特許第6174795号(P6174795)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6174795UV領域、可視領域、およびIR領域での全反射減衰分光用途のためのハイブリッド光ファイバープローブ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174795
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】UV領域、可視領域、およびIR領域での全反射減衰分光用途のためのハイブリッド光ファイバープローブ装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/552 20140101AFI20170724BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20170724BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G01N21/552
   G02B6/26
   A61B1/00 500
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-517740(P2016-517740)
(86)(22)【出願日】2014年6月3日
(65)【公表番号】特表2016-521851(P2016-521851A)
(43)【公表日】2016年7月25日
(86)【国際出願番号】IL2014050504
(87)【国際公開番号】WO2014195949
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2016年7月7日
(31)【優先権主張番号】61/830,651
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515336836
【氏名又は名称】ピムズ パッシブ イメージング メディカル システムズ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ベン−ジオン,デケル
(72)【発明者】
【氏名】ジルベルマン,アルカディ
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ロニー
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,ヤニフ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウンスタイン,ネイサン
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−083731(JP,A)
【文献】 特開2002−296189(JP,A)
【文献】 米国特許第04654532(US,A)
【文献】 特開平10−221544(JP,A)
【文献】 特開2010−048638(JP,A)
【文献】 特開2007−192701(JP,A)
【文献】 米国特許第06104853(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/958
A61B 1/00−10/06
G02B 6/00− 6/032
G02B 6/26
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド全反射減衰光ファイバープローブ装置であって、
該装置は、
(a)放射線源、
(b)検出システム、
(c)入力端部と出力端部を有するコアのみの中実の光ファイバープローブ先端、
(d)第1の端部で放射線源と結合し、第2の端部でコアのみの中実の光ファイバープローブ先端の入力端部と相互接続するように構成された入力用の中空のファイバー導波管、
(e)第1の端部でコアのみの中実の光ファイバープローブ先端の出力端部と相互接続し、第2の端部で検出システムと結合するように構成された出力用の中空のファイバー導波管、および
(f)放射線源から放射線を受け取るために出力用の中空のファイバー導波管の第2の端部との相互接続のためにテーパー状の端部で構成された内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素、
を含み、
ここで、前記コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の外径と、入力用の中空のファイバー導波管と出力用の中空のファイバー導波管のそれぞれの1つの内径は、入力用の中空のファイバー導波管と出力用の中空のファイバー導波管のそれぞれ1つとコアのみの中実の光ファイバープローブ先端との間の相互接続が、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の入力端部を入力用の中空のファイバー導波管の第2の端部に挿入し、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の出力端部を出力用の中空のファイバー導波管の第1の端部に挿入することによってなされるようなものであり、その結果、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端が摩擦によって入力用と出力用の中空のファイバー導波管内で維持され、ここで、内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素の一部の外径と出力用の中空のファイバー導波管の第2の端部の内径は、内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素のテーパー状の端部が摩擦によって出力用の中空のファイバー導波管の第2の端部の末端で維持されるようなものであ
