特許第6175194号(P6175194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175194
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】無線信号の最適方向の決定
(51)【国際特許分類】
   H01Q 3/26 20060101AFI20170724BHJP
   H04B 7/10 20060101ALI20170724BHJP
   G01S 3/38 20060101ALI20170724BHJP
   H01Q 25/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H01Q3/26 Z
   H04B7/10 A
   G01S3/38
   H01Q25/00
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-539381(P2016-539381)
(86)(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公表番号】特表2016-535535(P2016-535535A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】CN2013083067
(87)【国際公開番号】WO2015032074
(87)【国際公開日】20150312
【審査請求日】2016年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】509348786
【氏名又は名称】エンパイア テクノロジー ディベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109586
【弁理士】
【氏名又は名称】土屋 徹雄
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,リ
(72)【発明者】
【氏名】イン,シュエフェン
【審査官】 橘 均憲
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−138266(JP,A)
【文献】 特開2006−203920(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0179138(US,A1)
【文献】 特開2003−248671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナアレイを向けるための方法であって、
記アンテナアレイの方位角と仰角とのそれぞれの変数値による多重グリッドを設けること、
2つ以上の連続する時間間隔を特定すること、
前記2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して前記多重グリッドのうちの2つ以上を無作為に選択すること、
信号強度が前記2つ以上のグリッドのそれぞれの1つの中で最強であると決定される座標を前記2つ以上のグリッドのそれぞれの中で識別すること、
前記2つ以上のグリッドの中から最強の信号強度を識別すること、および
前記2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれの間、前記識別された最強の信号強度に対応する前記識別された座標の方に1つまたは複数の無線ビームを向けることを含み、
新たな時間間隔に対して、
前記2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して選択した前記2つ以上のグリッドをまとめて選択すること、
前記まとめて選択した2つ以上のグリッドのそれぞれに対応する最強の信号強度を列挙すること、
前記列挙された信号強度のうちの最高から降順に、所定の数の前記列挙された最強の信号強度を選択すること、
前記所定の数の前記列挙された最強の信号強度に対応する候補グリッドを識別すること、
信号強度が前記2つ以上の候補グリッドの前記それぞれの1つの中で最強であると決定される新たな座標を前記2つ以上の候補グリッドのそれぞれの中で識別すること、
前記2つ以上の候補グリッドの中から新たな最強の信号強度を識別すること、および
前記新たな時間間隔の間、前記識別された新たな最強の信号強度に対応する前記識別された新たな座標の方に前記1つまたは複数の無線ビームを向け直すことをさらに含む、方法。
【請求項2】
前記2つ以上のグリッドのそれぞれの中で座標を前記識別することが、
(a)前記グリッドの前記方位角に対する固定値を選択すること、
(b)前記仰角を変更して、前記固定値に対応する第1の一次元最大信号強度を見つけること、
(c)前記第1の一次元最大信号強度に対応する仰角値を決定すること、
(d)前記方位角を変更して、前記仰角値に対応する第2の一次元最大信号強度を見つけること、および
(e)前記第2の一次元最大信号強度が前記第1の一次元最大信号強度以下となるまで(b)から(d)までを繰り返すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アンテナアレイが、多重指向性ビームを形成して、1つまたは複数の無線信号を送信するように構成される多重アンテナを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記仰角を変更して、前記固定値に対応する第1の一次元最大電力を前記見つけることが、黄金分割探索による、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
実行されたとき、1つまたは複数のプロセッサに、
2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して最強の信号強度を識別することであってアンテナアレイの方位角と仰角とのそれぞれの変数値による多重グリッドを設けることを含む、前記最強の信号強度を識別すること、
前記識別された最強の信号強度に対応する座標の方に1つまたは複数の無線ビームを向けること、
新たな時間間隔の間、新たな最強の信号強度を識別すること、および
前記識別された新たな最強の信号強度に対応する新たな座標の方に前記1つまたは複数の無線ビームを向け直すことを含む動作を実行させる実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体であって、
2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して最強の信号強度を前記識別することが、
前記多重グリッドから2つ以上のグリッドを無作為に選択すること、
信号強度が前記2つ以上のグリッドのそれぞれの1つの中で最強であると決定される座標を前記2つ以上のグリッドのそれぞれの中で識別すること、および
前記2つ以上のグリッドの中から前記最強の信号強度を識別することをさらに含み、
新たな時間間隔の間、新たな最強の信号強度を前記識別することが、
前記2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して選択した前記2つ以上のグリッドをまとめて選択すること、
前記まとめて選択した2つ以上のグリッドのそれぞれに対応する最強の信号強度を列挙すること、
前記列挙された信号強度のうちの最高から降順に、所定の数の前記列挙された最強の信号強度を選択すること、
前記所定の数の前記列挙された最強の信号強度に対応する候補グリッドを識別すること、
信号強度が前記2つ以上の候補グリッドの前記それぞれの1つの中で最強であると決定
される新たな座標を前記2つ以上の候補グリッドのそれぞれの中で識別すること、
前記2つ以上の候補グリッドの中から前記新たな最強の信号強度を識別すること、および
