、サーキュレータ705で再結合され、光ファイバ750によって検出器755へ導かれる。代表的な実施の形態では、検出器755は、二重平衡検出器を含むことができる。
【0034】
検出器755により光はデジタル化され、デジタル信号としてCPU760へ伝達される。スペクトル干渉は代表的なSD−OCTシステム/方法を用いた場合の処理方法と同様に処理される。即ち、背景を除去し、λ空間をk空間に変換し、かつ逆フーリエ変換を実行してA−ラインを生成する。A−ラインを走査機構の位置の関数として取得し、OFDI断面画像が生成することができる。或いは、スペクトル干渉の短時間フーリエ変換(STFF)、複素スペクトル領域処理、ドップラー検出型OFDIおよび偏光検出OFDIによってサンプルからスペクトル情報を取得する機能を含む当技術分野で周知の代表的な実施の形態を利用して、生物検体から更に吸収率、フロー、複屈折などの情報を抽出してもよい。
【0035】
図8は、波長同調/変調光源を利用した代表的な実施の形態のOCMシステムの概略図である。例えば、波長変調装置805は、サンプルアームと基準アームとの干渉により生じたスペクトル干渉による変調に対応して、時間の経過に従って変更しうる、スペクトルの正弦波変調など、光源のスペクトルパターンを生成してもよい。光源800及び/又は変調装置805からの光は、光ファイバサーキュレータ/ビームスプリッタ810に結合して、次いでビームスプリッタ815へ送ることができる。このビームスプリッタは光の大部分をサンプルアーム830へ送ることが好ましい。
【0036】
基準アーム820の光は、基準反射体825又は伝送用素子(transmission element)に導かれる。サンプルアーム830の光は、一以上の検流計、共振スキャナ、多面鏡スキャナ、音響光スキャナ、電気光学スキャナなどを含むX−Yスキャナへ送ることができる。スキャナからの光は、或いは、望遠鏡837及び、好ましくは開口数の大きい対物レンズ840へ送ることができる。対物レンズ840は、三次元載物台847に固定したサンプル845内に光を集める。光はサンプルから、素子840、837および835を経由して送り返され、次いで、好ましくは、光ファイバのコア或いはサンプルアーム831のピンホールと結合して、焦点外れの光を除去する。光は、サーキュレータ810に導かれ、次いで検出器855に送られてデジタル化され、CPU860へ送出される。
【0037】
一代表的な実施の形態では、OCMデータは、代表的なOFDIシステム及び方法を用いた場合と同様の方法を用いて、サンプルからA−ラインを取得して得ることができる。例えば、代表的なスペクトル変調システム及び方法では、検出器は光源変調素子805と同期することができる。この場合、OCM信号を抽出するために、ロックインまたは減算技術を用いることができる。代表的な画像は、X−Y走査機構835の位置毎にデータを取得して生成することができる。サンプルからの蛍光は、二色性ミラー又はフィルタ853及び第二検出器865を用いて更に検出することができる。
【0038】
図9に、波長同調/変調光源900を用いた代表的な実施の形態のFFOCMシステムを示す。光源は、その帯域幅にわたって同調するか、或いは干渉計のスペクトル干渉変調により生じた周波数とほぼ等しいスペクトル変調周波数を有するように変調してもよい。光源900からの光は、ビームスプリッタ905に結合され、次いでそれぞれサンプルアーム910及び基準アーム915へ送られる。これらのアームはそれぞれ終端に対物レンズ920及び930を有している。基準アームの対物レンズ920は基準アームの光を反射器に集束させる。この光は続いてビームスプリッタ905へ戻る。サンプルアーム光は、930により検体935の上或いは内部に集束される。サンプルから発せられた光は905で基準アーム光と混合され、次いでレンズ940によりCCDアレイ950上に結像する。画像は、波長掃引光源の波長毎に、又は様々な光源変調パターン毎に取得され、CPU960により数学的に組み合わされ、代表的なFFOCM光学断面を再構築する。
【0039】
本発明の代表的な実施の形態によると、上記の代表的なシステム及び代替の代表的な実施の形態を組み合わせて、マルチモダリティ画像生成システム(multimodality imaging system)を構成することができる。このシステム及び/又は装置の代表的な組み合わせは、別々のシステムを生成し、それらの光学部品を構成して、生体検体の同一の部分から画像を取得できるようにする。このようなモダリティを組み合わせたシステムによって、異なる波長、走査及び検出機構に対応することができる。或いは、機器が異なっても多くの共通部品を使用して実施することができるので、効率が高く、費用対効果の優れた装置を提供することができる。
【0040】
図10は、広帯域幅光源1000と分光計1080を用いて、同時で、かつ重ね合わされた(co−registered)SD−OCT,OCM,SECM,及び蛍光SECMデータ及び/又は画像を提供する本発明の代表的な実施の形態のマルチモダリティシステムの概略図である。例えば、広帯域幅光源1000からの光はスペクトル変調ユニット1005へ結合することができる。スペクトル変調ユニット1005からの光はサーキュレータ1010及びビームスプリッタ1015に結合される。サーキュレータを使用する場合、ビームスプリッタ1015へ送られる。ビームスプリッタ1015はサーキュレータ1010からの光の大部分をサンプルへ送ることが好ましい。基準アーム1020の光は基準反射体1025へ送られる。基準反射体1025は、可動であってもよく、或いは、1020の光路長を変化可能で、及び/又は非可動であってもよい。基準アームが可動である場合、通常の時間領域OCT(例えば、TD−OCT)装置及び/又は手法を実施してもよく、或いは代表的なSD−OCT装置及び/又は当技術分野で周知の処理を用いて複素スペクトル領域を取得してもよい。
【0041】
サンプルアーム1030の光は、フィルタ/二色性(dichroic)/WDM器材1035へ送られ、サンプルアーム光はビームスプリッタからサンプル方向へ導かれる。1035からの光は、高速または低速でビームを二つの方向に走査することができるビーム走査機構1040へ送られる。ビーム走査機構1040は、レンズ1055の後焦点面上にスキャナ出力を結像させる望遠鏡を備えてもよい。走査機構1040からの光は、複数の光学素子を含むスライダ1045へ送ることができる。例えば、スライダ1045を、明確に異なる位置に設定することにより、SD−OCT,OCM,SECM及び/又は蛍光OCM装置/方法の1つ以上、又はそれらの組み合わせを実施できる。スライダ1045からの光は、レンズターレットに搭載された対物レンズ1055に送ることができる。一実施の形態では、レンズターレットの対物レンズは交換可能である。スライダ1045及び/又はターレット1050は、画像生成モダリティを自動選択するようにコンピュータ制御されてもよい。光は、対物レンズ1055により、コンピュータ制御の三次元並進搭載台1065に搭載されたサンプル1060の上または内部に集束される。反射光は、光学器材を通してサーキュレータ1010まで戻り、再び分光計に導かれる。検出された反射光は、本明細書に記載の装置及び/又は方法を用いて処理されて代表的なSD−OCT、OCM、SECM画像が生成される。
【0042】
図10に示すように、蛍光は、フィルタ/二色性ミラー/WDM装置1035を経由して第二検出器1075へ送られる。1075からの蛍光を用いて生物サンプル1060の蛍光共焦点画像が再構築される。不可視の近赤外線光を用いる場合、可視の照準光を代表的なシステムに組み込むことにより、近赤外線と同期して画像生成の位置を可視化することができる。これに加えて、或いは、顕微鏡上の別の画像生成用ポートを用いることにより検査中の検体の白色光画像を生成することができる。或いは、スペクトル干渉の短時間フーリエ変換(STFT)、ドップラー検出型SD−OCT及び偏光検出型SD−OCTによってサンプルからスペクトル情報を取得する機能を含む、当技術分野で周知の代表的な実施の形態を用いて、吸収率、フロー、複屈折などその他の情報を生物検体から取得してもよい。
【0043】
他の三つのモダリティとは異なる波長を用いてSD−OCT,OCM,SECM,FFOCM画像及びデータを生成するように構成された、本発明による代表的な実施の形態のマルチモダリティを
