(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記絶縁層を形成する工程は、前記半導体層のアクティブ領域に前記犠牲領域としてのパッド絶縁膜を形成し、前記アクティブ領域以外の領域に前記保護領域としての素子分離絶縁層を形成する工程を含む、請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
前記保護膜を形成する工程は、前記保護膜を前記下部電極の終端を起点として前記アクティブ領域へ向かって形成する工程を含む、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
前記保護膜を形成する工程は、前記誘電膜を、前記下部電極の上面と側面との角部を介して当該側面を覆うと共に前記保護領域も覆うように形成することによって、前記誘電膜の一部を利用して形成する工程を含む、請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
前記保護膜を形成する工程は、前記素子分離絶縁層と前記アクティブ領域との境界に至るように前記保護膜を形成する工程を含む、請求項12〜15のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
前記絶縁層を形成する工程は、前記半導体層の表面全域にパッド酸化膜を形成した後、前記半導体層の前記アクティブ領域以外の領域を選択的に熱酸化することによって、当該領域に前記素子分離絶縁層としてのLOCOS膜を前記パッド酸化膜と一体的に形成する工程を含む、請求項11〜17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような半導体装置の製造工程において、たとえば、フィールド酸化膜上に下部電極および容量膜を形成した後、アクティブ領域の覆っていた熱酸化膜(パッド酸化膜)をウエットエッチングにより除去する工程が実行されると、エッチング液がフィールド酸化膜上にも拡がり、フィールド酸化膜の表面がサイドエッチングされて、微細な空洞が形成される場合がある。
【0005】
その空洞には、その後に堆積される上部電極用の電極材料等が入り込み、上部電極の形成工程を経た後、エッチング残渣として残存する。このエッチング残渣は、たとえば、その後のエッチング工程や洗浄工程等により空洞から剥がれてパーティクルとして半導体基板に付着するという問題がある。
このようなパーティクルの発生は、アクティブ領域上における短絡や半導体装置の動作不良等を引き起こす原因となるおそれがあるので、極力発生させないことが好ましい。
【0006】
そこで、本発明は、絶縁層上にキャパシタを形成するに当たり、エッチング残渣を起因とするパーティクルの発生を効果的に抑制することができ、優れた信頼性を発揮できる半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための
第1局面に係る半導体装置は、
主面を有する半導体層と、前記半導体層
の前記主面に選択的に
埋め込まれた埋め込み部、および、前記埋め込み部と一体的に形成され、かつ前記半導体層の前記主面を被覆する嵩上げ部を含む絶縁層と、前記絶縁層
の前記埋め込み部上に形成され、前記絶縁層の
前記嵩上げ部の周縁から
前記埋め込み部側に一定の距離を空けた位置に終端を有する下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電膜と、前記誘電膜上に形成され、前記誘電膜を挟んで前記下部電極に対向する上部電極と、
前記絶縁層に対してエッチング選択比を有する絶縁材料からなり、前記下部電極の終端を起点として前記絶縁層の
前記嵩上げ部に向けて延び、前記絶縁層の前記埋め込み部および前記絶縁層の前記嵩上げ部を被覆する保護膜とを含
む。
【0008】
この構成によれば、絶縁層に対して異なるエッチング選択比を有する保護膜が、下部電極の終端を起点として絶縁層の周縁へ向かって絶縁層を覆うように形成されている。したがって、製造工程時に、絶縁層と同じ材料からなる絶縁膜をウエットエッチングする場合でも、当該保護膜によって絶縁層がエッチング液に晒されることを防止することができる。そのため、絶縁層の表面がサイドエッチングされて、空洞が形成されることを抑制することができる。
【0009】
その結果、その空洞に入り込んだエッチング残渣を起因とするパーティクルの発生を抑制することができるので、優れた信頼性を発揮できる半導体装置を提供することができる。
とりわけ、この構成によれば、保護膜が、下部電極の終端を起点として絶縁層の嵩上げ部に向けて延び、絶縁層の埋め込み部および絶縁層の嵩上げ部を被覆しているから、サイドエッチングによる空洞が形成されやすい下部電極の終端直下の絶縁層がサイドエッチングされることを抑制することができる。よって、下部電極の終端直下の領域でエッチング残渣が発生してパーティクルが生じることを抑制することができる。
【0010】
上記目的を達成するための第2局面に係る半導体装置は、主面を有する半導体層と、前記半導体層の前記主面に選択的に埋め込まれた埋め込み部、および、前記埋め込み部と一体的に形成され、かつ前記半導体層の前記主面を被覆する嵩上げ部を含む絶縁層と、前記絶縁層に対してエッチング選択比を有する絶縁材料からなり、前記絶縁層の前記埋め込み部および前記絶縁層の前記嵩上げ部を被覆する保護膜と、前記絶縁層の前記埋め込み部と対向するように前記保護膜上に形成され、前記絶縁層の前記嵩上げ部の周縁から前記絶縁層の前記埋め込み部側に一定の距離を空けた位置に終端を有する下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電膜と、前記誘電膜上に形成され、前記誘電膜を挟んで前記下部電極に対向する上部電極とを含む。
この構成によれば、第1局面に係る半導体装置について述べた作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0011】
前記第1局面および第2局面に係る半導体装置において、前記誘電膜は、前記下部電極の上面および側面を接続する角部を介して前記下部電極の前記側面にも形成されており、前記保護膜は、前記下部電極の終端で前記誘電膜と一体化していてもよい。
この構成によれば、絶縁材料からなる誘電膜によって下部電極の表面が覆われるので、下部電極の短絡を防止することができる。
【0012】
前記第1局面および第2局面に係る半導体装置において、前記誘電膜は、前記下部電極の上面全域に形成されており、前記上部電極は、前記誘電膜を挟んで前記下部電極の前記上面全域に対向するように形成されていてもよい。
この構成によれば、上部電極を下部電極の上面全域に対向するように形成でき、キャパシタの容量を効果的に増加させることができる。
【0013】
前記第1局面および第2局面に係る半導体装置において、前記保護膜は、前記絶縁層の前記嵩上げ部の周縁および前記半導体層の前記主面の境界に至るまで形成されていてもよい。
この構成によれば、絶縁層の表面全域において、サイドエッチングの発生を抑制することができる。その結果、絶縁層の表面におけるエッチング残渣を起因とするパーティクルの発生を抑制することができる。
