【実施例】
【0073】
製造の一般的な手順:
本発明の化合物を、例えば下記の通り製造することができる。n、m、R
1、R
2が上で定義した通りであり、R
3=OCF
2Hである一般式IIaおよびIIbの化合物を、下記の通り製造することができる。
【化3】
【0074】
式3aの出発物質は、当業者に既知の標準的な手順に従って製造される(国際公開第2008/104175号)。硫黄求核剤、例えばt−ドデシルメルカプタンを用いた式3aの化合物の選択的脱アルキル化により、式4aの化合物が得られる。
【0075】
塩基、例えばK
2CO
3の存在下、適当な溶媒中、例えばDMF中、室温から140℃の温度での、式4aの化合物とクロロジフルオロ酢酸ナトリウムとの反応により、式IIaの化合物が得られる。
【0076】
適当な溶媒中、例えばDCM中の3−クロロ過安息香酸またはH
2O
2/メチルトリオキソレニウム(VII)による式IIaの化合物の酸化により、一般式IIbの化合物が得られる。
【0077】
X=−NH−である一般式Iの化合物を、例えば国際公開第2008/104175号(言及することによって本明細書に組み込まれる)に記載された通りに、および本明細書の実施例10および実施例11に記載される通りに製造することができる。
【0078】
製造法1:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ヒドロキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),3'−オキセタン]−6−イル}エタノン(化合物401)
【化4】
無水DMF(4ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−メトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),3'−オキセタン]−6−イル}エタノン(272mg, 0.7mmol)の溶液に、K
2CO
3(916mg, 7mmol)およびt−ドデシルメルカプタン(3.12ml, 13mmol)を加えた。混合物を、撹拌しながら、密封管中、140℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(20ml)を加えた。4N HClで中和した後、混合物をDCMで抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、生成物401を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.65 (s, 2H), 7.36 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.68 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.64 (s, 2H), 4.54 (s, 2H), 4.53-4.42 (m, 4H), 4.33 (s, 2H).
【0079】
実施例1:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ジフルオロメトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),3'−オキセタン]−6−イル}エタノン(化合物101)
【化5】
DMF(12ml)および水(1.3ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ヒドロキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),3'−オキセタン]−6−イル}エタノン[401](1.66g, 4.2mmol)の溶液に、K
2CO
3(1.45g, 10.5mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(1.28g, 8.4mmol)を加えた。混合物を、アルゴン下、撹拌しながら、密封管中、100℃で1.5時間加熱した。さらに950mgのクロロジフルオロ酢酸ナトリウムを加え、加熱を1時間続けた。さらに950mgのクロロジフルオロ酢酸ナトリウムおよび1.45gのK
2CO
3を加え、加熱を5時間続けた。さらに950mgのクロロジフルオロ酢酸ナトリウムおよび1.45gのK
2CO
3を加え、加熱を2時間続けた。混合物を室温まで冷却し、水(200ml)を加え、4N HClを用いてpHを3に調節した。混合物をDCMで抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、793mgの生成物101を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.51 (s, 2H), 7.46 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.64 (t, J = 74 Hz, 1H), 4.68 - 4.56 (m, 8H), 4.56 - 4.46 (bs, 2H).
【0080】
実施例2:
2−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−4−イル)−1−{9−ジフルオロメトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),3'−オキセタン]−6−イル}エタノン(化合物102)
【化6】
DCM(15ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ジフルオロメトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),3'−オキセタン]−6−イル}エタノン[101](792mg, 1.8mmol)の溶液に、3−クロロ過安息香酸(1.2g, 7mmol)を加え、混合物を室温で4時間撹拌した。さらに3−クロロ過安息香酸(0.6g, 3.5mmol)を加え、撹拌を16時間続けた。反応混合物を、Na
2CO
3で、続いて塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、ほぼ純粋な生成物を得た。続いてこれをEtOAc中に懸濁し、濾過し、464mgの生成物102を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.22 (s, 2H), 7.47 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.97 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.63 (t, J=74Hz, 1H), 4.70 - 4.59 (m, 6H), 4.56 (bs, 2H), 4.52 (bs, 2H).
