特許第6174941号(P6174941)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174941
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】建設機械のキャットウオーク
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   E02F9/00 Z
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-172075(P2013-172075)
(22)【出願日】2013年8月22日
(65)【公開番号】特開2015-40418(P2015-40418A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2015年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】清水 邦友
(72)【発明者】
【氏名】赤羽根 英司
(72)【発明者】
【氏名】秋月 智裕
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−219563(JP,A)
【文献】 特開2000−303500(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0046856(KR,A)
【文献】 特開2012−241390(JP,A)
【文献】 特開2007−100957(JP,A)
【文献】 実開昭64−042366(JP,U)
【文献】 実開平06−085148(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3133311(JP,U)
【文献】 実開昭58−064775(JP,U)
【文献】 実開平02−125181(JP,U)
【文献】 特開2009−191524(JP,A)
【文献】 特開2004−066880(JP,A)
【文献】 特開平07−091481(JP,A)
【文献】 米国特許第05560593(US,A)
【文献】 特開2013−103697(JP,A)
【文献】 特開平05−179676(JP,A)
【文献】 実開平05−014252(JP,U)
【文献】 米国特許第03891261(US,A)
【文献】 米国特許第06431093(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00
B60R 3/02
B60R 7/06
E02F 9/00
E02F 9/08
E02F 9/10
E02F 9/16
E02F 9/18
E02F 9/26
E05F 7/00
F16F 13/08
F16F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回体を有する建設機械の、上部旋回体の側面に沿って延び設置された通路であるキャットウオークが、
上部旋回体の該側面の側に位置する第1軸線を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられた一端側から外側上方に延び次いで水平に延びるアームを備え、第1軸線の上方の該側面の外方であって該アームの他端側に外側通路面を形成した外側跳ね上げ部と、
第1軸線と平行にその上方を延びる第2軸線を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられ、外側通路面と実質上同一面を有して、外側通路面と該側面との間であって該アームの一端側の上方に位置する内側通路面を形成し、外側跳ね上げ部の上方への回動により該アームが当接して上方に押上げられる内側跳ね上げ部とを備え
外側跳ね上げ部の該アームの一端側及び内側跳ね上げ部は該側面に取付けられた支持フレームによって支持されている、
ことを特徴とする建設機械のキャットウオーク。
【請求項2】
内側通路面が、
外側通路面と実質上同一軸線方向長さを有している、
ことを特徴とする請求項1記載の建設機械のキャットウオーク。
【請求項3】
内側跳ね上げ部が、
該側面から離れた外側端部に、第2軸線方向に延び、外側跳ね上げ部に当接する断面弧状面を有した当接部材を備えている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械のキャットウオーク。
【請求項4】
第2軸線が、
内側跳ね上げ部を回動可能に取付けるヒンジにより形成されている、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の建設機械のキャットウオーク。
