特許第6174865号(P6174865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174865
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】建設機械の警告装置
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/00 20060101AFI20170724BHJP
   F16J 15/34 20060101ALI20170724BHJP
   F16J 15/36 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   F16J15/00 E
   F16J15/34 A
   F16J15/36 Z
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-32776(P2013-32776)
(22)【出願日】2013年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-163415(P2014-163415A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(72)【発明者】
【氏名】上谷 政和
(72)【発明者】
【氏名】塩河 孝行
【審査官】 保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−074289(JP,A)
【文献】 特開2011−069468(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/14
F16J 15/34−15/38
B62D 55/15
E02F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材と、該回転部材の回転軸線方向に対向して設けられた固定部材とを有し、該回転部材と該固定部材との対向する端部の各々には一対の環状の内周面が形成されており、該一対の内周面の間には該回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面が形成された一対の環状のシールリングが設けられており、該一対の内周面の各々と該一対のシールリングの外周面の各々との間には一対のOリングが介在されている、フローティングシール機構を有する建設機械において、
該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置を検出するOリング介在位置検出手段と、該Oリング介在位置検出手段から入力された該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置が所定の位置にないと判定した場合には警告信号を出力するコントローラと、該警告信号に基づき警告を発する警告手段とを備え
該Oリング介在位置検出手段は、該固定部材の該回転部材と対向する一端面に設けられた圧力センサであり、
該コントローラは、該圧力センサから入力された圧力が所定の圧力を超えたときは該一対のOリングの少なくとも一方が所定の介在位置にないと判定し警告信号を出力することを特徴とする建設機械の警告装置。
【請求項2】
回転部材と、該回転部材の回転軸線方向に対向して設けられた固定部材とを有し、該回転部材と該固定部材との対向する端部の各々には一対の環状の内周面が形成されており、該一対の内周面の間には該回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面が形成された一対の環状のシールリングが設けられており、該一対の内周面の各々と該一対のシールリングの外周面の各々との間には一対のOリングが介在されている、フローティングシール機構を有する建設機械において、
該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置を検出するOリング介在位置検出手段と、該Oリング介在位置検出手段から入力された該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置が所定の位置にないと判定した場合には警告信号を出力するコントローラと、該警告信号に基づき警告を発する警告手段とを備え
該Oリング介在位置検出手段は、該固定部材の該回転部材と対向する一端面に設けられ該一対のOリングの一方が接触していないときは非通電となり、該一対のOリングの一方が接触したときは通電となる接触式スイッチであり、
該コントローラは、該接触式スイッチが通電となったときは該一対のOリングの一方の介在位置が所定の位置にないと判定し警告信号を出力することを特徴とする建設機械の警告装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械における回転機構の潤滑油を封入するために装着されるフローティングシール機構を有する建設機械の警告装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の装軌式車両の下部走行体は、車両前後方向に延びる左,右一対のトラックフレームを有するベースフレームと、各トラックフレームの一端側に設けられた走行装置と、各トラックフレームの他端側に設けられたアイドラと、走行装置に取付けられたスプロケットとアイドラとに巻き掛けられたクローラとを備えている。
【0003】
走行装置は、油圧により回転駆動する走行モータと、走行モータの回転を減速する減速機とを有している。減速機を収容する減速機ハウジングは、トラックフレームに対して回転自在に設けられており、その外周側にはスプロケットが固定されている。走行モータを収容する走行モータハウジングは、減速機ハウジングの回転軸線方向に対向する位置でトラックフレームに固定されている。減速機ハウジングと走行モータハウジングとの対向する端部の各々には一対の環状の内周面が形成されている。
【0004】
走行装置は、走行モータの回転を減速機によって減速することにより、減速機ハウジングの外周側に固定されたスプロケットを大きなトルクをもって回転させ、スプロケットとアイドラとに巻き掛けられたクローラを周回駆動させるものである。
