特許第6174758号(P6174758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174758
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】均一光配向フィルム及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20170724BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G02B5/02 C
   G02F1/1335
【請求項の数】2
【外国語出願】
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-111986(P2016-111986)
(22)【出願日】2016年6月3日
(62)【分割の表示】特願2013-523239(P2013-523239)の分割
【原出願日】2011年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-173601(P2016-173601A)
(43)【公開日】2016年9月29日
【審査請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】61/369,926
(32)【優先日】2010年8月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ブイ.ハント
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エム.エモンズ
(72)【発明者】
【氏名】コリー ディー.バルツ
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−539145(JP,A)
【文献】 特開2010−20056(JP,A)
【文献】 特開平11−44804(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/110736(WO,A2)
【文献】 特開2003−330016(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/124107(WO,A1)
【文献】 特開2010−61028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00− 5/136
G02F 1/1335
F21S 2/00
F21V 5/00− 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法であって、
(a)第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を有する光配向フィルムを提供する工程であって、各微細構造が、前記第1の方向に沿って延在するピークを有する、工程と、
(b)前記光配向フィルム上に、複数の同じサイズと形状の格子セルを含む連続的な格子を、各格子セルが同数の微細構造ピークを有するように重ねる工程と、
(c)各格子セルを同数のサブセルに分割して、各サブセルが単一の微細構造ピークを有するようにする工程と、
(d)各格子セル内の単一のサブセルを無作為に選択する工程と、
(e)無作為に選択された各サブセル内の単一の微細構造ピーク上に突出部の前縁を配置する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
程(e)を実行することにより、突出部の前縁の反対側に後縁を有する各突出部をもたらす、請求項1記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、実質的に均一な外観を有する光配向フィルム、そのような光配向フィルムの作製方法、及びそのようなフィルムを実装した表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを実装した表示装置などのフラットパネルディスプレイは、所定の目視方向の表示輝度を高めるために1つ又は複数の光配向フィルムを実装することが多い。そのような光配向フィルムは、典型的には、プリズム状断面形状を有する複数の線形微細構造を有する。
【0003】
幾つかの用途では、単一プリズムフィルムが使用されるが、他の用途では、2枚の交差プリズムフィルムが利用され、その場合、2枚の交差プリズムフィルムは互いに垂直に向けられることが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概して、本発明は、光配向フィルムに関する。一実施形態では、光配向フィルムは、第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する。各微細構造は、複数の隆起部分と複数の非隆起部分とを有する。複数の微細構造の隆起部分は、平均長を有する。各隆起部分は、第1の方向に沿った前縁と後縁とを有する。光配向フィルムは、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができる。格子セルの少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が隆起部分の平均長より大きい長さを有する。一部の例では、各格子セルが、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が隆起部分の平均長より大きい長さを有する。一部の例では、微細構造のうちの少なくとも幾つかが、プリズム状断面形状、又は曲線断面形状、又は直線断面形状を有する。一部の例では、各微細構造の非隆起部分が、第1の方向に沿って同じ一定のピーク高さを有する。一部の例では、複数の微細構造内の微細構造の非隆起部分が、第1の方向に沿って同じ一定のピーク高さを有する。一部の例では、複数の微細構造内の微細構造の隆起部分が、同じ最大ピーク高さを有する。一部の例では、第1の隆起部分が、第1の最大ピーク高さを有し、第2の隆起部分が、第1の最大ピーク高さとは異なる第2の最大ピーク高さを有する。一部の例では、格子セルが、長方形又は正方形である。一部の例では、各格子セルが、微細構造ピークを1つだけ有する。一部の例では、各格子セルが、少なくとも2つの隣接した微細構造のピーク、又は少なくとも3つの隣接した微細構造のピークを有する。一部の例では、隆起部分の領域内と非隆起部分の領域内の微細構造の横方向断面が、同じ形状を有する。一部の例では、格子セルの少なくとも50%、又は少なくとも70%、又は少なくとも90%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する。一部の例では、格子セルの約20%未満、又は約10%未満、又は約5%未満がそれぞれ、隆起部分の前縁を有さず、隆起部分の一部分を有し、隆起部分が隆起部分の平均長より大きい長さを有する。一部の例では、隆起部分の少なくとも50%、又は少なくとも70%、又は少なくとも90%が、実質的に同じ長さを有し、一部の例では、残りの隆起部分が、これより長い長さを有する。一部の例では、各微細構造の隆起部分が、第1の方向に沿った微細構造の少なくとも約1.5%、又は約3%、又は約5%、又は約10%に及ぶ。
【0005】
別の実施形態では、光配向フィルムが、第1の方向に沿って延在する複数の微細構造と、複数の微細構造上に配置された複数の隆起部分とを含む構造化主面を有する。光配向フィルム全体にわたる隆起部分の数密度は、Dである。各隆起部分は、第1の方向に沿った前縁と後縁とを有する。光配向フィルムは、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができる。各格子セルの面積は、約1/Dである。格子セルの少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する。
【0006】
別の実施形態では、光配向フィルムは、第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する。各微細構造は、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有する。隆起部分の領域内と非隆起部分の領域内の微細構造の横方向断面が、同じ形状を有する。隆起部分の少なくとも一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重なることができる最大円の直径が、約0.5mm以下、又は約45mm以下、又は約4mm以下、又は約0.35mm以下である。一部の例では、非隆起部分のうちの少なくとも幾つかが、一定の高さを有する。