【請求項5】
外側跳ね上げ部が、
外側通路面の該側面から離れた外側端部に、斜め下方に向けて取付けた緩衝部材であるバンパーを備えている、
ことを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載の建設機械のキャットウオーク。
【請求項6】
外側跳ね上げ部が、
弾性軸受を介して第1軸線上に取付けられている、
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれかに記載の建設機械のキャットウオーク。
【請求項7】
上部旋回体の旋回中心から半径方向において最外側となるキャットウオークの端部に、外側跳ね上げ部および内側跳ね上げ部を備えている、
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれかに記載の建設機械のキャットウオーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部旋回体を有する建設機械に設けられる点検作業用の通路であるキャットウオークに関する。
【背景技術】
【0002】
上部旋回体を有する建設機械、例えば油圧ショベルは、大型になると車高が高く上部旋回体に配置された各装置の点検作業等を地上から行うことが困難であることから、上部旋回体の側面には点検作業用の通路であるキャットウオークが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このキャットウオークは、上部旋回体の側面に設置されていることから、上部旋回体を旋回させた際、運転者は、キャットウオークより上方側方の障害物に対しては意識して衝突を回避させることができるが、掘削した土砂を積み上げてできた側方の山などの障害物に対しては、旋回の最外側となる運転者後方のキャットウオークの長手方向端部を接触させ破損させることがあり、さらにこの変形によって上部旋回体側面のサービスドアが開かなくなりドア内の装置の点検作業等ができなくなる問題が生じていた。
【0004】
この問題を解決する技術が開発されている。例えば、キャットウオーク全体を水平姿勢から上方に回動可能に取付けて障害物と接触した際にはキャットウオーク全体を上方に回動させるもの(特許文献2参照)。
【0005】
他の例としては、固定設置した車両前方部分のキャットウオークに、後方部分を格納できるようにし、旋回作業時には後方部分を格納して障害物との接触を防止し、点検作業時には非格納位置に後方部分を戻すもの(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−45853号公報
【特許文献2】特開2000−303500号公報
【特許文献3】特開平5−179676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの改良されたキャットウオークには、次のとおりの、さらなる解決の望まれている課題がある。
【0008】
キャットウオーク全体を水平姿勢から上方に回動可能に取付ける構造は、回動中心より内側の踏面板(特許文献2図2の3bの部分)の回動軌跡を避けるために取付けブラケット(同6の部分)は大きくえぐられている。そのために回動中心より内側の踏板面を踏むとキャットウオークが回動してしまい、不安定であるうえに、えぐりによってブラケットの剛性確保が難しく、損傷変形を受けやすい。また、障害物と当接する外端(同3aの部分)と回動中心の高さ差が大きいほど障害物による反力がキャットウオークを回動させる力になりやすいが、この差が大きいほどブラケットのえぐりは大きくなり、損傷変形を受けやすくなる。さらに上方の回動位置にキャットウオークを固定保持する形態のものはキャットウオーク使用時に全体を元に戻す面倒がある。
【0009】
キャットウオークの一部を、固定したキャットウオークに格納するものは、格納を忘れた場合に障害物と接触し破損させるおそれがある、また構造が複雑で製作コストが高くなる、さらに格納部分が土砂などで損傷されると後方部分の格納あるいは引出しが困難になる。
