(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンピュータ断層撮影(CT)システムは、検査領域を横断する多エネルギ電離光子を発する放射線源を有する。そのようなシステムは、検査領域を横断する光子を検出する、検査領域を挟んで放射線源の反対に設置された放射線感受性検出器を更に有する。検出器は、夫々の検出された光子について、電流又は電圧のような電気信号を生成する。検出器は、検出された光子を電気信号に基づきエネルギ分解するエレクトロニクスを更に含む。
【0003】
一例として、放射線感受性検出器は、センサによって生成された電流を処理して、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有する電圧パルスを生成するパルス成形器を有する。検出器は、電圧パルスの振幅を、異なるエネルギレベルに従って設定されている2又はそれ以上の閾値と比較する弁別器を更に有する。第1の閾値についての弁別器の出力は、パルス振幅が増大して第1の閾値と交差する場合にハイになり、パルス振幅が低下して第2の閾値と交差する場合にローになる。第1及び第2の閾値の夫々について、カウンタは立ち上がりをカウントする。2又はそれ以上の閾値及び対応するカウンタが検出器に組み込まれる場合に、エネルギビナーはカウントをエネルギ範囲又はビンにおいて分けることができる。そのため、検出された光子は、ビンに分けられたデータに基づきエネルギ分解される。
【0004】
あいにく、連続的な光子検出間の時間は、センサ内でパルスパイルアップを生じさせることがある。すなわち、パルス成形器は、重なり合うパルスを生成する。パルスが重なり合う場合に、それらの振幅は結合して、個々のパルスがその結合から容易に識別されないようにする。結果として、弁別器は、所与の閾値と交差しているパルスの振幅を確認することができない。加えて、パルスのピークエネルギは、重なり合っているパルスの振幅寄与によってシフトされ得る。結果として、検出された光子のエネルギ分布は誤ってシフトされることとなる。
【0005】
更に、光子計数エネルギ分解検出器において、より高いX線束では、成形部の出力部でのパルスのパイルアップが起こる。これは、成形部のパルス存続期間が、直接変換型センサから入る隣接した区別可能なパルスを分けることができないほど長すぎるためである。パイルアップに起因して、成形器出力を多数の異なる弁別器閾値と比較することにより得られるエネルギ推定は、誤ったものとなる。確率論的モデルが、パイルアップを最尤評価スキームに組み入れるよう提案されている。しかしながら、このアプローチは、大いに改善されたエネルギ推定をもたらさない。これは、とり得る解の空間が広すぎて、最もありそうな解の確率が最もありそうにない解の確率とそれほど違わないためである。
【0006】
従来の光子計数読出回路は少数の弁別器を使用して、先行する成形部によって生成されたパルスの高さを大まかに推定する。パイルアップが働き始めるとすぐに、パルス高さはもはや正確に決定されない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、コンピュータ断層撮影(CT)システム100は、長手又はz軸周りに検査領域108の周囲を回転する回転ガントリ部分104を有する。X線管のようなX線源112が回転ガントリ部分104によって支持されており、検査領域108を横断する多エネルギ放射線ビームを発する。
【0014】
放射線感受性検出器116は、少なくとも180度プラス(+)ファン角度にわたってX線源112によって発せられた光子を検出する複数のピクセル118を有する。複数のピクセル118の夫々は、夫々の検出された光子について、電流又は電圧のような、対応する電気信号を生成する。適切なセンサの例には、直接変換型検出器(例えば、テルル化カドミウム亜鉛(Cadmiun Zinc Telluride,CZT)に基づく検出器)と、フォトセンサと光学的に連通するシンチレータを備えたシンチレータに基づくセンサとがある。
【0015】
パルス成形器120は、電気信号を処理し、検出された光子を示す電圧又は他のパルスのような1又はそれ以上のパルスを生成する。パルス成形器120は、第1の時間インターバルの間に電荷を積分して、検出された光子のエネルギを示すピーク振幅を有するパルスを生成するエレクトロニクスと、第2の、相対的により短い時間インターバルの間に電荷を積分して、検出された光子のエネルギが最低所要エネルギを超えるかどうかを示すピーク振幅を有するパルスを生成するエレクトロニクスとを有してよい。