図11に示す。この代表的な実施の形態では、広帯域幅光源1100はスペクトル変調ユニット1105に結合されている。スペクトル変調ユニット1105からの光はサーキュレータ1110及びビームスプリッタ1115に結合される。サーキュレータ1110を使用する場合、サーキュレータ1110からの光を、ビームスプリッタ1115に送ることができる。ビームスプリッタ1115は、受光した光の大部分をサンプルに送ることが好ましい。基準アーム1120の光は、基準反射体1125へ送られる。基準反射体1125は、固定されている、及び/又は、基準アーム1120の光路長を変化させることができる。基準アーム1120が可動である場合、当技術分野で周知の方法によって、既存の代表的な時間領域OCT(TD−OCT)方法または複素スペクトル領域方法をSD−OCTに利用してもよい。サンプルアーム1130の光は、ビームを二つ方向に高速又は低速で走査することが出来るビーム走査機構1135へ送られる。ビーム走査機構1135は、レンズ1160の後焦点面にスキャナを結像させる望遠鏡を具備してもよい。この走査機構1135からの光は二色スプリッタ/WDM1140に送られる。二色スプリッタ/WDM1140は、SD−OCT,OCM、及びECMのモダリティ用の励起光を透過する一方で、FFOCM光を反射することができる。
【0044】
例えば、
図3と類似の代表的なFFOCMシステムは、1140を介してビーム経路に結合できる。1140からの光は、複数の光学素子を有するスライダ1150へ導かれる。スライダの異なる位置に応じて、SD−OCT,OCM,SECM又はFFOCMの何れか一つ或いはそれらの組み合わせが得られる。スライダ1150からの光はレンズターレット1155に搭載された対物レンズ1160へ送られる。一実施の形態では、レンズターレット1155の対物レンズは交換可能である。画像生成のモダリティを自動選択するようにスライダ1150及び/又はターレット1155はコンピュータで制御してもよい。光は、対物レンズ1160によってサンプル上又はサンプル内に収束する。サンプルは、コンピュータ制御の三次元並進載物台1170に載置してもよい。反射光は、光学器材を通過してサーキュレータ1110へ戻る。サーキュレータ1110は光を分光計へ再び導く。検出された反射光は、処理されて本明細書に記載の方法により代表的なSD−OCT,OCM、SECM画像を形成する。FFOCM光は、フィルタ/二色性ミラー/WDM器材1140を経由して、FFOCMシステム1175へ再び導かれてもよい。
【0045】
不可視の近赤外光を利用する場合、可視の照準光を
図11に示す代表的なシステムに可視照準ビームを結合し、近赤外光と同期させて、画像生成位置の可視化を行うようにしてもよい。これに加えて、或いは、顕微鏡上の代替の画像生成用ポートを用いることによって検査する検体の白色光画像を生成するようにしてもよい。スペクトル干渉の短時間フーリエ変換(STFT)、ドップラー検出型SD−OCT及び偏光検出型SD−OCTを用いてサンプルからスペクトル情報を取得する機能を含む当技術分野で周知の代表的な実施の形態を用いて、吸収率、フロー、複屈折などその他の情報を生物検体から抽出してもよい。
【0046】
図12に、本発明のマルチモダリティ画像生成に利用してもよい代表的な実施の形態のスライダ装置を示す。例えば、光学素子は、手動、コンピュータ、又は自動制御により並進可能なハウジング1200内部に収容することができる。各スライダは異なるスライダ位置1205、1210、1230及び1260で終端することができ、これにより一以上の画像生成用のモダリティが得られる。スライダ位置1205、1210、1230、1260は対物レンズターレットに結合してもよい。一代表的な実施の形態では、スライダ位置1205には光学素子がない(空)、又は光学素子窓を含まない。この代表的な構成では、顕微鏡がFFOCMを実行するように構成される。スライダ位置1210では、レンズ器材1212及び1213は、ビームを拡大させて透過型回折格子1220を囲む2つのプリズム1215と1225を含むDP−GRISMを照射するように構成できる。この代表的な構成により、SECM画像生成を行うことが可能となる。代表的なOCM手法は、この位置で、サンプルを横断してスペクトル符号化ラインを走査する走査機構を行うことができる。スライダ位置1230では、ビームを拡大する場合、拡大しない場合ともに、レンズ器材1240、1250はビーム角度の画像を生成するように構成できる。このスライダ位置1230では、代表的なSDOCT手法を用いた画像生成を行うことができる。スライダ位置1260では、レンズ器材1270,1280は、走査されたビームを拡大して、代表的なOCM手法を用いて画像生成を行えるように構成される。
【0047】
ある実施の形態のマルチモダリティ画像生成システムでは広帯域幅光源を用いているが、代表的な実施の形態の結合システムもまた、波長同調/変調光源及び単一或いは複数の検出器を使用した構成を含むことができる。この代表的な実施の形態を
図13に示す。例えば、
図13において、波長同調/変調光源1300は、サーキュレータ1305及びビームスプリッタ1310に結合される。サーキュレータを用いる場合、サーキュレータ1305からの光は、好ましくは、大部分の光をサンプルへ送るビームスプリッタ1310に送られる。基準アーム1315の光は基準反射体1320へ送られる。基準反射体1320は、固定されていてもよく、或いは基準アーム1315の光路長を変化させることができてもよい。基準アームが可動の場合、当該技術分野で周知の方法によって、従来の代表的な時間領域OCT(TD−OCT)手法を実施して、又は複素スペクトル領域を利用して、OFDIマルチモダリティを実行してもよい。サンプルアーム1325の光は、サンプルアーム光をビームスプリッタからサンプルの方向で透過する、フィルタ/二色性(dichroic)/WDM器材1330へ送られる。1330からの光は、二つの方向に高速又は低速でビームを走査することができるX−Yビーム走査機構1335に導かれる。
【0048】
ビーム走査機構1335はまた、スキャナをレンズ1353の後焦点面上へ結像する望遠鏡をも有してもよい。走査機構1335からの光は、複数の光学素子を含むスライダ1340へ送られる。スライダの異なる位置に応じて、OFDI、OCM、SECM又は蛍光OCMモダリティの何れか一つ、又はそれらの組み合わせを得ることができる。スライダ1340からの光はレンズターレット1350に搭載された対物レンズ1353へ送られる。一実施の形態では、レンズターレット1350の対物レンズは交換可能である。画像生成のモダリティを自動選択するようにスライダ1340及び/又はターレット1350は手動又はコンピュータで制御してもよい。光は、対物レンズ1353によってサンプル1355上又はサンプル1355内に収束する。サンプルは、コンピュータ制御の三次元並進載物台1360に載置してもよい。反射光は、光学器材を通過してサーキュレータ1305へ戻る。サーキュレータ1305は光を、OFDI、波長同調OCM又はSECM信号、画像及び/又はデータを検出するために好適な検出機器1380へ再び導く。検出された反射光は、CPU1385によって処理されて上述の方法により代表的なOFDI、OCM、SECM画像を形成する。
【0049】
蛍光は、フィルタ/二色性ミラー/WDM器材1330を介して第二の検出器1370へ再び導かれてもよい。1370からの蛍光を利用して、生物サンプル1355の蛍光共焦点画像を再構築する。不可視の近赤外光を利用する場合、可視の照準光をシステムに結合し、近赤外線光と同期させて、画像生成位置の可視化を行うようにしてもよい。これに加えて、或いは、顕微鏡上の代替の画像生成用ポートを用いることによって検査する検体の白色光画像を生成するようにしてもよい。スペクトル干渉の短時間フーリエ変換(STFT)、ドップラー検出型SD−OCT及び偏光検出型SD−OCTを用いてサンプルからスペクトル情報を取得する機能を含む当技術分野で周知の代表的な実施の形態を用いて、吸収率、フロー、複屈折などその他の情報を生物検体から抽出してもよい。
【0050】