【0007】
別の実施形態では、光配向フィルムは、第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する。各微細構造は、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有する。複数の微細構造の隆起部分は、平均長を有する。各隆起部分は、第1の方向に沿った前縁と後縁とを有する。光配向フィルムは、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができる。各格子セルは、少なくとも2つの近接した微細構造ピークを有する。格子セルの少なくとも70%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が隆起部分の平均長より大きい長さを有する。
【0008】
一実施形態では、光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法が、(a)第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を有する光配向フィルムを提供する工程であって、各微細構造が、第1の方向に沿って延在するピークを有する、工程と、(b)光配向フィルム上に、複数の同じサイズと形状の格子セルを含む連続的な格子を、各格子セルが同数の微細構造ピークを有するように重ねる工程と、(c)各格子セルを同数のサブセルに分割して、各サブセルが単一の微細構造ピークを有するようにする工程と、(d)各格子セル内の単一のサブセルを選択する工程と、(e)無作為に選択された各サブセル内に突出部の前縁を配置する工程と、を含む。一部の例では、各突出部は、突出部の前縁の反対側に後縁を有し、工程(e)を実行した結果、突出部の前縁が突出部の同じ側にあり、突出部の後縁が突出部の反対側になる。一部の例では、工程(d)は、各格子セル内の単一のサブセルを無作為に選択する工程を含む。一部の例では、工程(a)〜(e)は逐次的に実施される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付の図面と併せて以下の本発明の種々の実施形態の「発明を実施するための形態」を考慮したとき、より完全に理解され正しく認識され得る。
図1】光配向フィルムの概略的立体図。
図2】光配向フィルムの平面図。
図3】光配向フィルムに重ねられた格子の平面図。
図4】正方形格子セルの概略図。
図5】六角形の格子の概略図。
図6】微細構造の概略的立体図。
図7】微細構造の概略的側面図。
図8】別の微細構造の概略的側面図。
図9】2つの微細構造の概略立体図。
図10】微細構造の横断面図。
図11】格子セルの概略図。
図12】4個の近接した格子セルの概略図。
図13】複数の隆起部分の平面図。
図14】別の複数の隆起部分の平面図。
図15】光配向フィルムの平面光学顕微鏡写真。
図16A】光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法の様々な段階又は工程の概略図。
図16B】光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法の様々な段階又は工程の概略図。
図16C】光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法の様々な段階又は工程の概略図。
図16D】光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法の様々な段階又は工程の概略図。
【0010】
本明細書においては、複数の図面で用いられる同じ参照符号は、同じ又は同様の性質及び機能を有する同じ又は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、概して、均一の外観を有しかつ液晶ディスプレイなどの表示装置に実装されたときに表示画像が明るくかつ均一になる光配向フィルムに関する。開示される光配向フィルムは、複数の線形微細構造のピーク上に配置された複数の隆起部分を有し、隆起部分は、光配向フィルムと近接フィルム又は層との間の光結合を主に隆起部分に制限する。隆起部分は光配向フィルム全体にわたって分散され、均一な外観を有する光配向フィルムと、その光配向フィルムが実装される表示装置とが得られる。
【0012】
図1図2はそれぞれ、光配向フィルム100の概略的な立体図と平面図である。光配向フィルムは、一般に、xy平面内にあり、第1の構造化主面110とその反対側の第2の主面120とを有する。第1の構造化主面110は、例示的な光配向フィルム100では、x軸と平行な第1の方向142に沿って延在する複数の微細構造150を有する。光配向フィルム100は、基板130上に配置された構造化層140を有し、構造化層140は、第1の構造化主面110を有し、基板130は、第2の主面120を有する。例示的な光配向フィルム100は、2つの層を有する。一般に、開示される光配向フィルムは、1つ又は複数の層を有することができる。
【0013】
各微細構造150は、複数の隆起部分160と複数の非隆起部分170を有する。一般に、各微細構造150は、交互になった隆起部分と非隆起部分とを有する。隆起部分160は、非隆起部分170と、上に配置されかつ光配向フィルム100と光学的又は物理的に接触する隣接層との間の光結合を実質的に防ぐ。隆起部分160は、光結合を主に隆起部分に限定する。
【0014】
隆起部分160は、微細構造150のピーク156上に配置された部分と考えることができる。一般に、隆起部分160の数、列、面密度などの密度は、隆起部分での光結合が光配向フィルムの光学利得をあまり低下させないほど十分に低く、また光結合を光配向フィルムの隆起部分又は領域に限定するほど十分に高い。一部の例では、微細構造のピーク156に沿った隆起部分160の密度は、約30%以下、又は約25%以下、又は約20%以下である。一部の例では、微細構造のピーク156に沿った隆起部分160の密度は、約5%以上、又は約10%以上、又は約15%以上である。一部の例では、隆起部分160の単位面積当たりの数密度は、約10,000個/cm以下、又は約9,000個/cm以下、又は約8,000個/cm以下、又は約7,000個/cm以下、又は約6,000個/cm以下、又は約5,000個/cm以下、又は約4,500個/cm以下、又は約4,000個/cm以下、又は約3,500個/cm以下、又は約3,000個/cm以下、又は約2,500個/cm以下である。一部の例では、隆起部分160の単位面積当たりの数密度は、約500個/cm以上、又は約750個/cm以上、又は約1,000個/cm以上、又は約1,250個/cm以上、又は約1,500個/cm以上、又は約1,750個/cm以上、又は約2,000個/cm以上である。一部の例では、各微細構造の隆起部分は、第1の方向に沿った微細構造の少なくとも約1%、又は少なくとも1.5%、又は少なくとも3%、又は少なくとも5%、又は少なくとも7%、又は少なくとも10%、又は少なくとも13%、又は少なくとも15%に及ぶ。
【0015】
各隆起部分160は、第1の方向142に沿った長さLを有し、一般に、様々な隆起部分が異なる長さを有することができる。一般に、隆起部分160は、約10マイクロメートル〜約500マイクロメートル、又は約25マイクロメートル〜約450マイクロメートル、又は約50マイクロメートル〜約450マイクロメートル、又は約50マイクロメートル〜約400マイクロメートル、又は約75マイクロメートル〜約400マイクロメートル、又は約75マイクロメートル〜約350マイクロメートル、又は約100マイクロメートル〜約300マイクロメートルの範囲となり得る平均長を有する。
【0016】
各隆起部分160は、第1の方向142に沿った前縁162、第1の方向に沿った後縁164、及び前縁と後縁との間でそれらを接続する主部分166を有する。前縁162は、隆起部分の同じ側又は同じ端にあり、後縁164は、隆起部分の反対側又は反対端にある。言い換えると、微細構造のピークに沿って移動するとき、最初に隆起部分の前縁に遭遇し、次に隆起部分の主部分に遭遇し、その後で隆起部分の後縁に遭遇する。