【0016】
エネルギ弁別器124は、パルスをエネルギ弁別する。これは、生成されたパルスの振幅を、特定のエネルギレベルに夫々対応する1又はそれ以上の閾値と比較することを含む。エネルギ弁別器124は、夫々の閾値について、振幅が増大して対応する閾値と交差し、又は低下して閾値と交差するかどうかを示す出力信号を生成する。例えば、出力信号は、振幅が増大して、対応する閾値と交差する場合に立ち上がり(又は立ち下がり)を有し、振幅が低下して、対応する閾値と交差する場合に立ち下がり(又は立ち上がり)を有してよい。
【0017】
カウンタ128は、夫々の閾値について信号における立ち上がり(又は立ち下がり)をカウントする。パルスリジェクタ132はパルスを拒絶するか、又はカウンタ128をゲーティングして、カウンタ128が、パイルアップパルスのような好ましくないパルスの立ち上がり(又は立ち下がり)を無視するか、又は別なふうにカウントしないようにする。パルスリジェクタ132は、エネルギ弁別器124の出力に基づきゲーティング信号を生成する。
【0018】
カウントスケーラ136は、カウントされない無視されるパルスを考慮に入れるよう閾値のカウントをスケーリングするか、又は別なふうに調整する。
【0019】
再構成器140は、信号のスペクトル特性に基づき、検出器116によって生成された信号を選択的に再構成する。
【0020】
長いすのような対象支持体148は、検査領域108にある患者又は他の対象を支持する。対象支持体148は、走査プロシージャを実行する場合に対象を検査領域108に対して導くように動くことができる。
【0021】
汎用のコンピュータはオペレータコンソール144として働く。コンソール144は、モニタ又はディスプレイのような、人が読み取ることができる出力装置と、キーボード及びマウスのような入力装置とを有する。コンソール144にあるソフトウェアは、オペレータが、例えば、グラフィカルユーザインターフェース(Graphical User Interface,GUI)を通じて、スキャナ100を制御しそれと相互作用することを可能にする。そのような相互作用は、スペクトル特性に基づき信号を再構成する命令を含んでよい。
【0022】
測定結果を更に改善するよう、夫々のピクセルにおいてタイムカウンタ170を起動することが可能であってよい。タイムカウンタ170は、ビット列の形で、すなわち、記号表示“1”が
極大値又は
極小値の検出を表すとして、クロックサイクルごとに1ビットで、どの時点で
極小値又は
極大値が検出されたかを記録する。タイムカウンタ170は、
極大値と
極小値との間の改善されたタイミングを得るために(原のパルス列は、
極小値及び
極大値の組、及び
極大値と隣接する
極小値の間の時間間隔によって特性化される。)、パルス列200の
極大値202a,b,cと
極小値204a,bとの間の時間(以下で記載される
図2を参照)をカウントするピーク検出器150へ接続されてよい。ピーク検出器150はまた、以下で更に記載されるように、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)160と通信してよい。
【0023】
更に、タイムカウンタ170は、所定の測定期間(例えば、100μs)内のクロックティック(例えば、10MHzクロックについて)の個数を参照し、例えば、測定期間ごとに1000個のクロックティックを得る。
極大値又は
極小値が検出されるときはいつでも、タイムカウンタ170は、その
極大値又は
極小値が検出された時間クロックティックについて“1”を生成し、一方、あらゆる他のクロックティックは値“0”を割り当てられる。“0”及び“1”から成る、結果として得られるビット列は、続く測定期間(これはまた、少なくとも10MHzの読出クロック速度を必要とする。)の間に読み出され、次いで、
極大値及び
極小値の組とともに、
極大値と
極小値との間の改善されたタイミングにより原のパルス列を再構成するのに使用される。代替的に、タイムカウンタ170はまた、読出カウンタとして実施されてよい。読出カウンタは、
極大値(又は
極小値)が検出される場合に0から開始し、次の
極小値(又は
極大値)が検出されるまでインクリメントされる。次の
極小値(又は
極大値)が検出されると、カウンタ値はラッチされ、計数は再起動することができる。しかしながら、その場合、測定期間内に
極大値及び
