(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
用語
説明及び特許請求の範囲で特定の用語が使用されており、大部分は周知であるが、いくらか説明を必要とする場合がある。本明細書で使用される場合、
単語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1つ以上を意味する。
【0026】
開示されるコーティングされた物品における異なる要素の位置について「〜の上に」、「〜上の」、「〜を覆った」、「最も上の〜」、「〜の下の」といった、向きを表す単語を使用することによって、水平かつ上向きに置かれた基材に対する所定の要素の相対的な位置を示すものである。基材又は物品が、製造中又は製造後に空間内で任意の特定の配向を有するべきであることを意図しない。
【0027】
基材あるいは本開示の物品又はフィルムにおけるバリアアセンブリに関する他の構成要素に関する層の位置を説明するための用語「オーバーコーティングされた」を使用することにより、基材又は他の構成要素の頂上にあるが、基材又は他の構成要素のいずれかに連続している必要はない、層を意味する。
【0028】
2つの無機バリア層に関する(コ)ポリマー層の位置を説明するための用語「により分離された」を使用することは、無機バリア層間にあるが、無機バリア層のいずれか連続している必要はない、(コ)ポリマー層を意味する。
【0029】
用語「バリアアセンブリ」、「バリアフィルム」又は「バリア層」は、蒸気、気体又は匂いの移動を不透過にするよう設計されたアセンブリ、フィルム又は層を指す。排除され得る例示的な気体類及び蒸気類としては、酸素及び/又は水蒸気が挙げられる。
【0030】
モノマー、オリゴマー、又は化合物に関する用語「(メタ)アクリレート」は、アルコールとアクリレート又はメタクリル酸との応生成物として形成される、ビニル官能アルキルエステルを意味する。
【0031】
「ポリマー」又は「(コ)ポリマー」という用語は、ホモポリマー及びコポリマー、並びに、例えば、共押出しによって、又は例えばエステル交換などの反応によって混和性ブレンド中で形成される場合があるホモポリマー又はコポリマーを含む。「コポリマー」という用語は、ランダム及びブロックコポリマーの両方を含む。
【0032】
用語「硬化」は、例えば水の摂取により反応してフィルム層が固化する又は粘度が増大するといった、化学変化をもたらすプロセスを指す。
【0033】
「架橋」(コ)ポリマーという用語は、(コ)ポリマー鎖が互いに共有化学結合によって、通常は架橋分子又は架橋基によって結合されてネットワーク(コ)ポリマーを形成している(コ)ポリマーを指す。架橋(コ)ポリマーは、一般に不溶性によって特徴付けられるが適当な溶媒の存在下で膨潤性を有してもよい。
【0034】
用語「硬化(コ)ポリマー層」には、架橋(コ)ポリマーと未架橋の(コ)ポリマーとの両方が含まれる。
【0035】
用語「T
g」は、薄フィルム形態ではなくバルクで評価される場合の硬化性(コ)ポリマーのガラス転移温度を指す。(コ)ポリマーが薄膜形状においてのみ試験され得る例においては、バルク形状のT
gは、通常合理的な精度で推定され得る。バルク形状のT
g値は、(コ)ポリマーについての部分移動の開始及び、(コ)ポリマーがガラス状からゴム状に変化すると見なすことができる時点での変曲点(通常、二次転移)を決定する、示差走査熱量計(DSC)を使用して、温度に対する熱対流の比を評価することにより通常測定される。バルク形状のT
g値は、動的機械熱分析(DMTA)法を使用しても推測され得る。同方法は、温度及び振動の周波数の関数としての(コ)ポリマーの係数の変化を測定する。
【0036】
「可視光透過性」支持体、層、アセンブリ、又はデバイスという用語の使用により、スペクトルの可視部分にわたり、垂直軸に沿って測定される平均透過率T
visが、少なくとも約20%である支持体、層、アセンブリ、又はデバイスであることを意味する。
【0037】
用語「金属」は、純金属(すなわち、例えば、銀、金、白金及び同様物などの元素形態の金属)又は金属合金を含む。
【0038】
用語「蒸着コーティング」又は「蒸着」は、例えば、前駆体材料を蒸発し、続いて基材表面上に成膜させて、コーティング又はコーティング材料そのものとするなど、蒸気相から基材表面にコーティングを適用することを意味する。例示的な蒸着コーティングプロセスとしては、例えば、物理蒸着(PVD)、化学気相成長法(CVD)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0039】
本開示の様々な例示的実施形態を特に図面に関連して説明する。本開示の例示的実施形態は、開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正や変更が可能である。したがって、本開示の実施形態は以下に記述する例示的実施形態に限定されず、請求項及びそれと同等の任意のものに定められた制限によって支配されるものと理解されたい。
【0040】
解決すべき課題の確認
可撓性バリアコーティング又はフィルムは、構成要素が水蒸気の侵入に感受性である電子装置に望ましい。多層バリアコーティング又はフィルムは、可撓性、軽量、耐久性であり、低コストの連続的なロール・ツー・ロール加工を可能にするなど、ガラスを上回る利点を提供し得る。
【0041】
多層バリアコーティング又はフィルムを産生するための既知の方法はそれぞれ制限を有する。化学蒸着法(CVD及びPECVD)では、基材上に吸着させると反応して無機コーティングを形成する蒸発金属アルコキシド前駆物質が形成される。これらの方法は一般的に成膜速度が低く制限されており(したがって線速度も低い)、アルコキシド前駆物質の利用効率が低い(アルコキシド蒸気の多くがコーティングに取り込まれない)。CVD法は、300〜500℃の範囲の、(コ)ポリマー基材には適当ではない場合のある高い基材温度を更に必要とすることが多い。
【0042】
固体材料の熱蒸発(例、抵抗加熱又は電子線加熱)などの真空法によっても金属酸化物の成膜速度は低くなる。熱蒸発は、均一性の高いコーティング(例えば、光学コーティング)を必要とするロール幅のウェブ用途用に規模を拡大することは困難であり、高品質のコーティングを得る上で基材の加熱を必要とする。更に蒸発/昇華法では、一般に小さい面積に限定されるイオン支援を、コーティングの品質を向上させる上で必要とする。
【0043】
金属酸化物の層を形成させる目的では、スパッタリングも用いられてきた。バリア酸化物層の形成に使用されるスパッタプロセスの成膜エネルギーは一般的に高いのに対し、(メタ)アクリレート層の成膜に関与するエネルギーは一般的に低い。結果として、(メタ)アクリレート層は、典型的には、(メタ)アクリレート層の下層、例えば、無機バリア酸化物下層に対して良好な接着特性を有さない。バリア酸化物に対する保護(メタ)アクリレート層の接着強度を増強させるためには、ケイ素サブオキシドのスパッタ薄層が有用であることが、当該技術分野で既知である。積層においてケイ素サブ酸化物層が含有されない場合、保護(メタ)アクリレート層はバリア酸化物に対し乏しい初期接着を有する。ケイ素サブ酸化物層スパッタプロセスは、精確な電圧及び気体流設定を用い、接着性能を維持して実施すべきである。この成膜プロセスは、歴史的にノイズを生じやすく、結果的に、保護(メタ)アクリレート層が変化し、接着性が低くなる。したがって、増強された接着堅牢性及びプロセスの複雑性の軽減のため、最終的なバリア構成体におけるケイ素サブ酸化物層の必要性を排除することが望ましい。
【0044】
標準的なバリア積層の「成膜に伴う」接着が当初基準を満たすものであった場合でも、サブ酸化物及び保護(メタ)アクリレート層は85℃/85%相対湿度(RH)の促進エージング条件に曝露したときに脆弱性を示す。この層間脆弱性は、結果として、予想よりも早い時期に、保護が意図される装置からの複合フィルムの層間剥離を引き起こし得る。85℃、85% RH下でエージングしたときの初期接着強度が改良され、維持される多層構成体が望ましい。
【0045】
この問題点に対する解決策の1つとして、「結合」層と呼ばれる特定の元素、例えばクロム、ジルコニウム、チタン、ケイ素などを使用することがあり、多くの場合、元素として、又は少量の酸素存在下で、材料の単一層、つまり薄層としてスパッタ成膜される。その後結合層の元素は、基材層である酸化物と、キャッピング層である(コ)ポリマーの両方と化学結合を形成できる。
【0046】
一般に、結合層は真空コーティング業界で使用され、異なる材料層間の接着をもたらす。層の成膜に用いられるプロセスにおいて、適切な結合層原子の層濃度を得るためには、微調整が必要なことが多い。成膜は、真空圧の変動、ガス放出、及び他のプロセスからの交叉混入など、真空コーティングプロセスにおけるわずかな変化の影響を受ける場合があり、製品の接着レベルの変動の原因となる。更に、結合層は、水蒸気への曝露後に初期の接着レベルを維持しないことが多い。複合フィルムにおける接着性を改良するため、よりロバストな溶液が望ましい。
【0047】
課題を解決するための手段の発見
驚くべきことに、我々は、以降に更に詳細に記載される少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物を含む保護(コ)ポリマー層を含む複合フィルムが、物品又はフィルムにおける多層複合バリアアセンブリの接着性及び湿分バリア性能を改良することを発見した。物品又はフィルムにおけるこれらの多層複合体バリアアセンブリは、ガラス封入材の適応性のある代替物として、光起電、表示装置、照明、及び電子装置マーケットにおいて多数の用途を有する。
【0048】
本開示の例示的な実施形態では、保護(コ)ポリマー層を物品又はフィルムにおける多層複合バリアアセンブリに適用する(例えば、蒸着コーティングにより)ためのプロセスにおいて使用される組成物を化学的に修飾することにより、望ましい技術的効果、並びに物品又はバリアフィルムにおいて改良された多層複合体バリアアセンブリを得るための技術的な課題に対する解決策が得られ、いくつかの例示的な実施形態においては、
1)無機酸化物表面との堅牢な化学結合、
2)(メタ)アクリレートコーティングに対する、(共)重合を介する堅牢な化学結合、
3)バルク(メタ)アクリレート材料と共蒸着され得るような、被修飾分子の物理的特性(例えば、沸点、蒸気圧及びこれに類するものなど)のいくつかの維持、が得られる。
【0049】
多層複合体バリアアセンブリ又はフィルム
代表的な実施形態では、本開示は、基材、ベース(コ)ポリマー層上の酸化物層、及び酸化物層上の保護(コ)ポリマー層を含む物品又はフィルムにおける多層複合バリアアセンブリを記載し、保護(コ)ポリマー層は、以降に更に記載する通り、式R
A−NH−C(O)−O−C(R
12R
13)−C(R
14R
15)−[C(R
16R
17)]
a−O−C(O)−N(R
5)−R
Sの少なくとも1つの前述のジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物を含む。基材は(コ)ポリマーフィルム又は電子デバイスから選択され、電子デバイスには、更に有機発光デバイス(OLED)、電気泳動発光デバイス、液晶ディスプレイ、薄膜トランジスタ、光起電力装置、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0050】
以降に更に説明する通り、本開示によるジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物は2工程で調製することができる。第1工程では、第一級又は第二級アミノシランを環状炭酸と反応させて、ヒドロキシアルキレン−カルバモイル−アルキレン−アルコキシシラン(「ヒドロキシカルバモイルシラン」と呼ばれる)を生成し、このヒドロキシカルバモイルシランを、未希釈の状態で、又は溶媒中で、イソシアネート官能性を有する(メタ)アクリレート化物質、及び場合により反応を促進するためのスズ化合物などの触媒と反応させて、本開示のジウレタン(メタ)アクリレート−シラン組成物を生成する。
【0051】
任意選択的な無機層、好ましくは酸化物層は、保護(コ)ポリマー層上に適用され得る。現在好ましい無機層は、少なくとも1つの酸化シリコンアルミニウム又は酸化インジウムスズを含む。
【0052】
図を参照すると、
図1は、単一ダイアドを含む耐湿コーティングを有する物品又はフィルム10におけるバリアアセンブリのダイアグラムである。フィルム10は、次の順に配置された複数の層を含む:基材12;ベース(コ)ポリマー層14;酸化物層16;保護(コ)ポリマー層18;及び任意選択的な酸化物層20。酸化物層16及び保護(コ)ポリマー層18は一緒にダイアドを形成するが、1つのダイアドのみを示す。フィルム10は、基材10及び最上ダイアド間に交互の酸化物層16及び保護(コ)ポリマー層18の追加のダイアドを含有し得る。
【0053】
特定の例示的な実施形態では、物品又はフィルムにおける複合バリアアセンブリは、ベース(コ)ポリマー層上に酸化物層及び保護(コ)ポリマー層の複数の交互層を含む。酸化物層及び保護(コ)ポリマー層は、一緒に「ダイアド」を形成し、1つの例示的な実施形態では、物品又はフィルムにおけるバリアアセンブリは物品又はフィルムにおいて多層バリアアセンブリを形成する1つ以上のダイアドを含有し得る。物品又はフィルム(すなわち、1つ以上のダイアドを含む)における多層バリアアセンブリの酸化物層及び/又は保護(コ)ポリマー層のそれぞれは、同一であっても異なっていてもよい。任意選択的な無機層、好ましくは酸化物層は、複数の交互層又はダイアド上に適用され得る。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態においては、前述の少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物を含む保護(コ)ポリマー層18は、フィルム10の耐湿性及び下層の酸化物層に対する保護(コ)ポリマー層18の接着の剥離強度を改良し、以下に更に記載する通り、更なるバリア積層との接着、及び層間剥離耐性の改良をもたらす。現在、物品又はフィルム10におけるバリアアセンブリに使用するのに好ましい材料を、以降及び実施例において同様に特定する。
