特許第6174995号(P6174995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6174995コレステリルエステルのステロイド産生組織への送達
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6174995
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】コレステリルエステルのステロイド産生組織への送達
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/45 20060101AFI20170724BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 5/26 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 15/10 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20170724BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   A61K38/45
   A61P1/16
   A61P5/26
   A61P13/12
   A61P15/10
   A61P17/02
   A61P19/02
   A61P29/00
   A61P31/00
   A61P37/02
   A61P37/06
   A61P39/02
   A61P43/00 105
【請求項の数】4
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-509288(P2013-509288)
(86)(22)【出願日】2011年5月6日
(65)【公表番号】特表2013-528594(P2013-528594A)
(43)【公表日】2013年7月11日
(86)【国際出願番号】US2011035500
(87)【国際公開番号】WO2011140429
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2014年4月11日
【審判番号】不服2016-5988(P2016-5988/J1)
【審判請求日】2016年4月22日
(31)【優先権主張番号】61/331,909
(32)【優先日】2010年5月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504333972
【氏名又は名称】メディミューン,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【弁理士】
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【弁理士】
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【弁理士】
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】アウアーバッハ ブルース ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホーマン レイノルド
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ブライアン
【合議体】
【審判長】 關 政立
【審判官】 大久保 元浩
【審判官】 渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/015314(WO,A2)
【文献】 特許第5759988(JP,B2)
【文献】 CHEST,(2009)135 P.181−193
【文献】 J.CLIN.INVEST.,(1996)98 P.984−995
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 38/45
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステロイド産生組織のステロイド産生機能低下により特徴付けられる状態を治療するための医薬の製造における天然配列LCATの使用であって、前記状態が、全身性炎症反応症候群、感染、炎症、敗血症、外傷、熱傷、肝疾患、腎臓疾患、臓器移植、重金属中毒、自己免疫疾患、関節炎疾患、低テストステロン症候群、男性更年期障害、又は勃起不全から選択される疾患若しくは障害により生じる状態である、前記使用。
【請求項2】
疾患又は障害が敗血症である、請求項1記載の使用。
【請求項3】
疾患又は障害が全身性炎症反応症候群である、請求項1記載の使用。
【請求項4】
疾患又は障害が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、又は胆管閉鎖症から成る群から選択される肝疾患である、請求項1記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、医療分野に関し、特に、ステロイド産生組織におけるコレステリルエステルの蓄積の減少、特に要求、ストレスおよびまたは全身性炎症の期間中に組織のステロイドを産生する能力を低下させることを特徴とする疾患の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、過剰のコレステロールは動脈などの組織から除去され、逆コレステロール輸送(RCT)として知られるプロセスにより胆汁中に排出するために肝臓へ送達される。RCTの第1段階では、コレステロールは組織細胞から循環中の高比重リポタンパク質(HDL)へと移る。第2段階では、酵素レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)は、脂肪酸のHDL中のレシチンからコレステロールへのエステル交換反応を触媒してコレステリルエステル(CE)を形成することにより、HDLのコレステロール輸送能力を増強する。コレステリルエステル産物は、肝臓中のHDL受容体で除去されるまで、HDL内部で蓄積する。肝臓に入るCEの多くは、コレステロールおよび胆汁酸に変換され、これらは胆汁中に排出される。CE送達の同じHDL受容体によって媒介されるプロセスがステロイド産生組織中で起こり、ステロイドを産生するためのコレステロールの供給を維持する。このプロセスのHDL受容体は、現在、スカベンジャー受容体B1(SR−B1)であると考えられている。
【0003】
コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)は、HDLからベータ−リポタンパク質(VLDLおよびLDL)へのCEの純転移の原因である血漿タンパク質である。CETPが不足しているヒトは、大CE濃縮HDLのレベルが大幅に上昇している。CETPの阻害剤は、CEのHDLからLDLへの移動をブロックし、かくして、HDL−Cを急速に増大させ(ここで、Cは全コレステロールを表し、コレステロールおよびCEの両方から構成される)、LDL−Cを減少させることが示されている。結果として得られるHDLは、CETP欠乏血漿から単離されたHDLと同様に、特徴的にCEが豊富である。
【0004】
副腎、生殖腺(精巣および卵巣)ならびに胸腺をはじめとするステロイド産生組織は、コルチゾール、エストロゲンおよびアンドロゲンなどのステロイドの合成のためのコレステロール源としてのコレステリルエステルの細胞内貯蔵に依存する。必要な場合、エステル結合を酵素コレステロールエステラーゼにより切断して、ステロイド産生のためにコレステロールを遊離させる。ストレスのかかる時に、CE貯蔵は迅速に激減する可能性があり、そしてCEを補充しなければ、ステロイドの産生は大幅に損なわれる。インビトロ実験により、CETP欠乏患者から単離されたHDLは、健常者から単離されたHDLよりも多くのCEをSR−B1により送達できることが示された。
【0005】
マウスでは、低HDL−CEの結果、副腎、精巣および卵巣でCE含有量が減少する。この減少したCE含有量は、ストレスの期間中に生殖および副腎のコルチゾール産生能力に影響を及ぼすようである。ヒトでは、低アルファリポタンパク血症(低HDL−C)は、LCAT欠損症およびタンジール病などの遺伝性疾患の特質である。低アルファリポタンパク血症はさらに、感染、炎症、自己免疫疾患、関節炎疾患、敗血症、外傷、熱傷、肝疾患(例えば、肝炎、線維症、肝硬変、胆管過形成、胆管閉鎖症、臓器移植、重金属中毒)および腎臓疾患をはじめとする種々の非遺伝性疾患でも起こる。
【0006】