【0017】
開示される光配向フィルムは、連続的で均一な二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができ、格子セルの少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%がそれぞれ、(a)隆起部分の単一前縁、又は(b)隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。一部の例では、各格子セルは、(a)隆起部分の単一前縁、又は(b)隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。例えば、図3は、光配向フィルム100と類似した、x方向に沿った第1の方向342に沿って延在する複数の微細構造350を有する光配向フィルム300の平面図である。各微細構造350は、第1の方向に沿ったピーク356と、複数の隆起部分360とを有する。光配向フィルム300は、連続的で均一な二次元格子320を構成する複数の同じサイズと形状の格子セル310に分割することができる。格子セル310の少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%がそれぞれ、(a)隆起部分の単一前縁、又は(b)隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。一部の例では、各格子セル310は、(a)隆起部分の単一前縁、又は(b)隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。例えば、格子セル310Aは、隆起部分360Aの前縁362Aである単一前縁を有し、格子セル310Bは、隆起部分360Bの前縁362Bである単一前縁を有し、格子セル310Cは、隆起部分360Cの前縁362Cである単一前縁を有する。別の例として、格子セル310Eは、隆起部分の目に見えるか又は容易に識別可能な前縁を有していないが、例示的な光配向フィルム300では、隆起部分360E1と隆起部分360E2との間の重なり部分である隆起部分360Eの一部分を有し、隆起部分360Eの長さは、隆起部分の平均長より大きい。別の例として、格子セル310Fは、隆起部分の目に見えるか又は容易に識別可能な前縁を有していないが、例示的な光配向フィルム300では、隆起部分360F1と隆起部分360F2との間の重なり部分である隆起部分360Fの一部分を有し、隆起部分360Fの長さは、隆起部分の平均長より大きい。
【0018】
本明細書に開示される光配向フィルム内の隆起部分の少なくとも大部分は、実質的に同じ長さを有する。例えば、そのような場合、隆起部分の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%は、実質的に同じ長さを有し、即ち、実質的に同じ長さを有する隆起部分の長さの差は、約30%未満、又は約25%未満、又は約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満である。一部の例では、ごく一部の隆起部分が、隆起部分の平均長より長い。例えば、隆起部分の約40%未満、又は約30%未満、又は約25%未満、又は約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満、又は約5%未満が、隆起部分の平均長より長い。一部の例では、長い方の隆起部分が、2つ以上、又は3つ以上、又は4つ以上などの複数の隆起部分の重なりから得られる。一部の例では、長い方の隆起部分は、2つ、3つの又は4つの隆起部分の重なりから得られる。
【0019】
一部の例では、隆起部分の少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%は、実質的に同じ長さを有し、残りの隆起部分はこれより長い。
【0020】
一部の例では、相当な数の格子セル310が、隆起部分の単一前縁を有する。例えば、そのような場合、格子セルの少なくとも50%、又は少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する。
【0021】
一部の例では、ごく一部の格子セル310がそれぞれ、隆起部分の前縁を含まず、代わりに隆起部分の一部分を有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。そのような場合、例えば、格子セル310の約40%未満、又は約30%未満、又は約25%未満、又は約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満、又は約5%未満、又は約4%未満、又は約3%未満、又は約2%未満、又は約1%未満がそれぞれ、隆起部分の一部分を有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。
【0022】
見やすくするために、図3の格子セルの幾つかは、隆起部分の一部分を有していないが、格子320内の格子セル310の少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%がそれぞれ、(a)隆起部分の単一前縁、又は(b)隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有することを理解されたい。一部の例では、格子320内の各格子セル310は、少なくとも1つの隆起部分の少なくとも一部分を有し、各格子セル310は、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。
【0023】
格子セル310は、同じサイズと形状を有する。例示的な格子セル310は、長方形であり、第1の方向342に沿った垂直格子線325と、第1の方向に垂直な第2の方向343に沿った水平格子線330とを有する連続的で均一な二次元格子320を形成する。一般に、格子セル310は、五角形や四角形などの多角形、不等辺四辺形、台形、平行四辺形、菱形、長方形、三角形、又は正方形などの任意の二次元直線図形の形状であってよい。例えば、図4は、x軸に沿った第1の方向490に沿って延在する4つの微細構造の4つのピーク420を有する正方形の格子セル410の概略平面図である。格子セル410は、隆起部分430の単一前縁420を有する。別の例として、図5は、x軸に沿った第1の方向590に沿って延在する3つの微細構造の3つのピーク520を有する六角形格子セル510の概略平面図である。格子セル510は、隆起部分530の単一前縁520を有する。
【0024】
図1を再び参照すると、例示的な微細構造150は、プリズム状断面形状を有する。各微細構造150は、ピーク156で出会う第1の側面152と第2の側面154、ピーク角又は頂角157、及び、ピークから第1の構造化主面110と第2の主面120との間に配置された共通基準平面105までが測定されるピーク高さ158を有する。一般に、微細構造150は、光を導き、一部の例では、光学利得を提供することができる任意の形状を有することができる。例えば、一部の例では、微細構造150は、曲線断面形状又は直線断面形状を有することができる。例えば、図6は、曲線断面形状を有しかつ第1の方向642に沿って延在する線形微細構造650の概略立体図である。微細構造650は、ピーク656、ピーク656上に配置された隆起部分660、及び非隆起部分670を有する。
【0025】
図1を参照すると、微細構造150の隆起部分160は、ピーク168とピーク高さ169とを有し、微細構造150の非隆起部分170は、ピーク156とピーク高さ158とを有し、この場合、ピーク高さは、ピークから、第1の構造化主面110と第2の主面120との間に配置された共通基準平面105までを測定される。例えば、共通基準平面は、第2の主面120でも、構造化層140の下主面144でもよい。一般に、非隆起部分170は、第1の方向142に沿って一定又は変化するピーク高さ158を有することができる。例えば、一部の例では、各非隆起部分170は、第1の方向に沿って一定のピーク高さを有する。別の例として、一部の例では、各微細構造150の非隆起部分170は、第1の方向に沿って同じ一定のピーク高さを有する。例えば、図7は、光配向フィルム100の微細構造150の概略側面図であり、微細構造の非隆起部分170は、第1の方向142に沿って同じピーク高さ158を有する。更に別の例として、一部の例では、複数の微細構造150における微細構造の非隆起部分170は、第1の方向に沿って同じ一定のピーク高さを有する。
