【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成23年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究「低炭素社会を実現する超低電圧デバイスプロジェクト」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【文献】
Xing J. Zhou、外4名,Characterization of Contact Module Failure Mechanisms for SOI Technology using E-beam Inspection and In-line TEM,Advanced Semiconductor Manufacturing Conference (ASMC), 2010 IEEE/SEMI [ONLINE],IEEE,2010年 8月19日,p.270−276,[DL from IEEE Xplore]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0016】
また、本願でいうSOI基板とは、半導体基板からなる支持基板と、支持基板上の埋込酸化膜であるBOX(Buried Oxide)膜と、BOX膜上の半導体層であるシリコン膜(SOI層)とからなる積層構造を有する基板をいう。また、半導体ウエハ内においてそのような積層構造を有する領域をSOI領域と呼ぶ。
【0017】
また、本願でいうバルク領域とは、半導体ウエハ内において支持基板である半導体基板が上記BOX膜およびシリコン膜から露出している領域である。SOI基板を含む半導体ウエハは、SOI領域とバルク領域を包含している場合がある。ここでは、バルク領域においてBOX膜から露出する支持基板を、バルクシリコン基板と呼ぶ場合がある。
【0018】
また、本願では、半導体ウエハを構成する領域のうち、ダイシング工程により個片化されて半導体チップとなる領域をチップ領域と呼び、半導体ウエハにおいてマトリクス状に並ぶチップ領域同士の間の領域を、スクライブラインまたはスクライブ領域と呼ぶ。なお、チップ領域内に、ダイシング工程において切削されず、半導体チップに残るスクライブ領域が形成されていてもよい。
【0019】
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置は、VC検査でコンタクトプラグの検査に用いるTEGに関するものである。VC検査は、例えば半導体基板に接続されたコンタクトプラグに電子線を照射することで、コンタクトプラグの形成不良、つまり基板リーク不良の有無を検査するものである。基板リーク不良とは、コンタクトプラグを形成した場合に、コンタクトプラグの形成工程における金属膜の埋め込み不良などに起因して、コンタクトプラグと半導体基板との接続が十分に確保されない不良をいう。
【0020】
半導体基板に対して正常に接続されたコンタクトプラグに対し、VC検査において電子線を照射した際、コンタクトプラグには正の電荷が帯電するため、半導体基板内の電子がコンタクトプラグへ流れて放出される。このときコンタクトプラグは光を発するため、この光を検知することで、コンタクトプラグが基板に対して正常に接続されていることが確認できる。
【0021】
これに対して、半導体基板に正常に接続されていないコンタクトプラグに電子線を照射しても、半導体基板内の電子はコンタクトプラグへ流れないため、コンタクトプラグは発光しない。よって、VC検査では発光しないコンタクトプラグを検知することで、コンタクトプラグの接続不良、つまり形成不良を検出することができる。コンタクトプラグの導通・非導通の判別は、例えば検査時のコンタクトプラグを撮影した画像を視認することで、発光している正常なコンタクトプラグの発光(明部)と、発光していない非導通のコンタクトプラグ(暗部)とのコントラストを見て行う。
【0022】
コンタクトプラグの不良を発見した場合、不良が発見された半導体ウエハを用いた製造を中止することで、不良を有する製品を製造することを防ぐことができ、また、検査結果をその後の製造工程にフィードバックすることで、不良の発生を防ぐことができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0023】
本実施の形態は、半導体ウエハのチップ領域のSOI基板上にSRAMを形成し、かつ、半導体ウエハのスクライブ領域のバルクシリコン基板上に、コンタクトプラグが接続されたSRAM構造のTEGを形成する特徴を有し、これにより、半導体装置の信頼性を向上させるものである。以下に、
図1〜
図6を用いて、本実施の形態の半導体装置の構造を説明する。
図1は、本実施の形態の半導体装置を含む半導体ウエハの平面図である。
図2は
図1の一部を拡大して示す平面図である。また、
図4および
図5は、
図2の一部を拡大して示す平面レイアウトである。
図3は、本実施の形態のSRAMの等価回路図である。
図6は、
図4のA−A線における断面と、
図5のB−B線における断面とを含む断面図である。
【0024】
図1に、本実施の形態の半導体装置を含む半導体ウエハWFの平面図を示す。
図1に示すように、平面視において円形の形状を有する半導体ウエハWFの主面には、半導体ウエハWFの主面に沿うy方向と、半導体ウエハWFの主面に沿いy方向に直交するx方向とのそれぞれに延在する複数のスクライブラインSLが形成されている。y方向に延在するスクライブラインSLは、x方向に複数並んで配置され、x方向に延在するスクライブラインSLは、y方向に複数並んで配置されている。つまり、複数のスクライブラインSLは格子状に配置されている。
【0025】
半導体ウエハWFの主面には、スクライブラインSLにより区切られてマトリクス状に配置された複数のチップ領域CPが存在している。y方向およびx方向に並ぶ複数のチップ領域CPのそれぞれは、平面視において矩形の形状を有している。つまり、チップ領域CPは、半導体ウエハWFの主面においてスクライブラインSLに囲まれた領域である。ここで、半導体ウエハWFは、支持基板と、支持基板上のBOX膜と、BOX膜上のシリコン層とを含むSOI領域を有している。
【0026】
次に、
図2にチップ領域CPの周辺の領域を拡大した平面図を示す。
図2に示すように、複数のチップ領域CPはアレイ状に並んで配置されており、y方向およびx方向において隣り合うチップ領域CP同士の間はスクライブラインSLにより区切られている。スクライブラインSL、つまりスクライブ領域は、半導体チップの形成工程中のダイシング工程において、ダイシングブレードにより切削される領域である。チップ領域CPは、ダイシング工程により個片化されて半導体チップとなる領域であり、製品に残る領域である。
【0027】
チップ領域CP内の一部には、記憶素子として使用されるSRAMが形成された領域であるSRAM領域1Rがある。SRAMは一時的に情報を記憶するための揮発性メモリであり、複数のトランジスタを組み合わせたフリップフロップ回路により構成されている。SRAMは4個または6個のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を含む場合があり、本実施の形態では6個のMOSFETを含むSRAMについて説明する。ただし、SRAM領域1Rに4個のMOSFETを含むSRAMを形成する場合であっても、本実施の形態のTEGを適用することができる。後述する本実施の形態のTEGはスクライブラインSLに形成されている。
【0028】
以下では、SRAMについて説明する。まず、SRAMを構成する1個のメモリセルMCの等価回路を
図3に示す。
図3に示すように、このメモリセルMCは、一対の相補性データ線であるデータ線DL1およびデータ線DL2、つまり一対のビット線と、ワード線WL1との交差部に配置され、駆動用トランジスタ、負荷用トランジスタおよび転送用トランジスタを含んでいる。つまり、SRAMのメモリセルMCは一対の駆動用MOSFETQD1、QD2、一対の負荷用MOSFETQP1、QP2および一対の転送用MOSFETQT1、QT2により構成されている。駆動用MOSFETQD1、QD2および転送用MOSFETQT1、QT2はnチャネル型MOSFETにより構成され、負荷用MOSFETQP1、QP2はpチャネル型MOSFETにより構成されている。
【0029】
メモリセルMCを構成する上記6個のMOSFETのうち、駆動用MOSFETQD1および負荷用MOSFETQP1は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)インバータINV1を構成し、駆動用MOSFETQD2および負荷用MOSFETQP2は、CMOSインバータINV2を構成している。これら一対のCMOSインバータINV1、INV2の相互の入出力端子である蓄積ノードA、Bは、交差結合され、1ビットの情報を記憶する情報蓄積部としてのフリップフロップ回路を構成している。また、このフリップフロップ回路の一方の入出力端子である蓄積ノードAは、転送用MOSFETQT1のソース・ドレイン領域のうちの一方に接続され、他方の入出力端子である蓄積ノードBは、転送用MOSFETQT2のソース・ドレイン領域のうちの一方に接続されている。
【0030】
