(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記製造機械は、加工機、ロボット、PLC、搬送機、計測器、試験装置、プレス機、圧入器、印刷機、ダイカストマシン、射出成型機、食品機械、包装機、溶接機、洗浄機、塗装機、組立装置、実装機、木工機械、シーリング装置又は切断機を含む、請求項1に記載のセルコントロールシステム。
前記出力部は、前記第4製造情報を前記通信装置を介して前記生産計画装置に送信することにより前記第4製造情報を出力する、請求項1〜5の何れか一項に記載のセルコントロールシステム。
請求項14〜17の何れか一項に記載のセルコントロールシステムを組み込んだ前記第1製造機械を含む複数の製造機械を有する製造セルを有することを特徴とする生産システム。
製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれ、前記製造セルの内の前記第1製造機械以外の第2製造機械と通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御方法であって、
前記製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、
前記第1製造情報に基づいて、前記第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報と、前記第2製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報とを生成し、
前記第3製造情報を前記通信装置を介して前記第2製造機械に送信し、
前記第2製造情報に基づいて前記第1製造機械を制御し、前記第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第4製造情報を生成し、
前記通信装置を介して前記第2製造機械から、前記第3製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第5製造情報を受信し、
前記第4製造情報及び前記第5製造情報に基づいて前記製造セル単位の第6製造情報を生成し、
前記第6製造情報を出力する、
ことを含むことを特徴とする制御方法。
製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれ、前記製造セルの内の前記第1製造機械以外の第2製造機械と通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御プログラムであって、
前記製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、
前記第1製造情報に基づいて、前記第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報と、前記第2製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報とを生成し、
前記第3製造情報を前記通信装置を介して前記第2製造機械に送信し、
前記第2製造情報に基づいて前記第1製造機械を制御し、前記第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第4製造情報を生成し、
前記通信装置を介して前記第2製造機械から、前記第3製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第5製造情報を受信し、
前記第4製造情報及び前記第5製造情報に基づいて前記製造セル単位の第6製造情報を生成し、
前記第6製造情報を出力する、
ことを前記セルコントロールシステムに実行させることを特徴とする制御プログラム。
製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれたセルコントロールシステムであって、前記製造セルの内の前記第1製造機械以外の第2製造機械に組み込まれた、前記セルコントロールシステム以外の第2セルコントロールシステムと通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御方法であって、
前記製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、
前記第1製造情報を前記通信装置を介して前記第2セルコントロールシステムに送信し、
前記第1製造情報に基づいて、前記第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報を生成し、
前記第2製造情報に基づいて前記第1製造機械を制御し、前記第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を生成し、
前記通信装置を介して前記第2セルコントロールシステムから、前記第1製造情報に基づいて生成された製造セル単位の情報に係る第4製造情報を受信し、
前記第3製造情報及び前記第4製造情報に基づいて前記製造セル単位の第5製造情報を生成し、
前記第5製造情報を出力する、
ことを含むことを特徴とする制御方法。
製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれたセルコントロールシステムであって、前記製造セルの内の前記第1製造機械以外の第2製造機械に組み込まれた、前記セルコントロールシステム以外の第2セルコントロールシステムと通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御プログラムであって、
前記製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、
前記第1製造情報を前記通信装置を介して前記第2セルコントロールシステムに送信し、
前記第1製造情報に基づいて、前記第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報を生成し、
前記第2製造情報に基づいて前記第1製造機械を制御し、前記第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を生成し、
前記通信装置を介して前記第2セルコントロールシステムから、前記第1製造情報に基づいて生成された製造セル単位の情報に係る第4製造情報を受信し、
前記第3製造情報及び前記第4製造情報に基づいて前記製造セル単位の第5製造情報を生成し、
前記第5製造情報を出力する、
ことを前記セルコントロールシステムに実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、市場ニーズの多様化、製品ライフサイクルの短期化、グローバル市場における競争の激化により、製品品種が増大するとともに、販売量の変動が増大している。そのため、市場の要求にダイナミックに連動して製品を製造できるように、変種変量生産に対応することが求められている。
【0007】
そこで、複数の製造機械を一つの製造セルとしてまとめて工程毎に製造セル単位で製造を行う、フレキシブルなセル生産方式が利用されている。フレキシブルなセル生産方式では、一つの製造セルで複数の品種を生産することが可能であり、生産量に合わせて製造セルの数を増減させることも可能であり、さらに、製造する品種の変化に合わせて製造セル内の構成を変更することも可能である。
【0008】
しかしながら、フレキシブルなセル生産方式では、製造セル内の製造機械の入れ替えと製造セルの追加及び削除が頻繁に行われるため、それに合わせて上位コンピュータの製造実行システムを変更し、製造計画を立案しなおす必要がある。また、フレキシブルなセル生産方式では、一つの製造セルで複数の品種が生産され、さらに、生産される品種は頻繁に変更されるため、製造現場の作業者は、そのための段取り替え作業を頻繁に行う必要がある。したがって、フレキシブルなセル生産方式では、効率良く且つ誤りなく製造セルを制御することが求められている。そのために、製造セルを効率良く且つ誤りなく制御するためのオペレータやプログラマの負担が増大している。例えば、複数の製造機械が複数の製品を製造している製造状態を示す制御のための製造セル単位の情報は、一般的に容量が非常に大きくなってしまう。そのために、製造状態の特徴を示すのにどのような情報が適当であるか、さらには情報量を圧縮するためにどのような処理を行うことが望ましいかを決定すること自体が難しくなっている。
【0009】
さらに、フレキシブルなセル生産方式では、同じ製品が複数の製造セルで製造されたり、使用される製造機械が頻繁に入れ替えられるため、各製造機械の操業情報、製造実績を個別に分析するのでは、品質管理、工程管理を適切に実行することが困難になっている。例えば、製造セルを効率良く制御する方法を決めても、製品の種類、仕様、製造数、納期等が想定以上に変化すれば決定した制御方法が効率的であるとは言えない。そのたびに制御方法を変更するのではオペレータやプログラマの負担は増大する一方である。
【0010】
したがって本発明の目的は、複数の製造機械を有する製造セルを効率良く且つ誤りなく制御することができるセルコントロールシステム、生産システム、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【0011】
また、本発明の別の目的は、複数の製造機械を有する製造セルを利用する場合に、品質管理及び工程管理を適切に実行することができるセルコントロールシステム、生産システム、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、セルコントロールシステムは、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルと通信する通信装置と、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得する取得部と、第1製造情報に基づいて複数の製造機械毎の複数の第2製造情報を生成する第1生成部と、複数の第2製造情報のそれぞれを通信装置を介して複数の製造機械のそれぞれに送信する送信部と、通信装置を介して複数の製造機械のそれぞれから、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を受信する受信部と、複数の製造機械からの複数の第3製造情報に基づいて製造セル単位の第4製造情報を生成する第2生成部と、第4製造情報を出力する出力部と、を有する。
【0013】
製造機械は、加工機、ロボット、PLC、搬送機、計測器、試験装置、プレス機、圧入器、印刷機、ダイカストマシン、射出成型機、食品機械、包装機、溶接機、洗浄機、塗装機、組立装置、実装機、木工機械、シーリング装置又は切断機を含むようにしてもよい。
【0014】
第1製造情報は、製造セル単位の製品の製造計画を示す製造計画情報であり、第2製造情報は、製造機械単位の製品の製造指示を示す製造指示情報であるようにしてもよい。
【0015】
第3製造情報は、製造機械単位の製品の製造実績を示す製造実績情報であり、第4製造情報は、製造セル単位の製品の製造実績を示す製造実績情報であるようにしてもよい。
【0016】
セルコントロールシステムは、一又は複数のセルコントロール装置で構成されるようにしてもよい。
【0017】
通信装置は、さらに、製品の製造を計画する生産計画装置と通信し、取得部は、通信装置を介して生産計画装置から第1製造情報を受信することにより第1製造情報を取得し、出力部は、第4製造情報を通信装置を介して生産計画装置に送信することにより第4製造情報を出力するようにしてもよい。
【0018】
通信装置は、セルコントロールシステムと異なる第2セルコントロールシステムとさらに通信し、取得部は、生産計画装置から、第2セルコントロールシステムと通信する第2製造セルに対応する、製品の製造に係る製造セル単位の第5製造情報をさらに受信し、送信部は、第5製造情報を通信装置を介して第2セルコントロールシステムにさらに送信し、受信部は、通信装置を介して第2セルコントロールシステムから、第5製造情報に基づいて生成された、第2製造セルによる製造セル単位の第6製造情報をさらに受信し、出力部は、第6製造情報を生産計画装置にさらに送信するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明によれば、生産システムは、上記のセルコントロールシステムと、製造セルと、を有する。
