(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記衝撃波媒体は、1より大きいかまたは1に等しいゴールドバーグ数を有し、前記ゴールドバーグ数は、前記衝撃波媒体の長さを前記衝撃波媒体の吸収長で除算することによって決定される、請求項16に記載の装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に説明される装置のある実施形態は、音響波からの高周波数衝撃波の発生を可能にする。
【0008】
本開示に説明される方法のある実施形態は、発生された高周波数衝撃波を患者の組織に送達し、粒子含有細胞構造等のある特性を有する細胞構造を選択的に断裂する。
【0009】
本開示に説明される装置のある実施形態は、入墨または他の皮膚痕(skin marking)の除去において、特定の用途を有し、現在の入墨除去技法に優るある利点を提供する。
【0010】
本開示に説明される装置および方法のある実施形態によって提供される利点として、入墨または他の皮膚痕の除去が、患者に対して、あったとしてもわずかな痛みを伴って、除去または縮小され得ることが挙げられる。さらに、これは、周囲組織の最小の損傷または破壊を伴って行なわれ得る。
【0011】
ある側面によると、本開示は、衝撃波を患者(例えば、哺乳類)の細胞に指向するための方法および装置の実施形態を含む。
【0012】
本方法のいくつかの実施形態は、衝撃波を患者の細胞に指向するステップを含み、衝撃波は、粒子に細胞のうちの1個または1個より多くを断裂させるように構成される。
【0013】
本方法のいくつかの実施形態は、装置(例えば、1MHz〜1000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するように構成される、音響波発生器と、音響波発生器に結合される衝撃波筐体と、衝撃波筐体内に配置される衝撃波媒体とを備え、音響波発生器が、音響波を放出する場合、音響波の少なくとも一部が、衝撃波媒体を通して進行し、衝撃波を形成するように構成される、装置)を提供するステップと、装置を作動させ、患者内の粒子に患者の1個または1個より多くの細胞を断裂させるように構成される、衝撃波を形成するステップと、衝撃波が、粒子に細胞のうちの1個または1個より多くを断裂させるように、衝撃波を患者の細胞に指向するステップとを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、衝撃波媒体は、衝撃波筐体と一体型である。いくつかの実施形態では、衝撃波筐体は、チャンバを画定し、衝撃波媒体は、チャンバ内に配置される。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体は、音響波発生器からの音響波の存在下、衝撃波媒体が、非線形特性を呈するように構成される。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体は、泡、固体粒子、または泡と固体粒子との組み合わせのうちの1または1より多くから成る。
【0015】
いくつかの実施形態では、衝撃波筐体は、音響波発生器に結合される入力端および音響波発生器から延在する出口端を有する、チャンバを画定し、衝撃波筐体は、チャンバの出口端を被覆するエンドキャップを含む。いくつかの実施形態では、エンドキャップは、エンドキャップから出射する衝撃波の減衰が、20%未満となるように構成される。いくつかの実施形態では、衝撃波筐体は、音響波が、衝撃波チャンバ内から衝撃波筐体に入射する場合、衝撃波筐体が、入射音響波の少なくとも一部を衝撃波チャンバ内に反射させるように構成される。いくつかの実施形態では、音響波発生器からチャンバの出口端までの距離は、以下を上回り、
【0016】
【数1】
式中、ε=衝撃波媒体の非線形パラメータ;ω=音響波の周波数;ρ
0=衝撃波媒体の密度;λ=音響波の波長;c
0=衝撃波媒体中の音速;P
0=衝撃波媒体中の圧力振幅;およびM
ω=音響マッハ数=P
0÷(c
02ρ
0)である。いくつかの実施形態では、音響波発生器は、超音波ヘッドを備える。
【0017】
いくつかの実施形態では、装置は、音響波発生器に結合され、音響波発生器を作動させ、音響波を放出するように構成される、コントローラを備える。いくつかの実施形態では、コントローラは、音響波発生器から放出される音響波の振幅および周波数のうちの少なくとも1つを変動させるように音響波発生器を調節するように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、ある時間期間の間、音響波を持続的に放出するように、音響波発生器を作動させるように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、断続的オン−オフシーケンスにおいて音響波を放出するように音響波発生器を作動させるように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、音響波発生器は、第1の音響波発生器であり、そして上記装置は、1MHz〜1000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するように構成される、第2の音響波発生器を備え、衝撃波筐体はまた、第2の音響波発生器にも結合され、装置は、第2の音響波発生器が音響波を放出する場合、音響波の少なくとも一部が、衝撃波媒体を通して進行し、衝撃波を形成するように構成され、コントローラもまた、第2の音響波発生器に結合され、音響波を放出するように第2の音響波発生器を作動させるように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラは、第2の音響波発生器から放出される音響波が、第1の音響波発生器から放出される波と位相がずれるように、第1および第2の音響波発生器を作動させるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、装置は、長さ3フィート、幅2フィート、および高さ2フィートを有するボックス内に嵌合するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、長さ2フィート、幅1フィート、および高さ1フィートを有するボックス内に嵌合するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、粒子は、非天然粒子を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、入墨顔料を含む。いくつかの実施形態では、入墨顔料の少なくとも一部は、患者の皮膚細胞間に配置される。いくつかの実施形態では、入墨顔料の少なくとも一部は、患者の皮膚細胞内に配置される。いくつかの実施形態では、粒子は、82未満の原子番号を有する元素を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、金を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、二酸化チタン、酸化鉄、炭素、および金から成る群から選択される、1種または1種より多くの物質を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、チタン、アルミニウム、シリカ、銅、クロム、鉄、炭素、および酸素から成る群から選択される、1種または1種より多くの物質を有する、顔料粒子を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、平均直径1000nm未満を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、平均直径500nm未満を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、平均直径100nm未満を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、絹、絹線維素(silk fibron)、炭素ナノチューブ、リポソーム、および金ナノシェルから成る群から選択される、1種または1種より多くの物質を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、粒子は、天然粒子を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、結晶マイクロ粒子を含む。いくつかの実施形態では、結晶マイクロ粒子は、患者の筋骨格系内に配置される。いくつかの実施形態では、粒子は、尿酸結晶、カルシウム含有結晶、およびヒドロキシアパタイト結晶から成る群から選択される、1種または1種より多くの物質を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、患者の皮膚の細孔内に配置される泥または破片を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、患者の皮膚内に配置されるケラチンタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、1または1より多くの衝撃波は、実質的に、粒子の不在下では、細胞に継続的影響を及ぼさないように構成される。
【0022】
