特許第6174648号(P6174648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6174648複数入力複数出力(MIMO)通信システムにおいて制御及びデータチャネルを多重化する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174648
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】複数入力複数出力(MIMO)通信システムにおいて制御及びデータチャネルを多重化する方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0413 20170101AFI20170724BHJP
【FI】
   H04B7/0413 100
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-190054(P2015-190054)
(22)【出願日】2015年9月28日
(62)【分割の表示】特願2012-534527(P2012-534527)の分割
【原出願日】2010年9月7日
(65)【公開番号】特開2016-28503(P2016-28503A)
(43)【公開日】2016年2月25日
【審査請求日】2015年10月9日
(31)【優先権主張番号】12/856,333
(32)【優先日】2010年8月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/293,985
(32)【優先日】2010年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】ブランケンシップ、ユフェイ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ジン、イン
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−516873(JP,A)
【文献】 Huawei,Remaining issues of MultiplexingSchemes of control and data in multi-layer PUSCH transmission,3GPP TSG RAN WG1 Meeting #61bis,2010年 6月22日,R1-103451
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0413
H04J 99/00
CiNii
IEEE Xplore
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送のために複数のコードワードを複数の複数入力複数出力(MIMO)レイヤ上に多重化する方法であって、前記方法は、
物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)伝送のために、第1のコードワードと第2のコードワードのそれぞれの制御情報を第1のMIMOレイヤと第2のMIMOレイヤの両方へマッピングするステップを具備し、
前記制御情報は、チャネル品質情報(CQI)、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)肯定確認応答(ACK)/否定確認応答(NACK)信号、または、ランクインジケータ(RI)信号であって、
前記第1のMIMOレイヤと前記第2のMIMOレイヤのそれぞれの前記制御情報のための制御シンボルの数は、前記第1のコードワードのビット数と前記第2のコードワードのビット数との線形組み合わせに基づいて決定され、
前記制御情報に関する符号化されたシンボルの数は、前記第1のコードワードおよび前記第2のコードワードの少なくとも1つの変調及び符号化方式(MCS)レベルに関する、方法。
【請求項2】
前記制御情報は、前記第1のコードワードと前記第2のコードワードの両方に関するデータで多重化される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のコードワードに関するデータは、前記第1のMIMOレイヤのみにマッピングされるとともに、前記第2のコードワードに関するデータは、前記第2のMIMOレイヤのみにマッピングされる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御情報に関する制御シンボルの数は、前記第1のコードワードおよび前記第2のコードワードの少なくとも1つに依存するオフセット値に基づいて決定される、請求項1、2、3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のコードワードと、前記第2のコードワードとは、同じオフセット値を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数のコードワードを送信するために複数の複数入力複数出力(MIMO)レイヤ上へ多重化するためのシステムであって、前記システムは、
物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)伝送のために、第1のコードワードと第2のコードワードのそれぞれの制御情報を第1のMIMOレイヤと第2のMIMOレイヤの両方へマッピングするように構成されたマッピングモジュールを具備し、