【0020】
また、本発明によれば、生産システムは、上記のセルコントロールシステムと、製造セルと、第2セルコントロールシステムと、第2製造セルと、を有し、第2セルコントロールシステムは、第2製造セル及びセルコントロールシステムと通信する第2通信装置と、第2通信装置を介してセルコントロールシステムから第5製造情報を受信する第2取得部と、第5製造情報に基づいて第2製造セルが有する複数の製造機械毎の複数の第7製造情報を生成する第3生成部と、複数の第7製造情報のそれぞれを第2通信装置を介して第2製造セルが有する複数の製造機械のそれぞれに送信する第2送信部と、
第2通信装置を介して第2製造セルが有する複数の製造機械のそれぞれから、第7製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第8製造情報を受信する第2受信部と、第2製造セルが有する複数の製造機械からの複数の第8製造情報に基づいて第6製造情報を生成する第4生成部と、第
6製造情報をセルコントロールシステムに送信する第2出力部と、を有する。
【0021】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれたセルコントロールシステムは、製造セルの内の第1製造機械以外の第2製造機械と通信する通信装置と、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得する取得部と、第1製造情報に基づいて、第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報と、第2製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報とを生成する第1生成部と、第3製造情報を通信装置を介して第2製造機械に送信する送信部と、第2製造情報に基づいて第1製造機械を制御し、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第4製造情報を生成する機械制御部と、通信装置を介して第2製造機械から、第3製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第5製造情報を受信する受信部と、第4製造情報及び第5製造情報に基づいて製造セル単位の第6製造情報を生成する第2生成部と、第6製造情報を出力する出力部と、を有する。
【0022】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれたセルコントロールシステムは、製造セルの内の第1製造機械以外の第2製造機械に組み込まれた、セルコントロールシステム以外の第2セルコントロールシステムと通信する通信装置と、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得する取得部と、第1製造情報を通信装置を介して第2セルコントロールシステムに送信する送信部と、第1製造情報に基づいて、第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報を生成する第1生成部と、第2製造情報に基づいて第1製造機械を制御し、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を生成する機械制御部と、通信装置を介して第2セルコントロールシステムから、第1製造情報に基づいて生成された製造セル単位の情報に係る第4製造情報を受信する受信部と、第3製造情報及び第4製造情報に基づいて製造セル単位の第5製造情報を生成する第2生成部と、第5製造情報を出力する出力部と、を有する。
【0023】
通信装置は、製品の製造を計画する生産計画装置とさらに通信し、取得部は、通信装置を介して生産計画装置から第1製造情報を受信することにより第1製造情報を取得し、出力部は、第5製造情報を通信装置を介して生産計画装置に送信することにより第5製造情報を出力するようにしてもよい。
【0024】
セルコントロールシステムは、一又は複数のセルコントロール装置で構成されるようにしてもよい。
【0025】
また、本発明によれば、生産システムは、上記のセルコントロールシステムを組み込んだ第1製造機械を含む複数の製造機械を有する製造セルを有する。
【0026】
また、本発明によれば、生産システムは、上記のセルコントロールシステムを組み込んだ第1製造機械を含む複数の製造機械を有する製造セルを有し、第2セルコントロールシステムは、セルコントロールシステムと通信する第2通信装置と、第2通信装置を介してセルコントロールシステムから第1製造情報を受信する第2取得部と、第1製造情報に基づいて、第2製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第6製造情報を生成する第3生成部と、第6製造情報に基づいて第2製造機械を制御し、第2製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第7製造情報を生成する第2機械制御部と、第7製造情報に基づいて第4製造情報を生成する第4生成部と、第4製造情報を第2通信装置を介してセルコントロールシステムに送信する第2出力部と、を有する。
【0027】
製造セルと異なり且つ複数の製造機械を有する第2製造セルをさらに有し、第2製造セルの内の第3製造機械には、セルコントロールシステム及び第2セルコントロールシステムと異なる第3セルコントロールシステムが組み込まれ、
第3セルコントロールシステムは、第2製造セル、及び、セルコントロールシステム又は第2セルコントロールシステムと通信する第3通信装置と、第3通信装置を介してセルコントロールシステム又は第2セルコントロールシステムから、第2製造セルに対応する、製品の製造に係る製造セル単位の第8製造情報を受信する第3取得部と、第8製造情報に基づいて、第3製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第9製造情報を生成する第5生成部と、第9製造情報に基づいて第3製造機械を制御し、第3製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第10製造情報を生成する第
3機械制御部と、第10製造情報に基づいて第2製造セルによる製造セル単位の第11製造情報を生成する第6生成部と、第11製造情報を第3通信装置を介してセルコントロールシステム又は第2セルコントロールシステムに送信する第3出力部と、を有するようにしてもよい。
【0028】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルと通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御方法は、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、第1製造情報に基づいて複数の製造機械毎の複数の第2製造情報を生成し、複数の第2製造情報のそれぞれを通信装置を介して複数の製造機械のそれぞれに送信し、通信装置を介して複数の製造機械のそれぞれから、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を受信し、複数の製造機械からの複数の第3製造情報に基づいて製造セル単位の第4製造情報を生成し、第4製造情報を出力する、ことを含む。
【0029】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルと通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御プログラムは、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、第1製造情報に基づいて複数の製造機械毎の複数の第2製造情報を生成し、複数の第2製造情報のそれぞれを通信装置を介して複数の製造機械のそれぞれに送信し、通信装置を介して複数の製造機械のそれぞれから、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を受信し、複数の製造機械からの複数の第3製造情報に基づいて製造セル単位の第4製造情報を生成し、第4製造情報を出力する、ことをセルコントロールシステムに実行させる。
【0030】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれ、製造セルの内の第1製造機械以外の第2製造機械と通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御方法は、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、第1製造情報に基づいて、第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報と、第
2製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報とを生成し、第3製造情報を通信装置を介して第2製造機械に送信し、第2製造情報に基づいて第1製造機械を制御し、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第4製造情報を生成し、通信装置を介して第2製造機械から、第3製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第5製造情報を受信し、第4製造情報及び第5製造情報に基づいて製造セル単位の第6製造情報を生成し、第6製造情報を出力する、ことを含む。
【0031】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれ、製造セルの内の第1製造機械以外の第2製造機械と通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御プログラムは、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、第1製造情報に基づいて、第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報と、第
2製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報とを生成し、第3製造情報を通信装置を介して第2製造機械に送信し、第2製造情報に基づいて第1製造機械を制御し、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第4製造情報を生成し、通信装置を介して第2製造機械から、第3製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第5製造情報を受信し、第4製造情報及び第5製造情報に基づいて製造セル単位の第6製造情報を生成し、第6製造情報を出力する、ことをセルコントロールシステムに実行させる。
【0032】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれたセルコントロールシステムであって、製造セルの内の第1製造機械以外の第2製造機械に組み込まれた、セルコントロールシステム以外の第2セルコントロールシステムと通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御方法は、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、第1製造情報を通信装置を介して第2セルコントロールシステムに送信し、第1製造情報に基づいて、第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報を生成し、第2製造情報に基づいて第1製造機械を制御し、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を生成し、通信装置を介して第2セルコントロールシステムから、第1製造情報に基づいて生成された製造セル単位の情報に係る第4製造情報を受信し、第3製造情報及び第4製造情報に基づいて製造セル単位の第5製造情報を生成し、第5製造情報を出力する、ことを含む。