いくつかの実施形態では、本方法は、細胞への衝撃波の指向に先立って、細胞またはその近傍の位置に粒子を指向するステップを含む。いくつかの実施形態では、粒子の指向は、粒子を含む、流体懸濁液を患者内に注入するステップを含む。いくつかの実施形態では、流体懸濁液は、生理食塩水を含む。いくつかの実施形態では、流体懸濁液は、ヒアルロン酸を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、化学的薬剤または生物学的薬剤を細胞またはその近傍の位置に指向するステップを含む。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤の指向は、化学的薬剤または生物学的薬剤を経皮的に送達することによって行なわれる。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤の指向は、化学的薬剤または生物学的薬剤を全身に送達することによって行なわれる。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤の指向は、化学的薬剤または生物学的薬剤を患者内に注入することによって行なわれる。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤は、キレート剤またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のうちの1種または1種より多くを含む。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤は、免疫変調成分またはイミキモッドのうちの1種または1種より多くを含む。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤の指向は、1または1より多くの衝撃波を指向する前に行なわれる。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤の指向は、1または1より多くの衝撃波を指向した後に行なわれる。いくつかの実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤の指向は、1または1より多くの衝撃波の指向と同時に行なわれる。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、断裂されるべき患者の標的細胞を識別するステップを含み、標的細胞の識別は、衝撃波の指向に先立って行なわれる。いくつかの実施形態では、標的細胞は、入墨を含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、結晶マイクロ粒子を含む、筋骨格細胞を含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、毛穴の黒ずみ、嚢胞、膿疱、丘疹、および毛穴につまった皮脂から成る群から選択される、1または1より多くの皮膚病を含む。いくつかの実施形態では、標的細胞は、毛嚢を含み、ケラチンタンパク質を含有する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、歯小嚢を含み、エナメル質を含有する。いくつかの実施形態では、標的細胞は、がん細胞を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、本方法は、Q−スイッチレーザからの光のビームを細胞に指向するステップを含む。いくつかの実施形態では、1または1より多くの衝撃波の指向および光のビームの指向は、交互シーケンスで行なわれる。
【0026】
いくつかの実施形態では、1または1より多くの衝撃波の指向は、1または1より多くの衝撃波を細胞を含む組織の特定の領域に集束するステップを含む。いくつかの実施形態では、組織の領域は、患者の皮膚の下のある深度にある。
【0027】
治療用衝撃波を発生させるための本装置のいくつかの実施形態は、1MHz〜1000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するように構成される、音響波発生器と、音響波発生器に結合される、衝撃波筐体と、衝撃波筐体内に配置される衝撃波媒体とを備え、衝撃波筐体は、音響波発生器が、衝撃波媒体を通して進行して1または1より多くの衝撃波を形成する音響波を放出するように作動され得るように、音響波発生器に取り外し可能に結合されるように構成される。いくつかの実施形態では、衝撃波筐体は、音響波発生器に結合されるように構成される入力端と、入力端から延在する出口端とを含む。いくつかの実施形態では、衝撃波筐体は、衝撃波筐体内に衝撃波媒体を備える。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体は、衝撃波筐体と一体型である。
【0028】
本方法のいくつかの実施形態は、本装置のある実施形態を提供するステップと、患者内の粒子に患者の1個または1個より多くの細胞を断裂するように構成される衝撃波を形成するように、装置を作動させるステップとを含む。いくつかの実施形態は、衝撃波が、粒子に細胞のうちの1個または1個より多くを断裂させるように、衝撃波を患者の細胞に指向するステップを含む。いくつかの実施形態は、装置の作動に先立って、衝撃波筐体を音響波アクチュエータに結合するステップを含む。
【0029】
本システムおよび/または方法のいずれかの任意の実施形態は、説明されるステップ、要素、および/または特徴のいずれかを備える/含む/含有する/有するのではなく、それから成る、または本質的にそれから成ることができる。したがって、請求項のいずれかでは、用語「成る」または「本質的に成る」が、これらの用語が使用されなければ非制限連結動詞を使用するであろうものから、所与の請求項の範囲を変更するために、前述の非制限連結動詞のいずれかと置換されることができる。
【0030】
別の側面によると、少なくとも1MHzの少なくとも1つの周波数を有する複数の音響波を提供するステップと、伝搬される音響波の存在下で非線形特性を呈するように構成される衝撃波媒体を通して、音響波の少なくとも一部を伝搬させ、複数の衝撃波を発生させるステップと、少なくとも1つの異質性領域を含む、少なくとも1つの細胞構造に、複数の衝撃波の少なくとも一部を送達するステップと、複数の衝撃波の持続的送達によって、少なくとも1つの細胞構造を断裂するステップとを含む、方法が提供される。一実施形態では、少なくとも1つの異質性領域は、少なくとも1つの細胞構造の有効密度を上回る有効密度を有する。
【0031】
さらに別の側面によると、約1MHz〜約1000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するように構成される、音響波発生器と、音響波発生器に結合される衝撃波媒体とを備える、装置であって、装置は、衝撃波媒体を通して、放出される音響波の少なくとも一部を伝搬し、衝撃波を形成するように構成され、形成される衝撃波は、少なくとも1つの異質性領域を含む、少なくとも1つの細胞構造を断裂するように構成される、装置が存在する。一実施形態では、衝撃波媒体は、1より大きいかまたは1に等しいゴールドバーグ数を有し、ゴールドバーグ数は、衝撃波媒体の長さを衝撃波媒体の吸収長で除算することによって決定され、吸収長は、少なくとも、衝撃波媒体の減衰係数の逆数によって定義される。別の実施形態では、少なくとも1つの異質性領域は、少なくとも1つの細胞構造の有効密度を上回る有効密度を有する。
【0032】
他の利点および特徴は、添付の図面と併せて熟読されることによって、以下の詳細な説明から明白となる。前述は、本発明の実施形態の特徴および技術的利点をむしろ広義に概略しており、したがって、以下の詳細な説明が、より理解され得る。本発明の実施形態のさらなる特徴および利点は、本開示の請求項の主題を形成する、本明細書に後述される。開示される概念および具体的実施形態は、本明細書に開示される同一の目的を実施するための他の構造を修正または設計するための基礎として容易に利用され得ることは、当業者によって理解されるはずである。そのような同等構造が、添付の請求項に記載の本発明の実施形態の趣旨および範囲から逸脱しないことは、当業者によって認識されるはずである。その編成および動作方法の両方に関して、本発明の特性であると考えられる、新規特徴は、さらなる目的および利点とともに、付随の図と併せて検討されることによって、以下の説明からより理解されるであろう。しかしながら、図はそれぞれ、例証および説明の目的のためだけに提供され、本明細書に説明される実施形態の限定の定義として意図されるものではないことは、明示的に理解されるべきである。
【0033】
以下の図面は、限定ではなく、一例として図示する。簡潔性および明確性のため、所与の構造の全ての特徴が、常時、その構造が現れる全ての図に標識化されるわけではない。同じ参照番号は、必ずしも、同じ構造を指すわけではない。むしろ、同一の参照番号は、同じではない参照番号であり得るような類似特徴または類似機能性を伴う特徴を示すために使用され得る。
一実施形態において、例えば、以下の項目が提供される。
(項目1)
少なくとも1MHzの少なくとも1つの周波数を有する複数の音響波を提供するステップと、
伝搬される音響波の存在下で非線形特性を呈するように構成される衝撃波媒体を通して、前記音響波の少なくとも一部を伝搬させ、複数の衝撃波を発生させるステップと、
少なくとも1つの異質性領域を含む少なくとも1つの細胞構造に、前記複数の衝撃波の少なくとも一部を送達するステップと、
前記複数の衝撃波の持続的送達によって、前記少なくとも1つの細胞構造を断裂するステップと、
を含む、方法。
(項目2)
前記少なくとも1つの異質性領域は、前記少なくとも1つの細胞構造の有効密度を上回る有効密度を有する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記音響波の周波数を変動させるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記音響波の振幅を変動させるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記送達ステップは、前記複数の衝撃波の少なくとも一部を患者の表皮層に送達するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記送達ステップはさらに、前記衝撃波媒体を前記表皮層の近傍に配置するステップを含む、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記複数の衝撃波は、前記衝撃波媒体内で発生される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記複数の音響波を提供するように第1の音響波発生器を作動させるステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記複数の音響波を提供するように第2の音響波発生器を作動させるステップをさらに含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
衝撃波の少なくとも一部の前記少なくとも1つの標的細胞構造への送達に先立って、断裂される少なくとも1つの標的細胞構造を識別するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
約1MHz〜約1000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するように構成される、音響波発生器と、
前記音響波発生器に結合される衝撃波媒体と、
を備える装置であって、前記装置は、前記衝撃波媒体を通して、前記放出される音響波の少なくとも一部を伝搬し、衝撃波を形成するように構成され、
前記形成される衝撃波は、少なくとも1つの異質性領域を含む少なくとも1つの細胞構造を断裂するように構成される、
装置。
(項目12)
前記装置はさらに、前記衝撃波媒体を収容するように構成される、衝撃波筐体を備える、項目11に記載の装置。
(項目13)
前記衝撃波筐体は、前記衝撃波媒体と一体型である、項目12に記載の装置。
(項目14)
前記衝撃波媒体は、前記音響波発生器から放出される音響波の存在下、非線形特性を呈するように構成される、項目11に記載の装置。
