特許第6175273号(P6175273)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175273
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】ヒューズエレメント
(51)【国際特許分類】
   H01H 85/08 20060101AFI20170724BHJP
   H01H 85/12 20060101ALI20170724BHJP
   H01H 85/147 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   H01H85/08
   H01H85/12
   H01H85/147
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-101600(P2013-101600)
(22)【出願日】2013年5月13日
(65)【公開番号】特開2014-222600(P2014-222600A)
(43)【公開日】2014年11月27日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100105474
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 弘徳
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】松本 裕介
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−033343(JP,U)
【文献】 実開昭49−073731(JP,U)
【文献】 特開平05−274995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/08
H01H 85/12
H01H 85/147
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定格以上の電流が流れると溶断するように抵抗値が設定される可溶部と、前記可溶部を回路に直列に接続するために前記可溶部の両端に設けられる一対の接続板部と、を備えるヒューズエレメントであって、
前記可溶部は、一方の前記接続板部と一体に形成された帯板状の第1可溶部板材と、他方の前記接続板部と一体に形成されると共に先端部が前記第1可溶部板材の先端部に重ねられて、前記第1可溶部板材に重なる積層面の内の一部の領域が前記第1可溶部板材に接合される帯板状の第2可溶部板材と、を備え、
前記積層面の面積を変更することなく前記積層面の一部である接合部分の面積の変更によって溶断する定格を変更することを特徴とするヒューズエレメント。
【請求項2】
一方の前記接続板部の一縁の略中心から該一縁と直交する方向に前記第1可溶部板材が延出した第1プレス部品と、他方の前記接続板部の一縁の略中心から該一縁と直交する方向に前記第2可溶部板材が延出した第2プレス部品と、を備え、
前記第1プレス部品と第2プレス部品とが、略同一の構造であることを特徴とする請求項1に記載のヒューズエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定格以上の電流が流れると溶断するように抵抗値が設定される可溶部と、前記可溶部を回路に直列に接続するために前記可溶部の両端に設けられる接続板部と、を備えるヒューズエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
図11は下記特許文献1に開示されたヒュージブルリンク100を示し、図12は下記特許文献2に開示されたヒュージブルリンク200を示している。
これらのヒュージブルリンク100,200は、車両等の電気回路に直列に接続されるヒューズエレメント110,210と、これらのヒューズエレメント110,210を収容するヒューズハウジング120,220と、を備えている。
【0003】
ヒュージブルリンク100のヒューズハウジング120は、下方からヒューズエレメント110が挿入される角筒状のハウジング本体121と、ハウジング本体121の底部に連結されてハウジング本体121内のヒューズエレメント110を押さえる底部部材122と、ハウジング本体121の上部開口を覆う上部カバー123と、を備えている。
【0004】
ヒュージブルリンク200のヒューズハウジング220は、上方からヒューズエレメント210が挿入される略角筒状のハウジング本体221と、このハウジング本体221の上部開口を覆う上部カバー223と、を備えている。
【0005】
ヒュージブルリンク100,200におけるヒューズエレメント110,210は、可溶部111,211と、可溶部111,211の両端に設けられる接続板部112,212と、を備える。可溶部111,211は、定格以上の電流が流れると溶断するように抵抗値が設定される。
【0006】
可溶部111,211は、幅の狭い帯状の可溶部基材板111a,211aに、低融点金属粒111b,211bを加締め付けた構成である。低融点金属粒111b,211bは、可溶部基材板111a,211aに一体形成された加締め片111c,211cにより可溶部基材板111a,211aに固定されている。各低融点金属粒111b,211bは、定格以上の電流が流れた時の可溶部基材板111a,211aの発熱によって溶融して、可溶部基材板111a,211aを溶断させる。