図14に、FFOCM信号が他の3モダリティとは異なる波長で与えられた場合のOFDI、OCM、SECM及びFFOCM画像、データ及びその他の情報を提供する、本発明による代表的なマルチモダリティの別の実施の形態のシステム構成を示す。この代表的な実施の形態では、波長同調光源1400はスペクトル変調ユニット1405に結合されている。変調ユニット1405からの光は、サーキュレータ1410及びビームスプリッタ1415に結合される。サーキュレータ1410を使用する場合、サーキュレータ1410からの光は、ビームスプリッタ1415に送られる。ビームスプリッタ1415は、受光した光の大部分をサンプルに送る。基準アーム1420の光は、基準反射体1425へ送られる。基準反射体1425は、固定されていてもよく、又は、基準アーム1420を移動させる、又は基準アーム1420の光路長を変化させることができてもよい。基準アーム1420が可動である場合、当技術分野で周知の方法によって、従来の時間領域OCT(TD−OCT)方法及びモダリティを設ける、又は複素スペクトル領域を取得してSD−OCTに利用してもよい。サンプルアーム1430の光は、ビームを二つ方向に高速又は低速で走査するビーム走査機構1435へ送られる。ビーム走査機構1435は、レンズ1465の後焦点面にスキャナを結像させる望遠鏡を具備してもよい。この走査機構1435からの光は二色スプリッタ/WDM1445に送られる。二色スプリッタ/WDM1445は、SD−OCT,OCM、及びECMに励起光を透過する一方で、FFOCM光を反射する。
【0051】
図3及び/又は
図4のシステムに類似の代表的なFFOCMは、二色スプリッタ/WDM1445によってビーム経路に結合することができる。二色スプリッタ/WDM1445からの光は、複数の光学素子を含むスライダ1445に導かれる。スライダ1455の異なる位置に応じて、OFDI,OCM,SECM又はFFOCMデータ及び/又は画像の何れか一つ、又はそれらの組み合わせが得られる。スライダ1455からの光はレンズターレット1460に搭載された対物レンズ1465へ送られる。一代表的な実施の形態では、レンズターレット1460は対物レンズを交換する機能を有する。画像生成のモダリティを自動選択するようにスライダ1455及び/又はターレット1460はコンピュータで制御してもよい。光は、対物レンズ1465によってサンプル1470上又はサンプル1470内に収束することができる。サンプルは、コンピュータ制御の三次元並進載物台1475に載置してもよい。
【0052】
反射光は、光学器材を通過してサーキュレータ1410へ戻る。サーキュレータ1410は光を分光計へ再び導く。検出された反射光は、処理されて本明細書に記載の方法によりOFDI、OCM、SECM画像を生成する。FFOCM光を、フィルタ/二色性ミラー/WDM器材1445を経由して、FFOCMシステム1450へ再び導いてもよい。不可視の近赤外光を利用する場合、可視の照準光を代表的なシステムに結合し、近赤外光と同期させて、画像生成位置の可視化を行うようにしてもよい。これに加えて、或いは、顕微鏡上の代替の画像生成用ポートを用いることによって検査する検体の白色光画像を生成するようにしてもよい。スペクトル干渉の短時間フーリエ変換(STFT)、ドップラー検出型OFDI及び偏光検出型OFDIによってサンプルからスペクトル情報を取得する機能を含む当技術分野で周知の代表的な実施の形態を代替に用いて、吸収率、フロー、複屈折などその他の情報を生物検体から抽出してもよい。
【0053】
本発明のその他の代表的な実施の形態では、サンプルの両側から画像生成が行えるように顕微鏡を構成することができる。例えば、SDOCT、SECM及びOCM方法をサンプルの上方から実行することができ、サンプルの下方からサンプルを照射する画像生成レンズを用いてFFOCM手法を実行してもよい。このような代表的な構成では、両側から画像生成を行うことができるように、サンプルは顕微鏡のスライドと薄いカバーガラスとの間に載せることができる。
【0054】
本明細書に記載の代表的なシステムは、諸種の異なる形式、速度、分解能、視野及びコントラストの機構で生物検体のマルチモダリティ画像生成を行うことができる。各画像データセットは、二次元又は三次元であり、他のそれぞれの画像生成モダリティのデータセットと組み合わせて重ね合わされる(co−registered)。データセットは当該技術分野で周知のコンピュータ処理方法を用いて、三次元立体に可視化、四次元に表現する、又は、重要な関心領域をするようにして処理した二次元、三次元および四次元データセットとして表示するなど、様々な画像形式で表示してもよい。一以上のデータセットを他のデータセットに対して表示してもよく、個別のデータセットを組み合わせて包括的データセットを導き出してもよい。定量的な情報を該データセットからこれらの二次元、三次元及び四次元の関係から導き出してもよい。画像データを、従来の生物検体の蛍光画像又は明視野画像と組み合わせても用いてもよい。
(実施例)
【0055】
以下の実施例は、本発明の代表的な画像生成モダリティを複数用いて検査をして、アフリカツメガエルの発生器の心臓の画像を画像化したものである。
代表的な方法
卓上型典型OCTシステムとOFDIシステム
【0056】
代表的なTDOCT構成では、軸方向の照準合わせ(ranging)は、時間的に連続して個々の深度ポイントを検査する低コヒーレンス反射率測定法を用いて実行する。組織(n=1.4)内の軸方向分解能を〜10μmとして、1.3μmを中心とする広帯域幅(50nm)光源を用いた場合について説明する。このフレームレートは毎秒20フレーム(2KHz A−ラインレート、画素数100x500ピクセル)であった。
【0057】
代表的なOFDI方法及びシステムでは、全ての深度ポイントを同時に取得する周波数領域屈折率測定法を用いることができる。この技術は、M.A.Choma、et al.“Sensitivity advantage of swept source and Fourier domain optical coherence tomography“(掃引光源とフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィーの利点)、Optics Express 11、pp2183−2189(2003)、及びS.H.Yun et al.,“High―speed optical frequency−domain imaging“(高速光周波数領域画像生成)、Optics Express 11、pp.2953−2963(2003)に記載されているように、信号体雑音比(SNR)を数百倍改善する。この代表的なOFDIシステム及び方法は、光源に高速掃引、波長可変レーザを用いることができる。キャビティ内スペクトルフィルタを用いた外部共振型(extended−cavity)半導体レーザについては、M.A.Choma et al.、“Sensitivity advantage of swept source and Fourier domain optical coherence tomography”(掃引光源およびフーリエ領域光コヒーレンストモグラフィーの検出感度の利点)、“Optics Express 11、pp.2183−2189(2003)、 C.Boudoux et al.、”Rpid wavelength−swept spectrally encoded confocal microscopy“(高速波長掃引スペクトル符号化共焦点顕微鏡検査法)、Optics Express 13、pp.8214−8221(2005)に記載されている。
【0058】
このレーザの特徴は、64kHz迄の掃引反復レート(sweep repetition rate)、中心周波数1320nmで111nmの広同調範囲、及び30mWの高い平均出力(組織上では7mW)であり、その軸方向分解能は組織中で10μmであった。このシステム更には、S.H.Yun et al.、“Removing the depth−degeneracy in optical frequency domain imaging with frequency shifting”(周波数遷移を伴う光周波数領域画像生成における深度方向縮退の除去法)、Optics Express 12、pp.4822−4828(2004)に記載のように、周波数領域屈折率測定法に固有の深度方向の縮退を除去するため、音響光周波数シフタ(25MHz)を有するものであった。光ファイバを用いたOFDIシステムにおける偏光アーチファクトを除去するため、偏光ダイバーシティ検出を実施した。レーザ光の強度雑音を除去して画像生成の感度を改善するため、二重平衡受光器を使用した。この受光器の出力は、サンプリングレート100MHz、分解能14ビットの2チャンネルアナログデジタル変換器でデジタル化された。
