特許第6175296号(P6175296)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175296
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】検査ポイント設定装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20170724BHJP
   H05K 3/00 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G01R31/02
   H05K3/00 T
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-136205(P2013-136205)
(22)【出願日】2013年6月28日
(65)【公開番号】特開2015-10925(P2015-10925A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088306
【弁理士】
【氏名又は名称】小宮 良雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126343
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 浩之
(72)【発明者】
【氏名】大兼 和幸
【審査官】 山崎 仁之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−211053(JP,A)
【文献】 特開2001−229383(JP,A)
【文献】 特開2003−256810(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0051379(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板データに基づいて、基板検査用の検査ポイントの設定を行うための検査ポイント設定装置であって、
画像を表示可能な表示手段と、
前記基板データを読み込むデータ読込手段と、
前記基板データに基づいて基板の導体パターンを前記表示手段に表示させる表示処理手段と、
前記検査ポイントの設定対象とする前記導体パターンを選択するための選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記設定対象の導体パターンを、縮小処理して前記表示処理手段に表示させる縮小処理手段と、
前記設定対象の導体パターンに前記検査ポイントの設定を行うための検査ポイント設定手段と
レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位の中で、前記縮小処理により分断又は消滅した部位を識別する分断・消滅部位識別手段とを
備えることを特徴とする検査ポイント設定装置。
【請求項2】
前記縮小処理手段に対して縮小条件の設定を行う縮小条件設定手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の検査ポイント設定装置。
【請求項3】
前記検査ポイント設定手段が、前記分断・消滅部位識別手段によって分断又は消滅したと識別された部位に、前記検査ポイントを自動的に生成することを特徴とする請求項に記載の検査ポイント設定装置。
【請求項4】
前記検査ポイント設定手段が、所定の再処理条件を満たすときに、前記縮小処理手段にさらに前記縮小処理を行わせることを特徴とする請求項に記載の検査ポイント設定装置。
【請求項5】
前記検査ポイント設定手段が、レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位に対し、ビアの有無を判定し、ビアの無い部位に、前記検査ポイントを自動的に設定することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の検査ポイント設定装置。
【請求項6】
基板データに基づいて、基板検査用の検査ポイントの設定を行うためのプログラムであって、
コンピュータを、
画像を表示可能な表示手段と、
前記基板データを読み込むデータ読込手段と、
前記基板データに基づいて基板の導体パターンを前記表示手段に表示させる表示処理手段と、
前記検査ポイントの設定対象とする前記導体パターンを選択するための選択手段と、
前記選択手段によって選択された前記設定対象の導体パターンを、縮小処理して前記表示処理手段に表示させる縮小処理手段と、
前記設定対象の導体パターンに前記検査ポイントの設定を行うための検査ポイント設定手段と
レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位の中で、前記縮小処理により分断又は消滅した部位を識別する分断・消滅部位識別手段として動作させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータを、前記縮小処理手段に対して縮小条件の設定を行う縮小条件設定手段として動作させることを特徴とする請求項に記載のプログラム
【請求項8】
前記検査ポイント設定手段が、前記分断・消滅部位識別手段によって分断又は消滅したと識別された部位に、前記検査ポイントを自動的に生成することを特徴とする請求項に記載のプログラム
【請求項9】