【0005】
減速機ハウジングと走行モータハウジングとの間には、その隙間から外部へ減速機の潤滑油が漏れるのを防止するためフローティングシール機構が装着されている。
【0006】
フローティングシール機構は、前記一対の内周面の間に設けられ回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面が形成された一対の環状のシールリングと、前記一対の内周面の各々と一対の環状のシールリングの外周面の各々との間に介在されている一対のOリングとを有している。
【0007】
各々のシールリングは、各々のOリングの反発力(弾性力)により前記一対の内周面の各々の間にフローティング状態で支持されると共に、前記シール面は、各々のOリングの反発力により相対回転自在に圧接される。これにより各々のシールリング間のシール機能が保持される。以上のように構成されたフローティングシール機構により、減速機ハウジングと走行モータハウジングとの隙間から外部へ潤滑油の漏れることが防止される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−74289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したとおりの形態の従来の建設機械には、次のとおりの解決すべき課題がある。
【0010】
油圧ショベルは泥土中を走行するとき、泥土が減速機ハウジングと走行モータハウジングとの隙間に侵入してくる。また、長距離を走行する場合には、その隙間に多くの泥土や泥水等の異物が侵入し、各々のOリングが異物によって押圧される。そうすると、各々のOリングの介在位置が内部、すなわち前記シール面から離れる方向に移動する場合がある。各々のOリングにこのような移動が生じた場合、各々のOリングの反発力が低下する。その結果、前記シール面の間の接触圧が低下し、遂には潤滑油漏れに至る、という不具合を生ずるおそれがあり、油圧ショベルの運転員が潤滑油漏れを気付かずに走行動作を続ければ、走行装置の破損にも繋がる。
【0011】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、フローティングシール機構のOリングの介在位置が所定の位置にないと判定した場合にその旨を運転員に警告することで、減速機の潤滑油漏れが発生する前に減速機ハウジングと走行モータハウジングと間の隙間に侵入した異物の除去、またはフローティングシール機構のOリングやシールリングの交換をする的確な時を運転員に知らせることができる建設機械の警告装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の局面によれば、上記技術的課題を達成する建設機械の警告装置として、回転部材と、該回転部材の回転軸線方向に対向して設けられた固定部材とを有し、該回転部材と該固定部材との対向する端部の各々には一対の環状の内周面が形成されており、該一対の内周面の間には該回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面が形成された一対の環状のシールリングが設けられており、該一対の内周面の各々と該一対のシールリングの外周面の各々との間には一対のOリングが介在されている、フローティングシール機構を有する建設機械において、該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置を検出するOリング介在位置検出手段と、該Oリング介在位置検出手段から入力された該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置が所定の位置にないと判定した場合には警告信号を出力するコントローラと、該警告信号に基づき警告を発する警告手段とを備え、該Oリング介在位置検出手段は、該固定部材の該回転部材と対向する一端面に設けられた圧力センサであり、該コントローラは、該圧力センサから入力された圧力が所定の圧力を超えたときは該一対のOリングの少なくとも一方が所定の介在位置にないと判定し警告信号を出力することを特徴とする建設機械の警告装置が提供される。
【0013】
本発明の第2の局面によれば、上記技術的課題を達成する建設機械の警告装置として、回転部材と、該回転部材の回転軸線方向に対向して設けられた固定部材とを有し、該回転部材と該固定部材との対向する端部の各々には一対の環状の内周面が形成されており、該一対の内周面の間には該回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面が形成された一対の環状のシールリングが設けられており、該一対の内周面の各々と該一対のシールリングの外周面の各々との間には一対のOリングが介在されている、フローティングシール機構を有する建設機械において、該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置を検出するOリング介在位置検出手段と、該Oリング介在位置検出手段から入力された該一対のOリングの少なくとも一方の介在位置が所定の位置にないと判定した場合には警告信号を出力するコントローラと、該警告信号に基づき警告を発する警告手段とを備え、該Oリング介在位置検出手段は、該固定部材の該回転部材と対向する一端面に設けられ該一対のOリングの一方が接触していないときは非通電となり、該一対のOリングの一方が接触したときは通電となる接触式スイッチであり、該コントローラは、該接触式スイッチが通電となったときは該一対のOリングの一方の介在位置が所定の位置にないと判定し警告信号を出力することを特徴とする建設機械の警告装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に従って構成された建設機械の警告装置においては、泥土や泥水等の異物が外部から減速機ハウジングと走行モータハウジングとの隙間に侵入する等してフローティングシール機構の各々のOリングが異物によって押圧され、各々のOリングの介在位置が移動して、Oリング介在位置検出手段から入力されたOリングの介在位置が所定の位置にないと判定した場合にその旨が運転員に警告される。その結果、減速機の潤滑油漏れが発生する前に減速機ハウジングと走行モータハウジングと間の隙間に侵入した異物の除去、またはフローティングシール機構のOリングやシールリングの交換をする的確な時を運転員に知らせることができ、潤滑油漏れが発生したまま走行動作を続けることによる走行装置の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の一形態を示すフローティングシール機構の断面図。