さらに、転送用MOSFETQT1のソース・ドレイン領域の他方はデータ線DL1に接続され、転送用MOSFETQT2のソース・ドレイン領域の他方はデータ線DL2に接続されている。また、フリップフロップ回路の一端、つまり負荷用MOSFETQP1、QP2の各ソース領域は電源電圧Vddに接続され、他端、つまり駆動用MOSFETQD1、QD2の各ソース領域は基準電圧Vssに接続されている。
【0031】
上記回路の動作を説明すると、一方のCMOSインバータINV1の蓄積ノードAが高電位(H)であるときには、駆動用MOSFETQD2がONになるので、他方のCMOSインバータINV2の蓄積ノードBが低電位(L)になる。したがって、駆動用MOSFETQD1がOFFになり、蓄積ノードAの高電位(H)が保持される。すなわち、一対のCMOSインバータINV1、INV2を交差結合させたラッチ回路によって相互の蓄積ノードA、Bの状態が保持され、電源電圧が印加されている間、情報が保存される。
【0032】
転送用MOSFETQT1、QT2のそれぞれのゲート電極にはワード線WL1が接続され、このワード線WL1によって転送用MOSFETQT1、QT2の導通、非導通が制御される。すなわち、ワード線WL1が高電位(H)であるときには、転送用MOSFETQT1、QT2がONになり、ラッチ回路と相補性データ線(データ線DL1、DL2)とが電気的に接続されるので、蓄積ノードA、Bの電位状態(HまたはL)がデータ線DL1、DL2に現れ、メモリセルMCの情報として読み出される。
【0033】
読み出し動作において、転送用MOSFETQT1ではデータ線DL1から蓄積ノードAに電流が流れ、転送用MOSFETQT2ではデータ線DL2から蓄積ノードBに電流が流れる。つまり、読み出し時において、転送用MOSFETQT1、QT2のそれぞれの活性領域は、蓄積ノードA、B側がソース領域となり、データ線DL1、DL2側がドレイン領域となる。
【0034】
メモリセルMCに情報を書き込むには、ワード線WL1を(H)電位レベル、転送用MOSFETQT1、QT2をON状態にしてデータ線DL1、DL2の情報を蓄積ノードA、Bに伝達する。この書き込み動作において、転送用MOSFETQT1では蓄積ノードAからデータ線DL1に電流が流れ、転送用MOSFETQT2では蓄積ノードBからデータ線DL2に電流が流れる。つまり、書き込み時において、転送用MOSFETQT1、QT2のそれぞれの活性領域は、データ線DL1、DL2側がソース領域となり、蓄積ノードA、B側がドレイン領域となる。以上のようにして、SRAMを動作させることができる。
【0035】
次に、本実施の形態におけるSRAMのレイアウト構成について説明する。ここで、
図4に、SRAM領域1R(
図2参照)に形成されたSRAMを構成する1個のメモリセルMC1、つまり第1メモリセルの平面レイアウトを示す。SRAMのメモリセルMC1は、SOI基板(図示しない)上に形成された一対の駆動用MOSFETQD1、QD2、一対の負荷用MOSFETQP1、QP2および一対の転送用MOSFETQT1、QT2の6つの電界効果トランジスタから構成されている。
【0036】
なお、ここでは1個のメモリセルMC1と、その隣りのメモリセルMC1(図示しない)との境界を、二点鎖線により区切って示している。
図4において他のメモリセルMC1の図示は省略しているが、y方向またはx方向において隣り合うメモリセルMC1同士は、当該二点鎖線を軸として線対称なレイアウトを有している。
【0037】
一対の駆動用MOSFETQD1、QD2および一対の転送用MOSFETQT1、QT2は、nチャネル型MOSFETにより構成され、一対の負荷用MOSFETQP1、QP2はpチャネル型MOSFETにより構成されている。
【0038】
SOI基板上部の半導体層は、素子分離領域(図示しない)により複数の活性領域AN1、AN2、AP1およびAP2に区画されている。つまり、活性領域AN1、AN2、AP1およびAP2の周囲は素子分離領域により囲まれており、これらの活性領域のレイアウトは素子分離領域により規定されている。y方向に延在する複数の活性領域AN1、AN2、AP1およびAP2は、x方向に並んで配置されている。活性領域AN1、AN2、AP1およびAP2は、
図6に示すチップ領域1AのSOI層S1により構成されており、支持基板である半導体基板SB(
図6参照)は、
図4に示す各MOSFETの下にBOX膜BX(
図6参照)を介して形成されている。
【0039】
図4に示すように、nチャネル型MOSFETが上部に形成された活性領域AN1およびAN2では、活性領域AN1内およびAN2内にP(リン)またはAs(ヒ素)などのn型不純物を導入することによりソース領域およびドレイン領域が形成されている。そして、ソース領域とドレイン領域との間の活性領域AN1上およびAN2上にゲート絶縁膜(図示しない)を介してゲート電極G1が形成されている。
【0040】
ゲート電極G1は、活性領域AN1、AN2、AP1およびAP2のそれぞれが延在するy方向に交差するx方向に延在している。活性領域AN1上およびAN2上に形成されたゲート電極G1と、当該ゲート電極G1を挟むように活性領域AN1内およびAN2内のそれぞれに形成されたソース・ドレイン領域とによりnチャネル型MOSFETが構成されている。同様に、活性領域AP1上およびAP2上に形成されたゲート電極G1と、当該ゲート電極G1を挟むように活性領域AP1内およびAP2内のそれぞれに形成されたソース・ドレイン領域によりpチャネル型MOSFETが形成されている。
【0041】
SRAMのメモリセルMC1において、活性領域AN1に形成されているソース領域およびドレイン領域と1本のゲート電極G1とにより、駆動用MOSFETQD1が形成されている。また、活性領域AN1に形成されているソース領域およびドレイン領域と他の1本のゲート電極G1とにより、転送用MOSFETQT1が形成されている。つまり、駆動用MOSFETQD1および転送用MOSFETQT1とは同一の活性領域AN1上に形成されている。同様に、活性領域AN2に形成されているソース領域およびドレイン領域とゲート電極G1とにより、駆動用MOSFETQD2および転送用MOSFETQT2が同一の活性領域AN2上に形成されている。
【0042】
また、活性領域AP1に形成されているソース領域およびドレイン領域とゲート電極G1により、負荷用MOSFETQP1が形成されている。同様に、活性領域AP2に形成されているソース領域およびドレイン領域とゲート電極G1により、負荷MOSFETQP2が形成されている。
【0043】
pチャネル型MOSFETである負荷用MOSFETQP1、QP2においては、ゲート電極G1内にB(ホウ素)などのp型不純物が導入されており、nチャネル型MOSFETである転送用MOSFETQT1、QT2、駆動用MOSFETQD1およびQD2においては、ゲート電極G1内にP(リン)またはAs(ヒ素)などのn型不純物が導入されている。つまり、活性領域AP1上およびAP2上のゲート電極G1内にはB(ホウ素)などのp型不純物が導入されており、活性領域AN1上およびAN2上のゲート電極G1内には、P(リン)またはAs(ヒ素)などのn型不純物が導入されている。
【0044】
ここで、
図4に示すメモリセルMC1に対して隣り合うメモリセルMC1の図示は省略しているが、x方向において隣り合うメモリセルMC1同士は、転送用MOSFETQT1またはQT2を構成するゲート電極G1を共有している。また、y方向において隣り合うメモリセルMC1同士は、活性領域AN1、AN2を共有しており、さらに活性領域AP1またはAP2を共有している。なお、活性領域AN1、AN2はx方向、つまりゲート幅方向において、活性領域AP1、AP2よりも広い幅を有している。
【0045】
活性領域AN1、AN2、AP1、AP2およびゲート電極G1にはコンタクトプラグCP1が接続されている。活性領域AP1、AP2は、それぞれのy方向の端部においてコンタクトプラグCP1によりゲート電極G1と電気的に接続されている。つまり、ゲート電極G1と活性領域AP1またはAP2とを接続するコンタクトプラグCP1は、シェアードコンタクトプラグである。すなわち、このシェアードコンタクトプラグは、ゲート電極G1と活性領域AP1またはAP2とに跨るように配置されている。
【0046】
以上では、
図2に示すチップ領域CP内のSRAM領域1R内に形成されたSRAMの構成について説明した。次に、スクライブラインSLのTEG領域に形成されたSRAM構造を有するTEGについて、
図5を用いて説明する。
図5は、本実施の形態の半導体装置のTEGであるSRAMを示す平面レイアウトである。
【0047】
図5に示すSRAMの素子構造は
図4に示した構造と同様である。つまり、
図5にはTEG領域においてSRAMを構成するメモリセルMC2、つまり第2メモリセルを示している。また、活性領域AN1、AN2、AP1、AP2およびゲート電極G1には、コンタクトプラグCP2が接続されている。ただし、
図4を用いて説明したSRAMはSOI基板上に形成されているのに対し、
図5に示すSRAMはバルクシリコン基板上に形成されている。
【0048】
つまり、チップ領域CP(
図2参照)内に形成されたSRAMはSOI基板上に形成されているが、スクライブラインSL(
図2参照)に形成されたTEGであるSRAMは、SOI層およびBOX膜から露出する半導体基板上に形成されている。すなわち、スクライブラインSLのSRAMを構成する活性領域AN1、AN2、AP1およびAP2(
図5参照)は、