【0033】
また、本発明によれば、製品を製造するための複数の製造機械を有する製造セルの内の第1製造機械に組み込まれたセルコントロールシステムであって、製造セルの内の第1製造機械以外の第2製造機械に組み込まれた、セルコントロールシステム以外の第2セルコントロールシステムと通信する通信装置を有するセルコントロールシステムの制御プログラムは、製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報を取得し、第1製造情報を通信装置を介して第2セルコントロールシステムに送信し、第1製造情報に基づいて、第1製造機械に対応する製造機械毎の情報に係る第2製造情報を生成し、第2製造情報に基づいて第1製造機械を制御し、第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報を生成し、通信装置を介して第2セルコントロールシステムから、第1製造情報に基づいて生成された製造セル単位の情報に係る第4製造情報を受信し、第3製造情報及び第4製造情報に基づいて製造セル単位の第5製造情報を生成し、第5製造情報を出力する、ことをセルコントロールシステムに実行させる。
【0034】
さらに、上記のセルコントロールシステムの第1生成部および第2生成部が、学習器を有するようにしてもよい。学習器は、生産計画装置からの製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報に基づいて製造セルの複数の製造機械毎の第2製造情報を生成し、および/または複数の製造機械のそれぞれからの第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報に基づいて製造セル単位の第4製造情報を生成する。第1乃至第4製造情報は、すべてを利用しても一部を利用してもよく、入力として利用する情報をさらに拡張してもよい。例えば、第1生成部に設ける第1学習器は、第1製造情報を入力として第2製造情報を生成し、さらに第3製造情報の一部を入力として利用してもよい。また、第2生成部に設ける第2学習器は、第3製造情報を入力として第4製造情報を生成し、さらに第1製造情報の一部を入力として利用してもよい。第1学習器と第2学習器は、一方のみを設けても両方設けてもよい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、セルコントロールシステムの外部の装置は、個々の製造機械について認識することなく、製造セル単位の製造情報のみを扱って、製造に係る管理を行うことができる。したがって、セルコントロールシステムは、製造セルを効率良く且つ誤りなく制御することができるとともに、品質管理及び工程管理を適切に実行することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による生産システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0038】
生産システム1は、生産計画装置10と、複数のセルコントロールシステム20、21と、複数の製造セル30、31とを有する。例えば、生産計画装置10は、企業の拠点等に配置され、各セルコントロールシステム20、21及び各製造セル30、31は、製品を製造する工場等に配置される。
【0039】
生産システム1では、生産計画装置10とセルコントロールシステム20は、例えばインターネット等のネットワークを介して接続される。また、セルコントロールシステム20とセルコントロールシステム21、セルコントロールシステム20と製造セル30、及び、セルコントロールシステム21と製造セル31は、それぞれ、例えばイントラネット等のネットワークを介して接続される。
【0040】
生産計画装置10は、製品の製造を計画する装置であり、例えばサーバ又はパーソナルコンピュータ等である。生産計画装置10は、企業資源管理機能及び供給連鎖管理機能を有し、企業全体の経営資源を記憶するとともに、製品の製造から販売までの各工程における情報を記憶する。また、生産計画装置10は、各製造場所(工場)に配置された製造セルの名称(製造セル名)、各セルが製造可能な製品の名前(製品名)、各セルが単位時間(例えば1日)あたりにその製品を製造できる製造可能数等を記憶する。生産計画装置10は、記憶した経営資源と、各工程における情報と、製造セルに関する情報とに基づいて、生産計画を作成する。生産計画には、製造する製品毎に、使用する製造セルの製造セル名、製品名、個数、納期、製造場所(工場)等の情報が含まれる。
【0041】
製造セル30、31は、製品を製造するための製造機械をフレキシブルに組み合わせた集合であり、それぞれ、複数の製造機械300〜302、310〜312を有する。製造機械は、加工機、ロボット、PLC(Programmable Logic Controller)、搬送機、計測器、試験装置、プレス機、圧入器、印刷機、ダイカストマシン、射出成型機、食品機械、包装機、溶接機、洗浄機、塗装機、組立装置、実装機、木工機械、シーリング装置又は切断機等を含む。なお、製造セルには、製造機械が一つだけ含まれていてもよい。
【0042】
図2は、セルコントロールシステム20の概略構成の一例を示す図である。なお、セルコントロールシステム20、21の構成は同様であるため、以下では代表してセルコントロールシステム20について説明し、セルコントロールシステム20とセルコントロールシステム21の差異については後述する。
【0043】
セルコントロールシステム20は、製造セルを制御するセルコントロール装置200を有する。セルコントロール装置200は、例えばサーバ又はパーソナルコンピュータ等である。セルコントロール装置200は、通信装置201、記憶装置202及び制御装置203等を有する。
【0044】
通信装置201は、複数の通信装置201A、201Bを有する。
【0045】
通信装置201Aは、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インターフェース回路を有し、インターネット等の通信ネットワークを介して、生産計画装置10等と通信する。通信装置201Aは、生産計画装置10等から受信したデータを制御装置203に送り、制御装置203から受けたデータを生産計画装置10等に送信する。
【0046】
通信装置201Bは、イーサネット(登録商標)などの有線の通信インターフェース回路を有し、イントラネット等の通信ネットワークを介して、製造セル30(各製造機械300〜302)、セルコントロールシステム21等と通信する。通信装置201Bは、製造セル30、セルコントロールシステム21等から受信したデータを制御装置203に送り、制御装置203から受けたデータを製造セル30、セルコントロールシステム21等に送信する。なお、通信装置201Bが扱うデータは、通信装置201Aが扱うデータより大容量であるため、通信装置201Bが接続する通信ネットワークは、通信装置201Aが接続する通信ネットワークより高速であることが好ましい。
【0047】
なお、通信装置201A、201Bは、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインターフェース回路を有し、各装置と電気的に接続して通信してもよい。または、通信装置201A、201Bは、主に2.4GHz帯、5GHz帯等を感受帯域とするアンテナを含む通信インターフェース回路を有し、各装置とIEEE802.11又はIEEE802.11u規格等の無線通信方式に基づいて無線通信を行ってもよい。
【0048】
また、通信装置201A及び通信装置201Bは、一つの通信装置により実現されてもよい。また、通信装置201は、さらに他の通信装置を有し、セルコントロール装置200は、通信装置201Bではなく、他の通信装置を介してセルコントロールシステム21と通信してもよい。または、セルコントロール装置200は、通信装置201Bではなく、通信装置201Aを介してセルコントロールシステム21と通信してもよい。
【0049】
記憶装置202は、例えば、磁気テープ装置、磁気ディスク装置又は光ディスク装置のうちの少なくとも一つを備える。記憶装置202は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置202には、セルコントロール装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置202にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD−ROM(compact disk read only memory)、DVD−ROM(digital versatile disk read only memory)等である。
【0050】
また、記憶装置202は、データとして、
図3(a)に示す製造セルテーブル、
図3(b)に示す状態テーブル、
図3(c)に示す製造機械テーブル、
図4に示す製造管理情報テーブル等を記憶する。さらに、記憶装置202は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0051】
図3(a)は、製造セルを管理する製造セルテーブルを示す。製造セルテーブルには、各製造セルについて、各製造セルの識別番号(セルID)、名称(セル名)、構成する各製造機械の識別情報(製造機械ID)又は名称(製造機械名)等の情報が関連付けて記憶される。セル名及び製造機械名は、予め定められるが、任意のタイミングで変更されてもよい。
【0052】
図3(b)は、各製造機械の状態を管理する状態テーブルを示す。状態テーブルには、各製造機械について、各製造機械の製造機械ID、製造機械名、現在の状態等の情報が関連付けて記憶される。各製造機械の現在の状態には、稼働中、稼働完了、一時停止中、待機中、アラーム中、保守中、電源OFF中等が含まれる。稼働中は製造機械が稼働していることを示し、稼働完了は製造機械の稼働が完了したことを示し、一時停止中は製造機械の稼働が一時的に停止していることを示し、待機中は製造機械が稼働していないことを示す。また、アラーム中は製造機械が異常であることを示し、保守中は製造機械が保守されていることを示し、電源OFF中は製造機械の電源がOFFであることを示す。
【0053】
図3(c)は、製造機械を管理する製造機械テーブルを示す。製造機械テーブルには、製造機械と製品の各組合せについて、製造機械ID、製造機械名、製品名、プログラムデータ、パラメータデータ等の情報が関連付けて記憶される。
【0054】
製造機械ID及び製造機械名は、その製造機械の製造機械ID及び製造機械名であり、製品名は、製造される製品の製品名である。プログラムデータは、その製造機械でその製品を製造するために必要となる、その製造機械にインストールされるプログラムである。パラメータデータは、その製造機械でその製品を製造するために必要となる、その製造機械に設定されるパラメータである。
【0055】
図4は、製造管理情報を管理する製造管理情報テーブルを示す。製造管理情報は、各セルの製造に係る状態を管理するための情報である。製造管理情報テーブルには、各製造管理情報について、管理番号、セルID又はセル名、製品名、製造機械ID又は製造機械名、プログラムデータ、パラメータデータ、状態、平均電流値、総加工時間、平均周囲温度、製品寸法等の情報が関連付けて記憶される。
【0056】
セルID又はセル名は、当該セルのセルID又はセル名である。製品名は、当該セルにより製造される製品の製品名である。製造機械ID又は製造機械名は、当該セルが有する各製造機械の製造機械ID又は製造機械名である。プログラムデータは、各製造機械にインストールされるプログラムである。パラメータデータは、各製造機械に設定されるパラメータである。状態は、当該セルの製造に係る状態を示し、例えば開始、完了、待機等を含む。平均電流値は、製造時に各製造機械に流れた電流値の平均値である。総加工時間は、製造に要した総時間である。平均周囲温度は、製造時の周囲温度の平均値である。製品寸法は、製造された製品の寸法である。平均電流値、総加工時間、平均周囲温度及び製品寸法は、製造が完了したときに書き込まれる。また、平均電流値、総加工時間及び平均周囲温度は、良好であるか不良であるかを示す結果情報と関連付けて記憶される。