これらの疾患における主な病状ではないが、低下したHDL−CEは、コレステロールのステロイド産生組織への送達を減少させ、重要なグルココルチコイド、ホルモンおよび他のステロイドを産生する身体の能力を低下させる。ステロイドを産生する能力のこのような低下は、基礎症状を悪化させる可能性がある。悪化因子として、基礎症状を悪化させることは、HDL−CEのレベルをさらに低下させ得る。場合によっては、このサイクルは生命にかかわる状態、さらには死に至る可能性がある。外傷または重度の感染後に、患者は、HDL−Cレベルが低下する可能性があるか、またはHDL−Cレベルが降下する危険にさらされる可能性がある。これらの患者においてステロイド産生を正常化または増大させるために、HDL−Cのレベルを正常化または増大させることが有用であろう。
【0007】
リン脂質およびアポリポタンパク質A−1、またはリン脂質およびアポリタンパク質(apoliprotein)A−1模倣物からなるHDLの人工形態が、アテローム性動脈硬化症などの心臓血管疾患を有する患者を治療するために調査されている。そのような治療は、これらの人工HDLが動脈などの組織から過剰のコレステロールを除去する能力に基づく。しかし、これらのバージョンの人工HDLは、コレステロールまたはコレステリルエステルがないので、それらは、ステロイド産生を正常化または増大させるために必要な場合に直ちにCEを副腎に送達することができず、実際に、コレステロールを組織から除去するように機能する。ある場合には、副腎不全の危険にさらされている患者は、LCATのレベルが低下し、したがって、HDL−CE(副腎を補充するために用いられるコレステロールの形態)を作製する能力が低下し、その結果、HDL−CEのレベルが低くなる。HDLのこれらの人工形態は、LCATまたはHDL−CEの欠乏を補正しないので、それらは副腎不全の危険にさらされている患者の救命医療に有効な治療を提供しない。
【0008】
したがって、副腎、生殖腺および胸腺などのステロイド産生組織の機能の低下を伴う障害を有する患者においてCEのステロイド産生組織に対する利用可能性を増大させる治療が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示で開示されている組成物および方法は、血漿中のHDL−CE濃度を正常化または増大させることによって、ステロイド産生組織により産生されるステロイドの量を調節し、それにより有効用量のLCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、コレステロール送達粒子(CDP)、またはそれらの任意の組み合わせを投与することによって、ステロイドの血漿レベルを維持または増大させる。本開示は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDPからなる群から選択される薬剤を投与することを含む方法を記載する。本開示は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法を記載する。さらに、低テストステロン産生により特徴付けられる状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効用量の、CETP阻害剤、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CDP、またはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む方法も開示する。低卵巣ホルモン産生により特徴付けられる状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効用量のLCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、またはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む方法もさらに記載する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書中で用いられる場合、「副腎不全」は、副腎が適切な量のステロイドホルモンを産生しない状態を意味する。そのような状態としては、アジソン病などの先天性症状;および非先天性副腎不全が挙げられる。
【0011】
本明細書中で用いられる場合、非先天性副腎不全としては、「後天性状態」、例えば:全身性炎症反応症候群;感染;炎症;敗血症;外傷;熱傷;これらに限定されるものではないが、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症をはじめとする肝疾患;腎臓疾患;臓器移植;重金属中毒;自己免疫疾患、関節炎疾患;肝疾患;これらに限定されるものではないが、男性更年期障害、勃起不全をはじめとする低テストステロン産生により特徴付けられる状態、またはこれらに限定されるものではないが、更年期障害をはじめとする、低卵巣ホルモン産生により特徴付けられる状態が挙げられる。
【0012】
相対的副腎不全としてはさらに、ステロイドレベル、例えばコルチゾールレベルが正常な範囲にあるが、それでも、外傷、熱傷、感染、または敗血症に対する炎症反応を抑制するには不適切な副腎反応がある状態も挙げられる。
【0013】
「全身性炎症反応症候群」または「SIRS」が指すのは、全身に影響を及ぼす炎症状態であり、虚血、炎症、外傷、感染、またはいくつかの発作の組み合わせにより引き起こされる可能性があり、例えば敗血症であり得る。
【0014】
「treating(治療する)」という用語、または「treatment」、もしくは「treat」などの他の形態の語句を本明細書中で用いて、本発明の化合物の投与が、宿主における疾患もしくは障害を緩和すること、および/または障害に関連する特定の特性または事象(例えば、低下したステロイド産生)を低減、阻害もしくは除去することを意味する。したがって、「治療」という用語は、ある障害がある宿主において、特にその宿主がその障害にかかりやすい場合に、起こるのを予防すること;障害を阻害すること;および/または障害を軽減もしくは逆転することを包含する。本発明の方法が、障害の予防に関する限り、「予防する」という用語は、疾患状態が完全に阻止されることを必要としないと理解される。むしろ、本明細書中で用いられる場合、予防するという用語は、本発明の化合物の投与が疾患の開始前に起こり得るように、当業者が障害にかかりやすい集団を特定できることを指す。この用語は、疾患状態が完全に回避されることを意味しない。
【0015】
本明細書の説明や請求項全体にわたって、「comprise(含む)」という語句およびこの語句の他の形態、例えば「comprising」および「comprises」は、これらに限定されるものではないが、包含することを意味し、そして例えば、他の添加剤、成分、整数、またはステップを除外することを意図しない。
【0016】
本明細書中で用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で明らかに別の記載がない限り、複数を包含する。
【0017】
本明細書中で用いられる場合、「○〜○の間」とは両端を含み、例えば、「1mg〜5000mgの間」は、1mgおよび5000mgを含む。
【0018】
「〜」は、本明細書中で用いられる場合、両端を含み、例えば、「1mg〜5000mg」は、1mgおよび5000mgを含む。
【0019】
「SC」は皮下注射を意味する。
【0020】
「IV」は静脈内注射または注入を意味する。
【0021】
「IM」は筋肉内注射を意味する。
【0022】
「FC」は、遊離コレステロールの略語であり、本明細書中で用いられる場合、非エステル型コレステロールを意味する。
【0023】
「CE」はコレステリルエステルの略語である。
【0024】
「CDP」および「コレステリルエステル送達粒子」は、交換可能に用いられ、本明細書中で用いられる場合、これらに限定されるものではないが:アポリポタンパク質AI、リン脂質およびコレステリルエステルの複合体;アポリポタンパク質AI、リン脂質、コレステロール、およびコレステリルエステルの複合体;18〜40アミノ酸の長さの1以上の両親媒性ペプチド、リン脂質およびコレステリルエステルの複合体;18〜40アミノ酸の長さの1以上の両親媒性ペプチド、リン脂質、コレステロールおよびコレステリルエステルの複合体;または天然HDLをはじめとする、ステロイド産生組織にCEを提供することができる分子を意味する。CDPの産生において使用するのに適したリン脂質としては、これらに限定されるものではないが、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピンおよびそれらの混合物が挙げられる。CDPという用語は、これらに限定されるものではないが、rHDL、mHDL、および天然HDLを包含する。
【0025】