図6に示すTEG領域1Bの半導体基板SB内の上部の半導体領域により構成されており、TEG領域にはBOX膜BXおよびSOI層S1(
図6参照)は形成されていない。
【0049】
以下では、
図6を用いて、チップ領域1AとTEG領域1BのそれぞれのSRAMの違いについて、断面図を用いて説明する。
図6の左側には、
図4のA−A線における断面図を示し、
図6の右側には、
図5のB−B線における断面図を示す。つまり、
図6の左側に半導体ウエハのチップ領域1A、つまり第1領域を示し、
図6の右側に半導体ウエハのTEG領域1B、つまり第2領域を示す。言い換えれば、
図6に示す半導体基板SBは、その主面において並ぶチップ領域1AおよびTEG領域1Bを有している。A−A線およびB−B線はいずれもSRAMを構成するMOSFETのアクティブ領域に接続されたコンタクトプラグを横切る線である。
【0050】
図6に示すように、本実施の形態の半導体装置は、支持基板である半導体基板SB、半導体基板SB上のBOX膜BX、およびBOX膜BX上の半導体層であるSOI層S1からなるSOI基板を有している。半導体基板SBは例えば500μm〜700μm程度の厚さを有し、例えば750Ωcm以上の高い抵抗を有する単結晶シリコン基板である。BOX膜BXは例えば酸化シリコン膜からなり、その膜厚は50nm以下である。ここでは、BOX膜の膜厚は10nmである。SOI層S1は例えば1〜10Ωcm程度の抵抗を有する単結晶シリコンからなる半導体層である。SOI層S1の膜厚は例えば20nmであり、半導体基板SBの膜厚と比べて非常に小さい。
【0051】
図4に示す負荷用MOSFETQP2のゲート電極G1の直下のSOI層、つまりシリコン層は各MOSFETの駆動時に電流が流れるチャネル領域であり、当該チャネル領域を挟むように、ゲート電極G1の横のSOI層内には一対のソース・ドレイン領域が形成されている。一対のソース・ドレイン領域のそれぞれは、n型の半導体層であり比較的不純物濃度が低いエクステンション領域と、n型の半導体層でありエクステンション領域よりも不純物濃度が高い拡散層とを有している。MOSFETの断面構造については、
図9を用いて後述する。
【0052】
図6のチップ領域1AにおけるSOI層S1内には、負荷用MOSFETQP2(
図4参照)の一対のソース・ドレイン領域のうちの一方を構成する拡散層D1が形成されている。同様に、
図6のTEG領域1Bにおけるバルクシリコン基板である半導体基板SB内の上部には、負荷用MOSFETQP2(
図5参照)の一対のソース・ドレイン領域のうちの一方を構成するp型の拡散層D1が形成されている。拡散層D1にはp型の不純物(例えばB(ホウ素))が打ち込まれている。拡散層D1が形成されているのは、
図4および
図5に示す活性領域AP1、AP2のそれぞれの内部である。
【0053】
また、
図4および
図5に示す活性領域AN1、AN2のそれぞれの内部には、拡散層D2(
図6参照)が形成されている。
図6に示すチップ領域1Aの拡散層D2は、SOI層S1内にn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))を打ち込んで形成したn型の半導体層である。また、TEG領域1Bの拡散層D2は、半導体基板SB内にn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))を打ち込んで形成したn型の半導体層である。拡散層D2は駆動用MOSFETQD2のソース・ドレイン領域を構成しており、このソース・ドレイン領域は、n型のエクステンション領域(図示しない)を有している。
【0054】
なお、
図4および
図5に示す負荷用MOSFETQP1は、ゲート電極G1の横の両側の活性領域AP1内のそれぞれに拡散層D1を有している。同様に、負荷用MOSFETQP2は、ゲート電極G1の横の両側の活性領域AP2内のそれぞれに拡散層D1を有している。
【0055】
また、
図4および
図5に示す駆動用MOSFETQD1および転送用MOSFETQT1は、ゲート電極G1の横の両側の活性領域AN1内のそれぞれに拡散層D2を有している。同様に、駆動用MOSFETQD2および転送用MOSFETQT2は、ゲート電極G1の横の両側の活性領域AN2内のそれぞれに拡散層D2を有している。
【0056】
図6に示すように、チップ領域1AとTEG領域1Bのそれぞれにおいて、拡散層D1と拡散層D2とは素子分離領域STIにより分離されている。チップ領域1Aにおいて、素子分離領域STIはSOI層S1の上面から半導体基板SBの途中深さまで達している。TEG領域1Bにおいて、素子分離領域STIは半導体基板SBの上面から半導体基板SBの途中深さまで達している。
【0057】
なお、図示はしていないが、チップ領域1AのSOI層S1上およびTEG領域1Bの半導体基板SB上には、エピタキシャル成長法により積上げられたエピタキシャル層が形成されていてもよい。エピタキシャル層内にも、高濃度のn型不純物またはp型不純物が打ち込まれて、拡散層D1または拡散層D2が形成される。また、各拡散層D1、D2の上面およびゲート電極(図示しない)の上面にはシリサイド層SCが形成されている。シリサイド層SCは例えばCoSi(コバルトシリサイド)からなる。
【0058】
駆動用MOSFETQD2、転送用MOSFETQT2を覆うように、SOI基板上には絶縁膜ESおよび層間絶縁膜CLが順に積層されている。また、層間絶縁膜CLおよび絶縁膜ESを貫通するように複数のコンタクトホールが形成されている。チップ領域1Aの複数のコンタクトホール内には、コンタクトプラグCP1が形成されており、TEG領域1Bの複数のコンタクトホール内には、コンタクトプラグCP2が形成されている。絶縁膜ESは例えば窒化シリコン膜からなり、コンタクトホール形成の際にエッチングストッパ膜として機能する。層間絶縁膜CLは例えば酸化シリコン膜からなり、その上面はコンタクトプラグCP1、CP2のそれぞれの上面と同じ高さにおいて平坦化されている。
【0059】
コンタクトプラグCP1、CP2はいずれも同様の構造を有する柱状の導体であり、例えば、コンタクトホール内の側壁および底面を覆うバリア導体膜と、コンタクトホール内に当該バリア導体膜を介して形成され、コンタクトホールを完全に埋め込む主導体膜とからなる。バリア導体膜は例えばTi(チタン)またはTiN(窒化チタン)を含み、主導体膜は例えばW(タングステン)からなる。コンタクトプラグCP1、CP2はいずれもシリサイド層SCを介して、各MOSFETのソース・ドレイン領域に電気的に接続されている。
【0060】
ここで、図示はしていないが、層間絶縁膜CL、コンタクトプラグCP1およびCP2の上の領域は、例えばSiOCからなる層間絶縁膜と、当該層間絶縁膜を貫通する配線溝内の配線とを形成する領域である。当該配線は少なくともコンタクトプラグCP1に接続されるものである。
【0061】
以上に述べたように、本実施の形態の半導体装置は、
図2に示すチップ領域CP内にSRAMを有しており、また、スクライブラインSL内に、SRAMの素子構造を有するTEGを有している。チップ領域CPのSRAMにはコンタクトプラグCP1(
図4および
図6参照)が接続されており、スクライブラインSLのSRAMにはコンタクトプラグCP2(
図5および
図6参照)が接続されている。
【0062】
図6に示すように、チップ領域1AのSRAMはSOI基板上に形成されているが、TEG領域1BのSRAMはバルクシリコン基板上に形成されている。このため、コンタクトプラグCP1はSOI層S1に接続されており、コンタクトプラグCP2は半導体基板SBに接続されている。
【0063】
本実施の形態のTEGは、VC検査によりコンタクトプラグの接続不良を検査するために設けられたものである。ダイシング工程後も半導体チップに残るチップ領域1AのSRAMにおいて生じる虞のある不良を検出するため、TEG領域1Bにもチップ領域1Aと同様にSRAMの素子構造を形成し、このSRAMに対してコンタクトプラグCP2を接続している。ただし、チップ領域1AのSRAMはSOI基板上に形成されているのに対し、TEG領域1BのSRAMはバルクシリコン基板上に形成されている。
【0064】
半導体基板SB上に層間絶縁膜CLおよびコンタクトプラグCP2を形成した状態でVC検査を行った場合、正常に形成されて半導体基板SBに接続されたコンタクトプラグCP2は発光し、半導体基板SBに正常に接続されていないコンタクトプラグCP2は発光しない。このため、明部と暗部のコントラストの強さから、不良の発生の有無を判別することができる。
【0065】
正常に形成されて半導体基板SBに接続されたコンタクトプラグCP2が発光するのは、VC検査において電子ビームが照射された際に、比較的体積が大きい半導体基板SB内の電子が、正の電荷を帯電したコンタクトプラグCP2に対して流れて放出され、その際に発光が起きるためである。これに対し、層間絶縁膜CLを貫通するコンタクトホール内にコンタクトプラグCP2が完全に埋め込まれず、形成不良が生じた場合などは、コンタクトプラグCP2と半導体基板SBとが十分に接続されない。したがって、VC検査の際に電子が当該コンタクトプラグCP2に流れず、発光が起きないため、コンタクトプラグCP2の接続不良を検知することができる。このように、TEG領域1BにおけるコンタクトプラグCP2の接続不良を検知することで、チップ領域1AのコンタクトプラグCP1における接触不良の発生を推認することができる。
