(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174685
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】タンデム質量分析計内のインターリービング窓幅を使用するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H01J 49/42 20060101AFI20170724BHJP
G01N 27/62 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
H01J49/42
G01N27/62 E
【請求項の数】20
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-512141(P2015-512141)
(86)(22)【出願日】2013年4月19日
(65)【公表番号】特表2015-517723(P2015-517723A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】IB2013000724
(87)【国際公開番号】WO2013171554
(87)【国際公開日】20131121
【審査請求日】2016年1月22日
(31)【優先権主張番号】61/649,199
(32)【優先日】2012年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510075457
【氏名又は名称】ディーエイチ テクノロジーズ デベロップメント プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】テイト, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ボナー, ロナルド エフ.
【審査官】
鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−537312(JP,A)
【文献】
特開2003−123685(JP,A)
【文献】
A. Panchaud el al,Faster, Quantitative, and Accurate Precursor Acquisition Independent From Ion Count,Analytical Chemistry,2011年 3月15日,vol.83, no.6,2250-2257
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 40/00−49/48
G01N 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定された質量選択窓幅の重複を使用して、試料を分析するためのシステムであって、前記システムは、
測定された質量選択窓幅の重複を可能にする質量分析器を含むタンデム質量分析計と、
前記タンデム質量分析計と通信するプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割し、前記タンデム質量分析計に、前記質量範囲にわたって2つ以上の断片化走査を行うように命令し、前記2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を備え、前記2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅の重複は、前記2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する、システム。
【請求項2】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、同一の幅を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、可変幅を有する、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、同一の幅を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、可変幅を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、同一の数の測定された質量選択窓幅を含む重複した測定された質量選択窓幅に対応する、請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、可変数の測定された質量選択窓幅を含む重複した測定された質量選択窓幅に対応する、請求項1〜6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることによって、前記少なくとも1つの標的質量選択窓幅に関する情報をさらに抽出する、請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることは、数学演算を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることは、論理演算を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
測定された質量選択窓幅の重複を使用して、試料を分析するための方法であって、前記方法は、
プロセッサを使用して、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割することと、
タンデム質量分析計に、前記プロセッサを使用して前記質量範囲にわたって2つ以上の断片化走査を行うように命令することと
を含み、
前記2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を備え、前記2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅の重複は、前記2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する、方法。