極小値の組が起こり得るのと同数のラッチが必要とされる。
【0024】
上述されたように、パルス成形器120の出力は、パルスのパイルアップを示すパルス列200の正確なパルス高さを再構成するために、極めて高い周波数でサンプリングされる。
【0025】
図2を参照して、パルスパイルアップを低減するために、次のアプローチが提案される。アプローチは、極めて高いサンプリング周波数で成形器出力をサンプリングすることなしに、完全なパルス列200を再構成する手段を提供する。スペクトルコンピュータ断層撮影のための何らかの光子計数ASICにおいて実装される成形器出力は、丘がパルス
極大値を特定し且つ谷がベースラインへの(場合により、不完全な)回帰を表すとして、“谷及び丘(valley and hill)”の波形を生じさせるので、いずれもピーク検出器150(
図1を参照)から派生するアナログ
極大検出器及びアナログ
極小検出器(以下で記載される
図3を参照)を備えた回路300は、
極大値及び
極小値(
図2を参照)でのみ、パルス成形器120の出力部でパルス列200をサンプリングするために使用される。サンプリングされた値は、次いで、ADC160(
図1を参照)によってアナログからデジタルに変換される。
【0026】
極大及び極小の連続を考えると、その場合、テストピクセル測定から又はCMOS回路シミュレーションから得られる成形器出力のためのモデルを用いて実際のパルス列200を再構成することが可能である。結果として、完全なパルス列200の相対的に正確な推定が得られ、この推定では、パイルアップ効果は可視的であり、従って、2つのパルスが全く検出され得ない程にぴったり重なり合わない限りは完全に補正され得る。
【0027】
更に、タイムカウンタ170(
図1を参照)は、局所的に又は遠隔で、パルス列200の
極大値202a,b,c及び
極小値204a,bを転送及び記憶するために、記憶ユニット(図示せず。)と通信するよう構成されてよいことが考えられる。例えば、“記憶信号”は、如何なるタイプの記憶回路へも送信されてよい。時間カウント及びデータカウントの結合は、パルス成形器120から受け取られるパルス列を表す、時間に基づくデジタル情報を提供する。この情報によれば、“谷及び丘”タイプのパルス列200を正確に再構成することが可能になる。
【0028】
図2は、谷及び丘の波形200の一例を示し、波形200は、通常は、互いに対して時間においてシフトされた異なる高さのパルスの重ね合わせによって生成される。パルス形状は、パルス成形回路300(
図3を参照)によって決定され、パルス成形回路300は、直接変換クリスタルによって生成される電流パルスを処理するのに使用される。
【0029】
よって、極大202a,b,c及び極小204a,bをサンプリングし、それらをアナログ−デジタル変換することによって(
図1及び3を参照)、成形増幅器(図示せず。)によって生成されるパルス形状の推定が利用可能である場合に、各パルスの正確なエネルギを含め個々のパルスの原の組を再構成することが可能である。
【0030】
図3は、以下で記載される要素が、
図2に示されるように極大及び極小を検出するために、直接的に又は間接的に互いへ電気的に接続されているところの回路実施300を示す。動作において、最初に、第1のスイッチ330(S
1)及び第2のスイッチ332(S
2)が閉じられ、それにより、第1及び第2のキャパシタ312,314(C
1及びC
2)はパルス成形器120の出力部でのベースラインを記憶する。動作を開始するよう、第1のスイッチ330及び第2のスイッチ332は開かれる。
【0031】
図3に示されるように、成形器出力が増大する場合に、第2のダイオード318(D
2)は、第2のキャパシタ314(C
2)がベースライン電位を保持するように遮断し、一方、第1のダイオード316(D
1)は導通し、第1のキャパシタ312(C
1)はパルス成形器120の出力部での電圧に従う。これは、成形器出力波形の第1の極大値V
SHが到達されて通過される場合に変化する。それ以降、成形器出力電圧は、第1のキャパシタ312(C
1)の両端の電圧V(C
1)よりも小さく、それにより、第1のダイオード316(D
1)は導通するのを止め、第1のキャパシタ312(C
1)の両端の電圧は据え置かれる。V
SHがV(C
1)よりもh
1だけ小さくなる場合にのみ(すなわち、V
SH+|h
1|=V(C
1))、第1の比較器320(Comp1)は作動し(マイナス−プラス遷移)、そして、(i)V(C