【0026】
一般に、隆起部分160は、ピーク168、ピーク高さ169、最大ピーク、及び最大ピーク高さを有する。例えば、図8は、微細構造150と類似して、第1の方向842に沿って延在し、隆起部分860と非隆起部分870を含む微細構造850の概略側面図である。隆起部分860は、ピーク868と、第1の方向に沿って変化するピーク高さ869とを有し、最大ピーク875で最大ピーク高さ880を呈する。一般に、図1を再び参照すると、微細構造150の隆起部分160の最大ピーク高さは同じでも同じでなくてもよい。一部の例では、複数の微細構造150における微細構造の隆起部分160は、同じ最大ピーク高さを有する。一部の例では、第1の隆起部分は、第1の最大ピーク高さを有し、第2の隆起部分は、第1の最大ピーク高さとは異なる第2の最大ピーク高さを有する。例えば、図9は、第1の方向942に沿って延在する線形微細構造950A及び950Bの概略立体図である。微細構造950Aは、最大ピーク高さ980Aを有する隆起部分960Aと、最大ピーク高さ980Bを有する隆起部分960Bとを有し、最大ピーク高さ980Bは、最大ピーク高さ980Aより大きい。
【0027】
図3の格子セル310は、同じサイズと形状を有し、また同数の微細構造ピーク356を有する。一般に、格子セルは、1つ又は複数の微細構造ピークを有することができ、一部の例では、含まれるピークは、格子セル内の中央にある。例えば、図3の各格子セル310は、2つの微細構造ピーク356を有する。別の例として、図4の格子セル410は、4つの微細構造が420を有する。更に別の例として、図5の格子セル510は、5つの微細構造ピーク520を有する。一部の例では、各格子セルが、微細構造ピークを1つだけ有する。一部の例では、各格子セルは、少なくとも2つの隣接又は近接した微細構造、又は少なくとも3つの隣接した微細構造、又は少なくとも4つの隣接した微細構造、又は少なくとも5つの隣接した微細構造、又は少なくとも6つの隣接した微細構造、又は少なくとも7つの隣接した微細構造、又は少なくとも8つの隣接した微細構造、又は少なくとも9つの隣接した微細構造、又は少なくとも10個の隣接した微細構造のピークを有する。
【0028】
図1を再び参照すると、構造化層140は、谷159と構造化層140の下主面144との間の領域として画定されたランド領域180を有する。一部の例では、ランド領域の主な機能には、光を高効率で伝えること、微細構造の支持を提供すること、及び微細構造と基板との間の十分な接着を提供することが挙げられる。一般に、ランド領域180は、用途に適した任意の厚さを有することができる。一部の例では、ランド領域180の厚さは、約20マイクロメートル未満、又は約15マイクロメートル未満、又は約10マイクロメートル未満、又は約8マイクロメートル未満、又は約6マイクロメートル未満、又は約5マイクロメートル未満である。一般に、構造化層140には、ランド領域があってもなくてもよい。一部の例では、例示的な光配向フィルム100のように、構造化層140が、ランド領域を含む。一部の例では、構造化層140は、ランド領域を含まない。
【0029】
例示的な光配向フィルム100は、2つの層、即ち、基板130上に配置された構造化層140を有する。一般に、開示される光配向フィルムは、1つ又は複数の層を有することができる。例えば、一部の例では、光配向フィルム100は、単一構造でよく、単一層を含むことができる。
【0030】
一般に、基板130は、用途に望ましい任意の材料であってもよく、又はその任意の材料を含んでもよい。例えば、基材130は、ガラス及び/又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、及びアクリルなどのポリマーを含むことができるか、又はこれらから作製することができる。幾つかの場合において、基材は複数の層を有し得る。一般に、基板130は、ある用途で望ましいことがある任意の機能を有してよい。例えば、一部の例では、基板130は、主に、他の層の支持を提供する。別の例として、場合によって、基板130は、例えば反射偏光子や吸収偏光子を含むことによって光を偏向させてもよく、光学ディフューザを含めることによって光を拡散させてもよい。
【0031】
一部の例では、隆起部分の領域内と非隆起部分の領域内の、開示される微細構造の横方向断面は、参照により全体が本明細書に組み込まれたPCT公開WO2009/124107(Campbellら)に記載されたものと同じ形状を有する。例えば、図10は、微細構造150と類似の微細構造の断面図であり、その場合、非隆起領域170の横方向断面1010(yz平面又は第1の方向142に垂直な平面の断面)が、隆起領域160内の横方向断面1020と同じ形状を有する。断面1010は、ピーク1016で出会ってピーク角度βをなす第1の側面1012と第2の側面1014とを有する。断面1020は、ピーク1026で出会ってピーク角度βをなす第1の側面1022と第2の側面1024とを有し、βは、βと実質的に等しく、第1の側面1022は、第1の側面1012と実質的に平行であり、第2の側面1024は、第2の側面1014と実質的に平行である。
【0032】
図1に戻って参照すると、頂点、ピーク又は二面角157は、用途に望ましいことがある任意の値を有することができる。例えば、幾つかの場合において、頂角157は、約70度〜約110度、又は約80度〜約100度、又は約85度〜約95度の範囲であってよい。幾つかの場合において、微細構造150は等しい頂角を有してよく、これは、例えば、約88度又は89度〜約92度又は91度の範囲(90度など)であってよい。一般に、頂点又はピーク156は、鋭角でもよく、丸められてもよく、平らにされてもよく、切り詰められてもよい。例えば、微細構造150は、約4〜7〜15マイクロメートルの範囲の半径で丸みをおびていることができる。
【0033】
構造化層140は、ある用途で望ましいことがある任意の屈折率を有し得る。例えば、場合によっては、構造化層の屈折率は、約1.4〜約1.8、又は約1.5〜約1.8、又は約1.5〜約1.7の範囲である。一部の例では、構造化層の屈折率は、約1.5以上、又は約1.54以上、又は約1.55以上、又は約1.56以上、又は約1.57以上、又は約1.58以上、又は約1.59以上、又は約1.6以上、又は約1.61以上、又は約1.62以上、又は約1.63以上、又は約1.64以上、又は約1.65以上、又は約1.66以上、又は約1.67以上、又は約1.68以上、又は約1.69以上、又は約1.7以上である。一部の例では、構造化層140の屈折率は、当該技術分野で述べられるような様々な臭素化(メタ)アクリレートモノマーを含むことにより高められる。一部の例では、構造化層140は、臭素化されておらず、即ち、構造化層は、臭素置換基を含まない。しかしながら、そのような場合には、検出可能量、即ち1重量%未満(イオンクロマトグラフィーで測定したとき)の臭素が、夾雑物として存在してもよい。一部の例では、構造化層は、ハロゲン化されていない。しかしながら、そのような場合には、検出可能量、即ち1重量%未満(イオンクロマトグラフィーで測定したとき)のハロゲンが、夾雑物として存在してもよい。
【0034】
一部の例では、構造化層140の屈折率は、表面改質(例えば、コロイド状)無機ナノ粒子を含むことにより高められる。一部の例では、構造化層140内にある表面改質無機ナノ粒子の総量は、少なくとも10重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%であってよい。ナノ粒子としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、これらの混合物、又はこれらの混合酸化物のような金属酸化物が挙げられる。
【0035】
