(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ワークが載置されたテーブルと、移動体と、前記移動体又は前記テーブルを直線的に移動させる移動軸とを有する工作機械において、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する衝突回避システムであって、
前記移動体に取り付けられ前記ワークまでの距離を検出する非接触式の距離センサと、
衝突回避制御手段とを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記距離センサのセンサ信号が距離設定値よりも短いか否かを判定する衝突判定部と、
前記衝突判定部において前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いと判定したとき、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する処理を行う衝突回避処理部とを有しており、
さらに、
前記距離センサとして、前記移動体における前記移動軸の正方向側に取り付けられた第1距離センサと、前記移動体における前記移動軸の負方向側に取り付けられた第2距離センサとを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記移動軸の移動指令に基づいて前記移動体の移動方向が、前記移動軸の正方向か負方向かを判定する移動方向判定部と、
前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の正方向であると判定したときには前記第1距離センサのセンサ信号を選択し、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の負方向であると判定したときには前記第2距離センサのセンサ信号を選択するセンサ信号選択部とを有し、
前記衝突判定部では、前記センサ信号選択部で選択された前記第1距離センサ又は前記第2距離センサのセンサ信号と前記距離設定値とを比較して、前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いか否かを判定する
ことを特徴とする工作機械の衝突回避システム。
ワークが載置されたテーブルと、移動体と、前記移動体又は前記テーブルを直線的に移動させる移動軸とを有する工作機械において、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する衝突回避システムであって、
前記移動体に取り付けられ前記ワークまでの距離を検出する非接触式の距離センサと、
衝突回避制御手段とを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記距離センサのセンサ信号が距離設定値よりも短いか否かを判定する衝突判定部と、
前記衝突判定部において前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いと判定したとき、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する処理を行う衝突回避処理部とを有しており、
さらに、
前記距離センサとして、前記移動体における前記移動軸の正方向側又は負方向側の何れか一方に取り付けられた距離センサを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記移動軸の移動指令に基づいて前記移動体の移動方向が、前記移動軸の正方向か負方向かを判定する移動方向判定部と、
前記距離センサが前記正方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の正方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択し、前記距離センサが前記負方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の負方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択するセンサ信号選択部とを有し、
前記衝突判定部では、前記センサ信号選択部で選択された前記距離センサのセンサ信号と前記距離設定値とを比較して、前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いか否かを判定する
ことを特徴とする工作機械の衝突回避システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、実際の加工現場における衝突ケースとしては、
(1) オペレータの操作ミス
(2) 加工開始時のアプローチミス
による衝突が多い。従って、これらの衝突ケースに限定すれば、非常に安価な衝突回避システムを実現することができる。
【0008】
従って本発明は上記の事情に鑑み、オペレータの操作ミスや加工開始時のプローチミスによる衝突を回避することができる安価な工作機械の衝突回避システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する第1発明の工作機械の衝突回避システムは、
ワークが載置されたテーブルと、移動体と、前記移動体又は前記テーブルを直線的に移動させる移動軸とを有する工作機械において、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する衝突回避システムであって、
前記移動体に取り付けられ前記ワークまでの距離を検出する非接触式の距離センサと、
衝突回避制御手段とを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記距離センサのセンサ信号が距離設定値よりも短いか否かを判定する衝突判定部と、
前記衝突判定部において前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いと判定したとき、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する処理を行う衝突回避処理部とを有
しており、
さらに、
前記距離センサとして、前記移動体における前記移動軸の正方向側に取り付けられた第1距離センサと、前記移動体における前記移動軸の負方向側に取り付けられた第2距離センサとを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記移動軸の移動指令に基づいて前記移動体の移動方向が、前記移動軸の正方向か負方向かを判定する移動方向判定部と、