前記コアのみの中実の光ファイバープローブ先端と前記入力用と出力用の中空のファイバー導波管との間の前記相互接続は、前記コアのみの中実の光ファイバープローブ先端と前記入力用と出力用の中空のファイバー導波管との間の接触表面領域上にカップリング剤を含み、該カップリング剤は、貴金属およびグラフェンの1つの層であることを特徴とする、ハイブリッド全反射減衰光ファイバープローブ装置。
【請求項2】
前記コアのみの中実の光ファイバープローブ先端と前記入力用と出力用の中空のファイバー導波管との間の前記相互接続は解除可能な相互接続である、請求項1に記載のハイブリッド全反射減衰光ファイバープローブ装置。
【請求項3】
前記内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素は、
(a)入力面、
(b)入力面から伸びる内部のテーパー状の部分、
(c)中空のファイバー導波管と相互接続するように構成された、かつ、入力面の直径よりも小さな実質的に一定の直径を有する出力接続部、を備え、
前記出力接続部の直径と中空のファイバー導波管の内径は、前記内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素が摩擦によって中空のファイバー導波管の端部で保持されるようなものである、請求項1に記載のハイブリッド全反射減衰光ファイバープローブ装置
【請求項4】
前記内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素の前記入力面は平らである、請求項3に記載のハイブリッド全反射減衰光ファイバープローブ装置
【請求項5】
前記内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素の前記入力面はレンズ形状である、請求項3に記載のハイブリッド全反射減衰光ファイバープローブ装置
【請求項6】
中実の光ファイバー要素を中空のファイバー導波管に取り付けるための方法であって、
前記方法は、
(a)入力端部と出力端部の少なくとも1つを有する中実の光ファイバー要素を設ける工程、
(b)1つの端部で中実の光ファイバー要素の入力端部と出力端部のうちの1つを相互接続するように構成された少なくとも1つの中空のファイバー導波管を設ける工程、および、
(c)前記中実の光ファイバー要素と前記少なくとも1つの中空のファイバー導波管との間の接触表面領域を、貴金属およびグラフェンの1つの層として提供されるカップリング剤でコーティングする工程、および、
(d)入力端部と出力端部の少なくとも1つを中空のファイバー導波管の端部へ少なくとも部分的に挿入する工程、
を含み、
ここで、中実の光ファイバー要素の外径と中空のファイバー導波管の内径は、中実の光ファイバー要素が摩擦によって中空のファイバー導波管の端部で保持されるようなものである、方法。
【請求項7】
前記中実の光ファイバー要素は、入力端部と出力端部を有するコアのみの中実の光ファイバープローブ先端として提供され、前記少なくとも1つの中空のファイバー導波管は、入力用の中空のファイバー導波管と出力用の中空のファイバー導波管として構成された2つの中空のファイバー導波管として提供され、挿入する前記工程は、コアのみの中実の光ファイバープローブの入力端部を入力用の中空のファイバー導波管へ少なくとも部分的に挿入すること、および、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の出力端部を出力用の中空のファイバー導波管へ少なくとも部分的に挿入することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記中実の光ファイバー要素は、少なくとも出力接続部を有する内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素として提供される、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に分光器の用途で使用される光ファイバープローブに関し、とりわけ、ハイブリッド全反射減衰(hybrid Attenuated Total Reflection)(ATR)光ファイバープローブ装置に関する。さらに、本発明は中実の光ファイバーコア先端を中空のファイバー導波管に取り付ける方法に関する。
【0002】
より具体的には、本発明は、限定されないが分光光度計または分光計などの検出システムと共に使用される、プローブ装置と革新的な付属物に関する。本発明のプローブ装置は特にフーリエ変換分光計とともに使用されるのに非常に適している。付属物は、全反射減衰(ATR)を用いて、検出器または測定システムからサンプルを遠隔で分光分析することを可能にするための、送信用光導波管、放射線源、光学機械部品(反射器など)を利用する。
【0003】
本発明は、広範囲な波長(UV、VIS、IR)にわたって高い効率を有する分光ATR用途のためのハイブリッド光ファイバープローブを提供することを目的とする。特定の実施形態では、これは直径が小さく、高い柔軟性を有することが可能である。
【背景技術】
【0004】
分光学的用途の光ファイバープローブは周知であり、様々な状態のサンプルの特性を測定するために長いあいだ使用されてきた。