【請求項12】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、同一の幅を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、可変幅を有する、請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、同一の幅を有する、請求項11〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、可変幅を有する、請求項11〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、同一の数の測定された質量選択窓幅を含む重複した測定された質量選択窓幅に対応する、請求項11〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、可変数の測定された質量選択窓幅を含む重複した測定された質量選択窓幅に対応する、請求項11〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記プロセッサを使用して、前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることによって、前記少なくとも1つの標的質量選択窓幅に関する情報を抽出することをさらに含む、請求項11〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
有形コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記有形コンピュータ可読記憶媒体のコンテンツは、測定された質量選択窓幅の重複を使用して試料を分析するための方法を行うようにプロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含み、前記方法は、
システムを提供することであって、前記システムは、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを備え、前記個別のソフトウェアモジュールは、分析モジュールおよび断片化走査モジュールを備える、ことと、
前記分析モジュールを使用して、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割することと、
タンデム質量分析計に、前記断片化走査モジュールを使用して前記質量範囲にわたって2つ以上の断片化走査を行うように命令することと
を含み、
前記2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を備え、前記2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅の重複は、前記2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する、コンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記方法は、前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることによって、前記少なくとも1つの標的質量選択窓幅に関する情報を抽出することをさらに含む、請求項19に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2012年5月18日に出願された米国仮特許出願第61/649,199号の利益を主張する。上記文献の内容は、その全体として参照することによって本明細書において援用される。
【0002】
(導入)
定質的かつ定量的両方の情報は、タンデム質量分析計から得ることができる。そのような器具では、前駆体イオンが、第1の質量分析器において選択され、断片化され、断片が、第2の質量分析器または第1の分析器の第2の走査において分析される。断片イオンスペクトルは、分子を同定するために使用することができ、1つ以上の断片の強度は、試料内に存在する化合物の量を定量化するために使用することができる。
【0003】
選択反応モニタリング(SRM)は、これの周知実施例であって、前駆体イオンが選択され、断片化され、単一イオンを伝送するように設定された第2の分析器に回される。応答は、選択された質量断片の前駆体が、選択された断片質量のイオンを与えるべき時にもたらされ、本出力信号は、定量化のために使用することができる。器具は、確認目的のためのいくつかの断片イオン、または異なる化合物を定量化するためのいくつかの前駆体断片の組み合わせを測定するように設定されてもよい。
【0004】
分析の感度および特異性は、第1の質量分析ステップにおいて選択された質量窓の幅によって影響を受ける。広い窓は、より多くのイオンを伝送し、感度の増加をもたらすが、また、異なる質量のイオンも通過させ得る。すなわち、後者が、標的化合物と同一質量にある断片をもたらす場合、干渉が生じ、精度は、落ちるであろう。
【0005】
いくつかの質量分析計では、第2の質量分析器は、高分解能で動作され、特異性が、大幅に回復され得るように、断片イオン窓を狭くすることを可能にすることができる。これらの器具はまた、本質的に、異なる断片を検出するように、全断片を検出してもよい。そのような器具では、広い窓を使用して、感度を最大限にするように実行可能である。
【0006】
これらの最近開発された高分解能かつ高処理量の器具は、隣接または重複質量窓幅を伴う複数の走査を使用して、時間間隔内に質量範囲が正確に走査されることを可能にする。時間の分離間隔毎における一連の各スペクトルは、質量範囲全体に対する一連のスペクトルである。窓化質量分析走査を使用して、質量範囲全体を走査するための一例示的方法は、逐次窓化取得(SWATH)と呼ばれる。
【0007】
現在、SWATHユーザは、SWATH実験数、蓄積時間、およびまた、ピークにわたるデータ点の数の平衡を保つ必要がある。例えば、ユーザが、質量範囲にわたって、狭い質量窓幅の使用を試みる場合、結果は、十分な感度がなく、またはサイクル時間が大き過ぎて、ピークにわたって、十分なデータ点を提供することができないものとなり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
種々の実施形態では、システムおよび方法は、逐次窓化取得における窓の幅を減少させる一方、窓毎に費やされる時間を増加させる。窓は、2回以上、各領域を分析し、取得後に要求される情報を抽出するために、重複される。
【0009】
種々の実施形態では、2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、重複測定質量選択窓幅に対応する。標的質量選択窓幅に対応する測定された質量選択窓幅の数は、2つ以上の標的質量選択窓幅にわたって、同一または可変であることができる。
【0010】
種々の実施形態では、プロセッサ520は、少なくとも2つの断片化走査の対応する重複測定質量選択窓幅からの情報を組み合わせることによって、少なくとも1つの標的質量選択窓幅に関する情報を抽出する。情報は、例えば、数学または論理演算を使用して組み合わせられる。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