【0055】
保護(コ)ポリマー層
本開示は、包装材、例えば、電子装置の包装に使用するとき、酸素及び/又は水蒸気のバリア透過を低減させるのに有用である、物品及びフィルムにおける複合バリアアセンブリにおいて使用される(すなわち、バリアフィルムとして)保護(コ)ポリマー層を記載する。それぞれの保護(コ)ポリマー層は、その製造において、ジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物として本明細書において記載の物質の少なくとも1つの組成物を含有し、それらの反応生成物は以下に記載の通り、(コ)ポリマーを形成する。
【0056】
したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、基材、基材の主表面上のベース(コ)ポリマー層、ベース(コ)ポリマー層上の酸化物層、及び酸化物層上の保護(コ)ポリマー層を含む物品又はフィルムにおける、バリアアセンブリを記載する。保護(コ)ポリマー層は、以降に記載の通り、少なくとも1つの前述の式R
A−NH−C(O)−O−C(R
12R
13)−C(R
14R
15)−[C(R
16R
17)]
a−O−C(O)−N(R
5)−R
Sのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物を含む。
【0057】
前述の任意の物品において、各加水分解性基Yは、独立して、アルコキシ基、アセテート基、アリールオキシ基、及びハロゲンから選択される。前述の物品のいくつかの特定の実施形態例において、少なくともいくつかの加水分解性基Yはアルコキシ基である。
【0058】
複合体バリアアセンブリ又はバリアフィルム材料
本開示は、以下に更に記載する通り、一般式R
A−NH−C(O)−N(R
4)−R
11−[O−C(O)NH−R
S]
n、又はR
S−NH−C(O)−N(R
4)−R
11−[O−C(O)NH−R
A]
nを有する少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物を含む保護(コ)ポリマー層を記載する。なかでも、このような少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物を含む(コ)ポリマー層は、物品又はバリアフィルムにおいて使用される複合バリアアセンブリの層間接着を改良するのに有用である。
【0059】
ジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物
本開示は、少なくとも1つの式R
A−NH−C(O)−O−C(R
12R
13)−C(R
14R
15)−[C(R
16R
17)]
a−O−C(O)−N(R
5)−R
Sのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物を含む、新規組成物も記載する。R
Aは、式R
11−(A)
nの基を含有する(メタ)アクリル基であり、式中、R
11は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基は、場合により、1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、Aは、式X
2−C(O)−C(R
3)=CH
2を含む(メタ)アクリル基であり、更に、X
2は、−O、−S、又は−NR
3であり、R
3は、独立して、H、又はC
1〜C
4であり、かつn=1〜5である。加えて、各R
12、R
13、R14、R
15、R
16、及びR
17は、独立して、Hであるか、場合により1〜3個のカテナリー酸素、硫黄又は窒素原子を含有し、かつ場合により1つ以上のヒドロキシル基で置換された炭素原子1〜6個の線状、分岐状又は環状アルキル基である。更に、R
Sは式−R
1−[Si(Y
p)(R
2)
3−p]
qのシラン含有基であり、式中、R
1は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基は、場合により1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、Yは加水分解性基であり、R
2は一価アルキル又はアリール基であり、pは1、2、又は3であり、かつqは、独立して、1〜5である。R
5はH、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6シクロアルキル、又はR
Sであり、かつaは、0、1、又は2である。
【0060】
前述の任意の実施形態において、各加水分解性基Yは、独立して、アルコキシ基、アセテート基、アリールオキシ基、及びハロゲンから選択される。いくつかの特定の例示的な本発明の好ましい実施形態では、少なくともいくつかの加水分解性基Yはアルコキシ基である。
【0061】
以降に更に説明する通り、本開示によるジウレタン(メタ)アクリレート−シランは2工程で調製することができる。第1工程では、第一級又は第二級アミノシランを環状炭酸と反応させて、「ヒドロキシカルバモイルシラン」と呼ばれるヒドロキシアルキレン−カルバモイルアルキレン−アルコキシシランを精製する。次の式が例となる。
【0063】
次に、このヒドロキシカルバモイルシランを、未希釈の状態で、又は溶媒中で、イソシアネート官能性を有する(メタ)アクリレート化材料、及び場合により反応を促進するためのスズ化合物などの触媒と反応させて、本開示のジウレタン(メタ)アクリレート−シラン組成物を提供する。
【0064】
モノイソシアネート官能性を有するいくつかの好適な(メタ)アクリレート化物質としては、3−イソシアナトエチルメタクリレート、3−イソシアナトエチルメタクリレート、及び1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートが挙げられる。
【0065】
本発明と関連して使用するのに好適なアミノシランは、第一級又は第ニ級であり得る。本発明の実施に有用ないくつかの第一級アミノシランは米国特許番号4,378,250号(Treadway et al.)に記載されており、このようなアミノシランとしては、アミノエチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリメトキシシラン、β−アミノエチルトリエトキシシラン、β−アミノエチルトリブトキシシラン、β−アミノエチルトリプロポキシシラン、α−アミノ−エチルトリメトキシシラン、α−アミノエチルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシ−シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリプロポキシシラン、β−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−アミノプロピルトリエトキシシラン、β−アミノプロピルトリプロポキシシラン、β−アミノプロピルトリブトキシシラン、α−アミノプロピルトリ−メトキシシラン、α−アミノプロピルトリエトキシシラン、α−アミノプロピルトリブトキシシラン、及びα−アミノプロピルトリプロポキシシランが挙げられる。
【0066】
本発明の実施に有用ないくつかの第ニ級アミノシランとしては、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−メチルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(プロピル−3−トリメトキシシラン)アミン、ビス(プロピル−3−トリエトキシシラン)アミン、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−ブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、N−シクロヘキシル−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、及びN−シクロヘキシルアミノメチルジエトキシ−モノメチルシランが挙げられる。
【0067】
いくつかの例示的な実施形態では、形成されるアルコールとの交換性が低い、トリエトキシシランなどのシランを選択することは有利となり得る。トリメトキシシランは、多くの場合、大幅にアルコール−トリアルコキシシラン交換を受けることが観察されている。一般に好ましい2つのアミノシランは、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)、及びビス(プロピル−3−トリエトキシシラン)アミンである。
【0068】
ヒドロキシカルバモイルシランの作製に有用な環状アルキレンカーボネートとしては、特に、炭酸エチレン、及びプロピレンカーボネート(4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン)が挙げられる。環状炭酸が対称でないとき、通常、2種の位置異性体が生じることになる。例えば、アミノプロピルトリエトキシシランと、プロピレンカーボネートとの反応に続く、イソシアナトエチルメタクリレートとの反応により、位置異性体として2種の生成物が得られる。
【0069】
【化2】
これは単一の式として表すことができる。
【0071】
ヒドロキシカルバモイルシランの組成についてのその他の詳細は、米国特許第5,866,651号に見ることができる。
【0072】
何らかの特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、本出願者らは、第1工程の反応生成物、すなわち、式R
A−NH−C(O)−O−C(R
12R
13)−C(R
14R
15)−[C(R
16R
17)]
a−O−C(O)−N(R
5)−R
Sの物質は、ジオールの各ヒドロキシル基が、選択的に、異なるイソシアネートと反応し、1つのヒドロキシル基がシラン官能性を有するイソシアネート化合物と反応し、1つのヒドロキシル基がアクリレート官能性を有するイソシアネート化合物と反応した結果であるものと考える。ジオールを、同時に又は連続的に2つの異なるイソシアネート材料(1つはシラン官能性を有し、もう1つは(メタ)アクリレート官能性を有する)と反応させた場合、3つのジウレタン化合物、それぞれ成分1)アクリレート基のみを有するもの、2)シラン基のみを有するもの、これに加えて所望の3)アクリレート基及びシラン基を有するもの、の混合物が生じる。
【0073】
1)第一級又は第二級アミノシランを環状炭酸と反応させて、ヒドロキシカルバモイルシランを生成し、続いて、2)ヒドロキシカルバモイルシランを、イソシアネート官能性を有する(メタ)アクリレート化物質と反応させる、2工程の連続する方法を使用して、シラン及び(メタ)アクリレート官能性を有するジウレタン物質を手際よく生成する。したがって、物質は、シランのみの物質又はアクリレートのみの物質を多量に含まず、式R
A−NH−C(O)−O−C(R
12R
13)−C(R
14R
15)−[C(R
16R
17)]
a−O−C(O)−N(R
5)−R
Sの物質からなる。
【0074】
ウレタン類の調製に関する追加の情報は、Polyurethanes:Chemistry and Technology,Saunders and Frisch,Interscience Publishers(New York,1963(Part I)、及び1964(Part II)に見ることができる。
【0075】
ジウレタン(メタ)アクリレート−シランカップリング剤の分子量は、真空下、十分な蒸気圧範囲におけるものであり、プロセス条件は、蒸発、続く液薄膜への凝縮を実施するのに効果的ものである。分子量は、好ましくは約2,000Da未満、より好ましくは1,000Da未満、更により好ましくは500Da未満である。
【0076】
好ましくは、ジウレタン(メタ)アクリレート−シランカップリング剤は、蒸着混合物の20重量%以下、より好ましくは蒸着混合物の19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%以下、更により好ましくは蒸着混合物の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は更には1重量%存在する。
【0077】
基材
基材12は、(コ)ポリマーフィルム又は電子デバイスから選択され、電子デバイスには、更に有機発光デバイス(OLED)、電気泳動発光デバイス、液晶ディスプレイ、薄膜トランジスタ、光起電力装置、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0078】
典型的には、電子装置の基材は感湿性電子装置である。感湿性電子装置は、例えば、有機、無機、又はハイブリッド有機/無機半導体装置であってよく、例えば、銅インジウムガリウム(ジ)セレン化物(CIGS)太陽電池などの光起電力装置、有機発光ディスプレイ(OLED)、エレクトロクロミックディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、又は量子ドットLCDディスプレイなどの液晶ディスプレイ(LCD)、などの表示装置、OLED又はその他のエレクトロルミネセンス固体照明装置、あるいはこれらの組み合わせ並びに同様物が挙げられる。