【0005】
一般に、特に、医療用途において、こうした光ファイバープローブは、プローブの近位端からプローブの遠位端へ放射線を導くための第1のファイバーまたは第1のファイバー束と、プローブの近位端へと放射線を導き戻すために使用される第2のファイバーまたは第2のファイバー束を備える。
【0006】
全反射減衰(ATR)ヘッドまたは先端部などの光学素子は、ファイバープローブの遠位端に配される。光学素子は一般に、サンプルの分光特性(スペクトル特徴)を決定するために生体組織などのサンプルに相互作用するような方法で配され、適合させられる。こうした際に、ATR要素によって放射された放射線はサンプルによって修正され、ATR要素に再度入り、光ファイバーまたは光ファイバーの束に後方反射される。反射光は最終的にファイバーの近位端から放射され、回折格子に基づく分光計、フーリエ変換分光計/干渉計、あるいは、関連する光素子または検出器のアレイを備えたスペクトルフィルターなどの検出システムによって受け取ることが可能である。
【0007】
ファイバーオプティクスによって検出システム(例えば、FTIR分光計)に遠隔で接続されるATR結晶は、分光器の用途で広範に使用される。シングルファイバー(single fiber)システム(1つの入力と1つの出力の光ファイバーを使用するシステム)が一般に使用されており、通常は、放射線を光ファイバーからATR結晶へ伝達し、再度戻すための複雑な結合手段を含んでいる。
【0008】
ATR分光測定は、臨床アッセイ、医療診断、および研究所での検査において広範囲に使用されている。
【0009】
こうしたATR光ファイバープローブの例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10で開示されている。
【0010】
ATR技術は、スネルの法則に準じて、光線が第1と第2の媒体間の、またはOcrit=sin−ln2/n1(n1、n2はそれぞれ第1と第2の媒体の屈折率である)として定義される臨界角以上で、インタフェースに衝突する際には、屈折光線がない、すなわち、入射光線は完全に内部反射され、エバネッセント波が生成されるという事実を利用する。「エバネッセント」とは「消える傾向がある」ことを意味し、このことは、エバネッセント波の強度はそれが形成されるインタフェースからの距離と指数関数的に減衰するので、適切である。この距離は一般に1−50μmの範囲である。その結果、反射光の強度は周囲の媒体が吸収する波長で減少する。
【0011】
ATR分光測定では、サンプルは放射線を光学素子(結晶)に通すことによって測定され、これはプローブに取り付けることが可能である。例えば、UV、Vis、またはIRでありえる放射線は、すべての入射放射線が内部全反射を経験するような入射角で光学素子に向けられる。放射線が内部全反射を経験する場合、電磁放射場(エバネッセント波)は光学素子の表面を越えてサンプルまで伸びる。エバネッセント波の貫通深さは、光学素子材料の屈折率、サンプル材料の屈折率、放射線波面の入射角、および放射線の波長による。サンプルがエネルギーを吸収するスペクトルの領域では、エバネッセント波は減衰し、減衰したエネルギーは光学素子に戻される。その後、放射線は光学素子を出て、光導波管/ファイバーを介して検出器に衝突する。検出器は減衰した放射線を記録し、これはその後変形してスペクトル、例えば、吸収スペクトルを生成することができる。
【0012】
ATRスペクトルは、サンプルに接触した光学結晶(素子)を介してIR(約−0.75μm乃至約−0.1mmまで)、VIS(−0.35μm乃至−0.75まで)、またはUV(−0.22μm乃至−0.35まで)であり得る放射線を送信し、その後、入射放射線のどの部分が特定の波長でサンプルによって減衰されるのかを判定することにより生成される。
【0013】
伝達損失のスペクトルは全反射減衰(ATR)分光学の基礎である。
【0014】
したがって、ハイブリッド全反射減衰(ATR)光ファイバープローブ装置が必要とされている。さらに、中実の光ファイバーコア先端を中空のファイバー導波管に取り付ける方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5754722号
【特許文献2】米国特許第7956317号
【特許文献3】米国特許第6879741号
【特許文献4】米国特許第6563992号
【特許文献5】米国特許第4930863号
【特許文献6】米国特許第6841792号
【特許文献7】米国特許第5170056号
【特許文献8】米国特許第6970623号
【特許文献9】米国特許第5185834号
【特許文献10】米国特許第5070243号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明はハイブリッド全反射減衰(ATR)光ファイバープローブ装置である。さらに、これは中実の光ファイバーコア先端を中空のファイバー導波管に取り付ける方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の教示によれば、ハイブリッド全反射減衰光ファイバープローブ装置が提供され、該装置は、