(項目15)
前記衝撃波媒体は、泡、固体粒子、または泡と固体粒子との組み合わせのうちの1または1より多くを含む、項目11に記載の装置。
(項目16)
前記衝撃波筐体は、前記音響波発生器に結合される入力端および前記音響波発生器から延在する出力端を有する、チャンバを画定し、前記衝撃波筐体はさらに、前記チャンバの出力端に取り外し可能に結合される、エンドキャップを備える、項目12に記載の装置。
(項目17)
前記エンドキャップは、前記エンドキャップから出射する衝撃波を20%未満まで減衰させるように構成される、項目16に記載の装置。
(項目18)
前記放出される音響波が伝搬する、衝撃波媒体の長さは、以下の式によって決定されるLより大きいかまたはLに等しく、
【数5】
式中、ε=衝撃波媒体の非線形パラメータ;ω=音響波の周波数;ρ0=前記衝撃波媒体の密度;λ=音響波の波長;c0=前記衝撃波媒体中の音速;P0=衝撃波媒体中の圧力振幅;およびMω=音響マッハ数=P0÷(c02ρ0)である、項目11に記載の装置。
(項目19)
前記音響波発生器は、超音波ヘッドを備える、項目11に記載の装置。
(項目20)
前記衝撃波媒体は、1より大きいかまたは1に等しいゴールドバーグ数を有し、前記ゴールドバーグ数は、前記衝撃波媒体の長さを前記衝撃波媒体の吸収長で除算することによって決定される、項目18に記載の装置。
(項目21)
前記少なくとも1つの異質性領域は、前記少なくとも1つの細胞構造の有効密度を上回る有効密度を有する、項目11に記載の装置。
(項目22)
伝搬される音響波の存在下では非線形特性を呈するように構成される衝撃波媒体を通して、少なくとも1MHzの周波数を有する少なくとも1つの音響波を伝搬させることによって、少なくとも1つの衝撃波を形成するステップと、
少なくとも1つの異質性領域を含む少なくとも1つの細胞構造が断裂するまで、前記伝搬によって形成される衝撃波を前記少なくとも1つの細胞構造に送達するステップと、
を含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0036】
例示的実施形態の説明
用語「結合される」は、必ずしも直接にではなく、かつ必ずしも機械的にではないが、接続されるとして定義される。すなわち、「結合される」2つの物品は、相互に一体型であってもよい。用語「a」および「an」は、本開示が、明示的に、別様に要求しない限り、1または1より多くとして定義される。用語「実質的に」、「およそ」、および「約」は、当業者によって理解されるように、必ずしも指定されるもの全体的ではないが、大部分として定義される。
【0037】
用語「備える(comprise)」(ならびに「comprises」および「comprising」等の任意の形態のcomprise)、「有する(have)」(ならびに「has」および「having」等の任意の形態のhave)、「含む(include)」(ならびに、「includes」および「including」等の任意の形態のinclude)、および「含有する(contain)」(ならびに「contains」および「containing」等の任意の形態のcontain)は、非制限連結動詞である。その結果、1または1より多くのステップを「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」方法は、それらの1または1より多くのステップを所有するが、それらの1または1より多くのステップのみの所有に限定されない。例えば、衝撃波を患者の細胞に指向するステップを含む方法では、この方法は、指定されたステップを含むが、そのステップのみ有することに限定されない。同様に、1または1より多くの要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」装置は、それらの1または1より多くの要素を所有するが、それらの要素のみの所有に限定されない。例えば、音響波発生器およびこの音響波発生器に結合される衝撃波筐体を備える装置では、この装置は、指定された要素を含むが、それらの要素のみを有することに限定されない。例えば、そのような装置はまた、衝撃波筐体内に配置される衝撃波媒体も含み得る。さらに、ある方法で構成される、デバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、また、具体的に説明されるもの以外の方法で構成されることもできる。
【0038】
次に、図面、より具体的には、
図1を参照すると、そこに示され、参照番号10によって指定されるのは、制御された様式において、衝撃波を発生させるための本装置の一実施形態である。本開示の装置のある実施形態は、予測可能かつ一貫した様式において、高周波数衝撃波を発生させる。一実施形態では、発生された衝撃波は、医療および/または美容治療用途のために使用され得る衝撃波を含む。好ましくは、発生された高周波数衝撃波は、患者の組織に送達される。衝撃波は、標的細胞を断裂させるために十分な機械的応力を組織の標的細胞に課すように構成することができる。一実施形態では、標的細胞の断裂は、少なくとも、膜劣化損傷を通して生じる。標的細胞が、発生された高周波数衝撃波に暴露されると、細胞の異なる成分の密度および剪断弾性引張応力等、細胞の空間的異質性パラメータのため、機械的応力の急勾配を被る。例えば、細胞内側の濃密成分および/または非弾性成分は、より軽量の成分と比較して、衝撃波に曝されると、より大きな機械的応力を受ける。特に、衝突面に暴露される細胞構造内のより高い密度の粒子または成分の加速は、典型的には、非常に大きい。同時に、細胞構造を構成するより低い密度の生物学的構造への衝突は、そのような圧力の大きな勾配に暴露されると、より低い密度の生物学的構造の弾性が、概して、それらを低コンプライアンス物質として作用させるため、有意に減少される。機械的応力の差異は、細胞内の濃密成分および/または非弾性成分の移動をもたらす。細胞が、ある周波数およびエネルギーレベルにおいて、反復衝撃波に暴露されると、濃密成分および/または非弾性成分は、細胞を破壊し、それによって、細胞を断裂させるまで、反復的に移動される。特に、衝突面に暴露されるときの、細胞構造の特性不整合および細胞が変形を経験する能力は、説明されるような細胞破壊につながる。理論に拘束されることを意図するわけではないが、細胞構造の断裂の現象を説明するための可能性として考えられる理論の1つは、Burov, V. A., Nonlinear ultrasound: breakdown of microscopic biological structures and nonthermal impact on malignant tumor. Doklady Biochemistry and Biophysics Vol. 383, pp. 101−104 (2002)(以下「Burov」)に見出され得、これは、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0039】
細胞が、これらの圧力面によって衝突されると、一体型ユニットとして振動し得る間、機械的応力の急勾配が、空間的異質性パラメータ(すなわち、密度および剪断弾性引張応力)の結果、細胞の内側に発生され得る。本概念は、質量m
1およびm
2を有する2つの連結されたボール、ならびに速度μ
0(t)でこれらのボールの周囲を振動する、ボールの密度とわずかに(それぞれ、ρ
1およびρ
2だけ)異なる密度(ρ
0)を有する液体として、生物学的構造をモデル化することによって説明され得る。ポテンシャル流に対する抵抗のみが考慮される場合、連結に印加される力は、式(1)に示されるように計算される。
【0040】
【数2】
式(1)およびその変数の追加の議論はさらに、Burovに提供される。例えば、ボール半径(R)が、約10μmであって、ボールの密度間の差異が、0.1ρ
0である場合、10
9dyne/cm
2の応力F/(πR
2)mをもたらす。これは、細胞膜を断裂させるために十分である。本装置の実施形態は、制御された様式において、以下にさらに論じられる、医療および/または美容治療用途を有する、標的化された損傷をある細胞に生じさせるために使用され得る衝撃波を発生させる。
【0041】
細胞断裂の現象を説明するための別の可能性として考えら得る理論は、細胞構造内のより濃密な物質中の蓄積剪断応力である。粒子(例えば、顔料粒子)を含む細胞等の異質媒体では、衝撃波は、漸進的(すなわち、蓄積された)剪断機構によって、細胞膜を崩壊させる。一方、均質媒体では、衝撃波による圧縮は、あったとしても、最小限の損傷を膜に生じさせる。異質媒体を通過するにつれて、衝撃波を微視的に集束および集束解除することは、局所剪断の増加をもたらす、撃波の局所的な強化または脆弱化をもたらすことができる。細胞膜の相対的剪断運動は、細胞構造の異質性の規模に応じて生じる。衝撃波が、異質性の領域(例えば、粒子を含有する細胞)に衝打すると、入射波と位相がずれた粒子運動が、細胞破壊エネルギー伝達(例えば、剪断応力)を発生させると考えられる。位相がずれた運動(例えば、剪断応力)は、細胞膜に微視的損傷を生じさせ、これは剪断応力の付加的連続蓄積に伴って、細胞膜崩壊へと前進的に増大し得る。衝撃波への反復暴露の漸進的剪断機構は、細胞膜の動的疲労と見なされ得る。動的疲労からの損傷は、3つの要因:(1)印加される応力または歪み、(2)歪みが印加される速度、および(3)歪みサイクルの蓄積数に依存する。これらの3つの要因は、特定の印加される歪み、歪み速度、および歪みサイクルにおいて、比較的により同質性と比較して、異質性を伴う細胞に、壊滅的細胞膜崩壊を被らせるように操作されることができる。要因操作は、衝撃波の数、各衝撃波間の時間量、および印加される衝撃波の強度等、ある特性の衝撃波を提供することによって行なわれることができる。例えば、組織が、その非歪み状態に弛緩するための衝撃波間の時間が多過ぎる場合、細胞は、崩壊により抵抗性となる。したがって、好ましい実施形態では、高周波数衝撃波(周波数約1MHzを有する音響波からの少なくとも約1,000,000衝撃波/秒)が、組織の動的疲労を達成し、組織に弛緩時間をもたらさないように、標的細胞構造に送達される。
【0042】
第3の可能性として考えられる理論は、衝撃波が、細胞構造内に含有される粒子の直接移動と、細胞を断裂する動的疲労の影響の組み合わせを生じさせるものである。粒子含有細胞は、異質性を呈する細胞構造の明白な例であるが、その説明は、本開示の範囲を限定するよう意図されない。代わりに、本明細書に開示される実施形態は、異なる有効密度領域を有する細胞構造等、異質性を呈する他の細胞構造を断裂する、またはそれに対して損傷を生じさせるために使用されることができる。開示される側面に従って発生される衝撃波のパラメータは、少なくとも、異なる有効密度(すなわち、異質性)の領域に基づいて、本明細書に説明されるような細胞損傷を生じさせるように調節されることができる。異質性は、単一細胞内の領域、異なるタイプの細胞の領域、または両方の組み合わせであることができる。ある実施形態では、細胞内の異質性の領域は、細胞の有効密度を上回る有効密度を有する領域を含む。一具体的実施例では、線維芽細胞の有効密度は、約1.09g/cm