前記第1局面および第2局面に係る半導体装置において、前記保護膜は、前記絶縁層の前記嵩上げ部の周縁および前記半導体層の前記主面の境界を横切って前記半導体層の前記主面を被覆していてもよい。
この構成によれば、嵩上げ部を含む絶縁層の表面全域が保護膜によって完全に覆われているので、絶縁層の表面全域において、サイドエッチングの発生を効果的に抑制することができる。その結果、絶縁層の表面におけるエッチング残渣を起因とするパーティクルの発生を効果的に抑制することができる。
【0014】
前記第1局面および第2局面に係る半導体装置において、前記絶縁層は
、LOCO
S膜からなっていてもよい。
前記第1局面および第2局面に係る半導体装置において、前記絶縁層は、前記半導体層にアクティブ領域を区画する素子分離絶縁層であってもよい。
前記第1局面および第2局面に係る半導体装置において、前記絶縁層がSiO2層からなり、前記保護膜がSi3N4膜またはONO膜からなっていてもよい。
上記目的を達成するための一局面に係る半導体装置の製造方法は、半導体層上に、後工程で選択的に除去される犠牲領域および当該犠牲領域以外の保護領域が設定された絶縁層を形成する工程と、前記保護領域に、前記保護領域の周縁から内側に一定の距離を空けた位置に終端を有する下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に誘電膜を形成する工程と、前記下部電極の終端と前記保護領域の周縁との間の領域を選択的に覆うように、前記絶縁層に対してエッチング選択比を有する絶縁材料からなる保護膜を形成する工程と、前記保護領域を前記保護膜で覆った状態で、前記犠牲領域を等方性エッチングによって除去する工程と、前記犠牲領域の除去後、前記半導体層の表面を覆うように電極材料を堆積し、当該電極材料における前記誘電膜上の部分を上部電極として残すように、前記上部電極以外の部分を選択的に除去する工程とを含
む。
【0015】
この方法によれば、絶縁層の犠牲領域のエッチング時に、保護領域が保護膜で覆われているので、当該保護膜によって保護領域がエッチング液に晒されることを防止することができる。そのため、保護領域の表面がサイドエッチングされて、空洞が形成されることを抑制することができる。
その結果、その空洞に入り込んだエッチング残渣を起因とするパーティクルの発生を抑制することができるので、優れた信頼性を発揮できる半導体装置を提供することができる。
【0016】
前記半導体装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程
は、前記半導体層のアクティブ領域に前記犠牲領域としてのパッド絶縁膜を形成し、前記アクティブ領域以外の領域に前記保護領域としての素子分離絶縁層を形成する工程を含んでいてもよい。
前記半導体装置の製造方法において、前記保護膜を形成する工程は、前記保護膜を前記下部電極の終端を起点として前記アクティブ領域へ向かって形成する工程を含
んでいてもよい。
【0017】
この方法によれば、サイドエッチングによる空洞が形成されやすい下部電極の終端直下の素子分離絶縁層がサイドエッチングされることを抑制することができる。その結果、下部電極の終端直下の領域でエッチング残渣が発生してパーティクルが生じることを効果的に抑制することができる。
前記半導体装置の製造方法において、前記保護膜を形成する工程は、前記誘電膜を、前記下部電極の上面と側面との角部を介して当該側面を覆うと共に前記保護領域も覆うように形成することによって、前記誘電膜の一部を利用して形成する工程を含
んでいてもよい。
【0018】
この方法によれば、保護膜と誘電膜とを同時に形成することができるので、製造工程を簡略化することができる。また、製造後の半導体装置においては、絶縁材料からなる保護膜によって下部電極の表面を覆うこともできるので、下部電極の短絡を防止することができる。
前記半導体装置の製造方法において、前記上部電極を形成する工程は、前記下部電極の前記上面全域に対向するように前記上部電極を形成する工程を含
んでいてもよい。
【0019】
この方法によれば、上部電極を下部電極の上面全域に対向するように形成でき、キャパシタの容量を効果的に増加させることができる。
前記半導体装置の製造方法において、前記保護膜を形成する工程は、前記下部電極の形成に先立って前記保護領域の全体を覆うように前記保護膜を形成する工程を含み、前記下部電極を形成する工程は、前記保護膜を挟んで前記保護領域に対向するように前記下部電極を形成する工程を含
んでいてもよい。
【0020】
この方法のように、予め保護領域の全体を覆うように保護膜を形成することによっても、下部電極の終端直下の領域でのサイドエッチングを抑制することができる。しかも、下部電極の終端を介して連続する保護膜が、保護領域の表面に沿って形成されるので、下部電極の終端におけるステップカバレッジ(被膜性)を良好なものとすることができる。
前記半導体装置の製造方法において、前記保護膜を形成する工程は、前記素子分離絶縁層と前記アクティブ領域との境界に至るように前記保護膜を形成する工程を含
んでいてもよい。
【0021】
この方法によれば、素子分離絶縁層の表面全域において、サイドエッチングの発生を抑制することができる。これにより、素子分離絶縁層の表面と誘電膜の上面との間の段差を小さくすることができる。その結果、上部電極用の電極材料の誘電膜上の部分(上部電極)と、素子分離絶縁層上の部分(除去部分)との段差を小さくできるので、後者の除去部分を除去する際のエッチング時間を短くすることができる。
【0022】
前記半導体装置の製造方法において、前記犠牲領域を除去する工程は、前記保護膜をエッチングマスクとして利用してエッチングする工程を含
んでいてもよい。
この方法によれば、新たなエッチングマスクを形成することなく、犠牲領域を除去することができるので、製造工程を簡略化することができる。
【0023】
前記半導体装置の製造方法において、前記絶縁層を形成する工程は、前記半導体層の表面全域にパッド酸化膜を形成した後、前記半導体層の前記アクティブ領域以外の領域を選択的に熱酸化することによって、当該領域に前記素子分離絶縁層としてのLOCO
S膜を前記パッド酸化膜と一体的に形成する工程を含んでいてもよい。
前記半導体装置の製造方法において、前記絶縁層がSiO2層からなり、前記保護膜がSi3N4膜またはONO膜からなっていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1の模式的な断面図である。
半導体装置1は、n
+型の半導体基板2と、半導体基板2上に形成されたn
−型のエピタキシャル層3とを含む。半導体基板2の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
17cm
-3〜1.0×10
20cm
-3であり、エピタキシャル層3の不純物濃度は、1.0×10
14cm
-3〜1.0×10
16cm
-3である。n型の不純物としては、たとえば、P(リン),As(砒素)等が挙げられる。なお、この実施形態では、半導体基板2およびエピタキシャル層3の積層構造物を、本発明の半導体層の一例として示している。
【0026】