1)がサンプリングされ、アナログ−デジタル変換されるようにし、且つ、(ii)第2のキャパシタ314(C
2)がその時点でV
SHに充電され得るように、短時間、第2のスイッチ332(S
2)を閉じさせる。
【0032】
h1は、パルス成形器120の出力部での電圧波形VSHに加わるノイズに起因して真の
極大値(
極小値)を誤ってサンプリングすることを回避するのに使用されるヒステリシス値である。
【0033】
加えて、第1の比較器320(Comp1)の出力は、第1のサンプルホールド(S&H)ブロック350によって受信され、一方、第2の比較器322(Comp2)の出力は、第2のサンプルホールド(S&H)ブロック352によって受信される。
【0034】
それ以降、VSHが極小値に到達するまで、V(C1)は据え置かれ、V(C2)は、第2のダイオード318(D2)が導通するので、VSHに従う。VSHが極小値に到達した時点以降、第2のダイオード318(D2)は遮断し始め、それにより、V(C2)は据え置かれたままとされる。VSHがV(C2)よりもh2だけ大きくなるとすぐに(すなわち、VSH−|h2|=V(C2))、第2の比較器322(Comp2)が作動し、(マイナス−プラス遷移)、これより、(i)V(C2)がサンプリングされ、アナログ−デジタル変換されるようにし、且つ、(ii)第1のキャパシタ312(C1)がその時点でVSHに充電されて、それにより、このブランチがいつでも次の
極大値を処理できるように、短時間、第1のスイッチ330(S1)を閉じさせる。
【0035】
h2は、パルス成形器120の出力部での電圧波形VSHに加わるノイズに起因して真の
極大値(
極小値)を誤ってサンプリングすることを回避するのに使用されるヒステリシス値である。
【0036】
このプロシージャは、V
SH、C(C
1)及びV(C
2)についての時間挙動400を表す
図4において説明される。
【0037】
上記のアプローチは、例えば、1GHz(1nsサンプリング周期)によりアナログパルスをサンプリングして各サンプルをアナログ−デジタル変換することよりもずっと電力消費量が少ない。それでもなお、実施は、例えば、ピクセルごとに3mWといった、低電力要件を満足するよう最適化される必要がある。
【0038】
更に、ポアソン到着が、平均到着率よりも短い又は長い到着間時間を示すという事実を考慮して、サンプリングされた極大又は極小の幾らかのバッファリングが、平均到着率よりも短い到着間時間の位相を扱うために有用である。そのようなバッファリング手段310(
図3を参照)は、ピクセルごとに、多数の付加的なN個のキャパシタが使用されることを示し、それらのキャパシタにおいて、サンプリング値は、それがアナログ−デジタル変換され得るまで保持される。従って、高速アナログ−デジタルコンバータ(ADC)160が使用されてよく(
図1を参照)、より多くのピクセルを扱う。
【0039】
よって、たった200mWの電力消費しか有さない1GHz8ビットADCを設計することが可能である。ピクセルごとに5Mcpsの平均光子到着率を仮定すると、これは、ADCが1GH/(2×5MHz)=100ピクセルを扱うことができることを意味し、それにより、アナログ−デジタル変換のためのピクセルごとの電力消費量は2mWである。1つの例となる実施形態では、M/D/1待ち行列システムが適用され得る場合に、5Mcpsのポアソン入力により5MHzで100個のピクセルを扱うことは、必要トラヒック値ρ=1に対応する。これにより、バッファ場所の数が制限されないならば、無限に待ち行列を構築することができる。
【0040】
しかしながら、ρ=8の必要トラヒック値に関し、1.1e−3(:=1.1×10
−3)の確率によれば、待ち行列の長さは14に等しく、この待ち行列において14よりも多いイベントを有する確率(それにより、N=14のバッファ場所しかないならば、イベントは失われる。)は約2.1e−3である。すなわち、イベントを失う確率はこの数以下である。
【0041】
これは、6.25MHzのADCサンプリングレートを必要とし(ρ=0.8=5Mcps/6.25MHz)、次いで、ADCによる200mW/(1GHz/(2×6.25MHz))=2.5mWのピクセルごとの電力消費量を与える。
【0042】
単一のADCは80個のピクセルを扱うので(1GHz/(2×6.25MHz))、呼損率は、より低い到着率(よく知られた“バンドリングゲイン(bundling gain)”)を見込むピクセルが通常は存在し、それによりADC160がより高い到着率を有する他のピクセルを扱うことができるので、よりずっと低い。
