特許第6174987号(P6174987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6174987ほぼ瞬時的に応答する閉ループ制御電気外科発生装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174987
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ほぼ瞬時的に応答する閉ループ制御電気外科発生装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
   A61B18/12
【請求項の数】37
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2013-251034(P2013-251034)
(22)【出願日】2013年12月4日
(62)【分割の表示】特願2007-258902(P2007-258902)の分割
【原出願日】2007年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-100583(P2014-100583A)
(43)【公開日】2014年6月5日
【審査請求日】2013年12月4日
【審判番号】不服2015-20213(P2015-20213/J1)
【審判請求日】2015年11月11日
(31)【優先権主張番号】11/541,819
(32)【優先日】2006年10月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502308815
【氏名又は名称】コンメド コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・ビー・ショアーズ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・シー・スチューベ
【合議体】
【審判長】 山口 直
【審判官】 長屋 陽二郎
【審判官】 二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−509368(JP,A)
【文献】 特開2005−329226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器が含む二次巻線から供給される無線周波数の電気外科出力信号の実電力を、論理ゲートのアレイにプログラムされており、前記変圧器が含む一次巻線の電圧および電流の検知瞬時値のディジタル・サンプルに対する閉ループ・フィードバック応答を定める数学的アルゴリズムを実行することによって調整する方法であって、前記電気外科出力信号のサイクルにおける、電気外科出力信号を発生させるための電源からのエネルギは前記一次巻線を含む共振回路充電され、前記方法は、前記一次巻線の電圧および電流の検知瞬時値のディジタル・サンプルから、同時に関係する時点における前記電気外科出力信号の出力電圧および出力電流の値をシミュレートし、それにより前記実電力を求めるために、プログラムされた前記アルゴリズムを実行するステップを含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、更に、数値計算によって、プログラムされた前記アルゴリズムを実行するステップを含む方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の方法であって、更に、前記一次巻線の電圧および電流の検知瞬時値のディジタル・サンプルから、同時に関係する時点における前記出力電圧および前記出力電流の正および負の値をシミュレートするために、プログラムされた前記アルゴリズムを実行するステップを含む方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、更に、前記出力電圧および出力電流の正および負の検知値の各実値を乗算することにより、前記電気外科出力信号の実電力を計算するために、プログラムされた前記アルゴリズムを実行するステップを含む方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、更に、
前記電気外科出力信号を配電する負荷抵抗に関して、更に前記電気外科出力信号の選択した最大電力出力に関して、前記実電力の出力負荷曲線を定め、
前記出力負荷曲線と計算した前記実電力との比較によりフィードバック信号を導出し、
前記フィードバック信号と前記選択した最大電力出力との比較により誤差信号を導出し、
補償信号を発生するために前記誤差信号を比例させ、積分し、微分し、
前記電気外科出力信号の実電力を調整するために、前記補償信号を用いる
ようにプログラムされた前記アルゴリズムを実行するステップを含む方法。
【請求項6】
電気外科発生装置であって、
次巻線および無線周波数の電気外科出力信号を供給する二次巻線を含む変圧器であって、前記一次巻線は、前記電気外科出力信号のサイクルにおける、該電気外科出力信号を発生させるための電源からのエネルギが充電される共振回路に含まれる、変圧器と、
一次巻線の電圧および電流の検知瞬時値のディジタル・サンプルに対する閉ループ・フィードバック応答において、前記電気外科出力信号の実電力を調整する数学的アルゴリズムを実行するようにプログラムされた論理ゲートのアレイを含む制御システムと
を備え、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記一次巻線の電圧および電流の検知瞬時値のディジタル・サンプルから、同時に関係する時点における前記電気外科出力信号の出力電圧および出力電流の値をシミュレートし、それにより前記実電力を求める、電気外科発生装置。
【請求項7】
請求項6記載の電気外科発生装置であって、前記一次巻線の電圧および電流は一次電圧および一次電流であり、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記一次巻線において検知した一次電圧および一次電流の値に応答して、前記出力電圧および出力電流の値をシミュレートする、電気外科発生装置。
【請求項8】
請求項7記載の電気外科発生装置であって、前記共振回路と、エネルギ充電信号に応答して前記共振回路に前記電源からのエネルギを充電するドライバ回路とを備えており、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記エネルギ充電信号の特性を調節する、電気外科発生装置。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載の電気外科発生装置において、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、数値計算である、電気外科発生装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか1項に記載の電気外科発生装置において、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、同時に関係する時点における前記出力電圧および前記出力電流の正および負の値を導出し、前記出力電圧および出力電流の値から出力電力の正および負の値を計算する、電気外科発生装置。
【請求項11】
請求項10記載の電気外科発生装置において、前記出力電圧および出力電流の瞬時的な正および負の値を、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムによってシミュレートする、電気外科発生装置。
【請求項12】
請求項10記載の電気外科発生装置において、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記出力電圧および出力電流の正および負の各実値を乗算することによって、前記電気外科出力信号の実電力を計算する、電気外科発生装置。
【請求項13】
請求項12記載の電気外科発生装置において、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記実電力を配電する先の負荷抵抗に対する実電力の出力負荷曲線を定める、電気外科発生装置。
【請求項14】
請求項13記載の電気外科発生装置において、前記論理ゲートのアレイは、更に、前記電気外科発生装置から選択した最大電力出力と、前記電気外科発生装置の選択した動作モードとに応答して、前記出力負荷曲線を定めるようにプログラムされている、電気外科発生装置。
【請求項15】
請求項13記載の電気外科発生装置において、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記出力負荷曲線と計算した前記実電力との比較によって、フィードバック誤差信号を導出する、電気外科発生装置。
【請求項16】
請求項15記載の電気外科発生装置において、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記電気外科出力信号の実電力を調整するための補償信号を発生するために、前記フィードバック誤差信号を比例させ、積分し、および微分する、電気外科発生装置。
【請求項17】
請求項14記載の電気外科発生装置において、
前記出力負荷曲線は、最大出力電流値を有する一定電流部分と、最大出力電圧値を有する一定電圧部分とを含み、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは前記出力電圧および出力電流の正および負の各実値をそれぞれ用いた直接計算によって、出力電圧の平均値、および平均出力電流の平均値を計算し、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記出力電圧の平均値を、前記選択した最大電力出力を前記最大出力電圧値で除算した値に等しい定数と乗算することにより、前記出力電圧の平均値をスケーリングしてスケーリングした平均出力電圧値を求め、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記出力電流の平均値を、前記選択した最大電力出力を前記最大出力電流値で除算した値に等しい定数と乗算することにより、前記出力電流の平均値をスケーリングしてスケーリングした平均出力電流値を求め、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、計算した前記実電力と、前記スケーリングした平均出力電圧値と、前記スケーリングした平均出力電流値とのうち、他に対して所定の大きさを有する1つを選択することによって、フィードバック信号を導出する、電気外科発生装置。
【請求項18】
請求項13記載の電気外科発生装置において、
前記出力負荷曲線は、最大出力電圧値を有する一定電圧部分と、最大出力電流値を有する一定電流部分と、最大出力電力値を有する一定電力部分とを含み、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記出力電圧の正および負の値と、前記出力電流の正および負の値と、前記実電力の正および負の値の各実値を用いた直接計算によって、出力電圧の平均値と、出力電流の平均値と、前記実電力の平均値とを計算し、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、第1誤差信号を求めるために、数学的に前記出力電圧の平均値を前記最大出力電圧値から減算し、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、第2誤差信号を求めるために、数学的に前記出力電流の平均値を前記最大出力電流値から減算し、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、第3誤差信号を求めるために、数学的に前記実電力の平均値を前記最大出力電力値から減算し、
プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記第1、第2または第3誤差信号のうち、他の誤差信号に関して所定の相対的大きさを有する1つを選択することにより、フィードバック誤差信号を導出する、電気外科発生装置。
【請求項19】
請求項18記載の電気外科発生装置において、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記第1および第2誤差信号をスケーリングし、前記フィードバック誤差信号を導出するための選択は、スケーリングした前記第1誤差信号、スケーリングした前記第2誤差信号、または前記第3誤差信号に関して行われる、電気外科発生装置。
【請求項20】
電気外科出力信号を配電する電気外科発生装置であって、
次巻線および前記電気外科出力信号を供給する二次巻線を含む変圧器であって、前記一次巻線は、前記電気外科出力信号を発生させるための電源からのエネルギが充電される共振回路に含まれる、変圧器と、
閉ループ制御システムであって、
前記出力信号の出力電圧および出力電流を表すシミュレーション値を計算する出力信号シミュレータと、
前記シミュレーション値からパラメータ値を計算する出力値計算器であって、前記パラメータ値が、前記電気外科出力信号の実電力に関係する、出力値計算器と、
前記パラメータ値からフィードバック誤差信号と制御信号とを計算する出力コントローラであって、前記制御信号は前記電気外科出力信号の実電力を調整する、出力コントローラと
を含む閉ループ制御システムと
を備え、
前記計算は、前記出力信号シミュレータ、前記出力値計算器、および前記出力コントローラが実行する数学的アルゴリズムによって行われ、前記出力信号シミュレータおよび前記出力値計算器は、前記出力信号シミュレータおよび前記出力値計算器の数学的アルゴリズムを実行するようにプログラムされた論理ゲートのアレイを備え、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは前記一次巻線の電圧および電流の検知瞬時値のディジタル・サンプルから、同時に関係する時点における前記電気外科出力信号の出力電圧および出力電流の値をシミュレートし、それにより前記実電力を求める、電気外科発生装置。
【請求項21】
請求項20記載の電気外科発生装置において、前記出力信号シミュレータの、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記一次巻線の電圧および電流の検知瞬時値のディジタル・サンプルに応答して、前記出力電圧および出力電流の値をシミュレートする、電気外科発生装置。
【請求項22】
請求項20記載の電気外科発生装置であって、前記一次巻線の電圧および電流は一次電圧および一次電流であり、前記出力信号シミュレータの、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記一次巻線において検知した一次電圧および一次電流の値に応答して、前記出力電圧および出力電流の値をシミュレートする、電気外科発生装置。
【請求項23】