「rHDL」および「再構成HDL」は、交換可能に用いられ、本明細書中で用いられる場合、アポリポタンパク質AI、リン脂質およびコレステリルエステルの複合体;またはアポリポタンパク質AI、リン脂質、コレステロール、およびコレステリルエステルの複合体を意味する。rHDLの産生において使用するのに適したリン脂質としては、これらに限定されるものではないが、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピンおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0026】
「mHDL」および「模倣HDL」は、交換可能に用いられ、本明細書中で用いられる場合、18〜40アミノ酸の長さの1以上の両親媒性ペプチド、リン脂質およびコレステリルエステルの複合体;または18〜40アミノ酸の長さの1以上の両親媒性ペプチド、リン脂質、コレステロールおよびコレステリルエステルの複合体を意味する。mHDLの産生における使用に適したリン脂質としては、これらに限定されるものではないが、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピンおよびそれらの混合物が挙げられる。CDPの産生における使用に適した両親媒性ペプチドとしては、これらに限定されるものではないが、D4F(Song et. al, (2009) Int J Biol Sci 5:637-646)、(A.V. Bocharov et al.(2004) J. Biol. Chem. 279: 36072-36082)、5Aおよび類似体(W. D’Souza et al (2010) Circ. Res. 107:217-227)、A−IConA(G.M. Anantharamaiah (2007) J. Lipid Res. 48:1915-1923)、トリマーapoAI変異体(Graversen, et al, 2008);Ac−hE18A−NH2(Datta, et al, 2000;2001)、およびD Busseuil et al. (2008) Br J Pharmacol. 154(4): 765-773で開示されているペプチドが挙げられる。
【0027】
「天然HDL」は、血漿から単離されるHDLを意味する。これらの粒子は、リン脂質、タンパク質、コレステロールおよびコレステリルエステルを含有する。
【0028】
本明細書中で用いられる場合、「正常レベルのHDL−CE」は、HDL−CEレベルを変更し得る薬物治療を現在受けていない平均的な未治療の健常者において存在するHDL−CEの血漿濃度を意味する。
【0029】
本明細書中で用いられる場合、「正常レベルのステロイド」は、特定のステロイドのレベルを変更し得る薬物治療を現在受けていない平均的な未治療の健常者において存在する特定のステロイドの血漿濃度を意味する。
【0030】
「LCAT」は、レシチン−コレステロールアシルトランスフェラーゼの略語である。
【0031】
「LCAT」または「LCATポリペプチド」は、本明細書中で用いられる場合、天然配列LCAT、LCAT変異体、修飾LCAT、LCAT誘導体およびキメラLCATを包含する。「天然配列LCAT」は、天然由来のLCATと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。したがって、天然配列LCATは、特に天然に存在する切断型のLCAT、およびLCATの天然に存在する対立遺伝子変異型、天然に存在する変異型(例えば、選択的にスプライスされた形態)を包含する。好ましい天然配列LCATは、成熟天然配列LCATである。
【0032】
「修飾LCAT」は、LCAT活性を有するポリペプチドを意味し、ここで、天然LCATポリペプチド中の1以上のアミノ酸が別のアミノ酸で置換されているか、またはこれらに限定されるものではないが、N末端もしくはC末端アミノ酸をはじめとする天然ポリペプチドの一部に対して、1以上のアミノ酸が付加されているか、もしくは1以上のアミノ酸が欠失している。置換の例としては、制限なく、保存的アミノ酸置換、天然に存在しないアミノ酸での置換が挙げられる。非限定的な保存的アミノ酸置換の例を表1に提示する。例えば、そして制限なく、修飾LCATは、米国特許公開第2009/0081182号で記載されているような修飾LCATタンパク質であり得る。
【0033】
LCATの誘導体としては、活性、溶解度、吸収、および/または生物学的半減期を改善するために改変された天然または修飾LCATポリペプチドが挙げられる。当業者は、ポリペプチドを誘導体化して、それらの薬理学的特性を改善する方法を熟知している。
【表1】
【0034】
「LCAT血漿活性を増大させる薬剤」としては、LCAT酵素の活性を増大させるか、またはLCATの血漿レベルを増大させるか、またはその両方である薬剤が挙げられる。そのような薬剤としては、これらに限定されるものではないが、小分子および生物学的製剤が挙げられる。例えば、そして制限なく、その全体として参照により本明細書中に組み込まれる、米国特許公開第US2008/0096900号で記載されている化合物。
【0035】
「ApoA−I」、「ApoA−Iポリペプチド」および「アポリポタンパク質A−I」は、本明細書中で交換可能に用いられる。
【0036】
「ApoA−I」は、本明細書中で用いられる場合、天然配列apoA−I、修飾apoA−I、apoA−I誘導体、およびキメラapoA−Iを包含する。
【0037】
「天然配列apoA−I」は、天然由来のapoA−Iポリペプチドと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。したがって、天然配列apoA−Iは特に、apoA−Iの天然に存在する切断型、およびapoA−Iの天然に存在する対立遺伝子変異型、天然に存在する変異型(例えば、選択的にスプライスされた形態)、およびプレプロまたはプロapoA−Iを包含する。好ましい天然配列apoA−Iは成熟天然配列apoA−Iである。
【0038】
「修飾apoA−I」は、1以上のアミノ酸が異なるアミノ酸で置換されているか、または1以上のアミノ酸が付加されているか、または1以上のアミノ酸が欠失している点で、天然apoA−1ポリペプチド配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドを意味し、このポリペプチドは、CDPを形成する能力を保持する。そのような置換の例としては、制限なく、保存的置換、または天然に存在しないアミノ酸での置換が挙げられる。
【0039】
apoA−Iの誘導体としては、溶解度、吸収、生物学的半減期を改善するために改変された天然または修飾Apo A−Iポリペプチドが挙げられ、この誘導体は、CDPを形成する能力を保持する。ポリペプチドの誘導体は、当該技術分野で周知であり、例えば、ペグ化である。当業者は、ポリペプチドを誘導体化して、それらの薬理学的特性を改善する方法を熟知している。
【0040】
HDL−Cは、コレステリルエステルの有無を問わず、コレステロールを含むHDLを指す(ここで、Cは、全コレステロールを表し、コレステロールおよびコレステリルエステルから構成される)。
【0041】
HDL−CEは、HDLのコレステリルエステル成分を指す。
【0042】
「有効量」という用語は、本明細書中で用いられる場合、所望の効果または治療効果を達成するための所要の投薬量で、所要の時間にわたって有効な、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、またはそれらの任意の組み合わせの量を意味する。有効量は、疾患状態、治療される対象者の年齢、性別および体重などの当該技術分野で公知の因子によって変化し得る。特定の投与計画を本明細書中の実施例で記載するが、当業者は、投与計画を変更して、至適治療反応を提供することが可能であることを理解するであろう。例えば、複数の分割用量を毎日投与してもよいし、または治療状況の要件により示されるように用量を比例的に減少させることもできる。加えて、本開示の組成物は、至適治療反応を達成するために必要なだけ頻繁に投与することができる。
【0043】
本開示の組成物の産生における使用に適した脂質としては、これらに限定されるものではないが、天然および合成された(合成)脂質およびリン脂質、ホスファチジルコリン、スフィンゴミエリンホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、カルジオリピン;脂肪酸がホスファチジルコリンのグリセロール骨格のSN−1位置にエステル化されているホスファチジルコリン(ここで、この脂肪酸としては、これらに限定されるものではないが、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸およびステアリン酸が挙げられる);脂肪酸がホスファチジルコリンのグリセロール骨格のSN−2位置にエステル化されているホスファチジルコリン、(ここで、この脂肪酸としては、これらに限定されるものではないが、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸およびステアリン酸が挙げられる);グリセロール骨格のSN−1またはSN−2位置がエーテル結合により、テトラデカノール、ヘキサデカノールおよびオクタデカノールをはじめとする脂肪アルコールに結合しているホスファチジルコリンが挙げられ;コリンの代わりにリン酸基にエステル化されている部分が、エタノールアミン、セリン、グリセロールまたはイノシトールである、記載する様なリン脂質も含まれる。