前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の正方向であると判定したときには前記第1距離センサのセンサ信号を選択し、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の負方向であると判定したときには前記第2距離センサのセンサ信号を選択するセンサ信号選択部とを有し、
前記衝突判定部では、前記センサ信号選択部で選択された前記第1距離センサ又は前記第2距離センサのセンサ信号と前記距離設定値とを比較して、前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いか否かを判定する
ことを特徴とする。
【0010】
また、第2発明の工作機械の衝突回避システムは
、
ワークが載置されたテーブルと、移動体と、前記移動体又は前記テーブルを直線的に移動させる移動軸とを有する工作機械において、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する衝突回避システムであって、
前記移動体に取り付けられ前記ワークまでの距離を検出する非接触式の距離センサと、
衝突回避制御手段とを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記距離センサのセンサ信号が距離設定値よりも短いか否かを判定する衝突判定部と、
前記衝突判定部において前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いと判定したとき、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する処理を行う衝突回避処理部とを有しており、
さらに、
前記距離センサとして、前記移動体における前記移動軸の正方向側又は負方向側の何れか一方に取り付けられた距離センサを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記移動軸の移動指令に基づいて前記移動体の移動方向が、前記移動軸の正方向か負方向かを判定する移動方向判定部と、
前記距離センサが前記正方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の正方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択し、前記距離センサが前記負方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の負方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択するセンサ信号選択部とを有し、
前記衝突判定部では、前記センサ信号選択部で選択された前記距離センサのセンサ信号と前記距離設定値とを比較して、前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いか否かを判定する
ことを特徴とする。
【0011】
また、第3発明の工作機械の衝突回避システムは、第1発明の工作機械の衝突回避システムにおいて、
前記距離センサとして、前記移動体における前記移動軸の正方向側又は負方向側の何れか一方に取り付けられた距離センサを有しており、
前記衝突回避制御手段は、
前記移動軸の移動指令に基づいて前記移動体の移動方向が、前記移動軸の正方向か負方向かを判定する移動方向判定部と、
前記距離センサが前記正方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の正方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択し、前記距離センサが前記負方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の負方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択するセンサ信号選択部とを有し、
前記衝突判定部では、前記センサ信号選択部で選択された前記距離センサのセンサ信号と前記距離設定値とを比較して、前記センサ信号が前記距離
設定値よりも短いか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
また、第4発明の工作機械の衝突回避システムは、第1〜第3発明の何れか1つの工作機械の衝突回避システムにおいて、
前記距離設定値として第1距離設定値と、前記第1距離設定値よりも短い第2距離設定値と、前記第2距離設定値よりも短い第3距離設定値とが設定され、
前記衝突回避処理部として衝突警告処理部と、減速処理部と、停止処理部とを有しており、
前記衝突判定部では前記センサ信号が、前記第1距離設定値、前記第2距離設定値、前記第3距離設定値よりも短いか否かを判定し、
前記衝突警告処理部では、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告し、
前記減速処理部では、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときに前記移動軸の移動速度を減速し、
前記停止処理部では、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときに前記移動軸の移動を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明の工作機械の衝突回避システムによれば、ワークが載置されたテーブルと、移動体と、前記移動体又は前記テーブルを直線的に移動させる移動軸とを有する工作機械において、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する衝突回避システムであって、前記移動体に取り付けられ前記ワークまでの距離を検出する非接触式の距離センサと、衝突回避制御手段とを有しており、前記衝突回避制御手段は、前記距離センサのセンサ信号が距離設定値よりも短いか否かを判定する衝突判定部と、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いと判定したとき、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する処理を行う衝突回避処理部とを有