【0057】
図2に戻って、制御装置203は、一又は複数個のプロセッサ及びその周辺回路を有する。制御装置203は、CPU(Central Processing Unit)、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等である。制御装置203は、通信装置201及び記憶装置202と接続され、これらの各装置を制御する。制御装置203は、通信装置201の通信制御、記憶装置202の制御等を行う。
【0058】
制御装置203は、取得部204、第1生成部205、監視部206、送信部207、受信部208、解析部209、第2生成部210及び出力部211等を有する。これらの各部は、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。なお、これらの各部はそれぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0059】
図5は、セルコントロールシステム20による製造セル制御処理の動作を示すフローチャートである。以下、
図5に示したフローチャートを参照しつつ、製造セル制御処理の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置202に記憶されているプログラムに基づき主に制御装置203によりセルコントロールシステム20の各要素と協働して実行される。
【0060】
最初に、取得部204は、生産計画装置10から製造計画情報を受信するまで待機する(ステップS101)。製造計画情報は、生産計画装置10により立案された、製品の製造計画を示す情報であり、第1製造情報の一例である。第1製造情報は、製品の製造に係る情報であり、製造計画情報及び第1製造情報は、製造セル単位の情報である。取得部204は、通信装置201Aを介して生産計画装置10から製造計画情報を受信することにより製造計画情報を取得する。
【0061】
図6(a)は、製造計画情報のデータフォーマットの一例を示す。
図6(a)に示すように、製造計画情報には、セル名、製品名、工程番号、次工程のセル名、個数、納期及び優先度等が含まれる。セル名は、制御対象のセル名である。製品名は、製造される製品の製品名である。工程番号は、その製品を製造するための工程の番号であり、そのセルによる製造が最初に実行される場合は工程番号として1が設定され、そのセルによる製造が2番目(工程番号1の工程の次)に実行される場合は工程番号として2が設定される。次工程のセル名は、そのセルによる製造工程の次に製造が実行されるセルのセル名である。個数は、製造される製品の個数である。納期は、その製品の納期である。優先度は、その製品の製造に対する優先度であり、通常又は緊急等が設定される。
【0062】
次に、取得部204は、製造計画情報を受信すると、受信した製造計画情報が、自装置が通信する製造セルに対するものであるか否かを判定する(ステップS102)。取得部204は、製造計画情報に含まれるセル名が、自装置が通信する製造セルのセル名であるか否かを判定することにより、製造計画情報が、自装置が通信する製造セルに対するものであるか否かを判定する。
【0063】
製造計画情報が、自装置が通信する製造セルに対するものである場合、第1生成部205は、製造計画情報に基づいて、製造セル30が有する複数の製造機械300〜302毎の複数の製造指示情報を生成する(ステップS103)。製造指示情報は、製造セルに含まれる各製造機械に対する製品の製造指示を示す情報であり、第2製造情報の一例である。製造指示情報は、例えば、NC(Numerical Control)、ロボットコントローラ、PLC等の動作プログラムの準備指示、治具、ロボットハンド等の準備指示、製造される製品固有のパラメータ等である。第2製造情報は、製品の製造に係る情報であり、製造
指示情報及び第2製造情報は、製造
機械単位の情報である。
【0064】
図6(b)は、製造指示情報のデータフォーマットの一例を示す。
図6(b)に示すように、製造指示情報には、製造機械名、製品名、プログラムデータ、パラメータデータ等が含まれる。製造機械名は、制御対象の製造機械名である。製品名は、製造される製品の製品名である。プログラムデータは、その製造機械にインストールされるプログラムである。パラメータデータは、その製造機械に設定されるパラメータである。
【0065】
第1生成部205は、
図3(a)に示した製造セルテーブルを読み出し、製造計画情報に含まれるセル名の各セルが有する各製造機械を抽出する。さらに、第1生成部205は、
図3(b)に示した状態テーブルを読み出し、抽出した各製造機械の現在の状態を特定する。なお、監視部206は、定期的に、通信装置201
Bを介して各製造機械から、各製造機械の状態を受信し、状態テーブルの各製造機械の現在の状態を、受信した状態に更新している。第1生成部205は、状態テーブルから各製造機械の現在の状態を特定するのではなく、監視部206に各製造機械の状態をリアルタイムに取得させてもよい。その場合、第1生成部205は、各製造機械の状態をより精度良く特定することができる。
【0066】
第1生成部205は、製造計画情報に含まれる個数分の製品毎に、各製品の製造に使用する製造機械を決定する。また、第1生成部205は、各製造機械の現在の状態に従って、製品の製造に使用する製造機械を決定する。なお、使用可能な製造機械が複数存在する場合、第1生成部205は、製造に係る速度が最も早い製造機械、又は、過去に製造した製品の不良率が最も低い製造機械を優先的に選択してもよい。その場合、セルコントロール装置200は、各製造機械毎に、製造に係る速度、過去に製造した製品の不良率等を予め記憶装置202に記憶しておく。
【0067】
第1生成部205は、
図3(c)に示した製造機械テーブルを読み出し、決定した製造機械毎に、製造計画情報に含まれる製品名の製品を製造するために、インストールするプログラム及び設定するパラメータを決定する。そして、第1生成部205は、決定した各情報に基づいて、各製造機械に対する製造指示情報を生成する。
【0068】
また、第1生成部205は、
図4に示した製造管理情報テーブルに、製造する個数分の項目を新たに追加する。第1生成部205は、製造する個数分の管理番号を生成し、各管理番号と、製造計画情報に含まれるセル名及び製品名と、決定した製造機械の製造機械名、プログラムデータ及びパラメータデータとを関連付けて製造管理情報テーブルに記憶する。
【0069】
次に、送信部207は、生成された各製造指示情報を通信装置201Bを介して、製造セル30に含まれる各製造機械300〜302に送信する(ステップS104)。なお、ステップS104〜S108の処理は、製造する個数分の製品毎に実行される。但し、複数の製造セル(製造機械)を使用する場合、ステップS104〜S108の処理は、製造セル毎に並行して実行することができる。また、第2工程以降の工程は、直前の工程が完了してから実行される。各製造機械300〜302は、受信した製造指示情報に基づいて、各種の設定を行い、製品の製造を実行する。
【0070】
次に、受信部208は、通信装置201Bを介して、製造セル30に含まれる各製造機械300〜302から製造実績情報を受信するまで待機する(ステップS105)。製造実績情報は、各製造機械に送信された製造指示情報に対応し、品質管理、工程管理等を行うために用いられる、各製造機械毎の製品の製造実績を示す情報であり、第3製造情報の一例である。第3製造情報は、製品の製造に係る情報であり、製造実績情報及び第3製造情報は、製造機械単位の情報である。
【0071】
図6(c)は、製造実績情報のデータフォーマットの一例を示す。
図6(c)に示すように、製造実績情報には、製造機械名、製品名、電流値、加工時間、周囲温度、製品寸法等が含まれる。電流値は、その製造機械に流れている電流値である。加工時間は、その製造機械による製造に要している時間である。周囲温度は、その製造機械の周囲温度である。製品寸法は、製造された製品の寸法である。なお、製造実績情報には、さらに、搬送時間、加工ツールに関する情報等が含まれてもよい。電流値や周囲温度は、加工開始から加工完了までの一定時間間隔における平均・最大、最小の電流値や周囲温度の時系列のデータである。製品寸法は、加工完了後の製品の複数個所における製品誤差のデータである。また加工時間は、加工の各工程毎や、加工プログラムの各行毎にかかった時間を記録したものである。
【0072】
受信部208が製造実績情報を受信すると、解析部209は、受信した製造実績情報に基づいて、製造状況を解析する(ステップS106)。解析部209は、電流値の変化、加工時間の推移、周囲温度の変化、製品寸法等を確認し、製造に問題が発生しているか否かを判定する。解析部209は、各製造機械の種類等の個別情報に基づいた知見により製造状況を解析する。解析部209は、製造機械毎に製造中に発生する膨大なデータに基づいて製造状況を解析するため、精度良く解析することができる。
【0073】
次に、解析部209は、製造セルによる製品の製造が完了したか否かを判定する(ステップS107)。解析部209は、
図3(b)に示した状態テーブルを読み出し、製造セルが有する各製造機械の現在の状態が完了になっているか否かにより、製造セルによる製品の製造が完了したか否かを判定する。なお、解析部209は、状態テーブルから各製造機械の現在の状態を特定するのではなく、監視部206に各製造機械の状態をリアルタイムに取得させてもよい。その場合、解析部209は、製品の製造が完了したことをより早く検出することができる。製品の製造が完了していない場合、解析部209は、処理をステップS105に戻し、ステップS105〜S107の処理を繰り返す。
【0074】
一方、製品の製造が完了した場合、第2生成部210は、受信部208が受信した各製造実績情報に含まれる電流値の平均値、加工時間の総和、周囲温度の平均値及び製品寸法等を算出し、対応する管理番号と関連付けて製造管理情報テーブルに記憶する。
【0075】
次に、第2生成部210は、製造計画情報に含まれる個数分の製品の製造が完了したか否かを判定する(ステップS108)。製造計画情報に含まれる個数分の製品の製造が完了していない場合、第2生成部210は、処理をステップS104に戻し、ステップS104〜S108の処理を繰り返す。
【0076】
一方、製造計画情報に含まれる個数分の製品の製造が完了した場合、第2生成部210は、複数の製造機械300〜302からの複数の製造実績情報に基づいて総合製造実績情報を生成する(ステップS109)。総合製造実績情報は、製造セル全体としての製品の製造実績を示す情報であり、第4製造情報の一例である。総合製造実績情報には、製造管理情報テーブルに含まれる、製造した個数分の製品毎のセル名、製品名、平均電流値、総加工時間、平均周囲温度及び製品寸法等が含まれる。第4製造情報は、製品の製造に係る情報であり、
総合製造実績情報及び第4製造情報は、製造セル単位の情報である。
【0077】
次に、出力部211は、総合製造実績情報を生産計画装置10に送信し(ステップS110)、一連のステップを終了する。出力部211は、総合製造実績情報を通信装置201Aを介して生産計画装置10に送信することにより、総合製造実績情報を出力する。
【0078】
一方、ステップS102において、製造計画情報が、自装置が通信する製造セルに対するものでなかった場合、送信部207は、製造計画情報を通信装置201Bを介してセルコントロールシステム21に送信する(ステップS111)。この場合、取得部204は、生産計画装置10から、セルコントロールシステム21と通信する製造セル31に対応する製造計画情報を受信している。この製造計画情報は、第5製造情報の一例である。
【0079】