前記新たな時間間隔の間、前記識別された新たな最強の信号強度に対応する前記識別された新たな座標の方に前記1つまたは複数の無線ビームを向け直すことを含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項6】
前記最強であると決定される座標を前記2つ以上のグリッドのそれぞれの中で識別することが、
(a)前記グリッドの前記仰角に対して固定値を選択すること、
(b)前記方位角を変更して、前記固定値に対応する第1の一次元最大信号強度を見つけること、
(c)前記第1の一次元最大信号強度に対応する方位角値を決定すること、
(d)前記仰角を変更して、前記方位角値に対応する第2の一次元最大信号強度を見つけること、および
(e)前記第2の一次元最大信号強度が前記第1の一次元最大信号強度以下となるまで(b)から(d)までを繰り返すことを含む、請求項5に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記アンテナアレイが、多重指向性ビームを形成して、1つまたは複数の無線信号を送信するように構成される多重アンテナを含む、請求項5に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記方位角を変更して、前記固定値に対応する第1の一次元最大電力を前記見つけることが、黄金分割探索による、請求項6に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
号スペクトル内で最強の信号強度の比較表示の座標を識別するように構成された信号ロケータと、
前記識別された座標の方に1つまたは複数の無線信号を向けるように構成された多重アンテナとを備え、
前記信号ロケータが、
アンテナアレイの方位角と仰角とのそれぞれの変数値による多重グリッドを設け、
2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して前記多重グリッドのうちの2つ以上を無作為に選択し、
信号強度が前記2つ以上のグリッドのそれぞれの1つの中で最強であると決定される座標を前記2つ以上のグリッドのそれぞれの中で識別し、
前記2つ以上のグリッドの中から前記最強の信号強度を識別し、
前記それぞれの2つ以上の連続する時間間隔の間、前記識別された最強の信号強度に対応する前記識別された座標の方に1つまたは複数の無線信号を向けるようにさらに構成され、
前記信号ロケータが、新たな時間間隔に対して、
前記2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して選択した前記2つ以上のグリッドをまとめて選択し、
前記まとめて選択した2つ以上のグリッドのそれぞれに対応する最強の信号強度を列挙し、
前記列挙された信号強度のうちの最高から降順に、所定の数の前記列挙された最強の信号強度を選択し、
前記所定の数の前記列挙された最強の信号強度に対応する候補グリッドを識別し、
信号強度が前記2つ以上の候補グリッドのそれぞれの1つの中で最強であると決定される新たな座標を前記2つ以上の候補グリッドのそれぞれの中で識別し、
前記2つ以上の候補グリッドの中から新たな最強の信号強度を識別し、
前記新たな時間間隔の間、前記識別された新たな最強の信号強度に対応する前記識別された新たな座標の方に前記1つまたは複数の無線信号を向け直すようにさらに構成される、アンテナアレイ。
【請求項10】
前記信号ロケータが、
(a)前記グリッドの前記方位角に対して固定値を選択し、
(b)前記仰角を変更して、前記固定値に対応する第1の一次元最大信号強度を見つけ、
(c)前記第1の一次元最大信号強度に対応する仰角値を決定し、
(d)前記方位角を変更して、前記仰角値に対応する第2の一次元最大信号強度を見つけ、
(e)前記第2の一次元最大信号強度が前記第1の一次元最大信号強度以下となるまで(b)から(d)までを繰り返すようにさらに構成される、請求項9に記載のアンテナアレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された技術は、一般に、アンテナアレイを統合したモバイル通信装置における最適方向の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書に他に指示がない限り、本章に記載された方式は、本出願における特許請求の範囲の先行技術ではないし、本章への包含によって先行技術と認めるものではない。
【0003】
モバイル通信装置、たとえば、携帯電話またはスマートフォンは、アンテナが最強の信号を受信することができる特定の方向の方に無線ビームを形成する1つまたは複数のアンテナを含むアンテナアレイを統合することができる。無線信号の投射および受信のための最適方向を決定するのに使用される現在のアルゴリズムの複雑性により、過度の電力消費が生じ、モバイル通信装置の電池寿命が低下することがある。
【発明の概要】
【0004】
技術は、一般に、無線信号の最適方向の決定に関して記載される。さまざまな技法が、さまざまな装置、方法および/またはシステムに実装され得る。
【0005】
いくつかの例では、さまざまな技法が装置上にまたは装置によって実装され得る。いくつかの装置は、信号スペクトルの境界を識別し、信号スペクトル内で最強の信号強度の比較表示(comparative reading)の座標を識別するように構成された信号ロケータと、1つまたは複数の無線信号を識別された座標の方に向けるように構成された多重アンテナとを含むことができる。
【0006】
いくつかの例では、さまざまな実施形態を方法として実装することができる。いくつかの方法は、球面空間内に信号スペクトルの境界を識別すること、アンテナアレイの方位角と迎角とのそれぞれの変数値による多重グリッドに信号スペクトルを分類(parse)すること、2つ以上の連続する時間間隔を識別すること、2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して多重グリッドの2つ以上を無作為に選択すること、信号強度が2つ以上のグリッドのそれぞれの1つの中で最強であると決定される座標を2つ以上のグリッドのそれぞれの中の識別すること、2つ以上のグリッドの中から最強の信号強度を識別すること、および2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれの間、識別された最強の信号強度に対応する識別された座標の方に1つまたは複数の無線ビームを向けることを含むことができる。
【0007】
いくつかの例では、さまざまな実施形態を、それに記憶された実行可能な命令を有するコンピュータ可読媒体として実装することができる。いくつかのコンピュータ可読媒体は、実行されたとき、1つまたは複数のプロセッサに、2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに対して最強の信号強度を識別すること、識別された最強の信号強度に対応する座標の方に1つまたは複数の無線ビームを向けること、新たな時間間隔の間、新たな最強の信号強度を識別すること、および識別された新たな最強の信号強度に対応する新たな座標の方に1つまたは複数の無線ビームを向け直すことを含む動作を実行させる命令を記憶することができる。
【0008】
前述の概要は例示だけであり、決して限定することが意図されてはいない。上記の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、他の態様、実施形態、および特徴は、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかとなるであろう。
【0009】