【0066】
上記の構成に対し、チップ領域1AにおいてSOI基板上に形成されているSRAMに倣い、TEG領域1BのSRAMをSOI基板上に形成することが考えられるが、そのような構成を有するSRAMをTEGとして用いてVC検査を行うと、次に説明するような問題が起きる。
【0067】
ここで比較例として、
図29に、SOI基板上にTEGとしてSRAMの素子構造を設け、当該SRAMを構成するMOSFETの拡散層にコンタクトプラグCPaを接続した構造を示す。
図29は、比較例として示す半導体装置の断面図であり、
図6のTEG領域1Bと同様の箇所の断面を示している。本実施の形態と異なり、比較例のTEG領域1Bでは半導体基板SB、BOX膜BXおよびSOI層S1を含むSOI基板の上面にコンタクトプラグCPaを接続している。
【0068】
図29では、図の左側に、正常にSOI層S1に接続されたコンタクトプラグCPaを示し、図の中央および右側に、正常に形成されず、SOI層S1に接続されていないコンタクトプラグCPb、CPcをそれぞれ示している。コンタクトプラグCPa、CPbおよびCPcのそれぞれの直下のSOI層S1内には、拡散層D1、D2およびD1がそれぞれ形成されている。
【0069】
コンタクトプラグにおいて導通不良が生じる原因としては、例えば、コンタクトホールの底部がSOI層S1の上面に達していないことで、当該コンタクトホール内のコンタクトプラグCPbがSOI層S1に接続されていないことが考えられる。また、コンタクトホール内において、コンタクトプラグCPcとSOI層S1との間に空隙VOが形成されていることで、コンタクトプラグCPcとSOI層S1とが離間していることが考えられる。このように、コンタクトプラグCPb、CPcにおいては、オープン不良が発生している。
【0070】
上記比較例のTEGに対し、VC検査において電子線を照射した場合、上述した本実施の形態と同様に、SOI基板の上部のSOI層S1、つまり拡散層D1またはD2に正常に接続されていないコンタクトプラグCPb、CPcには、SOI基板側から電子が流れないため発光が起こらない。また、VC検査において電子線を照射した場合、SOI基板の上部のSOI層S1、つまり拡散層D1に正常に接続されたコンタクトプラグCPaには、SOI層S1内の電子が流れる。しかし、SOI層S1は半導体基板SBに比べて膜厚が非常に小さい層であり、素子分離領域STIにより他のSOI層S1と分離されているため、非常に体積は小さい。また、SOI層S1はBOX膜BXを介して半導体基板SBと絶縁されている。
【0071】
薄いSOI層S1内に存在する電子の量は、半導体基板SB内の電子の量よりも遙かに少ないため、VC検査において電子線を照射した際に、SOI層S1内からコンタクトプラグCPaに流れる電子は少量である。したがって、正常にSOI層S1に接続されたコンタクトプラグCPaがVC検査において発する光の強度は非常に小さいため、発光を確認するのが困難となる。このため、比較例のTEGに対してVC検査を行った場合、不良が発生しているコンタクトプラグCPb、CPcと正常なコンタクトプラグCPaとのいずれも発光が確認できず、明部と暗部とのコントラストが低いため、不良の発生を正しく検知することができない問題が生じる。
【0072】
そこで、本実施の形態では、
図6に示すTEG領域1Bにおいて、SOI層S1よりも体積が大きい半導体基板SBにコンタクトプラグCP2を接続している。これにより、VC検査において正常なコンタクトプラグCP2の発光を確認するのに必要な量の電子を、半導体基板SB内からコンタクトプラグCP2に流すことを可能としている。したがって、正常なコンタクトプラグと不良のあるコンタクトプラグとの両方がVC検査において発光せず、不良の有無が判別できなくなることを防ぐことができる。よって、本実施の形態では、TEG領域1BのSRAMを、チップ領域1Aとは異なりバルクシリコン基板上に形成することで、VC検査に用いるTEGを含む半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0073】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、
図7〜
図13を用いて説明する。
図7〜
図13は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
【0074】
まず、
図7に示すように、上方にBOX膜BXおよびSOI層S1が順に積層された半導体基板SBを準備する。半導体基板SBはSi(シリコン)からなる支持基板であり、半導体基板SB上のBOX膜BXは酸化シリコン膜である。BOX膜BX上のSOI層S1は1〜10Ωcm程度の抵抗を有する単結晶シリコンからなる層であり、その膜厚は例えば20nm以下である。
【0075】
半導体基板SB、BOX膜BXおよびSOI層S1からなるSOI基板は、半導体基板SBの主面に沿う方向に並ぶチップ領域1AおよびTEG領域1Bを有している。チップ領域1Aは、半導体ウエハの主面においてスクライブラインSL(
図2参照)に囲まれた領域である。また、本実施の形態のTEG領域1Bは、スクライブラインSL内の領域である。
【0076】
このSOI基板はSIMOX(Silicon Implanted Oxide)法で形成することができる。つまり、Si(シリコン)からなる半導体基板SBの主面に高いエネルギーでO
2(酸素)をイオン注入し、その後の熱処理でSi(シリコン)と酸素とを結合させ、半導体基板の表面よりも少し深い位置に埋込み酸化膜(BOX膜)を形成することで、SOI基板を形成することができる。また、SOI基板は、表面に酸化膜を形成した半導体基板SBと、もう1枚のSi(シリコン)からなる半導体基板とを高熱および圧力を加えることで接着して貼り合わせた後、片側のシリコン層を研磨して薄膜化することで形成することもできる。
【0077】
次に、
図8に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてTEG領域1BのSOI層S1およびBOX膜BXを除去することで、半導体基板SBの上面を露出させる。これにより、TEG領域1Bにはバルクシリコン基板の上面が露出する。なお、ここではチップ領域1Aをレジストパターン(図示しない)により覆った状態でエッチング工程を行うため、チップ領域1AのSOI層S1およびBOX膜BXは除去されずに残る。
【0078】
次に、
図9に示すように、周知の方法を用いて複数の素子分離領域STIを形成する。チップ領域1Aの素子分離領域STIは、SOI基板の上面を開口する溝であって、BOX膜BXの上面または半導体基板SBの途中深さまで達する溝内に埋め込まれた絶縁膜からなる。また、TEG領域1Bの素子分離領域STIは、半導体基板SBの上面を開口し、半導体基板SBの途中深さまで達する溝内に埋め込まれた絶縁膜からなる。これにより、
図9に示す構造を得る。
【0079】
次に、図示はしていないが、SOI層S1上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する。この工程の詳細は、
図19〜
図22を用いて後述する。なお、ここではSOI層S1上にエピタキシャル層を形成しない場合について説明する。
【0080】
次に、
図10に示すように、ゲート電極(図示しない)をマスクとして、n型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))を、イオン注入法を用いてチップ領域1AのSOI層S1およびTEG領域1Bの半導体基板SBのそれぞれの所定の活性領域に比較的低い濃度で打ち込む。これにより、ゲート電極の横に露出しているチップ領域1AのSOI層S1の上面、およびTEG領域1Bの半導体基板SBの上面のそれぞれにエクステンション領域EXを形成する。エクステンション領域EXはゲート電極の直下のSOI層S1および半導体基板SBの上面のそれぞれの一部には形成されない。また、他の活性領域のSOI層S1および半導体基板SBの上面のそれぞれに、イオン注入法を用いてp型の不純物(例えばB(ホウ素))を比較的低い濃度で打ち込むことにより、エクステンション領域EXpを形成する。
【0081】
n型の半導体層であるエクステンション領域EXと、p型の半導体層であるエクステンション領域EXpとは、フォトリソグラフィ技術を用いて不純物イオンを打ち分けることで、別々の領域に形成する。
【0082】
次に、図示はしていないが、ゲート電極の側壁を覆う絶縁膜からなるサイドウォールを自己整合的に形成する。サイドウォールを形成する工程の詳細は、
図20〜
図24を用いて後述する。
【0083】
次に、
図11に示すように、ゲート電極(図示しない)およびサイドウォール(図示しない)をマスクとして、半導体基板SBの上方からn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))を比較的高い濃度でイオン注入することにより、露出しているSOI層S1内および半導体基板SB内のそれぞれに拡散層D2を形成する。拡散層D2の不純物濃度は、エクステンション領域EX(
図10参照)の不純物濃度よりも高い。
【0084】
また、ゲート電極およびサイドウォールをマスクとして、半導体基板SBの上方からp型の不純物(例えばB(ホウ素))を比較的高い濃度でイオン注入することにより、露出しているSOI層S1内および半導体基板SB内のそれぞれに拡散層D1を形成する。拡散層D1の不純物濃度は、エクステンション領域EXp(