しており、さらに、前記距離センサとして、前記移動体における前記移動軸の正方向側に取り付けられた第1距離センサと、前記移動体における前記移動軸の負方向側に取り付けられた第2距離センサとを有しており、前記衝突回避制御手段は、前記移動軸の移動指令に基づいて前記移動体の移動方向が、前記移動軸の正方向か負方向かを判定する移動方向判定部と、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の正方向であると判定したときには前記第1距離センサのセンサ信号を選択し、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の負方向であると判定したときには前記第2距離センサのセンサ信号を選択するセンサ信号選択部とを有し、前記衝突判定部では、前記センサ信号選択部で選択された前記第1距離センサ又は前記第2距離センサのセンサ信号と前記距離設定値とを比較して、前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いか否かを判定することを特徴としているため、オペレータの操作ミスや加工開始時のプローチミスによる衝突を回避することができる。
また、距離センサを用いるため、ワークの3次元データや、加工シミュレーションが不要である。そのため、安価で処理負担の低いシステムを実現することができる。
また、リング部材を用いたセンサは接触式で切粉などにより誤作動するおそれがあるが、距離センサは非接触式であるため切粉などによって誤作動するおそれがない。
また、距離センサを取り付けた移動体の移動方向を認識して、その方向側に取り付けられた距離センサの情報(センサ信号)のみを用いるため、不要な誤検知(移動方向でない方向の衝突検知)を低減することができる。
【0014】
第2発明の工作機械の衝突回避システムによれば、
ワークが載置されたテーブルと、移動体と、前記移動体又は前記テーブルを直線的に移動させる移動軸とを有する工作機械において、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する衝突回避システムであって、前記移動体に取り付けられ前記ワークまでの距離を検出する非接触式の距離センサと、衝突回避制御手段とを有しており、前記衝突回避制御手段は、前記距離センサのセンサ信号が距離設定値よりも短いか否かを判定する衝突判定部と、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いと判定したとき、前記移動体と前記ワークとの衝突を回避する処理を行う衝突回避処理部とを有しており、さらに、前記距離センサとして、前記移動体における前記移動軸の正方向側又は負方向側の何れか一方に取り付けられた距離センサを有しており、前記衝突回避制御手段は、前記移動軸の移動指令に基づいて前記移動体の移動方向が、前記移動軸の正方向か負方向かを判定する移動方向判定部と、前記距離センサが前記正方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の正方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択し、前記距離センサが前記負方向側に取り付けられている場合には、前記移動方向判定部において前記移動体の移動方向が前記移動軸の負方向であると判定したときに前記距離センサのセンサ信号を選択するセンサ信号選択部とを有し、前記衝突判定部では、前記センサ信号選択部で選択された前記距離センサのセンサ信号と前記距離設定値とを比較して、前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いか否かを判定することを特徴としているため、オペレータの操作ミスや加工開始時のプローチミスによる衝突を回避することができる。
また、距離センサを用いるため、ワークの3次元データや、加工シミュレーションが不要である。そのため、安価で処理負担の低いシステムを実現することができる。
また、距離センサを取り付けた移動体の移動方向を認識して、その方向側に取り付けられた距離センサの情報(センサ信号)のみを用いるため、不要な誤検知(移動方向でない方向の衝突検知)を低減することができる。
【0016】
第
3発明の工作機械の衝突回避システムによれば、第1
又は第2発明の工作機械の衝突回避システムにおいて、前記距離設定値として第1距離設定値と、前記第1距離設定値よりも短い第2距離設定値と、前記第2距離設定値よりも短い第3距離設定値とが設定され、前記衝突回避処理部として衝突警告処理部と、減速処理部と、停止処理部とを有しており、前記衝突判定部では前記センサ信号が、前記第1距離設定値、前記第2距離設定値、前記第3距離設定値よりも短いか否かを判定し、前記衝突警告処理部では、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告し、前記減速処理部では、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときに前記移動軸の移動速度を減速し、前記停止処理部では、前記衝突判定部において前記センサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときに前記移動軸の移動を停止することを特徴としているため、衝突回避処理を警告、減速、停止の順に段階的に確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
<実施の形態例1>
図1〜
図7に基づき、本発明の実施の形態例1に係る工作機械の衝突回避システムについて説明する。
【0020】
まず、
図1に基づき、本実施の形態例1の衝突回避システムを備えた工作機械11の全体的な構成の概要について説明する。
図示例の工作機械11は一般な門形マシニングセンタであり、ベッド12と、テーブル13と、門形のコラム14と、クロスレール15と、サドル16と、ラム17と、主軸18とを有している。
【0021】
テーブル13にはワークwが載置される。テーブル13はベッド12上に設置されており、ベッド12上に配設されたレール12aに沿って、直線的な移動軸であるX軸によりX軸方向(工作機械11の前後方向)、即ちX軸の+方向(正方向)や−方向(負方向)に直線的に移動することができる。コラム14はベッド12を跨ぐようにして設置されている。
クロスレール15はコラム14の前面に設置されており、コラム14の前面に配設されたレール14aに沿って、直線的な移動軸であるW軸によりW軸方向(鉛直方向)、即ちW軸の+方向(正方向)や−方向(負方向)に直線的に移動することができる。W軸はZ軸に対して並行軸である。
サドル16はクロスレール15の前面に設置されており、クロスレール15の前面に配設されたレール15aに沿って、直線的な移動軸であるY軸によりY軸方向(工作機械11の左右方向)、即ちY軸の+方向(正方向)や−方向(負方向)に直線的に移動することができる。
ラム17はサドル16に移動可能に支持されており、直線的な移動軸であるZ軸によりZ軸方向(鉛直方向)、即ちZ軸の+方向(正方向)や−方向(負方向)に直線的に移動することができる。
なお、X軸方向と、Y軸方向と、Z軸方向及びW軸方向とは互いに直交している。主軸18はラム17に回転可能に支持されている。主軸18には工具ホルダ19が装着され、この工具ホルダ19によって工具20を保持している。