以下に続く詳細な説明において、さまざまな変更および修正が以下の詳細な説明から当業者には明らかとなるので、実施形態は例示だけとして記載される。異なる図における同じ参照番号の使用は、同様のまたは同じ要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】最適方向の決定を実装することができる無線信号の環境例を示す図である。
図2】最適方向の決定を実装することができる信号スペクトル例を示す図である。
図3】最適方向の決定を実装することができる多重時間間隔に対応する多重信号スペクトルを示す図である。
図4】最適方向の決定を実装することができる黄金分割探索方法例を示す図である。
図5】最適方向の決定を実装することができる二次元探索方法例を示す図である。
図6】最適方向の決定を実装することができる動作の処理フローの構成例の図である。
図7】実装することができる最適方向の決定のために配列されたコンピューティングデバイス例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
すべての図は本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列される。
【0012】
以下の詳細な説明において、説明の一部を形成する添付の図面が参照される。図面において、状況から他の指示がない限り、同様の記号は、通常、同様のコンポーネントを識別する。さらに、別段の記載がない限り、それぞれの連続する図面の説明は、現在の実施形態例のより明確な状況およびより実質的な説明を得るために、前の図面のうちの1つまたは複数から特徴を参照することができる。さらに、詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載された実施形態は、限定することが意図されていない。本明細書に提示された主題の精神または範囲から逸脱することなく、その他の実施形態を利用することができ、その他の変更を加えることができる。本開示の態様は、全般的に本明細書に記載され、図面に例示されるように、実にさまざまな異なる構成で配列し、代替し、組み合わせ、分離し、設計することができ、それらのすべては、本明細書において明示的に企図されていることが容易に理解されよう。
【0013】
いくつかの実施形態例によれば、モバイル通信装置のアンテナアレイを管理するように構成された信号ロケータは、まず、識別された信号スペクトルを多重グリッドに分類し、分類されたグリッドの中から大域最大信号強度を識別することができる。さらに、1つまたは複数の次の時間間隔において、信号ロケータは、1つまたは複数の時間間隔のそれぞれの新たな大域最大信号強度を識別し、新たな大域最大信号強度に応答してアンテナアレイを向けるように構成することができる。
【0014】
図1は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、最適方向の決定を実装することができる無線信号の環境例100を示す。図示されるように、環境例100は、モバイル通信装置103の信号ロケータ104によってアンテナアレイ102の位置に対する球面空間内で管理されるアンテナアレイ102を含むことができる。アンテナアレイ102の迎角106と方位角108とのそれぞれの変数値により、球面空間を多重グリッド、たとえば、グリッド110、グリッド112、グリッド114などに分類することができる。
【0015】
アンテナアレイ102は、1つまたは複数の無線ビームをさまざまな方向に形成するように信号ロケータ104によって管理されるアンテナアレイ102を統合することができる、モバイル通信装置103の物理的コンポーネントを表すことができる。本明細書で参照されるように、無線ビームは、特定の方向に集束された無線信号の1つまたは複数のビームを表すことができる。アンテナの群のそれぞれは、振幅と位相が可変であり、したがって無線ビームの方向が制御可能であり得る電流により支援され得る。
【0016】
モバイル通信装置103は、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、パーソナルメディアプレーヤ装置、特定用途向け装置、または上記の機能のいずれかを含むハイブリッド装置などのモバイル(またはポータブル)電子装置を表すことができる。あるいは、無線通信装置103をタブレット構成、ラップトップコンピュータ構成、非ラップトップコンピュータ構成などを含むパーソナルコンピュータとして実装することができる。
【0017】
信号ロケータ104は、算術演算、論理演算、入出力操作を実行するように構成することができるモバイル通信装置103のハードウェアコンポーネント、ソフトウェアコンポーネント、ファームウェアコンポーネントまたはそれらの組み合わせを表すことができる。いくつかの例によれば、信号ロケータ104は、アンテナアレイ102を通じて電流の振幅および位相を変更し、結果として、迎角106と方位角108とを変えるように構成することができる。
【0018】
方向制御可能な無線ビームの迎角106と方位角108とは、それぞれ、アンテナアレイ102に対して球面空間に対応する球面座標系における角度測定を表すことができる。迎角106は、アンテナアレイ102の好ましい方向と現地水平線との間の角度を表すことができる。方位角108は、球面座標系の原点から好ましい方向までのベクトル、すなわち、アンテナアレイ102からアンテナアレイ102の現地水平線上に垂直に射影することができる好ましい方向の射影ベクトルと、アンテナ102の現地水平線上の基準ベクトルとの間の角度を表すことができる。基準ベクトルは、原点からアンテナアレイ102の現地水平線上の所定の位置までのベクトルを表すことができる。迎角106と方位角108とを変更することによって、アンテナアレイ102を、球面座標系における任意の方向の方に向くように構成することができる。
【0019】
グリッド110、グリッド112、およびグリッド114は、それぞれ、迎角106と方位角108とのそれぞれの変数値による球面座標系上の信号スペクトルの分類された多重グリッドのうちの1つを表すことができる。いくつかの例では、信号ロケータ104は、信号スペクトル内で最強の信号強度を見つけるまたは識別するために球面空間内の信号スペクトルを多重グリッドに分類するように構成ことができる。図1に示される非限定例において、信号スペクトルを、方位角108による12の区分と、迎角106による6つの区分とに分類することができる。したがって、グリッド110、グリッド112、およびグリッド114は、座標、(4,3)、(4,4)、(5,5)の位置にあり得る、信号スペクトル内の72のグリッドのうちの3つを表すことができる。いくつかの例では、それぞれのグリッドのサイズは、アンテナアレイ102のそれぞれのアンテナの開口によって決定することができる。
【0020】
したがって、図1は、迎角106と方位角108とのそれぞれの変数値により、多重グリッド、たとえば、グリッド110、グリッド112、グリッド114などに分類することができる、信号ロケータ104によって球面空間内で管理されるアンテナアレイ102を含むことができる環境例100を示す。
【0021】
図2は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、最適方向の決定を実装することができる信号スペクトル例200を示す。図示されるように、信号スペクトル例200は、迎角106と方位角108との変数値により分類された、多重グリッド、たとえば、グリッド110、グリッド112、およびグリッド114を含むことができる。
【0022】