重複測定質量選択窓幅を使用して、試料を分析するためのシステムであって、前記システムは、
重複測定質量選択窓幅を可能にする質量分析器を含むタンデム質量分析計と、
前記タンデム質量分析計と通信するプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割し、前記タンデム質量分析計に、前記質量範囲にわたって2つ以上の断片化走査を行うように命令し、前記2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を備え、前記2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅内の重複は、前記2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する、システム。
(項目2)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、同一の幅を有する、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目3)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、可変幅を有する、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目4)
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、同一の幅を有する、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目5)
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、可変幅を有する、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目6)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、同一の数の測定された質量選択窓幅を含む重複測定質量選択窓幅に対応する、先行システム項目に記載の任意の組
み合わせのシステム。
(項目7)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、可変数の測定された質量選択窓幅を含む重複測定質量選択窓幅に対応する、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目8)
前記プロセッサはさらに、前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることによって、前記少なくとも1つの標的質量選択窓幅に関する情報を抽出することを含む、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目9)
前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることは、数学演算を含む、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目10)
前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることは、論理演算を含む、先行システム項目に記載の任意の組み合わせのシステム。
(項目11)
重複測定質量選択窓幅を使用して、試料を分析するための方法であって、前記方法は、 プロセッサを使用して、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割することと、
タンデム質量分析計に、プロセッサを使用して、前記質量範囲前記にわたって、2つ以上の断片化走査を行うように命令することと
を含み、
前記2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を備え、前記2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅内の重複は、前記2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する、方法。
(項目12)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、同一の幅を有する、先行方法項目に記載の任意の組み合わせの方法。
(項目13)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅は、可変幅を有する、先行方法項目に記載の任意の組み合わせの方法。
(項目14)
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、同一の幅を有する、先行方法項目に記載の任意の組み合わせの方法。
(項目15)
前記2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、可変幅を有する、先行方法項目に記載の任意の組み合わせの方法。
(項目16)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、同一の数の測定された質量選択窓幅を含む重複測定質量選択窓幅に対応する、先行方法項目に記載の任意の組み合わせの方法。
(項目17)
前記2つ以上の標的質量選択窓幅の各標的質量選択窓幅は、可変数の測定された質量選択窓幅を含む重複測定質量選択窓幅に対応する、先行方法項目に記載の任意の組み合わせの方法。
(項目18)
前記プロセッサを使用して、前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることによって、前記少なくとも1つの標的質量選択窓幅に関する情報を抽出することをさらに含む、先行方法項目に記載の任意の組み合わせの方法。
(項目19)
有形コンピュータ可読記憶媒体を備えるコンピュータプログラム製品であって、前記有形コンピュータ可読記憶媒体のコンテンツは、重複測定質量選択窓幅を使用して試料を分析するための方法を行うようにプロセッサ上で実行される命令を伴うプログラムを含み、前記方法は、
システムを提供することであって、前記システムは、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを備え、前記個別のソフトウェアモジュールは、分析モジュールおよび断片化走査モジュールを備える、ことと、