前記制御情報は、チャネル品質情報(CQI)、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)肯定確認応答(ACK)/否定確認応答(NACK)信号、または、ランクインジケータ(RI)信号であって、
前記第1のMIMOレイヤと前記第2のMIMOレイヤのそれぞれの前記制御情報のための制御シンボルの数は、前記第1のコードワードのビット数と前記第2のコードワードのビット数との線形組み合わせに基づいて決定され
前記制御情報に関する符号化されたシンボルの数は、前記第1のコードワードおよび前記第2のコードワードの少なくとも1つの変調及び符号化方式(MCS)レベルに関する、システム。
【請求項7】
前記制御情報は、前記第1のコードワードと前記第2のコードワードの両方に関するデータで多重化される、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のコードワードに関するデータは、前記第1のMIMOレイヤのみにマッピングされるとともに、前記第2のコードワードに関するデータは、前記第2のMIMOレイヤのみにマッピングされる、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御情報に関する制御シンボルの数は、前記第1のコードワードおよび前記第2のコードワードの少なくとも1つに依存するオフセット値に基づいて決定される、請求項6,7,8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のコードワードと、前記第2のコードワードとは、同じオフセット値を有する、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2010年1月11日に出願された、「System and Method for Multiplexing Control and Data Channels in a Multiple Input,Multiple Output Communications System(複数入力複数出力通信システムにおいて制御及びデータチャネルを多重化するシステム及び方法)」と題された、米国仮特許出願第61/293,985号、及び、2010年8月13日に出願された、「System and Method for Multiplexing Control and Data Channels in a Multiple Input,Multiple Output Communications System(複数入力複数出力通信システムにおいて制御及びデータチャネルを多重化するシステム及び方法)」と題された、米国特許出願第12/856,333号の利益を主張するものであり、当該出願は参照によって本明細書中に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、無線通信に関し、特に、複数入力複数出力(MIMO)通信システムにおいて制御及びデータチャネルを多重化するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
3GPP Rel−8(ロングタームエボリューション(LTE)と一般に呼ばれる)では、概して、上りリンク制御情報は、(a)データ(即ち、上りリンク共有チャネル(UL−SCH))の同時伝送なし、及び(b)UL−SCHの同時伝送あり、という2つの方式で送信されることが可能である。本発明は、制御及びデータが同じサブフレーム上で送信される(b)に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザ装置(UE)が、有効なスケジューリンググラントを有する場合、対応するサブフレーム内でUL−SCHのためにネットワークリソースが割り当てられる。変調及び離散フーリエ変換(DFT)プリコーディングに先立って、サブフレーム内で、上りリンクレイヤ1(L1)/レイヤ2(L2)制御シグナリングは、物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)上に、符号化されたUL−SCHと共に多重化されてもよい。制御シグナリングは、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)確認応答、及びチャネルステータス報告を含んでもよい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
複数入力複数出力(MIMO)通信システムにおいて制御及びデータチャネルを多重化するシステム及び方法の実施形態によって、これらの、及びその他の問題が全般的に解決又は回避され、技術的利点が一般に達成される。
【0006】
一実施形態によれば、複数入力複数出力(MIMO)レイヤ上で制御シンボル及びデータシンボルを送信する方法が提供される。この方法は、Ncw個のコードワードから、第1の組のコードワードを選択し、制御シンボルを第1の組のレイヤ上に分配し、第1の組のコードワードのデータシンボルを第1の組のレイヤ上に配置し、Ncw>Ncw1である場合、(Ncw−Ncw1)個の残りのコードワードのデータシンボルを残りのレイヤに配置し、複数のMIMOレイヤを送信することを含む。第1の組のコードワードは、複数のMIMOレイヤからの第1の組のレイヤに関連付けられ、Ncw個のコードワードは同時に送信されるものであり、かつ、第1の組のコードワードはNcw1個のMIMOコードワードを含み、ここでNcw及びNcw1は1以上の整数である。残りのレイヤは、複数のMIMOレイヤからの、第1の組のレイヤに含まれないMIMOレイヤである。