請求項22記載の電気外科発生装置であって、前記共振回路と、エネルギ充電信号に応答して前記共振回路に前記電源からのエネルギを充電するドライバ回路とを備えており、前記制御信号は、前記エネルギ充電信号の特性を調節する、電気外科発生装置。
【請求項24】
請求項20から23までのいずれか1項に記載の電気外科発生装置において、前記出力信号シミュレータおよび出力値計算器の、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、数値計算である、電気外科発生装置。
【請求項25】
請求項20から24までのいずれか1項に記載の電気外科発生装置において、前記出力値計算器の、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、同時に関係する時点における前記出力電圧および前記出力電流の正および負の値を導出し、前記出力電圧および出力電流の値から出力電力の正および負の値を計算する、電気外科発生装置。
【請求項26】
請求項25記載の電気外科発生装置において、前記出力電圧および出力電流の瞬時的な正および負の値を、前記出力信号シミュレータの、プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムによってシミュレートする、電気外科発生装置。
【請求項27】
請求項25または26記載の電気外科発生装置において、前記出力信号シミュレータの,プログラムされ前記論理ゲートのアレイが実行する前記アルゴリズムは、前記出力電圧および出力電流の正および負の検知値の各実値を乗算することによって、前記電気外科出力信号の実電力を計算する、電気外科発生装置。
【請求項28】
請求項25から27までのいずれか1項に記載の電気外科発生装置において、前記出力コントローラは、前記出力電力を配電する先の負荷抵抗に対して、かつ前記電気外科発生装置からの選択した最大電力出力と前記電気外科発生装置の選択した動作モードに応答して、出力電力の出力負荷曲線を定め、前記出力コントローラは、前記出力負荷曲線と計算した前記実電力との比較によりフィードバック誤差信号を導出する、電気外科発生装置。
【請求項29】
請求項28記載の電気外科発生装置において、前記出力コントローラは、前記電気外科出力信号の実電力を調整するための補償信号を発生するために、前記フィードバック誤差信号を比例させ、積分し、および微分する、電気外科発生装置。
【請求項30】
請求項20記載の電気外科発生装置において、前記出力コントローラは、当該出力コントローラの数学的アルゴリズムを実行するようにプログラムされた論理ゲートのアレイを備えている、電気外科発生装置。
【請求項31】
電気外科効果を得るために高周波、高電圧電気外科出力信号を組織に供給する電気外科発生装置であって、該電気外科発生装置は、一次巻線と二次巻線とを有する変圧器を含み、前記二次巻線は前記電気外科出力信号を導通させ、前記変圧器は、前記一次および二次巻線の間に、前記電気外科出力信号の高周波数および高電圧における前記変圧器の固有の特性により、互いに対して歪みを呈する電圧および電流信号を誘起し、前記電気外科発生装置は、更に、
前記一次巻線の両端間の電圧に関係する一次電圧検知信号を供給するために、前記一次巻線に接続されている一次電圧センサと、
前記一次巻線を導通する電流に関係する一次電流検知信号を供給するために、前記一次巻線に接続されている一次電流センサと、
前記一次電圧検知信号および前記一次電流検知信号を受けるシミュレーション回路であって、前記の一次電圧および一次電流の検知信号を、前記変圧器の二次巻線が導通させる、同時に関係する時点における前記電気外科出力信号の電圧および電流の値を精度高く表す少なくとも1つのシミュレーション信号に変換する数学的シミュレーション・アルゴリズムを実行し、前記シミュレーション・アルゴリズムによる前記の一次電圧および一次電流の検知信号の前記変換により、前記変圧器によって混入する歪みを補正し、且つ前記電気外科出力信号の実電力を求める、シミュレーション回路と、
を備えている、電気外科発生装置。
【請求項32】
請求項31記載の電気外科発生装置であって、
前記シミュレーション回路が実行するシミュレーション・アルゴリズムは、前記の一次電圧および一次電流の検知信号双方に応答して、前記1つのシミュレーション信号を供給する、電気外科発生装置。
【請求項33】
請求項31記載の電気外科発生装置において、
前記シミュレーション回路は、前記電気外科出力信号の電圧および電流双方の精度高い値を表すシミュレーション信号を供給するために、前記の一次電圧および一次電流の検知信号双方に応答する少なくとも1つのシミュレーション・アルゴリズムを実行する、電気外科発生装置。
【請求項34】
請求項31から33のいずれか1項に記載の電気外科発生装置において、
前記シミュレーション回路は、前記の一次電圧および一次電流の検知信号双方に応答し、前記変圧器の二次巻線が導通させる前記電気外科出力信号の電圧の値を精度高く表す1つのシミュレーション信号を供給するために1つのシミュレーション・プログラムを実行し、更に前記電気外科出力信号の電流の値を精度高く表す別のシミュレーション・アルゴリズムを実行する、電気外科発生装置。
【請求項35】
請求項31から34のいずれか1項に記載の電気外科発生装置において、
前記変圧器は、前記電気外科発生装置の電力出力変圧器を含み、前記電力出力変圧器の二次巻線は前記電気外科出力信号を供給し、前記電力出力変圧器の一次巻線は、前記電気外科出力信号を前記二次巻線から誘起するために印加される入力電圧および入力電流を導通させる、電気外科発生装置。
【請求項36】
変圧器の二次巻線によって導通される電気外科出力信号の電圧および電流を精度高くシミュレートする方法であって、前記変圧器は、該変圧器の一次巻線と二次巻線との間に誘起される電流および電圧のそれぞれの値を歪ませる固有特性を有し、前記方法が、
前記変圧器の一次巻線の両端間の一次電圧を検知し、前記一次巻線の両端間の電圧に関係する一次電圧検知信号を供給するステップと、
前記変圧器の一次巻線を導通する一次電流を検知し、前記一次巻線を導通する電流に関係する一次電流検知信号を供給するステップと、
前記の一次電圧および一次電流の検知信号を、前記変圧器の二次巻線が導通させる、同時に関係する時点における前記電気外科出力信号の電圧および電流の値を精度高く表す少なくとも1つのシミュレーション信号に変換するために、前記の一次電圧および一次電流の検知信号に応答して、数学的シミュレーション・アルゴリズムを実行するステップと、
前記数学的シミュレーション・アルゴリズムにおいて、前記変圧器が誘起する歪みを補償し、かつ前記電気外科出力信号の実電力を求めるステップと
を含む、方法。
【請求項37】
請求項36記載の方法において、前記変圧器は、電気外科発生装置の電力出力変圧器を含み、前記電力出力変圧器の二次巻線は前記電気外科出力信号を供給し、前記電力出力変圧器の一次巻線は、前記電気外科出力信号を前記二次巻線から誘起するために印加される入力電圧および入力電流を導通させる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互引用)
本発明は、米国特許出願第11/541,880号(米国特許出願公開第2008/0082096号明細書)(弁理士整理番号第24.363号)に記載されている、出力信号をシミュレートするための電気外科発生装置および方法という発明に関係がある。この特許出願は、本発明者によって本願と同時に出願され、本発明の譲受人に譲渡されている。この同時に出願した米国特許出願の内容は、ここで引用したことにより本願にも含まれるものとする。
(発明の分野)
本発明は、電気外科 (electrosurgery)に関し、更に特定すれば、ほぼ瞬時的な閉ループ・フィードバックによる規制を得て、高精度でしかも迅速に電気外科電力、電圧、および電流出力信号を制御する、電気外科発生装置および方法の新たな改良に関する。好ましくは、本発明は、論理ゲートのアレイを用いて、フィードバックおよび規制機能の実質的に全てを遂行することにより、ほぼ瞬時的な応答および性能向上を達成する。
【背景技術】
【0002】
広義の意味では、電気外科とは、高電圧、高周波(HF)または無線周波数(RF)出力波形を組織に印加して、外科的効果を得ることである。電気外科出力信号の特性に応じて、組織を切除し、血流を停止することによって凝固させるか、または同時に切除し凝固させる。切除を遂行するには、出力信号を実質的に連続とする。凝固を遂行するには、出力信号をバースト状に配電し、各バーストがデューティ・サイクルによって定めらされ、このデューティ・サイクルでは、そのオン時間の持続期間がオフ時間よりもかなり短くなるようにする。切除および凝固を同時に遂行するには、この場合も出力信号をバースト状にして配電するが、デューティ・サイクルのオン時間およびオフ時間は、互いに同等であるか、またはオン時間がオフ時間を超過してもよい。電気外科出力信号は、外科医が操作するアプリケータまたはハンドピースのアクティブ電極から組織に配電される。出力信号は、電気外科発生装置からアプリケータまたはハンドピースまで達する導体を通じて、アプリケータの電極に導かれる(例えば、特許文献1参照)
【0003】
電気外科出力信号が配電される負荷は、遭遇する組織の二点間抵抗またはインピーダンスの変化が大きくしかも殆ど瞬時的であるために、外科手順の間かなり変動する。例えば、肝臓のように流体潅流性が高い組織では、10から20オーム近傍の抵抗またはインピーダンスを示すことがあり、皮膚または骨髄のような別の組織では、インピーダンスが1000から2000オームの近傍という場合がある。アクティブ電極が低インピーダンス組織から高インピーダンス組織に移ると、高インピーダンス組織に配電される電流が一時的に減少することにより、所望の電気外科効果が直ちに低下または阻害される。一方、アクティブ電極が高インピーダンス組織から低インピーダンス組織に移る場合、高電流が一時的に低インピーダンス組織に配電され、高電流が過剰な組織の損傷を生ずる虞れがある。組織の可変インピーダンス特性のために、電気外科発生装置は、本質的に瞬時に変化するように、比較的広い範囲で電力を変動させて配電し制御しなければならない。
【0004】
素早く変化する組織の抵抗またはインピーダンスによって生ずる負荷変動の実用上の影響、および高周波、高電圧電気外科出力信号を規制する必要性のために、電気外科発生装置の性能にかなりの制限が設けられている。電気外科発生装置の制御システムが、電気外科処置の間に遭遇する素早い状態変化に応答することができない場合、出力電力の規制が、意図しない効果を回避するのに十分ではない場合もある。電気外科出力信号のセンサが供給する信号は、出力電力の規制に効果的に用いることができる程に素早く処理することはできない。制御ループの時間遅れ、または位相遅れは、検知した信号を取り込み、出力信号を調整するまでの時間であるが、非常に長ため、所望の結果を得るまたは維持できる程に素早く応答が得られない。制御ループ時間即ち位相遅れは、多くの要因に依存するが、主な要因は、出力電圧または電流信号を配電し、処理して、使用可能なフィードバックおよび出力制御信号を得る速度に関係する。また、同じ状況は、出力電圧および電流信号の瞬時に基づいて計算しなければならない組織のインピーダンスのような、その他の出力関連要因の監視にも該当する。
【0005】
短い応答時間に加えて、電気外科発生装置にとって最も効果的な制御システムは、電力と無効即ち虚電力との間の差を認識できなければならない。電気外科発生装置が生成する実電力は、電気外科効果を生み出すが、無効電力には直接的な電気外科効果がない。無効電力は、システム全体の容量性および誘導性リアクタンスの結果であり、主に患者との間の出力回路を含む。
【0006】
電気外科発生装置がフィードバック制御システムを用いる場合、出力電力を規制するために一般に行き渡っている手法は、実電力ではなく、皮相電力を規準とする。皮相電力とは、実および無効電力のベクトル和である。無効電力は皮相電力に寄与するが、無効電力は電気外科効果を生み出さない。実電力は、電気外科効果として期待できるものを表し、皮相電力は、皮相電力に対する無効即ち虚部の寄与のために、実電力よりも常に多い。予期する電力と電気外科処置の間に配電される電力との間の差は、大きく、満足できる電気外科効果を達成するには重要である可能性がある。
【0007】
実電力と皮相電力との間で区別するには、精確な出力電圧および電流値、ならびに出力電圧および電流波形の関係または位相角度が分かっていなければならない。典型的な電気外科発生装置の殆どは、このような位相角度情報を取り込み、処理する機能を有していない。何故なら、このようにするためには、複雑な制御システムや、高速測定システムが必要となるからである。更に、多くの制御システムの構成要素や、これらの制御システムの機能性は、実電力および皮相電力間で区別するために必要な情報を提供できる程素早く動作し応答することができない。実際、多くの電気外科発生装置は、オープン・エンド型であり、したがってフィードバックを用いて出力電力を規制する機能がない。
【0008】
皮相電力に基づくフィードバック制御システムは、場合によって、電気外科効果を低下させる可能性がある。例えば、内視鏡に応用する場合、比較的長い内視鏡内に電気外科出力信号を導通させるために、かなりの量の容量が存在し、見かけ上の配電電力の大部分が無効電力即ち虚電力となってしまう。内視鏡によって生ずる大きな容量は、電力によって充電されるはずであり、出力電力のその成分は無効即ち虚部となる。出力電力の実電力成分を減少させるだけでは、所望の外科効果を達成するには不十分な場合もある。別の例では、皮相電力および実電力双方が、外科医が選択した所望の電力出力よりも低いという状況になることがある。この状況では、制御システムが電力を所望の出力電力まで増加させると、皮相電力の大きさの方が実電力よりも大きいので、制御システムはいつになっても十分な実電力を配電することができない。更に別の事例では、内視鏡または腹腔鏡の内側に電気外科器具を挿入する、最小限の侵襲的手順のように、患者の回路に大量のリアクタンスが含まれ、皮相電力に基づく規制により、実際には所望の電力量よりも多くの電力が配電される結果となる場合もある。蓄積される無効電力は、予期しない時点に実電力として配電される場合もある。これらオープン・エンド型電気外科発生装置は、フィードバック制御を有しておらず、いずれの負荷リアクタンスも1つ余分なエネルギ蓄積成分となり、必然的に充電される。追加されたリアクタンスにエネルギが蓄積されると、このリアクタンスが、予測しない状況の下で、追加された電力を配電するという潜在的可能性が高まる。電気外科処置の間に、皮相電力と実電力との区別ができないというこれらおよびその他の事例では、意図しない外科的影響、外科的効果の有効性低下、および外科手順を完了するために必要な時間の延長の危険性が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6942660号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、可変組織抵抗、可変出力回路リアクタンス、および厳しい電力配電条件の下で、応答時間の短縮および規制強化を達成しつつ、電力、電圧または電流の電気外科出力パラメータを規制する、電気外科発生装置の閉ループ・フィードバック制御システムを提供する。本発明の利点は、大部分において、論理ゲートのアレイを用いて、閉ループ・フィードバック制御システムを実現する数学的アルゴリズムを実行することによって達成する。実電力を含む、出力パラメータの素早く正確な規制のために、ほぼ瞬時的なフィードバックが得られる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態は、出力信号の出力電圧および出力電流の検知した値に応答して、閉ループで出力電気外科信号の出力電力、出力電圧または出力電流の少なくとも1つのパラメータを規制するために数学的アルゴリズムを実行するようにプログラムされた論理ゲートのアレイから成る制御システムを有する電気外科発生装置に関する。