図10参照)の不純物濃度よりも高い。拡散層D1およびD2のそれぞれは、フォトリソグラフィ技術を用いて不純物イオンを打ち分けることで別々の領域に形成する。
【0085】
以上により、ゲート電極と、エクステンション領域EXおよび拡散層D2からなるソース・ドレイン領域とを含むnチャネル型のMOSFETである転送用MOSFETおよび駆動用MOSFETを形成する。また、以上により、ゲート電極と、エクステンション領域EXpおよび拡散層D1からなるソース・ドレイン領域とを含むpチャネル型の負荷用MOSFETを形成する。上記の工程により、チップ領域1AのSOI基板上に、複数のMOSFETからなるSRAMを形成し、TEG領域1Bのバルクシリコン基板上に、複数のMOSFETからなるSRAMをTEGとして形成する。
【0086】
次に、
図12に示すように、ゲート電極およびSOI層S1のそれぞれの上面に、周知のサリサイド技術を用いてシリサイド層SCを形成した後、各MOSFETを絶縁膜ESおよび層間絶縁膜CLにより順次覆う。シリサイド層SCは例えばCoSi(コバルトシリサイド)からなる。また、例えば窒化シリコン膜からなる絶縁膜ES、および、例えば酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜CLは、CVD法などにより形成する。その後、層間絶縁膜CLの上面を例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などにより研磨して平坦化する。
【0087】
次に、
図13に示すように、絶縁膜ESをエッチングストッパ膜として利用し、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて層間絶縁膜CLおよび絶縁膜ESを開口することで、シリサイド層SCの上面を露出する複数のコンタクトホールを形成する。その後、例えばTi(チタン)またはTiN(窒化チタン)を含むバリア導体膜と、例えばW(タングステン)からなる主導体膜とを、例えばスパッタリング法を用いて順次形成することで、各コンタクトホールを完全に埋め込む。続いて、例えばCMP法によりバリア導体膜と主導体膜とを研磨して層間絶縁膜CLの上面を露出させることで、複数のコンタクトホール内に埋め込まれたバリア導体膜および主導体膜からなるコンタクトプラグCP1およびCP2を形成する。
【0088】
コンタクトプラグCP1はチップ領域1Aに形成され、SOI層S1に電気的に接続されている。また、コンタクトプラグCP2はTEG領域1Bに形成され、半導体基板SBの主面に電気的に接続されている。以上により、チップ領域1AのSRAM(
図4参照)と、TEG領域1BのSRAM(
図5参照)とが完成する。
【0089】
上述したVC検査は、コンタクトプラグCP1、CP2を形成した直後の時点で行う。すなわち、VC検査では、コンタクトプラグCP2を含むTEG領域1BのSRAMに電子線を照射することで、半導体ウエハに形成したコンタクトプラグの導通不良の有無を検知することができる。
【0090】
上記の検査工程の後、コンタクトプラグCP1、CP2のそれぞれの上には、複数の配線層が積層される。続いて、半導体基板SB、つまり半導体ウエハをダイシングすることで、スクライブラインSL(
図2参照)を切削する。これにより、チップ領域1Aを含む半導体チップを複数形成する。
【0091】
本実施の形態の半導体装置の製造方法では、
図1〜
図6および
図29を用いて説明した効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、TEGを構成するコンタクトプラグを、SOI基板の上面ではなく、バルクシリコン基板の上面に接続することにより、正常に形成されたコンタクトプラグが、不良を有するコンタクトプラグと同様にVC検査において発光しなくなることを防ぐことができる。これにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0092】
次に、本実施の形態の変形例として、TEG領域にSRAMの素子構造ではなく、複数のコンタクトプラグを密集させたTEGを設けることについて、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施の形態の変形例である半導体装置の平面レイアウトである。
【0093】
図14に示すように、スクライブラインSL(
図2参照)に形成するTEGは、BOX膜から露出している半導体基板の上面に、複数のコンタクトプラグCP3を接続させた構造を有している。複数のコンタクトプラグCP3は平面視においてマトリクス状に並んで配置されている。また、図示はしていないが、半導体基板の上面には、
図6に示す半導体装置と同様に拡散層が形成されていてもよい。
【0094】
このように、チップ領域にSOI領域を有する半導体ウエハにおいて、TEGとして形成する構造は、SRAMなどの素子構造に限らず、単にバルクシリコン基板にコンタクトプラグCP3を接続させた構造であってもよい。このようなTEGであっても、SOI基板のSOI層ではなくバルクシリコン基板にコンタクトプラグCP3を接続することで、上記のように半導体装置の信頼性を向上させる効果を得ることができる。
【0095】
当該変形例の半導体装置の製造工程は、
図7〜
図13を用いて説明した工程と同様の方法により行うことができる。なお、隣り合うコンタクトプラグ同士の間において、素子分離領域は形成しなくてもよい。また、エクステンション領域および拡散層のそれぞれは形成しなくてもよい。
【0096】
(実施の形態2)
以下では、SOI基板を有するチップ領域内に、製品である半導体チップの動作に寄与しないダミー領域を設け、当該ダミー領域内のバルクシリコン基板上に、VC検査に用いるTEGを設けることについて、
図15を用いて説明する。
図15は、本実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図2に示す平面図に対応するチップ領域周辺の構造を示している。
【0097】
図15に示すように、本実施の形態のチップ領域CPの周辺の構成は、
図2を用いて説明した前記実施の形態とほぼ同様である。ただしここでは、VC検査に用いるTEGを、チップ領域CP内のダミー領域2R内に形成している。チップ領域CP内には、前記実施の形態1と同様に、SOI基板上に形成されたSRAMを含むSRAM領域1Rが設けられている。SRAM領域1Rとダミー領域2Rとは離れて配置されている。SRAM領域1R内には、
図4と
図6のチップ領域1Aとに示す構造と同様のSRAMが形成されている。
【0098】
これに対し、ダミー領域2R内には、半導体基板がSOI層およびBOX膜から露出しているバルクシリコン基板が存在している。ダミー領域2R内のバルクシリコン基板上には、
図5と
図6のTEG領域1Bとに示す構造と同様のSRAMが形成されている。つまり、ダミー領域2R内に形成されたSRAMはVC検査の対象となるTEGであり、ダイシング工程により形成された半導体チップにおいて、記憶素子として使用されない構造体である。ダミー領域2R内のSRAMには、
図5および
図6に示すコンタクトプラグCP2が接続されている。
【0099】
本実施の形態のように、TEGをチップ領域CP内に形成しても、前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。本実施の形態のTEGはスクライブラインSL内ではなくチップ領域CP内に形成されているため、ダイシング工程で除去されず、個片化された半導体チップ内に残るものである。
【0100】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、
図7〜
図13を用いて説明した工程と同様の方法により行うことができる。ただし、
図15を用いて説明したように、TEGはチップ領域CP内に形成する。つまり、SOI基板構造を有するチップ領域CP内に、バルクシリコン基板が露出しているTEG領域を形成し、当該TEG領域内にSRAM構造のTEGを形成する。
【0101】
なお、
図14を用いて説明した前記実施の形態1の変形例と同様に、ダミー領域2R内に形成するTEGは、SRAMなどの素子構造に限らず、半導体基板に接続した複数のコンタクトプラグにより構成されていてもよい。
【0102】
(実施の形態3)
以下では、SOI基板上にVC検査用のTEGとして、拡散層が形成されていないSRAMの素子構造を設けることで、半導体装置の信頼性を向上させることについて、
図16〜
図18を用いて説明する。
図16は、本実施の形態の半導体装置の断面図である。また、
図17および
図18は、VC検査におけるTEGの発光強度を説明するグラフおよび半導体装置の断面図である。
【0103】
本実施の形態の半導体装置は、
図1〜
図5を用いて説明したように、半導体ウエハのチップ領域内に、SOI基板上にSRAMが形成されたSRAM領域を備え、さらに、半導体ウエハのスクライブ領域に、SRAMのレイアウトを有するVC検査用のTEGを備えるものである。ただし、前記実施の形態1と異なり、TEGを構成するSRAMはチップ領域と同様にSOI基板上に形成されており、さらに、TEGを構成するSRAMには拡散層が形成されていない。つまり、TEG領域のSRAMを構成する各MOSFETはソース・ドレイン領域を有していない。