エピタキシャル層3の表面には、素子分離領域4とアクティブ領域5とを区画する本発明の絶縁層の一例としての第1の素子分離絶縁層61が選択的に形成されている。第1の素子分離絶縁層61は、たとえば、エピタキシャル層3の表面を選択的に酸化させて形成されたLOCOS(Local Oxidation Of Silicon)酸化膜である。すなわち、第1の素子分離絶縁層61は、SiO
2を主成分として含む。
【0027】
第1の素子分離絶縁層61は、
エピタキシャル層3の表面に選択的に埋め込まれた埋め込み部と、第1の素子分離絶縁層61の周縁部において、エピタキシャル層3の表面にオーバラップするように形成された嵩上げ部7
とを含む。嵩上げ部7は、第1の素子分離絶縁層61
の埋め込み部と同じ絶縁材料で形成されており、第1の素子分離絶縁層61
の埋め込み部と一体的に連なるように形成されている。
嵩上げ部7は、エピタキシャル層3の表面に対してほぼ垂直な切断面を有しており、その膜厚は、たとえば、0.2μm〜1.0μmである。嵩上げ部7の切断面により、素子分離領域4とアクティブ領域5との境界Bが設定される。なお、境界Bは、後述するように、半導体装置1の製造工程時において任意に定めることができる。第1の素子分離絶縁層61
の埋め込み部上には、キャパシタ8が形成されている。
【0028】
キャパシタ8は、第1の素子分離絶縁層61の周縁(境界B)から内側に一定の距離を空けた位置に終端10を有する下部電極9と、下部電極9上に形成された誘電膜11と、下部電極9の終端10(側面の下部)と境界Bとの間の領域を覆うように形成された保護膜12と、誘電膜11上に形成され、誘電膜11を挟んで下部電極9と対向する上部電極13とを含む。下部電極9は、たとえば、ポリシリコンを含む電極材料からなる。
【0029】
誘電膜11は、下部電極9を覆うように、下部電極9の上面と側面との角部を介して当該側面にも形成されている。誘電膜11の膜厚は、たとえば、0.01μm〜0.05μmである。誘電膜11は、Si
3N
4膜またはSi
3N
4膜を一対のSiO
2膜で挟み込んだONO膜(酸化膜−窒化膜−酸化膜)からなることが好ましい。
保護膜12は、下部電極9の終端10で誘電膜11と一体的に連なるように形成されており、誘電膜11と同一厚さおよび同一材料で形成されている。また、保護膜12は、下部電極9の終端10を起点として、下部電極9と第1の素子分離絶縁層61との間に向かって形成されている。
保護膜12は、第1の素子分離絶縁層61の埋め込み部および嵩上げ部7を被覆している。このとき、保護膜12の端部は、素子分離領域4とアクティブ領域5との境界Bに至るまで形成されている。保護膜12の端部における切断面は、第1の素子分離絶縁層61における嵩上げ部7の切断面とほぼ面一に形成されている。
【0030】
上部電極13は、下部電極9の上面全域に対向するように形成されている。より具体的には、この実施形態では、上部電極13の側面と下部電極9の側面とがほぼ面一となるように形成されている。上部電極13は、たとえば、ポリシリコンまたはタングステンシリコンを含む電極材料からなる。このようにして、第1の素子分離絶縁層61上に、キャパシタ8が形成される。
【0031】
なお、上部電極13は、その側面が下部電極9の側面よりも外側に位置するように、端部が下部電極9の側面よりも外側に引き出されていてもよいし、その側面が下部電極9の側面よりも内側に位置するように、端部が下部電極9の側面よりも内側に後退していてもよい。
アクティブ領域5には、半導体素子の一例としてのCMOS14が形成されている。CMOS14は、第2の素子分離絶縁層62により互いに素子分離されたn型のn−MOS領域15とp型のp−MOS領域16とを含む。第2の素子分離絶縁層62は、たとえば、エピタキシャル層3の表面を選択的に酸化させて形成されたLOCOS酸化膜であり、第1の素子分離絶縁層61よりも小さく形成されている。第2の素子分離絶縁層62は、第1の素子分離絶縁層61と同様に、SiO
2を主成分として含む。
【0032】
n−MOS領域15におけるエピタキシャル層3の表面には、p型ウェル領域17が形成されている。p型ウェル領域17の素子分離領域4側の側面は、第1の素子分離絶縁層61のアクティブ領域5側に形成された嵩上げ部7の底面からエピタキシャル層3の厚さ方向に向かって形成されている。また、p型ウェル領域17の素子分離領域4と反対側の側面は、第2の素子分離絶縁層62の底面からエピタキシャル層3の厚さ方向に向かって形成されている。
【0033】
p型ウェル領域17の内方領域には、互いに間隔を空けて選択的に形成されたn
+型ソース領域18とn
+型ドレイン領域19とが形成されている。そして、n−MOS領域15におけるエピタキシャル層3の表面には、n−MOS用ゲート酸化膜20を介してn−MOS用ゲート電極21が形成されている。
p型ウェル領域17の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
15cm
-3〜1.0×10
17cm
-3であり、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
18cm
-3〜1.0×10
20cm
-3である。p型の不純物としては、たとえば、B(ホウ素)またはMg(マグネシウム)等が挙げられる。
【0034】
n
+型ソース領域18とn
+型ドレイン領域19との間の領域がn−MOS領域15のn−MOS用チャネル領域22である。n−MOS用チャネル領域22におけるチャネルの形成は、n−MOS用ゲート電極21により制御される。n−MOS用ゲート電極21は、n−MOS用ゲート酸化膜20を介してn−MOS用チャネル領域22に対向するように形成されている。
【0035】
p−MOS領域16におけるエピタキシャル層3の表面には、n型ウェル領域23が形成されている。n型ウェル領域23の側面は、互いに隣り合う第2の素子分離絶縁層62の各底面からエピタキシャル層3の厚さ方向に向かって形成されている。また、n型ウェル領域23の素子分離領域4側の側面は、p型ウェル領域17の側面と接するように形成されている。
【0036】
n型ウェル領域23の内方領域には、互いに間隔を空けて選択的に形成されたp
+型ソース領域24とp
+型ドレイン領域25とが形成されている。そして、p−MOS領域16におけるエピタキシャル層3の表面には、p−MOS用ゲート酸化膜26を介してp−MOS用ゲート電極27が形成されている。
n型ウェル領域23の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
15cm
-3〜1.0×10
17cm
-3であり、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25の不純物濃度は、たとえば、1.0×10
18cm
-3〜1.0×10
20cm
-3である。
【0037】
p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25の間の領域がp−MOS領域16のp−MOS用チャネル領域28である。p−MOS用チャネル領域28におけるチャネルの形成は、p−MOS用ゲート電極27により制御される。p−MOS用ゲート電極27は、p−MOS用ゲート酸化膜26を介してp−MOS用チャネル領域28に対向するように形成されている。このようにして、アクティブ領域5に、CMOS14が形成される。