【0022】
そして、
図1、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、工作機械11には、衝突回避システムを構成するための非接触式の距離センサである超音波センサ21a〜21fが取り付けられている。
【0023】
超音波センサ21a,21b,21c,21dはラム17の側面17a,17b,17c,17dにそれぞれ取り付けられ、超音波センサ21e,21fはサドル16の下面16eに取り付けられている。
即ち、超音波センサ21a(第2距離センサ)は、ラム17におけるX軸の−方向側に取り付けられており、X軸の−方向の距離を検出する。超音波センサ21b(第1距離センサ)は、ラム17におけるX軸の+方向側に取り付けられており、X軸の+方向の距離を検出する。超音波センサ21c(第2距離センサ)は、ラム17におけるY軸の−方向側に取り付けられており、Y軸の−方向の距離を検出する。超音波センサ21d(第1距離センサ)は、ラム17におけるY軸の+方向側に取り付けられており、Y軸の+方向の距離を検出する。超音波センサ21e,21fは、サドル16におけるW軸の−方向側に取り付けられており、W軸の−方向の距離を検出する。
【0024】
次に、
図3及び
図4〜
図7に基づき、衝突回避システムの構成と処理フローについて説明する。
【0025】
図3に示すように、工作機械11は、NC(数値制御)装置31によって数値制御を行うことによる自動運転と、NC(数値制御)装置31の操作盤51をオペレータが操作することによる手動運転とを行うことができる。
【0026】
NC装置31はプログラム解析処理部33と、移動指令作成処理部34と、移動指令補間処理部35とを有している。
プログラム解析処理部33では、ワークwへのアプローチやワークwの加工の関するデータなどが記述されたNCプログラム32を解析する。なお、NCプログラム32には、衝突回避システムが動作する領域も指定されている。
移動指令作成処理部34では、プログラム解析処理部33におけるNCプログラム32の解析結果に基づき、X軸、Y軸、Z軸、W軸の移動指令を作成する。
移動指令補間処理部35では、移動指令作成処理部34で作成されたX軸、Y軸、Z軸、W軸の移動指令に対して加減速の補間処理を行った後、X軸移動指令をX軸サーボアンプ61へ出力し、Y軸移動指令をY軸サーボアンプ62へ出力し、W軸移動指令をW軸サーボアンプ63へ出力する。なお、Z軸移動指令に関しては、図示を省略しているが、W軸移動指令の場合と同様である。
手動運転時には、オペレータが手動操作盤51を操作することによって当該手動操作盤51から、X軸移動指令をX軸サーボアンプ61へ出力し、Y軸移動指令をY軸サーボアンプ62へ出力し、W軸移動指令をW軸サーボアンプ63へ出力する。なお、この手動運転時のZ軸移動指令に関しても、図示は省略しているが、W軸移動指令の場合と同様である。
【0027】
X軸サーボアンプ61では、X軸移動指令に基づいてX軸サーボモータ64の駆動制御を行う。その結果、X軸サーボモータ64に駆動されてX軸が+方向又は−方向に移動し、テーブル13がX軸の+方向又は−方向に移動する。
Y軸サーボアンプ62では、Y軸移動指令に基づいてY軸サーボモータ65の駆動制御を行う。その結果、Y軸サーボモータ65に駆動されてY軸が+方向又は−方向に移動し、サドル16がY軸の+方向又は−方向に移動する。このときサドル16とともにラム17及び主軸18(工具20)もY軸の+方向又は−方向に移動する。
W軸サーボアンプ63では、W軸移動指令に基づいてW軸サーボモータ66の駆動制御を行う。その結果、W軸サーボモータ66に駆動されてW軸が+方向又は−方向に移動し、クロスレール15がW軸の+方向又は−方向に移動する。このときクロスレール15とともにサドル16、ラム17及び主軸18(工具20)もW軸の+方向又は−方向に移動する。
図示は省略するが、Z軸サーボアンプでは、Z軸移動指令に基づいてZ軸サーボモータの駆動制御を行う。その結果、Z軸サーボモータに駆動されてZ軸が+方向又は−方向に移動し、ラム17がZ軸の+方向又は−方向に移動する。このときラム17とともに主軸18(工具20)もZ軸の+方向又は−方向に移動する。
【0028】
そして、本実施の形態例1の衝突回避システムは、衝突回避制御手段としても機能するNC装置31と、前述の超音波センサ21a〜21fとを有する構成となっている。
NC装置31は衝突回避制御手段としての機能部として移動方向判定部36と、センサ信号選択部37と、衝突判定部38と、衝突回避処理部39とを有している。また、衝突回避処理部39は衝突警告処理部40と、減速処理部41と、停止処理部42とを有している。
【0029】
この衝突回避システム(NC装置31)における各部の処理内容などを、
図4〜
図7のフローチャートも参照して説明する。なお、
図4のフローチャートにおける「X軸に関する処理フロー部」の詳細は
図5に示し、
図4のフローチャートにおける「Y軸に関する処理フロー部」の詳細は
図6に示し、
図4のフローチャートにおける「W軸に関する処理フロー部」の詳細は
図7に示している。また、
図4〜
図7のフローチャートにおける各ステップにはS1,S2などの符号を付した。
【0030】
衝突回避システムの動作が開始されると(ステップS1)、まず、ステップS2において工作機械
11が自動運転か手動運転かを判定する。ステップS2では、移動指令による自動判別もしくは操作盤51の運転モードスイッチに従って手動運転か自動運転かを判定する。ステップ
S2において手動運転であると判定したときにはステップS4へ進む一方、ステップ
S2において自動運転であると判定したときにはステップS3へ進む。
ステップS3では、工具20の座標位置に基づき、工具20がNCプログラム32で指定された指定領域に位置しているか否かを判定する。ステップS3において指定領域に位置していないと判定したときには衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS3において指定領域に位置していると判定したときにはステップS4に進む。
【0031】
ステップS4において、移動方向判定部36では、まず、どの移動軸が移動しているかを判定する。この移動体の判定はNC装置31又は手動操作盤51から出力されるX軸移動指令、Y軸移動指令、W軸移動指令に基づいて行う。X軸移動指令が出力されているときにはX軸が移動軸であると判定し、Y軸移動指令が出力されているときにはY軸が移動軸であると判定し、W軸移動指令が出力されているときにはW軸が移動軸であると判定する。なお、複数の移動指令(例えばX軸移動指令とY軸移動指令)が同時に出力されて複数の移動軸(例えばX軸とY軸)が同時に移動することもあり、この場合には複数の移動軸(例えばX軸とY軸)を判定する。なお、Z軸移動指令に関しては、図示を省略しているが、W軸移動指令の場合と同様である。