【0010】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、旋回時のキャットウオークの障害物との接触による損傷を効果的に防止でき、安定した作業用通路を用意でき、構造が簡単で、取扱いが容易な、建設機械のキャットウオークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば上記技術的課題を解決する建設機械のキャットウオークとして、上部旋回体を有する建設機械の、上部旋回体の側面に沿って延び設置された通路であるキャットウオークが、上部旋回体の該側面の側に位置する第1軸線を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられた一端側から外側上方に延び次いで水平に延びるアームを備え、第1軸線の上方の該側面の外方であって該アームの他端側に外側通路面を形成した外側跳ね上げ部と、第1軸線と平行にその上方を延びる第2軸線を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられ、外側通路面と実質上同一面を有して、外側通路面と該側面との間であって該アームの一端側の上方に位置する内側通路面を形成し、外側跳ね上げ部の上方への回動により該アームが当接して上方に押上げられる内側跳ね上げ部とを備え、外側跳ね上げ部の該アームの一端側及び内側跳ね上げ部は該側面に取付けられた支持フレームによって支持されている、ことを特徴とする建設機械のキャットウオークが提供される。
【0012】
好適には、内側通路面は、外側通路面と実質上同一軸線方向長さを有している。
【0013】
また、内側跳ね上げ部は、該側面から離れた外側端部に、第2軸線方向に延び、外側跳ね上げ部に当接する断面弧状面を有した当接部材を備えている。
【0014】
さらに、第2軸線は、内側跳ね上げ部を回動可能に取付けるヒンジにより形成されている。
【0015】
また、外側跳ね上げ部は、外側通路面の該側面から離れた外側端部に、斜め下方に向けて取付けた緩衝部材であるバンパーを備えている。
【0016】
そして、外側跳ね上げ部は、弾性軸受を介して第1軸線上に取付けられている。
【0017】
さらに、上部旋回体の旋回中心から半径方向において最外側となるキャットウオークの端部に、外側跳ね上げ部および内側跳ね上げ部を備えている。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従って構成された建設機械のキャットウオークは、上部旋回体の側面の側に位置する第1軸線を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられた一端側から外側上方に延び次いで水平に延びるアームを備え、第1軸線の上方の該側面の外方であって該アームの他端側に外側通路面を有する外側跳ね上げ部と、第1軸線と平行にその上方を延びる第2軸線を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられ、外側通路面と実質上同一面を有して、外側通路面と該側面との間であって該アームの一端側の上方に位置する内側通路面を形成し、外側跳ね上げ部の上方への回動により該アームが当接して上方に押上げられる内側跳ね上げ部を備え、外側跳ね上げ部の該アームの一端側及び内側跳ね上げ部は該側面に取付けられた支持フレームによって支持されている。
【0019】
したがって、外側通路面を有し水平と上方の間を回動可能に取付けた外側跳ね上げ部およびその回動により押上げられる、外側通路面と実質上同一面の内側通路面を有した内側跳ね上げ部を備えることにより、外側跳ね上げ部および内側跳ね上げ部は障害物と接触したときには上方に跳ね上がり、損傷を効果的に防止でき、さらに内側跳ね上げ部を備えたので支持フレームのえぐりが不要で安定した通路面を用意でき、また格納構造でないので構造が簡単であり、取扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に従って構成されたキャットウオークを備えた建設機械の代表例である油圧ショベルの(a)側面図、(b)は(a)のA矢印方向に見た平面図、(c)は(a)のB矢印方向にキャットウオーク部分を見た後面図。
図2図1(c)の部分の拡大図。
図3図1(b)にCで示したキャットウオーク部分の拡大図。
図4図3の外側跳ね上げ部の詳細図。
図5図3の内側跳ね上げ部の詳細図。
図6図2の支持フレームの斜視図。
図7図2のD−D矢印方向に見た外側跳ね上げ部の軸受部の拡大断面図。
図8図3に示すキャットウオークを裏側から見た図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に従って構成された建設機械のキャットウオークについて、上部旋回体を有する代表的な建設機械である油圧ショベルにおける好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0022】