3であって、細胞内の異質性の領域は、この細胞内に含有される、密度2.25g/cm
3を有する黒鉛等、1.09g/cm
2を上回る有効密度を有する粒子であろう。ある実施形態では、細胞間の細胞異質性の領域は、異なるタイプの細胞を含む領域を含み、各細胞タイプは、線維芽細胞および脂肪細胞または毛嚢等、異なる有効密度を有する。本開示は、異質性を含有する細胞構造のさらなる例を以下に提供する。
【0043】
図1を参照すると、装置10は、音響波発生器14と、音響波発生器14に結合される衝撃波筐体18と、衝撃波筐体18内に配置される衝撃波媒体22とを備える。好ましい実施形態では、衝撃波筐体18は、チャンバ26を画定する。衝撃波筐体18は、例えば、ポリマー、プラスチック、シリコーン、金属、および/または任意の他の好適な物質を含むことができる。チャンバ26は、音響波発生器14に結合される入力端30と、出力端34と、入力端30と出力端34との間に延在する本体56とを備える。一実施形態では、衝撃波筐体18はさらに、チャンバ26の出力端34を被覆する、エンドキャップ38を含む。
図1を参照すると、チャンバ26は、円形断面形状を有する。他の実施形態では、チャンバ26は、長方形、正方形、卵形、三角形、八角形、および/または任意の他の好適な断面形状を有する。好ましい実施形態では、装置10はさらに、入力端30と出力端34との間のチャンバ26内に配置される、衝撃波媒体22を備える。
【0044】
好ましい実施形態では、音響波発生器14は、連続または複数の音響波58を出力50から放出するように構成され、少なくともその一部は、チャンバ26内に入射し、衝撃波媒体22を通って、出力端34に向かって進行する。音響波が、衝撃波媒体22を通して移動するにつれて、衝撃波媒体22の特性は、音響波58を改変し、出力端34またはその近傍において、衝撃波60を形成する。
【0045】
好ましい実施形態では、音響波発生器14は、約1メガヘルツ(MHz)〜約1000MHz(例えば、1MHz、2MHz等)の少なくとも1つの周波数を有する、衝撃波を放出するように構成される。加えて、または代替として、音響波発生器14は、衝撃波媒体22内に、または、例えば、大気等の基準媒体内に、1MHz〜1000MHzの少なくとも1つの周波数に対応する少なくとも1つの波長を放出するように構成される。一実施形態では、音響波発生器14は、超音波ヘッド(例えば、市販の超音波ヘッド)を備える。他の実施形態では、音響波発生器14は、セラミックおよび/または圧電音響要素を備える。いくつかの実施形態では、音響波発生器14は、約5〜約1000ワット/平方センチメートル(W/cm
2)(例えば、5〜50W/cm
2、5〜100W/cm
2、100〜500W/cm
2、100〜400W/cm
2)の間または実質的にそれに等しいビームラジアン電力を伴う、音響波を放出するように構成される。
【0046】
波形の漸進的非線形歪曲は、圧力衝突面、すなわち、衝撃波の形成をもたらすことができる。出力端34またはその近傍で衝撃波60を形成するために、衝撃波媒体22は、好ましくは、音響波がその物質を通して伝搬すると、非線形性を呈するか、あるいは音響波発生器14から発生または放出される音響波58が非線形性を被ることを可能にすることができる、物質を含む。非線形性は、好ましくは、
図1によって図示されるように、1衝撃/サイクルによって、それを通して伝搬する正弦波音響波を鋸歯形状波に変換するために十分である。特に、正弦波波長の漸進的非線形歪曲は、周波数fで周期的に相互に追従する、衝突面の形成をもたらすことができる。面の持続時間は、式(2)に示されるように、周期1/fより遥かに短くてもよい。
【0047】
【数3】
式中、bは、有効粘度であって、εは、非線形因子であって、ρおよびcは、それぞれ、媒体密度および音速である。式(2)およびその変数の追加の議論は、Burovにさらに提供される。音響波の比較的高い周波数に起因して、衝撃波もまた、1衝撃波/サイクルにおいて、高周波数で発生される。例えば、本開示のある実施形態は、約1MHzの音響波から約1,000,000衝撃波/秒を発生させるように構成されることができる。他の実施形態では、装置10は、100または100より多くの衝撃波/分(例えば、200、300、400、500、1000、2000、5000、またはより多くの衝撃波/分)を発生させるように構成される。
【0048】
治療用衝撃波を発生させる本方法のいくつかの実施形態は、音響波発生器(例えば、14)を作動させ、音響波の少なくとも一部が、衝撃波筐体(例えば、18)内に配置された衝撃波媒体(例えば、22)を通して進行して1または1より多くの衝撃波を形成するように、1MHz〜1000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するステップを含む。例えば、本方法の実施形態では、本装置のいずれかの音響波発生器を作動させるステップを含んでもよい。
【0049】
音響波58の非線形性歪曲は、衝撃波筐体18の壁からの超音波の回折から誘発されることができる。加えて、または代替として、非線形性は、衝撃波媒体(単数または複数)22を通って進行する超音波によって誘発される、異質性から生じてもよい。さらに、非線形性は、媒体中の粒子または泡(すなわち、気泡、ナノ粒子等)の含有から生じることができる。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22は、流体を含む。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22は、ゲルを含む。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22は、液体を含む。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22は、音響波発生器14からの音響波の存在下で衝撃波媒体22が非線形特性を呈するように構成される。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22は、水、グリセリン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、プロピレングリコール、シリコーン油、アルコール、またはこれらの2種または2種より多くの組み合わせのうちの、1または1より多くを含む。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22は、泡(例えば、気泡)、固体粒子、または泡と固体粒子との組み合わせのうちの、1または1より多くを含む。気泡は、例えば、二酸化炭素等のガスの添加によって、媒体22中に導入されることができ、そして/あるいは超音波造影剤中に見出される安定化された気泡の形態において、またはナノ粒子の一部として、導入されることができる。
【0050】
加えて、衝撃波媒体22を通して伝搬する音響波の衝撃波への変換に影響を及ぼす、2つの他の要因がある。すなわち、衝撃波媒体22の衝撃波形成長および吸収長である。非線形性歪曲の長さは、歪曲が、漸進的であって、変換が生じるために十分に行き渡る必要があるため、一要因となる。
【0051】
いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22の長さまたは衝撃波形成距離は、非線形パラメータ、圧力振幅、音響発生器14によって発生される音響波の周波数、衝撃波媒体22の密度、および衝撃波媒体22内の音速の関数である。例えば、音響波が音響波発生器14から出射し、衝撃波媒体22に入射するときと、音響波が衝撃波媒体22から出射するときとの間の距離は、好ましくは、式(3)によって与えられるものより大きいか、またはそれに等しい。
【0052】
【数4】
式中、ε=衝撃波媒体の非線形パラメータ;ω=音響波の周波数;ρ
0=衝撃波媒体の密度;λ=音響波の波長;c
0=衝撃波媒体中の音速;P
0=衝撃波媒体中の圧力振幅;およびM
ω=音響マッハ数=P
0÷(c
02ρ
0)である。一般に、周波数が高いほど、および/または音響波の強度が高いほど、波エネルギーが衝撃波媒体22から出射するときに衝撃波形成を可能にするために必要となる衝撃波媒体22の最小長は、短くなる。
図1を参照すると、好ましい実施形態では、衝撃波媒体22の長さは、数字40によって表され、音響波発生器14の出力50から衝撃波チャンバ26の出力端38まで及ぶ。
【0053】
好ましい実施形態では、衝撃波媒体22は、特定の範囲、好ましくは、少なくとも1MHzの所望の動作範囲内の振幅および周波数で放出される音響波に対して、音響波を衝撃波に変換するために、少なくとも最小長を有する。最小長は、好ましくは、前述の式3によって決定される。いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22は、エネルギーが衝撃波媒体22から出射する前に、衝撃波が衝撃波媒体22内で発生されることを保証するように決定された最小長を上回る長さを有する。一実施形態では、筐体18は、衝撃波媒体22と実質的に同一の長さを有するように構成され、したがって、発生される衝撃波は、出力端34から治療表面に迅速に送達される。他の実施形態では、筐体18は、衝撃波媒体22の端部と出力端34との間に間隙を提供することができる。衝撃波媒体22の長さが、ある振幅および周波数の音響波から衝撃波を発生させるように構成される場合、その長さはまた、設計された範囲を上回る振幅および周波数の任意の音響波を衝撃波に転換するためにも十分である。
【0054】
衝撃波形成長(例えば、衝撃波媒体22の長さ)に加え、衝撃波媒体22の吸収長も、別の要因となる。なぜなら、音響エネルギーの吸収が、衝撃波の形成を防止するか、または任意の形成される衝撃波の排除につながり得るからである。吸収は、少なくとも、衝撃波媒体22の材料の減衰係数に基づく。減衰は、次に、前述のように好ましくは少なくとも約1MHzである、音響波の周波数に依存する。吸収は、衝撃波媒体22の減衰係数(α)の逆数、すなわち、1/減衰係数(α)である。
【0055】
好ましい実施形態では、衝撃波媒体22の材料は、衝撃波形成長と吸収との間の関係に基づいて選択される。一実施形態では、その関係は、式(4)に示されるゴールドバーグ(r)数によって表される。
r=I
s/I
a (4)
式中:I
s=式(3)に説明される衝撃波形成距離=(c03ρ0)/(εωP0)であって、
I
a=吸収長=減衰係数の逆数=1/αである。
【0056】