前記分析モジュールを使用して、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割することと、
タンデム質量分析計に、前記断片化走査モジュールを使用して、前記質量範囲にわたって、2つ以上の断片化走査を行うように命令することと
を含み、
前記2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を備え、前記2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅内の重複は、前記2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する、コンピュータプログラム製品。
(項目20)
前記少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅からの情報を組み合わせることによって、前記少なくとも1つの標的質量選択窓幅に関する情報を抽出することをさらに含む、先行コンピュータプログラム製品項目に記載の任意の組み合わせのコンピュータプログラム製品。
【0011】
当業者は、後述の図面が、例証目的にすぎないことを理解するであろう。図面は、本教示の範囲をいかようにも制限することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステムを例証する、ブロック図である。
【
図2】
図2は、種々の実施形態による、同一の数の重複測定質量選択窓幅を伴う、均一長の標的質量選択窓幅を走査するために使用される、均一長の重複測定質量選択窓幅の質量有効範囲の例証である。
【
図3】
図3は、種々の実施形態による、同一の数の重複測定質量選択窓幅を伴う、可変長の標的質量選択窓幅を走査するために使用される、可変長の重複測定質量選択窓幅の質量有効範囲の例証である。
【
図4】
図4は、種々の実施形態による、可変数の重複測定質量選択窓幅を伴う、均一長の標的質量選択窓幅を走査するために使用される、均一長の重複測定質量選択窓幅の質量有効範囲の例証である。
【
図5】
図5は、種々の実施形態による、重複質量選択窓幅を使用して、試料を分析するためのシステムを示す、概略図である。
【
図6】
図6は、種々の実施形態による、重複測定質量選択窓幅を使用して、試料を分析するための方法を示す、例示的流れ図である。
【
図7】
図7は、種々の実施形態による、重複質量選択窓幅を使用して、試料を分析するための方法を行う、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システムを示す、概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本教示の1つ以上の実施形態を詳細に説明する前に、当業者は、本教示が、その用途において、以下の発明を実施するための形態に記載される、または図面に例証される、構造、構成要素の配列、およびステップの配列の詳細に制限されないことを理解するであろう。また、本明細書で使用される表現および専門用語は、説明の目的のためであって、制限としてみなされるべきではないことを理解されたい。
【0014】
コンピュータ実装システム
図1は、本教示の実施形態が実装され得る、コンピュータシステム100を例証する、ブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102または他の通信機構と、情報を処理するために、バス102と結合されたプロセッサ104と、を含む。コンピュータシステム100はまた、プロセッサ104によって実行される命令を記憶するために、バス102に結合される、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の動的記憶デバイスであり得る、メモリ106を含む。メモリ106はまた、プロセッサ104によって実行される命令の実行の間、一時的変数または他の中間情報を記憶するために使用されてもよい。コンピュータシステム100はさらに、プロセッサ104のための静的情報および命令を記憶するために、バス102に結合された読取専用メモリ(ROM)108または他の静的記憶デバイスを含む。磁気ディスクまたは光ディスク等の記憶デバイス110は、情報および命令を記憶するために、提供され、バス102に結合される。
【0015】
コンピュータシステム100は、情報をコンピュータユーザに表示するために、バス102を介して、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)等のディスプレイ112に結合されてもよい。英数字および他のキーを含む、入力デバイス114は、情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信するために、バス102に結合される。別のタイプのユーザ入力デバイスは、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ104に通信し、ディスプレイ112上のカーソル移動を制御するためのマウス、トラックボール、またはカーソル方向キー等のカーソル制御116である。本入力デバイスは、典型的には、デバイスに、平面において、位置を指定可能にする、2つの軸、すなわち、第1の軸(すなわち、x)および第2の軸(すなわち、y)において、2自由度を有する。
【0016】
コンピュータシステム100は、本教示を行うことができる。本教示のある実装によると、結果は、メモリ106内に含有される1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行する、プロセッサ104に応答して、コンピュータシステム100によって提供される。そのような命令は、記憶デバイス110等の別のコンピュータ可読媒体から、メモリ106内に読み込まれてもよい。メモリ106内に含有される命令のシーケンスの実行は、プロセッサ104に、本明細書に説明されるプロセスを行わせる。代替として、有線回路が、本教示を実装するためのソフトウェア命令の代わりに、またはそれと組み合わせて、使用されてもよい。したがって、本教示の実装は、ハードウェア回路およびソフトウェアの任意の具体的組み合わせに制限されない。
【0017】
用語「コンピュータ可読媒体」は、本明細書で使用されるように、実行のために、命令をプロセッサ104に提供する際に関与する、任意の媒体を指す。そのような媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含むが、それらに制限されない、多くの形態をとってもよい。不揮発性媒体は、例えば、記憶デバイス110等の光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メモリ106等の動的メモリを含む。伝送媒体は、バス102を備える配線を含む、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。