信号スペクトル例200は、図1に関して示され、記載された信号スペクトルを示す球面座標系から変換された二次元座標系を表すことができる。いくつかの例によれば、2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれに関して、信号ロケータ104は、二次元座標系の多重グリッドから所定の数、たとえば、3つのグリッドを無作為に選択して、信号強度が信号スペクトルの、たとえば、3つのグリッドのそれぞれの中で最強であると決定される座標の探索を行うように構成することができる。いくつかの例によれば、信号ロケータ104は、グリッド内の最強の信号強度を識別する際に黄金分割探索方法を組み込んだ二次元探索方法を採用するように構成することができる。本明細書において参照されるように、黄金分割探索は、所与の範囲内の関数の極大値または極小値を見つけることができる探索方法を表すことができる。
【0023】
さらに、信号ロケータ104は、3つのグリッドのうちの識別された座標の中で全体的に最強の信号強度の座標を識別するように構成することができる。したがって、信号ロケータ104は、全体的に最強の信号強度に対応する座標の方にアンテナアレイ102を向けるようにさらに構成することができる。いくつかの例では、時間間隔は、データフレームを送信するアンテナアレイ102の時間の周期を表すことができる。
【0024】
したがって、図2は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、最適方向の決定を実装することができる二次元座標系における信号スペクトル例200を示す。
【0025】
図3は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、最適方向の決定を実装することができる、多重時間間隔に対応する多重信号スペクトル300を示す。図示されるように、信号スペクトル300は、そのそれぞれが1つまたは複数の、たとえば、3つの、連続する時間間隔のうちの1つに対応する信号スペクトル301、303、305、および307を含むことができる。信号スペクトルのそれぞれは、1つまたは複数のグリッド、たとえば、グリッド302A〜302C、グリッド304A〜304D、グリッド306A〜306Bなどをさらに含むことができる。特に、それぞれの信号スペクトルに含まれる1つまたは複数のグリッドの数は、上述の数に限定されない可能性がある。
【0026】
信号スペクトル301は、連続する時間間隔のうちの第1の1つに対応する信号スペクトルを表すことができる。上記のように、信号ロケータ104は、第1の時間間隔の間、信号スペクトル内の多重グリッド、たとえば、グリッド302A〜302Cから1つまたは複数のグリッドを無作為に選択し、それぞれのグリッド内の最強の信号強度の座標を見つけるように構成することができる。いくつかのその他の例では、代替案として、信号ロケータ104は、多重グリッドのそれぞれの中で大域探索を行って、3つの最強の信号強度がそれぞれ位置する1つまたは複数のグリッド(たとえば、3つのグリッド)を識別し、同様に、それぞれのグリッド内で最強の信号強度の座標を見つけるように構成することができる。さらに、信号ロケータ104は、識別された座標の中で全体的に最強の信号強度の座標を識別し、第1の時間間隔の間、全体的に最強の信号強度の方にアンテナアレイ102を向けるように構成することができる。
【0027】
信号スペクトル301と同様に、信号スペクトル303および305は、連続する時間間隔のうちの第2のおよび第3の1つに対応する信号スペクトルを表すことができる。同様に、第2のおよび第3の時間間隔のそれぞれの間、信号ロケータ104は、信号スペクトル内の多重グリッド、たとえば、グリッド304A〜304D、グリッド306A〜306Bから1つまたは複数のグリッドを無作為に選択し、それぞれのグリッド内で最強の信号強度の座標を見つけるように構成することができる。同様に、その他の例では、信号ロケータ104は、代替案として、多重グリッドのそれぞれの中で別の大域探索を行って、対応する数の最強の信号強度がそれぞれ位置する1つまたは複数のグリッドを識別し、それぞれのグリッド内で最強の信号強度の座標を見つけるように構成することができる。信号ロケータ104は、それぞれの時間間隔内で、識別された座標の中の全体的に最強の信号強度の座標を識別し、それぞれの全体的に最強の信号強度の方にアンテナアレイ102を向けるように構成することもできる。
【0028】
信号スペクトル307は、上述の1つまたは複数の時間間隔に続く時間間隔、たとえば、第4の時間間隔に対応する信号スペクトルを表すことができる。第4の間隔の間、信号ロケータ104は、前の3つの間隔の間、または1つまたは複数の無作為に選択された追加のグリッド(図示せず)とともに選択された1つまたは複数のグリッドをまとめるように構成することができる。すなわち、信号ロケータ104は、グリッド302A〜302C、グリッド304A〜304D、グリッド306A〜306Bを選択し、9つのグリッドの中で全体的に最強の信号強度の座標の探索を行うように構成することができる。信号ロケータ104が前の時間間隔のそれぞれの間、9つのグリッドのそれぞれの中で最強の信号強度の座標を識別したので、信号ロケータ104は、列挙された信号強度のうちの最高から降順に、まとめられたグリッドのそれぞれに対応する最強の信号強度を列挙し、3つの最強の信号強度に対応する9つのグリッドから、所定の数のグリッド、たとえば、3つを選択するように構成することができる。信号ロケータ104は、次いで、選択されたグリッドのそれぞれの中で新たな最強の信号強度を探索し、さらに、第4の時間間隔の間、新たな全体的に最強の信号強度を識別するように構成することができる。アンテナアレイ102は、次いで、第4の時間間隔の間、新たな全体的に最強の信号強度の方に向け直すことができる。
【0029】
したがって、図3は、最適方向の決定を実装することができる、多重時間間隔に対応する多重信号スペクトル300を示す。
【0030】
図4は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、最適方向の決定を実装することができる黄金分割探索方法例400を示す。図示されるように、黄金分割探索方法400は、極小値が存在することができる範囲を繰り返し狭めることにより極小値を見つけるのに使用される最適な探索方法を表すことができる。黄金分割探索方法は、極大値を見つけるのにも使用することができる。横軸は、f(x)の関数値を縦軸上に配置したときのxのパラメータである。最初は、f(x)の値は、x、x、xの3点において評価される。それぞれのf(x)の値はf、f、fである。
【0031】
とxとの間の距離、図示される「b」が、xとxとの間の距離、図示される「a」よりも大きいので、新たな値xをxとxとの間に選択することができる。xにおける関数値がfよりも大きい値、たとえば、f4aを生じる場合、極小値を識別する新たな範囲は、xとxとの間であり得る。xにおける関数値がf以下の値、たとえば、f4bを生じる場合、極小値を識別する新たな範囲は、xとxとの間であり得る。したがって、極小値が存在し得る範囲が狭められる。この方法を繰り返すことにより、極小値を見つけることができる。探索プロセスを少なくとも一例において簡単にするために、fがf、f、fおよびf4a/f4bの中で最小値をとる場合、極小値が存在し得る範囲を狭めて、xとxとの間とすることができる。同様に、fがf、f、fおよびf4a/f4bの中で最小値をとる場合、範囲を狭めて、xとxとの間とすることができる。
【0032】
探索方法の繰り返し性能の効率を改善するために、xとxとの間の距離は、
【0033】
【数1】

を満たすことが好ましい。同様に、xとxとの間の距離は、
【0034】
【数2】

を満たすことが好ましい。いくつかの例では、
【0035】
【数3】

は、黄金比と称することができ、1.6、1.61、または1.618として単純化することができる。
【0036】