ゴールドバーグ数のさらなる議論は、Brooks LA, Zander AC, Hansen CH, Investigation into the feasibility of using a parametric array control source in an active noise control system, Proceedings of ACOUSTICS 2005, 9−11に見出され得、その開示は、参照することによって、全体として組み込まれる。好ましくは、衝撃波媒体22は、少なくとも約1MHzの周波数における正のゴールドバーグ数と、音響波発生器14の出力50における少なくとも約1MPaの圧力を有する、物質を含む。より好ましくは、衝撃波媒体22は、少なくとも1または1を上回るゴールドバーグ数を有する、物質または物質の組み合わせを含む。さらに、衝撃波媒体22は、好ましくは、固体を含む固体ポリマーを含む。1MHzを上回る周波数および1MPaを上回る圧力において、1を上回るゴールドバーグ数を有する固体ポリマーの例として、アクアレン、Pebax(ポリエーテルブロックアミド)、水、ゼラチン、ポリウレタンエラストマー、例えば、ペレセン2363−80が挙げられるが、それらに限定されない。
【0057】
故に、本開示は、音響波を十分な漸進的歪曲非線形性に曝し、正弦波を衝撃波に変換することによって、音響波からの衝撃波の制御された発生を可能にする。これは、所望の周波数および振幅範囲、物質の吸収特性、物質の長さを、前述の関係に基づいて選択することによって、達成されることができる。これらの要因は、相互に影響を及ぼすため、所望の寸法を達成するために調節されることができる。例えば、衝撃波媒体22の所望の長さが存在する場合、放出される音響波の周波数および振幅ならびに衝撃波媒体22の物質が、本所望の長さを達成するために調節される。他の要因も、適宜、衝撃波を音響波から発生させる所望の結果を達成するように構成されることができる。
【0058】
図1を参照すると、音響波発生器16は、筐体18、チャンバ26、および衝撃波媒体22に結合され、衝撃波60を形成するために、衝撃波媒体22を通して、放出される音響波58の少なくとも一部の伝搬を可能にする。いくつかの実施形態では、チャンバ26の入力端30は、少なくとも、音響波発生器14の対応する横方向外部寸法(例えば、出力50における)と同じ大きさの横方向内部寸法(例えば、直径42)を有する。例えば、示される実施形態では、チャンバ26の直径42は、少なくとも、音響波発生器14の対応する部分(例えば、出力50)の外径と同じ大きさである(例えば、それより若干大きい)。他の実施形態では、直径42は、より大きくあることもできる(例えば、および/またはガスケットもしくは結合器は、筐体18を音響波発生器の出力端50に結合するために使用されることができる)。示される実施形態では、チャンバ26は、実質的に、入力端30と出口端34との間で一定の断面を有する。他の実施形態では、チャンバ26は、入力端30と出口端34との間で変化する断面を有する。
【0059】
いくつかの実施形態では、衝撃波媒体22と筐体18とは、例えば、ポリマー、シリコン、または任意の他の好適な物質等の同一の物質を含む(例えば、媒体22は、筐体18および/またはエンドキャップ38と一体型であってもよい)。他の実施形態では、衝撃波媒体22は、衝撃波筐体18と一体型である(例えば、同一の物質片から成る)。例えば、衝撃波媒体22は、固体物質を含み、別個の筐体18が必要ではない。いくつかの実施形態では、衝撃波筐体18および衝撃波媒体22は、シリコーンを含む。他の実施形態では、衝撃波媒体22は、1または1より多くの泡(例えば、気泡または同等物)を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、衝撃波筐体18は、音響波発生器14(例えば、チャンバ26の入力端30における)からチャンバ26の出口端38までの距離42が、チャンバ26の少なくとも1つの(例えば、最小)内部横方向寸法(例えば、直径42)の100〜1000%であるように構成される。いくつかの実施形態では、音響波発生器14(例えば、チャンバ26の入力端30における)からチャンバ26の出口端34までの距離46は、チャンバの少なくとも1つの(例えば、最小)内部横方向寸法(例えば、直径42)の300〜900%(および/または400〜800%)である。
【0061】
加えて、示される実施形態では、衝撃波筐体18は、音響波58が衝撃波チャンバ26内から衝撃波筐体18に入射される場合、衝撃波筐体18が、入射音響波の少なくとも一部を衝撃波チャンバ26内に反射させるように構成される。
【0062】
図1を参照すると、エンドキャップ38は、衝撃波媒体22が実質的にチャンバ26から出ることを防止され、衝撃波が衝撃波チャンバ26の出力端34から出射することを可能にするように、チャンバ26の出口端34を封入するように構成される。いくつかの実施形態では、エンドキャップ38は、低衝撃波減衰(例えば、エンドキャップ38から出射する衝撃波の減衰が、20%未満となるように)および/または低衝撃波反射を有するように構成される。いくつかの実施形態では、エンドキャップ38は、ポリマー、ヒドロゲル、膜、プラスチック、またはシリコーンのうちの少なくとも1つを含む。
【0063】
図1を参照すると、装置10はさらに、音響波発生器14に結合され、音響波を放出するように音響波発生器14を作動させるように構成される、コントローラ54を備える。コントローラ54は、任意の好適にプログラムされたハードウェア、例えば、メモリを伴うプロセッサ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、および携帯情報端末(PDA)、および/または同等物を備えることができる。別個の構成要素として図示されるが、コントローラ54は、音響波発生器14内に統合される(例えば、それと共通筐体を共有する)ことができる。いくつかの実施形態では、コントローラ54は、音響波発生器14を調節し、音響波発生器14から放出される音響波の振幅および周波数のうちの少なくとも1つを変動させるように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ54は、ある時間期間の間(例えば、音響波発生器が「オン」であるように作動されているとき)音響波を持続的に放出するように、音響波発生器14を作動させるように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ54は、周期的オン−オフシーケンス(例えば、規則的かつ周期的間隔を伴うシーケンス)において音響波58を放出するように、音響波発生器14を作動させるように構成される。いくつかの実施形態では、コントローラ54は、断続的オン−オフシーケンス(例えば、規則的かつ周期的間隔を伴わない非周期的シーケンス)において音響波58を放出するように、音響波発生器14を作動させるように構成される。オン−オフシーケンスにおける音響波発生器14の作動は、例えば、組織内の熱の蓄積を減少させることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ54は、オン−オフシーケンスにおいて音響波58を放出するように音響波発生器14を作動させるように、そして測定および/または予測される温度に基づいて、あるいはそれに応答して、オン−オフシーケンスの「オン」および/または「オフ」部分の持続時間を調節するように、構成される。例えば、温度は、コントローラ54に結合される温度計(例えば、赤外線温度計)によって測定されることができ、そして/またはコントローラ54は、少なくとも部分的に、音響波発生器14から放出される音響波58、および/または筐体18内で発生される、あるいは組織に送達される衝撃波60の強度および/または他の特性に基づいて、組織温度を予測するように構成することができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、音響波発生器14は、第1の音響波発生器であり、そして装置10はさらに、1MHz〜1000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するように構成される、第2の音響波発生器(図示せず)を備え、衝撃波筐体18はまた、第2の音響波発生器にも結合される。そのような実施形態では、装置10は、第2の音響波発生器が音響波を放出する場合、音響波の少なくとも一部が、衝撃波媒体または複数の媒体22を通して進行し、1または1より多くの衝撃波を形成するように構成される。これらの実施形態のいくつかはさらに、第2の音響波発生器に結合され、音響波を発生させるように第2の音響波発生器を作動させるように構成される、コントローラ54を備える。いくつかの実施形態では、コントローラ54は、第2の音響波発生器から放出される音響波が、第1の音響波発生器14から放出される波と位相がずれるように、第1の音響波発生器14および第2の音響波発生器(図示せず)を作動させるように構成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、装置10は、長さ3フィート、幅2フィート、および高さ2フィートを有する、ボックス内に嵌合するように構成される。いくつかの実施形態では、装置10は、長さ3フィート、幅1フィート、および高さ1フィートを有する、ボックス内に嵌合するように構成される。いくつかの実施形態では、装置10は、長さ2フィート、幅1フィート、および高さ1フィートを有する、ボックス内に嵌合するように構成される。いくつかの実施形態では、装置10は、長さ1フィート、幅8インチ、および高さ8インチを有する、ボックス内に嵌合するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、筐体18は、内部長3インチ未満、および内部最大横方向寸法(例えば、直径)3インチ未満を有する。いくつかの実施形態では、内部長(音響波発生器14の出力端50と、出力端34および/またはエンドキャップ38の内部表面との間)。いくつかの実施形態では、装置10は、標的細胞に、3メガパスカル(MPa)を上回る(例えば、10MPaまたは10MPaより高い)圧力を発生させるように構成することができる。
【0066】