【0032】
ステップS4においてX軸が移動軸であると判定したときにはステップS5へ進み、Y軸が移動軸であると判定したときにはステップS21へ進み、W軸が移動軸であると判定したときにはステップS36へ進む。
【0033】
ステップS4においてX軸が移動軸であると判定したときには、まず、ステップS5において移動方向判定部36では、X軸移動指令に基づいてラム17(移動体)の移動方向が、X軸の+方向か−方向かを判定する。なお、この場合、X軸によって実際に移動するのはテーブル13(ワークw)であるが、このテーブル13(ワークw)に対して相対的にラム17が移動するため、X軸移動指令に基づいてラム17の移動方向(即ちテーブル13(ワークw)に対する相対的な移動方向)がX軸の+方向か−方向かを判定することができる。
ステップS5においてラム17の移動方向がX軸の+方向であると判定したときにはステップS6へ進み、ステップS5においてラム17の移動方向がX軸の−方向であると判定したときにはステップS14へ進む。
【0034】
ステップS6においてセンサ信号選択部37では、X軸の+方向のセンサ信号である超音波センサ21bのセンサ信号を選択(取得)する。その後、ステップS7へ進む。
ステップS7において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21bのセンサ信号(距離検出値)と第1距離設定値とを比較して、超音波センサ21bのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS7において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS7において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS8へ進む。
ステップS8において衝突警告処理部40では、衝突判定部38において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告(例えば警告音の発生や警告ランプの点灯等)する。その後、ステップS9へ進む。
ステップS9において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21bのセンサ信号(距離検出値)と、第1距離設定値よりも短く設定された第2距離設定値とを比較して、超音波センサ21bのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS9において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS9において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS10へ進む。
ステップS10において減速処理部41では、衝突判定部38において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときにX軸の移動速度を減速する。その後、ステップS11へ進む。
ステップS11において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21bのセンサ信号(距離検出値)と、第2距離設定値よりも短く設定された第3距離設定値とを比較して、超音波センサ21bのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS11において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS11において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS12へ進む。
ステップS12において停止処理部42では、衝突判定部38において超音波センサ21bのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときにX軸の移動を停止する。その後、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。
【0035】
ステップS14においてセンサ信号選択部37では、X軸の−方向のセンサ信号である超音波センサ21aのセンサ信号を選択(取得)する。その後、ステップS15へ進む。
ステップS15において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21aのセンサ信号(距離検出値)と前記第1距離設定値とを比較して、超音波センサ21aのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS15において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS15において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS16へ進む。
ステップS16において衝突警告処理部40では、衝突判定部38において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告(例えば警告音の発生や警告ランプの点灯等)する。その後、ステップS17へ進む。
ステップS17において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21aのセンサ信号(距離検出値)と前記第2距離設定値とを比較して、超音波センサ21aのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS17において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS17において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS18へ進む。
ステップS18において減速処理部41では、衝突判定部38において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときにX軸の移動速度を減速する。その後、ステップS19へ進む。
ステップS19において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21aのセンサ信号(距離検出値)と前記第3距離設定値とを比較して、超音波センサ21aのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS19において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS19において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS20へ進む。