微細構造150は、第1の方向142に垂直な第2の方向143に沿った周期パターンを形成する。周期パターンは、隣接又は近接した微細構造ピーク156の間の距離として定義されたピッチ又は周期Pを有する。一般的に微細構造150は、ある用途で望ましいことがある任意の周期を有しうる。一部の例では、周期Pは、約500マイクロメートル未満、又は約400マイクロメートル未満、又は約300マイクロメートル未満、又は約200マイクロメートル未満、又は約100マイクロメートル未満である。一部の例では、ピッチは、約150マイクロメートル、又は約100マイクロメートル、又は約50マイクロメートル、又は約24マイクロメートル、又は約23マイクロメートル、又は約22マイクロメートル、又は約21マイクロメートル、又は約20マイクロメートル、又は約19マイクロメートル、又は約18マイクロメートル、又は約17マイクロメートル、又は約16マイクロメートル、又は約15マイクロメートル、又は約14マイクロメートル、又は約13マイクロメートル、又は約12マイクロメートル、又は約11マイクロメートル、又は約10マイクロメートルであってよい。
【0036】
本明細書に開示される光配向フィルムは、均一な外観を有し、液晶ディスプレイなどの表示装置に使用されたときに、表示画像が明るく均一になる。光配向フィルム100などの本明細書に開示される光配向フィルムは、最初にダイヤモンド切削工具などの切断ツールを製造することにより、製造されてもよい。次に、その切削工具を使用して微小複製工具内に所望の微細構造を作製することができる。次に、その微小複製工具を使用して、構造を紫外線(UV)硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などの材料又は樹脂に微小複製することができ、それにより、光配向フィルムが得られる。微小複製は、UVキャスト及び硬化、押出成形、射出成形、エンボス加工、又は他の既知の方法などの任意の適切な生産方法によって達成することができる。
【0037】
開示される光配向フィルムの利点の幾つかは、以下の実施例によって更に説明される。この実施例で列挙される特定の材料、量及び寸法、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0038】
(実施例1):
図3の格子320と類似の連続した二次元格子を設計した。格子セルは、長方形で同じ大きさであった。図11は、x軸に沿った第1の方向1192に沿った側面1120と、第1の方向に垂直でy軸に沿った第2の方向1193に沿った側面1125とを有する、1つのそのような格子セル1100の概略図である。線形微細構造は、第1の方向1192に沿って延在し、第2の方向1193に沿った周期Pを有していた。各格子セル1100は、少なくとも1つの微細構造ピークと、隆起部分の少なくとも一部分とを有していた。各隆起部分は、所定長Lを有するが、一部の例では、隆起部分は、隆起部分が所定長Lより大きい長さを有するように重ねられてもよい。その結果得られた隆起部分のパターンは、各格子セルが、好ましくは隆起部分の単一前縁を有するようにすることによって均一に作製され、何回かの繰返し又は試行後にそのような配列が得られなかったときは、その代わりに、格子セルが、隆起部分の一部分を有するようにされ、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長、即ち所定長Lより大きい長さを有していた。
【0039】
一般に、その結果得られた隆起部分のパターンは、格子セルの少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも92%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%がそれぞれ、(a)隆起部分の単一前縁、又は(b)隆起部分の一部分のどちらかを有するようにすることによって実質的に均一に作製することができ、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。
【0040】
隆起部分の密度はDであり、その結果、隆起部分1つ当たりの面積Aは1/Dになる。格子セル1100の側面1120は寸法sを有し、格子セルの側面1125は寸法rを有していた。面積Aは、格子セル1つ当たりに隆起部分の単一前縁を有するという目的を達成するかその目的に近づくように、r・sに設定された。モアレ効果を低減するために、rは、以下の関係により周期Pの整数倍でなければならなかった。
【0041】
r=n・P (1)
ここで、nは整数であった。各格子セル1100は、少なくとも1つの微細構造ピークを有し、全ての格子セルは同数の微細構造ピークを有していた。rの最小値rminは、式(1)にn=1を代入することによって得られ、以下の式となる。
【0042】
min=P (2)
したがって、式(2)を次のように書き直すことができる。
【0043】
r=n・rmin (3)
設計パターンは、ねじ切り旋盤回転工程を使用することにより、円筒形工具に切削された。円筒形工具は、円周Cを有していた。継ぎ目のないパターン形成工具を得るために、寸法sは、次の式によりCと関連付けられた。
【0044】
s=C/k (4)
ここで、kは整数であった。符号化切削工程により、有限数のエンコーダステップMが可能であった。sの最小値sminは、kがMのときに達成され、以下の式が得られた。
【0045】
min=C/M (5)
したがって、第1の方向に沿った格子セル長さsは、次の式によって示される。
【0046】
s=m・smin (6)
ここで、mは整数であった。
【0047】
最小寸法rminとsminは、サブセル1130を定義し、その結果、格子セル1100は、第1の方向1192に沿ったm個のサブセルと、第2の方向1193に沿ったn個のサブセルとを有するサブセル1130の配列を有し、積m・nは、以下の関係を満たす。
【0048】
【数1】
【0049】
ここで、整数パラメータm及びnは、積m・nが実質的に式(7)を満たすように選択される。
【0050】
各格子セルは、単一前縁を有していた。一部の例では、2つ以上の隆起部分の重なり部分が、格子セル内の前縁を覆い、その結果、格子セルの隆起部分の一部分が、所定長より長くなった。
【0051】
格子セル1つ当たり単一前縁が必要なので、隆起部分の一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重ねることができる最大円のサイズが小さくなる。そのような円の直径Gの式は、図12に概略的に示された格子セルを参照して決定することができる。詳細には、図12は、4個の近接した格子セル1210、1212、1214及び1216の概略図であり、各格子セルは、3行4列を形成する12個のサブセル1230の例示的な配列を含む。各格子セルは、単一前縁を有する。詳細には、格子セル1210は、隆起部分1220の一部分の前縁を有し、格子セル1212は、隆起部分1222の前縁を有し、格子セル1214は、隆起部分1224の前縁を有し、格子セル1216は、隆起部分1226の一部分の前縁を有し、この場合、隆起部分は、2つのサブセルの長さであると仮定され、したがって、隆起部分の一部分を含むことなく最大円1240を格子に重ねることができるように互いから最も遠くなるように配列される。最大円1240の直径Gは、次の式によって与えられることが分かる。
【0052】
【数2】
【0053】
ここで、Lは、隆起部分の所定長であり、次の式によりD及びFと関連付けられる。
【0054】
【数3】
【0055】
ここで、Fは、隆起部分が及ぶ面積の一部であり、次の式によって与えられる。
【0056】
【数4】
【0057】
ここで、tは、第1の方向1250に沿ったサブセル数で表した隆起部分の所定長である。αは、一般に、第1の方向に垂直な第2の方向1193に沿った格子セルの最大寸法に対する、第1の方向1192に沿った格子セルの最大寸法の比率である。例えば、長方形格子セルの場合に、αは、長方形の幅に対する長方形の長さの比率である。別の例として、正方形格子セルの場合、αは、1である。
【0058】
図1を再び参照すると、光配向フィルム100は、第1の方向142に沿って延在する複数の微細構造150と、複数の微細構造上に配置された複数の隆起部分160とを含む第1の構造化主面110を有する。光配向フィルム全体にわたる隆起部分160の数密度(即ち、単位面積当たりの隆起部分の数)は、Dである。各隆起部分は、第1の方向に沿って前縁162、後縁164及び主部分166を有する。光配向フィルム100は、格子320などの連続した二次元格子を形成する、格子セル310などの複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができる。各格子セル310の面積Aは、約1/Dであり、即ち、Aと1/Dとの差は約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満、又は約5%未満である。格子セル310の少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも92%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%が、隆起部分の単一前縁を有する。