【0079】
いくつかの例示的な実施形態においては、基材12は、可撓性光透過性(コ)ポリマーフィルムなどの可撓性、可視光透過性基材であってよい。本発明の好ましい例示的な一実施形態においては、基材は実質的に透明であり、550nm下で、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%又は更には最大約100%の可視光透過率を有し得る。
【0080】
例示的な可撓性光透過性基材としては、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高又は低密度ポリエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、フルオロ(コ)ポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン及びポリテトラフルオロエチレン)、ポリエチレンスルフィド、並びにエポキシド、セルロース誘導体、ポリイミド、ポリイミドベンゾキサゾール及びポリベンゾキサゾールなどの熱硬化性フィルム、などの熱可塑性(コ)ポリマーフィルムが挙げられる。
【0081】
本発明の好ましい(コ)ポリマーフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、熱安定化PET、熱安定化PEN、ポリオキシメチレン、ポリビニルナフタレン、ポリエーテルエーテルケトン、フルオロ(コ)ポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリα−メチルスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフタルアミド、又はこれらの組み合わせを含む。
【0082】
いくつかの例示的な実施形態においては、基材は、米国特許出願第2004/0032658(A1)号に記載のものなどの多層光学フィルム(「MOF」)であってもよい。1つの例示的な実施形態では、フィルムは、PETを含む基材上に作製できる。
【0083】
(コ)ポリマーフィルムは、熱硬化、張力下でのアニーリング、又は高分子フィルムが拘束されていない場合に少なくとも熱安定化温度まで収縮を抑制するその他の技術を使用して熱安定化されてもよい。
【0084】
基材は、例えば約0.01〜約1mmなど、様々な厚さを有し得る。しかし、例えば自己支持型物品が所望される場合などでは、基材は、これよりかなり厚くてもよい。こうした物品はまた、可撓性の基材を使用して作成された開示されるフィルムを、より大きな厚さを有する不撓性又は可撓性のより小さい補助的支持部材に積層又は(積層でなければ)接合することによっても便宜よく製造することができる。
【0085】
ベース(コ)ポリマー層
図1を参照すると、ベース(コ)ポリマー層14には、薄膜の成膜に好適な任意の(コ)ポリマーを含有させ得る。例えば、一態様では、ベース(コ)ポリマー層14は、例えば、ウレタンアクリレート類、イソボルニルアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート類、エポキシアクリレート類、スチレンとブレンドされたエポキシアクリレート類、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート類、ジエチレングリコールジアクリレート類、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、ペンタアクリレートエステル類、ペンタエリトリトールテトラアクリレート類、ペンタエリトリトールトリアクリレート類、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート類、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート類、アルコキシル化三官能性アクリレートエステル類、ジプロピレングリコールジアクリレート類、ネオペンチルグリコールジアクリレート類、エトキシル化(4)ビスフェノールAジメタクリレート類、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル類、イソボルニルメタクリレート、環状ジアクリレート類及びトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート等のアクリレート類又はメタクリレート類、前述のメタクリレート類のアクリレート類、並びに前述のアクリレート類のメタクリレート類を含む(メタ)アクリレートモノマー及び/又はオリゴマーなどの様々な前駆体から形成されてもよい。好ましくは、ベース(コ)ポリマー前駆体は、(メタ)アクリレートモノマーを含む。
【0086】
ベース(コ)ポリマー層14は、モノマー又はオリゴマーの層を基材に塗布し、層を架橋し、例えばフラッシュ蒸着及び放射線架橋可能なモノマーの蒸着によってその位置でポリマーを形成し、続いて例えば、電子ビームデバイス、UV光源、放電デバイス、又はその他の適したデバイスを使用して架橋することによって形成することができる。コーティング効率は基材を冷却することによって向上させることができる。
【0087】
モノマー又はオリゴマーは、上記に明確に記載されるように、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、又はスプレーコーティング(例えば、静電気スプレーコーティング)等の従来のコーティング方法を使用して基材12に塗布され、続いて架橋され得る。ベース(コ)ポリマー層14は、溶媒中にオリゴマー又は(コ)ポリマーを含む層を塗布し、溶媒を除去するために、その塗布された層を乾燥することによって形成され得る。いくつかの場合では、プラズマ化学気相成長法(PECVD)を採用することもできる。
【0088】
最も好ましくは、ベース(コ)ポリマー層14は、フラッシュ蒸発及び蒸着後、その場で架橋することにより形成され、例えば、米国特許第4,696,719号(Bischoff)、米国特許第4,722,515号(Ham)、米国特許第4,842,893号(Yializis et al.)、米国特許第4,954,371号(Yializis)、米国特許第5,018,048号(Shaw et al.)、米国特許第5,032,461号(Shaw et al.)、米国特許第5,097,800号(Shaw et al.)、米国特許第5,125,138号(Shaw et al.)、米国特許第5,440,446号(Shaw et al.)、米国特許第5,547,908号(Furuzawa et al.)、米国特許第6,045,864号(Lyons et al.)、米国特許第6,231,939号(Shaw et al.)及び米国特許第6,214,422号(Yializis)、国際特許出願公開第00/26973号(Delta V Technologies,Inc.)、D.G.Shaw and M.G.Langlois,「A New Vapor Deposition Process for Coating Paper and Polymer Webs」,6th International Vacuum Coating Conference(1992)、D.G.Shaw and M.G.Langlois,「A New High Speed Process for Vapor Depositing Acrylate Thin Films:An Update」,Society of Vacuum Coaters 36th Annual Technical Conference Proceedings(1993)、D.G.Shaw and M.G.Langlois,「Use of Vapor Deposited Acrylate Coatings to Improve the Barrier Properties of Metallized Film」,Society of Vacuum Coaters 37th Annual Technical Conference Proceedings(1994),D.G.Shaw,M.Roehrig,M.G.Langlois and C.Sheehan,「Use of Evaporated Acrylate Coatings to Smooth the Surface of Polyester and Polypropylene Film Substrates」,RadTech(1996),J.Affinito,P.Martin,M.Gross,C.Coronado and E.Greenwell,「Vacuum Deposited Polymer/Metal Multilayer Films for Optical Application」,Thin Solid Films 270,43〜48(1995)、並びにJ.D.Affinito,M.E.Gross,C.A.Coronado,G.L.Graff,E.N.Greenwell and P.M.Martin,「Polymer−Oxide Transparent Barrier Layers」,Society of Vacuum Coaters 39th Annual Technical Conference Proceedings(1996)に記載の通りに形成される。
【0089】
いくつかの例示的な実施形態においては、ベース(コ)ポリマー層14(並びに同様に酸化物層16及び保護(コ)ポリマー層18)の平滑性及び連続性、並びに下層基材又は層に対するその接着は、適切な前処理により増強させることができる。好適な前処理レジメンの例は、好適な反応性又は非反応性雰囲気の存在下での放電(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電体バリア放電又は大気圧放電)、化学的前処理又はフレーム前処理を含む。これらの前処理は、続いて適用される(コ)ポリマー(又は無機)層の形成に対する、下層表面の受容力を高める助けとなる。プラズマ前処理は特に有用であり得る。
【0090】
いくつかの例示的な実施形態においては、ベース(コ)ポリマー層14とは異なる組成を有し得る別個の接着促進層を基材上又は下層に使用して接着性を改良することもできる。接着促進層は、例えば別個の(コ)ポリマー層、又は金属、金属酸化物、金属窒化物若しくは金属オキシナイトライドの層等の金属含有層であってもよい。接着促進層は、数nm(例えば、1又は2nm)〜約50nmの厚さを有してもよく、所望であれば、より厚くてもよい。
【0091】
ベース(コ)ポリマー層の所望の化学組成及び厚さは、基材の性質及び表面トポグラフィーに部分的に依存するであろう。厚さは、次の酸化物層を適用できる、滑らかな欠陥のない表面を提供するに十分であることが好ましい。例えば、ベース(コ)ポリマー層は、数nm(例えば、2又は3nm)〜約5μmの厚さを有してもよく、所望であれば、より厚くてもよい。
【0092】
別の態様では、バリアアセンブリは、(コ)ポリマーフィルム及び感湿性装置から選択される基材を含有し、バリア層は、基材上に配置され、又は基材に隣接する。以下に更に記載する通り、バリアアセンブリは、感湿性装置を含む(コ)ポリマーフィルム基材、又は基材上に直接成膜することができ、プロセスは、多くの場合直接成膜又は直接封入と呼ばれる。例示的な直接成膜プロセス及びバリアアセンブリ、又は米国特許第5,654,084号(Affinito)、米国特許第6,522,067号(Graff et al.)、米国特許第6,548,912号(Graff et al.)、米国特許第6,573,652号(Graff et al.)、並びに米国特許第6,835,950号(Brown et al.)に記載される。
【0093】
いくつかの例示的な実施形態においては、可撓性電子装置は、本明細書に記載の方法により直接封入され得る。例えば、装置は可撓性バリア基材に取り付けることができ、無機層(1つ又は複数)、(コ)ポリマー層(1つ又は複数)、又はその他の層(1つ又は複数)の成膜中に電気的接続をそれらから保護するために、マスクを成膜することができる。多層バリアアセンブリを構成する無機層(1つ又は複数)、(コ)ポリマー層(1つ又は複数)、及びその他の層(1つ又は複数)は、本開示中に記載される通りに成膜でき、次にマスクを除去し、電気的接続を露出させることができる。
【0094】
例示的な直接成膜又は直接封入の一実施形態において、感湿性装置は、感湿性電子装置である。感湿性電子装置は、例えば、有機、無機、又はハイブリッド有機/無機半導体装置であってよく、例えば、銅インジウムガリウム(ジ)セレン化物(CIGS)太陽電池などの光起電力装置、有機発光ディスプレイ(OLED)、エレクトロクロミックディスプレイ、電気泳動ディスプレイ、又は量子ドットLCDディスプレイなどの液晶ディスプレイ(LCD)、などの表示装置、OLED又はその他のエレクトロルミネセンス固体照明装置、あるいはこれらの組み合わせ並びに同様物が挙げられる。
【0095】
多層バリアアセンブリ及び好適な透明多層バリアコーティングを作製するための好適なプロセスの例は、例えば、米国特許第5,440,446号(Shaw et al.)、米国特許第5,877,895号(Shaw et al.)、米国特許第6,010,751号(Shaw et al.)、及び米国特許第7,018,713号(Padiyath et al.)において見ることができる。本発明の好ましい実施形態において、物品又はフィルムにおけるバリアアセンブリは、米国特許第5,440,446号(Shaw et al.)及び同第7,018,713号(Padiyath et al.)に記載されているシステムと同様のロール・ツー・ロール真空チャンバ内で、基材上に様々な層を成膜させることにより作製されてもよい。
【0096】