【0059】
代表的なTDOCT及び高速OFDI構成を、解剖用光学顕微鏡に組み込んだ。この走査システムは、コリメーティングレンズ(ビーム径5mm)、2組の横軸走査用の同期検流計型スキャナ、集束レンズ(焦点距離50mm)、およびビームをサンプルに向けて下方へ屈折させる小型ミラーを有していた。代表的なTDOCT及びOFDI構成では、横断方向の分解能は共焦点パラメータが330μmで16μmであった。
【0060】
局所的な心臓の運動に関係する変位は、フレーム単位で拡張末期の心臓の表面位置から収縮期末期の表面位置を差し引くことにより、体積(Volumetric)データから直接に決定した。変位はカラールックアップテーブルを用いて表示した。体積レンダリング(volumetric rendering)及び三次元可視化は、OsiriXソフトウェアを用いて実行した。
【0061】
高分解能OFDI方法は、W.Y.Oh et al.、“Wide tuning range wavelength−swept laser with two semiconductor optical amplifires”(2半導体光増幅器を用いた広同調範囲波長掃引レーザ)、/EEE Photonics Technology Letters 17、pp.678−680(2005)に記載されているように、ゲインメディアとして2組の半導体光増幅器を利用した、同調範囲200nm、中心波長1250nmのレーザ光源を用いて実行した。組織内の軸方向分解能は4μmであった。その横断方向の分解能は、NA=0.2の対物レンズを使用して2μmであった。画像生成速度(imaging rate)は、A―ラインレート20KHz(毎フレーム500A−ライン)で、毎秒40フレームであった。偏光ダイバーシティ及び二重平衡検出を実行して、受光器出力はサンプリングレート10MHz、分解能12ビットの2チャンネルのアナログデジタル変換器でデジタル化した。
代表的FFOCMシステム
【0062】
一実施例として、FFOCMは、A.Dubois et al.、“Ultrahigh−resolution full―field optical コヒーレンス tomography”(超高分解能全域光コヒーレンストモグラフィー)、App; Opt 43、pp.2874−2883(2004)、及びA.Dubois et al.、“Three−dimensional cellular−level imaging using full−field optival コヒーレンス tomography”、Phys Med Biol 49、pp.1227−1234(2004)に記載されているように、二次元並列検出を利用して生物検体内の反射光の細胞下分解能画像を提供する干渉法技術で実施してもよい。この代表的なFFOCMシステムは、キセノンアーク燈からの空間的にインコヒーレントの広帯域幅の光を利用して、2組のNA=0.3で等しい浸水型顕微鏡対物レンズを有するLinnik干渉顕微鏡の基準ミラーとサンプルとを照射した。干渉画像が、中心スペクトル感度650nmのCMOS面走査カメラで撮像された。その横断方向の分解能は2μm、軸方向分解能は1.1μmであった。画像収集時間は、約700μmx700μmの横断方向視野に対して、フレーム当たり2秒であった。サンプルを1μm刻みで焦点を通過するように移動させて三次元データそ取得した。体積レンダリング及び可視化はOsiriXソフトウェアを用いて行った。
代表的なSECMシステム
【0063】
一実施例として、SECMは、可視光を用いた共焦点顕微鏡と比較する、R.R.Anderson et al.、“The optics of human skin”(人間皮膚の光学)、J Invest Dermatol 77、pp.13−19(1981)に記載されているように、組織に一層深く侵入することができる近赤外光を用いている、反射共焦点顕微鏡検査法技術で実施してもよい。代表的なSECM技術は、G.J.Tearney et al.、“Spectrally encoded confocal microscopy”(スペクトル符号化共焦点顕微鏡検査法)、Optics Letters 23、 pp.1152−1154(1998)に記載されているように、異なる波長をサンプルの異なる位置へ投影する点において、従来のレーザ走査共型焦点顕微鏡検査法とは異なる。サンプルから戻ってきたスペクトルを高速で収集することにより、高速で画像を再構築することを可能にしている。SECMシステムでは、C.Boudoux et al.、“Rapid wavelength−swept spectrally encoded confocal microscopy”(高速波長掃引スペクトル符号化共焦点顕微鏡検査法)、Optics Express 13、pp.8214−8221(2005)に記載されているように、近赤外線の高速波長同調光源からの光(中心波長1.32μm、瞬時ライン幅0.1nm、全帯域幅70nm、反復レート15.7kHz以下)が、回折格子(1mm当たり1100ライン)上に平行光線となって照射され、NA=1.2、60x対物レンズ倍率(オリンパス UPlanApo/IR 60X/1.20W)を用いて集光された。多重モードファイバを、信号収集に用いたところ、横断方向0.9μm、軸方向2.5μmの解像度が得られた。毎秒10フレームで500x500ピクセルの画像が得られた。その最大画像生成深度は、対物レンズの280μm動作距離の範囲に制限された。
検体作成、エタノール処理および組織学
【0064】
アフリカツメガエルはNasco社(フォート・アトキンソン、ウィスコンシン州)から購入した。動物を用いる手法は、マサチュセッツ・ジェネラル・ホスピタル研究動物ケアー小委員会承認の手順に準拠した。胚は体外受精により得て、(J.Newport et al.、“A major developemnt transition in early Xenopus embryos(アフリカツメガエルにおける胚芽初期の主要な発生の推移)):1. Characterization and timing of cellular change at the midblastula stage(1.中期胞胚変位段階における細胞変化の特徴付けと時期)“、Cell 30、pp.675−689,1982)に記載されているように、0.1xマーク(Marc)氏変性リンゲル(Ringer)氏培地(MMR)で培養し、Nieuwkoop―Faber表(P.D.Nieuwkoop and J.Faber、Normal table of アフリカツメガエル、Daudin、North−Holland Publishing Company、 Amsterdam、1967参照)に従ってステージを分類した。
【0065】
エタノール処理は0.1X MMR(vol/vol)で(R.Yelin et al.、“エタノール暴露 affects gene expression in the embryonic organizer and reduces retinoic acid level”(エタノール暴露は胚形成体の遺伝子発現に影響を与え、レチノイン酸レベルを低減させる)、Dev Biol 279、pp。193−204(2005)参照)、中期胞胚転移(ステージ8.5)直後から画像生成まで行った。体内画像生成に先立ち、胚は0.02% 3−アミノ安息香酸エチルエステル(A−5040、Sigma)で麻酔処置をした。TDOCT及びOFDI画像生成技術並びにシステムでは、胚は腹部側を上に向けて1.5%アガロースゲルプレート上に配置し、麻酔標準液をかけた。代表的なSECMシステムを用いた画像生成では、胚は腹部側を麻酔緩衝液に向けてカバースリップに配置し、下側から画像を生成した。代表的なFFOCM手法及び/又はシステムによる体外画像生成では、MEMFA(0.1M MOPS〔pH7.4〕、2mM EGTA,1mM MgSo4及び3.7%ホルムアルデヒド)中に1時間超にわたり固定して開始した。画像生成に先立ち、固定された胚は、Ix PBS(8gr NaCl、0.2gr KCl、1.44gr Na2HPO4、0.24gr KH2PO4)を満たしたシャーレに移し、その腹部側を上向きに置き、粘土で支持した。