【0038】
そして、キャパシタ8およびCMOS14を覆うように、層間絶縁膜29がエピタキシャル層3上に形成されている。
次に、
図2A〜
図2Jを参照して、半導体装置1の製造方法を説明する。
図2A〜
図2Jは、半導体装置1の製造工程を示す断面図である。
半導体装置1を製造するには、たとえば、
図2Aに示すように、シリコン基板であるn
+型の半導体基板2が準備される。次に、n型の不純物イオンを注入しながらシリコンがエピタキシャル成長されて、半導体基板2上にn
−型のエピタキシャル層3が形成される。次に、エピタキシャル層3上に、たとえば、熱酸化処理を施すことにより、SiO
2を主成分とするパッド酸化膜51が形成される。
【0039】
次に、
図2Bに示すように、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク52がパッド酸化膜51を介してエピタキシャル層3上に形成される。
次に、
図2Cに示すように、ハードマスク52を介してエピタキシャル層3の表面に熱酸化処理が施される。これにより、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62がパッド酸化膜51と一体的に連なるように形成される。なお、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62は、SiO
2を主成分とするLOCOS酸化膜である。また、このとき、第1の素子分離絶縁層61の周縁において、境界Bを任意の位置に設定することができる。第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62が形成された後、ハードマスク52は除去される。
【0040】
次に、
図2Dに示すように、第2の素子分離絶縁層62により互いに素子分離されるようにn−MOS領域15のp型ウェル領域17とp−MOS領域16のn型ウェル領域23とが形成される。
p型ウェル領域17およびn型ウェル領域23を形成するには、たとえば、p型ウェル領域17を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、p型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、p型ウェル領域17が形成される。p型ウェル領域17が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
【0041】
次に、同様の方法で、n型ウェル領域23を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、n型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、n型ウェル領域23が形成される。n型ウェル領域23が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。このようにして、n−MOS領域15のp型ウェル領域17とp−MOS領域16のn型ウェル領域23とが形成される。
【0042】
次に、
図2Eに示すように、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62を覆うように、下部電極9用の電極材料がエピタキシャル層3上に堆積されて電極材料層53が形成される。電極材料層53は、たとえば、CVD法により形成される。次に、下部電極9を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク(図示せず)が電極材料層53上に形成される。そして、ハードマスク(図示せず)を介して電極材料層53の不要な部分がエッチングされる。これにより、第1の素子分離絶縁層61の周縁(境界B)から内側に一定の距離を空けた位置に終端10を有する下部電極9が形成される。下部電極9が形成された後、ハードマスク(図示せず)は除去される。
【0043】
次に、
図2Fに示すように、CVD法により、誘電膜11用の絶縁材料が、下部電極9、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62を覆うようにエピタキシャル層3上に堆積されて絶縁材料膜54が形成される。絶縁材料膜54は、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62と異なるエッチング選択比を有する絶縁材料により形成されることが好ましい。絶縁材料膜54としては、たとえば、Si
3N
4膜またはSi
3N
4膜を一対のSiO
2膜で挟み込んだONO膜(酸化膜−窒化膜−酸化膜)を挙げることができる。
【0044】
ONO膜が形成される場合は、SiO
2膜をCVD法によりエピタキシャル層3上に堆積させた後、Si
3N
4膜およびSiO
2膜をこの順でCVD法により堆積させることにより形成することができる。
次に、
図2Gに示すように、アクティブ領域5を露出させる開口を有するハードマスク(図示せず)が絶縁材料膜54を介してエピタキシャル層3上に選択的に形成される。そして、ハードマスク(図示せず)を介して絶縁材料膜54の不要な部分にエッチング処理が施される。これにより、下部電極9を覆う誘電膜11と、下部電極9の終端10で誘電膜11と一体的に連なる保護膜12とが、第1の素子分離絶縁層61上に形成される。誘電膜11および保護膜12が形成された後、ハードマスク(図示せず)は除去される。
【0045】
次に、誘電膜11および保護膜12をエッチングマスクとして、エピタキシャル層3にウエットエッチングが施されて、アクティブ領域5に形成されたパッド酸化膜51が除去される。これにより、保護膜12に覆われたパッド酸化膜51の一部分は、第1の素子分離絶縁層61と一体的に連なる嵩上げ部7として残存する。
この際、ウエットエッチングのエッチング液として、HF(フッ酸)が使用されることが好ましい。HF(フッ酸)は、パッド酸化膜51をエッチング可能な液の中でも、パッド酸化膜51に対するエッチングレートが比較的に速い。そのため、エッチングの処理時間を短縮しつつ、製造コストを低減することができる。
【0046】
次に、
図2Hに示すように、エピタキシャル層3の表面に熱酸化処理を施すことにより、n−MOS用ゲート酸化膜20およびp−MOS用ゲート酸化膜26がアクティブ領域5に形成される。次に、エピタキシャル層3を覆うように上部電極13、n−MOS用ゲート電極21およびp−MOS用ゲート電極27用の電極材料が堆積されて電極材料層55が形成される。次に、各電極13,21,27を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク(図示せず)が電極材料層55上に形成される。そして、ハードマスク(図示せず)を介して、電極材料層55の不要な部分にエッチング処理が施されて、
図2Iに示すように、各電極13,21,27が形成される。
【0047】