【0081】
製造法2:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ヒドロキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),4'−テトラヒドロピラン]−6−イル}エタノン(化合物402)
【化7】
無水DMF(6ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−メトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),4'−テトラヒドロピラン]−6−イル}エタノン(351mg, 0.8mmol)の溶液に、K
2CO
3(1.1g, 8mmol)およびt−ドデシルメルカプタン(3.8ml, 16mmol)を加えた。混合物を、撹拌しながら、密封管中、140℃で22時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水を加えた。4N HClで中和した後、混合物をDCM(2×50ml)で抽出した。合わせた有機相を2N NaOHで2回抽出した。水相をDCMで2回洗浄し、4N HClで中和し、最後にDCMで抽出した。有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、生成物402を黄色の粉末として得た(118mg)。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.49 (s, 2H), 7.51 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.70 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.30 (s, 1H), 4.60 (s, 2H), 4.27 (s, 2H), 4.21 (s, 2H), 3.91 - 3.55 (m, 4H), 1.76 (t, J = 5.5 Hz, 4H).
【0082】
実施例3:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ジフルオロメトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),4'−テトラヒドロピラン]−6−イル}エタノン(化合物103)
【化8】
無水DMF(6ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ヒドロキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),4'−テトラヒドロピラン]−6−イル}エタノン[402](118mg, 0.28mmol)の溶液に、K
2CO
3(76mg, 0.55mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(84mg, 0.55mmol)を加えた。混合物を、アルゴン下、撹拌しながら、密封管中、100℃で1.5時間加熱した。さらにK
2CO
3(76mg, 0.55mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(84mg, 0.55mmol)を加え、撹拌を80℃で6時間続けた。混合物を室温まで冷却し、水を加え、混合物を4N HClを用いて中和した。混合物をDCMで抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、40mgの生成物103を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.50 (s, 2H), 7.44 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.63 (t, J= 74Hz, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.27 (s, 2H), 4.22 (s, 2H), 3.87 - 3.58 (m, 4H), 1.85 - 1.62 (m, 4H).
【0083】
実施例4:
2−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−4−イル)−1−{9−ジフルオロメトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),4'−テトラヒドロピラン]−6−イル}エタノン(化合物104)
【化9】
DCM(3ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−{9−ジフルオロメトキシ−スピロ[2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3(4H),4'−テトラヒドロピラン]−6−イル}エタノン[103](37mg, 0.08mmol)の溶液に、3−クロロ過安息香酸(54mg, 0.3mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。さらに3−クロロ過安息香酸(27mg, 0.18mmol)を加え、撹拌を5時間続けた。反応混合物を、Na
2CO
3で、続いて塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、33mgの生成物104を得た。
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 8.21 (s, 2H), 7.45 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.93 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.64 (t, J=74Hz, 1H), 4.55 (s, 2H), 4.28 (s, 2H), 4.24 (s, 2H), 3.86 - 3.61 (m, 4H), 1.89 - 1.64 (m, 4H).
【0084】
製造法3:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ヒドロキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−ピラン]−4−イル)エタノン(化合物403)
【化10】
無水DMF(5ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−メトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−ピラン]−4−イル)エタノン(325mg, 0.8mmol)の溶液に、K
2CO
3(1.1g, 8mmol)およびt−ドデシルメルカプタン(3.7ml, 16mmol)を加えた。混合物を、撹拌しながら、密封管中、140℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水を加えた。4N HClで中和した後、混合物をDCM(2×50ml)で抽出した。合わせた有機相を2N NaOHで2回抽出した。水相をDCMで2回洗浄し、4N HClで中和し、最後にDCM(3×75ml)で抽出した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより生成物403を白色の粉末として得た(192mg)。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.65 (s, 2H), 7.95 (s, 1H), 7.25 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.59 (s, 2H), 3.92 - 3.67 (m, 4H), 2.21 - 1.94 (m, 4H).
【0085】
実施例5:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−ピラン]−4−イル)エタノン(化合物105)
【化11】
無水DMF(10ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ヒドロキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−ピラン]−4−イル)エタノン[403](188mg, 0.47mmol)の溶液に、K
2CO
3(98mg, 0.7mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(108.5mg, 0.7mmol)を加えた。混合物を、アルゴン下、撹拌しながら、密封管中、100℃で45分間加熱した。さらにK
2CO
3(65mg, 0.47mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(72mg, 0.47mmol)を加え、撹拌を100℃で30分間続けた。混合物を室温まで冷却し、濾過し、減圧下で蒸発乾固した。HPLC精製により、89mgの生成物105を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.52 (s, 2H), 7.46 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.81 (d, J=9.0, 1H), 6.74 (t, J=73Hz, 1H), 4.60 (s, 2H), 4.05 - 3.83 (m, 4H), 2.21 (t, J = 5.5 Hz, 4H).