【0066】
更に、(A.M.Glauert,“Fixation,Dehydration and Embedding of Biological 検体”(生物検体の固化、脱水および包埋)、North−Holland Publishing Company Amsterdam、1986に記載されているように)Karnovsky‘s Fixative(KII)中に固定及びtEpon−812(Tousimis社製)への包埋を行った後に、可塑性組織切片を得た。厚さ1μmの切片をReichert Ultracut Microtome(ライヘルト・超ミクロトーム)で切り出し、ホウ素塩緩衝剤(Tousimis社製)中でメチレンブルー/トルイジンブルーで染色した。パラフィン切片(厚さ5μm)は、ヘマトキシリン&エオシン染色法で染色した。
代表的な結果
生体OFDI技法を用いた胎児心臓の四次元画像化
【0067】
拍動する心臓の高速体積画像生成は、心周期の三次元形態及び機能評価を可能とするものである。代表的なOFDIシステム及び手法によれば、(
図15a及び15bに示すように)体内断面画像生成を行うTDOCTと比べて遥かに高速なフレームレートで、カーディアックゲーティング(cardiac gating)を用いずとも拍動心の四次元画像を生成することができる。アフリカツメガエルの心臓のOFDI体積画像(ステージ49)は、(
図15c−15gに示すように)毎秒20組の三次元データ速度で生成された。OFDI手順を用いることにより、収縮末期では心室は体積が最小になることが実証された。反対に、心房および総動脈幹(TA)の体積は最小であった(
図15c、15d参照)。拡張末期では、心室の体積は拡張して最大となる一方で、心房及びTAの体積は最小となった(
図15e、15f参照)。四次元データセットから得た心臓の三次元レンダリングは(
図15g参照)、同じ心臓を精査した明視野写真に対応する(
図15h参照)。
生体胎児心臓に対する高分解能OFDI手法
【0068】
代表的なOFDIシステムは四次元画像を生成することが可能であったが、僅かな形態的及び機能的異常を同定するために更に高い分解能が要求される場合がある。分解能を向上させるために、W.Y.Oh et al.、“Wide tuning range wavelength−swept laser with two semiconductor optical amplifire”(2半導体光増幅器を用いた広同調範囲波長掃引レーザ)“、IEEE Photonics Technology Letter 17、pp.678−680(2005)に記載されているように、広帯域波長(例えば、200nm)の波長掃引光源を用いて、アフリカツメガエルのステージ49心臓のOFDI断面を生体で得た(
図15i―15m参照)。前述の分解能が横断方向16μmおよび軸方向10μmのTDOCTおよびOFDI手法及びシステムと比べて、高分解能OFDIの横断方向および軸方向分解能はそれぞれ2μmおよび4μmであった。3房室を有するアフリカツメガエルの心臓内部の詳細はこの高分解能OFDI手法及びシステムを用いて、房室弁運動((
図15i−15k参照)、心室収縮および小柱運動(
図15m参照)を含め、明確に解明された。房室弁を介して心房から心室へ流れる個々の血球も見ることができる(
図15k参照)。
体外FFOCM手法を用いた胎児心臓の高分解能三次元画像の生成
【0069】
代表的なFFOCM手法及びシステムは、ほぼ等方性細胞レベルの分解能で、胎児心臓の微細構造の画像を生成する機能を提供する。FFOCMの体積画像は、その視野が700x700x1000μm(軸)に広がるものであった。横断方向および軸方向の分解能は、それぞれ2μm及び1.1μmであった。収集時間は、一つの正面切片に対しては2秒、また全体積に対しては33分であった。代表的なFFOCM断面図では、アフリカツメガエルの心臓(ステージ49)の心室小柱(
図16a及び16c参照)、螺旋弁(
図16b、16dの矢印を参照)、及び心房中隔の一部(
図16dの矢印参照)を、代表的なTDOCT又はOFDI手法又はシステムを用いるよりも遥かに詳細に可視化することができる。心臓の部分的な透視体積レンダリング(
図16e−16h参照)は、TAを斜めにした環流圧縮構造(
図16e参照)、大動脈弓(
図16f、16g参照)及び心房薄壁(
図16gと16hを参照)を、それぞれの三次元の関係において明らかにしている。断面図(
図16e参照)は、小柱(
図16i、16j参照)及び房室弁(
図16k参照)を含む微細な三次元内部構造を表している。対応する同一の胚の組織切片(
図16m参照)の次に示した房室弁の拡大図(
図16lに示されている)は、ニ尖の形態を明らかにしている。
生体SECM手法による胎児心臓の高速画像生成
【0070】
代表的なSECM手法及びシステムは、FFOCMに相当する横断方向分解能を発揮するが、フレームレートはこれよりも高速であり、体内における心臓の顕微鏡検査を可能とするものである。アフリカツメガエルの心筋(ステージ49)の体内の画像生成を、代表的なSECM手法及びシステムを用いて、フレームレート10/s、視野220x220μm、横断方向と軸方向の分解能をそれぞれ1.2μmおよび6μmとして行った。最大貫入深度は280μmであった。代表的な同じ蛙の幼生(オタマジャクシ)(ステージ49)のTD−OCT手法及びシステムによる可視化例(
図15a及び15b参照)及びFFOCM手法及びシステムによる可視化例(
図16a―16m参照)は、腹側面下方約280μmにある房室弁の薄い心臓弁膜尖(
図17a参照)、及び心室空間内の個々の血球を含む心室とTAの一部(
図17cに表示されている)を表している。SECM画像は、対応する組織断面とよい相関を持っていた(
図17b及び17d参照)。他の蛙の幼生(ステージ47)から得られた一連のフレームは螺旋弁の閉じた状態(
図17e参照)と開いた状態(
図17f及び17g参照)を、TAから大動脈分岐へ向かう血流を、単一の細胞のレベルで示している。小柱内の血球も明らかである(
図17h参照)。細胞核および細胞小器官を表す個々の筋細胞内部の特徴を観察できる。
アフリカツメガエル幼生の動脈瘤壁拡張
【0071】
胚(ステージ47)の1つでは、TA壁から発生した突出が識別されている。体内の異なる2つの深度で取ったSECM断面図(
図18a及び18b参照)では、その嚢状形、螺旋弁に対する位置、更には異常部を通過する個々の血球の流れが明らかに認められる。この異常は、代表的な生体TDOCT手法及びシステムを用いても観察された(
図18aに示す。挿入図参照)。この幼生は、次いで固定され、代表的なFFOCM手法及びシステムを用いて画像化した。FFOCM断面(
図18c参照)及びFFOCM体積データセットの三次元レンダリング(
図18d参照)は、心臓全体の状況の中の膨張を表している。従来の明視野顕微鏡検査では観察が困難であったが(
図18e参照)、代表的TDOCT、FFOCM及びSECM手法及びシステムにより明確に可視化され、心臓は他の点では正常表現型のように見えるが、この突起部はTAの嚢状動脈瘤膨張を表すと思われる。
エタノール暴露による心異常
【0072】
心血管奇形は、遺伝的因子(K.L.Clark et al.、“Transcription factors and congenital heart defect”(転写因子と先天性心臓欠陥))、Annu Rev Physiology 68、pp。97−121(2006)に記載)及び催奇形性因子(S.M.Mone et al.、“Effects of environmental exposure on the cardiovascular system:prenatal period through adolescence”、Pediatrics 113、pp.1058−1069(2004)(心臓血管系に与える環境暴露の影響:出産前から青年期まで)に記載)により引き起こされる。エタノールは周知の催奇形性物質である;妊娠期間のヒトの胚のアルコール(エタノール)暴露は、胎児性アルコール症候群(FAS)と関連がある(K.L.Jones et al.、“Recognition of the fetal alcohol syndrome in early infancy“(早期乳児期における胎児アルコール症候群の評価)、Lancet 2、pp.999−1001(1973)、およびJ.D.Chaudhuri、”Alcohol and the developing fetus―― a review“(アルコールおよび発生期の胎児−−概説)、Med Sd Monit 6、pp.1031−1041(2000)を参照)。ある推定によると、FASの子供の53%が心臓欠損を煩っている(E.L.Abel、Fetal Alcohol Syndrome、Medical Economics Books、Oradell、NJ、1990を参照)。