したがって、図4は、最適方向の決定を実装することができる黄金分割探索方法例400を示す。
【0037】
図5は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、最適方向の決定を実装することができる二次元探索方法例500を示す。図示されるように、二次元探索方法例500は、迎角506と方位角508との値を変更することにより、グリッド502内の極大信号強度504mを見つけるように実装することができる。
【0038】
グリッド502は、迎角506と方位角508との変数値により識別することができる、信号ロケータ104によって選択された多重グリッドのうちの1つを表すことができる。非限定例では、信号ロケータ104は、方位角508の値、たとえば、Aを選択することができ、Aの位置は、方位角508の数値範囲を、黄金比を満足させる2つの部分範囲に分けることができる。信号ロケータ104は、次いで、上述の黄金分割探索方法により、迎角506を変更することによって、極大信号強度を探索するように構成することができる。迎角506の値がxであるとき信号ロケータ104が極大信号強度を見つけたとすると、信号ロケータ104は、迎角506の値がxとして固定されるとき第2の最大信号強度を見つけるために方位角508の値を変更するように構成することができる。第2の最大信号強度に対応する方位角508の値をBとして決定することができる。この探索方法を両方の次元、すなわち、迎角506と方位角508とに対して繰り返すことにより、信号ロケータ104は、たとえば、方位角508の値がcであり、迎角506の値がzであるとき、極大信号強度504の座標をグリッド502に見つけることができる。
【0039】
したがって、図5は、極大信号強度504をグリッド502内で探索する際の二次元探索方法例500を示す。
【0040】
図6は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、最適方向の決定を実装することができる動作の処理フロー600の構成例を示す。図示されるように、処理フロー600は、環境例100の一部である、さまざまなコンポーネントによって実行されるサブプロセスを含むことができる。しかし、処理フロー600は、そのようなコンポーネントに限定されず、本明細書に記載されたサブプロセスのうちの2つ以上を並び換え、サブプロセスのうちの少なくとも1つを除去し、他のサブプロセスを追加し、コンポーネントを置き換え、または以下の説明のその他のコンポーネントに与えられたサブ処理の役割をさまざまなコンポーネントに担わせさえもすることによって、変更を加えることができる。処理フロー600は、ブロック602、604、606、608、610、612、614、616、618および/または620のうちの1つまたは複数によって例示されるように、さまざまな動作、機能、または作用を含むことができる。処理はブロック602から開始することができる。
【0041】
ブロック602(大域最大信号強度の識別)は、1つまたは複数の連続する時間間隔のそれぞれの間、全体的に最強の信号強度の座標を1つまたは複数のグリッドの中から識別する信号ロケータ104を表すことができる。ブロック602は、ブロック604、606、608、および610によって示される1つまたは複数のサブプロセスを含むことができる。処理はブロック602からブロック604に進むことができる。
【0042】
ブロック604(信号スペクトルの識別)は、球面空間内に信号スペクトルの境界を識別する信号ロケータ104を表すことができる。信号スペクトルは、球面空間または球面空間全体の部分を占めることができる。たとえば、図1に示されるように、信号スペクトルは、球面空間全体の上半球を占めることができる。処理はブロック604からブロック606に継続することができる。
【0043】
ブロック606(信号スペクトルの分類)は、アンテナアレイ102の迎角106と方位角108とのそれぞれの変数値により、信号スペクトルを多重グリッドに分類する信号ロケータ104を表すことができる。図1に示される非限定例では、信号スペクトルは、方位角108による12の区分および迎角106による6つの区分に分類することができる。処理はブロック606からブロック608に継続することができる。
【0044】
ブロック608(グリッドの選択)は、2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれの間、多重グリッドの2つ以上、たとえば、3つ、または全部を無作為に選択する信号ロケータ104を表すことができる。たとえば、2つ以上の時間間隔の第1の間、信号ロケータ104は、グリッド302A〜302Cを無作為に選択して、それぞれのグリッド内の最強の信号強度の座標を識別するように構成することができる。あるいは、信号ロケータ104は、すべての多重グリッドを選択するように構成することができる。処理はブロック608からブロック610に継続することができる。
【0045】
ブロック610(大域最大信号強度の選択)は、2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれの間、信号強度がグリッドのそれぞれの1つの中で最強であると決定される座標を2つ以上のグリッド(またはすべてのグリッド)のそれぞれの中で識別し、最強の信号強度をグリッドの中から識別する信号ロケータ104を表すことができる。すなわち、信号ロケータ104は、図5に関して記載されるように、二次元探索方法を採用して、選択されたグリッドのそれぞれの中で最強の信号強度の座標を識別するように構成することができる。信号ロケータ104は、次いで、2つ以上の連続する時間間隔のそれぞれの間、最強の信号強度を比較し、最強の信号強度の中で最高の信号強度値である全体的に最強の信号強度に対応する座標を識別するように構成することができる。全体的に最強の信号強度は、大域最大信号強度と称することができる。信号ロケータ104は、次いで、それぞれの2つ以上の連続する時間間隔の間、1つまたは複数の無線ビームをアンテナ102から全体的に最強の信号強度に対応する座標の方に向けるようにさらに構成することができる。処理はブロック610からブロック612に継続することができる。
【0046】
ブロック612(新たな大域最大信号強度の識別)は、前の2つ以上の時間間隔に続く新たな時間間隔の間、新たな全体的に最強の信号強度に対応する座標を識別する信号ロケータ104を表すことができる。ブロック612は、ブロック614、616、618、620によって示される1つまたは複数のサブプロセスを含むことができる。
【0047】
ブロック614(多重極大信号強度の識別)は、新たな時間間隔の間、2つ以上の、前の連続する時間間隔のそれぞれに対して、2つ以上のグリッドをまとめ、まとめられた2つ以上のグリッドのそれぞれに対応する最強の信号強度を列挙する信号ロケータ104を表すことができる。いくつかの例では、信号ロケータ104は、前の3つの間隔の間選択されたグリッド、たとえば、グリッド302A〜302C、グリッド304A〜304D、グリッド306A〜306Bをまとめ、または1つまたは複数の追加のグリッドをさらに選択するように構成することができる。信号ロケータ104は、次いで、9つ以上のグリッドのそれぞれの中で最強の信号強度を探索するように構成することができる。処理はブロック614からブロック616に継続することができる。
【0048】
ブロック616(極大信号強度の選択)は、列挙された信号強度のうちの最高から降順に、所定の数の、たとえば、3つの列挙された最強の信号強度を選択する信号ロケータ104を表すことができる。すなわち、信号ロケータ104は、いくつかの例では、それぞれ、グリッド302A〜302C、グリッド304A〜304D、グリッド306A〜306Bに対応する列挙された9つの信号強度のうちの3つの最高の信号強度のそれぞれの値およびそれぞれの座標を選択するように構成することができる。処理はブロック616からブロック618に継続することができる。