【0012】
本発明の別の形態は、出力信号の出力電圧および出力電流の検知した値に応答する閉ループを規定する論理ゲートのアレイにプログラムされた数学的アルゴリズムを実行することにより、出力電気外科信号の出力電力、出力電圧または出力電流の少なくとも1つのパラメータを規制する方法に関する。
【0013】
本発明の更に別の形態は、電気外科出力信号を配電し閉ループ制御システムを有する電気外科発生機に関する。閉ループ制御システムは、出力信号シミュレータと、出力値計算器と、出力コントローラとを備えている。出力信号シミュレータは、出力信号の出力電圧および出力電流を表すシミュレーション値を計算する。出力値計算器は、シミュレーション値からパラメータ値を計算し、パラメータ値は、出力信号の出力電力または出力電圧または出力信号の少なくとも1つのパラメータに関する。出力コントローラは、パラメータ値からフィードバック誤差信号および制御信号を計算する。制御信号は、出力信号の出力電力または出力電圧または出力電流の少なくとも1つのパラメータを規制する。計算は、出力信号シミュレータ、出力値計算器、および出力コントローラが実行する数学的アルゴリズムによって行う。出力信号シミュレータおよび出力値計算器は、出力信号シミュレータおよび出力値計算器の数学的アルゴリズムを実行するようにプログラムされている論理ゲートのアレイから成る。補助的な形態として、出力コントローラは、出力コントローラの数学的アルゴリズムを実行するようにプログラムされている論理ゲートのアレイを備えていてもよい。
【0014】
本発明の補助的な形態は、出力電圧および出力電流の値を直接検知する以外で導出した信号に応答して出力電圧および出力電流の値をシミュレートし、同時に関係する時点における出力電圧および出力電流の正および負の値を導出し、更に出力電圧および出力電流の値から出力電力の正および負の値を計算し、出力電圧および出力電流の正および負の検知値の各実値を乗算することにより、電気外科出力信号の実電力出力を計算し、出力電力を配電する負荷抵抗に関して出力電力の出力負荷曲線を定め、数値計算によって、プログラムされたアルゴリズムを実行し、電力および実電力、ならびにその他に関して規制を行うようにプログラムされた論理ゲートのアレイによるアルゴリズムを実行ことを含む。
【0015】
本開示およびその範囲の更に深い理解、ならびに前述のおよびその他の改善を達成する方法は、以下に概要を説明した添付図面および添付した特許請求の範囲と関連付けた、現時点における好適な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を組み込んだ電気外科発生装置20を図1に示す。フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のような論理ゲートのアレイが、論理ゲート・アレイを基本とする制御システム21の基礎である。制御システム21は、電気外科発生装置20のフィードバックおよび規制機能性の実質的に全て、あるいは迅速かつ効果的な出力規制に必要な集中および迅速計算の少なくとも全てを実行する。電気外科発生装置20からの電気外科出力信号22を制御し規制する際に伴う計算の全ては、ブールまたは数値実行のいずれかにより、論理ゲート・アレイを基本とする制御システム21の中にプログラムされているアルゴリズムから数学的に実行する。
【0017】
制御システム21の基礎として論理ゲート・アレイを用いることにより、電気外科出力信号22に対する迅速、正確、かつ高信頼性の制御が可能となる。また、論理ゲート・アレイを基本とする制御システム21は、電気外科発生装置20からの迅速で一層優れたフィードバック応答も達成する。フィードバックおよび制御信号の導出(derivation)および使用は、ゲート・アレイにおいて固有のゲート遅延および計算クロッキング遅延(clocking delay)だけ遅れるに過ぎない。このようなゲートおよびクロッキング遅延は、電気外科発生装置において以前から用いられている典型的なディジタルおよびアナログ・フィードバック制御および規制計算で生ずる遅延よりも、消費する時間が遥かに短くて済む。その結果、出力制御および規制において、殆ど瞬時的な応答に改善することが可能となる。更に、論理ゲートのアレイは、一部の電気外科発生装置において用いられているソフトウェア駆動型計算コントローラおよびマイクロプロセッサと比較すると、プログラムが容易であり、フィードバック制御および出力規制が向上する。また、制御システム21の基礎として論理ゲートのアレイを用いることにより、数々の利点の中でも、製造が容易となり、電気外科発生装置20のコストを削減する潜在的な可能性もある。
【0018】
電気外科発生装置20からの電気外科出力信号22は、出力電圧23および出力電流24によって形成される。出力電圧23および出力電流24は、発生装置20の出力端子26から配電され、リード即ち導体28を通じてアプリケータ即ちハンドピース30まで導かれる。ハンドピース30は、アクティブ電極32を含み、これを介して出力電圧23および出力電流24が外科処置現場において、ハンドピース30を操作する外科医によって患者34に印加される。戻り電極35が、外科処置現場から離れた場所で、患者34に接続されている。別のリード即ち導体28が戻り電極35を電気外科発生装置20に接続し、患者34を通過する電気回路が完成する。アクティブ電極32によって患者34の組織に印加されると、出力電圧23および出力電流24は、組織に対して所望の外科処置効果、切除、凝固、または同時切除および凝固等を創作する。また、電気外科効果は、単一の止血鉗子状双極計器において、相応の大きさとしてアクティブ電極および戻り電極を組み合わせ、これらの電極間に組織を挟み込みつつ、挟んだ組織を通過するように電気外科電圧23および電流24を導通させることによっても得ることができる。これは、双極電気外科(bipolar electrosurgery)においては周知である。
【0019】
電気外科発生装置20は、出力変圧器36を含む。出力変圧器36は、一次巻線38および二次巻線40を有し、これらは磁性体のコア42の周囲にコイル状で巻回されている。出力電圧23および出力電流24が形成する電気外科出力信号は、一次巻線38によって印加され導かれる入力即ち一次電圧44および入力即ち一次電流46の印加に応答して、二次巻線40に導入され供給される。一次巻線38と並列にコンデンサ48が接続されており、一次巻線38と共に、従来の共振回路49を形成する。共振回路49は、当該共振回路の自然周波数で、一次巻線38において電圧44および電流46の発振を発生させる。出力電圧23および出力電流24は、共振回路の自然周波数と同じ周波数で、二次巻線40において交流する。共振回路49の自然周波数は、電気外科出力信号22の出力電圧23および出力電流24の高周波数即ち無線周波数を確定する。
【0020】
分離即ちブロッキング・コンデンサ50を、二次巻線40と出力端子26との間に接続する。コンデンサ50は、患者を電気外科発生装置20から分離するが、高周波出力電圧23および電流24を患者34の組織に導通させる。分離コンデンサ50には、通例、非常に低い周波数の電流が患者に流れ込まないことを保証するために、電気外科を抑制する安全規制が必要となるのが通例である。
【0021】
電気外科発生装置20は、一次電圧センサ52を含み、共振回路49において発振する一次電圧44の大きさを検知する。一次電圧センサ52は、一次巻線38間の一次電圧44の大きさを表す、一次電圧検知信号54aを供給する。好ましくは、一次電圧センサ52は、一次巻線38に隣接するコア42上に巻回された追加の検知巻線55を用いるか、代わりに、一次電圧センサ52は、一次巻線38の一部を自己変圧器(図示せず)として用いてもよい。一次電流センサ56も、共振回路49において一次巻線38と直列に接続されている。一次電流センサ56は一次巻線38を通過して共振回路に流れる一次電流46の大きさを検知し、対応する一次電流検知信号58aを供給する。
【0022】
制御システムのゲート・アレイ出力信号シミュレータ60は、精度高くそして信頼性高く、出力電圧23および出力電流24の時間値を、一次電圧検知信号54aおよび一次電流検知信号58aの値からシミュレートする。こうすることにより、出力信号22の大きさおよびスペクトル周波数成分が、他の殆どの電気外科発生装置におけるように、出力電力変圧器36の二次巻線40に接続されている出力センサ(図示せず)によって劣化されることがない。出力電圧23および出力電流24の値を直接検知せずに、これらの値をシミュレートするには、ゲート・アレイ出力信号シミュレータ60において1つ以上の所定の数学的アルゴリズムを実行する。出力信号のシミュレーションには、集中的かつ迅速な信号および値の計算が伴うが、出力信号シミュレータ60における論理ゲートのアレイによって、プログラムされた数学的アルゴリズムを実行することによって、この計算を行う。数学的シミュレーション・アルゴリズムは、一次電圧および電流信号44および46が二次電圧および電流信号23および24を誘起するときに、変圧器36が発生する歪みを補償する。
【0023】
一次電圧および電流検知信号54aおよび58aは、アナログ信号であり、制御システム21のアナログディジタル回路62に供給される。アナログディジタル回路62は、論理ゲートによって実施されていない。何故なら、これらの回路エレメントは数学的計算を行わないからである。代わりに、アナログディジタル回路62は、アナログ信号を調整し、これらをディジタル形態に変換する。次いで、これらの信号のディジタル形態は、ここで論ずるように、制御システム21の論理ゲート・アレイによって利用される。
【0024】
制御システム21のゲート・アレイ出力値計算器64は、出力信号22の少なくとも1つのパラメータに関する値を計算する。この値とは、実または見かけ上の出力電力、RMS平均出力電流、またはRMSあるいは瞬時出力電圧またはその他の属性および出力電力電圧電流である。これら出力値のパラメータの計算を遂行するには、ゲート・アレイ出力計算器64を形成する論理ゲート内において数学的アルゴリズムを実行する。出力信号のシミュレーションには、集中的かつ迅速な信号および値の計算が伴い、これを行うには、出力値計算器64において論理ゲートのアレイによって、プログラムされた数学的アルゴリズムを実行する。出力値の計算は、ゲート・アレイ出力信号シミュレータ60が供給する出力電圧23および出力電流24のシミュレーション値に基づく。
【0025】
制御システム21のゲート・アレイ出力コントローラ66は、出力信号22のパラメータを制御または規制する。出力コントローラ66は、これらの機能を遂行するために、ゲート・アレイ内において数学的アルゴリズムを実行する。出力値計算器64からの1つ以上の計算出力値が、出力コントローラ66に供給され、これらの計算出力値から選択した値をフィードバックとして用い、誤差信号を発生して、共振回路49が導通させる一次電圧44および電流46を制御および規制し、こうして出力信号22を制御および規制する。出力コントローラ66が実行する機能性は、信号および値の計算を行うレートを低くすることができるので、計算の集中度が低くなる。何故なら、出力コントローラ66が電気外科出力信号を制御および規制する際、その出力信号のデューティ・サイクル繰り返しレートよりも遥かに低いレートで行うからである。その結果、そして好ましくはないが、命令コードを実行するプロセッサまたはコントローラは、論理ゲートのアレイを用いてそれを行うのではなく、出力コントローラの機能を実行することができる。
【0026】
ドライバ回路74のスイッチ72が導通しているとき、共振回路49には電源70からの電気エネルギが充電される。制御システム21は、電源制御信号76を電源70に供給することにより、電源70から得られるエネルギを調節する。また、制御システム21は、切換制御信号77の特性によって、電源70から共振回路49に転送するエネルギ量を制御する。切換制御信号77をアサートすることにより、スイッチ72が導通するようになる。切換制御信号77の特性が変化すると、スイッチ72の導通も変化し、これによって、共振回路49に転送されるエネルギ量が変化する。電源制御信号76を調節して電源70から配電されるエネルギを変化させること、および切換制御信号77の特性を調節することにより共振回路49に配電するエネルギ量を変化させることは、別個に行うことも、一緒に行うこともできる。
【0027】
切換制御信号77の一例を図2に示す。切換制御信号77は、オン時間78およびオフ時間79を有するデューティ・サイクル信号の形態を取る。切換制御信号77は、周期的に繰り返し、各サイクルは、1つのオン時間78および1つのオフ時間79によって規定される。オン時間78の間に切換制御信号77をアサートすると、スイッチ72(図1)が導通する。オフ時間79の間、切換制御信号77はアサートされず、スイッチ72は非導通となる。スイッチ72が導通状態になると、電源70からのエネルギが共振回路49を充電し、エネルギがコンデンサ48に蓄積され、更に、出力変圧器36(図1)の一次巻線38によって形成されるインダクタにも、量は少ないが、エネルギが蓄積される。共振回路49に配電される充電エネルギ量は、切換制御77のオン時間78に直接関係する。オン時間78を調節することにより、対応する逆の変化がオフ時間79に現れる。何故なら、切換制御信号77の各サイクルは、電気外科発生装置20に選択した動作モードによって確定する規則的な周波数で発生するからである。
【0028】
オフ時間の間、共振回路49に転送されるエネルギは、共振回路49の自然周波数で発振を開始し、一次電圧信号44および一次電流信号46をその自然周波数で発振させる。変圧器36は、共振回路49において発振しているエネルギから、電気外科出力信号22の出力電圧23および出力電流24を誘起する。図3は、切換制御信号77のオフ時間79の開始において直ちに開始する出力信号22の発振を示す。オン時間78中に共振回路49を充電したエネルギは、出力信号がそのエネルギを患者34(図1)の組織に配電することの結果、オフ時間79中にほぼ消散する。したがって、出力信号22の大きさは、図3に示すように、オフ時間79において減衰する。オフ時間79の終了時に出力信号22の発振が完全に減衰していることによって示されるように、通常、元々共振回路49に含まれていたエネルギの実質的に全てが、オフ時間79の終了までに消散する。