フラッシュ蒸発及び蒸着後、その場で架橋することによりベースポリマー層14が形成されることが本発明では好ましく、例えば、米国特許第4,696,719号(Bischoff)、米国特許第4,722,515号(Ham)、米国特許第米国特許第4,842,893号(Yializis et al.)、米国特許第4,954,371号(Yializis)、米国特許第5,018,048号(Shaw et al.)、米国特許第5,032,461号(Shaw et al.)、米国特許第5,097,800号(Shaw et al.)、米国特許第5,125,138号(Shaw et al.)、米国特許第5,440,446号(Shaw et al.)、米国特許第5,547,908号(Furuzawa et al.)、米国特許第6,045,864号(Lyons et al.)、米国特許第6,231,939号(Shaw et al.)、及び米国特許第6,214,422号(Yializis)、並びに国際特許出願公開第00/26973号(Delta V Technologies、Inc.)に記載の通りに形成される。
【0097】
酸化物層
物品又はフィルムにおける改良されたバリアアセンブリは、少なくとも1つの酸化物層16を含有する。酸化物層は、好ましくは少なくとも1つの無機材料を含む。好適な無機材料としては、異なる原子の酸化物、窒化物、炭化物、又はホウ化物が挙げられる。酸化物層に含有される本発明の好ましい無機材料には、第IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB、又はIIB族由来の原子、IIIB、IVB、又はVB属の金属、希土類金属、又はこれらの組み合わせの、酸化物、窒化物、炭化物、又はホウ化物が含まれる。いくつかの特に例示的な実施形態においては、無機層、より好ましくは無機酸化物層、を最上保護(コ)ポリマー層に適用することもできる。好ましくは、酸化物層は、酸化シリコンアルミニウム又は酸化インジウムスズを含む。
【0098】
いくつかの例示的な実施形態においては、酸化物層の組成は、層の厚み方向に向かって変化でき、すなわち傾斜組成であり得る。このような例示的な実施形態では、酸化物層は好ましくは少なくとも2つの無機材料を含有し、及び2つの無機材料の比は酸化物層の厚みにわたって変化する。2つ無機材料の比とは、それぞれの無機材料の相対的割合を指す。比は、例えば質量比、容積比、濃度比、モル比、表面積比又は原子比であってもよい。
【0099】
得られた傾斜酸化物層は、均質な単一構成成分層を改良するものである。バリア及び光学特性における更なる利益は、薄い真空成膜保護(コ)ポリマーフィルムと組み合わされた際に実現され得る。多層傾斜無機−(コ)ポリマーバリア積層は、光学特性及びバリア特性を向上させるよう形成され得る。
【0100】
物品又はフィルムにおけるバリアアセンブリは、米国特許第5,440,446号(Shaw et al.)及び同第7,018,713号(Padiyath et al.)に記載されているシステムと同様のロール・ツー・ロール真空チャンバ内で、基材上に様々な層を成膜させることにより作製されてもよい。層の成膜はインラインであってよく、系を単回通過させるものであってよい。いくつかの場合では、物品又はフィルムにおけるバリアアセンブリにシステムを複数回通過させて、いくつかのダイアドを有する物品又はフィルムにおける多層バリアアセンブリを形成することができる。
【0101】
第1及び第2の無機材料は、金属若しくは非金属原子、又は金属若しくは非金属原子の組み合わせの酸化物、窒化物、炭化物又はホウ化物であってもよい。「金属又は非金属」原子という表現は、周期律表IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB、若しくはIIB族の金属、又はIIIB、IVB若しくはVB族の希土類金属、又はそれらの組み合わせから選択される原子を意味する。好適な無機材料には、例えば、シリカ等の酸化ケイ素、アルミナ等の酸化アルミニウム、チタニア等の酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズ(「ITO」)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化ニオビウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化窒化アルミニウム、酸化窒化ケイ素、酸化窒化ホウ素、酸化ホウ化ジルコニウム、酸化ホウ化チタン、及びこれらの組み合わせ等の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸化窒化物、金属酸化ホウ化物、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ITOは、それぞれの元素成分を適切に選択することによって導電性になり得るセラミック材料の特殊部類の一例である。ケイ素−アルミニウム酸化物及び酸化インジウムスズは、酸化物層16を形成する、本発明の好ましい無機材料である。
【0102】
明確さのため、以下の説明に記載される酸化物層16は、酸化物の組成物に向けられているが、組成物は、上述したように酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、オキシ窒化物、オキシホウ化物等の任意のものを含んでもよいことを理解するべきである。
【0103】
酸化物層16の一実施形態において、第1の無機材料は酸化ケイ素であり、第2の無機材料は酸化アルミニウムである。この実施形態では、ケイ素とアルミニウムとの原子比が酸化物層の厚さ全体にわたって変化し、例えば、酸化物層の第1の表面の付近ではアルミニウムよりもケイ素が多く、第1の表面からの距離が増大するにつれてケイ素よりもアルミニウムの方が徐々に多くなる。一実施形態において、ケイ素のアルミニウムに対する原子比は、第1の表面からの距離が増大するにつれて単調に変化してもよく、すなわち比は第1の表面からの距離が増大するにつれて増大又は低下するが、第1の表面からの距離が増大するにつれて増大及び低下することはない。別の実施形態では、比は単調に増大又は低下せず、すなわち比は、第1の表面からの距離が増大するにつれて、第1の部分内で増大し、第2の部分内で低下してもよい。この実施形態では、第1の表面からの距離が増大するにつれて、比が数回増大及び低下してもよく、比は非単調である。1つの酸化物種から他の酸化物種への、酸化物層16の厚さ全体にわたる無機酸化物濃度の変化は、水蒸気透過率により測定して、バリア性能の改良をもたらす。
【0104】
バリア性能の改良に加えて、傾斜組成物は、改良されたバリア性能を保持する一方で他の独特の光学性能を有するよう作製され得る。層の組成物中の傾斜変化は、層を通した屈折率における対応する変化を生じる。高い屈折率から低い屈折率に、又はその逆に変化するように、材料を選択することができる。例えば、高い屈折率から低い屈折率になることにより、一方向に移動する光が層を容易に通過する一方、逆方向に移動する光が層により反射され得ることを可能にし得る。屈折率変化を用いて、層で保護されている発光デバイスからの光抽出を高めるように層を設計することができる。屈折率変化は、代わりに、層を通して太陽電池等の光回収デバイス内に光を通過させるのに使用することができる。改良されたバリア性能を維持する一方でバンドパスフィルタ等の他の光学的構造も層中に組み込むことができる。
【0105】
酸化物表面に対するシラン結合を促進する目的で、ヒドロキシルシラノール(Si−OH)基を新鮮なスパッタ成膜ジオキシド(SiO
2)層に形成することも望ましい。多重プロセス真空チャンバ内に存在する水蒸気量を十分に制御して、多くの結合部位をもたらす、十分に高い表面濃度でSi−OH基の形成を促進できる。残留気体をモニタリングし、水蒸気源を使用すると、真空チャンバ中の水蒸気量を制御して、十分にSi−OH基を発生させることができる。
【0106】
バリアアセンブリ又はバリアフィルムを含む物品の作製プロセス
他の例示的な実施形態では、本開示は、例えば、(コ)ポリマーフィルム基材上にバリアフィルムを作製するための、あるいは電子装置基材上に多層複合バリアアセンブリを成膜することにより物品を作製するためのプロセスを記載し、プロセスは、(a)基材の主表面にベース(コ)ポリマー層を適用すること、(b)ベース(コ)ポリマー層上に酸化物層を適用すること、並びに(c)酸化物層上に保護(コ)ポリマー層を成膜させることを含み、保護(コ)ポリマー層は、上記の通り、少なくとも1つの前述の式R
A−NH−C(O)−O−C(R
12R
13)−C(R
14R
15)−[C(R
16R
17)]
a−O−C(O)−N(R
5)−R
Sのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物として形成された(コ)ポリマーを含む。基材は(コ)ポリマーフィルム又は電子デバイスから選択され、電子デバイスには、更に有機発光デバイス(OLED)、電気泳動発光デバイス、液晶ディスプレイ、薄膜トランジスタ、光起電力装置、又はこれらの組み合わせが含まれる。
【0107】
プロセスのいくつかの例示的な実施形態では、少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物は、化学反応を経て、酸化物層の少なくとも一部分上に保護(コ)ポリマー層を形成する。場合により、化学反応はフリーラジカル重合反応、及び加水分解反応から選択される。
【0108】
前述の任意の物品において、各加水分解性基Yは、独立して、アルコキシ基、アセテート基、アリールオキシ基、及びハロゲンから選択される。前述の物品のいくつかの特定の実施形態例において、少なくともいくつかの加水分解性基Yはアルコキシである。
【0109】
任意の前述のプロセスのいくつかの特定の具体例となる実施形態において、工程(a)は、(i)ベース(コ)ポリマー前駆体を蒸発させること、(ii)蒸発させたベース(コ)ポリマーを前記基材上に濃縮させること、並びに(iii)蒸発させたベース(コ)ポリマーを硬化させて、ベース(コ)ポリマー層を形成すること、を含む。特定のこのような例示的な実施形態において、ベース(コ)ポリマー前駆体には(メタ)アクリレートモノマーが含まれる。
【0110】
任意の前述のプロセスの特定の具体例となる実施形態において、工程(b)は、酸化物をベース(コ)ポリマー層上に成膜させた酸化物層を形成することを含む。成膜は、スパッタ蒸着、反応性スパッタリング、化学気相成長法、又はこれらの組み合わせを使用して実施する。任意の前述のプロセスのいくつかの特に例示的な実施形態において、工程(b)は、ベース(コ)ポリマー層に無機酸化シリコンアルミニウム層を適用することを含む。任意の前述のプロセスの更に例示的な実施形態においては、プロセスは、ベース(コ)ポリマー層上に、保護(コ)ポリマー層及び酸化物層の交互層を多数形成するため、(b)及び(c)を連続的に反復する工程を更に含む。
【0111】
任意の前述のプロセスの追加の例示的な実施形態においては、工程(c)は、液体混合物から、少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と(メタ)アクリレート化合物とを少なくとも1回同時蒸着すること、あるいは別個の液体供給源から、少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と(メタ)アクリレート化合物とを連続的に蒸着することを更に含む。場合により、液体混合物は、約10重量%以下のジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物を含む。このようなプロセスの更なる例示的な実施形態では、工程(c)は、1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と(メタ)アクリレート化合物とを酸化物層上に同時濃縮すること、あるいはジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と(メタ)アクリレート化合物とを酸化物層上に連続的に濃縮すること、のうち少なくとも1つを更に含む。
【0112】
任意の前述のプロセスの更なる例示的な実施形態において、ジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と(メタ)アクリレート化合物とを反応させて、酸化物層上に保護(コ)ポリマー層を形成させることは、酸化物層の少なくとも一部分上で生じる。
【0113】
別の本発明の好ましい例示的な実施形態では、本開示は、フィルムを作製するためのプロセスを記載し、プロセスは、(a)ベース(コ)ポリマー層を(コ)ポリマーフィルム基材の主表面上に蒸着及び硬化させること、(b)ベース(コ)ポリマー層上に酸化物層を蒸着すること、及び(c)酸化物層上に保護(コ)ポリマー層を蒸着及び硬化すること、を含み、保護(コ)ポリマー層は、前述の通りの少なくとも1つの式R
A−NH−C(O)−O−C(R
12R
13)−C(R
14R
15)−[C(R
16R
17)]
a−O−C(O)−N(R
5)−R
Sのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物を含む。
【0114】
蒸着プロセスは、一般的に、送り出しすることができ(基準を満たす粘度を有する液相)、噴霧し(小型の液滴を形成する)、フラッシュ蒸発させ(真空条件下で十分に高蒸気圧)、凝縮させることができ(蒸気圧、分子量)、並びに真空下で架橋することができる(分子量範囲、反応性、官能性)組成に限定される。
【0115】
図2は、物品又はフィルム10におけるバリアアセンブリを作製するためのプロセスを示す、システム22の図である。システム22は、不活性環境内に収容され、フィルム26として表される通りの基材12(