【0007】
一実施形態によれば、複数入力複数出力(MIMO)レイヤ上で制御シンボル及びデー
タシンボルを送信する方法が提供される。この方法は、複数のMIMOレイヤ上で同時に送信される、1つ以上のコードワードを構築し、制御シンボルを複数のMIMOレイヤ上に分配し、1つ以上のコードワードのデータシンボルを複数のMIMOレイヤ上に配置し、複数のMIMOレイヤを送信することを含む。
【0008】
一実施形態によれば、複数入力複数出力(MIMO)レイヤ上で制御シンボル及びデータシンボルを送信する方法が提供される。この方法は、複数のコードワードからコードワードを選択し、制御シンボルをMIMOレイヤのサブセット上に分配し、複数のコードワードのデータシンボルを複数のレイヤ上に配置し、複数のMIMOレイヤを送信することを含む。複数のコードワードは複数のMIMOレイヤ上で送信され、選択されたコードワードは複数のMIMOレイヤのうちのサブセットであるMIMOレイヤ上で送信される。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の利点は、複数のMIMO上に多重化された制御信号が、ダイバーシティ処理利得に役立ち得るということである。
【0010】
実施形態の更に別の利点は、制御情報のタイプ、要件、及び性質に基づいて、複数のMIMOレイヤ上に制御信号を多重化したものが、送信されるということである。例えば、CQI/PMI制御信号は、HARQ ACK/NACK又はRIとは異なる、MIMOレイヤ、CW、又はMIMOレイヤ数にマッピングされてもよい。
【0011】
上記では、以下の実施形態の詳細な説明をより良く理解できるようにするために、本発明の特徴及び技術的利点について、かなり大まかに概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する追加的な特徴及び利点については以下に記載する。開示される概念及び特定の実施形態は、本発明の同じ目的を実施するための修正、あるいは他の構成又はプロセスの設計のための基礎として、容易に利用されることが可能であるということを、当業者は理解されたい。そのような均等物が、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲から逸脱するものではないということも、当業者は理解されたい。
【0012】
実施形態及びそれらの利点のより完全な理解のために、添付の図面と組み合わせて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】LTEにおける制御及びデータの多重化の空間図である。
図2】レイヤシフティングを使用せず、ACK/NACK空間バンドリングなしの場合の、2本の送信アンテナに対して2つのTBを使用する、ランク−2 UL伝送の送信器構成の図である。
図3】レイヤシフティングを伴うACK/NACK空間バンドリングの場合の、2本の送信アンテナに対して2つのTBを使用する、ランク−2 UL伝送の送信器構成の図である。
図4a】LTEにおける、単一のコードワードの単一のレイヤへのマッピングを示す図である。
図4b】2つのコードワードの、2つのレイヤへのマッピングを示す図である。
図4c】2つのコードワードの、3つのレイヤへのマッピングを示す図である。
図4d】2つのコードワードの、4つのレイヤへのマッピングを示す図である。
図4e】1つのコードワードの、2つのレイヤへのマッピングを示す図である。
図5】単一のコードワードからの制御及びデータを含む、2つのMIMOレイヤの、空間図である。
図6】2つのコードワードからの制御及びデータを含む、2つのMIMOレイヤの、空間図である。
図7】2つのコードワードからの制御及びデータを含む、3つのMIMOレイヤの、空間図である。
図8】2つのコードワードからの制御及びデータを含む、2つのMIMOレイヤの、空間図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の製造及び使用について以下に詳細に述べる。但し、本発明は、非常に様々な特定の状況において実施されることが可能な、多くの適用可能な発明概念を提供するということを理解されたい。述べられる特定の実施形態は、本発明を製造及び使用する特定のやり方を例示するものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0015】
図1は、LTEにおける制御及びデータの多重化の空間図100を示す。図1に示すように、制御及びデータは、単一の上りリンクレイヤ上に多重化される。空間図100は、異なる情報を搬送する異なるゾーンに分割されることができる。同様のハッシュパターン(hashing pattern)を使用してハッシュ処理された(hashed)ゾーンは、同様の情報を搬送する。例えば、ゾーン105は、リファレンス信号(例えば、パイロット)を搬送するために使用されてもよい。ゾーン110は、UL−SCHデータを搬送するために使用されてもよく、ゾーン115は、チャネル品質インジケータ及び/又はプリコード行列指示情報を搬送するために使用されてもよく、ゾーン120は、HARQにおいて使用されるACK/NACKを運ぶために使用されてもよく、ゾーン125は、ランクインジケータ情報を運ぶために使用されてもよい。