【0018】
コンピュータ可読媒体の一般的形態として、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、または任意の他の磁気媒体、CD−ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、ブルーレイディスク、任意の他の光学媒体、サムドライブ、メモリカード、RAM、PROM、およびEPROM、フラッシュ−EPROM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジ、あるいはコンピュータが読み取ることができる、任意の他の有形媒体形態が挙げられる。
【0019】
コンピュータ可読媒体の種々の形態は、実行のために、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ104に搬送することに関わり得る。例えば、命令は、最初は、遠隔コンピュータの磁気ディスク上で搬送されてもよい。遠隔コンピュータは、命令をその動的メモリ内にロードし、モデムを使用して、電話回線を介して、命令を送信することができる。コンピュータシステム100にローカルのモデムは、データを電話回線上で受信し、赤外線送信機を使用して、データを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器は、赤外線信号内で搬送されるデータを受信し、データをバス102上に置くことができる。バス102は、データをメモリ106に搬送し、そこから、プロセッサ104は、命令を受信し、実行する。メモリ106によって受信された命令は、随意に、プロセッサ104によって実行前または後、記憶デバイス110上に記憶されてもよい。
【0020】
種々の実施形態によると、プロセッサによって実行され、方法を行うように構成される命令は、コンピュータ可読媒体上に記憶される。コンピュータ可読媒体は、デジタル情報を記憶する、デバイスであることができる。例えば、コンピュータ可読媒体は、ソフトウェアを記憶するために、当技術分野において周知のように、コンパクトディスク読取専用メモリ(CD−ROM)を含む。コンピュータ可読媒体は、実行されるように構成される命令を実行するために好適なプロセッサによってアクセスされる。
【0021】
本教示の種々の実装の以下の説明は、例証および説明の目的のために提示される。包括的でもなく、本教示を開示される精密な形態に制限するものでもない。修正および変形例は、前述の教示に照らして可能である、または本教示の実践から取得されてもよい。加えて、説明される実装は、ソフトウェアを含むが、本教示は、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせとして、またはハードウェア単独において、実装されてもよい。本教示は、オブジェクト指向および非オブジェクト指向両方のプログラミングシステムによって実装されてもよい。
【0022】
データ処理のシステムおよび方法
前述のように、窓化質量分析走査を使用して、質量範囲全体を走査するための一例示的方法は、逐次窓化取得(SWATH)と呼ばれる。しかしながら、SWATHユーザは、SWATH実験数、蓄積時間、およびまたピークにわたるデータ点の数の平衡を保つ必要がある。
【0023】
例えば、SWATH技法は、液体クロマトグラフィ連結質量分析(LCMS)分析において検出可能な全種に対して生成イオンスペクトルを生成するための方法を提供する。これは、着目質量範囲にわたって段階的である、広い前駆体選択窓を使用することによって達成される。例示的前駆体選択窓は、25amuであるが、他の値およびさらに可変幅も、可能性として考えられる。窓幅および蓄積時間の選定は、以下のいくつかの考慮点を用いて、平衡を保つ。
【0024】
第1に、液体クロマトグラフィ(LC)ピークの忠実性を保つために、理想的には、ピークあたり8〜10のデータ点が、必要とされる。これは、サイクル毎に費やされ得る時間を定義する。
【0025】
本方法の性質のため、データの最大有効範囲は、完全質量範囲が走査されるときに生じる。これは、いくつかのステップ(窓)が、質量範囲を網羅するために要求される結果をもたらす。
【0026】
高度な選択性を維持するために、窓は、可能な限り狭く、窓あたり数個の前駆体をもたらすことが要求される。これは、断片イオン干渉の機会をほとんどもたらさない。これはまた、窓の数を増加させ、窓毎に要求される時間を削減する。
【0027】
最後に、ダイナミックレンジおよび感度の両方を最大限にするために、最大蓄積時間が、窓毎に要求される。
【0028】
図2は、種々の実施形態による、同一の数の重複測定質量選択窓幅を伴う、均一長の標的質量選択窓幅を走査するために使用される、均一長の重複測定質量選択窓幅の質量有効範囲の例証200である。質量範囲210は、例えば、標的質量選択窓幅B、C、およびDを使用した領域に及ぶ。標的質量選択窓幅あたりの標的時間は、tである。標的質量選択窓幅B、C、およびDに対応する重複を伴う、より広い測定された質量選択窓幅走査1、走査2、走査3、および走査4を使用して、同等情報が、より少ない時間内に抽出される。例えば、式1は、質量窓Cを2回網羅することによって、正しい有効範囲が、時間tの半分の間、各窓を分析することによって求められることを示す。
2C=走査2+走査3−走査1−走査4(1)
【0029】
例証200は、効果的走査窓が実際に使用される幅の半分であるように、測定された質量選択窓幅が、標的質量選択窓幅の50%だけオフセットされることを示す。
図2では、各標的質量選択窓幅は、2つの測定された質量選択窓幅によって重複される。より多くの重複もまた、より多いまたはより広い測定された質量選択窓幅とともに提供され、さらに、蓄積時間を短縮し、より狭い効果的幅を得ることができる。より多くの重複は、単に、所望の結果を生成するために加減される走査の数を増加させる。本方法は、狭い標的窓および測定窓毎に費やされるより少ない時間の利点を維持しながら、より広い測定窓が、使用されることを可能にする。
【0030】
図2では、測定された質量選択窓幅および標的質量選択窓幅は両方とも、均一幅を有する。種々の実施形態では、測定された質量選択窓幅、標的質量選択窓幅、または両幅は、可変であることができる。