図1)を受容しかつ移動させるための冷却ドラム24を含み、この受容及び移動により、冷却ドラム上のウェブを移動させて、バリア層を形成させる。好ましくは、ベース(コ)ポリマー層14(
図1)の基材12(
図1)に対する接着を改良する目的で、任意選択的な窒素プラズマ処理ユニット40を使用して、フィルム26をプラズマ処理又は下塗りすることもできる。ドラム24が、矢印25により示される方向へフィルム26を送り出すのに伴い、蒸発器28はベース(コ)ポリマー前駆体を適用し、この前駆体は硬化ユニット30によりベース(コ)ポリマー層14(
図1)を形成する。ドラム24がフィルム26を進めると、酸化物スパッタユニット32が酸化物を塗布して層16(
図1)が形成される。
【0116】
酸化物層16及び保護(コ)ポリマー層18の更なる交互層については、ドラム24を矢印25と逆方向に回転させ、次いでフィルム26を再度送って更なる交互のベースポリマー層及び酸化物層を塗布することができ、このサブプロセスを、交互層について所望する又は必要とするだけ繰り返してよい。ベース(コ)ポリマー及び酸化物が完了したならば、ドラム24は更にフィルムを送り出し、蒸発器36は酸化物層16に対し尿素(マルチ)−(メタ)アクリレート(マルチ)−シラン化合物(上記の通り)を成膜させ、この成膜させた化合物を反応又は硬化させて保護(コ)ポリマー層18(
図1)を形成する。特定の本発明の好ましい実施形態において、尿素(マルチ)−(メタ)アクリレート(マルチ)−シラン化合物を反応させて、保護(コ)ポリマー層18を酸化物層16上で形成することは、酸化物層16の少なくとも一部分上で生じる。
【0117】
任意選択的な蒸発器34を追加して使用して、保護(コ)ポリマー層18(
図1)の形成に有用であり得るその他の共反応物又は共モノマー(例えば、追加の保護(コ)ポリマー化合物)をもたらすこともできる。酸化物層16及び保護(コ)ポリマー層18の更なる交互層については、ドラム24を矢印25と逆方向に回転させ、次いでフィルム26を再度送って更なる交互の酸化物層16及び保護(コ)ポリマー層18を塗布することができ、このサブプロセスを、交互層又はダイアドについて所望する又は必要とするだけ繰り返してよい。
【0118】
酸化物層16は、スパッタリング(例えば、カソード又は平面マグネトロンスパッタリング)、蒸着(例えば、抵抗又は電子ビーム蒸着)、化学蒸着、めっき等のようなフィルム金属化技術に採用される技術を使用して形成されてもよい。一態様では、酸化物層16は、スパッタリング、例えば反応性スパッタリングを使用して形成される。従来の化学蒸着プロセスなどの低エネルギー技術と比較して、スパッタリング等の高エネルギー成膜技術によって酸化物層が形成される場合の障壁特性の向上が観察されている。理論に束縛されるものではないが、特性の向上は、基材に到達する種を、スパッタリングで生じるようなより大きな運動エネルギーで凝縮することによるものであり、圧縮の結果としてより低い空隙率につながると考えられる。
【0119】
いくつかの例示的な実施形態において、スパッタ成膜プロセスは、不活性気体及び反応性気体、例えばそれぞれアルゴン及び酸素を有する気体雰囲気の存在下、交流(AC)電源により電力を供給されるデュアルターゲットを使用し得る。AC電源は、デュアルターゲットのそれぞれに対する極性を交替し、したがってACサイクルの半分において、一方のターゲットはカソードであり、他方のターゲットはアノードである。次のサイクルでは、デュアルターゲットの間で極性が切り替わる。この切り替えは、設定周波数、例えば約40kHzにて生じるが、他の周波数を使用してもよい。プロセスに導入される酸素は、無機組成物を受容する両方の基材上に酸化物層を形成し、またターゲットの表面上にも形成する。スパッタリング中に誘電酸化物が帯電されて、スパッタ成膜プロセスを破壊し得る。極性の切り替えは、ターゲットからスパッタされている表面材料を中和することができ、また、均一性を提供し、成膜材料をより良好に制御することができる。
【0120】
更に例示的な実施形態において、デュアルACスパッタリングに用いられるターゲットのそれぞれは、単一の金属若しくは非金属元素、又は金属又は/若しくは非金属要元素の混合物を含んでもよい。移動する基材に最も近い酸化物層の第1の部分は、スパッタリングターゲットの第1のセットを使用して成膜される。次いで、基材はスパッタリングターゲットの第2のセットに近接して移動し、スパッタリングターゲットの第2のセットを使用して、第1の部分上に酸化物層の第2の部分が成膜される。酸化物層の組成物の厚さは、層にわたる方向において変化する。
【0121】
追加の例示的な実施形態において、スパッタ成膜プロセスは、不活性気体及び反応性気体、例えばそれぞれアルゴン及び酸素を有する気体雰囲気の存在下、直流(DC)電源により電力を供給されるターゲットを使用し得る。DC電源は、他の電源とは独立して電力(例えば、パルス電力)を各カソードターゲットに供給する。この態様では、個々のカソードターゲットのそれぞれと、対応する材料とは、異なるレベルの電力でスパッタされ、層の厚さ全体にわたって組成物の更なる制御を提供することができる。DC電源のパルス局面は、ACスパッタリングの周波数局面と類似し、酸素のような反応性気体種の存在下での高速スパッタリングの制御を可能にする。パルス式DC電源により極性の切り替えが可能となり、ターゲットからスパッタされている表面材料を中和することができ、また、均一性を提供し、成膜材料をより良好に制御することができる。
【0122】
特に例示的な実施形態において、スパッタリング中の制御は、各ターゲット中に元素の混合物、又は原子組成物を使用することにより改善することができ、例えば、ターゲットはアルミニウムとケイ素との混合物を含んでもよい。別の実施形態では、酸化物層全体にわたる様々な原子比を容易に提供するように、それぞれのターゲット中の元素の相対的割合が異なり得る。一実施形態において、例えばデュアルACスパッタリングターゲットの第1のセットは、ケイ素とアルミニウムとの90/10混合物を含んでもよく、デュアルACスパッタリングターゲットの第2のセットは、アルミニウムとケイ素との75/25混合物を含んでもよい。この実施形態では、酸化物層の第1の部分は90%Si/10%Alターゲットにより成膜でき、第2の部分は75%Al/25%Siターゲットにより成膜できる。得られた酸化物層は、酸化物層の厚さ全体にわたって約90% Si〜約25% Si(逆に約10% Al〜約75% Al)に変化する傾斜組成物を有する。
【0123】
典型的なデュアルACスパッタリングでは、均質な酸化物層が形成され、これらの均質な酸化物層のバリア性能は、層中のミクロ及びナノスケールの欠陥により悪化する。これら小スケールの欠陥の原因の1つは、本質的に酸化物の粒界構造への成長の仕方によるものであり、この粒界構造は次にフィルムの厚さを通して伝搬する。
【0124】
任意の特定の理論に束縛されることを望むものではないが、現在では、本願に記載の傾斜組成物バリアの、改良されたバリア特性には、いくつかの作用が関与するものと考えられている。1つの効果は、傾斜領域内に混合酸化物のより高い緻密化が生じ、水蒸気が通過し得る酸化物の任意の通路が、この緻密化により遮断されることである。別の効果は、酸化物材料の組成を変更することにより粒界形成が混乱され、その結果、同様に酸化物層の厚さを通して変更するフィルムのミクロ構造が生じることである。別の効果は、1つの酸化物の濃度が、他の酸化物濃度が厚さを通して増大するにつれて徐々に低下されて、小スケール欠陥部位の形成の可能性が低下することであり得る。欠損部位の減少により、水浸透の透過率が低下されたコーティングが生じ得る。
【0125】
いくつかの例示的な実施形態においては、例示的なフィルムには、加熱処理、紫外線(UV)又は真空UV(VUV)処理、又はプラズマ処理などの後処理を行うことができる。熱処理は、フィルムをオーブンに通過させるか、又は例えば赤外線ヒーターを使用するか、ドラム上で直接加熱するかしてコーティング装置内でフィルムを直接加熱することによって行うことができる。熱処理は例えば約30℃〜約200℃、約35℃〜約150℃、又は約40℃〜約70℃の温度で行うことができる。
【0126】
無機又はハイブリッドフィルムに設けることが可能な、他の機能性層又はコーティングとしては、必要に応じて設けられる、フィルムの剛性を高める層(単数又は複数)がある。フィルムの最上層は、場合により、任意選択的な無機層20などの好適な保護層である。必要に応じて、保護層は、ロールコーティング(例、グラビアロールコーティング)又はスプレーコーティング(例、静電スプレーコーティング)などの従来のコーティング法によって適用した後、例えば紫外線照射によって架橋することができる。保護層は上記に述べたように、フラッシュ蒸発、蒸着、及びモノマーの架橋によって形成させることもできる。揮発性の(メタ)アクリレートモノマーがこうした保護層での使用に好適である。特定の実施形態では、揮発性の(メタ)アクリレートモノマーを使用する。
【0127】
バリアフィルムの使用方法
更なる態様では、本開示は、上記の通りに作製されたバリアフィルムを、固体照明装置、表示装置、及びこれらの組み合わせから選択される部品に使用する方法を記載する。例示的な固体照明装置としては、半導体発光ダイオード(SLED、より一般的にはLEDとして既知)、有機発光ダイオード(OLED)、又はポリマー発光ダイオード(PLED)が挙げられる。例示的な表示装置としては、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイ、及び量子ドットディスプレイが挙げられる。
【0128】
例示的なLEDは、米国特許第8,129,205号に記載される。例示的なOLEDは、米国特許第8,193,698号、及び米国特許第8,221,176号に記載される。例示的なPLEDは、米国特許第7,943,062号に記載される。
【0129】
予期せぬ結果及び利点
本開示の物品又はフィルムにおける例示的なバリアアセンブリは、ガラス封入材料の可撓性代替物として、表示装置、照明装置、及び電子装置の市場において、多数の用途及び利点を有する。したがって、本開示の特定の例示的な実施形態は、湿分バリア用途にいて使用したときに改良された耐湿性を示す、物品又はフィルムにおけるバリアアセンブリを提供する。いくつかの例示的な実施形態においては、バリアアセンブリは、感湿性装置を含む基材上に直接蒸着することがで、プロセスは多くの場合直接封入と呼ばれる。
【0130】
感湿デバイスは、感湿性電子装置であってよく、例えばCIGSなどの光起電装置、OLED、エレクトロクロミック若しくは電気泳動ディスプレイなどの表示装置、OLED若しくは他のエレクトロルミネセント固体照明装置、又はその他を含む有機、無機、又はハイブリッド有機/無機半導体装置であってもよい。可撓性電子デバイスは、傾斜組成物酸化物層で直接カプセル封入されてもよい。例えば、デバイスは可撓性キャリア基材に取り付けられ、マスクを成膜させて電気接続を酸化物層の成膜から保護してもよい。上記の通りにベース(コ)ポリマー層及び酸化物層を成膜することができ、次にマスクを除去し、電気的接続を露出させることができる。
【0131】
本開示の方法の例示的な実施形態は、優れた機械特性(弾性及び可撓性など)を示しつつ、なおも低酸素又は水蒸気透過率を有するバリアアセンブリ物品又はフィルムにおいて形成することができる。バリアアセンブリは、少なくとも1つの無機若しくはハイブリッド有機/酸化物層を有し、又は追加の無機若しくはハイブリッド有機/酸化物層を有し得る。一実施形態において、開示されるバリアアセンブリは、有機化合物、例えば、(コ)ポリマー層を交互になっている無機又はハイブリッド層を有する。別の実施形態において、バリアアセンブリは、無機又はハイブリッド材料及び有機化合物を含有するフィルムを有し得る。本開示の方法を使用して形成されたバリアアセンブリを有する基材は、約1cc/m
2−日未満、約0.5cc/m
2−日未満、又は約0.1cc/m
2−日未満の酸素透過率(OTR)を有し得る。本開示の方法を使用して形成されたバリアアセンブリを有する基材は、約10cc/m
2−日未満、約5cc/m
2−日未満、又は約1cc/m
2−日未満の水蒸気透過率(WVTR)を有し得る。
【0132】
本開示による物品及びバリアフィルムにおけるバリアアセンブリの例示的な実施形態は、好ましくは可視光及び赤外光の両方に対し透過性である。本明細書で使用するとき、用語「可視光及び赤外線を透過する」とは、垂直軸に沿って測定した際にスペクトルの可視光及び赤外線部分の範囲の平均透過率が少なくとも75%(幾つかの実施形態では、少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)であることを意味することができる。いくつかの実施形態では、可視光及び赤外線透過性組立品は、400nm〜1400nmの範囲の平均透過率が少なくとも約75%(いくつかの実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)である。可視光及び赤外線透過性組立品は、例えば光電池による、可視光及び赤外線の吸収に関して干渉しないものである。いくつかの実施形態では、可視光及び赤外線透過性組立品は、光電池に有用である光の波長の範囲の平均透過率が少なくとも約75%(いくつかの実施形態では少なくとも約80、85、90、92、95、97又は98%)である。第1及び第2の(コ)ポリマーフィルム基材、感圧接着剤層、及びバリアフィルムを屈折率及び厚さ基準で選択して、可視光及び赤外光に対する透過性を向上させることができる。
【0133】