【0073】
アフリカツメガエルの心臓の発生に与えるエタノールの催奇形効果を調べるために、幼生を中期胞胚転移期(ステージ8.5)から異なる濃度(0.5%−2.5%)のエタノールに暴露した(R.Yelin et al.、“エタノール暴露 affects gene expressin in the embryonic orgenizer and reduces retinoic acid level“(エタノール暴露は胚形成体の遺伝子発現に影響を与えレチノイン酸レベルを削減する)、Dev Biol 279、pp.193−204(2005)を参照)。同一条件で発育中の同胞であってエタノール暴露をしていない幼生グループを、対照として用いた。その発育過程で、我々は、催奇形性効果の範囲を特定しかつ質的評価を行うために、代表的TDOCT手法及びシステムを用いて幼生の心臓の部位のスクリーニングを行った。0.5%エタノール処理グループ(n=16)と対照グループ(n=42)との間に形態的差異は観察されなかった。対照グループと比較して、形態に実質的変化を有した完全成熟として定義される中等度催奇形性効果が、1%エタノールに暴露した幼生(n=28)の少数群(25%)、及び1.5%エタノールに暴露した幼生(n=27)の多数群(74%)に見られた。心管の著しく異常な回旋及び/又は不完全成熟として定義される重度の影響が、2.0%のグループ及び2.5%のグループ(それぞれn=17、n=7)の全幼生に見られた。最重度の奇形幼生も含め、全幼生で心臓の運動が明らかに認められた。
【0074】
代表的なTDOCT手法及びシステムを用いて、対照グループ、0.5%,1.5%、及び2.0%エタノール処理グループからそれぞれオタマジャクシを一つ(ステージ48)を選択して標準的な表現型を明らかにした(
図19a−19d参照)。4つのオタマジャクシの心臓に、不完全心房中隔(
図19a−19d参照。隔膜は右側画像の矢印で示す)及び房室弁を確認したため、後期発生段階にあると決定した。TDOCT画像は、1.5%及び2.0%のグループに、還流(looping)欠損の初期兆候があることを示した。更に、1.5%と2.0%のグループに心室内部からの弱いTDOCT信号が観察された。これはこれらの幼生の血流低下に起因するものと推定される。
図19e−19hに、生体オタマジャクシの腹側面から撮影した写真を示す。
【0075】
代表的なFFOCM手順及びシステムを用いて生体から得られたデータの三次元レンダリングにより、高分解能での心筋構造の評価が可能となり、対照グループと0.5%幼生グループの類似性、および1.5%と2.0%幼生グループの心管還流欠陥が明確になった(
図19i−19l参照)。FFOCM体積データ集合による断面図により、対照グループおよび0.5%のオタマジャクシのグループ(
図19n参照)と比べて、1.5%のグループ(
図19o参照)及び2.0%のグループのオタマジャクシ(
図19pに示す)のTAおよび弁(矢印で示す)は小さく、かつ変形していることが明らかとなった。対照グループ及び0.5%のグループと対照して、心嚢浮腫は(
図19o,19p、19sおよび19tに示すように)1.5%と2.0%のグループに表れた。エタノールは心室にも影響を与えた。対照グループ(
図19q参照)および0.5%のグループ(
図19r参照)の心臓中の発達した小柱は、1.5%のグループ(
図19s参照)の発達の程度の低い小柱とは対照的であり、また、2.0%エタノール暴露の幼生グループ(
図19t参照)の心室腔は肥大し、疎らで発育不良の小柱を有していた。対応する組織断面により、幼生のエタノール暴露が大きいほどその小柱の発達は乏しくなる(
図19u−19x参照)ことを含む、我々の所見のいくつかを確認した。
代表的結果の考察
【0076】
発生生物学研究における共通のパラダイムは、遺伝子型を操作しかつ表現型を監視することである。形態は、表現型の重要な一側面である。心臓においては、軽度の形態上及び循環動態上の異常であっても、心筋を正常に機能させる上で重大な影響を与えることがある。二次元及び三次元で僅かな形態的および循環動態的変化を識別する機能は、このパラダイムの感度を著しく改善することが出来る。
【0077】
アフリカツメガエルの幼生では、心筋壁、隔膜及び弁などの心臓構造各部位の厚さは、細胞数個程に過ぎない場合がある。形態表現型を評価するには、このような微細な構造を分解するのみならず、代表的変位速度が1mm/秒のオーダーである拍動心内部のこれらの顕微鏡的特長をも可視化できることが必要である。もし画像生成速度が十分に高ければ、幼生の心臓の三次元画像を心周期内で様々な時間に取得することができる。この代表的な四次元画像生成により、ヒトの病態生理と密接な関係のある弁の位置、堅さ及びモジュラリティに加えて、1回拍出量や心臓駆出分などの動的生理学的パラメータを高い信頼度で測定することができた。高分解能および高速性は、心臓の効果的な画像生成のための唯一の要求事項ではない。アフリカツメガエルの幼生では、心臓は腹側表面下200μmから800μm間に広がっている。従って、効果的な画像生成法は、信号および分解能をほとんど劣化させずに、これらの深度で画像生成が可能であることが好ましい。
【0078】
発生期のアフリカツメガエルの心臓の形態は、体外で調べられ、組織断面の三次元レンダリングを用いて詳細に描写された(T.J.Mohun et al.、“ The morphology of heart development in アフリカツメガエル”(アフリカツメガエルの心臓の発生形態)、Dev Biol 218、pp.74−88(2000)参照)。しかしながら、組織の研究では、構造を忠実に保持してサンプルの作成および切片作成を行うことは困難である。結果として、無傷の幼生をその自然の環境で画像化することが好適である。生体心臓の構造の画像生成を、各種の非侵襲画像生成モダリティ、例えば、マイクロMRI(D.L.Kraitchman et al.、“In vivo magnetic resonance imaging
of mesenchymal stem cell in myocardial infarction”(心筋梗塞に対する間充織幹細胞の 生体磁気共鳴画像の生成)、Circulation 107、 pp.2290−2293)、)、及びF.Wiesmann et al.、“Developmental changes of cardiac function and mass assessed with MRI innenotal、juvenile、and adult mice”(MRIに関わる新生、若年性および成体ハツカネズミの心機能および主要部位の発育上の変化)、AmJ Physiol Heart Circ Physiol 278、pp.H652−657(2000)参照)、マイクロCT(M.Malyar et al.、“Relationship between arterial diameter and perfused 組織 volume in myocardial microcirculation: a micro―CT−based analysis(心筋微小循環における動脈径と分散組織の体積との相関:マイクロCTを用いた分析)”、Am J Physiol heart Circ Physiol 286、pp。H2386−2392(2004)、and C.T.Badea et al.“4−D micro―CT of the mouse heart”(マウス心臓の4−DマイクローCT)、Mo I Imaging 4、pp.130−135(2005)、超音波(S.Srinivasan et al., “Noninvasive, in utero imaging of mouse embryonic heart development with 40−MHz echocardiography”, Circulation 98, pp.912−918 (1998)参照)及びPET(L.W.Dobrucki et al., “Molecular cardiovascular imaging”, Curr Cardiol Rep 7, pp.130−135 (2005), and L.Stegger et al., “Monitoring left ventricular dilation in mice with PET,”(PETを用いたマウスの左心室肥大のモニタリング)JNucl Med 46, pp.1516− 1521 (2005)を参照)を用いて実証してきた。