【0007】
接続板部112,212は、回路の接続端子部にねじ止めするタイプで、ねじ止め用の孔112a,212aが形成されている。
【0008】
いずれのヒューズエレメント110,210も、可溶部基材板111a,211aは接続板部112,212と一体で、金属板材のプレス成形により図示の形状に成形される。
【0009】
特許文献1及び特許文献2におけるヒューズエレメント110,210は、溶断する定格を変更するには、可溶部基材板111a,211aの幅寸法や厚さ寸法を変更して、可溶部111,211の抵抗値を変える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−027537号公報
【特許文献2】特開平05−274995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、特許文献1及び特許文献2のヒューズエレメント110,210は、定格の変更には、可溶部基材板111a,211aの幅寸法や厚さ寸法が変更されるため、可溶部基材板111a,211aや接続板部112,212を所定の形状に成形するためのプレス成形型も製作し直さなければならない。即ち、プレス成形型の作り直しのためにコストがかかるという問題が生じた。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、定格の変更に際して、プレス成形型の変更が必要なく、定格変更を安価に実現することのできるヒューズエレメントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 定格以上の電流が流れると溶断するように抵抗値が設定される可溶部と、前記可溶部を回路に直列に接続するために前記可溶部の両端に設けられる一対の接続板部と、を備えるヒューズエレメントであって、
前記可溶部は、一方の前記接続板部と一体に形成された帯板状の第1可溶部板材と、他方の前記接続板部と一体に形成されると共に先端部が前記第1可溶部板材の先端部に重ねられて、前記第1可溶部板材に重なる積層面の内の一部の領域が前記第1可溶部板材に接合される帯板状の第2可溶部板材と、を備え、
前記積層面の面積を変更することなく前記積層面の一部である接合部分の面積の変更によって溶断する定格を変更することを特徴とするヒューズエレメント。
【0014】
(2) 一方の前記接続板部の一縁の略中心から該一縁と直交する方向に前記第1可溶部板材が延出した第1プレス部品と、他方の前記接続板部の一縁の略中心から該一縁と直交する方向に前記第2可溶部板材が延出した第2プレス部品と、を備え、
前記第1プレス部品と第2プレス部品とが、略同一の構造であることを特徴とする上記(1)に記載のヒューズエレメント。
【0015】
上記(1)の構成によれば、定格の変更は、可溶部を構成する第1可溶部板材と第2可溶部板材との間の互いに重なり合う積層面の内の接合する面積を変更することによって行い、第1可溶部板材及び第2可溶部板材における幅や厚さ等の寸法は変更する必要がない。そのため、第1可溶部板材や第2可溶部板材、及びこれらの可溶部板材に繋がる接続板部を所定の形状に成形するプレス成形型を作り直す必要が生じない。
即ち、定格の変更に際して、プレス成形型の変更が必要なく、定格変更を安価に実現することができる。
【0016】
上記(2)の構成によれば、一方の接続板部の一縁から第1可溶部板材が延出した第1プレス部品と、他方の接続板部の一縁から第2可溶部板材が延出した第2プレス部品と、が略同一の構造である。そのため、これらの二つの部品は、同一のプレス成形型、あるいは構造が略同一の二つのプレス成形型で製造することができ、ヒューズエレメントの製造に必要なプレス成形型の製造コストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるヒューズエレメントによれば、定格の変更に際して、プレス成形型の変更が必要なく、定格変更を安価に実現することができる。
【0018】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明に係るヒューズエレメントの第1実施形態の斜視図である。
図2図2図1に示したヒューズエレメントの平面図である。
図3図3図2のA−A断面図である。
図4図4図3のB部の拡大図である。
図5図5図4に示した接合部を形成する溶接機の説明図である。
図6図6は第1実施形態における可溶部の接合面積の大きさと抵抗値との相関図である。
図7図7図4に示した接合部が形成する抵抗回路の説明図である。
図8図8は本発明に係るヒューズエレメントの第2実施形態の斜視図である。
図9図9は本発明に係るヒューズエレメントの第3実施形態の斜視図である。
図10図10は本発明に係るヒューズエレメントの第4実施形態の斜視図である。
図11図11はヒューズエレメントが組み込まれるヒュージブルリンクの従来例の分解斜視図である。
図12図12はヒューズエレメントが組み込まれるヒュージブルリンクの別の従来例の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るヒューズエレメントの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1図7は本発明に係るヒューズエレメントの第1実施形態を示したもので、図1は本発明に係るヒューズエレメントの第1実施形態の斜視図、図2図1に示したヒューズエレメントの平面図、図3図2のA−A断面図、図4図3のB部の拡大図、図5図4に示した接合部を形成する溶接機の説明図、図6は第1実施形態における可溶部の接合面積の大きさと抵抗値との相関図、図7図4に示した接合部が形成する抵抗回路の説明図である。