本開示による物品又はバリアフィルムにおけるバリアアセンブリの例示的な実施形態は、典型的には可撓性でもある。バリアフィルムに対し本明細書で使用するとき、用語「可撓性」は、ロールに形成することができることを意味する。いくつかのバリアフィルムの実施形態では、用語「可撓性」は、最大7.6cm(cm)(3in)、一部の実施形態では最大6.4cm(2.5in)、5cm(2in)、3.8cm(1.5in)、又は2.5cm(1in)の曲率半径を有するロール芯の周りに屈曲可能であることを指す。一部の実施形態では、可撓性組立品は、少なくとも0.635cm(1/4in)、1.3cm(1/2in)又は1.9cm(3/4in)の曲率半径の周りに屈曲可能である。
【0134】
本開示による物品及びバリアフィルムにおけるバリアアセンブリの例示的な実施形態は、一般的には、多層構造における熱応力又は収縮から生じ得る層間剥離又は反りを示さない。本明細書では、バリアフィルムの反りは、「Measurement of Web Curl」(Ronald P.Swansonにより2006 AWEB conference proceedingsで発表)(Association of Industrial Metallizers,Coaters and Laminators,Applied Web Handling Conference Proceedings,2006)で記述されている、カールゲージを用いて測定される。この方法によれば、反りを0.25m
−1曲率の分解能で測定することができる。一部の実施形態では、本開示によるバリアフィルムは、最大7、6、5、4、又は3m
−1の反りを示す。固体力学から、梁の曲率は、印加した曲げモーメントに比例することが知られている。同様に、曲げ応力の大きさは、曲げモーメントに比例することが知られている。これらの関係から、試料のカールを使用して、残留応力を相対的に比較することができる。
【0135】
同様に、バリアフィルムは、典型的にはEVA、及び基材上で硬化させた光起電セル用の他の共通の封入材に対しても高い剥離接着性を示す。本明細書に記載のバリアフィルムの性質は、典型的には、高温及び高湿エージングの後でも維持される。
【0136】
以上、本開示の典型的な実施形態について説明してきたが、以下の実施例によって以下に更に例示する。実施例は、本開示の範囲に限定を課すものと決して解釈すべきではない。それとは逆に、本明細書中の説明を読むことによって、本開示の趣旨及び/又は添付の請求項の範囲を逸脱することなく当業者に示唆され得る様々な他の実施形態、修正、及びそれらの等価物が考えられることは明確に理解されるはずである。
【実施例】
【0137】
以下の実施例は、本開示の範囲内の例示の実施形態を示すことを目的とする。更に、本開示の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは、近似値であるにも関わらず、具体的な実施例に記載される数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、いずれの数値も、それらのそれぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本来有している。少なくとも特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、通常の四捨五入を適用することによって解釈されなければならない。
【0138】
材料
次の材料、略語、及び商品名を実施例で使用する。
対象とする90% Si/10% Alは、Materion Advanced Chemicals,Inc.(Albuquerque,NM)から得た。
【0139】
ETFEフィルム:St.Gobain Performance Plastics(Wayne,NJ)から「NORTON(登録商標)ETFE」の商標名で入手できるエチレン−テトラフルオロエチレンフィルム。
【0140】
表1には、前述の開示による(マルチ)−(メタ)アクリレート(マルチ)−シラン化合物を作製するために使用した材料を掲載する。
【0141】
【表1】
【0142】
用いた溶媒及びその他の試薬は、別途記載のない限り、Sigma−Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI)から入手した。
【0143】
ジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の合成
予備実施例1
250mL丸底フラスコに23.06g(0.2259mol)のプロピレンカーボネートと、102μLの10%ジラウリン酸ジブチル錫(DBTDL)のメチルエチルケトン(500ppm DBTDL)溶液とを充填し、55℃の油浴に置いた。滴加漏斗に均一に圧をかけ、10分かけて50.0g(0.2259mol)のアミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)を加えた。2時間加熱を続けて、(EtO)
3Si−(CH
2)
3−NH−C(O)−O−CH
2CH(CH
3)−OH及び(EtO)
3Si−(CH
2)
3−NH−C(O)−O−CH(CH
3)CH
2−OHの混合物を得た。
【0144】
新しい250mL丸底フラスコに32.27g(0.221mol)のイソシアナトエチルメタクリレート(IEM)と、1244μLの10% DBTDLのメチルエチルケトン溶液(DBTDLが追加で1000ppm)とを充填し、55℃の油浴に置いた。30分かけて、フラスコに71.45g(0.221mol)の上記の混合物を加えた。追加の反応時間として更に1.5時間加熱を続けた。次にフーリエ変換赤外(FTIR)分光分析のためサンプルを回収したところ、サンプルは2265cm
−1においてイソシアネートピークを示さなかった。
【0145】
【化4】
【0146】
予備実施例2
第1の反応では19.89g(0.2259mol)の炭酸エチレンを50.0g(0.2259mol)のアミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)と反応させたこと、並びにDBTDL溶液は加えなかったことを除き、予備実施例1と同様に実験を実施した。カルバメートアルコールが形成された。
【0147】
第2の反応は、67.37g(0.2177mol)のカルバメートアルコールを33.78g(0.2177mol)のイソシアナトエチルメタクリレート(IEM)と、約1000ppmのDBTDLと反応させて生成物を得たことを除き、実施例1の第2の反応と同様に実施した。
【0148】
【化5】
【0149】
予備実施例3
250mL丸底フラスコに8.79g(0.086mol)のプロピレンカーボネートと、300ppmのDBTDLのMEK溶液とを充填し、55℃の油浴に配置した。滴加漏斗に均一に圧をかけ、10分かけて19.06g(0.086mol)のアミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)を加えた。6時間加熱を続けて、(EtO)
3Si−(CH
2)
3−NH−C(O)−O−CH
2CH(CH
3)−OH及び(EtO)
3Si−(CH
2)
3−NH−C(O)−O−CH(CH
3)CH
2−OHの混合物を得た。
【0150】
追加して1000ppmのDBTDLをフラスコに加えた。滴加漏斗を使用して、10分かけて12.15g(0.086mol)IEAを反応物に加えた。追加の2時間の反応時間後のFTIR分析では、イソシアネートピークは示されず、生成物は粘稠な白色味がかったペーストとして単離された。
【0151】
【化6】
【0152】
予備実施例4
第1の反応において、300ppm DBTDLの存在下で、7.82g(0.089mol)の炭酸エチレンを19.65g(0.089mol)のアミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)と反応させてカルバメートアルコールを生成したことを除き、予備実施例3と同様に実験を実施した。
【0153】
予備実施例3と同様、追加の1000ppmのDBTDLをフラスコに加えた。滴加漏斗を使用して、10分かけて12.53g(0.089mol)IEAを反応物に加えた。次の生成物を得た。
【0154】
【化7】
【0155】
予備実施例5
オーバーヘッドスターラーを取り付けた250mL丸底フラスコに、23.08g(0.226mol)のプロピレンカーボネートを充填した。次に、フラスコには更に430μL(約5640ppm)のDBTDLのMEK溶液を充填し、55℃の乾燥空気下に配置した。乾いている滴下漏斗をアミノプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan AMEO)で共洗いし、この材料を重力により漏斗を通じて排出させた。次に漏斗を計量し、フラスコ内に50.00g(0.226mol)のアミノプロピル−トリメトキシシランを充填するのに使用した。反応物へのアミノプロピル−トリメトキシシランの添加には11分かけた。合計1時間の反応(添加を含む)後、プロトンNMR分析のため反応物を回収したところ、反応が未完了であったことがすぐに判明した。フラスコを一晩冷蔵庫に保管した。翌朝、反応物を55℃に加熱して4時間後に、NMR分析を再度実施した。この時点で、反応はほぼ完了していたことが明らかとなった。
【0156】
35.05g(0.108mol)のプロピレンカーボネート−アミノプロピルトリメトキシシランカルバメートアルコール付加化合物をフラスコに残して、生成物のおよそ半分をフラスコから回収した。更に150μLのDBTDL溶液をフラスコに加えた。乾いた滴下漏斗を1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(BEI)で共洗いし、この材料に重力により漏斗を通過させた。次に漏斗を計量し、次に漏斗を計量し、フラスコに更に25.89g(0.108mol)のBEIを充填するのに使用した。反応物へのBEIの添加には10分かけた。55℃で8時間の反応後、静置して12時間かけて室温に放冷させたところ、FTIR分析ではイソシアネートピークは見られず、生成物が得られた。
【0157】
【化8】
【0158】
構造は、材料が、ハッシュマークにより分離された2つの酸素原子間のいずれかの炭素上に位置するメチル基を有する生成物の混合物であることを示す。
【0159】
予備実施例6
オーバーヘッドスターラーを取り付けた100mL丸底フラスコに、8.0g(0.078mol)プロピレンカーボネートと、97μLのDBTDLのMEK溶液(2353ppmのDBTDLを提供する)とを充填した。乾燥空気下でフラスコを50℃の油浴に配置した。滴加漏斗により、約15分かけて、33.36g(0.078mol)のビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンを加えて、黄透明な液体の形態でウレタンアルコールジシランを得た。
【0160】
更に3.5時間の反応後、フラスコには更に36μLのDBTDLを充填し、26.02g(0.078mol)のIEAを約15分かけてフラスコに加えた。一晩かけて温度を40℃に低下させた後、FTIR分析を行ったところ、イソシアネートピークは観察されず、生成物が単離された。
【0161】
【化9】
【0162】
予備実施例7
オーバーヘッドスターラーを取り付けた100mL丸底フラスコに、8.0g(0.078mol)プロピレンカーボネートと、97μLのDBTDLのMEK溶液(2353ppmのDBTDLを提供する)とを充填した。乾燥空気下でフラスコを50℃の油浴に配置した。滴加漏斗により、33.36g(0.078mol)のビス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミンを40℃で約20時間かけて反応させて、予備実施例6のものと同一のウレタンアルコールジシラン中間体を得た。
【0163】
フラスコに、更に追加の44μLのDBTDL溶液を充填し、18.75g(0.078mol)のBEIを約10分かけてフラスコに加えた。反応から約1日後、FTIR分析によりイソシアネートピークは示されず、生成物が単離された。
【0164】
【化10】
【0165】
複合体バリアアセンブリ及びバリアフィルムの作製
多層複合体バリアアセンブリ及びバリアフィルム例を、米国特許第5,440,446号(Shaw et al.)及び同第7,018,713号(Padiyath et al.)に記載されている塗布機と類似した真空塗布機で作製した。
【0166】
想定されるソーラー式モジュールの形成に関する以降の比較例8及び実施例9〜13を、屋外環境におけるエージングを模倣するよう設計された条件下に暴露し、次に、剥離試験を行い、上記予備実施例のジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物が剥離接着の改良に有効かどうか決定した。これらの全ての例に共通するいくつかの手順を最初に示す。
【0167】
3M Company(St.Paul,MN)から3M OPTICALLY CLEAR ADHESIVE 8172Pとして市販の0.05mm厚感圧接着剤(PSA)を使用して、以降の実施例による複合フィルムを、St.Gobain Performance Plastic(Wayne,NJ)からNORTON(登録商標)ETFEとして市販の0.05mm厚エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)フィルムに積層した。それぞれの実施例において形成された積層バリアシートを、次に、0.14mm厚ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被覆アルミ箔(McMaster−Carr,Santa Fe Springs,CA)から8656K61として市販)上に配置し、バリアシート及びPTFEの間の箔周縁に、13mm幅の乾燥エッジテープ(Truseal Technologies,Inc.(Solon,OH)からSOLARGAIN Edge Tape SET LP01”として市販)を配置した。