なお、各電極13,21,27に対するエッチング処理は、ドライエッチングであってもよい。また、各電極13,21,27を形成した後、HF(フッ酸)による洗浄処理を施してもよい。
次に、
図2Jに示すように、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19、ならびに、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成される。
【0048】
n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19を形成するには、たとえば、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、n型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19が形成される。n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
【0049】
次に、同様の方法で、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、p型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成される。p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。このようにして、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19、ならびに、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成される。
【0050】
次に、エピタキシャル層3にウエットエッチングが施されて、アクティブ領域5に形成されたn−MOS用ゲート酸化膜20およびp−MOS用ゲート酸化膜26の不要な部分が除去される。この際、ウエットエッチングのエッチング液として、前述と同様にHF(フッ酸)が使用されることが好ましい。これにより、エッチングの処理時間を短縮しつつ、製造コストを低減することができる。
【0051】
このようにして、キャパシタ8とCMOS14とが形成される。そして、キャパシタ8およびCMOS14を覆うように層間絶縁膜29がエピタキシャル層3上に堆積されて、
図1に示す半導体装置1が製造される。
以上のように、本発明の第1実施形態の製造方法によれば、下部電極9の終端10と境界Bとの間の領域に、第1の素子分離絶縁層61に対して異なるエッチング選択比を有する保護膜12が形成される。したがって、第1の素子分離絶縁層61と同じ材料からなるパッド酸化膜51、n−MOS用ゲート酸化膜20およびp−MOS用ゲート酸化膜26をウエットエッチングするとき(
図2Gおよび
図2J参照)、ならびに、上部電極13、n−MOS用ゲート電極21およびp−MOS用ゲート電極27の形成工程後に洗浄処理を行うとき(
図2I参照)でも、保護膜12によって第1の素子分離絶縁層61がエッチング液に晒されることを防止することができる。
【0052】
また、下部電極9の終端10において、保護膜12は、下部電極9を覆うように形成された誘電膜11と一体的に連なるように形成されるので、サイドエッチングによる空洞が形成されやすい下部電極9の終端10直下の第1の素子分離絶縁層61がサイドエッチングされることを効果的に抑制することができる。
より具体的には、従来の方法では、第1の素子分離絶縁層61にサイドエッチングが発生した場合、下部電極9の終端10直下の領域に、下部電極9の終端10と第1の素子分離絶縁層61とによって区画された空洞が形成されやすい。そのため、当該空洞に入り込んだ上部電極13の電極材料55等がエッチング残渣となり、パーティクル発生の原因となる。
【0053】
しかし、この実施形態の方法によれば、保護膜12は、下部電極9の終端10を起点として形成されているので、下部電極9の終端10直下の領域における第1の素子分離絶縁層61がサイドエッチングされることを効果的に抑制することができる。これにより、下部電極9の終端10直下の領域でエッチング残渣が発生してパーティクルが生じることを効果的に抑制することができる。
【0054】
しかも、保護膜12は、その端部が境界Bに至るまで形成されているので、第1の素子分離絶縁層61の表面全域において、サイドエッチングされることを効果的に抑制することもできる。その結果、優れた信頼性を発揮できる半導体装置を提供することができる。 また、サイドエッチングの防止によって第1の素子分離絶縁層61の表面位置が下がることを防止できる。これにより、第1の素子分離絶縁層61の表面と誘電膜11の上面との間の段差(高低差)を小さくすることができるので、
図2Hの工程において、上部電極13用の電極材料層55の誘電膜11上の部分(上部電極13)と、第1の素子分離絶縁層61上の部分(除去部分)との段差を小さくできる。そのため、上部電極13用の電極材料層55の不要な部分を除去する際のエッチング時間を短くすることができる。
【0055】
さらに、この方法によれば、下部電極9の表面は誘電膜11によって覆われるので、下部電極9の短絡を防止することができる。また、上部電極13を下部電極9の上面全域に対向するように形成できるので、キャパシタ8の容量を効果的に増加させることができる。
次に、
図3を参照して、本発明の第2実施形態に係る半導体装置31について説明する。
【0056】
図3は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置31を示す断面図である。半導体装置31が前述の第1実施形態に係る半導体装置1と相違する点は、保護膜32を挟んで第1の素子分離絶縁層61上にキャパシタ33が形成されている点である。その他の構成は、半導体装置1の場合と同等の構成である。
図3において、前述の
図1および
図2A〜
図2Jに示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0057】
半導体装置31に係る第1の素子分離絶縁層61上には、保護膜32を挟んでキャパシタ33が形成されている。保護膜32は、第1の素子分離絶縁層61を覆うように形成されている。また、保護膜32の端部は、素子分離領域4とアクティブ領域5との境界Bに至るまで形成されている。
保護膜32の端部における切断面は、第1の素子分離絶縁層61における嵩上げ部7の切断面とほぼ面一になるように形成されている。保護膜32は、Si
3N
4を含む絶縁材料からなる。保護膜32の膜厚は、たとえば、0.01μm〜0.05μmに形成されることが好ましい。
【0058】
キャパシタ33は、第1の素子分離絶縁層61の周縁(境界B)から内側に一定の距離を空けた位置に終端35を有する下部電極34と、下部電極34上に形成された誘電膜36と、誘電膜36上に形成され、誘電膜36を挟んで下部電極34と対向する上部電極37とを含む。下部電極34は、たとえば、ポリシリコンを含む電極材料からなる。
誘電膜36は、下部電極34の側面を露出させると共に、下部電極34の上面全域を覆うように形成されている。誘電膜36の膜厚は、たとえば、0.01μm〜0.05μmである。誘電膜36は、たとえば、Si