【0043】
よって、上記のアプローチによれば、パイルアップは“丘及び谷”パルス列200から完全に再構成され得るので、パイルアップによる如何なるエラーも伴わずに5Mcps/ピクセルの入射計数率をサポートすることが可能である。正確なエネルギ情報は、夫々の
極大値より前に
極小値が知られる場合に、パルス成形器120から知られるパルス形状波形を使用することによって、取得され得る。これは、
図5において説明される。
図5で、パルス列500は、2nsの間隔により成形器波形から得られるよう表されている。x軸510は時間を表し、一方、y軸520は電圧を表す。
図5では、負パルスが考えられている。すなわち、極小及び極大は互いに交換される必要がある。極大が知られるならば、対応する極小から真のパルス高さを正確に量子化することが可能である。
【0044】
更に、
極小値がベースラインに等しい場合は、正確なパルス高さは、この
極小値に続く次の
極大値から直接に求められ得る。ベースラインは動作の開始時にサンプリングされ、第3のキャパシタ(C3)(図示せず。)で記憶され得る。
【0045】
8ビットADCによれば、量子化エラー(一様に分布したランダム変数のための式)は、例えば、ステップサイズ/√12=140keV/(256×√12)=01578keVである。
【0046】
ノイズ特性化は、次のように実行され得る:
例えば、定義されたエネルギの1000個のテストパルスを生成し、rms値をアナログ−デジタル変換された振幅から決定する。
【0047】
図6は、パルス列の谷及び丘を再構成することによる光子計数についてのフローチャート600を表す。ステップ610で、検出された光子を示す信号がパルス成形器によって受信される。ステップ620で、その信号から複数のパルスが生成されて、パルス列が形成される。ステップ630で、パルス列は、ピーク検出器によってパルス成形器の出力部でサンプリングされる。ステップ640で、
極大値及び
極小値は、ピーク検出器における回路によって、選択的に検出されサンプリングされる。ステップ650で、サンプリングされた
極大値及び
極小値は、アナログ−デジタルコンバータによってアナログ形式からデジタル形式へ変換される。次いで、プロセスは最初の繰り返しを終了する。
【0048】
従って、要約すると、極めて高いサンプリング周波数でアナログ成形器出力をサンプリングすることなしに、正確なパルス高さ又は完全なパルス列を再構成する手段が提供される。成形器出力は、丘がパルス
極大値を特定し且つ谷がベースラインへの(場合により、不完全な)回帰を表すとして、“谷及び丘”の波形を生じさせるので、いずれもピーク検出器から派生するアナログ
極大検出器及びアナログ
極小検出器を備えた回路は、
極大値及び
極小値でのみ、パルス成形器の出力部でパルス列をサンプリングするために使用される。サンプリングされた値は、次いで、ADCによってアナログからデジタルに変換される。極大及び極小の連続を(場合により、タイムカウンタからの何らかのタイミング情報とともに)考えると、その場合、テストピクセル測定から又はCMOS回路シミュレーションから得られる成形器出力のためのモデルを用いて正確なパルス高さ又は実際のパルス列を再構成することが可能である。結果として、完全なパルス列の相対的に正確な推定が得られ、この推定では、パイルアップ効果は可視的であり、従って、補正され得る。
【0049】
当然ながら、上記の実施形態は個別的に又は組み合わせて使用されてよい。
【0050】
また、用途には、手荷物検査、非破壊検査、医用デジタル透視撮影、マンモグラフィ、X線、並びに他の産業上及び医療上の用途が含まれる。
【0051】
ここで記載される方法は、1又はそれ以上のプロセッサに様々な動作及び/又は他の機能を実行させる、物理メモリのようなコンピュータ可読記憶媒体上で符号化又は具現される1又はそれ以上のコンピュータ可読命令を実行する1又はそれ以上のプロセッサによって実施されてよい。1又はそれ以上のプロセッサはまた、信号又はキャリア波のような一過性の媒体によって搬送される命令を実行することができる。
【0052】
本発明は、好適な実施形態を参照して記載されてきた。改良及び変更は、上記の詳細な説明を読んで理解することで当業者によって想到され得る。改良及び変更が添付の特許請求の範囲及びその均等の適用範囲内にある限りにおいて、本発明は全てのそのような改良及び変更を包含すると解されるよう意図される。