【0168】
JURASOLとして市販(JuraFilms(Downer Grove,IL))の0.38mm厚封入フィルムを、積層バリアシートの追加層及び箔間に入れて、封入体と、積層バリアシートの追加層を箔裏面上に配置した。150℃で12分にわたって、複数要素構成体を真空積層した。
【0169】
試験方法
エージング試験
上記のいくつかの積層構成体を、85℃及び相対湿度85%の条件に設定した環境チャンバにおいて、250時間及び500時間エージングした。
【0170】
T型剥離接着試験
未エージング及び被エージングバリアシートを、PTFE表面から切り離し、ASTM D1876−08T型剥離試験方法を使用する接着試験のため、幅1.0in(25.4mm)の短冊状に切り出した。TESTWORKS 4(MTS,Inc.(Eden Prairie,MN)から市販のソフトウェア)を搭載した剥離試験機(INISIGHT 2 SLとして市販)によりサンプルを剥離した。10in/分(25.4cm/分)の剥離速度を使用した。以下の表II中に報告される接着値は4回の剥離測定値の平均である。
【0171】
実施例8(比較)
この実施例は、実施例1〜7で記載され使用された通りの架橋剤を不含有である場合の比較例とする。ポリエチレンテレフタレート(PET)基材フィルムを、アクリル酸平滑層と、無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアと、アクリル酸保護層との積層により被覆した。個々の層は以下のように形成された。
【0172】
((メタ)アクリレート平滑層の成膜)
厚0.127mm×幅366mmのPETフィルム長さ305mのロール(Dupont(Wilmington,DE)から)XST 6642として市販)をロール・ツー・ロール真空プロセシングチャンバ内に装填した。チャンバを圧力1×10
−5Torr(0.001Pa)に減圧した。フィルムの背面と、−10℃に冷却したコーティングドラムとの接触を維持しながら、ウェブ速度を4.8m/分に維持した。フィルムがドラムと接触した状態で、フィルム表面を、0.02kWのプラズマ出力で窒素プラズマ処理した。次に、フィルム表面をトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(Sartomer USA(LLC,Exton,PA)からSR−833Sとして市販)によりコーティングした。より詳細には、コーティングより前に20mTorr(2.7Pa)圧まで真空下でジアクリレートを脱気し、シリンジポンプに装填し、流速1.33mL/分で、超音波アトマイザーから、260℃に維持した加熱真空チャンバに周波数60kHzにて送液した。得られたモノマー蒸気流をフィルム表面上で凝結させ、7.0kV及び4mAにて操作した多フィラメント電子ビーム硬化銃を用いて電子ビーム架橋したところ、720nmのアクリレート層を生じた。
【0173】
(無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアの成膜)
アクリレート成膜の直後、フィルムが依然としてドラムと接触している状態で、アクリレートコーティングされたウェブ表面上にSiAlOx層をスパッタ成膜した。2つの交流(AC)電源を使用して、2対のカソードを制御した。それぞれのカソードは2つの90% Si/10% Alターゲット(Materion(Albuquerque,NM)から市販)を収容した。スパッタ成膜中、各電源からの電圧信号を比例−積分−差動制御ループに関する入力として使用して、各カソードに対する所定の酸素の流れを維持した。AC電源は、5000ワットの電力を使用して、スパッタ圧3.5mTorr(0.47Pa)で450sccmのアルゴンと63sccmの酸素とを含有する気体混合物により、90% Si/10% Alターゲットをスパッタした。これによって、上記のアクリレートの最上部に30nm厚のSiAlOx層の成膜がもたらされた。
【0174】
((メタ)アクリレート保護層の成膜)
概して平滑層の成膜と同一の条件を使用して、但し以下の点を変更し、SiAlOx層の成膜の直後に、フィルムはドラムに接触させたまま、アクリル酸保護層2をコーティングし、同一ウェブ上で架橋した。電子ビーム架橋は、7kV及び5mAで作動させた多フィラメント電子ビーム硬化銃を用いて行った。これにより、層2上に720nmのアクリレート層がもたらされた。
【0175】
得られた(コ)ポリマー基材上の3層積層を、入射角0°で測定して、87%の平均スペクトル透過率T
vis(400nm〜700nmの間で%透過率Tを平均して求めた)を示した。MOCON PERMATRAN−W(登録商標)モデル700 WVTR試験システム(MOCON,Inc(Minneapolis,MN)から市販)を使用して、ASTM F−1249に従って、50℃及び相対湿度(RH)100%にて水蒸気透過率(WVTR)を測定した。結果は、装置の検出下限速度0.005g/m
2/日を下回った。
【0176】
得られる3層積層を使用して、上記一般的な手順の項に記載される通りの、想定されるソーラーモジュール構成体を形成した。これらの想定されるソーラー式モジュールを、エージング試験による促進エージングに暴露し、次に、上記の通り、T型剥離接着性を評価した。T型剥離接着試験の結果を、以下の表2に示す。
【0177】
実施例9
ポリ(エチレン)テレフタレート(PET)基材フィルムを、アクリル酸平滑層と、無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアと、本発明の分子を含有するアクリル酸保護層との積層により被覆した。各層は、保護層の形成中に、100%トリシクロデカンジメタノールジアクリレートSR−833Sを使用する代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリル酸SR−833S 97重量%と、上記の予備実施例2において合成される化合物3重量%との混合物を使用したことを除き、比較例8におけるものの通りに形成した。
【0178】
(コ)ポリマー基材上に得られる3層積層は、平均分光透過率T
vis=87%と、0.005g/m
2/日未満のWVTRとを示した。いずれも比較例8に記載の通りに試験した。次に、得られる3層積層を使用して、上記一般的な手順の項に記載される通りの、想定されるソーラーモジュール構成体を形成した。これらの想定されるソーラー式モジュールを、エージング試験による促進エージングに暴露し、次に、上記の通り、T型剥離接着性を評価した。T型剥離接着試験の結果を、以下の表2に示す。
【0179】
実施例10
ポリ(エチレン)テレフタレート(PET)基材フィルムを、アクリル酸平滑層と、無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアと、本発明の分子を含有するアクリル酸保護層との積層により被覆した。各層は、保護層の形成中に、100%トリシクロデカンジメタノールジアクリレートSR−833Sを使用する代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリル酸SR−833S 97重量%と、上記の予備実施例3において合成される化合物3重量%との混合物を使用したことを除き、比較例8におけるものの通りに形成した。
【0180】
(コ)ポリマー基材上に得られる3層積層は、平均分光透過率T
vis=87%と、0.005g/m
2/日未満のWVTRとを示した。いずれも比較例8に記載の通りに試験した。次に、得られる3層積層を使用して、上記一般的な手順の項に記載される通りの、想定されるソーラーモジュール構成体を形成した。これらの想定されるソーラー式モジュールを、エージング試験による促進エージングに暴露し、次に、上記の通り、T型剥離接着性を評価した。T型剥離接着試験の結果を、以下の表2に示す。
【0181】
実施例11
ポリ(エチレン)テレフタレート(PET)基材フィルムを、アクリル酸平滑層と、無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアと、本発明の分子を含有するアクリル酸保護層との積層により被覆した。各層は、保護層の形成中に、100%トリシクロデカンジメタノールジアクリレートSR−833Sを使用する代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリル酸SR−833S 97重量%と、上記の予備実施例4において合成される化合物3重量%との混合物を使用したことを除き、比較例8におけるものの通りに形成した。
【0182】
(コ)ポリマー基材上に得られる3層積層は、平均分光透過率T
vis=87%と、0.005g/m
2/日未満のWVTRとを示した。いずれも比較例8に記載の通りに試験した。次に、得られる3層積層を使用して、上記一般的な手順の項に記載される通りの、想定されるソーラーモジュール構成体を形成した。これらの想定されるソーラー式モジュールを、エージング試験による促進エージングに暴露し、次に、上記の通り、T型剥離接着性を評価した。T型剥離接着試験の結果を、以下の表2に示す。
【0183】
実施例12
ポリ(エチレン)テレフタレート(PET)基材フィルムを、アクリル酸平滑層と、無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアと、本発明の分子を含有するアクリル酸保護層との積層により被覆した。各層は、保護層の形成中に、100%トリシクロデカンジメタノールジアクリレートSR−833Sを使用する代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリル酸SR−833S 97重量%と、上記の予備実施例6において合成される化合物3重量%との混合物を使用したことを除き、比較例8におけるものの通りに形成した。
【0184】
(コ)ポリマー基材上に得られる3層積層は、平均分光透過率T
vis=87%と、0.005g/m
2/日未満のWVTRとを示した。いずれも比較例8に記載の通りに試験した。次に、得られる3層積層を使用して、上記一般的な手順の項に記載される通りの、想定されるソーラーモジュール構成体を形成した。これらの想定されるソーラー式モジュールを、エージング試験による促進エージングに暴露し、次に、上記の通り、T型剥離接着性を評価した。T型剥離接着試験の結果を、以下の表2に示す。
【0185】
実施例13
ポリ(エチレン)テレフタレート(PET)基材フィルムを、アクリル酸平滑層と、無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアと、本発明の分子を含有するアクリル酸保護層との積層により被覆した。各層は、保護層の形成中に、100%トリシクロデカンジメタノールジアクリレートSR−833Sを使用する代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリル酸SR−833S 97重量%と、上記の予備実施例7において合成される化合物3重量%との混合物を使用したことを除き、比較例8におけるものの通りに形成した。
【0186】
(コ)ポリマー基材上に得られる3層積層は、平均分光透過率T
vis=87%と、0.005g/m
2/日未満のWVTRとを示した。いずれも比較例8に記載の通りに試験した。次に、得られる3層積層を使用して、上記一般的な手順の項に記載される通りの、想定されるソーラーモジュール構成体を形成した。これらの想定されるソーラー式モジュールを、エージング試験による促進エージングに暴露し、次に、上記の通り、T型剥離接着性を評価した。T型剥離接着試験の結果を、以下の表2に示す。
【0187】
実施例14(比較)
ポリ(エチレン)テレフタレート(PET)基材フィルムを、アクリル酸平滑層と、無機酸化シリコンアルミニウム(SiAlOx)バリアと、本開示の分子を含有するアクリル酸保護層との積層により被覆した。各層は、保護層の形成中に、100%トリシクロデカンジメタノールジアクリレートSR−833Sを使用する代わりに、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートSR−833S 97重量%と、N−n−ブチル−アザ−2,2−ジメトキシジメトキシシラシクロペンタン(Gelest,(Morrisville,PA)から商品番号1932.4で市販)3重量%との混合物を使用したことを除き、比較例8におけるものの通りに形成した。
【0188】
(コ)ポリマー基材上に得られる3層積層は、平均分光透過率T
vis=87%と、0.005g/m
2/日未満のWVTRとを示した。いずれも比較例8に記載の通りに試験した。次に、得られる3層積層を使用して、上記一般的な手順の項に記載される通りの、想定されるソーラーモジュール構成体を形成した。これらの想定されるソーラー式モジュールを、エージング試験による促進エージングに暴露し、次に、上記の通り、T型剥離接着性を評価した。T型剥離接着試験の結果を、以下の表2に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