【0049】
ブロック618(多重グリッドの識別)は、所定の数の列挙された最強の信号強度に対応する候補グリッドを識別する信号ロケータ104を表すことができる。非限定例では、信号ロケータ104は、グリッド302A、304D、および306Bが、選択された3つの最高の信号強度に対応する場合、グリッド302A、304D、および306Bを候補グリッドとして識別するように構成することができる。処理はブロック618からブロック620に継続することができる。
【0050】
ブロック620(新たな大域最大信号強度の識別)は、信号強度が2つ以上の候補グリッドのそれぞれの1つ内で最強であると決定される新たな座標を2つ以上の候補グリッドのそれぞれの中で識別し、新たな最強の信号強度を2つ以上の候補グリッドの中から識別する信号ロケータ104を表すことができる。すなわち、信号ロケータ104は、候補グリッド、たとえば、グリッド302A、304D、および306Bのそれぞれの中で、新たな最強の信号強度の座標を識別するように構成することができる。さらに、信号ロケータ104は、3つの新たな最強の信号強度の中から新たな全体的に最強の信号強度の座標を識別するように構成することができる。アンテナアレイ102からの1つまたは複数の無線ビームは、新たな時間間隔の間に、識別された新たな全体的に最強の信号強度に対応する識別された新たな座標の方に向け直すことができる。
【0051】
少なくとも実施形態の一例において、上述の処理は、所定の時間間隔の後、ブロック602に戻ることができる。
【0052】
図7は、本明細書に記載された少なくともいくつかの実施形態により配列された、実装することができる最適方向の決定のために配列されたコンピューティングデバイス例を例示するブロック図を示す。
【0053】
非常に基本的な構成702では、コンピューティングデバイス700は、典型的には、1つまたは複数のプロセッサ704と、システムメモリ706とを含む。メモリバス708は、プロセッサ704とシステムメモリ706との間の通信に使用することができる。
【0054】
所望の構成により、プロセッサ704は、マイクロプロセッサ(μΡ)、マイクロコントローラ(μC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、または任意のそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない任意のタイプであり得る。プロセッサ704は、レベル1キャッシュ710およびレベル2キャッシュ712など、もう1つのレベルのキャッシングと、プロセッサコア714と、レジスタ716とを含むことができる。プロセッサコア例714は、数値演算ユニット(ALU)、浮動小数点演算ユニット(FPU)、デジタル信号処理コア(DSPコア)、または任意のそれらの組み合わせを含むことができる。メモリコントローラ例718は、プロセッサ704とともに使用することもでき、またはいくつかの実装形態において、メモリコントローラ718は、プロセッサ704の内部部分であり得る。
【0055】
所望の構成により、システムメモリ706は、揮発性メモリ(RAMなど)、不揮発性メモリ(ROM、フラッシュメモリなど)または任意のそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない任意のタイプであり得る。システムメモリ706は、オペレーティングシステム720と、1つまたは複数のアプリケーション722と、プログラムデータ724とを含むことができる。アプリケーション722は、図6のプロセス600に関して記載された方法を含む、本明細書に記載されているとおりに機能を実行するように配列された、最適方向の決定方法726を含むことができる。プログラムデータ724は、本明細書に記載されているように最適方向の決定方法726による動作に有用であり得る最適方向の決定データ728を含むことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーション722は、最適方向の決定の実装形態が、本明細書に記載されているとおりに実現され得るように、オペレーティングシステム720上でプログラムデータ724を用いて動作するように配列することができる。この記載された基本構成702は、図7に内部破線内のコンポーネントによって例示される。
【0056】
コンピューティングデバイス700は、追加の特徴または機能、および基本構成702と任意の必要な装置とインターフェースとの間の通信を容易にするための追加のインターフェースを有することができる。たとえば、バス/インターフェースコントローラ730は、ストレージインターフェースバス734を介して基本構成702と1つまたは複数のデータ記憶装置732との間の通信を容易にするのに使用することができる。データ記憶装置732は、取外し式記憶装置736、非取外し式記憶装置738、またはそれらの組み合わせであり得る。取外し式記憶装置と非取外し式記憶装置との例には、2〜3例を挙げると、フレキシブルディスクドライブおよびハードディスクドライブ(HDD)などの磁気ディスク装置、コンパクトディスク(CD)ドライブまたはデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブなどの光ディスクドライブ、ソリッドステートドライブ(SSD)、ならびにテープドライブが含まれる。コンピュータストレージ媒体例は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、またはその他のデータなど、情報の記憶のための任意の方法または技術で実装された揮発性および不揮発性、取外し式および非取外し式媒体を含むことができる。
【0057】
システムメモリ706、取外し式記憶装置736および非取外し式記憶装置738は、コンピュータストレージ媒体の例である。コンピュータストレージ媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくはその他のメモリ技術、CD−ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)もしくはその他の光学式ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージもしくはその他の磁気記憶装置、または所望の情報を記憶するのに使用することができ、コンピューティングデバイス700によってアクセスすることができる任意のその他の媒体を含むが、それらに限定されない。任意のそのようなコンピュータストレージ媒体は、コンピューティングデバイス700の一部であり得る。
【0058】
コンピューティングデバイス700は、バス/インターフェースコントローラ730を介してさまざまなインターフェース装置(たとえば、出力装置742、周辺インターフェース744、および通信装置746)から基本構成702への通信を容易にするためのインターフェースバス740を含むこともできる。出力装置例742は、1つまたは複数のA/Vポート752を介してディスプレイまたはスピーカなどのさまざまな外部装置と通信するように構成することができるグラフィック処理ユニット748とオーディオ処理ユニット750とを含む。周辺インターフェース例744は、1つまたは複数のI/Oポート758を介して入力装置(たとえば、キーボード、マウス、ペン、音声入力装置、タッチ入力装置など)またはその他の周辺装置(たとえば、プリンタ、スキャナなど)などの外部装置と通信するように構成することができるシリアルインターフェースコントローラ754またはパラレルインターフェースコントローラ756を含む。通信装置例746は、1つまたは複数の通信ポート764を介してネットワーク通信リンクにわたって1つまたは複数のその他のコンピューティングデバイス762との通信を容易にするように配列することができるネットワークコントローラ760を含む。