図2では、各標的質量選択窓幅に対応する測定された質量選択窓幅の重複数は、均一である。種々の実施形態では、標的質量選択窓幅に対応する測定された質量選択窓幅の重複数は、可変であることができる。種々の実施形態では、測定または標的窓幅あるいは測定された質量選択窓幅の重複数の任意の組み合わせが、使用されることができる。
【0031】
図3は、種々の実施形態による、同一の数の重複測定質量選択窓幅を伴う、可変長の標的質量選択窓幅を走査するために使用される、可変長の重複測定質量選択窓幅の質量有効範囲の例証300である。
図3では、例えば、標的質量選択窓幅BおよびCは、異なる幅を有し、測定された質量選択窓幅走査1および走査2は、異なる幅を有する。
【0032】
図4は、種々の実施形態による、可変数の重複測定質量選択窓幅を伴う、均一長の標的質量選択窓幅を走査するために使用される、均一長の重複測定質量選択窓幅の質量有効範囲の例証400である。
図4では、例えば、標的質量選択窓幅BおよびCに対応する、測定された質量選択窓幅の重複数は、異なる。
【0033】
タンデム質量分析システム
図5は、種々の実施形態による、重複測定質量選択窓幅を使用して、試料を分析するためのシステム500を示す、概略図である。システム500は、タンデム質量分析計510およびプロセッサ520を含む。プロセッサ520は、限定ではないが、コンピュータ、マイクロプロセッサ、または制御信号およびデータを質量分析計510から送受信し、データを処理可能な任意のデバイスであることができる。
【0034】
タンデム質量分析計510は、2つ以上の質量分析を行う、1つ以上の物理的質量分析器を含むことができる。タンデム質量分析計の質量分析器として、飛行時間(TOF)、四重極、イオントラップ、線形イオントラップ、オービトラップ、またはフーリエ変換質量分析器が挙げられ得るが、それらに制限されない。タンデム質量分析計510はまた、分離デバイス(図示せず)を含むことができる。分離デバイスは、液体クロマトグラフィ、ガスクロマトグラフィ、キャピラリー電気泳動、またはイオン移動度を含むが、それらに制限されない、分離技法を行うことができる。タンデム質量分析計510は、それぞれ、空間または時間において、質量分析段階またはステップの分離を含むことができる。
【0035】
タンデム質量分析計510は、重複測定質量選択窓幅を可能にする、質量分析器を含む。
【0036】
プロセッサ520は、タンデム質量分析計510と通信する。プロセッサ520は、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割する。2つ以上の標的質量選択窓幅は、最小選択要件に基づく。2つ以上の標的質量選択窓幅は、同一の幅または可変幅を有することができる。
【0037】
プロセッサ520は、タンデム質量分析計510に、質量範囲にわたって、2つ以上の断片化走査を行うように命令する。2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を有する。2つ以上の断片化走査の2つ以上の測定された質量選択窓幅は、同一の幅または可変幅を有することができる。2つ以上の測定された質量選択窓幅のうちの少なくとも2つは、重複する。測定された質量選択窓幅内の重複は、2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する。
【0038】
タンデム質量分析方法
図6は、種々の実施形態による、重複質量選択窓幅を使用して、試料を分析するための方法600を示す、例示的流れ図である。
【0039】
方法600のステップ610では、試料の質量範囲は、プロセッサを使用して、2つ以上の標的質量選択窓幅に分割される。
【0040】
ステップ620では、タンデム質量分析計は、プロセッサを使用して、質量範囲にわたって、2つ以上の断片化走査を行うように命令される。2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を含む。2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅内の重複は、2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する。
【0041】
タンデム質量分析コンピュータプログラム製品
種々の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、有形コンピュータ可読記憶媒体を含み、そのコンテンツは、重複質量選択窓幅を使用して、試料を分析するための方法を行うように、プロセッサ上で実行される命令を伴う、プログラムを含む。本方法は、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システムによって行われる。
【0042】
図7は、種々の実施形態による、重複測定質量選択窓幅を使用して、試料を分析するための方法を行う、1つ以上の個別のソフトウェアモジュールを含む、システム700の概略図である。システム700は、分析モジュール710および断片化走査モジュール720を含む。
【0043】
分析モジュール710は、試料の質量範囲を2つ以上の標的質量選択窓幅に分割する。断片化走査モジュール720は、タンデム質量分析計に、質量範囲にわたって、2つ以上の断片化走査を行うように命令する。2つ以上の断片化走査の各断片化走査は、測定された質量選択窓幅を含む。2つ以上の断片化走査のうちの少なくとも2つの断片化走査の測定された質量選択窓幅内の重複は、2つ以上の標的質量選択窓幅の少なくとも1つの標的質量選択窓幅に対応する。
【0044】
本教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本教示が、そのような実施形態に制限されることを意図するものではない。対照的に、本教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。
【0045】
さらに、種々の実施形態の説明において、本明細書は、ステップの特定のシーケンスとして、方法および/またはプロセスを提示し得る。しかしながら、方法またはプロセスが、本明細書に記載されるステップの特定の順序に依拠しない程度において、方法またはプロセスは、説明されるステップの特定のシーケンスに制限されるべきではない。当業者が理解するであろうように、ステップの他のシーケンスも可能であり得る。したがって、本明細書に記載されるステップの特定の順序は、請求項に関する制限として解釈されるべきでない。加えて、方法および/またはプロセスを対象とする請求項は、そのステップの実施を書かれた順序に制限されるべきではなく、当業者は、シーケンスが、変動されてもよく、依然として、種々の実施形態の精神および範囲内にあることを容易に理解することができる。