ステップS20において停止処理部42では、衝突判定部38において超音波センサ21aのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときにX軸の移動を停止する。その後、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。
【0036】
ステップS4においてY軸が移動軸であると判定したときには、まず、ステップS21において移動方向判定部36では、Y軸移動指令に基づいてラム17(移動体)の移動方向が、Y軸の+方向か−方向かを判定する。ステップS21においてラム17の移動方向がY軸の+方向であると判定したときにはステップS22へ進み、ステップS21においてラム17の移動方向がY軸の−方向であると判定したときにはステップS29へ進む。
【0037】
ステップS22においてセンサ信号選択部37では、Y軸の+方向のセンサ信号である超音波センサ21dのセンサ信号を選択(取得)する。その後、ステップS23へ進む。
ステップS23において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21dのセンサ信号(距離検出値)と前記第1距離設定値とを比較して、超音波センサ21dのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS23において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS23において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS24へ進む。
ステップS24において衝突警告処理部40では、衝突判定部38において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告(例えば警告音の発生や警告ランプの点灯等)する。その後、ステップS25へ進む。
ステップS25において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21dのセンサ信号(距離検出値)と前記第2距離設定値とを比較して、超音波センサ21dのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS25において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS25において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS26へ進む。
ステップS26において減速処理部41では、衝突判定部38において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときにY軸の移動速度を減速する。その後、ステップS27へ進む。
ステップS27において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21dのセンサ信号(距離検出値)と前記第3距離設定値とを比較して、超音波センサ21dのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS27において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS27において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS28へ進む。
ステップS28において停止処理部42では、衝突判定部38において超音波センサ21dのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときにY軸の移動を停止する。その後、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。
【0038】
ステップS29においてセンサ信号選択部37では、Y軸の−方向のセンサ信号である超音波センサ21cのセンサ信号を選択(取得)する。その後、ステップS30へ進む。
ステップS30において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21cのセンサ信号(距離検出値)と前記第1距離設定値とを比較して、超音波センサ21cのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS30において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS30において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS31へ進む。
ステップS31において衝突警告処理部40では、衝突判定部38において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告(例えば警告音の発生や警告ランプの点灯等)する。その後、ステップS32へ進む。
ステップS32において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21cのセンサ信号(距離検出値)と前記第2距離設定値とを比較して、超音波センサ21cのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS32において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS32において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS33へ進む。
ステップS33において減速処理部41では、衝突判定部38において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときにY軸の移動速度を減速する。その後、ステップS34へ進む。
ステップS34において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21cのセンサ信号(距離検出値)と前記第3距離設定値とを比較して、超音波センサ21cのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS34において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS34において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS35へ進む。