【0044】
副腎不全に関連する状態を有する対象者は、多くの場合、HDL−CEレベルが低下している。そのような状態としては、これらに限定されるものではないが、全身性炎症反応症候群、感染、炎症、自己免疫疾患、関節炎疾患、敗血症、外傷、熱傷、肝疾患(例えば、肝炎、線維症、肝硬変、胆管過形成、胆管閉鎖症、臓器移植、重金属中毒)、および腎臓疾患が挙げられる。
【0045】
これらの疾患における主な病状ではないが、低下したHDL−CEは、コレステロールのステロイド産生組織への送達を減少させ、したがって、重要なグルココルチコイド、ホルモンおよび他のステロイドを産生する身体の能力を減少させる。副腎はコルチゾールを貯蔵せず、これは、コルチゾールの合成のためにHDL−CEにより供給されるコレステリルエステル由来のコレステロールに依存する。このステロイド産生能力の低下は、基礎症状を悪化させ、重度の合併症を招く可能性がある。本開示は、正常ないし高HDL−Cを有し得る患者において、外傷、重度の感染後または大手術前にある場合、これらの患者で通常起こるHDL−Cの著しい降下を防止するために、HDL−CEレベルを予防的に上昇させる方法を提供する。加えて、本開示は、HDL−Cレベルの低下を防止するために、外傷または重度の感染後に、目下、低下したHDL−Cレベルを有する患者を治療するための方法を提供する。
【0046】
LCATは、HDL−Cの遊離コレステロール成分のエステル化によりHDL−CEの産生に関与する。したがって、LCATレベルまたはLCAT活性を増大させると、ステロイド産生組織への送達に利用可能なHDL−CEの量が増大する。例えば、副腎への送達が増大し、それにより、コルチコステロイドの産生で用いられる副腎コレステロール貯蔵の補充が可能になる。LCATレベルおよび/またはLCAT活性は、任意の利用可能な手段により増大させることができる。
【0047】
コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)は、コレステリルエステルをHDLから超低密度リポタンパク質およびトリグリセリドのかわりにLDLへ移動させる。CETP活性はしたがってHDL−CEのレベルを低下させる。CETP阻害剤は、CEのHDLからの移動をブロックし、したがって、ステロイド産生組織への送達についてHDLで利用可能なCEの量を増大させる。CETP阻害剤としては、これらに限定されるものではないが、トルセトラピブ、アナセトラピブ、ダルセトラピブ(JTT−705)およびその全体が参照により本明細書中に組み込まれる米国特許第7,470,705号に記載されているものが挙げられる。
【0048】
患者におけるコレステリルエステルのレベルは、患者に対して有効量の本発明によるCDPを投与することにより増加させることもできる。特定の実施形態において、CDPは天然HDLである。別の実施形態において、CDPはrHDLである。さらに別の実施形態において、CDPはmHDLである。
【0049】
したがって、本開示は、ステロイド産生組織の脂質含有量を調節するための方法を提供する。別の実施形態において、脂質含有量は、有効用量のLCATを投与することにより調節される。特定の実施形態において、脂質含有量は、有効用量の、血漿LCAT活性を増大させる化合物を投与することにより調節される。別の実施形態において、脂質含有量は、有効用量のCETP阻害剤を投与することにより調節される。別の実施形態において、脂質含有量は、有効用量のCDPを投与することにより調節される。別の実施形態において、脂質含有量は、有効用量のCDPを投与することにより調節され、ここで、CDPは、rHDL、mHDL、または天然HDLである。特定の実施形態において、脂質含有量は、有効用量のrHDLを投与することにより調節される。別の実施形態において、脂質含有量は、有効用量のmHDLを投与することにより調節される。さらなる実施形態において、脂質含有量は、有効用量の天然HDLを投与することにより調節される。別の実施形態において、脂質含有量は、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、天然HDL、rHDL、mHDLおよびCETP阻害剤から独立して選択される2以上の薬剤を組み合わせて投与することにより調節される。2以上の薬剤は任意の順序で、例えば、同時にまたは連続して投与することができる。
【0050】
本開示の実施形態は、それを必要とする患者においてステロイド産生を増大させる方法であって:それを必要とする患者に対して、有効用量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含み、それによってステロイドレベルを増大させる方法である。特定の実施形態において、CDPは天然HDLである。別の実施形態において、CDPは再構成HDLである。別の実施形態において、CDPは模倣HDLである。1つの実施形態において、ステロイドはコルチコステロイドまたは性ホルモンである。別の実施形態において、ステロイドはコルチゾールである。さらなる実施形態において、ステロイドはアルドステロンである。さらに別の実施形態において、ステロイドはテストステロンである。さらに別の実施形態において、ステロイドはエストロゲンである。本開示のさらなる実施形態は、それを必要とする患者においてステロイド産生を増大させる方法であって:それを必要とする患者に対して、有効用量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含み、それによりステロイドレベルがほぼ正常レベルまで上昇する方法である。本開示の別の実施形態は、それを必要とする患者においてステロイド産生を増大させる方法であって:それを必要とする患者に対して、有効用量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含み、それによりステロイドレベルが正常レベル以上に上昇する方法である。
【0051】
本発明の1つの実施形態は、それを必要とする患者においてコルチゾールを増大させる方法であって:それを必要とする患者に対して、有効用量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、CDPは天然HDLである。別の実施形態において、CDPは再構成HDLである。別の実施形態において、CDPは模倣HDLである。別の実施形態において、薬剤はLCATである。別の実施形態において、薬剤は血漿LCAT活性を増大させる化合物である。
【0052】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴づけられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生により特徴づけられる。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生により特徴づけられる。
【0053】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴づけられる方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含む方法である。
【0054】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴づけられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDPからなる群から選択される薬剤、およびそれらの任意の組み合わせを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0055】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0056】
肝疾患としては、これらに限定されるものではないが、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症が挙げられる。したがって、本発明の1つの実施形態は、肝疾患を治療する方法であって、肝疾患が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量の、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、CDP、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される薬剤を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0057】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量のLCATを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴付けられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生である。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生である。