次に、受信部208は、通信装置201Bを介してセルコントロールシステム21から総合製造実績情報を受信するまで待機する(ステップS112)。この総合製造実績情報は、セルコントロールシステム21に送信された製造計画情報に基づいて生成される情報であり、第6製造情報の一例である。
【0080】
次に、受信部208が総合製造実績情報を受信すると、出力部211は、総合製造実績情報を生産計画装置10に送信し(ステップS113)、一連のステップを終了する。出力部211は、総合製造実績情報を通信装置201Aを介して生産計画装置10に送信することにより、総合製造実績情報を出力する。
【0081】
なお、セルコントロールシステム21も、セルコントロールシステム20と同様に、図
5に示したフローチャートに従って動作する。但し、セルコントロールシステム21の通信装置は、製造セル31及びセルコントロールシステム20と通信する。
【0082】
また、ステップS101において、セルコントロールシステム21の取得部は、通信装置を介してセルコントロールシステム20から製造計画情報を受信する。ステップS10
3において、セルコントロールシステム21の第1生成部は、製造セル31が有する複数の製造機械310〜312毎の複数の製造指示情報を生成する。この製造指示情報は、第7製造情報の一例である。ステップS104において、セルコントロールシステム21の送信部は、各製造指示情報を製造セル31が有する各製造機械310〜312に送信する。ステップS105において、セルコントロールシステム21の受信部は、製造セル31が有する各製造機械310〜312から製造実績情報を受信する。この製造実績情報は、第8製造情報の一例である。ステップS109において、セルコントロールシステム21の第2生成部は、各製造機械310〜312からの各製造実績情報に基づいて総合製造実績情報を生成する。ステップS110において、セルコントロールシステム21の出力部は、総合製造実績情報を、製造計画情報の送信元であるセルコントロールシステム20に送信する。
【0083】
以下、
図3(a)〜(c)及び
図4に示した各テーブルを参照しながら、セルコントロールシステム20による製造セル制御処理の一例について説明する。
【0084】
例えば、
図3(a)に示すように、セルAが、加工機C1とロボットR1の組合せ、加工機C3とロボットR2の組合せ、又は、加工機C3とロボットR3の組合せで構成されることが可能であるものとする。さらに、セルBが、加工機C2とロボットR2の組合せで構成されることが可能であり、セルCが、加工機C1とロボットR2の組合せで構成されることが可能であるものとする。この場合、例えば、加工機C1は、セルA及びセルCの何れか一方に含ませることが可能であり、ロボットR2は、セルA、セルB及びセルCの何れか一つに含ませることが可能である。
【0085】
この場合に、セルAで製品aを5個製造することを指示する製造計画情報と、セルBで製品bを5個製造することを指示する製造計画情報が送信されたものとする。さらに、
図3(b)に示すように、加工機C1、C3、ロボットR1、R2の現在の状態が待機中であり、加工機C2の現在の状態が稼働中であり、ロボットR3の現在の状態が保守中であるものとする。セルAで製品aを製造するためには、加工機C1又はC3と、ロボットR1、R2又はR3が必要であり、セルBで製品bを製造するためには、加工機C2とロボットR2が必要である。しかしながら、加工機C2が稼働中であるため、セルBにより製品bを製造することはできない。また、ロボットR3が保守中であるため、セルAにロボットR3を含ませることはできない。
【0086】
すなわち、加工機C1とロボットR1の組合せで構成するセルAと、加工機C3とロボットR2の組合せで構成するセルAのみが現在使用可能である。そこで、
図4に示すように、加工機C1とロボットR1の組合せに係るセルAで製品aを2個製造し(管理番号1、2)、加工機C3とロボットR2の組合せに係るセルAで製品aを3個製造するように(管理番号3〜5)、製造管理情報テーブルが生成される。なお、各セルAに製造させる製品aの個数は、各セルAの製造に係る速度、過去に製造した製品の不良率等に基づいて決定されてもよい。
【0087】
また、
図3(c)の製造機械テーブルに従って、製品aを製造する加工機C1にはプログラムP1とパラメータD1が指定され、ロボットR1にはプログラムP5とパラメータD5が指定されるように、各製造指示情報が生成される。同様に、製品aを製造する加工機C3にはプログラムP4とパラメータD4が指定され、ロボットR2にはプログラムP6とパラメータD6が指定されるように、各製造指示情報が生成される。
【0088】
また、加工機C1とロボットR1の組合せに係るセルA(管理番号1)と、加工機C3とロボットR2の組合せに係るセルA(管理番号3)は、並行して製品aの製造を実行する。監視部206は、加工機C1とロボットR1が稼働したことを検出すると、製造管理情報テーブルにおいて管理番号1に対応する状態を開始に変更し、加工機C3とロボットR2が稼働したことを検出すると、管理番号3に対応する状態を開始に変更する。一方、監視部206は、加工機C1とロボットR1が稼働が完了したことを検出すると、管理番号1に対応する状態を完了に変更し、加工機C3とロボットR2が稼働
が完了したことを検出すると、管理番号3に対応する状態を完了に変更する。管理番号1のセルAによる製品aの製造が完了すると、続いて、管理番号2のセルAによる製品aの製造が実行される。同様に、管理番号3のセルAによる製品aの製造が完了すると、続いて、管理番号4のセルAによる製品aの製造が実行される。
【0089】
以上詳述したように、
図5に示したフローチャートに従って動作することによって、生産計画装置10は、個々の製造機械について認識することなく、製造セル単位の情報のみを扱って、製造に係る管理を行うことができる。したがって、生産システム1は、製造セルを効率良く且つ誤りなく制御することができるとともに、製造計画、品質管理及び工程管理を容易且つ適切に実行することができる。
【0090】
また、製造セルが製造する品種の変更、製造セル自体の増減が発生しても、生産計画装置10は、製造セルと製造する製品の関係に関する情報のみを更新することにより、その変化に対して容易に対応することができる。同様に、生産計画装置10は、一部の製造機械が故障した場合等、製造セル内の製造機械の変更が発生しても、容易に対応することができる。また、生産システム1は、複数の製造セルを用いて一種類の製品を製造したり、一つの製造セルを用いて複数の製品を製造する等、フレキシブルにシステムを構成することが可能である。
【0091】
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態による生産システム2の概略構成の一例を示す図である。
【0092】
生産システム2の構成は、第1実施形態による生産システム1の構成と同様である。但し、生産システム2では、セルコントロールシステム22は、製造セル32の内の製造機械320に組み込まれ、セルコントロールシステム23は、製造セル33の内の製造機械330に組み込まれている。
【0093】
図8は、セルコントロールシステム22の概略構成の一例を示す図である。なお、セルコントロールシステム22、23の構成は同様であるため、以下では代表してセルコントロールシステム22について説明し、セルコントロールシステム22とセルコントロールシステム23の差異については後述する。
【0094】
セルコントロールシステム22の構成は、第1実施形態によるセルコントロールシステム20の構成と同様である。但し、セルコントロールシステム22は、製造機械320に組み込まれ、製造機械320内の機械部323と接続される。また、通信装置221Bは、製造セル32の内の製造機械320以外の製造機械321、322と通信する。また、制御装置223は、第1実施形態による制御装置203が有する各部に加えて、機械制御部232を有する。また、監視部226は、製造機械320の現在の状態を機械部323から取得する。
【0095】
図9は、セルコントロールシステム22による製造セル制御処理の動作を示すフローチャートである。以下、図
9に示したフローチャートを参照しつつ、製造セル制御処理の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置222に記憶されているプログラムに基づき主に制御装置223によりセルコントロールシステム22の各要素と協働して実行される。また、以下に説明する動作フローのステップS201、S209〜S211、S213〜S216は、それぞれ
図5に示したステップS101、S106〜S108、S110〜S113と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS202〜S208、S212についてのみ説明する。
【0096】
ステップS202において、取得部2
24は、受信した製造計画情報が、自装置が組み込まれている製造セルに対応するか否かを判定する。製造計画情報は、第1製造情報の一例である。
【0097】
製造計画情報が、自装置が組み込まれている製造セルに対応する場合、第1生成部225は、製造計画情報に基づいて、製造機械320に対応する製造指示情報と、製造機械321、322に対応する製造指示情報を生成する(ステップS203)。製造機械3
20に対応する製造指示情報は、第2製造情報の一例であり、製造機械321、322に対応する製造指示情報は、第3製造情報の一例である。
【0098】
次に、送信部227は、製造機械321、322に対応する製造指示情報を通信装置221Bを介して製造機械321、322に送信する(ステップS204)。
【0099】
次に、機械制御部232は、製造機械320に対応する製造指示情報に基づいて製造機械320を制御する(ステップS205)。
【0100】
次に、機械制御部232は、製造機械320に対応する製造実績情報を生成する(ステップS206)。この製造実績情報は、製造機械320に対応する製造指示情報に対応し、第4製造情報の一例である。
【0101】
次に、解析部229は、生成した製造実績情報に基づいて、製造状況を解析する(ステップS207)。
【0102】
次に、受信部228は、通信装置221Bを介して各製造機械321、322から製造実績情報を受信するまで待機する(ステップS208)。この製造実績情報は、製造機械321、322に対応する製造指示情報に対応し、第5製造情報の一例である。
【0103】
ステップS212において、第2生成部230は、製造機械320からの製造実績情報及び製造機械321、322からの製造実績情報に基づいて総合製造実績情報を生成する。この総合製造実績情報は、第6製造情報の一例である。
【0104】
なお、セルコントロールシステム23も、セルコントロールシステム22と同様に、
図9に示したフローチャートに従って動作する。但し、セルコントロールシステム23の通信装置は、製造セル33が有する製造機械331、332及びセルコントロールシステム22と通信する。また、ステップS201において、セルコントロールシステム23の取得部は、通信装置を介してセルコントロールシステム22から製造計画情報を受信する。また、ステップS21
3において、セルコントロールシステム23の出力部は、総合製造実績情報を製造計画情報の送信元であるセルコントロールシステム22に送信する。
【0105】
以上詳述したように、
図9に示したフローチャートに従って動作する場合も、生産システム2は、製造セルを効率良く且つ誤りなく制御することができるとともに、製造計画、品質管理及び工程管理を容易且つ適切に実行することができる。
【0106】
(第3実施形態)
図10は、第3実施形態による生産システム3の概略構成の一例を示す図である。
【0107】
生産システム3の構成は、第1実施形態による生産システム1の構成と同様である。但し、生産システム3では、製造セル34の内の各製造機械340〜342にはそれぞれセルコントロールシステム24〜26が組み込まれ、製造セル35の内の製造機械350〜352にはそれぞれセルコントロールシステム27〜29が組み込まれている。また、各セルコントロールシステム24〜29は、デイジーチェーン接続され、それぞれ隣接するセルコントロールシステムと通信する。なお、各セルコントロールシステム24〜29は、リング型に接続されるように構成されてもよいし、生産計画装置10と通信するセルコントロールシステム24を中心としてスター型に接続されるように構成されてもよい。