【0086】
実施例6:
2−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−4−イル)−1−(7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−ピラン]−4−イル)エタノン(化合物106)
【化12】
ジクロロメタン(4ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−ピラン]−4−イル)エタノン[105](89mg, 0.2mmol)の溶液に、30% H
2O
2(68μl, 0.6mmol)およびメチルトリオキソレニウム(VII)(25mg)を加えた。混合物を室温で一夜撹拌し、MnO
2(5mg)を加え、10分間撹拌した。濾過して減圧下で蒸発乾固した後、標準的HPLC精製により、33mgの生成物106を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.22 (s, 2H), 7.46 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.81 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.74 (t, J= 73Hz, 1H), 4.53 (s, 2H), 4.08 - 3.88 (m, 4H) 2.21 (t, J = 5.5 Hz, 4H).
【0087】
製造法4:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ヒドロキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−イル)エタノン(化合物404)
【化13】
無水DMF(80ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−メトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−イル)エタノン(8.3g, 19.5mmol)の溶液に、K
2CO
3(27g, 195mmol)およびt−ドデシルメルカプタン(92ml, 390mmol)を加えた。混合物を、撹拌しながら、密封管中、140℃で21時間加熱した。さらにK
2CO
3(13g)およびt−ドデシルメルカプタン(45ml)を加えた。撹拌をさらに5時間続けた。混合物を室温まで冷却し、水を加えた。4N HClで中和した後、混合物をDCM(3×200ml)で抽出した。合わせた有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。フラッシュクロマトグラフィーにより、粗生成物を得た。これをDCMに再度溶解し、続いて2N NaOHで2回抽出した。水相をDCMで2回洗浄し、4N HClで中和し、最後にDCM(3×150ml)で抽出した。有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、2.56gの生成物404を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.52 (s, 2H), 7.38 (d, J = 9.0Hz, 1H), 6.54 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.60 (s, 2H), 2.94 - 2.77 (m, 4H), 2.46 - 2.15 (m, 4H).
【0088】
実施例7:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2
,4'−(4H)−チオピラン]−4−イル)エタノン(化合物107)
【化14】
無水DMF(120ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ヒドロキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−イル)エタノン[404](4.27g, 10.4mmol)の溶液に、K
2CO
3(2.16g, 15.6mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(2.47g, 15.6mmol)を加えた。混合物を、アルゴン下、撹拌しながら、100℃で40分間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水(500ml)を加え、EtOAc(2×400ml)で抽出した。合わせた有機相を、水(500ml)で、そして飽和NaCl溶液(150ml)で洗浄し、続いてNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、2.64gの生成物107を黄色〜白の粉末として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.67 (s, 2H), 7.61 - 7.09 (m, 2H), 6.93 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.67 (s, 2H), 3.05 - 2.74 (m, 4H), 2.42 - 2.16 (m, 4H).
【0089】
実施例8:
2−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−4−イル)−1−(7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン−1',1'−ジオキシド]−4−イル)エタノン(化合物108)
【化15】
クロロホルム(40ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−イル)エタノン[107](2.64g, 5.7mmol)の溶液に、21℃から24℃の間の温度に保ちながら、クロロホルム(50ml)中の3−クロロ過安息香酸(5.76g, 25.7mmol)の溶液をゆっくりと加えた。混合物を室温で19時間撹拌し、NaHCO
3水溶液に加えた。有機相をNaCl水溶液で洗浄した。水相をDCMで抽出した。合わせた有機相をNa
2SO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、1.95gの生成物108を白色の粉末として得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.23 (s, 2H), 7.52 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.89 (d, J= 9.1Hz, 1H), 6.70 (t, J=72Hz ,1H), 4.48 (s, 2H), 3.50 - 3.18 (m, 4H), 2.83 - 2.55 (m, 4H).
【0090】
製造法5:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ヒドロキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン−1',1'−ジオキシド]−4−イル)エタノン(化合物405)
【化16】
無水DMF(10ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−メトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン−1',1'−ジオキシド]−4−イル)エタノン(415mg, 0.91mmol)の溶液に、K
2CO
3(1.25g, 9.1mmol)およびt−ドデシルメルカプタン(4.3ml, 18mmol)を加えた。混合物を、撹拌しながら、密封管中、140℃で16時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、水を加えた。4N HClで中和した後、混合物をEtOAc(2×50ml)で抽出した。合わせた有機相を2N NaOHで2回抽出した。水相をEtOAcで2回洗浄し、4N HClで中和し、最後にEtOAc(2×100ml)で抽出した。有機相を塩水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、204mgの生成物405を得る。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 8.65 (s, 2H), 7.95 (s, 1H), 7.28 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.59 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.64 (s, 2H), 3.6-3.3 (m, 4H), 2.65 - 2.50 (m, 4H).