3N
4膜またはSi
3N
4膜を一対のSiO
2膜で挟み込んだONO膜(酸化膜−窒化膜−酸化膜)からなることが好ましい。
【0059】
上部電極37は、この実施形態では、誘電膜36上において、その側面が下部電極34の側面よりも内側に位置するように、端部が下部電極34の側面よりも内側に後退して形成されている。上部電極37は、たとえば、ポリシリコンまたはタングステンシリコンを含む電極材料からなる。このようにして、保護膜32を挟んで第1の素子分離絶縁層61上にキャパシタ33が形成される。
【0060】
なお、上部電極37は、前述の第1実施形態のように下部電極34の側面と、上部電極37の側面とが面一に形成されていてもよい。また、上部電極37は、その端部が下部電極34の側面よりも外側に引き出されていてもよい。
アクティブ領域5には、前述の第1実施形態と同様に、半導体素子の一例としてのCMOS14が形成されている。CMOS14の構成は、前述の第1実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
【0061】
次に、
図4A〜
図4Kを参照して、半導体装置31の製造工程を説明する。
図4A〜
図4Kは、
図3の半導体装置31の製造工程を示す断面図である。
半導体装置31を製造するには、前述第1実施形態と同様に、
図4Aに示すように、n
+型の半導体基板2上にn
−型のエピタキシャル層3が形成された後、エピタキシャル層3上に、たとえば、熱酸化処理を施すことにより、SiO
2を主成分とするパッド酸化膜51が形成される。
【0062】
次に、
図4Bに示すように、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク52がパッド酸化膜51を介してエピタキシャル層3上に形成される。
次に、
図4Cに示すように、ハードマスク52を介してエピタキシャル層3の表面に熱酸化処理が施される。これにより、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62がパッド酸化膜51と一体的に連なるように形成される。なお、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62は、SiO
2を主成分とするLOCOS酸化膜である。また、このとき、第1の素子分離絶縁層61の周縁において、境界Bを任意の位置に設定することができる。第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62が形成された後、ハードマスク52は除去される。
【0063】
次に、
図4Dに示すように、第2の素子分離絶縁層62により互いに素子分離されたn−MOS領域15のp型ウェル領域17とp−MOS領域16のn型ウェル領域23とが形成される。
p型ウェル領域17およびn型ウェル領域23を形成するには、たとえば、p型ウェル領域17を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、p型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、p型ウェル領域17が形成される。p型ウェル領域17が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
【0064】
次に、同様の方法で、n型ウェル領域23を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、n型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、n型ウェル領域23が形成される。n型ウェル領域23が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。このようにして、n−MOS領域15のp型ウェル領域17とp−MOS領域16のn型ウェル領域23とが形成される。
【0065】
次に、
図4Eに示すように、第1の素子分離絶縁層61および第2の素子分離絶縁層62を覆うように、保護膜32用の絶縁材料がエピタキシャル層3上に堆積されて絶縁材料膜57が形成される。絶縁材料膜57は、たとえば、CVD法により保護膜32用の絶縁材料を堆積させて形成される。次に、絶縁材料膜57を介して第1の素子分離絶縁層61を覆うようにハードマスク58が選択的に形成される。
【0066】
次に、
図4Fに示すように、ハードマスク58を介して絶縁材料膜57の不要な部分がエッチングされて、第1の素子分離絶縁層61を覆う保護膜32が形成される。保護膜32が形成された後、ハードマスク58は除去される。
次に、
図4Gに示すように、CVD法により、下部電極34用の電極材料がエピタキシャル層3上に堆積されて電極材料層59が形成される。また、同様にCVD法によって、電極材料層59を覆うように誘電膜36用の絶縁材料が堆積されて絶縁材料膜60が形成される。絶縁材料膜60としては、たとえば、Si
3N
4膜またはSi
3N
4膜を一対のSiO
2膜で挟み込んだONO膜(酸化膜−窒化膜−酸化膜)を挙げることができる。
【0067】
ONO膜が形成される場合は、SiO
2膜をCVD法によりエピタキシャル層3上に堆積させた後、Si
3N
4膜およびSiO
2膜をこの順でCVD法により堆積させることにより形成することができる。
次に、下部電極34および誘電膜36を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク(図示せず)が、絶縁材料膜60上に形成される。そして、ハードマスク(図示せず)を介して絶縁材料膜60および電極材料層59にエッチング処理が施される。これにより、第1の素子分離絶縁層61の周縁(境界B)から内側に一定の距離を空けた位置に終端35を有する下部電極34と、下部電極34の上面全域を覆う誘電膜36とが形成される。下部電極34と誘電膜36が形成された後、ハードマスク(図示せず)は除去される。
【0068】
次に、
図4Hに示すように、保護膜32をエッチングマスクとして、エピタキシャル層3にウエットエッチングが施されて、アクティブ領域5に形成されたパッド酸化膜51が除去される。これにより、保護膜32に覆われたパッド酸化膜51の一部分は、第1の素子分離絶縁層61と一体的に連なる嵩上げ部7として残存する。
次に、
図4Iに示すように、エピタキシャル層3の表面に熱酸化処理を施すことにより、n−MOS用ゲート酸化膜20およびp−MOS用ゲート酸化膜26がアクティブ領域5に形成される。
【0069】
次に、エピタキシャル層3を覆うように上部電極37、n−MOS用ゲート電極21およびp−MOS用ゲート電極27用の電極材料が堆積されて電極材料層65が形成される。次に、各電極37,21,27を形成すべき領域に選択的に開口を有するハードマスク(図示せず)が電極材料層65上に形成される。そして、ハードマスク(図示せず)を介して、電極材料層65の不要な部分にエッチング処理が施されて、
図4Jに示すように、各電極37,21,27が形成される。
【0070】