【0059】
(実施例2):
図1の光配向フィルム100と類似の光配向フィルムは、実施例1で設計された格子に基づいて設計された。光配向フィルムは、24マイクロメートルのピッチPと、90度の頂角を有するプリズム状横断面形状を有していた。円筒形工具は、約1277mm(直径16インチ)の円周Cを有していた。エンコーダは、円筒形工具の1回転当たり18000エンコーダステップを有していた。隆起部分の密度は、2670cm−2になるように選択され、その結果、隆起部分1つ当たりの面積Aは、約0.0374mmになった。式(7)を丸めると、積m・nは22になる。表Iは、t、F、D及びGの計算値を、mとnの例示的な値の関数として列挙する。
【0060】
【表1】
【0061】
mには値3、nには値8が選択され、その結果、格子セル1100は、第2の方向1193に沿って8個のサブセル(n=8)と、第1の方向1192に沿って3個のサブセル(m=3)を有する。格子セルの寸法は、第1の方向1192に約0.213mmであり、第2の方向1193に約0.192mmであった。rminは、24マイクロメートルであり、sminは、約70.9マイクロメートルであった。各隆起部分の所定長は、第1の方向1192に沿って4個のサブセルの長さ、即ち約283.7マイクロメートルであった。最大円の直径Gは、0.343mmであった。
【0062】
各格子セルは、隆起部分の単一前縁を有していた。各格子セルについて、前縁の位置は、格子セルのサブセルと一致し、サブセルは無作為に選択された。新しく指定された隆起部分と、前に指定された隆起部分の間に重なりがある場合、又は新しく指定された隆起部分と前に指定された部分との間隔が、所定数のサブセルより小さい場合は、重なりを回避するか又は最小間隔要件の侵害を回避するために、新しく指定された隆起部分の位置を無作為に変更した。しかしながら、隆起部分が、引き続き重なっていたか、所定の距離より小さく離間された場合は、有限数の繰返しの後で、新しく指定された隆起部分の位置が固定され、その結果、隆起部分が、所定長より長くなった。
【0063】
図13は、実施例1と実施例2に述べたような格子セル内の隆起部分の配置のコンピュータシミュレーションの平面図である。各白線は、プリズムのピーク上に配置された隆起部分である。撮像領域は、約12mm×12mmである。図14は、プリズムのピークに沿って、かつ格子の各格子セル内に隆起部分の単一前縁を含む要件なしに、不規則に配置された隆起部分の平面図である。図14の撮像領域は、約12mm×12mmである。図13図14を比較すると、本発明による図13に配置された隆起部分の方が、実質的に均一な外観を有することは明らかである。更に、図13の隆起部分によって、隆起部分の配置が図14ほどランダムでない場合でも、付加的な目に見える不快なモアレ干渉がなくなるか極めて少なくなった。
【0064】
(実施例3):
光配向フィルム100と類似し、かつ実施例2の設計に基づく光配向フィルムを作製した。微小複製工具は、例えば米国特許公開第2009/0041553号に概説され記述された工程を使用して作製され、その開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。次に、微小複製工具は、例えば米国特許第5,175,030号に概説され記述された工程を使用して光配向フィルムを作製するために使用され、この開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。光配向フィルムは、基板130と類似の基板上に配置された構造化層140と類似の構造化層を有していた。基板は、PETで作製され、約50マイクロメートルの厚さと、約1.65の屈折率を有していた。各プリズム3930の頂角は、約90度であった。隆起部分の領域内と非隆起部分の領域内の微細構造の横方向断面は、同じ形状を有していた。プリズムは、約24マイクロメートルのピッチPを有していた。線形プリズムの屈折率は、約1.65の屈折率を有していた。線形プリズムは、重合有機成分と、表面改質された無機ジルコニアナノ粒子とを含んでいた。隆起部分の一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重なることができる最大円の直径Gは、約0.34mmであった。光配向フィルムの単一シートの光学利得は、約1.78と測定され、この光学利得は、適所にフィルムのない光学システムの輝度に対する、光学システムの適所にフィルムを有する表示システムなどの光学システムの輝度の比率を指す。本明細書に開示される光配向フィルムでは、隆起部分の少なくとも一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重なることができる最大円の直径は、約0.5mm以下、又は約0.45mm以下、又は約0.4mm以下、又は約0.35mm以下である。
【0065】
図15は、光配向フィルムの平面光学顕微鏡写真である。光学顕微鏡写真では、見やすくするために、隆起部分1530は、黒っぽい灰色領域として見えるように強調された。各隆起部分の下にある小円1540は、隆起部分の前縁を示す。複数の格子セル1520を有する連続的で均一な二次元格子1510が、光配向フィルムに重ねられた。各格子セルは、隆起部分の少なくとも一部分と、隆起部分の前縁を1つだけ有していた。光配向フィルムは、均一な外観を有し、液晶ディスプレイに配置されたとき、表示画像が明るく均一になった。
【0066】
本明細書に開示される幾つかの例では、各格子セルは、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。一般に、格子セル、又は各格子セルの少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも92%、又は少なくとも94%、又は少なくとも95%、又は少なくとも96%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%はそれぞれ、(a)隆起部分の単一前縁、又は(b)隆起部分の一部分のどちらかを有し、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する。
【0067】
図16は、得られた光配向フィルムが均一の外観を有するように光配向フィルム上に複数の突出部1660を分散させる方法について述べる。光配向フィルムは、隆起部分160のない光配向フィルム100と類似してもよく、また突出部は、隆起部分160と類似してもよい。最初に、光配向フィルム1610が提供され、その平面図が、図16Aに概略的に示される。光配向フィルムは、第1の方向1690に沿って延在する複数の微細構造1620を有する。各微細構造1620は、第1の方向1690に沿って延在するピーク1630を有する。
【0068】
次に、連続格子1640が、図16Bに概略的に示されたような光配向フィルムに重ねられる。格子は、複数の同じサイズと形状の格子セル1645を有する。各格子セルは、同数の微細構造ピーク1630を有する。例えば、例示的な格子1640では、各格子セル1645は、2つの微細構造ピークを有する。次に、各格子セル1645は、図16Cに概略的に示されたような同数のサブセル1650に分割される。各サブセル1650は、単一の微細構造ピーク1630を有する。次に、各格子セル内で単一のサブセルが選択される。選択されたサブセルの幾つかは、図16Dにサブセル1650Aとして強調されている。見やすくするために、選択されたサブセルが全て強調されているとは限らない。一部の例では、各選択されたサブセルは、格子セル内のサブセルから無作為に選択される。次に、突出部1660の前縁1662が、選択された各サブセル内に配置され、その結果、突出部1660の前縁1662が、突出部の同じ側になり、突出部の後縁1664が、突出部の反対側になる。
【0069】