【0104】
ここで、
図16に本実施の形態のチップ領域1AのSRAMを構成する駆動用MOSFETQD1および転送用MOSFETQT1と、TEG領域1BのSRAMを構成する駆動用MOSFETQD1および転送用MOSFETQT1とを示す。
図16の左側には、チップ領域1Aの断面であって、
図4のC−C線における断面を示し、
図16の右側には、TEG領域1Bの断面であって、
図5のD−D線に対応する箇所における断面を示している。TEG領域1Bは、スクライブラインSL(
図2参照)内の領域である。
【0105】
図16に示すように、本実施の形態の半導体装置は、チップ領域1AおよびTEG領域1Bのそれぞれにおいて、半導体基板SB、BOX膜BX、およびSOI層S1からなるSOI基板を有している。半導体基板SBは例えば500μm〜700μm程度の厚さを有し、SOI層S1は20nm以下の膜厚を有している。
【0106】
チップ領域1AおよびTEG領域1Bのそれぞれにおいて、SOI層S1上にゲート絶縁膜GFを介してゲート電極G1が形成されている。ゲート絶縁膜GFは例えば酸化シリコン膜からなり、ゲート電極G1は例えばポリシリコン膜からなる。ゲート電極G1の側壁は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の積層構造を有するサイドウォールSWにより覆われている。
【0107】
チップ領域1Aにおいて、ゲート電極G1の直下のSOI層S1、つまりシリコン層は各MOSFETの駆動時に電流が流れるチャネル領域であり、当該チャネル領域を挟むように、ゲート電極G1の横のSOI層S1内には一対のソース・ドレイン領域が形成されている。一対のソース・ドレイン領域のそれぞれは、n型の半導体層であり比較的不純物濃度が低いエクステンション領域EXと、n型の半導体層でありエクステンション領域EXよりも不純物濃度が高い拡散層D2とを有している。このようにソース・ドレイン領域は、高濃度および低濃度の不純物拡散領域を含むLDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。
【0108】
エクステンション領域EXおよび拡散層D2にはn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))が打ち込まれている。エクステンション領域EXは拡散層D2よりも上記チャネル領域に近い領域に形成されている。つまり、エクステンション領域EXの形成位置は拡散層D2の形成位置よりもゲート電極G1に近い。
【0109】
ゲート絶縁膜GF、ゲート電極G1およびサイドウォールSWから露出するSOI層S1上には、エピタキシャル成長法により積上げられたエピタキシャル層EPが形成されている。エピタキシャル層EP内にも、高濃度のn型不純物が打ち込まれて拡散層D2が形成されている。また、エピタキシャル層EPの上面およびゲート電極G1の上面にはシリサイド層SCが形成されている。ここでは、エピタキシャル層EPを形成した構造について説明するが、エピタキシャル層EPは形成されていなくてもよい。
【0110】
これに対し、TEG領域1Bの各MOSFETは、ゲート絶縁膜GF、ゲート電極G1およびエピタキシャル層EPを有しているが、エクステンション領域および拡散層を有していない。つまり、TEG領域1BのSOI層S1およびエピタキシャル層EPには、ソース・ドレイン領域を形成するためのn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))が導入されていない。すなわち、TEG領域1Bにおいて、コンタクトプラグCP2が接続された各MOSFETの活性領域内には、エクステンション領域および拡散層のいずれも形成されていない。
【0111】
なお、
図16に示すTEG領域1Bの構造はソース・ドレイン領域を有しておらず、MOSFETの構成を成していないが、ここでは便宜上、TEG領域1Bにソース・ドレイン領域を含まない駆動用MOSFET、転送用MOSFETおよび負荷用MOSFETが形成されており、SRAMが形成されているものとして説明する。つまり、TEG領域1Bの各MOSFETは、半導体素子として使用されない擬似的なMOSFETである。同様に、それらのMOSFETにより構成されるSRAMのメモリセルは、情報の記憶などに使用されない擬似的なメモリセルである。すなわち、
図16に示すTEG領域1Bの複数のMOSFETはいずれもダミーのMOSFETであり、それらのMOSFETを含むSRAMのメモリセルはダミーのメモリセルである。
【0112】
駆動用MOSFETQD1、転送用MOSFETQT1を覆うように、SOI基板上には絶縁膜ESおよび層間絶縁膜CLが順に積層されている。また、層間絶縁膜CLおよび絶縁膜ESを貫通するように複数のコンタクトホールが形成され、当該複数のコンタクトホール内には、コンタクトプラグCP1、CP2が形成されている。
【0113】
コンタクトプラグCP1はチップ領域1Aにおいて拡散層D2に接続され、コンタクトプラグCP2はTEG領域1Bにおいてエピタキシャル層EPに接続されている。なお、
図4および
図5に示すように、他の活性領域およびゲート電極G1にもコンタクトプラグCP1、CP2が接続されている。
【0114】
ここで、図示はしていないが、層間絶縁膜CL、コンタクトプラグCP1およびCP2の上の領域は、例えばSiOCからなる層間絶縁膜と、当該層間絶縁膜を貫通する配線溝内の配線とを形成する領域である。当該配線は少なくともコンタクトプラグCP1に接続されるものである。
【0115】
次に、本実施の形態の効果について、
図17および
図18を用いて説明する。
図17および
図18には、VC検査において観察するMOSFETの断面図と、MOSFETのゲート長方向の位置と横軸とが対応するグラフを図示している。これらのグラフの縦軸は、VC検査において検出される光の強度を示している。つまり、
図17および
図18の各グラフには、VC検査においてMOSFETのコンタクトプラグ周辺において検出できる光の強度を示している。
【0116】
図17および
図18の各グラフの横軸方向における中心部は、それらのグラフの下に示す断面図の横方向の中心部、つまりゲート電極G1近傍の位置に対応している。また、これらのグラフの横軸方向における中心部の横の両側の領域は、それぞれのグラフの下の断面図に示すコンタクトプラグCP1、CP2の形成箇所に対応している。なお、
図17および
図18では一つのMOSFETのみを図示しているが、ゲート長方向において、当該MOSFETと同様のMOSFETが、一の活性領域上に複数並んで形成されている。
【0117】
図17の断面図には、ソース・ドレイン領域を有するMOSFETQ1を示している。MOSFETQ1は、
図16のチップ領域1Aに示す各MOSFETと同様の構造を有しているnチャネル型のMOSFETである。つまり、MOSFETQ1はSOI基板上に形成されており、拡散層D2およびエクステンション領域EXを有している。拡散層D2の上面には、シリサイド層SCを介してコンタクトプラグCP1が正常に接続されており、このような素子にVC検査において電子線を照射した結果を、
図17のグラフ示している。
【0118】
当該グラフに示すように、拡散層D2を有するMOSFETQ1にVC検査において電子線を照射した場合、コンタクトプラグCP1の近傍から検出される光の強度は小さい。このため、VC検査を行うことで、コンタクトプラグCP1が正常にSOI層S1に接続されているか否かを判別することが困難である。
【0119】
このように
図17に示す素子において確認される発光強度が小さい理由は、上述したようにSOI層S1の体積が小さく、SOI層S1内の電子が少ないことに加えて、拡散層D2を含むソース・ドレイン領域が形成されていることにある。
【0120】
拡散層D2が形成されている場合、n型の半導体層である拡散層D2と、p型の半導体層であるSOI層S1との間にはPN接合が形成される。膜厚が薄いSOI層S1内に拡散層D2を形成する場合、SOI層S1の底面まで達しない拡散層D2をSOI層S1の上面に形成することは困難である。このため、拡散層D2はSOI層S1の底面まで達し、ゲート長方向に並ぶ複数のMOSFET(
図16参照)のチャネル領域同士は、拡散層D2を介して分断されることが考えられる。
【0121】
図17に示すMOSFETQ1に電子線を照射すると、コンタクトプラグCP1の直下の拡散層D2内の電子はコンタクトプラグCP1に流れて発光に寄与する。しかし、SOI層S1内において当該拡散層D2を挟むチャネル領域内およびそれらのチャネル領域の外側のSOI層S1内の電子は、PN接合により当該拡散層D2およびコンタクトプラグCP1内に流れない。このため、SOI層S1内に電子が存在しても、それらの電子は、当該拡散層D2とその両隣のチャネル領域との境界のPN接合により移動が妨げられ、コンタクトプラグCP1の発光に寄与しない。
【0122】
つまり、拡散層D2が形成されていると、正常に形成されたコンタクトプラグCP1に対し電子線を照射しても、SOI層S1内およびエピタキシャル層EP内の電子の一部しかコンタクトプラグCP1に流れないため、発光強度が小さくなる。よって、SOI基板内に拡散層D2を含むMOSFETQ1をTEGとして用いると、正常に形成されたコンタクトプラグCP1と、不良を有しているコンタクトプラグCP1とのコントラストが低くなるため、不良の有無の判断が困難となり、半導体装置の信頼性が低下する問題が生じる。