図2の実施形態では、本装置の第2の実施形態10aは、分解された構成および組み立てられた構成で示される。装置10aは、装置10に多くの点で類似し、差異がここで主として取り上げられるように具体的に除外されない、装置10の任意の特徴を含み得る。示される実施形態では、装置10aの音響波発生器14および衝撃波筐体18は、音響波発生器が、衝撃波媒体を通して進行して1または1より多くの衝撃波を形成する音響波を放出するように作動され得るように(例えば、装置10に関して説明されるように)、相互に取り外し可能に結合されるように構成される。そのような実施形態では、入力端30は、音響波発生器18から独立して密閉され得、音響波発生器14が筐体18に結合されない場合に筐体18からの媒体22の逃散を防止してもよい。音響波発生器14および/または筐体18は、ともに取り外し可能に結合されるように、任意の好適な方法で構成されることができる(例えば、ネジ山、相互係止タブ、音響波発生器を筐体の入力端30内へ挿入させる締まり嵌め等を用いて)。いくつかの実施形態では、音響波発生器14および筐体18は、分離が物理的に抵抗されるような接続にされない。例えば、いくつかの実施形態では、筐体18は、出力端34が標的細胞に向かった状態で、患者に隣接して配置され、音響波発生器14は、音響波発生器14を筐体18内に挿入せずに、または別様にその2つを物理的に相互接続せずに、筐体18に結合される(例えば、それと接触して位置付けられる)。いくつかの実施形態では、異なる筐体18は、異なる筐体18が単一の音響波発生器18に結合され、異なる特性を有する衝撃波を産生し得るように、異なる特性(例えば、寸法、媒体22、エンドキャップ38等)を具備してもよい。そのような実施形態では、筐体18は、毎使用後、使い捨ておよび/または廃棄される、1回使い切りデバイスであってもよい。
【0067】
本開示のある実施形態によって発生される高周波数衝撃波、およびそれらを発生させる制御された予測可能な様式は、多くの用途を有するが、本開示のある実施形態および発生された衝撃波は、特に、治療用途において有用である。具体的には、患者のある皮膚状態の治療である。前述のように、高周波数衝撃波は、細胞構造の成分の弾性差異に基づく、制御され、かつ標的化された細胞構造の断裂につながり得る。標的化され、かつ制御されたある細胞構造の断裂または損傷を提供する能力は、特に、細胞構造の弾性に差異を生成する細胞内に凝集された粒子(「細胞粒子凝集体」)を伴う、病気および/または状態の治療に適用可能である。特に、本発明のある実施形態、例えば、装置10は、患者の組織内に空洞化を誘導せずに、かつさらなる意図されない損傷につながり得る、患者の皮膚内に多量の熱エネルギー(例えば、熱)を発生させずに、一貫して、および/または予測可能に、高周波数において、衝撃波を発生させ、標的化された様式において、特定の細胞を断裂させることができる。放出される粒子は、周囲組織から、患者の通常の吸収プロセスを通して、除去されることができる。
【0068】
細胞構造内に凝集される粒子を伴う、病気および/または状態の実施例として、がん、筋骨格系内の結晶マイクロ粒子、または入墨の除去が挙げられる。これらは、単に、粒子凝集体を含有する細胞の断裂または破壊によって治療または処置され得る、非限定的例示的状態にすぎない。いくつかの実施形態では、粒子凝集体を含有する細胞の破壊は、前述のように、高周波数衝撃波の伝搬を伴う非線形プロセスに続発する、特定の細胞の非熱的細胞膜劣化によって生じ得る。
【0069】
入墨は、本質的に、インク粒子の凝集体を含有する、線維芽細胞である。捕捉されたインク粒子は、線維芽細胞の生物学的構造より高密度であるので、入墨またはインク粒子を含有する線維芽細胞は、その構造中の弾性に大きな差異を有する。衝撃波に曝されると、インク粒子を含有する線維芽細胞は、濃密粒子を含有していない他の線維芽細胞と比較して、より大きな機械的歪みを受ける。衝撃波は、特定の弾性差異を有していない無傷線維芽細胞を残しながら、特定の線維芽細胞を断裂するために十分にインク粒子を加速させるために最適な周波数および振幅で送達されるように構成することができる。入墨および線維芽細胞から放出される粒子の除去の生物学的プロセスの詳細は、以下にさらに論じられる。
【0070】
A. 入墨
入墨インクおよび染料は、歴史的には、自然に見出される物質に由来しており、概して、着色された粒子および他の不純物の不均質な懸濁物を含む。一例は、水等の液体中の炭素粒子の懸濁液を含む、墨である。入墨は、概して、入墨インクを真皮中に適用することによってもたらされ、インクは、概して、実質的に、恒久的に残留する。本技法は、入墨針の上下移動と組み合わせて、皮膚の弾性によって生じる交互の加圧−吸引作用によって、皮膚を通して顔料懸濁液を導入する。皮膚中に導入される顔料のための水および他の担体は、組織を通して拡散し、吸収される。ほとんどの場合、不溶性顔料粒子が、配置された真皮内に堆積される。入墨がされた皮膚には、顔料粒子および凝集体が、概して、皮膚細胞(例えば、真皮線維芽細胞)の細胞質(すなわち、二次リソソームとして知られる膜結合構造)内に見出される。これは、真皮細胞(例えば、マクロファージ、線維芽細胞)中への活性貪食のためであり得る。結果として生じる顔料凝集体(「粒子凝集体」)は、直径数マイクロメートルまで及び得る。皮膚が治癒すると、大部分の顔料粒子は、皮膚組織の間質腔内に残留する。入墨インクは、概して、不溶性顔料粒子のその不活性および比較的大きなサイズのため、排除しにくい。入墨は、経時的に薄れ得るが、概して、入墨がされた人物の生涯を通じて残留する。
【0071】
入墨インクは、典型的には、アルミニウム(顔料の87%)、酸素(顔料の73%)、チタン(顔料の67%)、および炭素(顔料の67%)を含む。入墨インク組成物に対する元素の相対的寄与は、異なる化合物間で大きなばらつきがあった。追加の情報は、Timko, A L; Miller, C H; Johnson, F B; Ross EV: In Vitro Quantitative Chemical Analysis of Tattoo Pigments, Arch Dermatol Vol 137, Feb 2001, 143−147に見出され得、その開示は、参照することによって、全体として組み込まれる。顔料の直径は、約20nmから約900nmまで変動し得る。顔料の透過型電子顕微鏡(TEM)画像は、種々の形状(例えば、針、板状晶、立方体、バー、および多数の不規則形状)を示した。一次粒子に加え、その表面でともに成長した一次粒子から構成される凝集体および集合体(その縁でともに継合された単結晶群)が、同一のTEM画像内で観察された。TEM画像の完全詳細は、Baumler, W; Eibler, ET; Hohenleutner, U; Sens, B; Sauer, J; and Landthaler, M; Q−switched laser and tattoo pigments: First results of the chemical and photophysical analysis of 41 compounds. Lasers in Surgery and Medicine 26:13−21(2000)に見出され、参照することによって、全体として組み込まれる。
【0072】
少なくとも1つの研究が、表1に示されるように、3つの市販の入墨インクの粒子サイズを決定している。
【0073】
【表1】
B. 入墨除去
従来の入墨(装飾、化粧、および再建用)では、顔料または染料が、真皮内に投与され、入墨を形成すると、顔料または染料は、概して、恒久的に定位置に残留する。これは、概して、粒子が、身体中に吸収および分散されないように防止する、真皮細胞(マクロファージ、線維芽細胞)内への活性貪食に起因し得る。結果として生じる顔料凝集体(「粒子凝集体」)は、直径数マイクロメートルまで及び得る。
【0074】
入墨の一般的永続性にもかかわらず、個人は、種々の理由から、心変わりし、入墨の除去を所望し得る。例えば、経時的に、人々は、心境が変化する(または、考え直す)場合があり、装飾入墨の除去または設計の変更を所望し得る。別の例として、アイライナー、眉、または唇の着色等の化粧入墨を有する個人は、ファッションが変化するにつれて、入墨された色または面積を変更することを所望し得る。残念ながら、現在、入墨を除去するための単純かつ成功している方法は存在しない。開示されているアプローチの1つ(米国特許出願公開第US2003/0167964号参照)は、所望に応じて除去可能な入墨インクの使用である。そのようなインクは、特定のエネルギー(レーザまたは閃光からの電磁放射線等)を印加することによって、変更および/または除去を促進する、特定の電磁吸収および/または構造特性を伴って構築される、マイクロ粒子から成り得る。他の実施形態では、顔料および/または顔料担体が、熱または光(例えば、レーザ光、赤外線光、または紫外線光)等の特定の外部印加エネルギー源の影響を受け得る。本タイプのアプローチに関する問題の1つは、これらの新しいタイプのインクを要求し、従来の顔料を利用する入墨には、殆どまたは全く効果がないことである。
【0075】
現在、従来の入墨(例えば、顔料含有皮膚)を除去する方法として、塩研磨法、凍結手術療法、外科的切除、およびCO2−レーザが挙げられ得る。これらの方法は、感染症等の潜在的合併症と関連付けられた侵襲的手技を要求し、通常、顕著な瘢痕化をもたらし得る。より最近では、Q−スイッチレーザの使用が、入墨の除去のために広く受け入れられている。入墨を除去するためのQ−スイッチレーザの使用に関する追加の情報は、Ross, E V; Naseef, G; Lin, C; Kelly, M; Michaud, N; Flotte, T J; Raythen, J; Anderson, R R; Comparison of Responses of Tattoos to Picosecond and Nanosecond Q−Switched Neodymium: YAG Lasers. Arch Dermatol 134: 167−171 (1998)に見出され得、その開示は、参照することによって、全体として組み込まれる。パルス持続時間を制限することによって、インク粒子は、概して、隣接する正常皮膚への比較的最小の損傷を伴って、非常な高温に達する。これは、皮膚剥離または二酸化炭素レーザによる治療等、非選択的入墨除去方法後、多くの場合、もたらされる瘢痕化を有意に減少させる。Q−スイッチレーザ放射による入墨除去の機構は、依然として、不明なところが多くあり得る。Q−スイッチレーザは、選択的写真熱融解および熱力学的選択性の機構によって、入墨のより特異的除去を可能にすると考えられる。さらなる詳細は、Solis, R R; Dayna, D G; Colome−Grimmer M O; Snyder, M; Wagner R F: Experimental nonsurgical tattoo removal in a guinea pig model with topical imiquimod and tretinoin, Dermatol Surg 2002;28:83−877に見出され得、参照することによって、全体として組み込まれる。具体的には、顔料粒子は、レーザ光を吸収し、粒子の加熱を生じさせ、該粒子を含有する細胞の熱破壊をもたらすことが可能であると考えられる。これらの細胞の破壊は、粒子の放出をもたらし、次いで、通常の吸収プロセスを通して、組織から除去され得る。
【0076】