【0022】
この第1実施形態のヒューズエレメント10は、可溶部11と、該可溶部11の両端に設けられる一対の接続板部12,13と、を備える。
【0023】
可溶部11は、定格以上の電流が流れると溶断するように抵抗値が設定される部位である。本実施形態の可溶部11は、一方の接続板部12と一体に形成された帯板状の第1可溶部板材12aと、他方の接続板部13と一体に形成された帯板状の第2可溶部板材13aと、から構成されている。
【0024】
また、第2可溶部板材13aは、その先端部13bが、図3及び図4に示すように、第1可溶部板材12aの先端部12bの下面に重ねられている。それぞれの先端部12b,13bは、基端側よりも細幅に形成されている。更に、第2可溶部板材13aは、図4に示すように、第1可溶部板材12aに重なる先端部13bの積層面Saの内の少なくとも一部の領域Sbが、溶接によって、第1可溶部板材12aに接合される。
【0025】
積層された先端部12b,13b間の溶接には、例えば、図5に示すシーム溶接を利用することができる。この溶接は、積層された先端部12b,13bを一対のローラ電極21,22で挾持し、溶接電源23からそれぞれのローラ電極21,22に通電しつつ、それぞれのローラ電極21,22を回転駆動させることで、連続的に抵抗溶接を行う溶接法である。
【0026】
本実施形態の場合、図4に示す積層面Saの内の接合する面積を変更すると、図6に示すように、可溶部11としての抵抗値が変化する。従って、本実施形態の可溶部11は、電気的には、図7に示すように一つの可変抵抗Rzを直列に接続した抵抗回路を形成している。本実施形態のヒューズエレメント10では、積層面Saの内の接合する面積を変更することで、溶断する定格を変更する。
【0027】
接続板部12,13は、可溶部11を例えば車載の回路に直列に接続するために可溶部11の両端に設けられる板部である。本実施形態の場合、各接続板部12,13は、図1に示すように、回路側の端子板に面接触させられる単純な平板状である。
【0028】
本実施形態のヒューズエレメント10は、部品構成としては、第1プレス部品P1と、第2プレス部品P2と、の二つの部品から構成される。第1プレス部品P1と第2プレス部品P2は、いずれも、板厚tの銅合金の板材からプレス成形によって図示の形状に製造される。
【0029】
第1プレス部品P1は、一方の接続板部12の一縁(図1では、上縁)12dの略中心から、その一縁12dと直交する方向に第1可溶部板材12aが延出した部品である。接続板部12の一縁12dは、その下方の板部12eに対して直角に折り曲げられている。そのため、第1プレス部品P1は、正面視では、図3に示すように、L字形を呈している。
【0030】
第2プレス部品P2は、他方の接続板部13の一縁(図1では、上縁)13dの略中心から、その一縁13dと直交する方向に第1可溶部板材13aが延出した部品である。接続板部13の一縁13dは、その下方の板部13eに対して直角に折り曲げられている。そのため、第2プレス部品P2も、正面視では、図3に示すように、L字形を呈している。
【0031】
本実施形態の場合、図3に示すように、第1プレス部品P1における接続板部12の高さ寸法H1は、第2プレス部品P2における接続板部13の高さ寸法H2よりも、板厚tの分だけ、大きい。第1プレス部品P1と第2プレス部品P2は、前述の接続板部12,13の高さ寸法以外は、各部の寸法が同一である。即ち、本実施形態の場合、第1プレス部品P1と第2プレス部品P2とは、略同一の構造である。
【0032】
なお、以上に説明したヒューズエレメント10は、可溶部11が保護されるように樹脂製ハウジングに収容することで、カートリッジ式のヒュージブルリンクとして利用することも可能である。
【0033】
以上に説明したヒューズエレメント10では、定格の変更は、可溶部11を構成する第1可溶部板材12aと第2可溶部板材13aとの間の互いに重なり合う積層面Saの内の接合する面積を変更することによって行い、第1可溶部板材12a及び第2可溶部板材13aにおける幅や厚さ等の寸法は変更する必要がない。そのため、第1可溶部板材12a、第2可溶部板材13a、及びこれらの可溶部板材12a,13aに繋がる接続板部12,13を所定の形状に成形するプレス成形型を作り直す必要が生じない。
【0034】
即ち、定格の変更に際して、プレス成形型の変更が必要なく、定格変更を安価に実現することができる。
【0035】
また、以上に説明したヒューズエレメント10では、一方の接続板部12の一縁12dから第1可溶部板材12aが延出した第1プレス部品P1と、他方の接続板部13の一縁13dから第2可溶部板材13aが延出した第2プレス部品P2と、が略同一の構造である。そのため、これらの二つの部品は、同一のプレス成形型、あるいは構造が略同一の二つのプレス成形型で製造することができ、ヒューズエレメントの製造に必要なプレス成形型の製造コストを低減させることができる。
【0036】
[第2実施形態]
図8は、本発明に係るヒューズエレメントの第2実施形態の斜視図である。