【0079】
光学技術は、高分解能で胎児心臓の画像生成を可能とするものである。アフリカツメガエルの初期心臓発生の体外での画像生成には共焦点顕微鏡検査法が用いられてきた(S.J/Kolker etal.、“Confocal imaging of early heart development in アフリカツメガエル”、Dev Biol218、pp.64−73(2000))参照)、又、生体ゼブラフィッシュ胚心臓発生における心臓内流体力の役割りを研究するために(J.R.Hove et al.、“Intracardiac fluid forces are an essential epigenetic factor for embryonic cardiogenesis” (心臓内流体力は胚心臓発生の必須後天的要因である)、Nature 421、pp.172−177(2003)を参照)。ドップラーTDOCT手法及びシステムは、アフリカツメガエルの幼生の血液の流れを調べるために用いられたもので、組織表面下の定量的な速度測定が可能であった(J.H.Hove et al.、“Intracardiac fluid forces are an essential epigenetic factor for embryonic cardiogenesis” (心臓内流体力は胚期心臓発生の必須後天的要因である)、Nature 421、pp.172−177(2003)参照)、及びV.X.D.Yang、M.L.Gordon、E.Seng−Yue、et al.、“High speed、wide velocity dynamic range Doppler optical コヒーレンス tomography(partII):Imaging in vivo cardiac dynamics of アフリカツメガエル”(高速、広範囲速度ダイナミックレンジドップラー型光コヒーレンストモグラフィー(パート2):アフリカツメガエルの生体心臓ダイナミックスの画像生成)、Optics Express11、pp.1650−1658、(2003)を参照)。TDOCTはその画像生成速度が制限されるため、TDOCTを用いて三次元心臓の画像の生成を行うことは、主として体外での事前実証にのみ用いてきた(S.A.Boppart et al.、“Noninvasive assessment ofthe developing Xenopus cardiovascular system using optical コヒーレンス tomography”(光コヒーレンストモグラフィーを用いた、発生期アフリカツメガエルの心臓血管系の非侵襲評価)、Proc Natl Acad Sd USA 94、pp。4256−4261(1997))、T.M.Yelbuz et al.、“Optical コヒーレンス tomography:a new high−resolution imaging technology to sutudy cardiac development in chick embryos”(光コヒーレンストモグラフィー:幼鶏胚における心臓発生を研究するための新しい高分解能画像生成技術)、Circulation 106、 pp。2771−2774(2002)、及びW.Luo et al.、“Three−dimensional optical コヒーレンス tomography of the embryonic murine cardiovascular system”(マウスの胚芽期心臓血管系の三次元光コヒーレンストモグラフィー)、 Journal of biomedical optics 11、021014(2006)を参照)。
【0080】
既存の画像生成技術の速度による制限を回避するために、胚芽期心臓の三次元画像を心周期の異なるステージで再構築することができるゲーティング、又は収集後同期技術が用いられてきた(M.W.Jenkin et al.、“4D embryonic cardiography using gated optical コヒーレンス tomography”(ゲーテッド光コヒーレンストモグラフィーを用いた4D胎児カルジオグラフィー )、Optics Express 14、pp.736−748(2006)を参照されたい。)M.Liebling al.、“Four−dimensional cardiac imaging in living embryos via postacquisition synchronization of nongated slice sequence”(ゲーティングされていない薄片配列の収集後同期を用いた生体胚における四次元心臓画像生成)、Biomed Opt 10、054001(2005)を参照)。我々の研究室ではより容易に利用できるために、いくつかの実験ではTDOCTを用いたが、前述の代表的なOFDI手法及びシステムは、この代表的なTDOCT手法及びシステムの全ての機能を一層高速で提供できるものであった。代表的なOFDI手法及びシステムは、心臓ゲーティングを必要とせずに、拍動心の実時間で忠実に四次元画像を生成し、心臓の周期に亘る心筋壁変位を評価するために有用であることが分かった(
図15c−15f参照)。
【0081】
我々は、OFDI光源を修正して、軸方向高分解能を更に高めた(4μm)実時間断面画像生成を行って、弁運動(
図15i−15k参照)及び単一細胞血液流の可視化を可能にした。胎児心臓の細胞下レベル分解能画像生成を目的として、代表的なFFOCMおよびSECM手法及びシステムの使用について詳細に研究した。FFOCMモダリティは、等方向性細胞(1−2μm)相当の分解能で、高品質三次元画像生成を可能にすることが分かった。SECMモダリティは、FFOCMモダリティに相当する分解能を有することが分かったが、更に高速で細胞下レベルの生体筋細胞、血液及び弁運動の画像生成を行うことができた。表1は、各手順の種種の機能を、それらの相補的性質を明確にして要約したものである。
表1.胎児心臓の光学的画像生成を目的とした内因性コントラストモダリティの比較
灰色の陰影を付けた細胞は、最大の横方向分解能特性、軸方向分解能特性及びフレームレート特性を持つ画像生成技術を表す。
【0083】
代表的なTDOCTとFFOCM手法及びシステムの貫入深度が大きいので、エタノール催奇形性表現型の一部として発達した心嚢浮腫を通して心臓の画像生成を行うことができた。我々の予備研究結果では、エタノールは心臓還流過程(
図19i−1)を阻害することを示唆するものであり、これは鶉の研究結果と一致する(W.O.Twal et al.、“Retinoic acid reverses ethanol−inducedcardiovascular abnormalities in quail embryos”(レチノイン酸は、鶉幼鳥におけるエタノール誘発性異常を回復に向かわせる)、Alcohol Clin Exp Res 21、pp。1137−1143(1997)を参照)。本研究で報告されたTAサイズの縮小は、CavierresとSmithによって予測されていたものである(M.F.Cavierres et al.、“Genetic and developmental modulation of cardiac deficits in prenatal alcohol exposure”、(出生前アルコール暴露における心臓欠陥の遺伝的および発生学的調節)、Alcohol Clin Exp Res 24、pp.102−109(2000)を参照されたい)が、観察されなかった。本報告書に記載された発達の程度が低い心室小柱(