【0058】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して有効量のLCATを投与することを含む方法である。
【0059】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のLCATを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0060】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のLCATを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0061】
本発明の別の実施形態は、肝疾患を治療する方法であって、肝疾患が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量のLCATを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0062】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量の、血漿LCAT活性を増大させる化合物を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴付けられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生である。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生である。
【0063】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の、血漿LCAT活性を増大させる化合物を投与することを含む方法である。
【0064】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の、血漿LCAT活性を増大させる化合物を投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0065】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の血漿LCAT活性を増大させる化合物を投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0066】
本発明の別の実施形態は、肝疾患を治療する方法であって、肝疾患が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量の血漿LCAT活性を増大させる化合物を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0067】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴付けられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生である。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生である。
【0068】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。
【0069】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0070】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0071】
本発明の別の実施形態は、肝疾患を治療する方法であって、肝疾患が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0072】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量のCDPを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴付けられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生である。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生である。
【0073】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCDPを投与することを含む方法である。
【0074】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCDPを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0075】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCDPを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0076】
本発明の別の実施形態は、肝疾患を治療する方法であって、肝疾患が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量のCDPを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0077】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量の天然HDLを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴付けられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生である。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生である。
【0078】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の天然HDLを投与することを含む方法である。
【0079】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の天然HDLを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0080】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴づけられる状態を治療する方法であって、ここで、状態は慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量の天然HDLを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0081】
本発明の別の実施形態は、肝疾患を治療する方法であって、ここで、肝疾患は、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量の天然HDLを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0082】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量のrHDLを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴づけられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生である。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生である。
【0083】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴づけられる状態を治療する方法であって、ここで、状態は急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のrHDLを投与することを含む方法である。