ステップS35において停止処理部42では、衝突判定部38において超音波センサ21cのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときにY軸の移動を停止する。その後、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。
【0039】
ステップS4においてW軸(クロスレール15とともにサドル16をW軸方向へ移動する軸)が移動軸であると判定したときには、まず、ステップS36において移動方向判定部36では、W軸移動指令に基づいてサドル16の移動方向が、W軸の+方向か−方向かを判定する。ステップS36においてサドル16の移動方向がW軸の+方向であると判定したときには衝突回避システムの処理を終了し(ステップS13)、ステップS36においてサドル16の移動方向がW軸の−方向であると判定したときにはステップS37へ進む。
【0040】
ステップS37においてセンサ信号選択部37では、W軸の−方向のセンサ信号である超音波センサ21e,21fのセンサ信号を選択(取得)する。その後、ステップS38へ進む。
ステップS38において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21e,21fのセンサ信号(距離検出値)と前記第1距離設定値とを比較して、超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS38において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS38において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS39へ進む。
ステップS39において衝突警告処理部40では、衝突判定部38において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告(例えば警告音の発生や警告ランプの点灯等)する。その後、ステップS40へ進む。
ステップS40において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21e,21fのセンサ信号(距離検出値)と前記第2距離設定値とを比較して、超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS40において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS40において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS41へ進む。
ステップS41において減速処理部41では、衝突判定部38において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第2距離設定値よりも短いと判定したときにW軸の移動速度を減速する。その後、ステップS42へ進む。
ステップS42において衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された超音波センサ21e,21fのセンサ信号(距離検出値)と前記第3距離設定値とを比較して、超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いか否かを判定する。ステップS42において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短くないと判定したときには、衝突回避システムの処理を終了する(ステップS13)。ステップS42において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときには、ステップS43へ進む。
ステップS43において停止処理部42では、衝突判定部38において超音波センサ21e,21fのセンサ信号が前記第3距離設定値よりも短いと判定したときにW軸の移動を停止する。その後、衝突回避システムの処理は終了する(ステップS13)。
【0041】
以上のように、本実施の形態例1の衝突回避システムによれば、ワークwが載置されたテーブル13と、移動体(ラム17、サドル16)と、移動体(ラム17、サドル16)又はテーブル13を直線的に移動させる移動軸(X軸、Y軸、Z軸、W軸)とを有する工作機械11において、移動体(ラム17、サドル16)とワークwとの衝突を回避する衝突回避システムであって、移動体(ラム17、サドル16)に取り付けられワークwまでの距離を検出する非接触式の距離センサ(超音波センサ21a〜21f)と、衝突回避制御手段(NC装置31)とを有しており、衝突回避制御手段(NC装置31)は、距離センサ(超音波センサ21a〜21f)のセンサ信号が距離設定値(第1距離設定値、第2距離設定値、第3距離設定値)よりも短いか否かを判定する衝突判定部38と、衝突判定部38において前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いと判定したとき、移動体(ラム17、サドル16)とワークwとの衝突を回避する処理を行う衝突回避処理部39とを有することを特徴としているため、オペレータの操作ミスや加工開始時のプローチミスによる衝突を回避することができる。
また、距離センサ(超音波センサ21a〜21f)を用いるため、ワークwの3次元データや、加工シミュレーションが不要である。そのため、安価で処理負担の低いシステムを実現することができる。
また、リング部材を用いたセンサは接触式で切粉などにより誤作動するおそれがあるが、距離センサ(超音波センサ21a〜21f)は非接触式であるため切粉などによって誤作動するおそれがない。
【0042】
更には、距離センサ(超音波センサ)として、移動体(ラム17)における移動軸(X軸、Y軸)の+方向側に取り付けられた第1距離センサ(超音波センサ21b,21d)と、移動体(ラム17)における移動軸(X軸、Y軸)の−方向側に取り付けられた第2距離センサ(超音波センサ21a,21c)とを有しており、衝突回避制御手段(NC装置31)は、移動軸(X軸、Y軸)の移動指令に基づいて移動体(ラム17)の移動方向が、移動軸(X軸、Y軸)の+方向か−方向かを判定する移動方向判定部36と、移動方向判定部36において移動体(ラム17)の移動方向が移動軸(X軸、Y軸)の+方向であると判定したときには第1距離センサ(超音波センサ21b,21d)のセンサ信号を選択し、移動方向判定部36において移動体(ラム17)の移動方向が移動軸(X軸、Y軸)の−方向であると判定したときには第2距離センサ(超音波センサ21a,21c)のセンサ信号を選択するセンサ信号選択部37とを有し、衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された第1距離センサ(超音波センサ21b,21d)又は第2距離センサ(超音波センサ21a,21c)のセンサ信号と距離設定値(第1距離設定値、第2距離設定値、第3距離設定値)とを比較して、前記センサ信号が前記距離設定値よりも短いか否かを判定することを特徴としているため、距離センサ(超音波センサ21a〜21d)を取り付けた移動体(ラム17)の移動方向を認識して、その方向側に取り付けられた距離センサ(超音波センサ21a,21c又は超音波センサ21b,21d)の情報(センサ信号)のみを用いる。このため、不要な誤検知(移動方向でない方向の衝突検知)を低減することができる。