この第2実施形態のヒューズエレメント10Aは、第1実施形態のヒューズエレメント10の一部を改良したもので、第1実施形態と共通する部位には、同番号を付して説明を省略、又は簡略化する。
【0037】
この第2実施形態のヒューズエレメント10Aは、可溶部11の両端の接続板部12,13に、ねじ止め用の切り欠き孔15を追加したものであり、それ以外の構成は第1実施形態と共通である。
【0038】
この第2実施形態のヒューズエレメント10Aの場合は、各接続板部12,13が、ねじ止めにより回路側の端子部に接続される。
【0039】
[第3実施形態]
図9は、本発明に係るヒューズエレメントの第3実施形態の斜視図である。
この第3実施形態のヒューズエレメント10Bは、可溶部11の両端に装備される接続板部12,13に、舌片状の雄タブ部16が一体形成されている。
【0040】
第3実施形態のヒューズエレメント10Bの場合、接続板部12,13に雄タブ部16が一体形成された点以外の構成は、第1実施形態と共通である。
この第3実施形態のヒューズエレメント10Bの場合は、接続板部12,13を、雄タブ部16の差し込みによるタブ接続によって簡単に回路に接続することができる。
【0041】
[第4実施形態]
図10は、本発明に係るヒューズエレメントの第4実施形態の斜視図である。
この第4実施形態のヒューズエレメント10Cは、可溶部11の両端に装備される接続板部12,13に、舌片状のタブ端子を嵌合接続可能な雌タブ部17が一体形成されている。
【0042】
第4実施形態のヒューズエレメント10Cの場合、接続板部12,13に雌タブ部17が一体形成された点以外の構成は、第1実施形態と共通である。
【0043】
この第4実施形態のヒューズエレメント10Cの場合も、第3実施形態の場合と同様に、接続板部12,13を、タブ接続により簡単に回路に接続することができる。
【0044】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
例えば、可溶部の両端の接続板部の形状は、前述した各実施形態以外の構造とすることも可能である。
【0045】
また、前述した各実施形態では、第1可溶部板材12aの先端部12bと、第2可溶部板材13aの先端部13bとは、垂直方向に重ねられていた。しかし、第1可溶部板材12aの先端部12bと、第2可溶部板材13aの先端部13bとが、水平方向に重なるようにしても良い。この場合には、接続板部12の一縁12dから第1可溶部板材12aが延出する第1プレス部品P1と、接続板部13の一縁13dから第2可溶部板材13aが延出する第2プレス部品P2とを、完全な同一構造とすることができる。その結果、二つのプレス部品P1,P2を、1種類の成形金型で製造することが可能になり、金型の製造コストを低減させることができる。
【0046】
また、本発明のヒューズエレメントは、車載のバッテリに直付けの、L字型のヒュージブルリンクに適用することも可能である。その場合には、可溶部の両端の接続板部の内の一方の接続板部は車載のバッテリのバッテリポストに直接ねじ止めされるねじ止め端子板となり、両端の接続板部間にはバッテリの角部に沿ってL字型に曲がる曲げ部が形成される。本発明のヒューズエレメントをバッテリに直付けのヒュージブルリンクに適用した場合には、バッテリ直付けヒュージブルリンクにおける定格の変更を容易にすることができる。
【0047】
ここで、上述した本発明に係るヒューズエレメントの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0048】
[1] 定格以上の電流が流れると溶断するように抵抗値が設定される可溶部(11)と、前記可溶部(11)を回路に直列に接続するために前記可溶部(11)の両端に設けられる一対の接続板部(12,13)と、を備えるヒューズエレメント(10)であって、
前記可溶部(11)は、一方の前記接続板部(12)と一体に形成された帯板状の第1可溶部板材(12a)と、他方の前記接続板部(13)と一体に形成されると共に先端部(13b)が前記第1可溶部板材(12a)の先端部(12b)に重ねられて、前記第1可溶部板材(12a)に重なる積層面(Sa)の内の少なくとも一部の領域(Sb)が前記第1可溶部板材(12a)に接合される帯板状の第2可溶部板材(13a)と、を備え、
前記積層面(Sa)の内の接合する面積の変更によって溶断する定格を変更することを特徴とするヒューズエレメント(10)。
【0049】
[2] 一方の前記接続板部(12)の一縁(12d)の略中心から該一縁(12d)と直交する方向に前記第1可溶部板材(12a)が延出した第1プレス部品(P1)と、他方の前記接続板部(13)の一縁(13d)の略中心から該一縁(13d)と直交する方向に前記第2可溶部板材(13a)が延出した第2プレス部品(P2)と、を備え、
前記第1プレス部品(P1)と第2プレス部品(P2)とが、略同一の構造であることを特徴とする上記[1]に記載のヒューズエレメント(10)。
【符号の説明】
【0050】
10,10A,10B,10C ヒューズエレメント
11 可溶部
12 接続板部
12a 第1可溶部板材
12b 先端部
12d 一縁
13 接続板部
13a 第2可溶部板材
13b 先端部
13d 一縁
P1 第1プレス部品
P2 第2プレス部品
Sa 積層面
Sb 一部の領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12