【0084】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のrHDLを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0085】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のrHDLを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0086】
本発明の別の実施形態は肝疾患を治療する方法であり、肝疾患が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量のrHDLを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0087】
本開示による別の実施形態は、ステロイド産生組織の機能低下により特徴付けられる状態を治療する方法であって:それを必要とする患者に対して、有効量のmHDLを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、状態は副腎不全により特徴付けられる。別の実施形態において、状態は低テストステロン産生である。別の実施形態において、状態は低卵巣ホルモン産生である。
【0088】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のmHDLを投与することを含む方法である。
【0089】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられる状態を治療する方法であって、状態が急性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のmHDLを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、急性状態は全身性炎症反応症候群である。別の実施形態において、急性状態は感染である。別の実施形態において、状態は炎症である。さらに別の実施形態において、急性状態は敗血症である。さらに別の実施形態において、急性状態は外傷である。別の実施形態において、急性状態は熱傷である。さらに別の実施形態において、急性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、急性状態は腎臓疾患である。別の実施形態において、急性状態は臓器移植である。さらに別の実施形態において、急性状態は重金属中毒である。
【0090】
本開示による別の実施形態は、副腎不全により特徴づけられる状態を治療する方法であって、状態が慢性状態であり、それを必要とする患者に対して、有効量のmHDLを投与することを含む方法である。1つの実施形態において、慢性状態は自己免疫疾患である。別の実施形態において、慢性状態は関節炎疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は肝疾患である。さらに別の実施形態において、慢性状態は腎臓疾患である。
【0091】
本発明の別の実施形態は、肝疾患を治療する方法であって、肝疾患が、肝炎、肝腎症候群、線維症、肝硬変、胆管過形成、または胆管閉鎖症であり、それを必要とする患者に対して、有効量のmHDLを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、肝疾患は肝炎である。別の実施形態において、肝疾患は肝腎症候群である。さらに別の実施形態において、肝疾患は線維症である。さらに別の実施形態において、肝疾患は肝硬変である。別の実施形態において、肝疾患は胆管過形成である。別の実施形態において、肝疾患は胆管閉鎖症である。
【0092】
ある状態では、HDL−CEの量を正常までまたは正常レベル以上に直ちに増大させ、次いでHDL−CEの正常または増大したレベルを維持することが望ましい可能性がある。そのような状態は、一般的に、敗血症、大手術外傷、または重度の熱傷などの急性状態である。当業者は、どの状態が、HDL−CEの量を直ちに増大することを必要とするかを理解するであろう。したがって、本開示の実施形態は、それを必要とする対象者に対して、有効量のCDPを初回量として投与し、そしてその対象者に、所望のレベルのHDL−CEを維持するために十分な量のLCATを同時にまたは続いて投与することを含む。好ましい実施形態において、HDL−Cの所望の血漿レベルは、35mg/dlよりも高い。
【0093】
別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられるか、または副腎不全に至る可能性がある状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効量のCDPを初回量として投与し、次いで所望のレベルのHDL−CEを維持するために十分な量のLCATを投与することを含む方法である。特定の実施形態は、敗血症を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、初回量として有効量のCDPを投与し、次いで所望のレベルのHDL−CEを維持するために十分な量のLCATを投与することを含む方法である。好ましい実施形態において、HDL−Cの所望の血漿レベルは35mg/dlよりも高い。
【0094】
本開示の別の実施形態は、初回量として有効量のCDPを投与し、次いで所望のレベルのHDL−CEを維持するために十分な量のCETP阻害剤を投与することを含む。別の実施形態は、副腎不全により特徴付けられるか、または副腎不全に至る可能性がある状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、初回量として有効量のCDPを投与し、次いで所望のレベルのHDL−CEを維持するために十分な量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。特定の実施形態は、敗血症を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、初回量として有効量のCDPを投与し、次いで所望のレベルのHDL−CEを維持するために十分な量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。
【0095】
全身性炎症反応症候群(SIRS)を発症する患者は、しばしばHDL−CEのレベルが低下している。HDL−CEのレベルが低下した患者は、正常レベルのHDL−CEの者よりも予後が悪い。したがって、本発明の実施形態は、全身性炎症反応症候群を治療する方法であって、全身性炎症反応症候群の患者に対して、有効量のLCATを投与することを含む方法である。特定の実施形態において、LCATの有効量は、正常レベルのHDL−CEを維持するために十分な量である。別の実施形態において、LCATの有効量は、HDL−CEのレベルを正常レベル以上に増大させるために十分な量である。SIRSに関連する状態としては、これらに限定されるものではないが、敗血症、感染、外傷(手術を含む)、熱傷および膵炎が挙げられる。したがって、本開示の実施形態は、敗血症、感染、外傷、外科手術による外傷、熱傷、または膵炎の患者を治療する方法であって、有効量のLCATを投与することを含む方法である。
【0096】
本発明の別の実施形態は、全身性炎症反応症候群を治療する方法であって、全身性炎症反応症候群の患者に対して、有効量のCETP阻害剤を投与することを含む方法である。特定の実施形態において、CETP阻害剤の有効量は、正常レベルのHDL−CEを維持するために十分な量である。別の実施形態において、CETP阻害剤の有効量は、HDL−CEのレベルを正常レベル以上に増大させるために十分な量である。
【0097】
医師などの当業者は、状態および状態の重篤度に応じて、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CETP阻害剤、およびCDPの様々な組み合わせを投与し得ることを理解するであろう。当業者は、どの組み合わせが適切であるかを決定することができる。例えば、医師は、発作の重篤度に応じて、LCATとCDP、またはLCATとCETP阻害剤、またはCDPとCETP阻害剤を投与することを決定することができる。別法として、患者に、まだ病院救命医療ユニット内にいる間にLCATを投与し(静脈内経路を必要とする)、その後、CETP阻害剤(経口投与される)を安定化するまで数日間または数週間摂取するように指示して退院させることができる。
【0098】