【0043】
また、距離センサ(超音波センサ)として、移動体(サドル16)における移動軸(W軸)の−方向側に取り付けられた距離センサ(超音波センサ21e,21f)を有しており、衝突回避制御手段(NC装置31)は、移動軸(W軸)の移動指令に基づいて移動体(サドル16)の移動方向が、移動軸(W軸)の+方向か−方向かを判定する移動方向判定部36と、移動方向判定部36において移動体(サドル16)の移動方向が移動軸(W軸)の−方向であると判定したときに距離センサ(超音波センサ21e,21f)のセンサ信号を選択するセンサ信号選択部37とを有し、衝突判定部38では、センサ信号選択部37で選択された距離センサ(超音波センサ21e,21f)のセンサ信号と距離設定値(第1距離設定値、第2距離設定値、第3距離設定値)とを比較して、前記センサ信号が前記距離
設定値よりも短いか否かを判定することを特徴としているため、距離センサ(超音波センサ21e,21f)を取り付けた移動体(サドル16)の移動方向を認識して、その方向側に取り付けられた距離センサ(超音波センサ21e,21f)の情報(センサ信号)のみを用いるため、不要な誤検知(移動方向でない方向の衝突検知)を低減することができる。
【0044】
また、距離設定値として第1距離設定値と、第2距離設定値と、第3距離設定値とが設定され、衝突回避処理部39として衝突警告処理部40と、減速処理部41と、停止処理部42とを有しており、衝突判定部38ではセンサ信号が、第1距離設定値、第2距離設定値、第3距離設定値よりも短いか否かを判定し、衝突警告処理部40では、衝突判定部38においてセンサ信号が第1距離設定値よりも短いと判定したときに警告し、減速処理部41では、衝突判定部38においてセンサ信号が第2距離設定値よりも短いと判定したときに移動軸(X軸又はY軸又はW軸)の移動速度を減速し、停止処理部42では、衝突判定部38においてセンサ信号が第3距離設定値よりも短いと判定したときに移動軸(X軸又はY軸又はW軸)の移動を停止することを特徴としているため、衝突回避処理を警告、減速、停止の順に段階的に確実に行うことができる。
【0045】
<実施の形態例2>
図8に基づき、本発明の実施の形態例2に係る工作機械の衝突回避システムについて説明する。
【0046】
図8に示すように、本実施の形態例2の衝突回避システムでは、このシステムを構成する非接触式の距離センサとして、上記実施の形態例1と同じように配設された超音波センサ21a〜21fの他に超音波センサ21g〜21jも有している。
【0047】
超音波センサ21g,21h,21i,21jは、サドル16の側面16a,16b,16c,16dにそれぞれ取り付けられている。
即ち、超音波センサ21g(第2距離センサ)は、サドル16におけるX軸の−方向側に取り付けられており、X軸の−方向の距離を検出する。超音波センサ21h(第1距離センサ)は、サドル16におけるX軸の+方向側に取り付けられており、X軸の+方向の距離を検出する。超音波センサ21i(第2距離センサ)は、サドル16におけるY軸の−方向側に取り付けられており、Y軸の−方向の距離を検出する。超音波センサ21j(第1距離センサ)は、サドル16におけるY軸の+方向側に取り付けられており、Y軸の+方向の距離を検出する。
【0048】
なお、工作機械の全体的な構成ついては上記実施の形態例1(
図1)と同様であるため、ここでの説明及び図示は省略する。
また、超音波センサ21g〜21jのセンサ信号(距離検出値)を用いた衝突回避システムの処理内容についても、上記実施の形態例1(
図3〜
図7)と同様であるため(処理内容に関して超音波センサ21gが超音波センサ21aに対応し、超音波センサ21hが超音波センサ21bに対応し、超音波センサ21iが超音波センサ21cに対応し、超音波センサ21jが超音波センサ21dに対応する)、ここでの説明及び図示は省略する。
【0049】
本実施の形態例2の衝突回避システムにおいても、上記実施の形態例1の衝突回避システムと同様の効果が得られる。そして特に本実施の形態例2の衝突回避システムでは、サドル16の衝突も確実に回避することができる。
【0050】
<実施の形態例3>
図9に基づき、本発明の実施の形態例3に係る工作機械の衝突回避システムについて説明する。
【0051】
図9に示すように、本実施の形態例3では主軸18にアタッチメント71が装着されており、このアタッチメント71に工具20が装着されている。
そして、本実施の形態例3の衝突回避システムでは、このシステムを構成する非接触式の距離センサとして、上記実施の形態例1と同じように配設された超音波センサ21a〜21dの他に超音波センサ21k〜21nも有している。
【0052】
超音波センサ21k,21l,21m,21nは、アタッチメント71の側面71aの各部にそれぞれ取り付けられている。
即ち、超音波センサ21k(第2距離センサ)は、アタッチメント71におけるX軸の−方向側に取り付けられており、X軸の−方向の距離を検出する。超音波センサ21l(第1距離センサ)は、アタッチメント71におけるX軸の+方向側に取り付けられており、X軸の+方向の距離を検出する。超音波センサ21m(第2距離センサ)は、アタッチメント71におけるY軸の−方向側に取り付けられており、Y軸の−方向の距離を検出する。超音波センサ21n(第1距離センサ)は、アタッチメント71におけるY軸の+方向側に取り付けられており、Y軸の+方向の距離を検出する。
【0053】
なお、工作機械の全体的な構成については上記実施の形態例1(
図1)と同様であるため、ここでの説明及び図示は省略する。
また、超音波センサ21k〜21nのセンサ信号(距離検出値)を用いた衝突回避システムの処理内容についても、上記実施の形態例1(
図3〜
図7)と同様であるため(処理内容に関して超音波センサ21kが超音波センサ21aに対応し、超音波センサ21lが超音波センサ21bに対応し、超音波センサ21mが超音波センサ21cに対応し、超音波センサ21nが超音波センサ21dに対応する)、ここでの説明及び図示は省略する。
【0054】
本実施の形態例3の衝突回避システムにおいても、上記実施の形態例1の衝突回避システムと同様の効果が得られる。そして特に本実施の形態例3の衝突回避システムでは、アタッチメント71の衝突も確実に回避することができる。