なお、各電極37,21,27に対するエッチング処理は、ドライエッチングであってもよい。また、各電極37,21,27を形成した後、HF(フッ酸)による洗浄処理を施してもよい。
次に、
図4Kに示すように、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19、ならびに、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成される。
【0071】
n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19を形成するには、たとえば、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、n型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19が形成される。n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。
【0072】
次に、同様の方法で、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25を形成すべき領域に選択的に開口を有するイオン注入マスク(図示せず)が形成される。そして、イオン注入マスク(図示せず)を介して、p型の不純物をエピタキシャル層3に注入して、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成される。p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成された後、イオン注入マスク(図示せず)は除去される。このようにして、n
+型ソース領域18およびn
+型ドレイン領域19、ならびに、p
+型ソース領域24およびp
+型ドレイン領域25が形成される。
【0073】
次に、エピタキシャル層3にウエットエッチングが施されて、アクティブ領域5に形成されたn−MOS用ゲート酸化膜20およびp−MOS用ゲート酸化膜26の不要な部分が除去される。この際、ウエットエッチングのエッチング液として、前述と同様にHF(フッ酸)が使用されることが好ましい。これにより、エッチングの処理時間を短縮しつつ、製造コストを低減することができる。
【0074】
このようにして、キャパシタ33とCMOS14とが形成される。そして、キャパシタ33およびCMOS14を覆うように層間絶縁膜29がエピタキシャル層3上に堆積されて、
図3に示す半導体装置31が製造される。
以上のように、本発明の第2実施形態の製造方法によれば、予め第1の素子分離絶縁層61の表面を覆うように保護膜32が形成されている。このように、予め第1の素子分離絶縁層61の全体を覆うように保護膜32を形成することによっても、下部電極34の終端35直下の領域でのサイドエッチングを効果的に抑制することができる。
【0075】
しかも、下部電極34の終端35を介して連続する保護膜32が、第1の素子分離絶縁層61の表面に沿って形成されるので、下部電極34の終端35におけるステップカバレッジ(被膜性)を良好なものとすることができる。したがって、下部電極34の終端35近傍においても保護膜32を比較的厚く形成することができる。よって、サイドエッチングの抑制効果を一層向上させることができる。
【0076】
次に、
図5を参照して、本発明の第3実施形態に係る半導体装置41について説明する。
図5は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置41を示す断面図である。半導体装置41が前述の第1実施形態に係る半導体装置1と相違する点は、LOCOS酸化膜に替えて、トレンチに絶縁材料が埋め込まれた構成を有している点である。その他の構成は、半導体装置1の場合と同等の構成である。
図5において、前述の
図1〜
図4Kに示された各部と対応する部分には同一の参照符号を付して、説明を省略する。
【0077】
半導体装置41に係るエピタキシャル層3の表面には、素子分離領域4とアクティブ領域5とを区画する第1の素子分離絶縁層63が選択的に形成されている。
第1の素子分離絶縁層63は、エピタキシャル層3の表面を厚さ方向に選択的に掘り下げて形成されたトレンチ42と、トレンチ42に埋め込まれた絶縁材料とを含む。トレンチ42は、エピタキシャル層3の表面から厚さ方向に向けて開口が徐々に狭まる断面視テーパ形状に形成されている。トレンチ42に埋め込まれる絶縁材料としては、SiO
2を挙げることができる。
【0078】
なお、このとき形成される第1の素子分離絶縁層63は、たとえば、シャロートレンチに絶縁材料を埋め込んで形成されたSTI(Shallow Trench Isolation)であってもよい。第1の素子分離絶縁層63上には、キャパシタ44が形成されている。
キャパシタ44は、第1の素子分離絶縁層63の周縁(境界B)から内側に一定の距離を空けた位置に終端46を有する下部電極45と、下部電極45上に形成された誘電膜47と、下部電極45の終端46と境界Bとの間の領域を覆うように形成され保護膜48と、誘電膜47上に形成され、誘電膜47を挟んで下部電極45と対向する上部電極49とを含む。
【0079】
保護膜48は、前述の第1実施形態と同様に、下部電極45の終端46で誘電膜47と一体的に連なるように形成されており、誘電膜47と同一厚さおよび同一材料で形成されている。また、保護膜48は、下部電極45の終端46を起点として、下部電極45と第1の素子分離絶縁層63との間に向かって形成されている。このとき、保護膜48の端部は、第1の素子分離絶縁層63とアクティブ領域5との境界Bに至るまで形成されている。
【0080】
アクティブ領域5には、前述の第1および第2実施形態と同様に、半導体素子の一例としてのCMOS14が形成されている。第3実施形態に係るCMOS14は、第2の素子分離絶縁層64により互いに素子分離されたn型のn−MOS領域15とp型のp−MOS領域16とを含む。
第2の素子分離絶縁層64は、エピタキシャル層3の表面を厚さ方向に選択的に掘り下げて形成されたトレンチ43と、トレンチ43に埋め込まれた絶縁材料とを含む。第2の素子分離絶縁層64は、第1の素子分離絶縁層63よりも小さく形成されている。トレンチ43は、エピタキシャル層3の表面から厚さ方向に向けて開口が徐々に狭まる断面視テーパ形状に形成されている。トレンチ43に埋め込まれる絶縁材料としては、SiO
2を挙げることができる。
【0081】
なお、このとき形成される第2の素子分離絶縁層64は、たとえば、シャロートレンチに絶縁材料を埋め込んで形成されたSTI(Shallow Trench Isolation)であってもよい。
その他の構成は、第1および第2実施形態の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
以上のように、本発明の第3実施形態に係る半導体装置41の構成によっても、前述の第1および第2実施形態と同様の効果を発揮することができる。 以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の第1実施形態および第2実施形態では、保護膜12,32の端部および嵩上げ部7の切断面がほぼ面一に形成されている構成について説明したが、保護膜12,32は、境界Bから内側に一定の距離を空けた位置に端部を有していてもよいし、境界Bから外側に一定の距離を空けた位置に端部を有していてもよい。