感染、炎症、自己免疫疾患、関節炎疾患、敗血症、外傷、熱傷、肝疾患心疾患および腎臓疾患などの状態は、場合によって、精巣機能不全の結果としての低テストステロンレベルを伴う。低テストステロンレベルは、低テストステロン症候群(または男性更年期障害)、勃起不全および他の状態に至る可能性がある。精巣中のライディッヒ細胞への送達に利用可能なHDL−CEの量を増大させることは、精巣コレステロール貯蔵の補充およびテストステロン産生の正常化を可能にする。したがって、本開示による別の実施形態は、低テストステロン産生により特徴付けられる状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効用量の、CETP阻害剤、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CDP、またはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む方法である。
【0099】
本開示による別の実施形態は、低卵巣ホルモン産生により特徴付けられる状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に対して、有効用量の、CETP阻害剤、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CDP、またはそれらの任意の組み合わせを投与することを含む方法である。
【0100】
本開示によるLCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CDPおよびCETP阻害剤を、他の薬剤との併用療法で用いることができる。そのような療法としては、これらに限定されるものではないが、関与する医薬の同時または連続投与が挙げられる。例えば、LCAT処方を、特定の状態の治療の標準として通常用いられる医薬とともに投与することができる。
【0101】
処方
本開示の方法で投与される、LCAT、血漿LCAT活性を増大させる化合物、CDP、およびCETP阻害剤は、医薬組成物として処方することができ、ヒト患者などのほ乳動物対象者に、選択された投与経路、すなわち、経口、非経口、静脈内、筋肉内または皮下経路による投与経路に適した種々の形態で投与することができる。
【0102】
本開示の化合物の送達に適した医薬組成物およびその調製法は、当業者には容易に明らかになるであろう。そのような組成物およびその調製法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)で見いだすことができる。
【0103】
経口投与に好適な投与形態としては、例えば、固体系、半固体系および、例えばハードもしくはソフトシェルゼラチンカプセル中などの液体系、錠剤、液体、粉末、ロゼンジ(液体入のものを含む)、咀嚼錠(chew)、ゲル、フィルム、オビュール剤(ovule)、スプレー、エリキシル、懸濁液、シロップ、口腔/粘膜付着性パッチなどが挙げられる。
【0104】
経口投与形態は、例えば、以下のものを含み得る:バインダー、例えばトラガカントゴム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸など;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;および甘味料、例えば、スクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームまたは矯味矯臭剤、例えばペパーミント、冬緑油、もしくはチェリー香味料を添加することができる。単位投与形態がカプセルである場合、これは、前記種類の材料に加えて、液体担体、例えば植物油またはポリエチレングリコールを含有し得る。種々の他の材料が、コーティングとして、または他の方法で固体単位投与形態の物理的形態を修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルを、ゼラチン、ワックス、シェラックまたは糖等でコーティングしてもよい。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、甘味料としてのスクロースまたはフルクトース、防腐剤としてのメチルおよびプロピルパラベン、色素ならびに香味料、例えばチェリーまたはオレンジフレーバーを含有してもよい。もちろん、任意の単位投与形態の調製で使用される任意の材料は、薬剤的に許容され、かつ用いられる量で実質的に非毒性でなければならない。加えて、活性化合物を徐放性製剤およびデバイス中に組み入れることができる。活性化合物はさらに、注入または注射により静脈内または腹腔内投与することもできる。活性化合物またはその塩の溶液は、場合によって非毒性界面活性剤と混合した水中で調製することができる。分散液はさらに、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびそれらの混合物中ならびに油中で調製することもできる。通常の貯蔵および使用条件下で、これらの製剤は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有する。
【0105】
注射または注入に適した医薬投与形態は、場合によってリポソーム中に封入された、注射可能もしくは注入可能な滅菌溶液もしくは分散液の即時調製に適した、活性成分を含む滅菌水溶液または分散液または滅菌粉末を含み得る。すべての場合において、最終的な投与形態は、製造および貯蔵条件下で、無菌、流動性および安定でなければならない。液体担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または液体分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によるか、分散液の場合は、必要とされる粒子サイズの維持によるか、または界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの種々の抗菌剤および抗真菌剤により達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含めるのが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物において使用することにより達成することができる。
【0106】
投薬量
本開示の実施形態では、LCATを皮下注射により投与する。別の実施形態では、LCATを筋肉内注射により投与する。別の実施形態では、LCATを静脈内注射または注入により投与する。いくつかの実施形態において、LCATは、患者が皮下または筋肉内注射のいずれかにより自己投与する。LCATの自己投与は、これらに限定されるものではないが、自己免疫疾患、関節炎疾患、および慢性肝疾患をはじめとする慢性治療の好ましい実施形態である。
【0107】
LCATの有効な1日量は、1mg〜5000mg、または1mg〜2000mg、または10mg〜5000mg、または10mg〜1000mg、10mg〜500mgまたは5〜100mgである。
【0108】
本開示の実施形態において、CDPを皮下注射により投与する。別の実施形態において、CDPを筋肉内注射により投与する。別の実施形態において、CDPを静脈内注射または注入により投与する。CDPの有効量は100mg〜5000mgの間、または200mg〜20,000mgの間、または250mg〜10,000mgの間または250mg〜2000mgの間、または500mg〜5000mgの間、250mg〜1000mgの間、または500mg〜5000mgの間または500mg〜10,000mgの間である。CETP阻害剤の有効量は、投与される特定のCETP阻害剤に基づいて変化し得る。CETP阻害剤の有効用量は、1〜5000mg/日の間、10〜1000mg/日の間、約10〜500mg/日の間または1〜250mg/日の間である。使用される特定の投薬量はさまざまである可能性がある。例えば、投薬量は、これらに限定されるものではないが、投薬頻度、組換えLCAT酵素の比活性、患者の体重、患者の特別な要件、患者の特別な状態(例えば、腎臓または肝臓機能異常)、治療される状態などをはじめとする多くの因子に依存する可能性がある。投薬頻度および量は、医師の裁量で、本明細書中で記載する典型的な範囲を逸脱する可能性がある。これらの投薬量は、体重70kgの平均的ヒト対象者を基準とする。特定の患者の至適投与量の決定は、当業者には周知である。医師は、その体重がこの範囲外になる対象者、例えば幼児または高齢者についての用量を容易に決定することができるであろう。
【0109】
障害および治療される患者に応じて、当業者(すなわち、医師)は、患者の状態に応じて薬剤(複数可)の適切な用量を決定することができる。例えば、敗血症を呈する患者について、医師は、初回量のCDPを投与して、HDL−Cレベルを急速に所望のレベルまで上昇させ、その処置後にHDL−Cの所望のレベルを維持するための薬剤で処置することができる。
【0110】
特定の用量の有効性を、HDL−Cにおける変化またはある生理的パラメータにおける改善に留意することにより評価することができる。好適な生理的パラメータとしては、これらに限定されるものではないが、ACTHに対する改善されたコルチゾール応答、改善されたコルチゾールレベル、ステロイド、例えばコルチコステロイド、グルココルチコイド、コルチゾール、テストステロン、エストロゲンの循環レベルにおける変化、減少した炎症性サイトカイン、および改善された肝臓機能が挙げられる。