前記検査ポイント設定手段が、所定の再処理条件を満たすときに、前記縮小処理手段にさらに前記縮小処理を行わせることを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記検査ポイント設定手段が、レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位に対し、ビアの有無を判定し、ビアの無い部位に、前記検査ポイントを自動的に設定することを特徴とする請求項からのいずれかに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板データに基づいて、基板検査用の検査ポイントの設定を行うための検査ポイント設定装置、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板の検査は、基板上に予め設定された多数の検査ポイントに、基板検査装置がプローブを順次接触させて抵抗値や静電容量などの電気的特性を測定し、その良否を確認することで行われている。例えば、特許文献1に、検査ポイントのXY座標の位置を含むCADデータの供給を受け、その検査ポイントにプローブを接触させて検査を行う検査システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−191300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、検査ポイントがCADデータに含まれていれば、検査ポイントを一から設定することは不要である。CADデータに検査ポイントが含まれていない場合や含まれていてもそのまま使用できない場合には、基板上の適切な位置に検査ポイントを設定する必要がある。
【0005】
検査ポイントの設定が必要な場合、検査ポイントを、基板に形成された部品実装用のランドやスルーホールなど、プローブを接触可能な導体パターンに対して設定する。検査ポイントの設定は、検査ポイント設定装置によって行われる。検査ポイント設定装置は、基板検査装置と一体になっている場合もある。
【0006】
検査ポイント設定装置は、基板設計用のCAD(Computer Aided Design)システムから出力される導体パターン、レジスト、ビア等の配置を示す基板データ(CADデータ)に基づいて、オペレータの手動操作によって検査ポイントを設定し、又は公知の検査ポイント生成用のアルゴリズムで演算処理して自動的に検査ポイントを設定する。
【0007】
基板の導体パターンの中には、ベタパターンと呼ばれる導体パターンが存在する場合がある。ベタパターンとは、信号線になる線状に形成された導体パターンではなく、面状に形成された導体パターンであり、電源パターンやグランドパターンとしてよく用いられている。例えば、図4にハッチングで示した導体パターン60がベタパターンである。
【0008】
ベタパターンの中にはプローブの接触可能な部分が多くあり、その全てを検査ポイントの対象にすると、検査ステップが多くなり検査に時間が掛かる。オペレータが取捨選択して必要な位置にだけ検査ポイントを手動で設定すればよいが、その作業には時間と手間が掛かるし、検査ポイントの設定漏れが生じる可能性もある。
【0009】
自動で設定する場合、例えばレジスト開口部の全てに検査ポイントが生成されてしまったり、必要な部分に生成されなかったりするように、公知のアルゴリズムでは意図した通りに生成されない場合がある。
【0010】
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、ベタパターンへの検査ポイントの設定を、簡便に行うことができる検査ポイント設定装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された検査ポイント設定装置は、基板データに基づいて、基板検査用の検査ポイントの設定を行うための検査ポイント設定装置であって、画像を表示可能な表示手段と、前記基板データを読み込むデータ読込手段と、前記基板データに基づいて基板の導体パターンを前記表示手段に表示させる表示処理手段と、前記検査ポイントの設定対象とする前記導体パターンを選択するための選択手段と、前記選択手段によって選択された前記設定対象の導体パターンを、縮小処理して前記表示処理手段に表示させる縮小処理手段と、前記設定対象の導体パターンに前記検査ポイントの設定を行うための検査ポイント設定手段と、レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位の中で、前記縮小処理により分断又は消滅した部位を識別する分断・消滅部位識別手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載された検査ポイント設定装置は、請求項1に記載のものであり、前記縮小処理手段に対して縮小条件の設定を行う縮小条件設定手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項に記載された検査ポイント設定装置は、請求項に記載のものであり、前記検査ポイント設定手段が、前記分断・消滅部位識別手段によって分断又は消滅したと識別された部位に、前記検査ポイントを自動的に生成することを特徴とする。
【0015】
請求項に記載された検査ポイント設定装置は、請求項に記載のものであり、前記検査ポイント設定手段が、所定の再処理条件を満たすときに、前記縮小処理手段にさらに前記縮小処理を行わせることを特徴とする。
【0016】
請求項に記載された検査ポイント設定装置は、請求項1からのいずれかに記載のものであり、前記検査ポイント設定手段が、レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位に対し、ビアの有無を判定し、ビアの無い部位に、前記検査ポイントを自動的に設定することを特徴とする。
【0017】
請求項に記載されたプログラムは、基板データに基づいて、基板検査用の検査ポイントの設定を行うためのプログラムであって、コンピュータを、画像を表示可能な表示手段と、前記基板データを読み込むデータ読込手段と、前記基板データに基づいて基板の導体パターンを前記表示手段に表示させる表示処理手段と、前記検査ポイントの設定対象とする前記導体パターンを選択するための選択手段と、前記選択手段によって選択された前記設定対象の導体パターンを、縮小処理して前記表示処理手段に表示させる縮小処理手段と、前記設定対象の導体パターンに前記検査ポイントの設定を行うための検査ポイント設定手段と、レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位の中で、前記縮小処理により分断又は消滅した部位を識別する分断・消滅部位識別手段として動作させることを特徴とする。