【0016】
各ゾーンは、複数のリソースエレメント(RE)を含んでもよく、個々のゾーンに割り当てられるリソースエレメントの正確な数は、使用される符号化及び変調方式、通信システム構成、動作中のUEの数などの要因に依存する。空間図100に示す様々なゾーンの比率は、様々なゾーンに割り当てられるリソースエレメントの量の正確な関係を示すことを意図するものではなく、ゾーンの相対的関係及び配置を伝えることを意図するものである。
【0017】
3GPP Rel−10(LTE−Advanced(LTE−A)と一般に呼ばれる)では、伝送ブロック(TB)は、LTEにおける場合と同様に、チャネル符号化、レートマッチング、変調などを含む処理のチェーンの後、MIMOコードワード(CW)にマッピングされてもよい。但し、LTE−A上りリンクにおけるMIMOレイヤの最大数は4に増加され、MIMOコードワードの最大数は2に増加される。
【0018】
下りリンクMIMOとは異なり、LTE−Aの上りリンク(UL)MIMOでは、処理チェーン内で、ACK/NACK空間バンドリングと共にレイヤシフティングを採用することが考慮されている。図2は、レイヤシフティングを使用せず、ACK/NACK空間バンドリングなしの場合の、2本の送信アンテナに対して2つのTBを使用する、ランク−2 UL伝送の送信器構成200を示す。図3は、レイヤシフティングを伴うACK/NACK空間バンドリングの場合の、2本の送信アンテナに対して2つのTBを使用する、ランク−2 UL伝送の送信器構成300を示す。
【0019】
図4aは、LTEにおける、単一のコードワードの単一のレイヤへのマッピングを示す。図4bは、2つのコードワードの2つのレイヤへのマッピングを示す。図4cは、2つのコードワードの3つのレイヤへのマッピングを示す。図4dは、2つのコードワードの4つのレイヤへのマッピングを示す。図4eは、1つのコードワードの2つのレイヤへのマッピングを示す。DL LTEにおいて使用される設計が使用される場合、再伝送のためには、初期伝送でTBを送信するために2つのレイヤが使用される図4eに示すマッピングのみが使用されることが可能である。更に、図4a〜図4eに示すコードワード(C
W)−レイヤマッピングの組み合わせは、LTE−Advanced上りリンクのために使用されてもよい。
【0020】
TR36.814に述べられているように、「上りリンクL1/L2制御シグナリング及びデータの同時伝送は、2つのメカニズムでサポートされる。
−制御シグナリングが、Rel−8におけるのと同じ原理に従って、PUSCH上のデータと多重化されるメカニズム
−制御シグナリングが、PUSCH上のデータと同時に、物理上りリンク制御チャネル(PUCCH)上で伝送されるメカニズム」
【0021】
制御は、PUSCH上のデータと同時にPUCCH上で伝送されてもよいが、PUSCH上で制御シグナリングがデータと多重化されることは、少なくとも以下の場合に依然として必要とされる。
−PUSCH上でのデータ及び制御の多重化が、CMを減少させ、従ってカバレッジを増加させる場合。
−CQI/PMI/RI、及び、場合によってはその他のチャネル状態情報が、UL−SCH伝送を割り当てるPDCCHによってトリガされた場合も、そのような制御情報は、PUSCH上のデータと共に多重化されなければならない。
【0022】
1つのMIMOレイヤのみが使用される場合、3GPP Release−8に記載されているものと同じ制御−データ多重化方式(図1に示す)が使用されなければならない。複数のMIMOレイヤを使用する(例えば、1つ以上のコードワードが、2つ、3つ、又は4つのMIMOレイヤにマッピングされる)場合のための制御−データ多重化の新たな設計(図4b〜図4eに示す)について、以下に述べる。
【0023】
制御−データの、複数MIMOレイヤPUSCH伝送への多重化は、単一コードワード、又は全コードワードという、複数のアプローチを取ることができる。
【0024】
単一コードワード規則 − コードワードのうちの1つと関連付けられたレイヤを、制御−データ多重化のために選択する。適切なコードワードを選択するために、基準又は規則が必要とされ得る。コードワードは、上位レイヤシグナリング、又はダイナミック物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)シグナリングを介して、明示的に選択されてもよい(例えば、第1のコードワードを選択)。あるいは、コードワードは、a)PUSCHを割り当てるPDCCH内で提供される、コードワードの変調及び符号化方式(MCS)レベル、b)コードワードの信号・干渉対雑音比(signal plus interference to noise ratio)(SINR)、c)コードワードによって占められるレイヤの数、d)コードワードの、PUSCH性能に対する影響、e)HARQ伝送ステータス(例えば、初期伝送対再伝送)、又はこれらの組み合わせを使用して、暗黙的に選択されてもよい。
【0025】
全コードワード規則 − 全てのMIMOレイヤを、制御−データ多重化のために使用する。1つのコードワードが2つのレイヤにマッピングされる場合、単一コードワード方策は、全コードワード方式に劣化(degenerate)する。