図19q−tを参照)は、これまで発育が阻害されてきたものと考えられる。アフリカツメガエルおよびゼブラフィッシュ(ダニオ・レリオ)では、この心室小柱はヒス・プルキンエ系と機能的に等価に働くため(D.Sedmera et al.、“Function and morphological evidence for a ventricular conduction system in zebrafish and Xenopus hearts”(ゼブラフィッシュおよびアフリカツメガエルの心臓における心室伝導系の立証)、Am J Physiol Heart Circ Physiol 284、pp.H1152−1160(2003)を参照)、低発達の小柱であることは、エタノール処理鶉(W.O.Twal et al.、“Retinoic acid reverses ethanol―induced cardiovascular abnormalities in quail embryos”(レチノイン酸は、鶉幼鳥におけるエタノール誘発性異常を回復に向かわせる)、Alcohol Clinic Exp Res 21、pp.1137−1143(1997)を参照)、及びゼブラフィッシュ幼魚(J.Bilotta et al.、“エタノール暴露 alters zebrafish development:a novel modelof fetalalcohol syndrome”(エタノール暴露はゼブラフィッシュの発育を変える)、Neurotoxicol Teratol 26、pp。131−1 A3(2004)を参照)について報告されている比較上低速の心拍数であることと関連付けて決定することができる。エタノール処理に起因する血液循環の阻害(W.O.Twal et al.、“Retinoic acid reverses ethanol−induced cardiovascular abnormalities in quail embryos”(レチノイン酸は、鶉幼鳥におけるエタノール誘発性異常を回復に向かわせる)、Alcohol Clin Exp Res 21、pp。1137−1143(1997)を参照)、及び X.Wang et al.、“Japanese medaka(Oryzias latipes):developmental model for the study of alcohol teratology”(日本メダカ:アルコール奇形研究のための発生モデル)、Birth defects res B Dev Reprod Toxicol 11、pp.29−39(2006)を参照)は、心臓腔内部からの信号損失を説明できる可能性があり、これは前記の決定とも合致するものである。
【0084】
相対的に高い貫入深度にもかかわらず、発生初期の激しい散乱のために、従来の光学的画像生成手法はいずれも心臓器官形成開始期(心管形成、ステージ29)の心臓の画像を生成することができなかった。しかしながら、心臓の動きの開始(ステージ35)が観察され、また、胚が光を透過するようになるにつれて、心腔形成期(ステージ40前後)の詳細な構造画像が得られるようになった。特に、FFOCM及びSECMモダリティについては、組織を顕微鏡検査のデータ集合と照合することが困難であった。この胚芽は、処理を行い、包埋する時に非常に壊れやすく、形態を保存することが困難であった。更に、画像は10μmのオーダーで組織に合わせる必要があるが、これは従来の切片製作技術では達成が困難である。
【0085】
本発明の代表的な実施の形態による画像生成手順では、コントラストは内因性の散乱により発生したものである。更に、分子画像生成は、遺伝子および蛋白質の発現と表現型とを関連付けるために重要と思われる。それ故、本明細書に記載された代表的なシステムおよび方法は、蛍光標識および分子種の画像生成に用いることが出来る。蛍光画像生成は、光源の変調によるスペクトル符号化と電子工学的検出により行うことができることを説明した(J.T.Mots et al.,“Spectral− and frequency encoded imaging”(スペクトルおよび周波数符号化画像生成)、Opt Lett 30、pp.2760−2762(2005)を参照)。蛍光SECM手法及びシステムで用いたのと同様の原理を、内視鏡2光子画像および第二高調波画像生成にも同様に用いることができる。代表的なTDOCT、OFDI及びFFOCM手順並びにシステムにコヒーレント検出を用いても、蛍光を直接に検出することは困難であると思われる。しかし、数種類の分子コントラスト法については、OCTモダリティとして既に説明されている(C.Yang,“Molecular contrast optical コヒーレンス tomography:a review”(分子コントラスト光コヒーレンストモグラフィー:概説)、Photochem Photobiol 81、pp.215−237(2005)及びOptical probes and 技術s for molecular contrast enhancement in コヒーレンス imaging“(コヒーレンス・画像生成における分子コントラスト増進のための光ブローブと技術)、J Biomed Opt 10、41208(2005)を参照)。
【0086】
本研究で紹介した、自然コントラスト画像生成モダリティにより、異なる視点から胚芽期の心臓の評価を行うことが可能である。OFDI、SECM、及びFFOCMモダリティを組み合わせることにより、これ等の長所(テーブル1参照)が活用でき、形態的および機能的心筋表現型を更に総合的に把握できるようになる。このマルチモダリティのパラダイムは、他のシステムや動物モデルにも拡張することができる。これらの非侵襲的画像生成技術は検体を変質させるものではないため、逐次的に或いは並列に用いることができる。更に、本研究では、我々は個別の画像生成システムを用いたが、単一の波長掃引光源を用いる一つの画像生成システムとして一体化することを妨げるものではない(S.H.Yun et al.、“High−speed optical frequency−domain imaging”(光周波数領域画像高速生成)、Optics Express 11、pp.2953−2963(2003);C.Boudoux et al.、“Rapid wavelength−swept spectrally encoded confocal microscopy”(高速波長掃引スペクトル符号化顕微鏡検査法)、Optics Express 13、pp.8214−8221(2005);及びW.Y.Oh et al.、“Wide tuning range wavelength―swept laser with twosemiconductor optical amplifires”(2組の半導体光増幅器を持つ広同調範囲波長掃引レーザ)、IEEE Photonics Technology Letters 17、pp。678−680 (2005)を参照)。
【0087】
上述の説明は単に本発明の原理を例示したに過ぎない。本明細書の説明を考慮して、記載された実施の形態に種々の変更や改変を加えることは、当業者にとって明らかである。実際に、本発明の代表的な実施の形態による装置、システム、及び方法は、どのようなOCTシステム、OFDIシステム、SD−OCTシステム、または他の画像化システム、例えば、2004年9月8日出願の国際特許出願第PCT/US2004/029148号、2005年11月2日出願の米国特許出願第11/266,779号、及び2004年7月9日出願の米国特許出願第10/501,276号に記載のものにも適用可能であり、これらの開示の全てを本明細書の一部として援用する。従って、当業者にとっては、本明細書に明確に提示又は説明されていなくとも、本発明の原理を具現化する数多くのシステム、装置、及び方法に工夫を凝らすことが可能であり、これは本発明の趣旨と範囲内に含まれることが理解されるであろう。更に、上述の明細書に前記の先行技術の知識が明示的に援用されていない範囲においても、その全体を明示的に本明細書に援用する。本明細書で引用した上述の全ての文献は、その全体を本明細書の一部として援用する。