【0083】
この場合、保護膜12,32の端部は、境界Bを横切り嵩上げ部7をオーバラップするように形成されていることが好ましい。これにより、第1の素子分離絶縁層63および嵩上げ部7を完全に保護膜12,32で覆うことができるので、第1の素子分離絶縁層63および嵩上げ部7が形成された全領域におけるサイドエッチングの発生を効果的に抑制することができる。
【0084】
また、前述の第2実施形態では、第1実施形態と異なり、保護膜32は、誘電膜36と一体的に連なるように形成されていないが、第1実施形態のように、保護膜32は、下部電極34の終端35で誘電膜36と一体的に連なるように形成されていてもよい。またこのとき、保護膜32は、誘電膜36と同一厚さおよび同一材料で形成されていてもよい。
また、前述の第3実施形態では、第1の素子分離絶縁層63の周縁部において、第1の素子分離絶縁層63と一体的に連なる嵩上げ部7が形成されていないが、第1実施形態と同様に、エピタキシャル層3の表面にオーバラップするように嵩上げ部7が形成されていてもよい。
【0085】
また、前述の第3実施形態では、第1の素子分離絶縁層63上にキャパシタ44が形成された構成について説明したが、第2実施形態のように、保護膜48を挟んでキャパシタ44が第1の素子分離絶縁層63上に形成された構成であってもよい。さらにこの場合において、保護膜48は、第1実施形態のように、下部電極45の終端46で誘電膜47と一体的に連なるように形成されていてもよい。
【0086】
また、前述の第1、第2および第3実施形態では、アクティブ領域5にCMOS14が形成された構成について説明したが、これに限定されるものではない。したがって、CMOS14に替えて、BJT(BipolarJunctionTransistor),IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor),JFET(Junction Field Effect Transistor)、コントロールゲートおよびフローティングゲートを有する不揮発性メモリ等が形成された構成であってもよい。
【0087】
また、これらの半導体素子がエピタキシャル層3上に選択的に複数形成された構成であってもよい。その他、コンデンサ、レジスタ等の各種回路素子が形成されていてもよい。また、これらの半導体素子および回路素子等の組み合わせによって、LSI(Large Scale Integration)、SSI(Small Scale Integration)、MSI(Medium Scale Integration)、VLSI(Very Large Scale Integration)、ULSI(Ultra-Very Large Scale Integration)等の集積回路を構成していてもよい。
【0088】
また、前述の第1、第2および第3実施形態では、キャパシタ8,33,44がいずれも第1の素子分離絶縁層61,63上に配置された構成について説明したが、本発明は、たとえばエピタキシャル層3上に形成された素子分離絶縁層ではない絶縁層上にキャパシタが配置された構成にも適用することができる。
また、前述の第1、第2および第3実施形態では、n型の半導体基板2が形成された構成について説明したが、導電型を反転させたp型の半導体基板2が形成された構成であってもよい。この場合、他の不純物領域等の導電型も反転された構成となる。
【0089】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書および図面から抽出される特徴の例を以下に示す。
[項1]半導体層上に選択的に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記絶縁層の周縁から内側に一定の距離を空けた位置に終端を有する下部電極と、前記下部電極上に形成された誘電膜と、前記誘電膜上に形成され、前記誘電膜を挟んで前記下部電極に対向する上部電極と、前記下部電極の終端を起点として前記絶縁層の周縁、および、前記下部電極と前記絶縁層との間へ向かって前記絶縁層を覆うように形成され、前記絶縁層に対してエッチング選択比を有する絶縁材料からなる保護膜とを含む、半導体装置。
この構成によれば、絶縁層に対して異なるエッチング選択比を有する保護膜が、下部電極の終端を起点として絶縁層の周縁へ向かって絶縁層を覆うように形成されている。したがって、製造工程時に、絶縁層と同じ材料からなる絶縁膜をウエットエッチングする場合でも、当該保護膜によって絶縁層がエッチング液に晒されることを防止することができる。そのため、絶縁層の表面がサイドエッチングされて、空洞が形成されることを抑制することができる。
その結果、その空洞に入り込んだエッチング残渣を起因とするパーティクルの発生を抑制することができるので、優れた信頼性を発揮できる半導体装置を提供することができる。
[項2]前記絶縁層は、前記半導体層にアクティブ領域を区画する素子分離絶縁層である、項1に記載の半導体装置。
[項3]前記保護膜は、前記下部電極の終端を起点として前記アクティブ領域へ向かって形成されている、項2に記載の半導体装置。
この構成によれば、サイドエッチングによる空洞が形成されやすい下部電極の終端直下の素子分離絶縁層がサイドエッチングされることを抑制することができる。その結果、下部電極の終端直下の領域でエッチング残渣が発生してパーティクルが生じることを効果的に抑制することができる。
[項4]前記保護膜は、前記素子分離絶縁層と前記アクティブ領域との境界に至るまで形成されている、項2または3に記載の半導体装置。
この構成によれば、素子分離絶縁層の表面全域において、サイドエッチングの発生を抑制することができる。その結果、素子分離絶縁層の表面におけるエッチング残渣を起因とするパーティクルの発生をより効果的に抑制することができる。
[項5]前記誘電膜は、前記下部電極の上面と側面との角部を介して当該側面にも形成されており、前記下部電極の終端で前記保護膜と一体化している、項1〜4のいずれか一項に
記載の半導体装置。
この構成によれば、絶縁材料からなる保護膜によって下部電極の表面が覆われるので、下部電極の短絡を防止することができる。
[項6]前記上部電極は、前記下部電極の前記上面全域に対向するように形成されている、項5に記載の半導体装置。
この構成によれば、上部電極を下部電極の上面全域に対向するように形成でき、キャパシタの容量を効果的に増加させることができる。
[項7]前記絶縁層がSiO2層からなり、前記保護膜がSi3N4膜またはONO膜からなる、項1〜6のいずれか一項に記載の半導体装置。
[項8]前記絶縁層は、LOCOS酸化膜からなる、項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。
[項9]前記絶縁層は、前記半導体層に形成されたシャロートレンチに埋め込まれた埋め込み絶縁膜からなる、項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。