【0026】
最終的解決法のための性能比較及び選択は、UL MIMO伝送のためにレイヤシフティングを伴うACK/NACK空間バンドリング(LS/ANB)が使用されるかどうかに大きく依存する。更に、発展型ノードB(eNB)が実装される可能性がある受信器のタイプ(逐次干渉除去(SIC)対最小平均二乗誤差(MMSE))、及び、LS/ANBなしの場合に再伝送がコードワードのうちの1つで行われるかどうか、及び、(割り当てられたPUSCHリソースのサイズに対する相対的な)制御情報のサイズ(ビット数)
、が考慮に含まれてもよい。加えて、ダイバーシティ及びカバレッジ目的のために、CQI/PMI対ACK/NACK及びRIについては、異なる考慮が必要とされる場合がある。例えば、CQI/PMIは、ACK/NACK又はRIとは異なるレイヤ又はCWに、あるいは、ACK/NACK又はRIとは異なる数のレイヤ又はCWに、マッピングされてもよい。
【0027】
ACK/NACK、RI、CQI/PMIなどの、LTE制御情報について、本明細書で述べられているが、キャリアインジケータなどの、の他の制御シグナリングが、LTE−Aにおいて、同様のやり方で処理されてもよい。
【0028】
単一コードワード上の制御情報
制御情報は、通信システムの適切な機能のために重要であるため、eNBによって正しく受信されることができるように、できるだけ保護される必要がある。更に、制御情報は比較的小さく、かつ、ブロック符号及び畳み込み符号などの比較的弱い符号によって保護されるため、制御情報を運ぶために、より良好な品質を有する物理チャネルが使用されなければならない。
【0029】
従って、複数のMIMOレイヤがある場合、以下の設計上の考慮を含むことができる。
−制御情報は、より良好な品質を有するレイヤにマッピングされなければならない。例えば、2つのコードワードが2つのレイヤにマッピングされる場合、レイヤ2がレイヤ1より良好であると仮定すると、制御情報はレイヤ2にマッピングされなければならず、レイヤ1はデータのみのために完全に残される。
−制御情報が同じコードワードに属するレイヤにマッピングされれば、受信器にとってより単純である可能性がある。
−制御情報がコードワードXと多重化される場合、制御情報はコードワードXの全てのレイヤにマッピングされなければならない。このようにすることによって、制御情報がレイヤ間のダイバーシティを利用することが可能になる。
−制御情報が複数のレイヤにマッピングされる場合、制御情報は複数のレイヤにわたって、同じリソースエレメントを占めなければならない。
【0030】
従って、図4a〜図4eに示すコードワード−レイヤマッピングシナリオにおいて、制御−データ多重化は、以下の通りである。以下に述べる図において、示されている制御信号の位置(例えば、図1図5図8)、各タイプの制御シグナリングに割り当てられるリソースエレメントの量は、説明のためのものにすぎない。LTEにおける場合と同様に、各タイプの制御シグナリングのための変調シンボルの数が、いくつかの変数の関数として計算される。次に、規則を使用して全ての変調シンボルが尽きるまで、リソースエレメントに変調シンボルを割り当てることができる。各レイヤ/スロットにおいて割り当てられる変調シンボルの数は、様々であってよい。
【0031】
1つのコードワードが1つのレイヤにマッピングされる:3GPP Release−8の設計を再利用(図1)。
【0032】
1つのコードワードが2つのレイヤにマッピングされる:図5は、単一のコードワードからの制御及びデータを含む、2つのMIMOレイヤの空間図500を示す。制御情報(ゾーン505及びゾーン506、並びにゾーン510〜513内に含まれる)は両方のレイヤ上に多重化されてよく、制御変調シンボルは両方のレイヤにおいて同じ(又はほぼ同じ)リソースエレメントを占める。図5に示すように、ゾーン510〜513などのゾーン上で搬送される情報は、データと時間分割多重化されてもよい。LTE Rel−8で規定されているように、ゾーン510〜513は、HARQ ACK/NACK情報、及びランクインジケータ(RI)を搬送するために使用されてもよい。
【0033】
2つのコードワードが2つのレイヤにマッピングされる:図6は、2つのコードワードからの制御及びデータを含む、2つのMIMOレイヤの空間図600を示す。前述の単一コードワード規則に従って、制御情報をレイヤにマッピングする(ゾーン605、並びにゾーン615及び616)。制御情報を搬送するレイヤを、仮にレイヤXと呼ぶ。レイヤX内での制御及びデータの多重化では、3GPP Release−8の設計が再利用される。制御情報は、Release−8で使用される、CQI、ACK/NACK、RIのみでなく、Release−10又はそれ以降で規定され得る任意の新たなタイプの制御情報(例えば、キャリアアグリゲーション及びCOMPのためのインジケータなど)も含む。ゾーン610は、制御及びデータを有するコードワードからのデータを運び、ゾーン611は、データのみを有するコードワードからのデータを搬送する。
【0034】