【0029】
出力コントローラ66は、切換制御信号77のオン時間78を確定し変化させるために、数学的アルゴリズムを実行する。図4に示すように、オン時間78の持続期間を制御することによって、共振回路49のエネルギ含有量を制御し、これによって電気外科出力信号22を制御する。切換制御信号77のオン時間の持続時間の調節は、出力コントローラ66が供給するフィードバック導出制御信号によって行われる。
【0030】
また、出力コントローラ66は、電源制御信号76を発生し、電源70に供給して、スイッチ72が導通しているときに電源70から共振回路49に配電されるエネルギ量を調節し変化させる。例えば、電源制御信号76は、電源70から出力される電圧を調節することができる。電圧を上昇させることにより、オン時間78の持続期間が同じままであっても、切換制御信号77のオン時間78中に転送されるエネルギ量は増大する。出力コントローラ66は、数学的アルゴリズムおよび計算を実行することにより、電源制御信号76を導出する。
【0031】
今論じたばかりの方法以外にも、出力電力を変化させる別の方法が存在する。一般に、スイッチ72および切換制御信号77は、いずれの電力増幅デバイスでもよく、共振回路に転送するエネルギを変化させる信号であればいずれでもよい。共振回路へのエネルギ転送を変更する技法には、とりわけ、切換信号のディーティ・サイクルでエネルギ転送を変化させるスイッチおよび固定周波数切換信号、共振回路への供給電圧がエネルギ転送を変化させるスイッチおよび固定周波数切換信号、パルス反復周波数がエネルギ転送を変化させるスイッチおよび固定パルス幅切換信号、共振回路への供給電圧がエネルギ転送を変化させるスイッチおよび固定パルス幅切信号、スイッチおよび転送エネルギを変化させるためにスイッチの飽和電圧を変化させる固定周波数固定パルス幅切換信号、ならびに磁気増幅器および転送エネルギを変化させるインダクタへの可変飽和しきい値信号が含まれる。
【0032】
また、電気外科発生装置20は、図1に示すように、制御システム21に接続された従来のセレクタ制御部80も含む。セレクタ制御部80は、選択スイッチ(図示せず)を含み、これによってある範囲の負荷に対して、出力信号22の所望の電力含有量を選択し調節することが可能になる。所望の出力電力含有量を選択すると、電力選択信号82がアサートされる。また、セレクタ制御部は、電気外科発生装置の動作モードを選択することを可能にする他の選択スイッチ(図示せず)も含む。選択可能な動作モードは、切除、凝固、ならびに「ブレンド」として知られる同時切除および凝固である。所望の動作モードを選択すると、モード選択信号83がアサートされる。セレクタ制御部80は、電力およびモード選択信号82および83を、制御システム21に供給する。
【0033】
出力信号22の所望の電力含有量および動作モードを選択することにより、切換制御信号77(図2)のオン時間78の初期パラメータが確定する。初期のオン時間パラメータは、以降の制御および規制のための初期基準として用いられる。電力およびモード選択信号82および83は、負荷曲線(図17)を確定する。この負荷曲線は、出力値計算器64が供給する出力信号22の値に基づいて、制御システム21の出力コントローラ66が実行するフィードバック電力規制の基準となる。基準およびフィードバック信号間の差は、誤差信号を構成し、これから出力制御信号を導出し、切換制御信号77(図2)のオン時間78を調節する。また、モード選択も初期オン時間パラメータの確定にも寄与し、切換制御信号77の繰り返し周波数も確定することができる。
【0034】
セレクタ制御部80からの選択および値、ならびに恐らくは制御システム21が導出するその他の値または係数は、ディスプレイ84上に表示するか、あるいは操作室において用いられる補助機器によって用いるために利用可能となる。
【0035】
外科医は、電気外科発生装置20に電気外科出力信号22を配電させる場合、ハンドピース30上にある従来のフィンガ・スイッチ(図示せず)を押下するか、または電気外科発生装置に接続されている従来のフット・スイッチ(図示せず)を踏む。これらのスイッチの1つを押下する毎に、電気外科発生装置が活性化することを意味する。各活性化に応答して、制御システム21は切換制御信号77を配電し始め、切換制御信号77のオン時間78に電源70からのエネルギで共振回路49を充電し、切換制御信号のオフ時間79中に電気外科出力信号22を配電する。これは既に述べた通りである(図2から図4)。電気外科出力信号22は、電気外科発生装置が活性化している間、選択した動作モードに応じて連続的に配電される。
【0036】
制御システム21の出力信号シミュレータ60、アナログディジタル回路62、ならびに出力値計算器64の更なる詳細を図5に示す。一次電圧検知信号54aおよび一次電流検知信号58aが、減衰器バンク88に供給される。減衰器バンク88は、減衰器90と二重マルチプレクサ92とによって形成されている。減衰器90は、一次電圧検知信号54aおよび一次電流検知信号58aの大きさを減衰する。二重マルチプレクサ92は、電気外科発生装置の活性化に先だって設定され、したがって、その入力信号が供給される出力端子の接続は変化しない。その結果、減衰器88は、減衰した一次電圧検知信号54bおよび減衰した一次電流検知信号58bを供給する。
【0037】
減衰した電圧および電流検知信号54bおよび58bは、二重アナログ・エリアシング防止フィルタ94に供給される。エリアシング防止フィルタ94は、ローパス・フィルタであり、望ましくない高周波成分(特に、高次高調波)を減衰信号54bおよび58bから除去した後に、フィルタ処理した一次電圧検知信号54cおよびフィルタ処理した一次電流検知信号58cを発生する。エリアシング防止フィルタ94は、フィルタ処理した信号54cおよび58cの有意な周波数成分が、所定の上限周波数未満となり、これらの信号を後に対応するディジタル信号に変換するときに、信号54bおよび58bから意図しない折り重ね信号(aliased signal)が発生するのを防止する。
【0038】
フィルタ処理した信号54cおよび58cは、二重アナログ/ディジタル変換器(ADC)96に供給される。変換器96はクロック98によって駆動する。二重ADC96およびクロック98は、フィルタ処理したアナログ一次電圧検知信号54cおよびフィルタ処理したアナログ一次電流検知信号58cのサンプリング・レートおよび変換レートを決定する。二重ADC96は、フィルタ処理したアナログ信号54cおよび58cを、それぞれ、ディジタル一次電圧検知信号54dおよびディジタル一次電流検知信号58dに変換する。
【0039】
クロック98によって確定されるサンプリング・レートは、システム・コントローラの論理ゲートの計算速度が高いために、比較的高くなる。サンプリング・レートは、ナイキスト・サンプリング基準以上とすることができる(出力信号22において結果的に得られるエネルギの最も高い周波数の、サイクル当たり2サンプル)。しかしながら、アンダー・ナイキスト・サンプリング・アルゴリズム(under-Nyquist sampling algorithm)を用いることも可能である。何故なら、図3に示すように、出力信号22の連続する各サイクルは、直前の波形に非常に類似しているからである。後続の反復サイクル間に類似性があるため、ナイキスト基準よりも低いサンプリング・レートでも、本発明の出力規制のために有効な情報を提供することが可能となる。更に、以下で論ずるが、フィードバック制御は、電気外科出力信号22(図3)の1回のサイクルだけに基づくのではなく、逆に出力信号22の多数の連続するサイクルに基づいている。ナイキスト・サンプリング基準未満でも悪くはないが、制御システム21において用いられる論理ゲートのアレイの計算レートのため、ナイキスト基準以上のサンプリングが好ましく、しかも可能である。
【0040】
ADC96が行うサンプリングの重要な側面の1つは、出力電圧23および出力電流24(図1)の値は、同時に関係がある時点に得られるということである。その結果、各時点における出力電圧と出力電流との間のいずれの位相差も、判定可能となる。このような位相差により、出力電圧および電流の同時に関係する、瞬時的、そしてそれぞれに異なる正および負の値から得られる負の電力出力の決定が可能となる。出力電圧および出力電流のサンプル値は、同時サンプリングから得ることができ、あるいはサンプル補間技法によって、見かけ上同時に関係するサンプルを導出することが可能である。その一部はナイキスト・サンプリング基準未満を用いる場合でも可能である。制御システムは、このような補間の制限を考慮に入れなければならない。電気外科出力信号の各サイクルにおいてときおり同時関係に基づいて体外に対する出力電圧および出力電流の位相関係、ならびに正および負の値を認識することは、本発明から得られる出力規制改善のための1つの重要な基本である。また、出力電圧および出力電流の位相関係ならびに正および負の値は、図6から理解されるように、電気外科出力波形における実電力および皮相電力出力間の差も明らかにする。
【0041】
図6に示すのは、出力電圧23(実線で示す)および出力電流24(中太破線で示す)の測定される波形である。波形23および24は、共振回路49(図1)が発振を開始した直後の時間期間79(図2および図3)における典型である。出力電圧23および出力電流24は、共振回路49(図1)のエネルギが消散されるまで、互いに対してかなり変動する。曲線108は、瞬時電力出力を示し、曲線109は、配電されるエネルギの積分即ち累積量を示し、それぞれ、短い破線ならびに破線および点線で示す。図6に示す時間期間の全てではないにしても、その殆どにおいて、瞬時電力出力波形108は、正の電力量が組織に実電力として配電されていることを示す。しかしながら、出力電圧23および出力電流24は位相がずれているので、時間間隔111の間負の電力が配電される。
【0042】
時間間隔111に負の電力が配電されることにより、寄生容量またはインダクタンスのような、出力端子26(図1)に接続されている外部容量性または誘導性の要素にエネルギが蓄積される結果となる。電気外科発生装置は、これらのリアクタンス・エレメントに既にエネルギを蓄積しており、このエネルギの一部または全部が実質的に電気外科発生装置に戻され、組織においては電気外科的効果を生じない。図6に示すように、時間間隔111において負電力が生ずるのは、出力電流24が負のときであり、これは、正の出力電圧23がある間に、電流が電気外科発生装置に流れ込んでいることを示す。負電力の発生は、累積出力電力曲線109における時点Mでの小さい窪み即ち極小値によっても示される。
【0043】
時間間隔111におけるように、負の出力電力が発生したことを認識し損ねると、負の電力を、電気外科発生装置の皮相電力出力の一部と見なすことになる。通例、電気外科発生装置は、皮相電力出力と実電力出力との間で区別ができない。何故なら、出力電力の典型的な計算にはRMS計算が伴うからである。RMS計算は、出力電圧が正である間に電気外科発生装置に逆流する電流の負電力の面を考慮することができない。電気外科発生装置からの実電力出力は、電気外科効果を生ずる電力であり、組織においては殆ど熱となる。このため、実電力は、電気外科効果の見地からは主要な関心事となる。全体的には、電気外科発生装置から配電される実電力は、累積出力電力曲線109の正の値によって示される。
【0044】
図5に示すように、ディジタル一次電圧検知信号54dは、信号補償機能があるハイパスおよびローパス・ディジタル・フィルタ100に導かれる。フィルタ100は、電気外科発生装置の活性化終了時において分離コンデンサ50(図1)に蓄積されている残留エネルギの効果を排除する。分離コンデンサに蓄積されるエネルギは、外科医の技法および電気外科手順のモードに応じて、変動する可能性がある。コンデンサ50に蓄積されている残留エネルギの効果を排除しないと、出力電圧および電流のシミュレーションの精度が低下する。信号54dをハイパスおよびローパスのフィルタに通し補償した後、ハイパスおよびローパスのディジタル・フィルタ100は、フィルタ処理し補償したディジタル電圧信号54eを供給する。
【0045】
ディジタル一次電流検知信号58dは、ローパス・ディジタル・フィルタ102に導かれる。ローパス・フィルタ102もアンチ・エリアシングを防止する。ディジタル信号58dをローパス・フィルタ処理した後、ローパス・ディジタル・フィルタ102は、フィルタ処理したディジタル電流信号58eを供給する。
【0046】
構成要素88、90、92、94、96、98、100および102は、制御システム21(図1)のアナログディジタル回路62を形成する。構成要素88、90、92、94、96、98、100および102は、従来のアナログ信号およびディジタル信号処理エレメントであり、アナログ信号54aおよび58aをディジタル信号54eおよび58eに変換するために用いられ、したがってこれらの信号はゲート・アレイ出力信号シミュレータ60(図1)によって用いることができる。
【0047】
図1に示す出力信号シミュレータ60は、出力電圧シミュレータ104および出力電流シミュレータ105によって形成され、双方とも図5に示されており、双方とも論理ゲートのアレイによって実行することが好ましい。ディジタル電圧信号54eおよびディジタル電流信号58eは、出力電圧シミュレータ104および出力電流シミュレータ105に導かれる。シミュレータ104および105は、各々、信号54eおよび58eに応答して、数学的シミュレーション・アルゴリズムを実行し、共振回路49(図1)における一次電圧44および一次電流46に基づいて、出力電圧23および出力電流24の精度高い値をシミュレートする。
【0048】
出力電圧23および出力電流24(図1)のシミュレーション値は、それぞれ、シミュレーション出力電圧信号106およびシミュレーション出力電流信号107として供給される。シミュレータ104および105は、論理ゲートのアレイとして実装され、これらの論理ゲートは、各シミュレータが用いる数学的シミュレーション・アルゴリズムを実行するようにプログラムされているか、あるいは相互接続されている。論理ゲートのアレイは、迅速に数学的シミュレーション・アルゴリズムを実行して、シミュレーション出力信号106および107を殆ど同時に供給する。何故なら、これらのシミュレーション信号は、ディジタル論理ゲートに伴う、短いゲート遅延および計算クロッキング遅延時間だけ遅れるに過ぎないからである。シミュレーション出力信号は、別の時間がかかる計算を用いた場合よりも遥かに迅速に、表出させ利用することができる。
【0049】
ゲート・アレイ出力電圧および電流シミュレータ104および105によって実施される数学的アルゴリズムに関する更なる詳細については、図7から図15に関連付けて論ずる。
【0050】