本明細書で用いるとき、「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「上部」、「底部」、「左」、「右」、「上方」及び「下方」、「時計回り」及び「逆時計回り」、並びに他の同様の用語は、図で示されるような相対的位置を指す。広くは、物理的実施形態は異なる配向を有することができ、その場合、用語は、装置の実際の配向に修正された相対位置を指すことを意図している。例えば、図1の画像が、図の向きと比較して逆である場合でも、表面144は依然として、下面であると見なされる。
【0070】
項目1.第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する光配向フィルムであって、各微細構造が、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有し、複数の微細構造の隆起部分が、平均長を有し、各隆起部分が、第1の方向に沿った前縁と後縁とを有し、光配向フィルムを、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができ、格子セルの少なくとも90%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、光配向フィルム。
【0071】
項目2.格子セルの少なくとも92%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分は、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0072】
項目3.格子セルの少なくとも94%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0073】
項目4.格子セルの少なくとも96%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0074】
項目5.格子セルの少なくとも98%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0075】
項目6.各格子セルが、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0076】
項目7.微細構造の少なくとも幾つかが、プリズム状断面形状を有する、項目1の光配向フィルム。
【0077】
項目8.微細構造の少なくとも幾つかが、曲線断面形状を有する、項目1の光配向フィルム。
【0078】
項目9.微細構造の少なくとも幾つかが、直線断面形状を有する、項目1の光配向フィルム。
【0079】
項目10.各微細構造の非隆起部分が、第1の方向に沿って同じ一定のピーク高さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0080】
項目11.複数の微細構造における微細構造の非隆起部分が、第1の方向に沿って同じ一定のピーク高さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0081】
項目12.複数の微細構造内の微細構造の隆起部分が、同じ最大ピーク高さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0082】
項目13.第1の隆起部分が、第1の最大ピーク高さを有し、第2の隆起部分が、第1の最大ピーク高さとは異なる第2の最大ピーク高さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0083】
項目14.格子セルが、長方形である、項目1の光配向フィルム。
【0084】
項目15.格子セルが、正方形である、項目1の光配向フィルム。
【0085】
項目16.各格子セルが、微細構造ピークを1つだけ有する、項目1の光配向フィルム。
【0086】
項目17.各格子セルが、少なくとも2つの隣接した微細構造のピークを有する、項目1の光配向フィルム。
【0087】
項目18.各格子セルが、少なくとも3つの隣接した微細構造のピークを有する、項目1の光配向フィルム。
【0088】
項目19.隆起部分の領域内と非隆起部分の領域内の微細構造の横方向断面が、同じ形状を有する、項目1の光配向フィルム。
【0089】
項目20.格子セルの少なくとも50%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、項目1の光配向フィルム。
【0090】
項目21.格子セルの少なくとも70%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、項目1の光配向フィルム。
【0091】
項目22.格子セルの少なくとも90%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、項目1の光配向フィルム。
【0092】
項目23.格子セルの約20%未満がそれぞれ、隆起部分の前縁を有しておらずかつ隆起部分の一部分を有し、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0093】
項目24.格子セルの約10%未満がそれぞれ、隆起部分の前縁を有しておらずかつ隆起部分の一部分を有し、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0094】
項目25.格子セルの約5%未満がそれぞれ、隆起部分の前縁を有しておらずかつ隆起部分の一部分を有し、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0095】
項目26.隆起部分の少なくとも50%が、実質的に同じ長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0096】
項目27.隆起部分の少なくとも70%が、実質的に同じ長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0097】
項目28.隆起部分の少なくとも90%が、実質的に同じ長さを有する、項目1の光配向フィルム。
【0098】
項目29.残りの隆起部分が、より長い長さを有する、項目26〜28のいずれかの光配向フィルム。
【0099】
項目30.各微細構造の隆起部分が、第1の方向に沿った微細構造の少なくとも約1.5%に及ぶ、項目1の光配向フィルム。
【0100】
項目31.各微細構造の隆起部分が、第1の方向に沿った微細構造の少なくとも約3%に及ぶ、項目1の光配向フィルム。
【0101】
項目32.各微細構造の隆起部分が、第1の方向に沿った微細構造の少なくとも約5%に及ぶ、項目1の光配向フィルム。
【0102】
項目33.各微細構造の隆起部分が、第1の方向に沿った微細構造の少なくとも約10%に及ぶ、項目1の光配向フィルム。
【0103】
項目34.第1の方向に沿って延在する複数の微細構造と、複数の微細構造上に配置された複数の隆起部分とを含む構造化主面を有する光配向フィルムであって、光配向フィルム全体にわたる隆起部分の数密度がDであり、各隆起部分が、第1の方向に沿った前縁と後縁とを有し、光配向フィルムを、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができ、各格子セルの面積が、約1/Dであり、格子セルの少なくとも90%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、光配向フィルム。
【0104】
項目35.格子セルの少なくとも92%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、項目34の光配向フィルム。
【0105】
項目36.格子セルの少なくとも94%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、項目34の光配向フィルム。
【0106】
項目37.格子セルの少なくとも96%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、項目34の光配向フィルム。
【0107】
項目38.第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する光配向フィルムであって、各微細構造が、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有し、隆起部分の領域内と非隆起部分の領域内の微細構造の横方向断面が同じ形状を有し、隆起部分の少なくとも一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重なることができる最大円の直径が、約0.5mm以下である、光配向フィルム。