2つのコードワードが3つのレイヤにマッピングされる:図7は、2つのコードワードからの制御及びデータを含む、3つのMIMOレイヤの空間図700を示す。図7に示すように、第1のコードワード(仮にCW1と呼ぶ)は、1つのレイヤにマッピングされ、第2のコードワード(仮にCW2と呼ぶ)は、2つのレイヤにマッピングされる。明らかに、CW2は、制御情報が除外された場合、CW1の2倍の変調シンボルを含む。従って、制御情報がデータ変調シンボル内にパンクチャされる場合、コードワードからパンクチャされるデータ変調シンボルの数の観点から、制御シンボルをCW2と多重化するほうが、CW1と多重化するより良い可能性がある。ゾーン705、並びにゾーン720及び721は、制御及びデータを含むコードワードからの制御情報を含み、ゾーン710は、制御及びデータを含むコードワードからのデータを含み、ゾーン715は、データのみを含むコードワードからのデータを含む。
【0035】
2つのコードワードが4つのレイヤにマッピングされる:各コードワードは、2つのMIMOレイヤにマッピングされる。制御情報が存在する第1のコードワードが、仮にコードワードXで表されるとする。コードワードXは、前述の単一コードワード規則に従って選択される。コードワードX内では、2つのコードワードが3つのレイヤにマッピングされる場合のコードワードCW2と同様に、制御及びデータの多重化が実行されてもよい。
【0036】
全コードワード上の制御情報
制御情報が全コードワード内に含まれる状況においては、制御情報は常に、全てのMIMOレイヤにマッピングされてもよい。本明細書中で述べられる場合、全コードワードとは、2つ以上のコードワードが存在することを意味している。従って、1つのコードワードが1つ又は2つのレイヤにマッピングされる状況は考慮されなくてもよい。図8は、2つのコードワードからの制御及びデータを含む、2つのMIMOレイヤの空間図800を示す。図8に示すように、制御情報は両方のレイヤにマッピングされてもよいが、2つのコードワードのそれぞれからのデータは、単一のレイヤにマッピングされる。図8に示す、2つのコードワードからの制御及びデータの、2つのMIMOレイヤへのマッピングは、制御情報のための空間ダイバーシティの最大化、及び制御情報のより良好なカバレッジという利点を有する可能性がある。ゾーン805及び806、並びにゾーン815〜818は、両方のコードワードからの制御情報を搬送し、ゾーン810は、第1のコードワードからのデータを搬送し、ゾーン811は、第2のコードワードからのデータを搬送する。
【0037】
但し、制御シグナリングのリソース割り当ては、2つの伝送ブロックの別個の処理のため、困難な場合がある。例えば、2つの伝送ブロックは、異なる変調次数を有していることがあり、これにより、制御情報が、2つの異なる変調次数を使用することになる。SIC受信器が使用される場合、制御情報を全てのレイヤにマッピングすることは、キャンセルの実施を困難にさせる可能性がある。加えて、レイヤシフティングを伴うACK/NACK空間バンドリングが採用される場合、各レイヤが完全な、又はほぼ完全な空間ダイバーシティを使用可能となる場合があり、全コードワードのマッピングは更に魅力のないものとなる。
【0038】
3GPP Release−8では、HARQ−ACK又はランクインジケータ、及びチャネル品質情報のための、符号化されたシンボルの数を決定する式は、以下の通りである。
【数1】
及び
【数2】
【0039】
複数レイヤPUSCH伝送に拡張するには、これらの式も更新される必要がある。ACK/NACK、RI及びCQIが制御情報の例として使用されるが、他のタイプの制御情報(例えば、キャリアアグリゲーション及びCOMPのためのインジケータなど)を搬送するために、同様の式が使用されてもよいということに留意されたい。これらの式は、いかなる特定の制御情報タイプにも限定されるものと解釈されるべきではない。単一コードワードの場合のための式を、以下に示す。
−単一コードワードのためのACK/NACK:
【数3】
上式で、Nlayerは、CWを多重化するためのレイヤの数である。加えて、REをレイヤにわたってマッピングする次数が規定される必要がある。
−単一コードワードのためのCQI:
【数4】
加えて、リソースエレメントを、レイヤにわたってマッピングする次数が規定される必要がある。
全コードワードの場合のための式を、以下に示す。
−全コードワードのためのACK/NACK:
【数5】
上に示した最後のステップでは、2つのコードワードが同じオフセット値(β)を使用するものと仮定されている。MPR(n=1、2)は、コードワードnのMCSレベルに関連するスペクトル効率である。LTE Release−8の元の式では、単一コードワードのMPRが使用されるのに対して、この式を導き出すには、(各コードワードのレイヤの数によって)重み付けされた平均のMPRが、制御情報のための符号化されたシンボルの数を計算するために使用されてもよい。加えて、リソースエレメントを、レイヤ及びコードワードにわたってマッピングする次数が規定される必要がある。マッピングは、ダイバーシティ利得を達成するために、最初にコードワード/レイヤにわたって行われてもよい。2つのコードワードにおいて異なる変調レベルが使用される場合、ACK/NACK及びRIの符号化方式は修正される必要がある。
−全コードワードのためのCQI:
【数6】
加えて、リソースエレメントを、レイヤ及びコードワードにわたってマッピングする次数が規定される必要がある。マッピングは、ダイバーシティ利得を達成するために、最初にコードワード/レイヤにわたって行われてもよい。2つのコードワードにおいて異なる変調レベルが使用される場合、性能が確認される必要がある。