(a)放射線源;検出システム;入力端部と出力端部を有するコアのみの中実の光ファイバープローブ先端;第1の端部で放射線源と結合し、第2の端部でコアのみの中実の光ファイバープローブ先端の入力端部と相互接続するように構成された入力用の中空のファイバー導波管;第1の端部でコアのみの中実の光ファイバープローブ先端の出力端部と相互接続し、第2の端部で検出システムと結合するように構成された出力用の中空のファイバー導波管;放射線源から放射線を受け取るために出力用の中空のファイバー導波管の第2の端部との相互接続のためにテーパー状の端部で構成された内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素(an inwardly tapered solid fiber input radiation collector element);ここで、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の外径と、入力用の中空のファイバー導波管と出力用の中空のファイバー導波管のそれぞれの1つの内径は、入力用の中空のファイバー導波管と出力用の中空のファイバー導波管のそれぞれ1つとコアのみの中実の光ファイバープローブ先端との間の相互接続が、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の入力端部を入力用の中空のファイバー導波管の第2の端部に挿入し、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の出力端部を出力用の中空のファイバー導波管の第1の端部に挿入することによってなされるようなものであり、その結果、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端が摩擦によって入力用と出力用の中空のファイバー導波管内で維持され、ここで、内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素の一部の外径と出力用の中空のファイバー導波管の第2の端部の内径は、内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素のテーパー状の端部が摩擦によって出力用の中空のファイバー導波管の第2の端部の末端で維持されるようなものである。
【0018】
本発明の教示によれば、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端と入力用と出力用の中空のファイバー導波管の間の相互接続は解除可能な相互接続である。
【0019】
本発明の教示によれば、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端と入力用と出力用の中空のファイバー導波管の間の相互接続は、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端と入力用と出力用の中空のファイバー導波管との間の接触表面領域上に貴金属の層を含んでいる。
【0020】
本発明の教示に従って、放射線源から放射線を受け取り、放射線を中空のファイバー導波管へ伝達するための内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素がさらに提供され、内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素は、入力面;入力面から伸びる内部のテーパー状の部分;中空のファイバー導波管と相互接続するように構成された、かつ、入力面の直径よりも小さな実質的に一定の直径を有する出力接続部を有し、接続部の直径と中空のファイバー導波管の内径は、内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素が摩擦によって中空のファイバー導波管の端部で保持されるようなものである。
【0021】
本発明の教示によれば、入力面は水平である。
【0022】
本発明の教示によれば、入力面はレンズ形状である。
【0023】
本発明の教示によれば、中実の光ファイバー要素を中空のファイバー導波管に取り付けるための方法がさらに提供され、該方法は、入力端部と出力端部の少なくとも1つを有する中実の光ファイバー要素を設ける工程、1つの端部で中実の光ファイバー要素の入力端部と出力端部のうちの1つを相互接続するように構成された少なくとも1つの中空のファイバー導波管を設ける工程、および、入力端部と出力端部の少なくとも1つを中空のファイバー導波管の端部へ少なくとも部分的に挿入する工程、を含み、ここで、中実の光ファイバー要素の外径と中空のファイバー導波管の内径は、中実の光ファイバー要素が摩擦によって中空のファイバー導波管の端部で保持されるようなものである。
【0024】
本発明の教示によれば、中実の光ファイバー要素は、入力端部と出力端部を有するコアのみの中実の光ファイバープローブ先端として提供され、少なくとも1つの中空のファイバー導波管は、入力用の中空のファイバー導波管と出力用の中空のファイバー導波管として構成された2つの中空のファイバー導波管として提供され、挿入する工程は、コアのみの中実の光ファイバープローブの入力端部を入力用の中空のファイバー導波管へ少なくとも部分的に挿入すること、および、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端の出力端部を出力用の中空のファイバー導波管へ少なくとも部分的に挿入することを含む。
【0025】
本発明の教示によれば、中実の光ファイバー要素は、少なくとも出力接続部を有する内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素として提供される。
【0026】
本発明の教示によれば、中実の光ファイバー要素と少なくとも1つの中空のファイバー導波管との間の接触表面領域を貴金属の層でコーティングする工程も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は添付の図面を参照して一例地としてのみ本明細書に記載されている。