【0108】
項目39.隆起部分の少なくとも一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重なることができる最大円の直径が、約0.45mm以下である、項目38の光配向フィルム。
【0109】
項目40.隆起部分の少なくとも一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重なることができる最大円の直径が、約0.4mm以下である、項目38の光配向フィルム。
【0110】
項目41.隆起部分の少なくとも一部分を含むことなく光配向フィルムの構造化主面に重なることができる最大円の直径が、約0.35mm以下である、項目38の光配向フィルム。
【0111】
項目42.少なくとも非隆起部分のうちの幾つかが、一定の高さを有する、項目38の光配向フィルム。
【0112】
項目43.第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する光配向フィルムであって各微細構造が、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有し、複数の微細構造の隆起部分が、平均長を有し、各隆起部分が、第1の方向に沿った前縁と後縁とを有し、光配向フィルムを、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができ、各格子セルが、少なくとも2つの近接した微細構造のピークを有し、格子セルの少なくとも70%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、隆起部分が、隆起部分の平均長より大きい長さを有する、光配向フィルム。
【0113】
項目44.光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法であって、
(a)第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を有する光配向フィルムを提供する工程であって、各微細構造が、第1の方向に沿って延在するピークを有する、工程と、
(b)光配向フィルム上に、複数の同じサイズと形状の格子セルを含む連続的な格子を、各格子セルが同数の微細構造ピークを有するように重ねる工程と、
(c)各格子セルを同数のサブセルに分割して、各サブセルが単一の微細構造ピークを有するようにする工程と、
(d)各格子セル内の単一のサブセルを選択する工程と、
(e)無作為に選択された各サブセル内に突出部の前縁を配置する工程と、を含む、方法。
【0114】
項目45.各突出部が、突出部の前縁の反対側に後縁を有し、工程(e)を実行することにより、突出部の前縁が突出部の同じ側になり、突出部の後縁が突出部の反対側になる、項目44の方法。
【0115】
項目46.工程(d)が、各格子セル内の単一のサブセルを無作為に選択する工程を含む、項目44の方法。
【0116】
項目47.工程(a)から(e)が逐次的に実行される、項目44の方法。
【0117】
上記に引用した全ての特許、特許出願及び他の刊行物を、それらがあたかも完全に再現されたものとして本明細書に援用する。本発明の様々な態様の説明を容易にするために本発明の特定の実施例を上記に詳細に説明したが、本発明は、それら実施例の詳細に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ添付の特許請求の範囲により規定されるように本発明の趣旨及び範囲内にある全ての変形例、実施形態及び代替例を全て網羅しようとするものである。
本発明はまた、以下の項目1〜10の内容を包含する。
(1)
第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する光配向フィルムであって、各微細構造が、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有し、前記複数の微細構造の前記隆起部分が、平均長を有し、各隆起部分が、前記第1の方向に沿った前縁と後縁とを有し、
前記光配向フィルムを、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができ、前記格子セルの少なくとも90%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁または隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、前記隆起部分が、前記隆起部分の前記平均長より大きい長さを有する、光配向フィルム。
(2)
前記複数の微細構造内の前記微細構造の前記非隆起部分が、前記第1の方向に沿って同じ一定のピーク高さを有する、項目1に記載の光配向フィルム。
(3)
前記複数の微細構造内の前記微細構造の前記隆起部分が、同じ最大ピーク高さを有する、項目1に記載の光配向フィルム。
(4)
前記格子セルが、長方形である、項目1に記載の光配向フィルム。
(5)
各格子セルが、微細構造ピークを1つだけ有する、項目1に記載の光配向フィルム。
(6)
前記格子セルの少なくとも90%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、項目1に記載の光配向フィルム。
(7)
第1の方向に沿って延在する複数の微細構造と、前記複数の微細構造上に配置された複数の隆起部分とを含む構造化主面を有する光配向フィルムであって、前記光配向フィルム全体にわたる前記隆起部分の数密度がDであり、各隆起部分が、前記第1の方向に沿った前縁と後縁とを有し、
前記光配向フィルムを、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができ、各格子セルの面積が、約1/Dであり、前記格子セルの少なくとも90%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁を有する、光配向フィルム。
(8)
第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する光配向フィルムであって、各微細構造が、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有し、隆起部分の領域内と非隆起部分の領域内の微細構造の横方向断面が同じ形状を有し、
隆起部分の少なくとも一部分を含むことなく前記光配向フィルムの前記構造化主面に重なることができる最大円の直径が、約0.5mm以下である、光配向フィルム。
(9)
第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を含む構造化主面を有する光配向フィルムであって、各微細構造が、複数の隆起部分と複数の非隆起部分を有し、前記複数の微細構造の前記隆起部分が、平均長を有し、各隆起部分が、前記第1の方向に沿った前縁と後縁とを有し、
前記光配向フィルムを、連続した二次元格子を形成する複数の同じサイズと形状の格子セルに分割することができ、各格子セルが、少なくとも2つの近接した微細構造のピークを有し、前記格子セルの少なくとも70%がそれぞれ、隆起部分の単一前縁又は隆起部分の一部分のどちらかを有し、その場合、前記隆起部分が、前記隆起部分の前記平均長より大きい長さを有する、光配向フィルム。
(10)
光配向フィルム上に複数の突出部を分散させる方法であって、
(a)第1の方向に沿って延在する複数の微細構造を有する光配向フィルムを提供する工程であって、各微細構造が、前記第1の方向に沿って延在するピークを有する、工程と、
(b)前記光配向フィルム上に、複数の同じサイズと形状の格子セルを含む連続的な格子を、各格子セルが同数の微細構造ピークを有するように重ねる工程と、
(c)各格子セルを同数のサブセルに分割して、各サブセルが単一の微細構造ピークを有するようにする工程と、
(d)各格子セル内の単一のサブセルを選択する工程と、
(e)無作為に選択された各サブセル内に突出部の前縁を配置する工程と、を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16A
図16B
図16C
図16D