図2図1に示すフローティングシール機構を有する油圧ショベルの側面図。
図3図2に示す油圧ショベルの運転室内の斜視図。
図4】本発明の実施の他の形態を示すフローティングシール機構の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に従って構成された建設機械の警告装置について、代表的な建設機械である油圧ショベルにおける、図1乃至図3に示された実施の一形態および図4に示された実施の他の形態を参照しながら説明する。
【0017】
図2を参照して説明する。全体を番号2で示す油圧ショベルは、自走可能な装軌式(クローラ式)の下部走行体4、下部走行体4上に旋回自在に搭載された上部旋回体6、上部旋回体6の前側に俯仰動自在に取付けられた作業腕装置8によって大略構成されている。
【0018】
上部旋回体6は、骨組み構造体をなす旋回フレーム10、旋回フレーム10上に搭載された運転室12、エンジン室14、およびカウンタウエイト16等から構成されている。
【0019】
図2と共に図3を参照して説明する。運転室12内は、作業員着座用のシート18、作業腕装置8等の操作を行なうための操作レバー20、作業者に必要な機械情報を表示するモニタ22等が設けられている。モニタ22で表示される機械情報は、作動油量、燃料量、エンジンオイル量およびエンジン冷却水量等の多岐にわたる。また、モニタ22は、作動油量が不足しているとき等、作業員に対して警告を表示する機能も有している。
【0020】
下部走行体4は、車両前後方向に延びる左,右一対のトラックフレーム24(一方のみ図示)を有するベースフレーム26と、各トラックフレーム24の一端側に設けられた走行装置28と、各トラックフレーム24の他端側に設けられたアイドラ30と、走行装置28に取付けられたスプロケット32とアイドラ30とに巻き掛けられたクローラ34とを備えている。
【0021】
図2および図3と共に図1を参照して説明する。走行装置28は、油圧により回転駆動する走行モータ(図示せず)と、走行モータの回転を減速する減速機(図示せず)とを有している。減速機を収容する減速機ハウジング36はトラックフレーム24に対して回転自在に設けられており、その外周側にはスプロケット32が固定されている。走行モータを収容する走行モータハウジング38は、減速機ハウジング36の回転軸線方向(図1において左右に延びる方向)に対向する位置でトラックフレーム24に固定されている。減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との対向する端部の各々には、対向端に向けて漸次大径となる一対の環状の傾斜内周面36a,38aが形成されている。
【0022】
走行装置28は、走行モータの回転を減速機によって減速することにより、減速機ハウジング36の外周側に固定されたスプロケット32を大きなトルクをもって回転させ、スプロケット32とアイドラ30とに巻き掛けられたクローラ34を周回駆動させるものである。
【0023】
減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との間には、その隙間から外部へ減速機の潤滑油が漏れるのを防止するためフローティングシール機構40が装着されている。
【0024】
フローティングシール機構40は、一対の傾斜内周面36a,38aの間に設けられた一対の環状のシールリング44,46と、一対のOリング48,50とを有している。
【0025】
シールリング44,46の各々には、回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面44a,46aが形成されており、シールリング44,46の外周面にはシール面44a,46aに向かって漸次大径となる環状の傾斜外周面44b,46bが形成されている。
【0026】
一対のOリング48,50は、傾斜内周面36a,38aの各々とシールリング44,46の傾斜外周面44b,46bの各々との間に介在されている。Oリング48,50は、耐油性、弾性を有するゴム材料を用いて環状に形成されている。
【0027】
シールリング44,46は、Oリング48,50の反発力(弾性力)により傾斜内周面36a,38aの間にフローティング状態で支持されると共に、シール面44a,46aは、Oリング48,50の反発力により相対回転自在に圧接される。これによりシールリング44,46間のシール機能が保持され、潤滑油は傾斜内周面36a,38a、シールリング44,46およびOリング48,50によって画成された潤滑油封入部52内に封入される。以上のように構成されたフローティングシール機構40により、減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との隙間から外部へ潤滑油の漏れることが防止される。
【0028】
ここで、走行モータハウジング38には、潤滑油封入部52外であって減速機ハウジング36と対向する一端面38bに、減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との隙間に生じる圧力を検出する圧力センサ54が設けられている。圧力センサ54は、コントローラ56に接続されており、検出された圧力はコントローラ56に入力される。
【0029】
コントローラ56は、周知のマイクロプロセッサやROM,RAM等を集積したLSIデバイスや組み込み電子デバイスとして提供される電子制御装置である。コントローラ56は、圧力センサ54から入力された圧力が所定値を超えたときは、Oリング48,50の少なくとも一方の介在位置が所定の位置にないと判定し、警告信号をモニタ22に出力する機能を有している。
【0030】