【0091】
実施例9:
2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン−1',1'−ジオキシド]−4−イル)エタノン(化合物109)
【化17】
無水DMF(10ml)中の2−(3,5−ジクロロピリジン−4−イル)−1−(7−ヒドロキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン−1',1'−ジオキシド]−4−イル)エタノン[405](202mg, 0.45mmol)の溶液に、K
2CO
3(126mg, 0.9mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(139mg, 0.9mmol)を加えた。混合物を、アルゴン下、撹拌しながら、100℃で1時間加熱した。さらにK
2CO
3(63mg, 0.45mmol)およびクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(69mg, 0.45mmol)を加え、反応物をさらに1時間加熱した。混合物を室温まで冷却し、濾過し、減圧下で蒸発乾固した。クロマトグラフィーにより、69mgの生成物109を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.53 (s, 2H), 7.52 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.89 (d, J~9Hz, 1H), 6.69 (t, J= 72Hz, 1H), 4.56 (s, 2H), 3.56 - 3.15 (m, 4H), 2.91 - 2.50 (m, 4H).
【0092】
製造法6:
7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボン酸
【化18】
7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボン酸メチル(437mg)を、メタノール(5ml)およびTHF(5ml)の混合物に溶解し、1M 水酸化リチウム水溶液(3.9ml)を加えた。50℃で1時間後にエステルが切断された。溶液を室温まで冷却し、2N 硫酸(1.95ml)で酸性にして、生成物をEtOAcで抽出した。減圧下で溶媒を除去した後、7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボン酸を得た。
【0093】
製造法7:
4−ニトロフェニル 7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボキシレート
【化19】
7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボン酸(344mg)を、乾燥DMF(3ml)に溶解した。4−ニトロフェノール(226mg)、エチル−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩(312mg)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(198mg)を加えた。室温で20時間撹拌した後、tert−ブチル メチル エーテルで水性後処理し、ペンタン中0〜40% EtOAcの濃度勾配で、有機物についてクロマトグラフィーを行い、表題化合物を油状物として得た。
【0094】
実施例10:
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボアミド
【化20】
4−ニトロフェニル 7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボキシレート(250mg)および3,5−ジクロロ−4−アミノピリジン(129mg)を、アルゴン下、乾燥THF(5ml)に溶解した。水素化ナトリウム(油中50%懸濁液, 40mg)を加え、混合物を一夜撹拌した。EtOAcで水性後処理し、ペンタン中0〜60% EtOAcの濃度勾配でクロマトグラフィーを行い、表題化合物を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl
3) δ 8.64 (s, 1H), 8.57 (s, 2H), 7.63 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.73 (t, J = 72Hz, 1H), 3.03 - 2.81 (m, 4H), 2.49 - 2.29 (m, 4H).
【0095】
実施例11:
N−(3,5−ジクロロ−1−オキソ−4−ピリジル)−7−(ジフルオロメトキシ)−1',1'−ジオキソ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−チアン]−4−カルボキサミド
【化21】
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−7−ジフルオロメトキシ−2',3',5',6'−テトラヒドロ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−(4H)−チオピラン]−4−カルボアミド(157mg)を、蟻酸(1ml)に溶解し、氷上で冷却した。撹拌しながら、過酸化水素(約50%)(0.260ml)を滴下した。得られた溶液を室温で一夜保った。溶液を水に注ぎ、DCMで3回抽出した。抽出物を減圧下で濃縮し、クロマトグラフィーによって、DCM中0〜10% メタノールの濃度勾配で精製し、表題化合物を得た。
1H NMR (300 MHz, DMSO) δ 9.46 (s, 1H), 8.76 (s, 2H), 7.46 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.39 (t, J = 73,5 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 3.76 - 3.56 (m, 2H), 3.34 (m, 2H), 2.75 - 2.53 (m, 4H).
