(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6174833
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】キックスケーター
(51)【国際特許分類】
A63C 17/01 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
A63C17/01
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-87704(P2017-87704)
(22)【出願日】2017年4月26日
【審査請求日】2017年4月26日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305025795
【氏名又は名称】井手 昊基
(72)【発明者】
【氏名】井手 昊基
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3074173(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3072061(JP,U)
【文献】
実開昭60−113083(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3072486(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0096849(US,A1)
【文献】
国際公開第2013/065978(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 17/00−17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪側フレームの下端に左右両側面が平面で平行かつ左右方向に貫通する前後2か所の穴を有する基台を剛結し、一方後輪側メインフレームは左右2本のフレームで構成しそれらフレームには前輪側基台の2か所の穴に対応した取り付け穴を設け、前輪側基台を後輪側メインフレームで左右から挟んで前後2か所の取り付け穴でボルト締結することにより、前輪側と後輪側を結合して走行状態を保持し、折りたたむ際は前後2か所の締結ボルトの一方を緩めて外し、他方のボルトを中心に回転して折りたためるようにした、キックスケーターの折りたたみ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、キックスケーターの前輪側フレームと後輪側フレームとの折りたたみ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キックスケーターには収納や携帯性を良くするために折りたたみ式のものが多種普及している。以下に従来の事例を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−215494
【特許文献2】実用新案登録第3073082
【特許文献3】実用新案登録第3073212
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明の狙いは、構造が簡素で構成部品点数が少なく、且つ卓上ボール盤や小型切断機程度の設備で簡単に製造可能なキックスケーターの折りたたみ構造とすることである。
特許文献1は、ハンドル軸部を折りたたむものであるが、構成部品点数が多くまた個々の部品は複雑形状となっており切削機械等が無ければ加工できないものである。
特許文献2は、後輪側デッキボードに接合してなる左右2枚の連結座と前輪側の接合架を左右向きの2本のピンで係合するものである。接合架の係合穴はボール盤で加工可能であるが、連結座の弧状溝は円弧状の長穴となっておりレーザーカッターあるいは打抜プレス等で加工せざるを得ず、相応の設備と技術が必要である。
特許文献3は、前輪側フレームの下端に接合された四角管状の管台に後輪側の車体管を挿入し、それらを貫通してボルトで固定するものである。前輪側の管台は上下面に対し左右面のみが後方に伸びた形状となっており、この加工はプレス成型品を溶接で閉じるか又は角パイプの上下面を切り落とすかの何れかで加工する必要がある。一方後輪側の車体管の穴は長穴となっておりこれもボール盤で加工することは出来ない。
【0005】
以上、従来のキックスケーターの結合構造にあっては、卓上ボール盤や小型切断機程度の設備で製造することは困難であり、プレス機や溶接機あるいはレーザー加工機や切削機械等など大掛かりな設備が必要である。
【発明の効果】
【0006】
構造が簡素で構成部品点数も少なく、且つ卓上ボール盤や小型の切断機程度の設備で製造できるため製造費を安くでき、さらにはユーザーが乗って遊ぶだけでなく、例えばメインフレームは穴あけだけで簡単に作れるため、その長さを変えてホイルベースを長短するなど改良して楽しむこともできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本願発明の第1の事例の側面図と平面図である。
【
図5】本願発明の第2の事例の側面図と平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して説明する。