シミュレータ104および105は、出力電圧および電流信号106および107の精度高い値をシミュレートするためには、多数の異なる既知の数学的アルゴリズムを実行することができる。出力電圧をシミュレートするのに有利なアルゴリズムの1つは、出力変圧器36および分離コンデンサ50(図1)で形成されている電気外科発生装置20の出力回路の集中パラメータ等価回路110のモデルから得られる。このような集中パラメータ等価回路110の1つを図7に示す。等価回路を用いて電子回路構成要素の理想的でない挙動をモデル化することは周知であり、等価回路110は、出力変圧器36および分離コンデンサ50(図1)に対する応答機能を導き出すために用いることができる多くの可能な等価回路の1つである。等価回路110がモデル化する実際の変圧器および分離コンデンサから測定することができる、等価回路の集中パラメータを確定することは重要である。何故なら、これらの測定値の精度が、シミュレーション・アルゴリズムの基本として、等価回路モデルの精度を確定するからである。等価回路110のエレメントは全て、理想的であると仮定する。
【0051】
基本的な集中パラメータ等価回路110の内、出力変圧器36(図1)に関係する部分は、変圧器112、一次漏れ抵抗器(Rlp)114、一次漏れインダクタ(Llp)116、磁気抵抗器(Rmag)118、磁気インダクタ(Lmag)120、二次漏れ抵抗器(Rls)122、および二次漏れインダクタ(Lls)124で形成されている。
【0052】
一次漏れ抵抗器114および二次漏れ抵抗器122は、一次巻線を通過するAC電流Iin(s)、および二次巻線を通過するIout(s)127にそれぞれ生ずる抵抗をモデル化する。これら巻線38および40(図1)を通過するAC電流に生ずる抵抗によって、熱が生じてエネルギ損失となり、これらのエネルギ損失は銅損として一般に知られている。エネルギ損失は、等価変圧回路110の入力電圧Vin(s)126から出力電圧Vout(s)128への電圧降下に反映される。
【0053】
一次漏れインダクタ116および二次漏れインダクタ124は、コア42(図1)の磁束漏れをモデル化する。漏れ磁束はコアから放出し、一次巻線38を二次巻線40(図1)と結合することができない。等価回路110におけるインダクタ116および124は、巻線38および40(図1)にある電流および電圧間に位相ずれを招く。位相ずれの影響は、二次巻線40(図1)から配電される出力信号の実電力が減少することである。何故なら、皮相電力の一部が無効電力となるからである。
【0054】
実電力および無効電力は、ベクトル分析(または電力三角形)によって結合され、皮相電力が得られる。実電力のみが、患者34(図1)の組織において電気外科効果を生ずる。出力電力が無効電力として消費されると、所望の電気外科効果を得る能力が減少する可能性があり、あるいはある種の電気外科付属品において電力が蓄積される可能性があり、後に、電気外科効果が望まれない状況において実電力として放出される。
【0055】
磁気抵抗器118および磁気インダクタ120は、コア損失を明確に示す。コア42(図1)内部で磁束を生成するためには、励起電流が必要となる。磁気抵抗器118は、コア損失抵抗として知られており、コア損失電流または励起電流の実成分に相当する。磁気インダクタ120は、磁化リアクタンスとして知られており、コアにおける磁化電流、または励起電流成分の虚成分に相当する。
【0056】
出力変圧器36の電気外科出力信号は、高周波即ち無線周波信号(通例、350から600kHz)であり、電気外科出力信号を導通させる組織のインピーダンスが非常に変わりやすいために、急変する過渡条件を受ける。出力変圧器36(図1)の高周波応答特性を正しくモデル化するためには、等価回路110は、電力出力変圧器36および分離コンデンサ50(図1)の寄生容量特性を明らかにするために、追加のエレメントを含まなければならない。これらの追加のエレメントは、直列分路抵抗器(Rser/shunt)130、分路コンデンサ(Cshunt)132、および直列コンデンサ(Cseries)134を含む。直列コンデンサ(Cseries)134は、分離コンデンサ50(図1)の容量効果に相当し、直列分路抵抗器(Rser/shunt)130は、分離コンデンサの固有抵抗効果をモデル化する。分路コンデンサ(Cshunt)132は、一次巻線38および二次巻線40(図1)を形成する導体コイル間に生ずる寄生容量をモデル化する。インダクタ116、120、および124と同様に、コンデンサ132および134は、一次巻線および二次巻線電流電圧間に位相ずれを招く。加えて、容量はエネルギを蓄積し、エネルギ・スペクトル全体において異なる周波数においてエネルギを減衰する。その結果、電気外科の間に蓄積されたエネルギが放電されるまで、電源70(図1)が配電する出力エネルギの一部がコンデンサ132および134に蓄積されることになる。
【0057】
図7に示す出力等価回路110は、出力変圧器36(図1)の離散時間関数を導出するために用いられる。次いで、離散時間関数を用いて、変圧器36の出力応答関数を計算する。このように処理を進める際、抵抗器114、118、122、および130の値、インダクタ116、120、および124の値、ならびにコンデンサ132の値は、経験的に決定する。経験的に無視できると判断された値は、等価回路から離散時間関数を導出するときに、いずれも、0と見なすことができる。一実現例では、一次漏れ抵抗器114および一次漏れインダクタ116の値を0と設定した。何故なら、これらの組み合わせは、経験的に、実際の出力変圧器36(図1)にとっては無視できることがわかったからである。
【0058】
等価回路モデル110(図7)を用いて離散時間関数に到達する手法を図8から図10に示す。
標準的な回路分析技法を用いることによって、等価回路モデル110は、図8に示す連続時間、周波数ドメイン関数136を生成する。連続時間、周波数ドメイン関数136は、所望の電圧出力応答ut(s)128(図7)を与える。連続時間、周波数ドメイン関数は、11個の定数、入力電圧変数Vin(s)126(図7)、および入力電流変数(s)125(図7)から成る。11個の定数の値は、等価回路110(図7)の集中パラメータ成分に対して経験的に決定した値から計算する。入力電圧変数Vin(s)126および入力電流変数(s)125(図7)は、それぞれ、ディジタル電圧および電流信号54eおよび58e(図5)から得られる。図8に示す関数136は、等価回路110(図7)のラプラス変換を表す。
【0059】
図8に示す関数136は、連続時間、周波数ドメイン関数を離散時間、周波数ドメイン関数に変換するために認められている技法を用いて、図9に示すような離散時間、周波数ドメイン関数138に数学的に変換される。このような変換は正確な数学的導出ではなく、代わりに、差を最小にするために数値当てはめ技法を伴うという事実のために、図9に示す変換によって、図8に示す通りの11個の変数ではなく、12個の新しい変数が得られる。逆に、変換で得られる数値最小化が緩い程、定数の数が少なくなり、計算の実行が単純になる。関数138の入力および出力応答変数は、離散値である。
【0060】
出力電圧シミュレータ104(図5)では、入力変数は、周波数ドメインではなく、時間ドメインになければならない。したがって、関数を図9に示す離散時間、周波数ドメインから離散時間、時間ドメインに移すには、最終的な変換が必要となる。図10に示すように、最終関数139は、数学的シミュレーション・アルゴリズムを構成し、出力シミュレーション電圧信号106(図5)を得るために、出力電圧シミュレータ104(図5)によって用いられる。最終関数139を得た後、出力信号シミュレーション104を形成する論理ゲートのアレイに最終関数をプログラムする。
【0061】
図10に示す離散時間、時間ドメイン関数139を、ADC96(図5)が発生する離散値のサンプルに関係付け、関数139の入力サンプルVin[n]およびIin[n]は、それぞれ、フィルタ処理したディジタル電圧信号54eおよびフィルタ処理したディジタル電流信号58eに対応する。入力サンプルVin[n]およびIin[n]は、規則的かつ連続的に起こるサンプリング・ポイント時点[n]において供給され、この時点において、ADC96(図5)は、フィルタ処理したディジタル電圧信号54eおよびフィルタ処理したディジタル電流信号58e(図5)の新しい値を供給する。サンプリング・ポイント時点[n]は、クロック98(図5)によって確定する。関数139から明白なように、初期条件を確立するためには入力サンプルVin[n]およびIin[n]の内少なくとも3つの連続的に発生する入力サンプル(n、n−1、およびn−2)が必要となり、その後でないと関数139はVout[n]の意味のある値を生成しない。Vout[n]の値は、シミュレーション電圧信号106(図5)となる。
【0062】
関数139が表す数学的アルゴリズムは、出力変圧器36および分離コンデンサ50(図1)の特性に基づいている。関数139を用いたシミュレーションの精度は、等価回路110(図7)に用いるために実際の変圧器および分離コンデンサから寄生およびその他の特性値を経験的に決定または測定する精度および能力によって異なる。何故なら、離散時間関数139(図10)における12個の定数は、これらの値に直接依存するからである。シミュレーション誤差の範囲も、出力回路として変圧器に取り付けられる負荷の量に関係する。一般に、シミュレーション誤差は、変圧器からの出力電流が小さい程、そして流れ込む負荷が小さい程小さくなる傾向があり、シミュレーション誤差は、変圧器からの出力電流が大きい程、そして流れ込む負荷が大きい程大きくなる傾向がある。しかしながら、出力電圧をシミュレートする数学的アルゴリズムを導出する等価回路モデリング技法(図7から図10)には、一般に、2つの入力信号から1つの出力信号を発生し、2つの入力信号の一方が部分的に他方によって生ずる関数139が表す状況の下では誤差が少ないという利点がある。変圧器への一次電流は、部分的に一次電圧によって生じ、部分的に出力負荷によって生ずる。
【0063】
全ての電気外科発生装置における個々の電力出力変圧器が近似的に等しいならば、離散時間関数139(図10)のような同じ数学的アルゴリズムをプログラムし、大量生産した各電気外科発生装置の各電圧シミュレータ104(図5)に用いることもできる。このような状況の下では、各シミュレータに異なる数学的アルゴリズムを個別にプログラムする必要性が回避される。しかしながら、変圧器毎にパラメータ値に重大な不一致がある場合、数学的アルゴリズムを個々の変圧器毎に調節、または決定し直す必要が生ずる場合もある。加えて、負荷特性のためにシミュレーション誤差の不一致が生ずる場合、負荷曲線の異なる区域に対して応答特性をシミュレートするために異なる数学的アルゴリズムを用いる場合もある。これは、以下の論述から理解できよう。つまり、異なるシミュレーション・アルゴリズムを採用すればよい。異なる数学的アルゴリズムは、先に論じたように、電圧シミュレータ104(図5)に関して用いたが、異なる数学的アルゴリズムを用いる場合に伴う概念は、以下に論ずる電流シミュレータ105(図5)にも該当する。
【0064】
シミュレーション・アルゴリズムを得る別の方法は、ある範囲の負荷パラメータに対して、ディジタル電圧および電流信号54eおよび58e(図5)の数値比較を繰り返し行うことである。この繰り返し数値比較技法は、システム識別技法の一種である。システム識別技法は、適応信号処理の具体的な形態であり、数値分析プロセスを取り入れ、未知のシステムまたは良くわからないシステムの観察入力および出力を用いて、そのシステムの伝達関数を作成する。システム識別技法は、システムの原理を最初に発見することなく、未知のシステムまたは良くわからないシステムの挙動を予測するのに有用である。必要な全ては、関連する入力および出力信号を収集し相関付け、マイクロプロセッサまたはコンピュータによる比較および操作に適した形態にするために、これらの信号を変換できることである。
【0065】
図11は、システム識別を用いて、関連入力および出力信号を相関付け、比較および操作に適した形態にこれらの信号を変換するために用いることができる分析モデル140を概略的に示す。変数x[n]は、未知または良くわからないシステム142への一般入力信号を表す。本発明の場合、システム142は、出力変圧器36および分離コンデンサ50(図1)で形成された出力回路を構成する。分析モデル140では、入力変数x[n]は、ディジタル電圧信号54eおよびディジタル電流信号58e(図5)を表し、それぞれVin[n]およびIin[n]で表されている。入力変数Vin[n]およびIin[n]には、未知の伝達関数によって特徴化および識別できるように、システム142が作用し、繰り返し数値比較システム識別技法によって識別する。
【0066】
分析モデル140を用いてシミュレーション出力電流107(図5)を得る場合、観察されたまたは所望の出力d[n]が観察され、Iout[n]として記録される。根本的に、一旦伝達関数を導出したなら、Iout[n]はシミュレーション電流信号107(図5)となる。図11によって例示するシステム識別技法は、電気外科発生装置20(図1)の出力回路の出力変圧器36および分離コンデンサ50の出力電圧をシミュレートするためよりも、出力電流をシミュレートするために精度が高い結果が得られるように、経験的に決定された。
【0067】
システム識別分析モデル140は、適応応答フィルタ144を用いる。適応応答フィルタ144は、図12および図13に示す式146および147の定数を処理する。これらの定数の各々は、繰り返し数値比較プロセスによって同時に決定される。図12を参照すると、未知のシステム142の伝達関数および適応応答フィルタ144双方が最初に入力変数x[0]に作用する。未知のシステム142は出力変数d[0]を生成し、適応応答フィルタ144は出力変数y[0]を生成する。出力変数d[0]およびy[0]を互いに比較して、誤差変数e[0]を生成する。誤差変数e[0]の大きさに基づいて、最小二乗または再帰最小二乗分析のような適応応答フィルタは数値分析によって、次の入力変数x[n]に「適応」し、適応応答フィルタ144の定数に対して新たな推定値を生成する。続く繰り返し[n]、[n+1]、[n+2]等によって、誤差変数e[n]は0に近づくはずであり、出力変数y[n]および所望の出力d[n]も等しく近づいていることを示す。誤差信号e[n]が0に近づくと、適応応答フィルタ144によって生成した定数は、適応応答フィルタ144が未知または良くわからないシステム142の真の伝達関数の正当な推定を表す点まで十分に収束していることになる。
【0068】
前述のシステム識別技法は、計算集約的であり、通常ではMATLAB(登録商標)ソフトウェアおよびその「システム識別ツールボックス」のような、既知のシステム識別ソフトウェアの使用によって遂行するのが一番手っ取り早い。このようなソフトウェアは、適応応答フィルタ144によって生ずる制約を導出し、繰り返し数値比較を実行するために用いられる。
【0069】