【0108】
図11は、セルコントロールシステム24の概略構成の一例を示す図である。なお、セルコントロールシステム24〜29の構成は同様であるため、以下では代表してセルコントロールシステム24について説明し、セルコントロールシステム24と他のセルコントロールシステムとの差異については後述する。
【0109】
セルコントロールシステム24の構成は、第1実施形態によるセルコントロールシステム20の構成と同様である。但し、セルコントロールシステム24は、製造機械340に組み込まれ、製造機械340内の機械部343と接続される。また、通信装置241Bは、各製造機械とは通信せずに、製造セル34が有する、製造機械340と異なる製造機械341に組み込まれたセルコントロールシステム25とのみ通信する。また、制御装置2
43は、第1実施形態による制御装置203が有する各部に加えて、機械制御部2
52を有する。また、監視部2
46は、製造機械340の現在の状態を機械部343から取得する。
【0110】
図12は、セルコントロールシステム24による製造セル制御処理の動作を示すフローチャートである。以下、
図12に示したフローチャートを参照しつつ、製造セル制御処理の動作を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置242に記憶されているプログラムに基づき主に制御装置243によりセルコントロールシステム24の各要素と協働して実行される。また、以下に説明する動作フローのステップS301、S3
09〜S313は、それぞれ
図5に示したステップS101、S1
09〜S113と同様であるため、説明を省略する。以下では、ステップS30
2〜S30
8についてのみ説明する。
【0111】
ステップS302において、取得部2
44は、受信した製造計画情報が、自装置が組み込まれている製造セルに対応するか否かを判定する。
【0112】
製造計画情報が、自装置が組み込まれている製造セルに対応する場合、送信部247は、製造計画情報を通信装置241Bを介して、相互に通信するセルコントロールシステム25に送信する(ステップS303)。製造計画情報の送信先であるセルコントロールシステム25は、製造計画情報の送信元である生産計画装置10とは異なる装置である。なお、この製造計画情報は、自装置が組み込まれている製造セルに対応するものであるため、相互に通信するセルコントロールシステムが、自装置が組み込まれている製造セルと異なる製造セルに組み込まれている場合、送信部247は製造計画情報を送信しない。この製造
計画指示情報は、第1製造情報の一例である。
【0113】
次に、第1生成部245は、製造計画情報に基づいて、製造機械340に対応する製造指示情報を生成する(ステップS304)。この製造指示情報は、第2製造情報の一例である。
【0114】
次に、機械制御部252は、製造機械340に対応する製造指示情報に基づいて製造機械340を制御する(ステップS305)。
【0115】
次に、機械制御部252は、製造機械340に対応する製造実績情報を生成する(ステップS306)。この製造実績情報は、製造機械340に対応する製造指示情報に対応し、第3製造情報の一例である。
【0116】
次に、解析部249は、生成した製造実績情報に基づいて、製造状況を解析する(ステップS307)。
【0117】
次に、受信部2
48は、通信装置241Bを介して、製造計画情報の送信先であるセルコントロールシステム25から総合製造実績情報を受信するまで待機する(ステップS
308)。この総合製造実績情報は、セルコントロールシステム25に送信した製造計画情報に基づいて生成される情報であり、第4製造情報の一例である。この総合製造実績情報は、製造セル34が有する、製造機械340以外の製造機械341、342に対応する製造指示情報に基づいて生成される。
【0118】
次に、第2生成部250は、製造機械340からの製造実績情報及びセルコントロールシステム25からの総合製造実績情報に基づいて、製造セル34全体の総合製造実績情報を生成する。この総合製造実績情報は、第5製造情報の一例である。
【0119】
なお、セルコントロールシステム25〜29も、セルコントロールシステム24と同様に、
図12に示したフローチャートに従って動作する。但し、セルコントロールシステム25〜29の各通信装置は、相互に隣接する二つのセルコントロールシステムと通信する。各通信装置は、相互に隣接するセルコントロールシステムが、自装置が組み込まれている製造セルに組み込まれているか否かに関わらず、そのセルコントロールシステムと通信する。また、製造セル35に組み込まれたセルコントロールシステム27〜29の内の何れかの装置(その装置の通信装置)が、生産計画装置10と通信するセルコントロールシステム24と直接に通信するように接続されてもよい。
【0120】
また、ステップS301において、セルコントロールシステム25〜29の取得部は、通信装置を介して、相互に隣接するセルコントロールシステムから、自装置が組み込まれている製造セルに対応する製造計画情報を受信する。また、ステップS303において、セルコントロールシステム25〜29の送信部は、製造計画情報を、製造計画情報の送信元のセルコントロールシステムとは異なる、相互に通信するセルコントロールシステムに送信する。また、ステップS310において、セルコントロールシステム25〜29の出力部は、総合製造実績情報を、製造計画情報の送信元であるセルコントロールシステムに送信する。
【0121】
なお、ステップS304においてセルコントロールシステム25の第1生成部が生成する製造機械341に対応する製造指示情報は、第6製造情報の一例である。ステップS306においてセルコントロールシステム25の機械制御部が生成する製造機械341に対応する製造実績情報は、第7製造情報の一例である。
【0122】
また、ステップS301において、セルコントロールシステム27の取得部が受信する製造計画情報は、第8製造情報の一例である。ステップS304においてセルコントロールシステム27の第1生成部が生成する製造機械350に対応する製造指示情報は、第9製造情報の一例である。ステップS306においてセルコントロールシステム27の機械制御部が生成する製造機械350に対応する製造実績情報は、第10製造情報の一例である。ステップS309においてセルコントロールシステム27の第2生成部が生成する総合製造実績情報は、第11製造情報の一例である。
【0123】
以上詳述したように、
図12に示したフローチャートに従って動作する場合も、生産システム3は、製造セルを効率良く且つ誤りなく制御することができるとともに、製造計画、品質管理及び工程管理を容易且つ適切に実行することができる。
【0124】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
【0125】
図13は、セルコントロールシステムの他の例を示す概略構成図である。
【0126】
図13に示すセルコントロールシステム40は、
図1、7、10にそれぞれ示す生産システム1〜3において、セルコントロールシステム20〜29の代りに用いることが可能である。
図13に示すセルコントロールシステム40は、複数のセルコントロール装置400、401等を有する。セルコントロールシステム40が有する各セルコントロール装置400、401は、相互に通信可能である。各セルコントロール装置400、401は、それぞれ、セルコントロールシステム20〜29の内の何れかのシステムが有するセルコントロール装置と同様の機能を有する。
【0127】
また、各セルコントロール装置400、401が分担して各セルコントロールシステム20〜29の全ての機能を実現してもよい。その場合、各セルコントロール装置400、401は、どのように機能を分担してもよく、制御装置内の各部を含めてセルコントロールシステムの各部を各セルコントロール装置400、401の何れに配置するかは適宜変更可能である。
【0128】
また、生産システム1〜3は、複数の製造セルを有する必要はなく、少なくとも一つの製造セルを有していればよい。同様に、生産システム1〜3は、複数のセルコントロールシステムを有する必要はなく、生産計画装置10と通信する少なくとも一つのセルコントロールシステムを有していればよい。また、生産システム1〜3において、生産計画装置10の代わりに、任意のコンピュータを使用してもよい。
【0129】
また、生産システム1〜3において、セルコントロール装置200、220、240は、キーボード等の入力装置と、ディスプレイ等の表示装置を有していてもよい。その場合、セルコントロール装置200、220、240は、製造
計画情報を生産計画装置10から受信するのではなく、利用者による操作に従って入力装置から取得してもよい。同様に、セルコントロール装置200、220、240は、総合製造実績情報を生産計画装置10に送信するのではなく、表示装置に出力してもよい。
【0130】
以上、第1乃至第3実施形態およびセルコントロールシステムの他の例を説明したが、第1生成部および第2生成部は、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュール、または集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されるものである。言い換えれば、各種の条件に応じて好ましい製造情報を生成し得するが、生成処理自体は決められており、固定である。製造セルを効率良く制御する方法をあらかじめ決める場合、製品の種類、仕様、製造数、納期等をあらかじめ想定するが、すべての変化に十分に対応するのは現実には難しい。さらに、製品の種類、仕様、製造数、納期等が想定以上に変化すれば、もはや好適な製造情報を生成できるとは限らない。このような変化を見つけ出すごとにその変化に対応してソフトウェアを変更するのでは、オペレータやプログラマの負担は増大する。
【0131】
さらに、制御のために複数の製造機械が複数の製品を製造している製造状態を示す製造セル単位の情報は、一般的に容量が非常に大きくなってしまう。そのために、製造状態の特徴を示すのにどのような情報が適当であるか、さらには情報量を低減するためにどのような処理を行うことが望ましいかを決定すること自体が難しくなっている。
【0132】
そこで、次に説明する第4実施形態では、第1実施形態のセルコントロールシステムに学習器を設け、製造が継続されている間、常に学習を繰り返すことで、与えられた製造計画情報に対して、最も製造実績情報における製造効率が高くなるように、製造指示情報を出力するように学習させる。さらに、収集した情報から必要な情報を選択し、さらには的確な評価値がえられるようにすることで、総合製造情報の情報量を圧縮する。
【0133】
(第4実施形態)
図14は、第4実施形態による生産システム4の概略構成の一例を示す図である。
【0134】
第4実施形態による生産システム4は、セルコントロールシステム22および23に、学習器60および61を設けたことが第1実施形態のセルコントロールシステム20および21と異なり、他の部分は、第1実施形態と同じである。
【0135】
図15は、セルコントロールシステム22の概略構成の一例を示す図である。なお、セルコントロールシステム22、23に設けられる学習器60、61の構成は同様であるため、以下では代表してセルコントロールシステム22の学習器60について説明する。
【0136】
学習器60は、第1生成部265に設けられる第1学習器280と、第2生成部270に設けられる第2学習器281と、を含む。第1学習器280は、生産計画装置10からの製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報に基づいて製造セル30の複数の製造機械300−302毎の第2製造情報を生成する。第2学習器281は、複数の製造機械300−302のそれぞれからの第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報に基づいて製造セル単位の第4製造情報を生成する。ここでは、第1学習器280は第3製造情報の一部も入力として利用し、第2学習器281は第1製造情報の一部も入力として利用する。