図1を参照して説明する。全体を番号2で示す油圧ショベルは、下部走行体4と、下部走行体4上に鉛直に延びる旋回中心である軸線Xを中心に旋回自在に取付けられた上部旋回体6を備えている。上部旋回体6には、運転室8が前端(図1(a)の右端)に、その後方にエンジン等の機器類を収容したエンジン室10が、そして後端にカウンタウエイト12が備えられている。前端側にはバケット14aを有した多関節の作業腕装置14が取付けられている。
【0023】
作業者は運転室8において操縦装置を操作し、下部走行体4の走行、上部旋回体6の旋回(矢印Rで示す右方向、矢印Lで示す左方向)、作業腕装置14の作動、を制御し作業を遂行する。
【0024】
上部旋回体6の右の側面6aおよび左の側面6bには、エンジン室10などの機器類の保守点検を行うための複数の開閉自在なドアDRが備えられている。このドアDRを開けるなどによって、機器類の保守点検作業を行うときに利用する通路であるキャットウオーク16,17が上部旋回体6の側面6a、6bそれぞれに、側面6a、6bに沿って前後に延び設置されている。
【0025】
キャットウオーク16,17は、左右対称の基本的に同じ構造である。したがって、本発明に係るキャットウオークの詳細は、右側のキャットウオーク16によって説明する。
【0026】
図1とともに図2図3を参照して説明する。キャットウオーク16の上部旋回体6の旋回中心Xから半径方向において最外側(矢印H)となる、運転室8の後方の端部には、上部旋回体6の側面6aの側に位置する第1軸線Y1を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられ、第1軸線Y1の上方の側面6aの外方に外側通路面F1を形成した外側跳ね上げ部18と、第1軸線Y1と平行にその上方を延びる第2軸線Y2を中心に水平と上方の間を回動可能に取付けられ、外側通路面F1と実質上同一面同一軸線方向長さを有して、外側通路面F1と側面6aとの間に位置する内側通路面F2を形成し、外側跳ね上げ部18の上方への回動により上方に押上げられる内側跳ね上げ部19を備えている(図2および図1(c)に、「水平」を実線で「上方」を二点鎖線で示す)。
【0027】
外側通路面F1および内側通路面F2には、周知の、複数の星型突起のようなすべり止めを形成した鋼板が取付けられている(図示は省略)。
【0028】
この実施例における外側跳ね上げ部18および内側跳ね上げ部19は、上部旋回体6の旋回中心Xから半径方向において最外側Hとなる運転室8の後方の、キャットウオーク16の後端部に備えられているが、前端部が旋回半径の最外側となるような場合は前端部に外側跳ね上げ部18および内側跳ね上げ部19を備えればよい。あるいはキャットウオーク16の全長に渡って外側跳ね上げ部18および内側跳ね上げ部19を備えてもよい。
【0029】
外側跳ね上げ部18について図2図3とともに図4、主として図4を参照して説明する。外側跳ね上げ部18は、長手方向(図4の左右方向)に間隔をおいた2本のアーム20,20を備えている。外側跳ね上げ部18の回動中心である軸線Y1は、通路面F1より下方に位置し(図2)、アーム20は、軸線Y1から外側上方に延び、通路面F1に沿って水平に延びた「山型」に形成されている。
【0030】
アーム20それぞれの一端に形成した中空のボス20aが、上部旋回体6の側面6aに複数のボルト22により取付けられた支持フレーム24に、軸線Y1を形成し取付けられている。アーム20、20の他端側には、それぞれを跨って連結した長方形の外側通路面F1が形成されている。
【0031】
外側跳ね上げ部18の通路面F1の「水平」位置(図2に実線で示す)は、アーム20に備えたストッパプレート20bが支持フレーム24に備えたストッパ25に当接することにより規定されている(支持フレーム24、ストッパ25については後に詳述する)。
【0032】
この当接状態は、弾性体のゴムラッチ(図示していない)のような、手によってかけ外し自在な手段で保持するようにしてもよい。
【0033】
外側通路面F1の側面6aから離れた外側端部には、外側跳ね上げ部18の長手方向(図4の左右方向、図2の紙面に直角の方向)一杯に延び、斜め下方に向けて取付けた緩衝部材であるバンパー26を備えている。バンパー26は、断面が、U字の開口部を閉じた厚肉筒状に合成ゴムによって形成されている。U字の開口を閉じた直線部分が、外側端部の斜め下方に向いた面に、U字の円弧部に形成された孔から挿入した複数個のボルト28(実施例は5個)により取付けられている。
【0034】
かくして外側跳ね上げ部18は、軸線Y1を中心に「水平」(図2に実線で示す)と「上方」(図2に二点鎖線で示す)の間を回動、跳ね上げ可能に取付けられている。
【0035】