繰り返し数値比較プロセスの実行は、経験的データの収集から開始する。一次電圧44、一次電流46、および出力電流24(図1)を表す信号を、非常に高いサンプル・レート、例えば、毎秒二千万サンプルで、サンプリング・オシロスコープに集める。一次電圧44、一次電流46、および出力電流24を表す信号は、電気外科処置の間に通例体験する範囲の負荷、0、20、50、100、および500オームの範囲または集合について取り込み格納する。一次電流46における一次電圧44を表す信号毎に、集合のインピーダンスの各々に対する個々の信号を、その負荷の順に連結する。このように、システムは線形時間不変システムとして扱われ、個々の応答を連結して、応答全体を表す。悪影響を及ぼす可能性があるウィンドウ乗算周波数(window multiplication frequencies)を排除するために、従来のハニング・ウィンドウを各信号に適用する。
【0070】
前述のように実験的データを収集するのに成功したならば、次に、システム識別システムが伝達関数をモデル化するために用いる極およびゼロ点の数を選択する。図12および図13に示すように、離散時間関数の式における分子および分母の形態から明白なように、モデリングでは6つのゼロ点および6つの極を用いる。用いるゼロ点および極の数は、これよりも多くても少なくても可能である。ゼロ点および極を更に追加するに連れて、生成される離散時間関数は増々複雑となるが、一般に関数の精度も向上する。あるいは、ゼロ点および極を除去すると、離散時間関数の複雑性は低下するが、その精度が犠牲となる。
【0071】
図12に示す離散時間、周波数ドメイン関数146は、前述のようにして、MATLAB(登録商標)ソフトウェアのシステム識別ツールボックスの使用によって得られた。数学的変換を用いて、離散時間関数146を、図13に示す離散時間、時間ドメイン関数147に変換する。得られた離散時間関数147は、未知または良くわからないシステム142(図12)の真の伝達関数の高精度な等価表現となる。システム142は、この例では、電気外科発生装置20(図1)の出力変圧器36および分離コンデンサ50である。
【0072】
一旦離散時間、時間ドメイン関数147が得られたなら、その関数147を出力電流シミュレータ105(図5)の中に、シミュレーション・アルゴリズムとしてプログラムする。シミュレータ105は、ディジタル電圧信号54eおよびディジタル電流信号58e(図13ではそれぞれVin[n]およびIin[n]として示す)がシミュレータ105に入力されると、シミュレーション・アルゴリズムを実行する。導出した離散時間関数147(図13)の独立変数としてVin[n]およびIin[n]を用いて計算することにより、シミュレーション電流信号107(図5)であるIout[n]の出力を生成する。
【0073】
等価回路110(図7)を用いて、出力電圧シミュレータ104(図5)の実現例について説明し、一方離散時間関数147(図13)を用いて、電流シミュレータ105(図5)の実現例について説明した。しかしながら、等価回路は、電流シミュレータ105(図5)が使用するためにも導出することができる。とは言え、出力電流の表現は、電圧に対して得られる最終関数139(図10)よりも複雑になる。同様に、システム識別技法は、電圧出力シミュレータ104(図5)が用いてもよい。図14および図15に示すのは、電圧出力23(図1)のシミュレーションに到達するために用いられる関数即ち式148および149である。システム識別電圧関数148および149は、単純な置換によって、元の電流システム識別関数146および147(図12および図13)から導出されるが、システム識別を用いた電圧出力シミュレーションの精度は、電気外科発生装置の動作モード(例えば、切除、ブレンド、または凝固)、および電気外科発生装置が出力電力を配電する先の負荷によって左右される。
【0074】
数学的アルゴリズムを用いて電圧信号106および電流信号107(図5)をシミュレートすることについてのこれまでの論述において、出力信号シミュレータ104および105は、クロック98(図5)のクロック周波数によって確定される瞬時サンプリングを基準に動作するように説明した。しかしながら、シミュレーション信号106および107を導出するためにそれぞれの離散時間関数139(図10)および147(図13)を用いる前に得られたN個のシミュレーション値の集合から、二乗平均平方根値のような、時間平均または時間積分値を計算することも可能である。シミュレーションは、サンプル点をいくつ用いても実行することができる。各信号54eおよび58eを得た直後にシミュレーションを行う場合、シミュレーション電圧信号106およびシミュレーション電流信号107は、瞬時関係電圧信号23および瞬時関係電流信号24(図1)を表す。多数の瞬時的に関係するシミュレーション出力値を連続して得ることによって、出力変圧器36の二次巻線40上に現れる電圧および電流信号23および24の連続体が得られる。
【0075】
シミュレーション出力電圧信号106およびシミュレーション出力電流信号107は、図5に示すような、出力値計算器64に印加される。出力値計算器64は、ディジタルRMS電圧計算器150、ディジタルRMS電流計算器152、および実電力平均計算器154aまたは154bで形成され、これらの全てを論理ゲートのアレイとして実施することが好ましい。電力平均計算器154aおよび電力平均計算器154bは、互いに対して代用となるとよい。これらの論理ゲートにプログラムした数値アルゴリズムを実行することによって、計算器150、152および154aまたは154bは、それぞれ、出力信号22(図1)のRMS出力電圧23を表す計算RMS電圧信号156、出力信号22(図1)のRMS出力電流24を表す計算RMS電流信号158、ならびに出力信号22の出力電圧23および出力電流24(図1)によって生成される実電力平均値を表す計算実電力平均信号160を生成する。
【0076】
シミュレーション電圧出力信号106はRMS電圧計算器150に印加され、シミュレーション出力電流信号107はRMS電流計算器152に供給される。シミュレーション電圧および電流出力信号106および107は、電力平均計算器154bに供給される。このように、計算器150、152および154bは、出力信号22(図1)の実際の出力電圧23および出力電流24を表すシミュレーション出力信号106および107を受ける。計算器150、152、154aおよび154bの各々は、クロック98からクロック信号を受ける。
【0077】
電圧および電流計算器150および152ならびに実電力平均計算器154aおよび154bは、電気外科発生装置20(図1)が活性化されている間、または活性化時間の一部において収集したN個のサンプルに基づいて、二乗平均平方根(RMS)または平均値を決定する。収集するN個のサンプルは、二重ADC96(図5)を駆動するクロック98によって確定するサンプリング・レートによって決定される。N個のサンプルを蓄積した後、計算器150、152、154aおよび154bが、N個のサンプルを蓄積した1回の時間期間に対してそれぞれの値を計算することを可能にするのに十分な値のシミュレーション出力電圧106およびシミュレーション出力電流107が蓄積されている。
【0078】
計算器150、152、154aおよび154bが実行する好ましい数学的アルゴリズムの詳細は、全体的に、計算器150、152、154aおよび154b上に重ね合わされている数式によって示される。電圧計算器150が実行する数学的アルゴリズムは、シミュレーション出力電圧106(Vout)の個々のサンプル(n)を各々二乗し、次いで全て(N個)の二乗したサンプルの合計を求める。次いで、合計をサンプル数(N)で除算し、二乗平方根が得られる。その結果は、信号156によって表される、RMS出力電圧の計算値である。電流計算器152が実行する数学的アルゴリズムは、シミュレーション出力電流107(Iout)の個々のサンプル(n)を各々二乗し、二乗したサンプルの全て(N個)を合計する。次いで、この合計をサンプル数(N)で除算し、二乗平方根が得られる。その結果は、信号158によって表されるRMS出力電流の計算値である。
【0079】
平均電力を計算するには、電力平均計算器154aまたは154bのいずれかを用いる。平均実電力は、電圧および電流信号54eおよび58eの瞬時値を用いて、計算器154aによって計算する。電圧および電流入力信号54eおよび58eは、一次電圧44および一次電流46(図1)の瞬時値を表し、これらの積から、変圧器36(図1)の実電力入力が得られる。平均電力計算器154aが実施するアルゴリズムは、エネルギ保存の原理に基づき、変圧器36(図1)の出力電力は、入力電力から電力損失を減算した値に等しい。図示のアルゴリズムは、変圧器36(図1)のコア損失に相当するに過ぎない。銅導体損を含む全ての電力損失も、望ましければ、明らかにすることができる。
【0080】
コア損失だけに相当する、出力変圧器36(図1)の電力損失は、以下の式で示される。
【0081】
【数1】
【0082】
ここで、kmagは経験を通じて得られた、経験的測定損失係数、Vinは変圧器36(図1)に印加される入力電圧44(図1)、Nは電力計算を行う際に用いられるサンプル数である。瞬時出力電力の計算では、N=1である。電力損失の式は、一次漏れインダクタ116および一次漏れ抵抗器114の無視できる値に基づいており、磁気抵抗器118のインピーダンスは、磁気インダクタ120(図7)のインピーダンスと比較すると小さい。更に、前述の電力シミュレーション・モデルについて行った仮定の一部は、電流および電圧が双方共比較的小さいときに、電力制御のために平均電力計算器154aを用いることに基づいている。
【0083】
実電力平均計算器154aが実行する数学的アルゴリズムは、変圧器への実電力入力と個々のサンプルの各々に対する変圧器への電力損失との間の差の和を求める。(N個の)個々のサンプルに対する差の和を(N)で除算して、実電力出力平均を求める。実電力出力平均は、計算した実電力平均信号160によって表される。
【0084】
実電力平均計算器154bが実行する数学的アルゴリズムは、シミュレーション出力電圧信号106(Vout)およびシミュレーション出力電流信号107(Iout)を乗算する。これらは双方共、電圧および電流信号の同時に関係するサンプリング時点(n)において発生する。同時に関係するサンプリング時点(n)の各々からのシミュレーション出力電圧および電流信号の積を、時点の総数(N)にわたって合計する。次いで、この合計をサンプリング時点の数(N)で除算する。その結果は、計算した実電力平均信号160によって表される、実電力出力の平均計算値である。
【0085】
RMS電力、皮相電力、虚電力、および出力電力のその他のパラメータ、出力電圧、または出力電流をシミュレートするその他のアルゴリズムも実施することができる。
計算器150、152および154aまたは154bは、計算したRMS電圧信号156、計算したRMS電流信号158、および計算した実電力信号160を、それぞれ、ディジタルサンプル/ホールド回路162、164および166に供給する。サンプル/ホールド回路162、164および166は、信号156、158および160を変化させないが、クロック98からのクロック信号を受けたときの、これらの信号156、158および160が表す値を保持する。サンプル/ホールド回路における値は、新しい値と置換されるまで保持される。サンプル/ホールド回路162、164および166の目的は、N個毎のサンプルで1回だけ信号156、158および160が確実に得られるようにすることである。クロック98は、N個のサンプル毎に1回だけ、サンプル/ホールド回路162、164および166にクロック信号を供給する。これに関して、クロック98からサンプル/ホールド回路に供給されるクロック信号の周波数は、ADC96ならびにシミュレータ104および105に供給されるサンプリング・クロック信号よりも低い。サンプル/ホールド回路162、164および166は、アナログディジタル回路62(図1)の一部をなす。
【0086】
制御システム21の出力コントローラ66の更なる詳細を図16および図17に示す。図16に示すように、出力コントローラ66は、ゲート・アレイ負荷曲線応答発生器170を含む。負荷曲線応答発生器170は、図17に示す負荷曲線172を確定し定める。負荷曲線172は、電気外科発生装置20(図1)の電力出力を、外科処置現場における患者34(図1)の組織の負荷抵抗またはインピーダンスに対して制限するため、そして電気外科発生装置の出力電力を、セレクタ制御部80において選択される、選択された動作モードに対する最大出力電力に対して制限するために用いられる。動作モードは、電力およびモード選択信号82および83図1)によって表される。負荷曲線応答発生器170(図16)は、負荷曲線172(図17)を定め特徴化する数学的値を収容する負荷曲線信号を発生する。
【0087】
また、出力コントローラ66は、図16に示す、ゲート・アレイ電圧信号スケーラ174、ゲート・アレイ電流信号スケーラ176、およびゲート・アレイ平均電力信号スケーラ178も含む。信号スケーラ174、176および178は、RMS電圧信号(VRMS)156、RMS電流信号(IRMS)158、および実電力平均信号(PAve)160を、それぞれ、出力値計算器64(図5)のサンプル/ホールド回路162、164および166から受ける。加えて、信号スケーラ174および176は、負荷曲線信号173の数学的値を受ける。
【0088】
信号スケーラ174、176および178は、負荷曲線172を定める数学的値に基づいて、信号156、158および160の値を調整(scale)し、調整電力信号180、182および184を発生する。調整電力信号180、182、および184の内、最大値を有する1つを、フィードバック信号セレクタ186によって選択し、フィードバック信号188として供給する。最大調整電力信号180、182または184の信号セレクタ186による選択によって、負荷曲線172(図17)に関する効果的な規制を遂行する。
【0089】
減算器190によって、セレクタ制御部80(図1)が供給する電力選択信号82からフィードバック信号188を減算し、得られた差を、フィードバック誤差信号192として供給する。フィードバック誤差信号192は、誤差補償回路194に供給され、誤差補償回路194は、比例、積分および微分式195が表す数学的アルゴリズムを実行して、補償出力制御信号196を発生する。誤差補償回路194が実行する比例、積分および微分式195によって、閉ループ・システムの応答を最適化することができるが、制御理論の観点から不安定にはならず、過剰減衰せず、高速のステップ応答を確保することが可能となる。補償出力制御信号196は、駆動パルス幅変調器198に供給され、駆動パルス幅変調器198は、切換制御信号77(図2)のオン時間の時間幅を調節する。先に論じたように、切換制御信号のオン時間を増加させると、共振回路49(図1)に転送されるエネルギ量が増大し、これによって電気外科出力信号22(図1)のエネルギ含有量が増大する。逆に、切換制御信号77(図2)のオン時間を減少させると、共振回路49(図1)に転送されるエネルギ量が減少し、電気外科出力信号22(図1)のエネルギ含有量が減少する。