【0123】
これに対し、
図18には、拡散層が形成されていないMOSFETQ2の断面図を示している。MOSFETQ2の構造は、拡散層およびエクステンション領域を含む半導体層、つまりソース・ドレイン領域が形成されていない点以外は、
図17に示すMOSFETQ1の構造と同じである。つまり、MOSFETQ2は、
図16のTEG領域1Bに示す各MOSFETと同様の構造を有しているnチャネル型のMOSFETである。MOSFETQ2の横のSOI層S1には、エピタキシャル層EPおよびシリサイド層SCを介して、コンタクトプラグCP2が正常に接続されている。
【0124】
図18のグラフに示すように、拡散層が形成されていないMOSFETQ2にVC検査において電子線を照射した場合、コンタクトプラグCP2の近傍から検出される光の強度は
図17に示した光の強度よりも大きい。このため、VC検査を行うことで、コンタクトプラグCP2が正常にSOI層S1に接続されているか否かを容易に判別することができる。
【0125】
本実施の形態では、
図16のTEG領域1Bに示すように、
図18と同様に拡散層およびエクステンション領域を形成せず、ソース・ドレイン領域を有していない駆動用MOSFETQD1および転送用MOSFETQT1を形成している。このように、TEGを構成するSRAM内のMOSFETを、ソース・ドレイン領域を含まない構成とすることで、
図17を用いて説明した構造に比べて、VC検査においてより多くの電子をSOI層S1内からコンタクトプラグCP2に流すことを可能としている。
【0126】
これにより、VC検査においてコンタクトプラグCP2の発光強度を高めることができるため、コンタクトプラグCP2の不良の有無を容易に判断することができる。よって、VC検査用のTEGであって、
図16のTEG領域1Bに示すTEGを有する半導体装置を実現することで、示す半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0127】
ここではnチャネル型のMOSFETを例として説明したが、pチャネル型のMOSFETであってもVC検査に用いることが可能であり、また、拡散層を形成しないことにより、VC検査時のコンタクトプラグの発光強度を高めることができる。SRAMの素子構造を有するTEGにおいてpチャネル型のMOSFETを検査する場合は、
図5に示す活性領域AP1上の負荷用MOSFETQP1、またはAP2上の負荷用MOSFETQP2に接続されたコンタクトプラグCP2をVC検査の対象として検査を行う。
【0128】
上述したように、VC検査においてSOI基板上のコンタクトの発光強度が小さくなる理由は、SOI層の膜厚が小さく、体積が小さいことにある。SOI層の膜厚を大きくすれば上記問題は解決するように思えるが、SOI層の膜厚を大きくすると、SOI基板上の素子の動作の低速化または素子の集積密度の低下などが起こるため、現実的ではない。ただし、SOI層の体積は、活性領域のパターン次第で大きくすることが可能である。
【0129】
ここで、
図5に示すように、活性領域AP1またはAP2よりも、活性領域AN1またはAN2の方が、y方向における長さおよびx方向における幅が大きい。このため、活性領域AN1、AN2のそれぞれの上の駆動用MOSFETQD1、QD2、転送用MOSFETQT1およびQT2の方が、負荷用MOSFETQP1、QP2よりもSOI層の体積が大きいため、VC検査時に正常なコンタクトプラグCP2の発光強度が大きくなる。
【0130】
つまり、活性領域AN1またはAN2に接続されたコンタクトプラグCP2はVC検査における暗部と発光部とのコントラストが高いため、不良の有無の判別をより正確に行うことができる。よって、SRAMのレイアウトを有するTEGに対してVC検査を行う場合は、SRAMを構成するnチャネル型のMOSFETに接続されたコンタクトプラグを対象として検査を行うことが好ましい。
【0131】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、
図19〜
図27を用いて説明する。
図19〜
図27は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を説明する断面図である。
図19〜
図27では、
図16と同様に、図の左側にチップ領域1Aを示し、図の右側にTEG領域1Bを示している。なお、ここではpチャネル型のMOSFETである負荷用MOSFETの製造工程の説明は省略する。チップ領域1Aは、
図2に示すSRAM領域1R内の領域であり、TEG領域1Bは、
図2に示すスクライブラインSL内の領域である。
【0132】
まず、
図7および
図9を用いて説明した工程と同様の工程を行う。つまり、SOI基板を準備した後、SOI基板の上面に素子分離領域を形成する。なお、前記実施の形態1のようにバルクシリコン基板を露出させる工程は行わない。
【0133】
次に、
図19に示すように、SOI層S1上に熱酸化法またはCVD法などを用いて酸化シリコン膜を形成する。その後、前記酸化シリコン膜上に、CVD法などを用いてポリシリコン膜および窒化シリコン(Si
3N
4)膜を順次形成した後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング法を用いて窒化シリコン膜をパターニングすることで、窒化シリコン膜からなる絶縁膜HMを形成する。続いて、絶縁膜HMをハードマスクとして用い、ドライエッチング法により前記ポリシリコン膜および前記酸化シリコン膜をパターニングする。これにより、SOI層S1上に、前記酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜GFを形成し、また、ゲート絶縁膜GF上に前記ポリシリコン膜からなるゲート電極G1を形成する。
【0134】
なお、ゲート電極G1を構成するポリシリコン膜は、P(リン)またはAs(ヒ素)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のn型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、前記ポリシリコン膜は、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後(イオン注入後)の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。
【0135】
次に、
図20に示すように、SOI層S1の上面、絶縁膜HMおよびゲート電極G1を覆うように、例えばCVD法を用いて酸化シリコン膜O1および窒化シリコン(Si
3N
4)膜N1を順に堆積して積層膜を形成する。その後、RIE(Reactive Ion Etching)法などにより異方性エッチングを行うことで酸化シリコン膜O1および窒化シリコン膜N1からなる当該積層膜を一部除去し、SOI層S1の上面および絶縁膜HMの上面を露出させる。これにより、ゲート電極G1の側壁には、酸化シリコン膜O1および窒化シリコン膜N1からなるサイドウォール状の積層膜が自己整合的に形成される。
【0136】
ここで、酸化シリコン膜O1はサイドウォール形成用の絶縁膜であり、窒化シリコン膜N1は、後の工程でゲート電極から離間した位置にエピタキシャル層、つまり選択成長層を形成するために用いられるダミーサイドウォールを構成する絶縁膜である。つまり、酸化シリコン膜O1および窒化シリコン膜N1からなる積層膜はダミーサイドウォールを構成し、完成した半導体装置には、酸化シリコン膜O1は残るが窒化シリコン膜N1は残らない。
【0137】
次に、
図21に示すように、ゲート電極G1、酸化シリコン膜O1および窒化シリコン膜N1から露出しているSOI層S1の上面に、エピタキシャル成長法を用いて、主にSi(シリコン)からなるエピタキシャル層EPを形成する。これにより、ゲート電極G1、酸化シリコン膜O1および窒化シリコン膜N1を含む構造体に対するy方向における横の領域には、SOI層S1よりも上面の高さが高いシリコン層であるエピタキシャル層EPが形成される。エピタキシャル層EPはゲート電極G1の側壁から離間した位置に、20〜50nmの膜厚で形成される。
【0138】
なお、ゲート電極G1の横にエピタキシャル層EPを形成するのは、SOI層S1の膜厚が極端に薄いことに起因している。つまり、エピタキシャル層EPを形成する理由の一つは、シリサイド層を形成する際に、ソース・ドレイン領域を構成するSOI層S1厚を補う必要があるためである。
【0139】
次に、
図22に示すように、ウェットエッチング法を用いて、ゲート電極G1の上部の絶縁膜HMおよびダミーサイドウォール形成用の絶縁膜である窒化シリコン膜N1を除去する。
【0140】
次に、
図23に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、TEG領域1BのSOI基板の主面を覆うレジストパターンRP1を形成する。その後、レジストパターンRP1およびゲート電極G1をマスクとして、イオン注入法を用いてn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))を比較的低い濃度でSOI層S1に打ち込むことにより、チップ領域1Aのゲート電極G1およびゲート絶縁膜GFの横に露出しているSOI層S1およびエピタキシャル層EPの上面にエクステンション領域EXを形成する。