図1】本発明の教示に従って構築され、かつ動作可能なハイブリッド全反射減衰(ATR)の光ファイバープローブ装置の好ましい実施形態の側面図である。
図2A図1の中空のファイバー導波管の平面図である。
図2B図1の中空のファイバー導波管の側面図である。
図3】本発明の教示に従って構築され、かつ動作可能な放射線源の第1の好ましい実施形態の側面図であり、ここでは楕円リフレクタで示されている。
図4】本発明の教示に従って構築され、かつ動作可能な放射線源の第2の好ましい実施形態の側面図である。
図5】本発明の教示に従って構築され、かつ動作可能な内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素の第1の好ましい実施形態の側面図であり、ここでは平面で示されている。
図6】本発明の教示に従って構築され、かつ動作可能な内部にテーパー状の中実のファイバー入力放射線収集装置要素の第2の好ましい実施形態の側面図であり、ここではレンズ面で示されている。
図7】本発明のハイブリッドATR光ファイバープローブ装置とともに使用されるシステムを表わすブロック図である。
図8】本発明のハイブリッドATR光ファイバープローブ装置を組み込んだ小型化されたプローブシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明はハイブリッド全反射減衰(ATR)光ファイバープローブ装置である。さらに、中実の光ファイバーコア先端を中空のファイバー導波管に取り付ける方法である。
【0029】
本発明に係るハイブリッド全反射減衰(ATR)の光ファイバープローブ装置と、中実の光ファイバーコア先端を中空のファイバー導波管に取り付ける方法の原則と作用は、図面と付随の記載を参照して一層よく理解され得る。
【0030】
前置きとして、本発明は、ソースからサンプルに、およびサンプルから検出器まで放射線を伝達するためのハイブリッド光ファイバープローブを含むアセンブリを使用して、様々な物理的な形態および状態のサンプルからスペクトルを得るための便利な手段を提供することを目的とする。
【0031】
本発明のハイブリッドATR光ファイバープローブは、生体組織、中実材料、液体、水溶液、ゲル、泥、クリーム、ペースト、油と懸濁液中でのスペクトル(スペクトルの特徴)の判定を促すのにとりわけ適しており、限定されないが、水質をモニタリングするなどの、医学的、製薬的、環境学的な特徴を含む分光学的な特徴を判定するための様々な用途において使用することが可能である。
【0032】
スペクトルの特徴は、交換可能なATRヘッドチップを使用して、全反射減衰(ATR)によってサンプルから得られる。
【0033】
ATR要素を作成するために、光ファイバーのクラッディングは取り除かれ、コアはサンプルに直接接触して置かれる。光がコアサンプルのインタフェースで全内部反射を経験する場合、ファイバーのコア中の光波のエネルギーの一部は非常に短い距離にわたってサンプルを貫通する。このエバネッセント波のエネルギーの流れはコアの表面に平行であり、コア内のエネルギーの主要な流れと同じ方向である。したがって、放射線の特定の波長を吸収するどんな材料もエバネッセント波からエネルギーを取り出すことになる。
【0034】
ハイブリッドATRプローブは、サンプル中の放射線の吸収をもとの位置で検知するために、限定されないが、UV、VIS、およびIRなどの電磁スペクトルの広い領域で作用する。
【0035】
提案された継手方式を用いることで、大型の光学素子(高価なダイヤモンドのATR素子など)を使用する必要はなくなる。その結果、プローブの直径を価格とともに大幅に減少させることが可能となり、一方で、結果として生じるプローブはより可撓性を有するようになり、例えば内視鏡検査に使用することができる。
【0036】
ここで図面を参照すると、図1は、入力用の中空のファイバー導波管(10)と出力用の中空のファイバー導波管(12)に取り付けられたコアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)を有するATRプローブ(2)の好ましい実施形態を示す。放射線は入力用の中空のファイバー導波管(10)へ導入され、これを通って移動し、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)に入ってこれを通って移動し、その後、出力用の中空の導波管(12)に入ってこれを通って移動することが理解されよう。したがって、入力用の中空の導波管(10)は、放射線を受け取る入力端部(10a)と、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)の入力端部(20a)との相互接続のための出力端部(10b)とで構成される。同様に、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)は、出力用の中空のファイバー導波管(12)の入力端部(12a)との相互接続用のための出力端部(20b)で構成され、これは出力放射線の解釈のために検出器システムに放射線を送るための出力端部(12b)も含んでいる。
【0037】
ここで例証されるように、ATR先端は、追加の光学装置または機械的な位置決め装置を用いることなく、中空の導波管(10)および(12)に連結可能である。
【0038】