【0096】
実施例12:
X=−NH−である下記の化合物は、例えば、国際公開第2008/104175号に記載された通りに、および、本明細書の実施例10および実施例11に記載された通りに製造され得る。
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−オキセタン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−4−イル)−6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−オキセタン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,4'−テトラヒドロピラン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−4−イル)−6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,4'−テトラヒドロピラン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−7−(ジフルオロメトキシ)スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−テトラヒドロピラン]−4−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−4−イル)−7−(ジフルオロメトキシ)スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−テトラヒドロピラン]−4−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−7−(ジフルオロメトキシ)−1',1'−ジオキソ−スピロ[1,3−ベンゾジオキソール−2,4'−チアン]−4−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−4−イル)−6−(ジフルオロメトキシ)−1',1'−ジオキソ−スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−6−(ジフルオロメトキシ)−1',1'−ジオキソ−スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−4−イル)−6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−カルボキサミド
N−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−カルボキサミド。
【0097】
実施例13:
下記の化合物は、本明細書の一般的な手順に記載された通りに合成され得る。
2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−[6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−イル]エタノン
2−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−4−イル)−1−[6−(ジフルオロメトキシ)−1',1'−ジオキソ−スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−イル]エタノン
2−(3,5−ジクロロ−4−ピリジル)−1−[6−(ジフルオロメトキシ)−1',1'−ジオキソ−スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−イル]エタノン
2−(3,5−ジクロロ−1−オキシド−ピリジン−1−イウム−4−イル)−1−[6−(ジフルオロメトキシ)スピロ[2,4−ジヒドロ−1,5−ベンゾジオキセピン−3,3'−チエタン]−9−イル]エタノン。
【0098】
実施例14:
PDE4アッセイ
ヒト組み換えPDE4(Genbank受付番号NM_006203)を、10μMまでの濃度の試験化合物、cAMP(1×10
−5M)および低量(0.021MBq)の放射活性標識cAMPと共に、1時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、放射活性トレーサーに結合したとき化学発光を生じるSPAビーズへのAMP生成物の結合によって、基質の分解を評価した。AMP生成物は、放射活性トレーサーのビーズへの結合を阻害し、発光シグナルを低下させた。
コントロールサンプルと比較して基質分解の50%阻害を起こしたモル濃度として結果を計算し、IC
50(M)として表す。
【0099】
結果を下の表1に示す。
【表2】
【0100】
実施例15:
インビボ薬物動態分析
1匹のラットに経口投与し(5mg/kg, DMSO/H
2O/プロピレングリコール[1:5:4]に溶解)、血液サンプルを、舌下静脈叢から30分、1時間、2時間、4時間および6時間で採取する。
血液サンプルをBD Vacutainer SST血清分離管に採取し、血清を遠心分離によって単離し、微小管に移し、続いて分析する。
【0101】
質量分析(API5000 series)パラメーターを、具体的な化合物の分析のために最適化し、確立された一般的なクロマトグラフィー法の妥当性を確認するために、試験インジェクションを行う。一般的な方法は、速い濃度勾配で(2.5分)、C18 カラムで、メタノール、酢酸アンモニウム、蟻酸および水で構成される移動相をベースとしている。
【0102】
0.1〜300ng/mlの分析範囲をカバーするように、ラットの血清について標準を調製する。標準、ブランク血清、および試験サンプルを96深型ウェルプレートに適用し、アセトニトリル含有内部標準の添加によって、タンパク質を沈殿させる。サンプルを通常一夜LC−MS/MSで分析する。Analyst software version 1.5を用いて、分析物と内部標準の間の比について積算および定量化を行う。薬物動態パラメーターを、標準化Excelスプレッドシートを用いて計算する。
【0103】
ラットにおける国際公開第2008/104175号に開示された化合物101、および、実施例5および6にそれぞれ開示された化合物105および106のインビボ薬物動態プロファイル
国際公開第2008/104175号からの化合物101の経口投与
, 5mg/kg:親化合物の血清Cmaxは<3ng/mlであるが、代謝物(R
3=OH)の血清Cmaxは約2000ng/mlである。代謝物(化合物403)のPDE4活性は5000nMであり、すなわち、親化合物(PDE4=20nM)に比べて不活性である。
化合物105の経口投与, 5mg/kg:親化合物の血清Cmaxは<3ng/mlであるが、活性代謝物である化合物106の血清Cmaxは93ng/mlである。
化合物106の経口投与, 5mg/kg:血清Cmaxは133ng/mlであり、バイオアベイラビリティーは22%である。