【0141】
エクステンション領域EXはゲート電極G1の直下のSOI層S1の上面の一部には形成されない。また、エクステンション領域EXはTEG領域1BのSOI層S1内には形成されない。
【0142】
次に、
図24に示すように、レジストパターンRP1を除去した後、例えばCVD法を用いて、ゲート電極G1、酸化シリコン膜O1、SOI層S1およびエピタキシャル層EPのそれぞれの露出した表面を覆うように、窒化シリコン膜N2を形成する。その後、RIE法などにより異方性エッチングを行うことで窒化シリコン膜N2を一部除去し、ゲート電極G1およびエピタキシャル層EPのそれぞれの上面を露出させる。これにより、ゲート電極G1の側壁には、酸化シリコン膜O1を介して窒化シリコン膜N2が自己整合的に形成され、酸化シリコン膜O1および窒化シリコン膜N2からなるサイドウォールSWが形成される。
【0143】
次に、
図25に示すように、フォトリソグラフィ技術を用い、TEG領域1BのSOI基板の主面を覆うレジストパターンRP2を形成する。その後、レジストパターンRP2、ゲート電極G1およびサイドウォールSWをマスクとして、半導体基板SBの上方からn型の不純物(例えばP(リン)またはAs(ヒ素))を比較的高い濃度でイオン注入する。これにより、チップ領域1Aのゲート電極G1、酸化シリコン膜O1および窒化シリコン膜N2から露出しているエピタキシャル層EP内およびSOI層S1内に拡散層D2を形成する。エクステンション領域EXおよび拡散層D2はソース・ドレイン領域を構成する半導体領域である。
【0144】
前記ソース・ドレイン領域は、不純物が高濃度で導入された拡散層D2とゲート電極G1の直下のチャネル領域となるSOI層S1との間に、低濃度の不純物を含むエクステンション領域EXが設けられたLDD構造を有している。つまり、拡散層D2の不純物濃度は、エクステンション領域EXの不純物濃度よりも高い。
【0145】
以上により、チップ領域1Aにおいて、ゲート電極G1と、エクステンション領域EXおよび拡散層D2からなるソース・ドレイン領域とを含むnチャネル型のMOSFETである転送用MOSFETQT1および駆動用MOSFETQD1を形成する。また、以上により、TEG領域1Bにおいて、ゲート電極G1を含むMOSFETである転送用MOSFETQT1および駆動用MOSFETQD1を形成する。TEG領域1Bの各MOSFETは、ソース・ドレイン領域を有していない。つまり、TEG領域1Bの各MOSFETは、エクステンション領域および拡散層を有していない。
【0146】
なお、図示していない他の領域では、上記のnチャネル型のMOSFETと異なる導電型を有するpチャネル型の負荷用MOSFETQP1、QP2(
図4および
図5参照)も形成される。ここでは、TEG領域1Bに形成される負荷用MOSFETQP1、QP2もソース・ドレイン領域を有していない。上記の工程により、チップ領域1AのSOI基板上に、ソース・ドレイン領域を有する複数のMOSFETからなるSRAMを形成し、TEG領域1BのSOI基板上に、ソース・ドレイン領域を含まない複数のMOSFETからなるSRAMをTEGとして形成する。
【0147】
次に、
図26に示すように、レジストパターンRP2を除去した後、
図12を用いて説明した工程を行うことで、絶縁膜ESおよび層間絶縁膜CLからなる積層膜を形成する。
【0148】
次に、
図27に示すように、
図13を用いて説明した工程を行うことで、複数のコンタクトホールと、それらの内側に埋め込まれたコンタクトプラグCP1、CP2を形成する。コンタクトプラグCP1はチップ領域1Aにおいて拡散層D2を含むエピタキシャル層EPに接続され、コンタクトプラグCP2はTEG領域1Bにおいて拡散層を含まないエピタキシャル層EPに接続されている。
【0149】
次に、TEG領域1Bに形成されたSRAMのレイアウトを有するTEGに対してVC検査を行う。その後、配線層の積層、およびダイシング工程を行って半導体チップを形成する点は、前記実施の形態1と同様である。
【0150】
本実施の形態の半導体装置の製造方法では、上記のように、チップ領域のSOI基板上にSRAMを形成する。また、スクライブラインSL(
図2参照)内のTEGとして、SOI基板上にソース・ドレイン領域を有していないMOSFETにより構成されるSRAMを形成し、このSRAMに接続されたコンタクトプラグを接続する。コンタクトプラグの導通不良の有無を検査するためのVC検査を、上記のTEGに対して行うことで、
図16〜
図18を用いて説明した半導体装置と同様の効果を得ることができる。
【0151】
すなわち、SOI基板上に形成するTEGを構成するMOSFETを、拡散層およびエクステンション領域を含まない構造とすることで、VC検査の際に、SOI層内の電子がPN接合によりコンタクトプラグに供給されなくなることを防ぐことができる。したがって、VC検査におけるコンタクトプラグの発光強度を大きくすることができるため、コンタクトプラグの不良の有無を容易に判断することができる。したがって、VC検査の精度が向上するため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【0152】
(実施の形態4)
以下では、SOI基板を有するチップ領域内に、製品である半導体チップの動作に寄与しないダミー領域を設け、当該ダミー領域内のSOI基板上に、VC検査に用いるTEGであって、ソース・ドレイン領域を含まないMOSFETを有するTEGを設けることについて、
図28を用いて説明する。
図28は、本実施の形態の半導体装置の平面図であり、
図2に示す平面図に対応するチップ領域周辺の構造を示している。
【0153】
図28に示すように、本実施の形態のチップ領域CPの周辺の構成は、
図2を用いて説明した前記実施の形態とほぼ同様である。ただしここでは、VC検査に用いるTEGを、チップ領域CP内のダミー領域3R内に形成している。チップ領域CP内には、前記実施の形態3と同様に、SOI基板上に形成されたSRAMを含むSRAM領域1Rが設けられている。SRAM領域1Rとダミー領域3Rとは離れて配置されている。SRAM領域1R内には、
図4と
図16のチップ領域1Aとに示す構造と同様のSRAMが形成されている。
【0154】
これに対し、ダミー領域3R内には、SOI基板上においてソース・ドレイン領域を含まないMOSFETを有するSRAMが形成されている。つまり、ダミー領域3R内には、
図5と
図16のTEG領域1Bとに示す構造と同様のSRAMが形成されている。すなわち、ダミー領域3R内に形成されたSRAMはVC検査の対象となるTEGであり、ダイシング工程により形成された半導体チップにおいて、記憶素子として使用されない構造体である。ダミー領域3R内のSRAMには、
図5および
図16に示すコンタクトプラグCP2が接続されている。
【0155】
本実施の形態のように、TEGをチップ領域CP内に形成しても、前記実施の形態3と同様の効果を得ることができる。本実施の形態のTEGはスクライブラインSL内ではなくチップ領域CP内に形成されているため、ダイシング工程で除去されず、個片化された半導体チップ内に残るものである。
【0156】
本実施の形態の半導体装置の製造工程は、
図19〜
図27を用いて説明した工程と同様の方法により行うことができる。ただし、
図15を用いて説明したように、TEGはチップ領域CP内に形成する。
【0157】
以上、本発明者らによってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0158】
例えば、前記実施の形態1およびその変形例、並びに前記実施の形態2の構成では、TEGを構成するコンタクトプラグが接続されたバルクシリコン基板の上面に拡散層を形成することを説明した。しかし、前記実施の形態3で述べた通り、PN接合により電子の移動が妨げられることを防ぐため、前記実施の形態1およびその変形例、並びに前記実施の形態2の構成においても、コンタクトプラグが接続されたバルクシリコン基板の上面に拡散層を形成しないことで、VC検査におけるコンタクトプラグの発光強度を高めてもよい。
【0159】
その他、実施の形態に記載された内容の一部を以下に記載する。
【0160】
[付記1](a)主面に並ぶ第1領域および第2領域を有し、半導体基板、埋込酸化膜および半導体層が順に積層されたSOI基板を準備する工程、
(b)前記第1領域の前記半導体層上にSRAM構造の第1メモリセルを形成し、
前記第2領域の前記半導体層上に、第2活性領域内に拡散層を含まない複数のMOSFETを有するSRAM構造の第2メモリセルを形成する工程、
(c)前記第1メモリセルの第1活性領域に第1コンタクトプラグを接続し、
前記第2メモリセルの前記第2活性領域に、VC検査用のTEGを構成する第2コンタクトプラグを接続する工程、
を有し、
前記第2メモリセルを構成するMOSFETは、前記第2活性領域内に拡散層を有さないダミーのMOSFETである、半導体装置の製造方法。
【0161】
[付記2]付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2コンタクトプラグは、前記第2メモリセルを構成するnチャネル型MOSFETの前記第2活性領域に接続されている、半導体装置の製造方法。