【0090】
負荷曲線応答発生器170が発生する負荷曲線172に関する詳細を図17に示す。負荷曲線172は、正および負電力配電(y軸)に対するその電力が配電される負荷(x軸)の関係を示すグラフに対して定められる。電力が配電される負荷は、外科処置現場における患者の組織の抵抗である。負荷曲線172の特性は、選択する出力電力、ならびに電力およびモード選択信号82および83(図1)によって表される、電気外科発生装置の動作モードに応じて変化する。しかしながら、全ての場合において、負荷曲線は、3つの別個の部分を有する。即ち、一定電圧部分200、一定電流部分204、および一定電力部分208である。負荷曲線172のこれらの部分の各々を定める数学的値は、したがって、可変である。
【0091】
負荷曲線172の一定電圧部分200は、出力電圧を最大出力電圧VMaxに制限する。ここで述べる場合、最大出力電圧VMaxはRMS電圧であるが、瞬時ピーク電圧のような、他の電圧特性も用いることができる。最大出力電圧VMaxは、一定電圧であり、電気外科発生装置を規制して選択した電力および動作モードで配電させるための最大電圧である。このように出力電圧を制限することにより、選択した電力および動作モードにしたがって電気外科効果を制御する。また、このように最大出力電圧を制限することによって、組織、特に、比較的高いインピーダンスまたは抵抗を有する組織に、過剰で損傷の危険があるアーキング(arcing)が流入するのを防止する。インピーダンスまたは抵抗が比較的高い組織にエネルギを転送するときに、電圧を制限しないと、アークが長くなり、制御が困難となり、効果的でなくなる。長く、制御が困難で、効果的でないアークは、隣接する組織を損傷する危険性があり、更に外科処置要員に怪我を負わせる原因にもなり得る。したがって、電気外科発生装置に対する最大出力電圧VMaxを一定値として確定し、最大出力電圧値は、組織の高いインピーダンスまたは抵抗の負荷範囲にわたり、負荷曲線172の一定電圧部分200を定める。
【0092】
負荷曲線172の一定電流部分204によって、出力電流が最大出力電流Imaxに制限されることになる。ここで述べる場合、最大出力電流ImaxはRMS電流であるが、瞬時ピーク電流のような他の電流特性を用いることもできる。最大出力電流Imaxは、電気外科発生装置を規制して選択した電力および動作モードで配電させるための最大電流である。このように最大出力電流を制限することにより、組織、特に、負荷範囲206において比較的低いインピーダンスまたは抵抗を有する組織に過剰な電流が流入することによる、過剰で破壊的な組織の損傷を防止する。インピーダンスまたは抵抗が比較的低い組織にエネルギを転送するときに、電流を制限しないと、その組織が激しい損傷を受け、破壊される。また、このように出力電流を制限することにより、選択した電力および動作モードに応じて電気外科効果を制御する。その結果、電気外科発生装置の最大出力電流Imaxを一定値として確定し、最大電流出力値は、組織の低いインピーダンスまたは抵抗の範囲206にわたり、負荷曲線172の一定電流部分204を定める。
【0093】
負荷曲線172の一定電力部分208は、組織のインピーダンスまたは抵抗の中間負荷範囲210にわたって有効である。一定電力部分208は、遭遇した負荷が低負荷範囲206よりも大きく、高負荷範囲202よりも小さいときに、適用することができる。負荷曲線172の一定電力部分208から配電される電力は、選択した最大電力PSelMax212に等しい。これは、セレクタ制御部80によって確定され、電力選択信号82(図1および図16)によって表される。
【0094】
選択した最大電力PSelMax212は、電気外科発生装置の最大電力出力能力を超過することはできない。電気外科発生装置の最大出力電力能力は、214における値によって示される。電気外科発生装置214の最大電力出力能力は、一定電圧部分200および一定電流部分204の延長線の交点よりも小さい値であり、所与の動作モード(図1)に対してセレクタ制御部80が選択することができる最大出力電力よりも大きい値である。出力電力に選択する値を小さくする程、一定電圧負荷範囲202および一定電流負荷範囲206が縮小し、その結果、一定電力負荷範囲210が拡大する。逆に、出力電力に選択する値を大きくする程、一定電圧負荷範囲202が拡大し、一定電流負荷範囲206も拡大し、その結果、一定電力出力範囲210が縮小する。
【0095】
図17に示す負荷曲線は、一定電圧部分200の傾き、一定電流部分204の傾き、および選択最大出力電力部分208によって定められる。選択最大出力電力部分208は、選択最大出力電力PSelMax212によって確定する。負荷曲線応答発生器170(図16)は、これら3つの部分を定める数学的アルゴリズムによって、負荷曲線172を確定する。負荷曲線172を確定する数学的アルゴリズムは、負荷曲線応答発生器170(図16)を実現する論理ゲートのアレイによって実行する。図16に示すように、負荷曲線172(図17)を定める最大値よび選択最大値VMax、Imax、およびPSelMaxは、負荷曲線応答発生器170から信号スケーラ174および176に供給される。
【0096】
RMS電圧信号156を調整電力信号180に変換するために、電圧信号スケーラ174はRMS電圧信号156に倍率(scaling factor) PSelMax/VMaxを乗算する。電力PSelMaxは、負荷曲線172(図17)の一定電力部分208の212において選択した最大電力を表す。電圧VMaxは、負荷曲線172(図17)の最大一定電圧部分200の一定電圧を表す。調整電力信号180は、VRMSの値に対して配電される電力を表す。
【0097】
RMS電流信号158を調整電力信号182に変換するために、電流信号スケーラ176は、RMS電流信号158に倍率PSelMax/IMaxを乗算する。この場合も、電力PSelMaxは、負荷曲線172(図17)の一定電力部分208の212において選択した最大電力を表す。電流Imaxは、負荷曲線172(図17)の一定電流部分204の最大一定電流を表す。調整電力信号182は、IRMSの値に対して配電される電力を表す。
【0098】
RMS電力信号160は、実際には、調整電力信号184である。したがって、平均電力信号スケーラ178は、RMS電力信号160に1の倍率を乗算して、調整電力信号184を求める。調整電力信号184は、配電される電力を表す。
【0099】
調整電力出力信号180、182および184、ならびに負荷曲線応答発生器170からの負荷曲線信号173は、フィードバック信号セレクタ173に供給される。これに応答して、フィードバック信号セレクタ186は、数学的アルゴリズムを実行して、3つの調整電力信号180、182および184の大きさを比較し、これらの3つの信号から最大の信号を選択し、フィードバック信号188として供給する。これらの調整電力信号の内最大の信号が、負荷曲線172が表す値を超過しない場合、調整フィードバック信号188は、共振回路49に配電される電力の増大をもたらし、電気外科出力信号22(図1)の電力が増大する。逆に、3つの調整信号180、182または184の1つが、負荷曲線172が表す値を超過する場合、最終的なフィードバック信号188は、根本的に、電気外科出力信号の電力量の減少をもたらす。
【0100】
倍率PSelMax/IMaxおよびPSelMax/VMaxの使用は、最終的なフィードバック信号188を発生する方法の1つである。代わりに、倍率PSelMax/VMaxやPSelMax/IMaxを必要とせずに、電圧および電流信号スケーラ174および176が計算した平均電圧および電流RMS値を用いて、直接フィードバック信号を求めることができる。先に論じたように、倍率の各々は、平均RMS電圧または平均RMS電流を、調整電力値に変換する。平均RMS電圧または平均RMS電流値がVMaxまたはImaxをそれぞれ超過する場合、倍率を適用することによって求めた調整電力値180または182は負荷曲線172を超過する。あるいは、平均RMS電圧またはRMS電流が負荷曲線172未満である場合、調整電力値180または182は負荷曲線172未満となる。
【0101】
平均RMS電圧がVMaxを超過するか否か、平均RMS電流がImaxを超過するか否か、または平均電力がPSelMaxを超過するか否か評価することによって、倍率PSelMax/IMaxおよびPSelMax/VMaxを拠り所としない代わりのフィードバック技法を得ることができる。これらの値の内いずれか1つがそのそれぞれの所定の最大値を超過する場合、電気外科発生装置は、望ましくない過剰電力状態で動作しており、電力出力を減少させなければならない。これらの値全てがそのそれぞれの所定の最大値を超過しない場合、電気外科発生装置は、選択した最大出力電力を配電することができずにいるので、電力を増大させなければならない。係数PSelMax/IMaxおよびPSelMax/VMaxを用いてフィードバック信号188を発生することの利点は、3つの動作変数を基本とする制御システムを実現するためには、1つの基準信号、電力選択信号82、および1つの誤差信号192だけがあればよいことである。
【0102】
3つの調整電力信号180、182および184から最大の信号を選択することにより、負荷曲線172に応じて出力電力が調整されることになる。これは、図17に示す点A〜Fを参照することによって理解することができる。点A〜Fは、電気外科発生装置の異なる出力電力状態を表す。点Aは、負荷曲線172の下にあり、値212で表す所望の電力出力未満の電力出力を表す。3つの調整信号180、182および184をそれぞれスケーラ174、176および178によって発生した後、フィードバック信号セレクタ186(図16)によって、最大の大きさを有する信号180、182または184を、最終フィードバック信号188として選択する。最終フィードバック信号188から発生した誤差信号192によって、切換制御信号77(図1)のオン時間部分が延長され、根本的に電力が増大する結果となる。同様の状況は、図17に示す点BおよびCに関しても存在する。
【0103】
一定電流範囲206内において負荷曲線172の上にある点Dについては、異なる状況が発生する。この場合、電流調整電力信号182(図16)は、最大許容電流値(Imax)よりも大きい。何故なら、点Dにおいて配電される電力は、一定電流部分204よりも大きいからである。点Dは一定電流部分204の上にあるが一定電圧および電力部分200および208の下にあるので、電流信号スケーラ176(図16)において点Dにおける平均RMS電流を倍率PSelMax/IMaxと乗算することにより、得られる値は電圧調整電力信号180および調整電力信号184(図16)の値を超過する。その結果、点Dでは、調整電流信号182(図16)からフィードバック信号188が得られる。最終フィードバック信号188から発生する誤差信号192は、切換制御信号77(図1)のオン時間部分を短縮することによって、出力電力の減少をもたらす。
【0104】
点Eは、一定電力範囲210内にあり、ここでは、電力出力が曲線172の一定電力部分208の上にあるが、一定電圧部分200および一定電流部分204の下にある。これは、負荷曲線172のこれらの部分の破線の延長線で示す通りである。したがって、スケーラ174および176によって適用される倍率PSelMax/VMaxおよびPSelMax/IMaxが、調整信号180および182を、点Eにおける電力を表す、平均電力調整信号184(図16)の値を超過させることはない。これに応じて、フィードバック信号セレクタ186は、平均電力調整信号184を、最大の大きさを有する信号として選択し、この信号をフィードバック信号188として供給する。フィードバック信号188である平均電力調整信号184の大きさは、曲線172の一定電力部分208によって表され、212において選択した電力出力よりも大きい。その結果得られる誤差信号192は、切換制御信号77(図1)のオン時間部分を短縮することにより、出力電力が減少する。
【0105】
点Fに関する状況は点Fが一定電圧負荷範囲202内にあることを除いて、点Dに関する状況と類似する。この場合、調整信号180(図16)は、最大選択電力値212よりも大きくなる。何故なら、点Fにおいて配電される電力は、一定電圧部分200よりも上にあるが、一定電流および電力部分204および208の下にあるからである。これは、負荷曲線172のこれらの部分の点線の延長線によって示される通りである。電圧信号スケーラ174(図16)において点Fにおける値に対応する平均RMS電圧を倍率SelMax/VMa乗算し、その結果は、調整電流信号182の値および調整平均電力信号184(図16)の値を超過する。その結果、点Fでは、電圧調整電力信号180(図16)からフィードバック信号188が得られ、誤差信号192が切換制御信号77(図1)のオン時間部分を短縮することにより、電力出力が減少する。
【0106】
図16に示すフィードバック誤差判定回路190は、減算器として実施する。最大調整電力(PSelMax)の値は、電力選択信号82によって表され、この値からフィードバック信号188を減算する。減算の結果を、誤差信号192として供給する。誤差信号192は、図16では、e1[n]として表されている。
【0107】
図16に示す誤差補償回路194は、伝達関数を実現する(implement)。伝達関数は、離散時間、周波数ドメイン(zドメイン)で、H(z)=C(+a)/(z−1)で表現され、ここでCは比例定数であり、「a」は零点に関連した定数である。離散時間、時間ドメイン式195を伝達関数から導出し、式195を実行する誤差補償回路194に重ね合わせて示す。式e[n]=C(e1[n]+ae1 [n−1])+e[n−1]において、Cおよび「a」は、伝達関数に関連した定数であり、e1は誤差信号192、そしてeは出力制御信号196である補償誤差信号である。
【0108】
出力制御信号196は、駆動パルス幅変調器198に供給される。駆動パルス幅変調器198は、出力制御信号196 e[n]を用いて、e[n]として示す切換制御信号77(図2)を確定または修正する。切換制御信号77としてのe[n]の大きさが、エネルギの次のパルスのオン時間78(または幅)を決定する。これは既に論じた通りである。駆動パルス幅変調器198は、比例係数を出力制御信号196に適用し、切換制御信号77(図2)を発生する。
【0109】
また、駆動パルス幅変調器198は、出力制御信号196 e[n]を、電源制御信号76(図1)を発生または修正する基準として用いることもできる。電源制御信号76は、電流46を共振回路49(図1)に供給する電源70の電圧を調節するために、切換制御信号77に加えて、または場合によっては、切換制御信号77(図2)の代わりとして用いることができる。
【0110】