【0137】
図16は、学習器の原理ブロック図である。
第1学習器280および第2学習器281は、
図16に示す
学習器50の構成を有する。まず、第1学習器280について説明する。
【0138】
第1学習器280は、状態観測部501および学習部502を有する。状態観測部501は、生産計画装置10からの製品の製造に係る製造セル単位の第1製造情報および複数の製造機械300−302のそれぞれからの第2製造情報に対応する製造機械毎の情報に係る第3製造情報の一部を含む状態変数を観測する。
【0139】
学習部502は、状態観測部501によって観測された状態変数に基づいて作成されるデータセットに従って、第1製造情報に基づく第2製造情報の生成処理を学習する。
【0140】
図17は、第4実施形態の第1学習器における機械学習方法の動作フローを示すフローチャートである。
第1学習器280の機械学習方法は、状態観測ステップS401と、学習ステップS402と、を有する。
【0141】
状態観測ステップS401は、状態観測部501により実行されるものであり、すなわち、取得部264から第1製造情報を取得すると共に、受信部268からの第3製造情報を観測する。
【0142】
学習ステップS402は、学習部502によって実行されるものであり、すなわち、状態観測部501によって観測された状態変数に基づいて作成されるデータセットに従って、第2製造情報の生成処理を学習する。
【0143】
学習部502が用いる学習アルゴリズムはどのようなものを用いてもよい。学習器は、装置に入力されるデータの集合から、その中にある有用な規則や知識表現、判断基準などを解析により抽出し、その判断結果を出力するとともに、知識の学習を行う機能を有する。その手法は様々であるが、大別すれば「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」に分けられる。さらに、これらの手法を実現するうえで、特徴量そのものの抽出を学習する、「深層学習(ディープラーニング:Deep Learning)」と呼ばれる手法がある。なお、これらの機械学習(機械学習装置1)は、例えば、GPGPU(General−Purpose computing on Graphics Processing Units)や大規模PCクラスター等を適用することにより実現される。
【0144】
以下、一例として、強化学習を用いた場合について
図18および
図19を参照して説明する。「教師あり学習」、「教師なし学習」等については、後述する。
【0145】
図18は、第4実施形態における強化学習を適用した第1学習器の原理ブロック図である。
学習部502は、報酬計算部511と変更制御意思決定部512とを有する。なお、報酬計算部511および変更制御意思決定部512以外の構成要素については
図16に示す構成要素と同様であるので、同一の構成要素には同一符号を付して当該構成要素についての詳細な説明は省略する。
【0146】
報酬計算部511は、状態観測部501によって観測された第3製造情報に基づいて報酬を計算する。第3製造情報は、
図6の(c)に示した製造実績情報であり、製造に要した消費エネルギ、不良率等をさらに含んでもよい。
【0147】
変更制御意思決定部512は、状態観測部501によって観測された状態変数および報酬計算部511によって計算された報酬に基づいて、第2製造情報を生成するための関数(行動価値テーブル)を学習する。関数(行動価値テーブル)の学習方法については後述する。
【0148】
学習部502が、状態観測部501で観測された状態変数を多層構造で演算し、関数(行動価値テーブル)をリアルタイムで更新しても、ある程度の製品数が製造される期間における情報を蓄積し、蓄積した情報から新しい関数(行動価値テーブル)を算出し、予測される効果等を考慮して最終的に変更するか決定してもよい。例えば、学習部502は、状態観測部501によって観測された状態変数および報酬計算部511によって計算された報酬に基づいて、ニューラルネットワークモデルに従って、第2製造情報を決定するための関数(行動価値テーブル)を更新するようにしてもよい。ここで、状態変数を多層構造で演算する方法として、例えば、後述する
図23に示すような多層ニューラルネットワークを用いることができる。
【0149】
図19は、第1学習器280における強化学習を適用した機械学習方法の動作フローを示すフローチャートである。
【0150】
まず、状態観測ステップS401において、状態観測部501は、第1製造情報および第3製造情報の一部から構成される状態変数を観測する。
【0151】
次いで、報酬計算ステップS402−1において、報酬計算部511は、状態観測部501によって観測された第3製造情報の一部に基づいて報酬を計算する。
【0152】
次いで、変更制御ステップS402−2において、
変更制御意思決定部512は、状態観測部501によって観測された状態変数および報酬計算部511によって計算された報酬に基づいて、第2製造情報を生成するための関数(行動価値テーブル)を変更する。
【0153】
続いて、第1学習器280についてより詳細に説明する。
図20は、第1学習器を示す原理ブロック図である。
【0154】
第1学習器280は、状態観測部290と、第2製造情報生成部291と、報酬計算部292と、変更制御意思決定部293と、を有する。状態観測部290は、第1製造情報および報酬を計算するのに使用する第3製造情報の一部を状態変数として観測する。第2製造情報生成部291は、第1製造情報に基づいて第2製造情報を生成する。報酬計算部292は、第3製造情報の一部に基づいて報酬を計算する。変更制御意思決定部293は、第1製造情報および報酬に基づいて、より高い報酬が得られると予測される方向に第2製造情報生成部291の関数(行動価値テーブル)を変更する。この時、関数(行動価値テーブル)の変更により大きな問題が発生する可能性があるので、ある程度の生産数についての情報が得られるまで第1製造情報と報酬を対応づけて記憶し、記憶した所定量以上の情報に基づいて第2製造情報生成部291の新しい関数(行動価値テーブル)を計算するようにしてもよい。さらに、変更制御意思決定部293は、計算した新しい関数(行動価値テーブル)が正しく動作することを検証した上で、第2製造情報生成部291の新しい関数(行動価値テーブル)を更新することが望ましい。
【0155】
図21は、第4実施形態において、強化学習を適用した第1学習器280が学習を行う動作フローを示すフローチャートである。
【0156】
ステップS501において、第1製造情報に基づいて第2製造情報を生成し、製造セル30に出力する。
ステップS502において、製造セル30は第2製造情報にしたがって製造を行う。
【0157】
ステップS503において、受信部268は第3製造情報を取得し、第1学習器280の状態観測部290は、第1製造情報および第3製造情報の一部を状態変数として観測し、報酬計算部292に第3製造情報の一部を出力する。
【0158】
ステップS504において、報酬計算部292は第3製造情報の一部に基づいて報酬を計算する。
ステップS505において、変更制御意思決定部293は、第1製造情報と報酬を対応付けて記憶する。
【0159】
ステップS506で、蓄積したデータ量が、第2製造情報生成部291の関数(行動価値テーブル)を変更するのに十分であるか判定し、十分でなければステップS501に戻り、十分であればステップS507に進む。なお、製造が行われる度にその報酬に基づいて第2製造情報生成部291の関数(行動価値テーブル)を変更するのであれば、ステップS505およびS506は不要である。さらに、生産システムの稼働開始からある程度の情報が蓄積されるまではステップS505およびS506を行い、それ以後はステップS505およびS506を行わずにステップS507に進むといった変形例も可能である。
【0160】
ステップS507において、変更制御意思決定部293は、より高い報酬が得られると予測される方向に第2製造情報生成部291の関数(行動価値テーブル)を変更する更新処理を行い、ステップS501に戻る。以下、生産システム稼働中は、このS50
1からS507の処理を繰り返す。
【0161】
次に、第1学習器280についてより詳細に説明する。第1学習器280は、入力されるデータの集合から、その中にある有用な規則や知識表現、判断基準などを解析により抽出し、その判断結果を出力するとともに、知識の学習を行う機能を有する。上述のように、第1学習器280の学習アルゴリズムとして、大別すると「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」がある。さらに、これらの手法を実現するうえで、特徴量そのものの抽出を学習する、「深層学習」と呼ばれる手法がある。なお、これらの機械学習(機械学習装置1)は、例えば、GPGPU(General−Purpose computing on Graphics Processing Units)や大規模PCクラスター等を適用することにより実現される。
【0162】
「教師あり学習」とは、ある入力と結果(ラベル)のデータの組を大量に機械学習装
置に与えることで、それらのデータセットにある特徴を学習し、入力から結果を推定するモデル、すなわち、その関係性を帰納的に獲得するものである。この教師あり学習を第4実施形態に適用する場合、第1製造情報に基づく第2製造情報の決定に用いることができる。後述のニューラルネットワークなどのアルゴリズムを用いて実現することができる。
【0163】
「教師なし学習」とは、入力データのみを大量に第1学習器280に与えることで、入力データがどのような分布をしているか学習し、対応する教師出力データを与えなくても、入力データに対して圧縮、分類、整形などを行う装置を学習する手法である。例えば、それらのデータセットにある特徴を似たものどうしにクラスタリングすることなどができる。この結果を使って、何らかの基準を設けてそれを最適にするような出力の割り当てを行うことで、出力の予測を実現することできる。
【0164】
また「教師なし学習」と「教師あり学習」との中間的な問題設定として、「半教師あり学習」と呼ばれるものもあり、これは一部のみ入力と出力のデータの組が存在し、それ以外は入力のみのデータ(例えばシミュレーションのデータ)である場合がこれに当たる。
【0165】
まず、第1学習器280の学習アルゴリズムを強化学習とした例について説明する。
【0166】
強化学習の問題設定として、次のように考える。
・第1学習器280は、第1製造情報および第3製造情報の一部を観測し、第2製造情報(行動)を決定する。
・環境は何らかの規則に従って変化し、さらに自分の行動が、環境に変化を与えることもある。
・行動するたびに報酬信号が帰ってくる。
・最大化したいのは報酬である。
・行動が引き起こす結果を全く知らない、または不完全にしか知らない状態から学習はスタートする。すなわち、生産システムが実際に動作して初めて、その結果(製品)をデータとして得ることができる。つまり、試行錯誤しながら最適な行動を探索する必要がある。
・人間の動作を真似るように事前学習(前述の教師あり学習や、逆強化学習といった手法)した状態を初期状態として、良いスタート地点から学習をスタートさせることもできる。
【0167】
ここで、「強化学習」とは、判定や分類だけではなく、行動を学習することにより、環境に行動が与える相互作用を踏まえて適切な行動を学習、すなわち、将来的に得られる報酬を最大にするための学習する方法である。このことは、第4実施形態において、第1製造情報から製品を好適に生産できる第2製造情報を決定できるといった、未来に影響を及ぼすような行動を獲得できることを表している。例えばQ学習の場合で説明を続けるが、それに限るものではない。
【0168】
Q学習は、ある環境状態sの下で、行動aを選択する価値Q(s,a)を学習する方法である。つまり、ある状態sのとき、価値Q(s,a)の最も高い行動aを最適な行動として選択すればよい。しかし、最初は状態sと行動aとの組合せについて、価値Q(s,a)の正しい値は全く分かっていない。そこで、エージェント(行動主体)は、ある状態sの下で様々な行動aを選択し、その時の行動aに対して報酬が与えられる。それにより、エージェントはより良い行動の選択、すなわち正しい価値Q(s,a)を学習していく。