更に、PUSCH伝送の異なるレイヤ数に対して異なるオフセットβの値が設定される可能性がある全ての場合について、ランク依存オフセット値が考慮されてもよい。
【0040】
オプションの比較
表1において、単一コードワード及び全コードワードのマッピングオプションの長所及び短所が、様々な組み合わせを考慮して比較されている。この比較は、単一コードワードオプションが、全コードワードオプションより単純な解決法となる可能性があることを示している。
【表1】
【0041】
本発明の実施形態の有利な特徴は、複数のMIMOレイヤ上で制御シンボル及びデータシンボルを送信する方法を含んでもよく、この方法は、Ncw個のコードワードから、複数のMIMOレイヤからの第1の組のレイヤに関連付けられた、第1の組のコードワードを選択し、Ncw個のコードワードは同時に送信されるものであり、かつ、第1の組のコードワードはNcw1個のMIMOコードワードを含み、Ncw1は、1以上の整数であり、制御シンボルを第1の組のレイヤ上に分配し、第1の組のコードワードのデータシンボルを第1の組のレイヤ上に配置し、Ncw>Ncw1である場合、(Ncw−Ncw1)個の残りのコードワードのデータシンボルを残りのレイヤに配置し、複数のMIMOレイヤを送信することを含む。この方法は、第1の組のコードワードが、単一のコードワードからなることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、通信装置によって選択されることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、チャネル品質に基づいて選択されることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、コードワードと関連付けられた変調及び符号化方式(MCS)レベルに基づいて選択されることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、コードワードと関連付けられたレイヤの数に基づいて選択されることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、制御シンボルが各コードワードのデータ伝送の性能に対して有する影響のレベルに基づいて選択されることを更に含んでもよい。この方法は、前記影響が、各コードワードについての、制御シンボルの、データシンボルに対する比率であることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、コードワードと関連付けられたハイブリッド自動再送要求(HARQ)伝送ステータスに基づいて選択されることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、通信装置にサービスを提供しているコントローラによって選択されることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、下りリンクメッセージを介して、通信装置にシグナリングされることを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードが、Ncw個のコードワードを含むことを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードのMCSレベルに基づいて、制御シンボルを第1の組のレイヤ上に分配することを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードの重み付けされたMCSレベルに基づいて、制御シンボルを第1の組のレイヤ上に分配することを更に含んでもよい。この方法は、制御シンボルを第1の組のレイヤ上に分配することが、制御シンボルを第1の組のレイヤ上に実質的に均等に分配することを更に含んでもよい。この方法は、第1の組のコードワードを選択することが、2つの異なるタイプの制御シンボルに対して、2つの異なる第1の組のコードワードを選択することを更に含んでもよい。
【0042】
実施形態及びそれらの利点について詳細に説明したが、様々な変更、置換、及び代替が、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われてもよいということを理解されたい。更に、本出願の範囲は、本明細書中に記載されたプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。本発明の開示から当業者が容易に理解するであろうように、本明細書中に記載された対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行する、又は実質的に同じ結果を達成する、現存する、又は後に開発される、プロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又はステップが、本発明に従って利用されることが可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造物、組成物、手段、方法、又はステップをも含むことを意図するものである。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図5
図6
図7
図8