図1は本願発明の第1の事例の側面図と平面図である。
この事例は前輪1を左右二輪とし、前輪側フレーム4を左右に傾けることでキャスター機構によって転舵するものである。
前輪側フレーム4の下端に基台5を剛結し、その基台5を左右2本で構成するメインフレーム3で挟んで締付け固定している。基台5は左右側面が平面で平行かつ左右方向に貫通する前後2か所の穴を設けており、またメインフレーム3の左右のフレームにも基台5の穴に対応した2か所の取り付け穴を設けている。
図3は
図1の折りたたみ部の詳細図である。
基台5の前輪側フレーム挿入穴に前輪側フレーム4を挿入し締込ボルト10と締込ナット11で締付けて剛結している。基台5の前輪側フレーム挿入穴から後端までスリットを入れることにより、前輪側フレーム挿入穴と前輪側フレーム4に若干の径の差があったとしても挿入しやすくなり、また完全に締付けられるようにしている。
左右2本で構成するメインフレーム3で基台5を左右から挟み、前後2か所の取り付け穴部を取付ボルトA6と取付ナットA7および取付ボルトB8と取付ナットB9で締結し固定している。
締込ボルト10と締込ナット11の座面を堀込んだことにより、締込ボルト10と締込ナット11が基台5とメインフレーム3の合わせ面に突出することなく、基台5とメインフレーム3の合わせ面は密着するようになっている。
図2は
図1を折りたたんだ状態の図である。
取付ボルトB8と取付ナットB9を緩めて取り外し、取付ボルトA6を中心にメインフレーム3を持ち上げ回転して後輪2が前輪側フレーム4に接するまで折りたたんでいる。
図4は
図1の折りたたみ部の他の事例である。
図3に対し、締込ボルト10と取付ボルトB8を兼ねたものであり、締込ナット11によって基台5を前輪側フレーム4に締付けて剛結し、その取付ボルトB8にメインフレーム3を左右から挿入し取付ナットB9で固定している。この事例の折りたたみは取付ボルトA6と取付ナットA7を緩めて取り外し、取付ボルトB8を中心にメインフレーム3を回転して折りたたむようになっている。
【0009】
図5は本願発明の第2の事例の側面図と平面図である。
この事例は前輪1を比較的大きな径の一輪とし、ハンドルを回転して転舵するものである。この事例も基台5と前輪側フレーム4の剛結方法や基台5とメインフレーム3の固定方法は第1の事例と同様である。
図6は
図5を折りたたんだ状態の図である。
折りたたみの手順は第1の事例と同様である。
図7は
図5の折りたたみ部の詳細図である。
第1の事例に対し、基台5のスリット及び締込ボルト10と締込ナット11が前輪側フレーム挿入穴より前方になっている。締込ボルト10と締込ナット11の位置がメインフレーム3の前端よりさらに前方にあることにより
図3図4の様な堀込をせずとも干渉することなくメインフレーム3を折りたたむことができる。
図8は
図5の折りたたみ部の他の事例である。
図7に対し、締込ボルト10と締込ナット11の座面を堀込んで、締込ボルト10と締込ナット11が基台5とメインフレーム3の合わせ面に突出しないようにしている。
図9は折りたたみ部を
図8の構造とし、
図6とは反対方向に後輪2が前輪1の前方となるように折りたたんだ状態である。この折りたたみ状態は前輪1と後輪2を接地させ転がして持ち運ぶことができる。
本願発明の構造にあっては、メインフレーム3を左右2本のフレームで構成し且つメインフレーム3本体で基台5を挟むように係合していることにより折りたたみ方向に制約がなくいずれの方向へも折りたたみ可能となっている。
【0010】
以上、本願発明の前輪側フレームと後輪側のメインフレームの結合部構造は簡素で構成部品点数が少なく、部品形状もカットと穴あけのみで製造できるものである。
尚、本願発明構造をベースにして前輪側フレーム4と基台5の剛結方法を圧入や溶接とし、あるいは左右2本のメインフレーム3を部分的に繋いだり、また取付ボルトB8取付ナットB9を手で回せるようにノブ式にするなどは任意である。
【産業上の利用可能性】
【0011】
加工が簡単で構成部品点数も少ないことにより製造コストが下がり、またユーザーは乗って遊ぶだけでなく、独自に改良して楽しむことも容易となる。
【符号の説明】
【0012】
1 前輪
2 後輪
3 メインフレーム
4 前輪側フレーム
5 基台
6 取付ボルトA
7 取付ナットA
8 取付ボルトB
9 取付ナットB
10 締込ボルト
11 締込ナット
【要約】
【課題】
構造が簡素で構成部品点数も少なく、且つ卓上ボール盤や小型切断機程度の設備で製造でき、さらにはユーザーが乗って遊ぶだけでなく、例えばメインフレームは穴あけだけで簡単に作れるため、その長さを変えてホイルベースを長短するなどの改良を楽しむこともできるキックスケーターの折りたたみ構造とする。
【解決手段】
前輪側フレームの下端に左右両側面が平面で平行かつ左右方向に貫通する前後2か所の穴を有する基台を剛結し、一方後輪側メインフレームは左右2本のフレームで構成しそれらフレームには前輪側基台の2か所の穴に対応した取り付け穴を設け、前輪側基台を後輪側メインフレームで左右から挟んで前後2か所の取り付け穴でボルト締結することにより、前輪側と後輪側を結合して走行状態を保持し、折りたたむ際は前後2か所の締結ボルトの一方を緩めて外し、他方のボルトを中心に回転して折りたためるようにした。
【選択図】
図1