上述したとおりの、図1乃至図3に示された実施の一形態の作用を説明する。
【0031】
本発明に従って構成された建設機械の警告装置によれば、減速機ハウジング36と、減速機ハウジング36の回転軸線方向に対向して設けられた走行モータハウジング38とを有し、減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との対向する端部の各々には一対の環状の傾斜内周面36a,38aが形成されており、傾斜内周面36a,38aの間には回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面44a,46aが形成された一対の環状のシールリング44,46が設けられており、傾斜内周面36a,38aの各々とシールリング44,46の傾斜外周面44b,46bの各々との間には一対のOリング48,50が介在されている、フローティングシール機構40を有する建設機械において、潤滑油封入部52外であって走行モータハウジング38の減速機ハウジング36と対向する一端面38bに設けられ減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との隙間に生じる圧力を検出する圧力センサ54と、圧力センサ54から入力された圧力が所定の圧力を超えたときはOリング48,50の少なくとも一方が所定の介在位置にないと判定し警告信号を出力するコントローラ56と、警告信号に基づき運転員に警告を発するモニタ22とが備えられる。
【0032】
従って、泥土や泥水等の異物が外部から減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との隙間に侵入する等して、圧力センサ54で検出された圧力が所定の圧力を超えたときは、コントローラ56は、Oリング48,50の少なくとも一方が所定の介在位置にないと判定し警告信号をモニタ22に出力する。モニタ22は、その旨を表示して運転員に警告する。その結果、減速機の潤滑油漏れが発生する前に減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との隙間に侵入した異物の除去、またはOリング48,50やシールリング44,46の交換をする的確な時を運転員に知らせることができ、潤滑油漏れが発生したまま走行動作を続けることによる走行装置28の破損を防止することができる。
【0033】
次に、図4に示された実施の他の形態を説明する。なお、図1に示された実施の一形態と同様の部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0034】
走行モータハウジング38には、潤滑油封入部52内であって減速機ハウジング36と対向する一端面38cに、Oリング50が接触したことを検出する接触式スイッチ58が設けられている。接触式スイッチ58は、Oリング50が接触していないときは非通電(オフ)となり、Oリング50が接触したときは通電(オン)となるものであり、コントローラ58に接続されている。
【0035】
コントローラ56は、接触式スイッチ58が通電(オン)となったときは、Oリング50の介在位置が所定の位置にないと判定し、警告信号をモニタ22に出力する機能を有している。
【0036】
上述したとおりの、図4に示された実施の他の形態の作用を説明する。
【0037】
本発明に従って構成された建設機械の警告装置によれば、減速機ハウジング36と、減速機ハウジング36の回転軸線方向に対向して設けられた走行モータハウジング38とを有し、減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との対向する端部の各々には一対の環状の傾斜内周面36a,38aが形成されており、傾斜内周面36a,38aの間には回転軸線方向の一端面が互いに摺接するシール面44a,46aが形成された一対の環状のシールリング44,46が設けられており、傾斜内周面36a,38aの各々とシールリングの傾斜外周面44b,46bの各々との間には一対のOリング48,50が介在されている、フローティングシール機構40を有する建設機械において、潤滑油封入部52内であって走行モータハウジング38の減速機ハウジング36と対向する一端面38cに設けられOリング50接触したことを検出する接触式スイッチ58と、接触式スイッチ58が通電(オン)となったときはOリング50の介在位置が所定の位置にないと判定し警告信号を出力するコントローラ56と、警告信号に基づき運転員に警告を発するモニタ22とが備えられる。
【0038】
従って、泥土や泥水等の異物が外部から減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との隙間に侵入する等して、Oリング50がシール面から離れる方向に移動し接触式スイッチ58に接触し通電(オン)となったときは、コントローラ56は、Oリング50が所定の介在位置にない判定し警告信号をモニタ22に出力する。モニタ22は、その旨を表示して運転員に警告する。その結果、減速機の潤滑油漏れが発生する前に減速機ハウジング36と走行モータハウジング38との隙間に侵入した異物の除去、またはOリング48,50やシールリング44,46の交換をする的確な時を運転員に知らせることができ、潤滑油漏れが発生したまま走行動作を続けることによる走行装置28の破損を防止することができる。
【0039】
なお、運転員に警報を発する警告手段は、モニタ22による警告表示に限られるものではなく、警報ランプ等の点灯であったり、警報ブザー等による音でもよく、またはこれらを組み合わせたものでも良い。
【符号の説明】
【0040】
22:モニタ(警告手段)
36:減速機ハウジング(回転部材)
36a:環状の傾斜内周面
38:走行モータハウジング(固定部材)
38a:環状の傾斜内周面
38b:潤滑油封入部内における減速機ハウジングと対向する一端面
38c:潤滑油封入部外における減速機ハウジングと対向する一端面
40:フローティングシール機構
44,46:一対の環状のシールリング
44a,46a:シール面
44b,46b:傾斜外周面
48,50:一対のOリング
52:潤滑油封入部
54:圧力センサ
56:コントローラ
58:接触式スイッチ
図1
図2
図3
図4