Q−スイッチレーザは、入墨の除去のためのいくつかの代替より優れている場合があるが、完璧ではない。一部の入墨は、選択的写真熱融解を通して達成される、予測される高い粒子温度にもかかわらず、あらゆるレーザ療法に抵抗する。一部の入墨をきれいにすることの失敗に関して引用される理由として、顔料の吸収スペクトル、顔料の深度、およびいくつかのインクの構造特性が挙げられる。Q−スイッチルビーレーザによるレーザ入墨治療後の有害事象として、肌質変化、瘢痕化、および/または色素変性が挙げられ得る。一過性の低色素沈着および肌質変化が、それぞれ、Q−スイッチアレキサンドライトレーザによって治療された患者の最大50および12%において報告されている。高色素沈着および肌質変化は、Q−スイッチNd:YAGレーザの稀な有害事象であって、低色素沈着の発生は、概して、ルビーレーザを用いた場合より低い。局所性および全身性アレルギー反応の発症もまた、Q−スイッチルビーおよびNd:YAGレーザによる入墨除去の手に負えない(稀であっても)合併症である。加えて、レーザ治療は、リドカインによる局所注射または局所麻酔クリームの使用が、典型的には、レーザ治療に先立って使用されるほど、痛みを伴い得る。レーザ治療の影響に関する追加の情報は、Kuperman−Beade, M; Levine, V J; Ashinoff, R; Laser removal of tattoos. Am J Clin Dermatol. 2001;2 (1):21−5に見出され得、その開示は、参照することによって、全体として組み込まれる。
【0077】
最後に、レーザ除去は、概して、複数回の治療セッション(例えば、5〜20回)を要求し、最大限の排除のための高価な機器を要求し得る。典型的には、多くの波長が、多色入墨を治療するために必要とされるため、1つのレーザシステムのみを使用して、全利用可能なインクおよびインクの組み合わせを除去することができない。複数回の治療でも、レーザ療法は、入墨顔料の50〜70%のみ排除することが可能であって、残留染みをもたらし得る。
【0078】
本方法のいくつかの実施形態は、衝撃波を(例えば、本装置の実施形態から)患者の細胞に指向するステップを含み、衝撃波は、粒子に細胞のうちの1個または1個より多くを断裂させるように構成される。いくつかの実施形態は、本装置の実施形態を提供するステップと、装置を作動し、患者内の粒子に患者の1個または1個より多くの細胞を断裂させるように構成される、衝撃波を形成するステップと、衝撃波が、粒子に細胞のうちの1個または1個より多くを断裂させる(例えば、細胞壁または膜の劣化によって等)ように、衝撃波を患者の細胞に指向するステップとを含む。いくつかの実施形態では、1または1より多くの衝撃波は、実質的に、粒子の不在下では細胞に継続的影響を及ぼさないように構成される(例えば、衝撃波の存在下で粒子によって損傷されるほど粒子に近接しない細胞に、実質的に恒久的または継続的な損傷を生じさせないように構成される)。
【0079】
本方法のいくつかの実施形態は、細胞を含む組織の特定の領域に、1または1より多くの衝撃波を集束するステップを含む。いくつかの実施形態では、1または1より多くの衝撃波が集束される、組織の領域は、患者の皮膚の下のある深度にある。衝撃波は、種々の機構のいずれかによって集束されることができる。例えば、音響波発生器が超音波ヘッドを備える場合、超音波ヘッドは、発生される音響波が標的方向に放物線形状によって集束されるような放物線超音波ヘッドであってもよい。別の例として、複数の音響波発生器を備える本装置の実施形態では、衝撃波は、音響波および結果として生じる衝撃波が、周波数の相互作用によって集束および指向されるように、異なる周波数の音響波を発生させることによって、集束されることができる(例えば、位相またはアレイレーダに類似する方式において)。衝撃波の集束は、例えば、圧力10MPa、15〜25MPa、またはそれより高い等、標的細胞により高い圧力をもたらし得る。
【0080】
本方法のいくつかの実施形態はさらに、断裂されるべき患者の標的細胞を識別するステップを含む(例えば、標的細胞への1または1より多くの衝撃波の指向に先立って)。種々の実施形態では、標的細胞は、例えば、細胞粒子凝集体を伴う状態または病気を有する標的細胞等、種々の標的細胞のいずれかを含み得る。例えば、標的細胞は、入墨、結晶マイクロ粒子から成る筋骨格細胞、ケラチンタンパク質を含有する毛嚢、エナメル質を含有する歯小嚢、がん細胞、および/または同等物を含み得る。別の実施例として、標的細胞は、毛穴の黒ずみ、嚢胞、膿疱、丘疹、および毛穴につまった皮脂から成る群から選択される、1または1より多くの皮膚病を含み得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、粒子は、非天然粒子を含み得る。非天然粒子の一例は、入墨を生成するために、一般に、ヒト真皮内に配置されるような入墨顔料粒子を含む。いくつかの実施形態では、顔料は、82未満の原子番号を有する元素を含み得る。いくつかの実施形態では、粒子は、金、二酸化チタン、酸化鉄、炭素、および/または金のうちの任意の1つまたは組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、粒子は、平均直径1000nm未満(例えば、500nm未満および/または100nm未満)を有する。
【0082】
図3は、装置10aを使用して、衝撃波を標的組織に指向する方法100の一実施形態を図示する。示される実施形態では、方法100は、患者の組織112の標的細胞108が、治療のために識別される、ステップ104を含む。例えば、組織112は、皮膚組織を含み得、そして/または標的細胞108は、皮膚組織内あるいはその近傍の脂肪細胞を含み得る。示される実施形態では、方法100はまた、衝撃波が、標的細胞108に向かって指向され得るように、筐体18が、組織112および/または組織116に隣接して配置される、ステップ116を含む。示される実施形態では、方法100はまた、音響波発生器14が、筐体18に隣接して位置付けられる(および/またはそれに結合される)、ステップ120を含む。示される実施形態では、方法100はまた、音響波発生器14が、起動され、音響波を発生させ(音響波発生器と筐体とが音響的に結合される間)、示されるように、標的細胞108への送達のために、筐体18内で衝撃波を形成する、ステップ124を含む。示される実施形態では、方法100はまた、音響波発生器14が、筐体18から分断され、そして筐体18が、組織112から除去される、またはそれに対して移動される、ステップ128を含む。示される実施形態では、標的細胞108は、ステップ128から省略され、その破壊を表す。本方法の他の実施形態は、
図3に図示されるステップの一部または全部を含んでもよい。装置10は、装置10aと同様に実装されることができるが、装置10は、分解されるように構成されなくてもよく、したがって、単一片として、衝撃波を標的細胞に指向するように配置されてもよい。
【0083】
組織痕の除去方法
真皮組織中の顔料によって生じる組織痕(例えば、入墨)を減少させる本方法のいくつかの実施形態では、本装置のうちの1つの使用を伴う。そのような方法では、本開示の装置から発生された衝撃波が、真皮細胞に到達し、真皮内粒子を振動または加速させると、これらの粒子が、細胞の疲労劣化および断裂につながり得る、細胞膜に対する移動を起こし、それによって、顔料粒子を放出させるように、高周波数衝撃波が患者の皮膚およびその中に伝送される。放出された粒子は、次いで、患者の身体の通常の吸収プロセスを通して、周囲組織から除去されることができる。いくつかの実施形態では、本装置のうちの1つは、入墨、他の組織痕、もしくは粒子凝集体を含有する他の細胞構造を有する組織部位に隣接して、および/または装置からの衝撃波がその組織部位に指向されるように、配置されることができる。粒子変性(例えば、吸収のために、粒子を放出させるために十分な細胞劣化)を生じさせるために、衝撃波は、顔料粒子が放出されるように、顔料粒子を含有するおよび/またはそれに隣接する細胞を断裂するために十分な長さの時間期間の間、特定の領域に送達されることができる。いくつかの実施形態では、本装置は、周期的に、かつ連続して、入墨の異なる領域に集束および指向され、入墨の面積全体にわたって、知覚可能顔料の減少を生じさせ得るように、装置が、入墨より比較的に小さくあり得る、集束または有効面積を有する。例えば、本明細書に開示される装置の実施形態のパラメータは、所望の時間量内に、特定の部位に送達される所望の数の衝撃を達成するように修正されることができる。例えば、一実施形態では、衝撃波は、本開示の側面に従って、少なくとも1MHzの周波数を有する音響波から生成され、少なくとも約100、200、300、400、500、または1000衝撃波を治療部位に送達するために適切な時間期間の間、特定の治療部位に暴露される。衝撃波は、1度に全部または衝撃波の間隔を空けて(例えば、バースト)(1度に5、10、15、20、25、30、40、50等の衝撃波等)、送達されることができる。適切な間隔および間隔間の時間は、治療部位における所望の効果、例えば、標的細胞構造の断裂を達成するように修正および/または決定されることができる。2MHz、3MHz、4MHz、または5MHz等のより高い周波数を有する音響波が、使用される場合、治療時間は、より短い暴露時間となる可能性が高く、治療面積に送達される衝撃波の所望の量を達成するように調節されることができると理解されたい。
【0084】
当業者によって理解されるように、入墨を除去するための本方法の実施形態では、衝撃波によって影響を受ける粒子は、例えば、少なくとも部分的に、患者の皮膚細胞間および/またはその中に配置され得るような入墨顔料(粒子)を含む。そのような顔料粒子として、例えば、チタン、アルミニウム、シリカ、銅、クロム、鉄、炭素、または酸素のいずれかのうちの少なくとも1つまたはその組み合わせが挙げられ得る。
【0085】
皮膚痕を除去または減少させるための高周波数衝撃波の使用は、レーザの使用に優る多くの利点を有する。例えば、入墨除去のためのレーザ治療は、非常に痛みを伴い得る。対照的に、高周波数衝撃波(例えば、超音波衝撃波)は、入墨または他の皮膚痕が、患者に対して、あったとしてもほとんど痛みを伴わずに、除去または減少され得るように、構成および/または印加されることができ、特に、例えば、衝撃波は、入墨顔料を含有する細胞のみ劣化させるように標的化または別様に構成される。別の実施例として、組織に指向されるレーザ光は、周囲組織への損傷またはその破壊を生じさせることが分かっている。一方、高周波数衝撃波は、周囲組織の損傷または破壊をほとんど生じさせないように印加され得る(例えば、非入墨周囲組織は、概して、含んでいれば近隣細胞と相互作用し、細胞劣化を生じさせ得る、入墨顔料または他の粒子を欠いているため)。最後に、レーザ入墨除去は、多くの場合、最大限の入墨排除のために、複数回の治療セッション(例えば、5〜20セッション)を要求し、および/または多くの場合、高価な機器の使用を要求する。加えて、レーザ光が多色入墨を除去するために、多くの波長が必要とされ得るため、複数のレーザシステムが、種々の利用可能なインクおよび/または利用可能なインクの組み合わせを除去するために必要とされ得る。その結果、レーザ入墨除去の全体的コストは、非常に高価となり得る。複数回の治療でも、レーザ療法は、入墨顔料のわずか50〜70%の排除に限定され得、残留「染み」を残し得る。対照的に、高周波数衝撃波は、入墨顔料の色に依存しないことにより、高周波数衝撃波の治療用途が、異なる色の顔料のために、異なる装置を要求せず、かつ高周波数衝撃波が、比較的に大きな面積(例えば、入墨面積全体)に印加され得、それによって、患者に容認可能な入墨除去または減少のレベル(例えば、患者の皮膚内の知覚可能顔料の30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはより多くの減少)を達成するために要求される治療セッションの回数を減少させる。