ゲート・アレイ出力コントローラ66の別の形態を図18に示す。図18に示す出力コントローラ66は、図16に示した出力コントローラの代替である。図18に示す出力コントローラ66は、負荷曲線172(図17)の一定電圧および一定電流負荷領域202および206において規制するときに、制御ループ利得応答を最適化することができるという便益がある。負荷曲線(図17)の一定電圧、一定電流および一定電力部分200、204および208において規制する場合、最適な応答を得るためには、通例、異なる度合いの減衰が必要であることが分かっている。図18に示す出力コントローラは、減衰の異なる度合いと調和するために、出力負荷曲線172(図17)のつの区域200、204および208全てにおいて異なる利得量を与える機能を有する。
【0111】
RMS電圧信号(VRMS)156、RMS電流信号(IRMS)158、および計算した実電力平均信号(PAve)160を、出力値計算器64(図5)から供給する。ゲート・アレイ負荷曲線応答発生器170は、負荷曲線172(図17)を定め特徴付ける数学的値を収容する負荷曲線信号173を供給する。これらの数学的値は、負荷曲線172(図17)の最大一定電圧部分200における最大出力電圧VMaxを表す信号220、負荷曲線172(図17)の一定電流部分204における最大出力電流Imaxを表す信号222、および負荷曲線172(図17)の一定電流部分208において選択した最大電力PSelMax212を表す信号224を含む。
【0112】
信号対156、220と、158、222と、160、224は、それぞれ、誤差判定減算器226、228および230に供給される。信号220、222および224は、それぞれ、減算器226、228および230の負入力端子に印加あれ、一方RMS電圧信号156、RMS電流信号158、および実電力平均信号160は、それぞれ、減算器226、228および230の負入力端子に印加される。減算器226、228および230の各々は、負端子における値を、正端子における値から減算し、その結果をそれぞれ誤差信号232、234および236として供給する。
【0113】
前述のように数学的に値を減算するように減算器を構成することにより、信号156、158または168の1つが、負荷曲線の一定電圧、一定電流および一定電力部分における最大電圧、最大電流、または選択電力を超過するときにはいつでも、減算器226、228および230から供給される誤差信号の値は負となる。つまり、減算器226、228または230のいずれからの負誤差信号232、234または236も、それぞれ、負荷曲線(図17)の一定電圧200、一定電流204および一定電力部分208の1つにおいて、過剰な電力が配電されたことを示し、正の誤差信号232、234または236は、選択された電力量未満が配電されることを示す。
【0114】
負荷曲線の一定電圧および一定電流部分において規制する場合、最適な応答には異なる利得が望まれるので、238および240において誤差信号232および234を数学的に乗数KおよびKと乗算することにより、誤差信号232および234の値を増加または減少させる。乗算から得られる修正誤差信号が、242および244に発生する。修正誤差信号242および244は、負荷曲線172(図17)の一定電圧および一定電流部分において、システムの制御安定性を高めるために用いられる。
【0115】
信号82によって表される最大選択出力電力、および信号83によって表される選択動作モードに関して、修正値KおよびKを調節する。修正値KおよびKに対する調節は、特定の最大出力電力およびモード選択によって確定する負荷曲線172(図17)の特性に基づく。修正値KおよびKを調節して修正誤差信号242および244を得ることによって、選択した最大電力および選択した動作モードに応じて、負荷曲線172の一定電圧および一定電力領域における最大の効果が得られる。
【0116】
修正誤差信号242および244ならびに誤差信号236をゲート・アレイ誤差信号セレクタ246に印加する。誤差信号セレクタ246は、信号242、244または236の内、最大の負の値を有する信号を選択し、その信号を誤差信号192として供給する。既に説明したように、減算器226、228および230からの負の信号は、負荷曲線に対する電力の過剰を示し、負の値が大きい程、過剰な電力が多いことを示す。したがって、誤差信号セレクタ246が選択する最大の負信号は、最大の誤差信号192を表し、この最大誤差信号192を、過剰電力配電の状況における規制に用いればよい。最大の負信号242、244または236を用いることにより、最も迅速に過剰電力出力の減少を達成する。何故なら、誤差補償器194よび駆動パルス幅変調器198は最大量の誤差に基づいて出力電力を減少させるからである。
【0117】
一方、既に説明したように、減算器226、228および230からの正の信号は、負荷曲線に対する電力の不足を示す。誤差信号セレクタ246がこれらの正の信号の内最も負側の信号を選択すると、正の信号の内最低の正信号が選択される。この最低の正信号を誤差信号192として誤差補償器194に印加し、出力制御信号196によって、パルス幅変調器198は、選択された最低の正誤差信号が負荷曲線の値と一致するまで、電気外科発生装置の出力電力を増大させる。その後、残っている誤差信号の内、2番目に最低の正誤差信号に関して同じプロセスを行う。このように、正の誤差信号242、244および236の3つ全てが負荷曲線と一致するまで、出力電力を連続的に増加する方向に調節する。これらの状態において、最も負側(最低の正)の信号242、244または236を選誤差信号292として選択することにより、電力増大を遂行するが、オーバーシュートを防止するために、増大率を低下または平滑にする。誤差信号セレクタ246と関連するロジックが作用するのは、負荷曲線172(図17)が下向きに凹状となっているからである。
【0118】
選択した誤差信号192を誤差補償回路194に印加し、図16において既に説明したのと同様に、式195にしたがって数学的に操作する。同様に、誤差補償回路194からの出力制御信号196を駆動パルス幅変調器198に印加し、駆動パルス幅変調器198は、比例係数を適用して、図16に関して説明したのと同様に、出力制御信号を発生する。駆動パルス幅変調器198は、切換制御信号77を確定または修正して、次のエネルギ・パルスのオン時間78(即ち、幅)を決定する。これも既に論じた通りである。また、駆動パルス幅変調器198は、既に説明したように、電源70(図1)と同様に、電源制御信号76を供給して電源70(図1)を制御することもできる。
【0119】
出力コントローラ66の双方の形態(図1図16および図18)の全ての構成要素および機能性は、論理ゲートのアレイで実施することが好ましい。図16よび図18に関連付けて説明した誤差測定および選択の技法は、実施可能な多くの技法の中の2つである。各制限切換においてS曲線数学的関数を用いて一方の限度から他方の限度までのフェーディング(fading)というような他の技法も可能である。しかしながら、説明した技法は、論理ゲートのアレイにプログラムした数学的アルゴリズムを実行することによって実施する場合、非常に迅速な制御を達成する。
【0120】
電気外科発生装置の出力電力は、既に論じたように、多くの異なる判断基準に応じて調節することができる。出力電力を調節する別の方法では、ゲート・アレイ駆動電圧変調器(図示せず)が出力制御信号196 e[n]を低インピーダンス電圧源信号e3Voltage[n]に変換し、スイッチ72(図1)を形成するバイポーラ接合型トランジスタ(図示せず)のベースに供給することにより、バイポーラ接合型トランジスタにバイアスをかける。バイポーラ接合型トランジスタに供給するバイアス量は、このバイポーラ接合型トランジスタを通じて共振回路49(図1)に導通する電流46の量に作用することにより、出力電力を増大させる。
【0121】
本発明の便益の1つは、図1に示す状況である、出力電力変圧器36の二次巻線40にセンサを接続することなく、フィードバック電力制御のために、出力電圧23および出力電流24を精度高くシミュレートすることである。代わりに、一次巻線38から得られる信号から出力電圧23および出力電流を精度高くそして信頼性高くシミュレートすることにより、センサによって形成される出力信号に対する悪影響を完全に回避する。一次巻線から得られる信号を用いるシミュレーションによって、二次巻線40に接続されるセンサによって生ずる更に別の歪みを招くことなく、出力変圧器36によって誘起される歪みを補正する。出力変圧器の二次巻線に出力電圧および電流センサを接続すると、電気外科出力信号の品質を低下させるという影響があり、更に漏れ電流が増大し、電気外科処置に用いるために利用可能な電力が減少するという影響もある。しかしながら、一次巻線から得られる信号からの出力電圧23および出力電流24のシミュレーションが望ましくないまたはこれを用いない場合では、図19に示す電気外科発生装置250の場合のように、検知信号の精度を高めるためには、シミュレーションはなおも有用である。シミュレーションは、出力電圧および出力電流センサが招く歪みを低減または解消する。このようなセンサは、通例、検知変圧器であり、その歪みは、前述のシミュレーション・アルゴリズムの使用によって本質的に解消することができる。論理ゲート・コントローラ21および本発明のその他の形態は、この種の電気外科発生装置250にも等しく適用することができる。
【0122】
図19に示す電気外科発生装置250は一次電圧44および一次電流46を検知することによって出力電圧23および出力電流24をシミュレートしないことを除いて、図1に示す電気外科発生装置20に関して説明した論理ゲート・コントローラ21および同じ構成要素の多くを用いる。代わりに、電気外科発生装置250は、出力電圧センサ252および出力電流センサ254を用いて、出力電圧23および出力電流24を直接検知する。出力電圧センサ252は、二次巻線40に並列に接続されており、出力電流センサ254は、二次巻線40からの導体28に直列に接続されている。電圧センサ252は、変圧器256を用いて、レベルが低い電圧検知信号258を生成する。同様に、出力電流センサ254は、変圧器260を用いて、出力電流24を表す電流検知信号262を発生する。
【0123】
電圧検知信号258および電流検知信号262は、直接システム・コントローラ21に供給される。変圧器256および260双方共、出力変圧器36に作用する高周波高電圧の多くを受けるので、これらの影響は、実際の変圧器が発生する固有の歪みと組み合わさって、検知信号258および262の実際の特性を理想の変圧器の特性から逸脱させる。これらの歪みに対処するために、電圧および電流検知信号258および262を、制御システム21の出力信号シミュレータ60に供給し、出力電圧23および出力電流24を精度高くそして正しく表す、シミュレーション出力検知信号を求める。出力信号シミュレータ60は、変圧器256および260が誘起する歪みを補正する。したがって、センサ252および254からのシミュレーション出力電圧および電流信号258および262は、精度高く出力電圧23および出力電流24を表すので、高電圧および高周波信号を精度高く導出し素早く利用しなければならない、非常に求められている電気外科環境において電気外科発生装置250が、その挙動を改善して動作する機会が増えることになる。
【0124】
本発明は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のような、プログラマブル論理ゲートのアレイの有効使用によって、電気外科発生装置のための非常に効果的な閉ループ・フィードバック制御システムを得る。論理ゲートは、信号を素早く処理することができる。論理ゲートは、信号を処理することができる速度のために、電気外科出力電圧および電流信号の導出および数学的操作をほぼ瞬時的に可能にする。ほぼ瞬時的な計算により、制御システムは、出力電力、RMS出力電流、RMS出力電圧、および見かけ上の出力電力というような、出力信号22の少なくとも1つのパラメータを、ほぼ瞬時的に計算し規制することができる。実電力に基づく規制は、ゲート・アレイを用いない実現例によって試す場合、これよりも遥かに複雑で計算集約的となり、システム応答時間も非常に遅くなる。論理ゲート・アレイは、電力、電圧、電流、および電気外科処置の間にこれらの値に関係するその他のパラメータを、制御システムの他の実現例と比較すると、一層精度高く制御し規制する。
【0125】
本発明の派生や改良を完全に認めることができれば、これらおよびその他の改良や利点の重要性は明白となろう。説明の詳細は、発明の実施する際の好ましい例である。説明の詳細は、発明の範囲を限定することを必ずしも意図しているのではない。発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0126】
図1図1は、本発明を組み込んだ電気外科発生装置のブロック図である。
図2図2は、図1に示す電気外科発生装置の制御システムが発生する切換制御信号を示す波形図である。
図3図3は、図2に示す信号と共に、共通時間軸上で、図1に示す電気外科発生装置が発生する電気外科出力信号を示す波形図である。
図4図4は、図2および図3に示す信号と共に、図1に示す電気外科発生装置が発生する電気外科出力信号を示す波形図である。
図5図5は、図1に示す電気外科発生装置の制御システムのアナログディジタル回路、出力信号シミュレータ、ならびに出力値計算器を示すブロック図である。
図6図6は、図1に示す電気外科発生装置の出力電圧、出力電流、出力電力、および累積出力電力の、測定される波形例を示すグラフである。
図7図7は、図5に示す出力信号シミュレータが実行するシミュレーション・アルゴリズムを得るために用いる、図1に示す電気外科発生装置の出力回路の集中パラメータ等価回路である。
図8図8は、図7に示す等価回路からシミュレーション・アルゴリズムを決定する際に用いる式を示す。
図9図9は、図7に示す等価回路からシミュレーション・アルゴリズムを決定する際に用いる式を示す。
図10図10は、図7に示す等価回路からシミュレーション・アルゴリズムを決定する際に用いる式を示す。
図11図11は、図5に示す出力信号シミュレータが実行するシミュレーション・アルゴリズムを得るための反復数値比較に用いる分析モデルを示すブロック図である。
図12図12は、図11に示す分析モデルから、シミュレーション・アルゴリズムを決定する際に用いる式を示す。
図13図13は、図11に示す分析モデルから、シミュレーション・アルゴリズムを決定する際に用いる式を示す。
図14図14は、図11に示す分析モデルから、シミュレーション・アルゴリズムを決定する際に用いる式を示す。
図15図15は、図11に示す分析モデルから、シミュレーション・アルゴリズムを決定する際に用いる式を示す。
図16図16は、図1に示す電気外科発生装置の制御システムの出力コントローラのブロック図である。
図17図17は、図16に示す出力コントローラの出力コントローラの負荷曲線応答発生器が発生する負荷曲線のグラフである。
図18図18は、図16に示す出力コントローラの代替形態のブロック図である。
図19図19は、本発明を組み込んだ別の電気外科発生装置のブロック図である。
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