【0111】
例えば、1つの薬剤または薬剤の組み合わせの治療有効量は、HDL−Cのレベルを増加させるため、および/またはHDL−Cのレベルを、30mg/dl以上、または35mg/dl以上、または40mg/dl以上、または45mg/dl以上、または50mg/dl以上に維持するために必要な量であり得る。好ましくは、HDL−Cのレベルは、35mg/dl以上である。または例えば、1つの薬剤または薬剤の組み合わせの治療有効量は、コルチゾールレベルを15μg/dl以上、または20μg/dl以上、または25μg/dl以上または30μg/dl以上または35μg/dl以上に上昇させるかまたは維持するために必要な量であり得る。好ましくは、コルチゾールレベルは25μg/dl以上である。
【0112】
前述のバイオマーカーレベルおよびパラメータの測定は、当該技術分野で周知の方法を用いて測定することができる。例えば、HDL−CEレベルにおける変化は、標準的臨床検査法で容易に検出することができる。同様に、ACTHに対する副腎応答の測定は、副腎不全が疑われる患者において通常用いられる。当業者は、結果の重要性を理解し、前述のものなどの評価に基づいて用量を選択し、調節することができる。
【0113】
化合物、組成物および方法の実施形態を以下の実施例で説明する。これらの実施例は、説明の目的で提供し、本開示の化合物、組成物および方法の範囲に対する制限とみなされない。本発明の範囲は、具体的に記載した実施形態および実施例によるのではなく、むしろ請求の範囲により規定されるべきである。
【0114】
アッセイ
本発明の薬剤の有効性は、任意の好適な方法により決定することができる。例えば、本発明の薬剤または組成物の活性を決定するための1つの方法は、種々の実験条件下でコルチゾール産生を測定することにより、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に対する副腎応答を測定するACTH刺激アッセイを用いることによる。例えば、ウサギにクロトン油を筋肉内注射すると、注射後3日以内に急性炎症反応および50%を越える血漿HDLの減少が起こる。観察される炎症反応およびHDLの減少は、副腎不全を発症する危険性のある救命医療患者で観察される状態と類似している。このウサギモデルを用いて、本発明の薬剤の有効性を、ストレスを受けた低HDLのウサギにおいて薬剤の投与に反応したコルチゾール応答の回復を測定することにより評価することができる。以下の実験手順を、具体的な非限定的例として提供する。
【0115】
治療の3日前に、24匹のウサギに0.1mlのACTH(1mg/ml)を注射し、コルチゾールを刺激後0.5、1、2、および3時間で測定する。動物を次に、ACTH攻撃に対するコルチゾール応答に基づいて、次の様にグループに分ける:負の対照群(生理食塩水)、正の対照群(クロトン油のみ)、クロトン油+10mg/kgのLCAT、クロトン油+30mg/kgのLCAT、クロトン油+50mg/kgのLCAT、クロトン油+10mg/kgのrHDL、クロトン油+30mg/kgのrHDL、クロトン油+50mg/kgのrHDL。0時で、各群にクロトン油または生理食塩水のIM注射を投与する(負の対照群)。72および96時間に、動物を生理食塩水またはLCATまたはrHDLで処置する。98時間(最後の処置の2時間後)に、全ての動物に0.1mlのACTH(1mg/ml)を注射し、コルチゾールをACTH攻撃後0.5、1、2、および3時間で測定する。正の対照群の動物(クロトン油のみ)は、負の対照群と比べて著明に低下したコルチゾール産生を示すことが予想される。各用量での薬剤の有効性を、対照群のコルチゾールレベルと比較することにより測定する。
【0116】
同様に、本発明による薬剤の効果を、当該技術分野で公知のアッセイを用いて低テストステロン産生または低卵巣ホルモン産生の治療における有効性について評価することができる。
【0117】
実施例
実施例1
患者を大手術のために病院に入院させる。患者のHDL−Cレベルは25mg/dlである。疫学調査に基づくと、この患者は手術後の感染および院内死の危険性が有意に増加している。患者に40mgの用量のLCATを手術の24時間前に投与する。患者のHDL−Cを手術前に測定すると、今度は50mg/dlを越え、従って、処置後の感染および/または死の危険性が大幅に低下する。
【0118】
実施例2
熱傷の犠牲者を入院中に12mg/dlのレベルのHDL−Cで安定させる。疫学調査に基づくと、この患者がショック状態になり、死亡する危険性は、患者の副腎がコルチコステロイドを産生する能力が低下するために、その後の数日で大幅に増加する。患者にrHDLを25mg/kgの用量で5時間にわたって注入し、患者のHDL−Cを50mg/dl上昇させる。HDLのこのレベルを維持するために、患者に60mgの用量のLCATを投与する。コルチゾールレベルを定期的にモニターして、副腎機能が正常化されるかどうかを確認する。副腎機能が依然として低い場合、さらなる用量のrHDLまたはLCATを投与することができる。
【0119】
実施例3
腹部損傷を有する自動車事故の犠牲者が病院に搬送される。患者のHDLは55mg/dlである。HDLは通常、外傷後に降下するので、医師は、患者が完全に安定するまで、150mg/日のアナセトラピブおよびLCATの注射(40mg)を5日ごとに処方する。この治療により、回復期全体にわたって患者のHDLは>75mg/dlで維持された。副腎機能が維持された。
【0120】
実施例4
患者は敗血症性ショックを起こし始めている。コルチゾールレベルは<25μg/dlである。患者に天然HDLを25mg/kgの用量で5時間にわたって注入する。患者のHDL−Cレベルは50mg/dl増加する。HDL−Cのこのレベルを維持するために、患者に60mgのボーラスのLCATを投与する。HDL−CEの維持を助けるために、患者にトルセプトラピブ(torceptrapib)(120mg、1日2回)も投与する。患者に、回復期中、毎日トルセプトラピブおよび毎週LCAT注射を継続する。コルチゾールレベルをモニターして、副腎機能が正常化されるかどうかを判定する。トルセプトラピブおよびLCATの用量を必要に応じて調節する。
【0121】
実施例5
患者は、嗜眠およびインポテンスを訴えている。患者のテストステロンレベルは低く、HDL−Cは25mg/dlである。医師は、アナセトラピブを150mg/日の用量で処方する。4週間後に、患者のテストステロンレベルを再検査すると、今度は正常レベル内にある。患者の最初の病状は存在しない。
【0122】
実施例6
rHDLの調製。
1モル部のホスファチジルコリン、0.2モル部のコレステロールおよび0.1モル部のコレステリルエステルの水性懸濁液を、Song et al, Int J Biol Sci 5:637-646で記載されているように、アポリポタンパク質A−Iを含有する水溶液中で超音波処理する。脂質を溶媒または溶媒混合物中に共溶解(co−dissolve)させる。溶媒を蒸発および真空により除去する。アポリポタンパク質A−Iの水溶液を乾燥脂質に(100モル部のリン脂質に対して1モル部のアポリポタンパク質A−Iで)添加する。タンパク質および脂質を超音波処理により分散させて、rHDLを得る。
【0123】
実施例7
rHDLの調製のための代替プロセス。
ホスファチジルコリン、コレステロールおよびコレステリルエステルの凍結乾燥されたケーキを、アポリポタンパク質A−Iを含有する水溶液で再水和する。ケーキは、前述のように、1モル部のホスファチジルコリン、0〜0.5モル部のコレステロールおよび0〜0.5モル部のコレステリルエステルのモル比のリン脂質、コレステロールおよびコレステリルエステルから構成される。凍結乾燥されたケーキは、凍結乾燥に適した温度で固体を形成する溶媒(例えば、ジオキサン)中に溶解させることによって形成される。凍結乾燥されたケーキを、25〜250モル部のリン脂質につき1モル部のアポリポタンパク質A−Iを含有するアポリポタンパク質A−Iの水溶液中で再水和させる。加熱、超音波処理またはミクロポアフィルターを通過させるなどの均質化技術が、安定かつ均一なサイズのrHDLを得るために必要であり得る。
【0124】
実施例8
mHDLの調製。
1モル部のホスファチジルコリン、0〜0.5モル部のコレステロール、0〜0.5モル部のコレステリルエステルおよび0.1〜1モル部のペプチドの凍結乾燥されたケーキを、ジオキサン単独またはペプチド溶解を助けるためにメタノールもしくは酢酸などのさらなる溶媒を含むジオキサン中に溶解させる。溶液を凍結乾燥する。結果として得られる乾燥したケーキを水性塩溶液中で再構成する。再構成プロセスは、加熱、超音波処理またはミクロポアフィルターを通して安定かつ均一なサイズのmHDLを得ることなどの均質化技術を必要とし得る。