【0169】
さらに、行動の結果、将来にわたって得られる報酬の合計を最大化したいので、最終的にQ(s,a)=E[Σγ
tr
t]となるようにすることを目指す。ここで、期待値は、最適な行動に従って状態変化したときについてとるものとし、それは、それは分かっていないので、探索しながら学習することになる。そのような価値Q(s,a)の更新式は、例えば式1により表すことができる。
【0171】
上記の式1において、s
tは時刻tにおける環境の状態を表し、a
tは時刻tにおける行動を表す。行動a
0により、状態はs
t+1に変化する。r
t+1は、その状態の変化により貰える報酬を表している。また、maxの付いた項は、状態s
t+1の下で、その時に分かっている最もQ値の高い行動aを選択した場合のQ値にγを乗じたものになる。γは、0<γ≦1のパラメータで、割引率と呼ばれる。αは学習係数で、0<α≦1の範囲とする。
【0172】
式1は、試行a
tの結果帰ってきた報酬r
t+1を元に、状態s
tにおける行動a
tの評価値Q(s
t,a
t)を更新する方法を表している。状態sにおける行動aの評価値Q(s
t,a
t)よりも、報酬r
t+1+行動aによる次の状態における最良の行動max aの評価値Q(s
t+1,max a
t+1)の方が大きければ、Q(s
t,a
t)を大きくするし、反対に小さければ、Q(s
t,a
t)も小さくする事を示している。つまり、ある状態におけるある行動の価値を、結果として即時帰ってくる報酬と、その行動による次の状態における最良の行動の価値に近づけるようにしている。
【0173】
ここで、Q(s,a)の計算機上での表現方法は、すべての状態行動ペア(s,a)に対して、その値をテーブル(行動価値テーブル)として保持しておく方法と、Q(s,a)を近似するような関数を用意する方法がある。後者の方法では、前述の更新式は、確率勾配降下法などの手法で近似関数のパラメータを調整していくことで実現することができる。近似関数としては、後述のニューラルネットワークを用いることができる。
【0174】
また、教師あり学習、教師なし学習、および強化学習での価値関数の近似アルゴリズムとして、ニューラルネットワークを用いることができる。ニューラルネットワークは、たとえば図
22に示すようなニューロンのモデルを模したニューラルネットワークを実現する演算装置およびメモリ等で構成される。図
22は、ニューロンのモデルを示す模式図である。
【0175】
図22に示すように、ニューロンは、複数の入力x(
図22では、一例として、入力x1〜入力x3)に対する出力yを出力するものである。各入力x1〜x3には、この入力xに対応する重みw(w1〜w3)が掛けられる。これにより、ニューロンは、式2により表現される出力yを出力する。なお、入力x、出力yおよび重みwは、すべてベクトルである。また、下記の式2において、θはバイアスであり、f
kは活性化関数である。
【0177】
次に、上述したニューロンを組み合わせた3層の重みを有するニューラルネットワークについて、
図23を参照して説明する。
図23は、D1〜D3の3層の重みを有するニューラルネットワークを示す模式図である。
【0178】
図23に示すように、ニューラルネットワークの左側から複数の入力x(ここでは一例として、入力x1〜入力x3)が入力され、右側から結果y(ここでは一例として、結果y1〜結果y3)が出力される。
【0179】
具体的には、入力x1〜入力x3は、3つのニューロンN11〜N13の各々に対して対応する重みが掛けられて入力される。これらの入力に掛けられる重みはまとめてw1と標記されている。
【0180】
ニューロンN11〜N13は、それぞれ、z11〜z13を出力する。図
23において、これらz11〜z13はまとめて特徴ベクトルz1と標記され、入力ベクトルの特徴量を抽出したベクトルとみなすことができる。この特徴ベクトルz1は、重みw1と重みw2との間の特徴ベクトルである。z11〜z13は、2つのニューロンN21、N22の各々に対して対応する重みが掛けられて入力される。これらの特徴ベクトルに掛けられる重みは、まとめてw2と標記されている。
【0181】
ニューロンN21、N22は、それぞれ、z21、z22を出力する。図
23において、これらz21、z22は、まとめて特徴ベクトルz2と標記されている。この特徴ベクトルz2は、重みw2と重みw3との間の特徴ベクトルである。特徴ベクトルz21、z22は、3つのニューロンN31〜N33の各々に対して対応する重みが掛けられて入力される。これらの特徴ベクトルに掛けられる重みは、まとめてw3と標記されている。
【0182】
最後に、ニューロンN31〜N33は、それぞれ、結果y1〜結果y3を出力する。
【0183】
ニューラルネットワークの動作には、学習モードと価値予測モードとがある。例えば、学習モードにおいて学習データセットを用いて重みwを学習し、そのパラメータを用いて予測モードにおいて組立加工装置の行動判断を行う。なお、便宜上、予測と書いたが、検出、分類、推論など多様なタスクが可能なのはいうまでもない。
【0184】
ここで、予測モードで実際に組立加工装置を動かして得られたデータを即時学習し、次の行動に反映させる(オンライン学習)ことも、あらかじめ収集しておいたデータ群を用いてまとめた学習を行い、以降はずっとそのパラメータで検知モードを行う(バッチ学習)こともできる。あるいは、その中間的な、ある程度データが溜まるたびに学習モードを挟むということも可能である。
【0185】
また、重みw1〜w3は、誤差逆伝搬法(バックプロパゲーション:Backpropagation)により学習可能なものである。誤差の情報は、右側から入り左側に流れる。誤差逆伝搬法は、各ニューロンについて、入力xが入力されたときの出力yと真の出力y(教師)との差分を小さくするように、それぞれの重みを調整(学習)する手法である。
【0186】
このようなニューラルネットワークは、3層以上にさらに層を増やすことも可能である(深層学習と称される)。入力の特徴抽出を段階的に行い、結果を回帰する演算装置を、教師データのみから自動的に獲得することが可能である。
【0187】
そこで、第4実施形態の第1学習器280は、上述のQ学習を実施すべく、例えば
図20に示すように状態観測部290、第2製造情報生成部91、報酬計算部292、および変更制御意思決定部293を有している。ただし、本発明に適用される機械学習方法は、Q学習に限定されるものではないのは前述したとおりである。すなわち、第1学習器280で用いることが出来る手法である「教師あり学習」、「教師なし学習」、「半教師あり学習」および「強化学習」等といった様々な手法が適用可能である。なお、これらの機械学習(第1学習器280)は、例えば、GPGPUや大規模PCクラスター等を適用することで実現可能である。例えば教師あり学習を適用する場合、価値関数は学習モデル、報酬は誤差に対応する。なお、この行動価値テーブルとして、前述のニューラルネットワークを用いて近似した関数を用いることも可能であり、これはsおよびaの情報量が莫大であるときは特に有効である。
【0188】
次に、第2学習器281について説明する。第2学習器281は、第1学習器280と同様に、
図16に示したブロック構成を有し、
図17に示したフローチャートにしたがって機械学習方法を行う。
【0189】
第2学習器281は、ニューラルネットワークを用いて実現され、ここでは、生産システムの稼働前に、外部で「教師あり学習」により学習(トレーニング)が行われ、学習が終了した状態で第2生成部270に搭載される。したがって、搭載された後はニューラルネットワークを変更する必要が無いので、入力に対して重み付けを行った後加算するなどの処理を行い、少なくとも1つの出力が得られる演算回路であってもよい。
【0190】
図24は、第2学習器の構成及び外部でのトレーニング時の構成を示す図である。
図24の(
a)に示すように、第2学習器281は、第1製造情報および第3製造情報を状態変数として観測する状態観測部294と、第1製造情報および第3製造情報に基づいて第4製造情報を生成する第4製造情報生成部295と、を有する。第4製造情報生成部295は、例えば、ニューラルネットワークで実現される。
【0191】
外部での学習(トレーニング)時には、
図24の(
b)に示すように、第4製造情報生成部295にニューラルネットワーク更新制御部297を接続する。ニューラルネットワーク更新制御部297は、例えば、第4製造情報生成部295を実現するソフトウェアが実装されるコンピュータで、ソフトウェアにより実現される。
【0192】
製造機械の台数および製品の種類が増加すると、製造状態を示す製造セル単位の情報、すなわち第3製造情報は、一般的に容量が非常に大きくなってしまう。そのため、複数のセルコントロールシステムを有する生産システムでは、生産計画装置10が収集する第4製造情報の全体量も膨大になる。そこで、第4製造情報は、製造セルの製造状態を的確に示す情報に制限することにより情報量を圧縮することが望まれる。さらに、第3製造情報から製造セルの製造状態を的確に示す評価値を生成し、これを総合製造実績情報とすることで、情報量をさらに大幅に圧縮することが望まれる。
【0193】
そこで、トレーニング時には、第4製造情報生成部295に第3製造情報として多種類のデータを入力する。さらに第1製造情報に応じて製造状態が変わるので第1製造情報も第4製造情報生成部295に入力する。なお、第1製造情報の代わりに第2製造情報を入力することも可能である。この状態で、第4製造情報生成部295への入力を変更し、ニューラルネットワーク更新制御部297が変更された入力に対する評価値を生成する。例えば、オペレータは、第4製造情報生成部295への入力(第1および第3製造情報)に基づいて、製造状態の良否を判定できるので、評価結果をニューラルネットワーク更新制御部297に与える。ニューラルネットワーク更新制御部297は、第4製造情報生成部295が評価結果に対応する評価値を出力するように、第4製造情報生成部295のニューラルネットワークを更新する。これを繰り返すことにより、第4製造情報生成部295のニューラルネットワークの学習(トレーニング)が行われる。
【0194】
トレーニングの終了したニューラルネットワークを有する第4製造情報生成部295および状態観測部294を有する第2学習器281を第2生成部270に搭載する。この際、第4製造情報の生成への寄与(影響)の小さい第3製造情報は、第2学習器281へ入力しないようにすることが望ましい。また、第1製造情報(または第2製造情報)についても、第4製造情報の生成への寄与(影響)の小さい情報については入力しないようにする。また、第4製造情報生成部295が出力する評価値は1つに限らず、複数であってもよい。
【0195】
以上説明したように、第4実施形態では、強化学習機能を有する第1学習器を用いることで、製造計画情報と、製造実績情報を第学習器の入力とし、製造指示情報を第1学習器の出力とすることで、製造が継続されている間、常に学習を繰り返すことで、与えられた製造計画情報に対して、最も製造実績情報における製造効率が高くなるように、製造指示情報を出力するように第1学習器を学習させることができる。このような第1学習器を用いることで、製造セルの製造機械の調子が悪くなった場合でも、それが製造実績情報によって第1学習器に入力され、調子の悪い製造機械を選択しない製造指示情報を出力することで製造セルの効率を高くすることができる。さらに、第2学習器を用いて製造セル単位の情報から特徴量を抽出することで、情報のサイズを小さくすることができる。第2学習器としてニューラルネットを用いることで、製造セル単位の情報である、電流値、加工時間、周囲温度、製品寸法の入力値から、今回の製造セルにおける加工の評価値を出力することが可能であり、これを総合製造実績情報とすることで、情報量が大幅に圧縮することができる。また、第2学習器を用いて製造セル単位の情報を生成することで、正確に製造品質を評価することが可能となる。