そのため、従来技術とは異なる本発明の顕著な特徴とは、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)の外径と、入力用の中空のファイバー導波管(10)と出力用の中空のファイバー導波管(12)のそれぞれ1つの内径が、中空のファイバー導波管(10)および(12)のそれぞれ1つとコアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)と間の相互接続が、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20a)の入力端部を入力用の中空のファイバー導波管(10)の出力端部(10b)を挿入し、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)の出力端部(20b)を出力用の中空のファイバー導波管(12)の入力端部(12a)に挿入することによってなされるようなものであり、結果として、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)は摩擦によって入力用と出力用の中空のファイバー導波管(10)および(12)で保持されることであるということが理解されよう。より具体的には、中空導波管は約0.75−1.0mmの内径で形成されてもよい。
【0039】
こうした摩擦による保持により、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)と入力用と出力用の中空のファイバー導波管(10)および(12)との間の相互接続は解除しやすくなり、それにより、それぞれを使用するために新しいコアのみの中実の光ファイバープローブの挿入が可能となることに留意されたい。
【0040】
コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)と入力用と出力用の中空のファイバー導波管(10)および(12)との間で保持される相互接続は、高効率で熱IR放射線を伝達するが中空ファイバーの内部コーティングと中実の光ファイバーコア成分との間のいかなる化学反応も回避するカップリング剤(30)を使用することによって、強化されることを理解されたい。詳細な説明のために、中空ファイバー、具体的には中空ファイバー導波管の内部コーティングと物理的に接触する中実の光ファイバーコア(20)の表面積は、限定されないが金(Au)などの貴金属の数ミクロンの結合−コーティング層(これに限定されない)のような薄い層でコーティングされ得ることが好ましい。随意に、限定されないがグラフェンなどの他のコーティング材料は、最大のエネルギー伝達効率で熱のIRエネルギーを伝達するが、接触中の中空のファイバーの内部コーティングと中実の光ファイバーコアとの化学反応を回避する。
【0041】
ATR先端(20)は、限定されないが、例えば、U字型(本明細書で例示されるような)、ループ、扁平形状、レンズ様形状、六角形、および三角形などの様々な異なる形態または形状で構成可能であることもさらに理解されたい。
【0042】
コアのみのハロゲン化銀の中実のファイバーはATR素子として使用可能である。多結晶のハロゲン化銀(例えば、AgClxBr1−x)ファイバーは、中程度のIRにおける用途に最も有用なものの一つである。こうしたファイバーは透過範囲が広く(〜2−20μmの波長)、無毒で、可撓性を有し、水に溶けない。ハロゲン化銀ファイバーは、0.5−1mmの範囲の直径と数メートルの長さを有する。
中実の光ファイバー先端は、限定されないがセレン化亜鉛などの実質的に適切な材料から作り出され得ることが理解されよう。
【0043】
多結晶のハロゲン化銀光ファイバーの進歩により、組織分析のためのFTIRの臨床応用が可能になりつつある。これらは、3−20μmのスペクトル領域において、低光損失(10μmの領域中で0.1−0.5dB/m)かつ高柔軟性(R−曲げ加工>10−100のファイバー直径)で作動する。
【0044】
基本的な2つのタイプのハロゲン化銀ファイバープローブが最も一般的であり、先端がUループのファイバーと先端がダイヤモンドのファイバーを含んでいる。
【0045】
AT構造では、ファイバー先端は、光伝達(入力)および収集(出力)ファイバー間の光路の物理的な遮断がないように、ループに作られる。
【0046】
ATRのコアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)を作成するために、使用中にコアがサンプルに直接接触して置かれてもよいように、中実の光ファイバーのクラッディングは取り除かれる。光がコアサンプル・インタフェースで全内部反射を経験すると、ファイバーのコア中の光波のエネルギーの一部は非常に短い距離にわたってサンプルに侵入する。このエバネッセント波のエネルギーの流れはコアの表面に平行であり、コア内のエネルギーの主な流れと同じ方向にある。
【0047】
特定の波長の放射線を吸収するどんな材料もエバネッセント波からエネルギーを取り出し、それによってATRプローブ(2)の出力放射線を修正する。
【0048】
提案された継手方式を用いることによって、大型の光学素子(高価なダイヤモンドのATR素子など)を使用する必要がなくなる。その結果、プローブの直径を価格とともに大幅に減少させることが可能となり、一方で、結果として生じるプローブはより可撓性を有するようになり、例えば内視鏡検査に使用することができる。
【0049】