【0059】
ネットワーク通信リンクは、通信媒体の一例であり得る。通信媒体は、典型的には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または搬送波もしくはその他の輸送機構などの変調されたデータ信号におけるその他のデータによって具現化することができ、任意の情報送達媒体を含むことができる。「変調されたデータ信号」は、その特性の組のうちの1つまたは複数を有する、または情報を信号でエンコードするようなやり方で変更された信号であり得る。例として、および限定ではなく、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続などの有線媒体および音響、無線周波数(RF)、マイクロ波、赤外線(IR)およびその他の無線媒体などの無線媒体を含むことができる。コンピュータ可読媒体という用語は、本明細書では、ストレージ媒体および通信媒体の両方を含むことができる。
【0060】
コンピューティングデバイス700は、携帯電話、パーソナルデータアシスタント(PDA)、パーソナルメディアプレーヤ装置、無線ウェブ腕時計装置、パーソナルヘッドセット装置、特定用途向け装置、または上記の機能のいずれかを含むハイブリッド装置などの、小さいフォームファクタのポータブル(またはモバイル)電子装置の一部として実装することができる。コンピューティングデバイス700は、ラップトップコンピュータ構成および非ラップトップコンピュータ構成の両方を含むパーソナルコンピュータとして実装することもできる。
【0061】
例示的な実施形態において、本明細書に記載された動作、処理などのうちのいずれかは、コンピュータ可読媒体上に記憶されたコンピュータ可読命令として実装することができる。コンピュータ可読命令は、モバイルユニット、ネットワーク要素、および/または任意のその他のコンピューティングデバイスのプロセッサによって実行され得る。
【0062】
システムの側面でのハードウェアの実装形態とソフトウェアの実装形態との間には、ほとんど相違が残されていない。ハードウェアまたはソフトウェアの使用は、一般に(いつもそうではないが、ある状況ではハードウェアとソフトウェアの間の選択が重要になり得るという点で)コスト対効果のトレードオフを表す設計上の選択である。本明細書に記載された、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術をもたらすことができるさまざまな達成手段があり(たとえば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)、好ましい達成手段は、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術が導入される状況によって異なる。たとえば、実装者が速度と正確性が最も重要であると決定すると、実装者は主にハードウェアおよび/またはファームウェアの達成手段を選択することができる。フレキシビリティが最も重要なら、実装者は主にソフトウェアの実装形態を選択することができる。または、さらに別の代替案として、実装者は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアのなんらかの組み合わせを選択することができる。
【0063】
前述の詳細な説明では、ブロック図、フローチャート、および/または例の使用によって、装置および/またはプロセスのさまざまな実施形態を説明してきた。そのようなブロック図、フローチャート、および/または例が1つまたは複数の機能および/または動作を含む限りにおいて、そのようなブロック図、フローチャート、または例の中のそれぞれの機能および/または動作は、広範囲のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または実質上それらのすべての組み合わせにより、個別におよび/または集合的に実装可能であることが、当業者には理解されるであろう。ある実施形態では、本明細書に記載された主題のいくつかの部分は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、または他の集積化方式によって実装することができる。しかし、本明細書で開示された実施形態のいくつかの態様が、全体においてまたは一部において、1つまたは複数のコンピュータ上で動作する1つまたは複数のコンピュータプログラムとして(たとえば、1つまたは複数のコンピュータシステム上で動作する1つまたは複数のプログラムとして)、1つまたは複数のプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして(たとえば、1つまたは複数のマイクロプロセッサ上で動作する1つまたは複数のプログラムとして)、ファームウェアとして、あるいは実質上それらの任意の組み合わせとして、等価に集積回路に実装することができることを、当業者は認識するであろうし、電気回路の設計ならびに/またはソフトウェアおよび/もしくはファームウェアのコーディングが、本開示に照らして十分当業者の技能の範囲内であることを、当業者は認識するであろう。さらに、本明細書に記載された主題のメカニズムをさまざまな形式のプログラム製品として配布することができることを、当業者は理解するであろうし、本明細書に記載された主題の例示的な実施形態が、実際に配布を実行するために使用される信号伝達媒体の特定のタイプにかかわらず適用されることを、当業者は理解するであろう。信号伝達媒体の例には、フロッピーディスク、ハードディスクドライブ、CD、DVD、デジタルテープ、コンピュータメモリ、などの記録可能なタイプの媒体、ならびに、デジタル通信媒体および/またはアナログ通信媒体(たとえば、光ファイバケーブル、導波管、有線通信リンク、無線通信リンクなど)の通信タイプの媒体が含まれるが、それらには限定されない。
【0064】
本明細書で説明したやり方で装置および/またはプロセスを記載し、その後そのように記載された装置および/またはプロセスを、データ処理システムに統合するためにエンジニアリング方式を使用することは、当技術分野で一般的であることを当業者は認識するであろう。すなわち、本明細書に記載された装置および/またはプロセスの少なくとも一部を、妥当な数の実験によってデータ処理システムに統合することができる。通常のデータ処理システムは、一般に、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイ装置、揮発性メモリおよび不揮発性メモリなどのメモリ、マイクロプロセッサおよびデジタル信号プロセッサなどのプロセッサ、オペレーティングシステムなどの計算実体、ドライバ、グラフィカルユーザインターフェース、およびアプリケーションプログラムのうちの1つもしくは複数、タッチパッドもしくはスクリーンなどの1つもしくは複数の相互作用装置、ならびに/またはフィードバックループおよびコントロールモータを含むコントロールシステム(たとえば、位置検知用および/もしくは速度検知用フィードバック、コンポーネントの移動用および/もしくは数量の調整用コントロールモータ)を含むことを、当業者は理解するであろう。通常のデータ処理システムは、データコンピューティング/通信システムおよび/またはネットワークコンピューティング/通信システムの中に通常見られるコンポーネントなどの、市販の適切なコンポーネントを利用して実装することができる。
【0065】