内側跳ね上げ部19について図2図3とともに図5、主として図5を参照して説明する。内側跳ね上げ部19は、内側通路面F2を形成する長方形の本体19aの、側面6a側の長辺に、間隔を置いて、回動を可能に取付ける第2軸線Y2を形成する一対のヒンジ19b、19bを備えている。このヒンジ19bそれぞれは一対の支持フレーム24、24に取付けられている。ヒンジ19b、19bの間隔は、外側跳ね上げ部18の一対のアーム20,20と実質上同じに位置付けられている。
【0036】
内側跳ね上げ部19は、本体19aの、ヒンジ19bと反対側の長辺の裏面に、第2軸線Y2方向に延び、外側跳ね上げ部19に当接する断面弧状面を有した当接部材19c備えている。なお、外側通路面F1と実質上同一軸線方向長さを有する内側通路面F2の長手方向の両端部は、「水平」と「上方」の間を回動する際に、外側跳ね上げ部18の長手方向両端部を跨ぐように形成されている。
【0037】
内側跳ね上げ部19の外側通路面F1と実質上同一面の内側通路面F2は、支持フレーム24へのヒンジ19bの取付位置および本体19aと支持フレーム24の上端との当接によって、「水平」位置(図2に実線で示す)が規定されている。外側跳ね上げ部18が上方に回動すると、そのアーム20が当接部材19cに当接し、軸線Y2を中心に「水平」と「上方」の間を回動押上げられる。この際、当接部材19cは断面弧状面を有しているので、外側跳ね上げ部18の外側通路面F1の星型突起のようなすべり止め(図示は省略されている)に引っかかることなく、スムーズに跳ね上げられる。
【0038】
図2とともに図6を参照して、支持フレーム24について説明する。支持フレーム24は、鋼板をチャンネル状に曲げて、基板部24aとその両側に一対の縦板部24b、24bを備えている。基板部24aは上部旋回体6の側面6aにボルト22、22によって取付けられる。基板部24aの上端部には内側跳ね上げ部19のヒンジ19bを取付けるボルト穴が形成されている。一対の縦板部24b、24bの上端には、前述の内側跳ね上げ部19の本体19aが載せられ位置決めされる。
【0039】
一対の縦板部24b、24bには、外側跳ね上げ部18のアーム20に備えたストッパプレート20bが当接するストッパ25が備えられている。一対の縦板部24b、24bそれぞれの下端部には、軸線Y1を形成する軸受部が形成されている。
【0040】
この軸受部について、図2図6とともに図7、主として図7を参照して説明する。外側跳ね上げ部18のアーム20のボス20aは、支持フレーム24に弾性軸受を介して軸線Y1上に取付けられている。
【0041】
すなわち、ボス20aは、支持フレーム24の縦板部24b、24bの間に位置付けられ、ボス20aには一対のスペーサ32b、32bの間に挟んで挿入した円筒状の弾性軸受32aを備えている。アーム20は、支持フレーム24、弾性軸受32aを通した、軸線Y1を形成するボルト34aと、その他端のダブルのナット34b、34bによって、支持フレーム24に取付けられている。
【0042】
ボルト34aの頭部および先端のねじ部およびナット34b、34bは、支持フレーム24の縦板部24b、24bそれぞれに形成した円筒状のカバー36a、36bによって外部からの損傷に対して保護されている。
【0043】
図8を参照して、支持フレーム24に、外側跳ね上げ部18および内側跳ね上げ部19を下方裏側から見た状態について説明する。
【0044】
外側跳ね上げ部18のアーム20,20の回動中心のボス20aは、支持フレーム24,24それぞれの中に支持されている。外側跳ね上げ部18の「水平」位置を規定するアーム20のストッパプレート20bおよび支持フレーム24のストッパ25は、支持フレーム24内に位置している。したがって、アーム20の回動中心、位置決めストッパ等は外部の土砂などの障害物による損傷を受けにくい。
【0045】
次に図1および図2を参照して、外側跳ね上げ部18が障害物と接触した場合について説明する。上部旋回体6が図1(b)の矢印Lで示す左方向に旋回され、外側跳ね上げ部18のバンパー26が障害物Sに当接すると、障害物Sからの図2に矢印Z1で示す反力が外側跳ね上げ部18のバンパー26に働き、回動軸線Y1より上方に位置し下方を向いたバンパー26は外側跳ね上げ部18を上方に跳ね上げ押し上げて、外側跳ね上げ部18は軸線Yを中心に矢印Z2で示す上方に回動される。
【0046】
前述の外側跳ね上げ部18を保持するゴムラッチは、障害物からの反力Z1の大きさに応じて伸びるように設置するとよい。または外れたり破断するようになっていてもよい。
【0047】