本発明のATRプローブ(2)と共に使用される放射線源は、限定されないが、1つ以上の光源、レーザーなどを含む、光学的特性評価システムであってもよいことが理解されよう。本発明のATRプローブ(2)と共に使用される検出器は、限定されないが、回折格子に基づいた分光計、フーリエ変換分光計/干渉計、あるいは、関連する光素子または検出器のアレイを備えたスペクトルフィルターであってもよいことが理解されよう。
【0050】
一般に、(UV、可視、およびIRのスペクトル領域において)電磁放射を伝達するのに特に役立つ中空導波管は、そのコアが空気からなるガラスまたはプラスチックのチューブから作られる。これらの導波管の一部では、内表面は金属層でコーティングされ、これは誘電材料の別の層で頻繁にコーティングされる。
【0051】
図2Aと2Bは、入力用と出力用の中空のファイバー導波管(10)と(12)好ましい構造を例証しており、ここで、石英管の基部(30)は、アクリレート外部コーティング(32)と、誘電体コーティングとしてヨウ化銀でコーティングされる銀膜の内部コーティング(34)を有する。中空のファイバー導波管のコアは中空であり、空気で満たされることが容易に理解されよう。
【0052】
図3と4に例証されるように、本発明の一実施形態において、入力エネルギーの量を増加させ、かつATRプローブ(2)内の信号対雑音比を改善するために、入力用の中空のファイバー導波管(10)の入力端部(10a)は、ファイバーのテーパー状の端部でピグテール端部(102)を入力用の中空のファイバー導波管(10)の入力端部(10a)に直接挿入することによって、内部にテーパー状(角状)の中実のファイバー入力収集装置要素(100)に接続される。テーパー状の中実のファイバー入力収集装置要素(100)のピグテール端部(102)は、高効率で熱のIR放射線を伝達する結合材料であって、中空のファイバーの内部コーティングと内部にテーパー状(角状)の中実のファイバー入力収集装置要素(100)のピグテール端部(102)との間のいかなる化学反応も回避する結合材料で、コーティングされてもよいことが理解されよう。
【0053】
図3で例証されるように、放射線源(120)は、内部にテーパー状の中実のファイバー入力収集装置要素(100)へ伝達された放射エネルギーをさらに増加させるために、楕円リフレクタ(130)を含んでもよい。あるいは、図4で見られるように、放射エネルギーは、楕円リフレクタを用いることなく、放射線源(120)から内部にテーパー状の中実のファイバー入力収集装置要素(100)へ直接伝達されることもある。
【0054】
図5と6は、内部にテーパー状の中実のファイバー入力収集装置要素(100)の入力面が、例えば、平面(106f)、球面、および、丸いレンズ(106r)などの異なる構造を持つことができることを示している。
【0055】
図7はATRプローブ(2)とともに使用される完全なシステム(200)であり、ここで、入力用の中空のファイバー導波管(10)は放射線源(210)に接続され、出力用の中空のファイバー導波管(12)は検出器(220)へのコネクターである。
【0056】
図7のブロック図で例証されるシステムは内視鏡とともに使用されるために提供されてもよいことが容易に認識されよう。
【0057】
ハイブリッドATRプローブは検査中に内視鏡のワーキングチャンネルに簡単に差し込まれる。一実施形態において、この構造は胃腸科医によって一般に使用されるものに似たピンセットを含むこともある。
【0058】
従来の結腸内視鏡検査、内視鏡検査、または腹腔鏡検査の処置中に、医師は開口部または腹部切開に内視鏡を挿入し、内視鏡の端部を関心分野へと動かす。医師が内視鏡の端部に近い組織を検査することができるように、内視鏡の端部には一般にビデオカメラがある。内視鏡は「ワーキング」チャネル、基本的には内視鏡の全長に及ぶ小さな穴部を有し、これを通して医師は様々なツールおよび/または生検鉗子を差し込むことができる。こうしたワーキングチャンネルは内部または外部のワーキングチャンネルであってもよい。それは、ATRプローブまたはATRプローブと鉗子を差し込むこの予備のチャンネル内部にある。中実の光ファイバー先端をカメラの横の内視鏡の遠位部内で組み合わせることができるようにATRプローブは内視鏡内に設置可能であり、中空のファイバー導波管は内視鏡内部にまたは内視鏡に沿って置かれる。
【0059】
さらに、ATRプローブ(2)は、脱水および組織の乾燥のためのツールに関連付けられることもある。さらに、洗浄液を導入するためのシステムも、コアのみの中実の光ファイバープローブ先端(20)を洗浄するためのATRプローブに関連付けられることもある。
【0060】
脱水ツールは、中空のファイバー導波管の端部が接続される装置の一部であってもよいことが理解されよう。こうしたATRプローブ構造はin−vitroの組織診断で使用すること可能である。
【0061】
図8はATRプローブ(2)とともに使用される完全なシステム(300)の携帯用の小型化した実施形態であり、ここで、入力用の中空のファイバー導波管(10)、出力用の中空のファイバー導波管(12)、射線源(310)、および、検出器(320)に対するコネクターが、ペン様式のハウジングで展開されている。ペン様式のハウジングは、限定されないが、フーリエ変換分光計などの分析システムにデータを送信するための手段も含み得ることが理解されよう。こうしたデータ送信は、ケーブル接続によって、または既知の無線通信プロトコルを使用して無線でなされてもよい。
【0062】
上記の記載は単に例として機能するよう意図されたものであり、本発明の精神と範囲内で他の多くの実施形態が可能であることが認識されよう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8