本明細書に記載された主題は、さまざまなコンポーネントをしばしば例示しており、これらのコンポーネントは、他のさまざまなコンポーネントに包含されるか、または他のさまざまなコンポーネントに接続される。そのように図示されたアーキテクチャは、単に例にすぎず、実際には、同じ機能を実現する多くの他のアーキテクチャが実装可能であることが理解されよう。概念的な意味で、同じ機能を実現するコンポーネントの任意の構成は、所望の機能が実現されるように効果的に「関連付け」される。したがって、特定の機能を実現するために組み合わされた、本明細書における任意の2つのコンポーネントは、アーキテクチャまたは中間のコンポーネントにかかわらず、所望の機能が実現されるように、お互いに「関連付け」されていると見ることができる。同様に、そのように関連付けされた任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に接続」または「動作可能に結合」されていると見なすこともでき、そのように関連付け可能な任意の2つのコンポーネントは、所望の機能を実現するために、互いに「動作可能に結合できる」と見なすこともできる。動作可能に結合できる場合の具体例には、物理的にかみ合わせ可能な、および/もしくは物理的に相互作用するコンポーネント、ならびに/またはワイヤレスに相互作用可能な、および/もしくはワイヤレスに相互作用するコンポーネント、ならびに/または論理的に相互作用する、および/もしくは論理的に相互作用可能なコンポーネントが含まれるが、それらに限定されない。
【0066】
本明細書における実質的にすべての複数形および/または単数形の用語の使用に対して、当業者は、状況および/または用途に適切なように、複数形から単数形に、および/または単数形から複数形に変換することができる。さまざまな単数形/複数形の置き換えは、理解しやすいように、本明細書で明確に説明することができる。
【0067】
通常、本明細書において、特に添付の特許請求の範囲(たとえば、添付の特許請求の範囲の本体部)において使用される用語は、全体を通じて「オープンな(open)」用語として意図されていることが、当業者には理解されよう(たとえば、用語「含む(including)」は、「含むがそれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「含むがそれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入される請求項で具体的な数の記載が意図される場合、そのような意図は、当該請求項において明示的に記載されることになり、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、理解の一助として、添付の特許請求の範囲は、導入句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つまたは複数の(one or more)」を使用して請求項の記載を導くことを含む場合がある。しかし、そのような句の使用は、同一の請求項が、導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」および「a」または「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載の導入が、そのように導入される請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、単に1つのそのような記載を含む実施形態に限定する、ということを示唆していると解釈されるべきではない(たとえば、「a」および/または「an」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると解釈されるべきである)。同じことが、請求項の記載を導入するのに使用される定冠詞の使用にも当てはまる。また、導入される請求項の記載で具体的な数が明示的に記載されている場合でも、そのような記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることが、当業者には理解されよう(たとえば、他の修飾語なしでの「2つの記載(two recitations)」の単なる記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、BおよびC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、およびCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。「A、B、またはC、などの少なくとも1つ」に類似の慣例表現が使用されている事例では、通常、そのような構文は、当業者がその慣例表現を理解するであろう意味で意図されている(たとえば、「A、B、またはCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを共に、AおよびCを共に、BおよびCを共に、ならびに/またはA、B、およびCを共に、などを有するシステムを含むが、それに限定されない)。2つ以上の代替用語を提示する事実上いかなる離接する語および/または句も、明細書、特許請求の範囲、または図面のどこにあっても、当該用語の一方(one of the terms)、当該用語のいずれか(either of the terms)、または両方の用語(both terms)を含む可能性を企図すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されよう。たとえば、句「AまたはB」は、「A」または「B」あるいは「AおよびB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0068】
さらに、本開示の特徴または態様がマーカッシュグループの観点から記載されている場合、それによって、マーカッシュグループの任意の個々の構成要素または構成要素のサブグループの観点からも記載されていることを当業者は認識されるであろう。
【0069】
当業者によって理解されるように、書面による説明を提供する観点からなど、すべての目的で、本明細書に開示されたすべての範囲は、すべての可能な部分範囲およびその部分範囲の組み合わせも包含する。いずれかの列挙された範囲は、同じ範囲が少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分などに分解されることを十分に記載し、および可能にすると容易に認識することができる。非限定例として、本明細書に説明されたそれぞれの範囲は、下3分の1、中3分の1、および上3分の1などに容易に分解することができる。当業者によってやはり理解されるように、「最大で〜まで(up to)」、「少なくとも(at least)」などのすべての言語は、記載された数を含み、続いて上記のように部分範囲に分解することができる範囲を表す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲はそれぞれの個々の構成要素を含む。したがって、たとえば、1つ〜3つのセルを有する群は、1つ、2つ、または3つのセルを有する群を表す。同様に、1つ〜5つのセルを有する群は、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのセルを有する群を表す、等々である。
【0070】
前述のことから、本開示のさまざまな実施形態が例示のために本明細書に記載されてきたことが理解されであろうし、本開示の範囲および精神から逸脱することなく、さまざまな変更を加えることができることが理解されるであろう。したがって、本明細書に開示されたさまざまな実施形態は、限定することが意図されていないし、真の範囲および精神が以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7