そして外側跳ね上げ部18が「水平」と「上方」の間を回動する際には、外側跳ね上げ部18のアーム20が内側跳ね上げ部19の当接部材19cに当接し、内側跳ね上げ部19は外側跳ね上げ部18の回動に追従して軸線Y2を中心に「水平」と「上方」の間を回動押上げられる。
【0048】
上述したとおりの建設機械のキャットウオークの作用効果について説明する。
【0049】
(1)図1図2を参照して説明する。本発明に従って構成された建設機械のキャットウオークは、上部旋回体6の側面6aの側に位置する第1軸線Y1を中心に水平と上方の間を回動可能に取付け、第1軸線Y1の上方の側面6aの外方に外側通路面F1を有する外側跳ね上げ部18と、第1軸線Y1と平行にその上方を延びる第2軸線Y2を中心に、外側通路面F1と実質上同一面の内側通路面F2を有して水平と上方の間を回動可能に取付けられ、外側跳ね上げ部18の上方への回動により上方に押上げられる内側跳ね上げ部19を備えている。
【0050】
したがって、外側通路面F1を有し水平と上方の間を回動可能に取付けた外側跳ね上げ部18およびその回動により押上げられる外側通路面F1と実質上同一面の内側通路面F2を有した内側跳ね上げ部19を備えることにより、外側跳ね上げ部18および内側跳ね上げ部19は障害物と接触したときには上方に跳ね上がり、損傷を効果的に防止でき、さらに内側跳ね上げ部19は、従来の支持フレームのえぐりが不要で、安定した通路面を用意でき、また格納構造でないので構造が簡単であり、取扱いも容易である。
【0051】
(2)内側通路面F2は、外側通路面F1と実質上同一軸線方向長さを有している。したがって、同じ軸線方向長さの通路面F1、F2により安定した大きな通路面を用意することができる。
【0052】
(3)内側跳ね上げ部19は、側面6aから離れた外側端部に、第2軸線Y2方向に延び、外側跳ね上げ部18に当接する断面弧状面を有した当接部材19cを備えている。
【0053】
したがって、内側跳ね上げ部19は、外側跳ね上げ部18が障害物との干渉により上方に回動すると上方に押上げられ障害物との干渉を回避するとともに、断面弧状面の当接部材19cは、外側跳ね上げ部18が回動する際にその通路面F1の複数の星型突起のようなすべり止め部分に引っかからずに、円滑に内側跳ね上げ部19を回動させる。
【0054】
(4)また、第2軸線Y2は、内側跳ね上げ部19を回動可能に取付けるヒンジ19bにより形成されている。したがって、従来のような回動のための支持フレームのえぐりを確実に不要にでき、安定した通路面を用意することができる。
【0055】
(5)また、外側跳ね上げ部18は、通路面F1の側面6aから離れた外側端部に、斜め下方に向けて取付けた緩衝部材であるバンパー26を備えている。したがって、側方(Z1)からの荷重を受けた際に外側跳ね上げ部18は容易に上方に回動される。
【0056】
(6)そして、図7に示すように、外側跳ね上げ部18は、弾性軸受32aを介して第1軸線Y1上に取付けられている。したがって、弾性軸受32aは、外側跳ね上げ部18が荷重を受けた際の衝撃を吸収し、かつ上方へ回動させ易くする。
【0057】
(7)さらに、図1(b)に示すように、外側跳ね上げ部18および内側跳ね上げ部19は上部旋回体6の旋回中心Xから半径方向において最外側Hとなるキャットウオーク16の端部に備えられている。したがって、旋回時に障害物Sと接触しやすいキャットウオーク16の端部に跳ね上げ部18,19を備えることにより、障害物Sと接触した時の損傷を効果的に防止でき、また端部のみを跳ね上げとすることにより、キャットウオークの構造を簡単にし、製作コストも安くする。
【0058】
以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0059】
実施例においては、回動可能な、内側通路面F2と外側通路面F1は実質上同一軸線方向長さを有しているが、内側通路面F2は後方部分だけ回動可能として前方部分は固定通路面としてもよい。
【0060】
実施例においては、建設機械は油圧ショベルであるが、本発明は、上部旋回体を有する他の建設機械、例えばクレーン車など、にも適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
2:油圧ショベル(建設機械)
6:上部旋回体
6a、6b:側面
16,17:キャットウオーク
18:外側跳ね上げ部
19:内側跳ね上げ部
19b:ヒンジ
19c:当接部材
26:バンパー
32a:弾性軸受
F1:外側通路面
F2:内側通路面
H:最外側
S:障害物
X:軸線(旋回中心)
Y1:第1軸線
Y2:第2軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8