【0086】
いくつかの実施形態では、本方法は、高周波数衝撃波の印加(例えば、本装置のうちの1つ以上を用いて)およびレーザ光の印加を含む。例えば、本方法のいくつかの実施形態はさらに、Q−スイッチレーザから、標的細胞(例えば、入墨された皮膚)に光のビームを指向するステップを含む。いくつかの実施形態では、1または1より多くの衝撃波を指向するステップおよび光のビームを指向するステップが、交互シーケンスで行なわれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本方法は、1または1より多くの衝撃波を標的細胞に指向するステップ前、後、および/またはそれと同時に、標的細胞またはその近傍の位置に、1種または1種より多くの化学的薬剤または生物学的薬剤(例えば、入墨等の組織痕の除去を支援するように構成される)を送達するステップを含む。例えば、本方法のいくつかの実施形態はさらに、化学的薬剤または生物学的薬剤を皮膚に印加するステップを含む(例えば、1または1より多くの衝撃波および/またはレーザ光のビームを皮膚に指向する前、後、および/またはそれと同時に)。化学的薬剤または生物学的薬剤の例として、キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));免疫変調成分(例えば、イミキモッド[5]);それらの組み合わせ;および/または他の好適な化学的薬剤または生物学的薬剤が挙げられる。種々の実施形態では、化学的薬剤または生物学的薬剤は、経皮的におよび/または全身にわたって(例えば、注射)、標的細胞に送達される(例えば、入墨された皮膚に局所的に適用されてもよい)。
【0088】
入墨除去の本方法のいくつかの実施形態は、入墨された皮膚組織への衝撃波の複数回の印加を含む(例えば、少なくとも1秒の持続時間の間(例えば、10秒またはより長時間)、6週間またはより長期間にわたり、1回/週)。
【0089】
さらなる病気および状態の治療方法
入墨除去に加え、本方法の実施形態は、細胞内空間および/または間質腔内に配置される細胞粒子凝集体および/または粒子によって生じる状態下にある、および/またはその症状を含む、種々の病気を治療するための高周波数衝撃波の用途を含み得る。例えば、そのような病気および/または状態として、結晶性関節、靭帯、腱、および筋肉疾患、および/またはにきび、年齢によるしみ等を含む、粒子凝集体を伴う皮膚科学的病気が挙げられ得る。加えて、本方法の実施形態は、標的細胞を含む患者の領域にナノ粒子を送達後、高周波数衝撃波の印加を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ナノ粒子(例えば、金ナノ粒子)が、患者の血流に静脈内で送達され、そして標的細胞(例えば、癌性腫瘍)を含む患者の領域に進行させられることにより、高周波数衝撃波が、標的領域に指向され、ナノ粒子に標的細胞と相互作用し、それを断裂させ得る。
【0090】
さらに、本装置の実施形態(例えば、装置10)は、皺の軽減のために使用されることができる。例えば、治療用衝撃波を発生させる本方法のいくつかの実施形態は、本装置のいずれか(例えば、装置10)を提供するステップと、装置を作動させ、1または1より多くの衝撃波を発生させるステップとを含む。いくつかの実施形態はさらに、少なくとも1つの衝撃波が、組織に入射するように、装置(例えば、筐体18の出口端34)を患者の組織に隣接して配置するステップを含む。いくつかの実施形態では、組織は、患者の顔上の皮膚組織を含む。
【0091】
粒子(例えば、マイクロ粒子および/またはナノ粒子)を標的細胞またはその近傍の位置に指向するステップ(衝撃波の細胞への指向に先立って)を含む、本方法の実施形態では、粒子は、絹、絹線維素、炭素ナノチューブ、リポソーム、および/または金ナノシェルから成り得る。例えば、いくつかの実施形態では、粒子の指向は、患者内へ粒子を含む流体懸濁物を注入するステップを含むことができる。含有懸濁物は、例えば、生理食塩水および/またはヒアルロン酸を含んでもよい。
【0092】
関節および特定の組織内の結晶および他のさまざまな結晶の堆積は、いくつかの疾患状態をもたらし得る。例えば、関節内の尿酸一ナトリウム一水和物(MSUM)堆積は、痛風をもたらし得る。別の例として、関節組織および流体中の無水ピロリン酸カルシウム(CPPD)は、例えば、軟骨石灰化症(すなわち、関節軟骨内の放射線濃度として検出されるカルシウム含有結晶の存在)等のいくつかの疾患状態をもたらし得る。さらなる例として、ヒドロキシアパタイト(HA)結晶堆積は、石灰化腱炎および関節周囲炎をもたらし得る。本方法のいくつかの実施形態では、粒子は、例えば、患者の筋骨格系内で形成および/またはその中に配置され得るような結晶マイクロ粒子等の天然粒子(例えば、体内で自然発生する粒子)を含み得る。本方法において治療および/または分散され得る、天然粒子の他の例として、尿酸結晶、カルシウム含有結晶、および/またはヒドロキシアパタイト結晶が挙げられる。
【0093】
にきびまたは他の皮膚ベースの状態の治療のための本方法の実施形態では、粒子は、患者の皮膚の1個または1個より多くの細孔内に配置される泥および/または破片を含み得、および/または、患者の皮膚内に配置されるケラチンタンパク質を含み得る。
【0094】
腫瘍または他の病気を治療する本方法のいくつかの実施形態は、例えば、少なくとも(例えば、10秒またはより長時間)6週間より長期間、1回/週の持続時間の間等、標的組織(例えば、腫瘍、にきびまたは他の状態を伴う皮膚の領域等)への複数回の衝撃波の印加を含む。
【0095】
本明細書に説明されるデバイス、システム、および方法の種々の例証的実施形態は、開示される特定の形態に限定されることを意図しない。むしろ、請求項の範囲内にある、あらゆる修正および代替を含む。例えば、本方法は、任意の組み合わせおよび/または反復において、前述の実施形態に説明されるステップおよび特徴の任意の組み合わせ(例えば、他のステップまたは特徴と組み合わせ)を含むことができる。
【0096】
請求項は、そのような限定は、それぞれ、語句「のための手段」または「のためのステップ」を使用して、所与の請求項に明示的に列挙されない限り、手段またはステッププラス機能の限定を含むものと意図されず、そのように解釈されるべきではない。
【0097】
開示されるように、本発明のある実施形態は、治療用途において、超音波を採用する他の方法に優る利点を提供する。例えば、米国特許第5,618,275号は、皮膚内に空洞化を生じさせるほど十分に高強度な約15,000〜約25,000Hzの範囲内の比較的に低周波数超音波圧力波を皮膚に印加することによって、人の皮膚を通して、治療薬剤の浸透を促進する方法について論じている。低周波数超音波圧力波の効果は、皮膚の浸透性を増加させ、限定された時間期間の間、治療薬剤の浸透を可能にすることである。別の実施例では、米国特許第6,487,447号は、超音波放射を患者に適用されるべき薬物溶液に印加する、装置を開示している。超音波放射は、15KHz〜1MHzの範囲内の周波数を有し、空洞化泡を発生させるために有効な強度で、そのような時間期間の間、かつそのような該皮膚領域からの距離に印加される。空洞化泡は、崩壊し、そのエネルギーを皮膚領域中に伝達し、したがって、皮膚領域内に細孔の形成を生じさせる。米国特許第公報第US2008/009774号(本発明者による)は、超音波放射の使用を通して、組織中の粒子によって生じる病気を治療する方法を開示している。超音波放射は、15KHz〜2MHzの範囲内の周波数を有し、崩壊し、そのエネルギーを粒子中に伝達し、粒子の変性をもたらすために有効な空洞化泡を発生させるために有効な強度で、そのような時間期間の間、印加される。前述のように、Klopotekの米国特許第6,325,769号の方法は、パルスをきっかけに、組織中に負圧、すなわち、真空効果を生成し、組織損傷を誘発し、組織構造を断裂し、領域を加熱し、それによって、新しい接続された組織の合成を誘起し得る。米国特許第6,325,769号および第6,487,447号ならびに米国特許出願公開第US2008/009774号および第US2003/0167964号の開示も、参照することによってその全体として組み込まれる。
【0098】
これらの方法と異なり、本開示のある実施形態は、最小空洞化破壊によって、異質性(例えば、粒子を含有する細胞)を伴う細胞構造の標的破壊を達成する。さらに、以前の方法の高超音波エネルギーの直接印加は、無差別変性をもたらし、潜在的に、粒子凝集体を含有するそれらの細胞以外の細胞の破壊をもたらし得る。本開示の発生された衝撃波は、非標的細胞を熱損傷に暴露せずに、標的細胞を断裂するように構成することができる。すなわち、断裂は、周囲領域の最小無差別加熱によって達成されることができる。
【0099】
本開示の実施形態およびその利点が、詳細に説明されたが、種々の変更、代用、および改変が、添付の請求項によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に行なわれ得ることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、本明細書に説明されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者が、本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に説明される対応する実施形態と実質的に同一の機能を行なう、または実質的に同一の結果を達成する、既存のまたは後に開発される、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップは、本発明に従って利用されてもよい。故に、添付の請求項は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを含むものと意図される。