本明細書は、特定の例示的実施形態に関して詳細を述べているが、当業者は、上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の代替物、変更物、及び均等物を容易に想起することができるであろう。したがって、本開示は本明細書で前述の例示の実施形態に不当に限定されるべきではないと理解すべきである。更に、本明細書にて参照される全ての出版物、公開特許出願、及び発行された特許は、それぞれの個々の出版物又は特許が参照により援用されることを明確にかつ個別に指示したかのごとく、それらの全体が同じ範囲で、参照により本明細書に援用される。様々な例示的実施形態が上述されている。これら及び他の実施形態は、開示される実施形態及び特許請求の範囲の範囲内である。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[26]に記載する。
[1]
組成物であって、
式:
RA−NH−C(O)−O−C(R12R13)−C(R14R15)−[C(R16R17)]a−O−C(O)−N(R5)−RSの少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン化合物を含み、
式中、
RAは、式R11−(A)nの(メタ)アクリル基含有基であり、更に、
R11は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、前記アリーレン、前記アルカリーレン、又は前記アラルキレン基は、場合により1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、
Aは式X2−C(O)−C(R3)=CH2を含む(メタ)アクリル基であり、加えて、
X2は、−O、−S、又は−NR3であり、
R3は、独立して、H、又はC1〜C4であり、
n=1〜5であり、
各R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、独立して、Hであるか、場合により1〜3個のカテナリー酸素、硫黄又は窒素原子を含有し、かつ場合により1つ以上のヒドロキシル基で置換された炭素原子1〜6個の線状、分岐状又は環状アルキル基であり、
RSは、式−R1−[Si(Yp)(R2)3−p]qのシラン含有基であり、
R1は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、前記アリーレン、前記アルカリーレン、又は前記アラルキレン基は、場合により1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、
Yは、加水分解性基であり、
R2は一価のアルキル又はアリール基であり、
pは、1、2、又は3であり、
qは、独立して、1〜5であり、
R5は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6シクロアルキル、又はRSであり、かつ
aは、0、1、又は2である、組成物。
[2]
それぞれの加水分解性基Yが、独立して、アルコキシ基、アセテート基、アリールオキシ基、及びハロゲンから選択される、項目1に記載の組成物。
[3]
前記加水分解性基Yのうち少なくともいくつかが、アルコキシ基である、項目2に記載の組成物。
[4]
物品であって、
(コ)ポリマーフィルム又は電子装置から選択される基材であって、前記電子装置には、更に有機発光デバイス(OLED)、電気泳動発光デバイス、液晶ディスプレイ、薄膜トランジスタ、光起電力装置、又はこれらの組み合わせが含まれる、基材と、
前記基材の主表面上のベース(コ)ポリマー層と、
前記ベース(コ)ポリマー層上の酸化物層と、
酸化物層上の保護(コ)ポリマー層と、を含み、前記保護(コ)ポリマー層は、式:
RA−NH−C(O)−O−C(R12R13)−C(R14R15)−[C(R16R17)]a−O−C(O)−N(R5)−RSのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の少なくとも1つの反応生成物を含み、
式中、
RAは、式R11−(A)nの(メタ)アクリル基含有基であり、更に、
R11は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、前記アリーレン、前記アルカリーレン、又は前記アラルキレン基は、場合により1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、
Aは式X2−C(O)−C(R3)=CH2を含む(メタ)アクリル基であり、加えて更に、
X2は、−O、−S、又は−NR3であり、
R3は、独立して、H、又はC1〜C4であり、
n=1〜5であり、
各R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、独立して、Hであるか、場合により1〜3個のカテナリー酸素、硫黄又は窒素原子を含有し、かつ場合により1つ以上のヒドロキシル基で置換された炭素原子1〜6個の線状、分岐状又は環状アルキル基であり、
RSは、式−R1−[Si(Yp)(R2)3−p]qのシラン含有基であり、
R1は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、前記アリーレン、前記アルカリーレン、又は前記アラルキレン基は、場合により1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、
Yは、加水分解性基であり、
R2は一価のアルキル又はアリール基であり、
pは、1、2、又は3であり、
qは、独立して、1〜5であり、
R5は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6シクロアルキル、又はRSであり、かつ
aは、0、1、又は2である、物品。
[5]
それぞれの加水分解性基Yが、独立して、アルコキシ基、アセテート基、アリールオキシ基、及びハロゲンから選択される、項目3又は4に記載の物品。
[6]
前記加水分解性基Yのうち少なくともいくつかがアルコキシ基である、項目5に記載の物品。
[7]
前記ベース(コ)ポリマー層上に、前記酸化物層及び前記保護(コ)ポリマー層の複数の交互層を更に含む、項目4〜6のいずれかに記載の物品。
[8]
前記基材が、可撓性透明(コ)ポリマーフィルムを含み、場合により、前記基材が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、熱安定化PET、熱安定化PEN、ポリオキシメチレン、ポリビニルナフタレン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素(コ)ポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリα−メチルスチレン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフタルアミド、又はこれらの組み合わせを含む、項目4〜7のいずれかに記載の物品。
[9]
前記ベース(コ)ポリマー層が、アクリル酸平滑層を含む、項目4〜8のいずれかに記載の物品。
[10]
前記酸化物層が、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IB、若しくはIIB族由来の原子、IIIB、IVB、若しくはVB族の金属、希土類金属類、又はこれらの組み合わせの酸化物、窒化物、炭化物、又はホウ化物を含む、項目4〜9のいずれかに記載の物品。
[11]
前記保護(コ)ポリマー層に適用された酸化物層を更に含み、場合により、前記酸化物層が酸化シリコンアルミニウムを含む、項目4〜10のいずれかに記載の物品。
[12]
前記基材が、(コ)ポリマーフィルムであり、前記電子装置が固体照明装置、表示装置、及びこれらの組み合わせから選択される、項目4〜11のいずれかに記載の物品を組み込む電子装置。
[13]
前記固体照明装置が、半導体発光ダイオード装置、有機発光ダイオード装置、及びポリマー発光ダイオード装置から選択される、項目12に記載の電子装置。
[14]
前記表示装置が、液晶ディスプレイ装置、有機発光ディスプレイ装置、及び量子ドット液晶ディスプレイ装置から選択される、項目12に記載の電子装置。
[15]
プロセスであって、
(a)(コ)ポリマーフィルム又は電子装置から選択される基材にベース(コ)ポリマーを適用することであって、前記電子装置には、更に有機発光デバイス(OLED)、電気泳動発光デバイス、液晶ディスプレイ、薄膜トランジスタ、光起電力装置、又はこれらの組み合わせが含まれる、適用することと、
(b)前記ベース(コ)ポリマー層上に酸化物層を適用することと、
(c)前記酸化物層上に保護(コ)ポリマー層を成膜することと、を含み、前記保護(コ)ポリマー層は、式:
RA−NH−C(O)−O−C(R12R13)−C(R14R15)−[C(R16R17)]a−O−C(O)−N(R5)−RSの少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物の反応生成物を含み、
式中、
RAは、式R11−(A)nの(メタ)アクリル基含有基であり、更に、
R11は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、前記アリーレン、前記アルカリーレン、又は前記アラルキレン基は、場合により1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、
Aは式X2−C(O)−C(R3)=CH2を含む(メタ)アクリル基であり、加えて、
X2は、−O、−S、又は−NR3であり、かつ
R3は、独立して、H、又はC1〜C4であり、
n=1〜5であり、
各R12、R13、R14、R15、R16、及びR17は、独立して、Hであるか、場合により1〜3個のカテナリー酸素、硫黄又は窒素原子を含有し、かつ場合により1つ以上のヒドロキシル基で置換された炭素原子1〜6個の線状、分岐状又は環状アルキル基であり、
RSは、式−R1−[Si(Yp)(R2)3−p]qのシラン含有基であり、
R1は、多価アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基であり、前記アルキレン、アリーレン、アルカリーレン、又はアラルキレン基は、場合により1つ以上のカテナリー酸素原子を含有し、
Yは、加水分解性基であり、
R2は一価のアルキル又はアリール基であり、
pは、1、2、又は3であり、
qは、独立して、1〜5であり、
R5は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6シクロアルキル、又はRSであり、かつ
aは、0、1、又は2である、プロセス。
[16]
それぞれの加水分解性基Yが、独立して、アルコキシ基、アセテート基、アリールオキシ基、及びハロゲンから選択される、項目15に記載のプロセス。
[17]
前記加水分解性基Yのうち少なくともいくつかが、アルコキシ基である、項目16に記載のプロセス。
[18]
前記少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物が、化学反応を経て、前記酸化物層上の少なくとも一部分に保護(コ)ポリマー層を形成し、場合により、前記化学反応が、フリーラジカル重合反応、及び加水分解反応から選択される、項目16又は17のいずれかに記載のプロセス。
[19]
工程(a)が、
(i)ベース(コ)ポリマー前駆体を蒸発させることと、
(ii)蒸発させたベース(コ)ポリマー前駆体を前記基材上に濃縮させること、並びに
(iii)前記蒸発させたベース(コ)ポリマー前駆体を硬化させて、ベース(コ)ポリマー層を形成することと、を含む、項目16〜18のいずれかに記載のプロセス。
[20]
前記ベース(コ)ポリマー前駆体が、(メタ)アクリレートモノマーを含む、項目16〜19のいずれかに記載のプロセス。
[21]
工程(b)が、酸化物を前記ベース(コ)ポリマー層に成膜して前記酸化物層を形成する工程を含み、成膜は、スパッタ成膜、反応性スパッタリング、化学気相成長法、又はこれらの組み合わせを使用して実施される、項目16〜20のいずれかに記載のプロセス。
[22]
工程(b)が、前記ベース(コ)ポリマー層に無機酸化シリコンアルミニウム層を適用することを含む、項目16〜21のいずれかに記載のプロセス。
[23]
工程(b)及び(c)を連続的に繰り返して前記保護(コ)ポリマー層及び前記酸化物層の複数の交互層を前記ベース(コ)ポリマー層上に形成することを更に含む、項目16〜22のいずれかに記載のプロセス。
[24]
工程(c)が、液体混合物から、前記少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と、(メタ)アクリレート化合物とを共蒸発させること、あるいは別個の液体供給源から、前記少なくとも1つのジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と(メタ)アクリレート化合物とを連続的に蒸発させること、のうち少なくとも1つを含み、場合により、前記液体混合物が約10重量%以下のジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物を更に含む、項目16〜23のいずれかに記載のプロセス。
[25]
工程(c)が、前記ジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と前記(メタ)アクリレート化合物とを前記酸化物層上に同時濃縮すること、あるいは前記ジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と前記(メタ)アクリレート化合物とを前記酸化物層上に連続的に濃縮すること、のうち少なくとも1つを更に含む、項目24に記載のプロセス。
[26]
前記ジウレタン(メタ)アクリレート−シラン前駆体化合物と前記(メタ)アクリレート化合物とを反応させて、前記酸化物層上に保護(コ)ポリマー層を形成させることが、前記酸化物層の少なくとも一部分上で生じる、項目16〜25のいずれかに記載のプロセス。