【0018】
請求項に記載されたプログラムは、請求項に記載のものであり、前記コンピュータを、前記縮小処理手段に対して縮小条件の設定を行う縮小条件設定手段として動作させることを特徴とする。
【0020】
請求項に記載されたプログラムは、請求項に記載のものであり、前記検査ポイント設定手段が、前記分断・消滅部位識別手段によって分断又は消滅したと識別された部位に、前記検査ポイントを自動的に生成することを特徴とする。
【0021】
請求項に記載されたプログラムは、請求項に記載のものであり、前記検査ポイント設定手段が、所定の再処理条件を満たすときに、前記縮小処理手段にさらに前記縮小処理を行わせることを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載されたプログラムは、請求項からのいずれかに記載のものであり、前記検査ポイント設定手段が、レジスト開口部に位置する前記設定対象の導体パターンの部位に対し、ビアの有無を判定し、ビアの無い部位に、前記検査ポイントを自動的に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の検査ポイント設定装置、及びプログラムは、選択された導体パターンを縮小処理して表示手段に表示する。これにより、例えばサーマルランドで形成されたようなランドが縮小処理によってベタパターンから分断又は消滅するため、分断又は消滅した部位に手動又は自動で検査ポイントを設定することで、適切な位置に簡便に検査ポイントを設定することができる。
【0024】
縮小条件の設定を行う縮小条件設定手段を備える場合、縮小条件を適宜変更設定して、ランドが分断又は消滅するような適切な縮小条件で縮小処理を行うことができる。従って、検査ポイントの設定漏れを防止することができる。
【0025】
分断・消滅部位識別手段がレジスト開口部に位置する設定対象の導体パターンの部位の中で縮小処理により分断又は消滅した部位を識別する場合、識別された部位が検査ポイントを設定すべき部位であることが判る。
【0026】
検査ポイント設定手段が分断・消滅部位識別手段によって識別された部位に検査ポイントを自動的に生成する場合、手動で検査ポイントを設定する場合と比較して、遥かに簡便かつ短時間で検査ポイントを設定することができる。
【0027】
所定の再処理条件を満たすときに縮小処理手段がさらに縮小処理を実行する場合、ランドが分断又は消滅するような適切な縮小条件で縮小処理を行うことができ、検査ポイントの設定漏れを防止することができる。
【0028】
検査ポイント設定手段がレジスト開口部に位置する設定対象の導体パターンの部位に対し、ビアの有無を判定し、ビアの無い部位に検査ポイントを自動的に設定する場合、ビアが存在する部位に対してだけ、分断・消滅部位識別手段が分断又は消滅した部位を判定すればよいので、検査ポイント設定処理の負荷が軽減し、迅速に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明を適用する検査ポイント設定装置のブロック図である。
図2】本発明を適用する検査ポイント設定装置及びプログラムの動作を示すフローチャートである。
図3】変換処理手段による導体パターンの変換処理例を示す模式図である。
図4】表示手段及び操作手段であるタッチパネルの表示画面の表示例である。
図5】導体パターンの縮小処理例を示す図4の表示画面の一部拡大図である。
図6図5の導体パターンに対応する領域のレジストを示す一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの例に限定されるものではない。
【0031】
図1に、本発明を適用する検査ポイント設定装置1の構成を示す。この検査ポイント設定装置1は、一例として、ハードウエアが汎用的なコンピュータにより構成され、このコンピュータを本発明に係るプログラムで動作させることで実現されている。検査ポイント設定装置1のハードウエア(つまりコンピュータ)は、CPU2、データ読込手段3、記憶手段4、表示手段5、及び操作手段6を備えている。
【0032】
CPU2は、プログラムに従って演算処理や各部の制御を行い、コンピュータ全体を統括的に制御するものである。CPU2は、プログラムに従って動作して、本発明における変換処理手段11、表示処理手段12、縮小処理手段13、及び分断・消滅部位識別手段14として動作する。又、CPU2は、操作手段6と共に、選択手段15、縮小条件設定手段16、及び検査ポイント設定手段17として動作する。
【0033】
データ読込手段3は、CPU2に制御されて、基板データを外部から読み込むためのものである。データ読込手段3は、外部I/F(インタフェース)部18、及び外部記録装置19によって構成されている。外部I/F部18は、外部機器接続用のインタフェースである。外部I/F部18は、例えば、無線や有線によるLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)、モデム、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)、Bluetooth(登録商標)などである。外部記録装置19は、USBメモリやSD(エスディー)メモリカードなどの携帯可能な半導体メモリや、CD(コンパクトディスク)−R(レコーダブル)/RW(リライタブル)、DVDといった光学ディスクメモリなどの外部記録媒体にデータを記録したり、外部記録媒体からデータを読み込んだりするための外部記憶媒体の書込/読込装置である。データ読込手段3として、外部I/F部18及び外部記録装置19のいずれか一方だけが備えられていてもよい。
【0034】
記憶手段4は、書き換え可能な不揮発性メモリであり、一例として、フラッシュメモリなどの半導体メモリやハードディスクである。この例では、記憶手段4が、動作用のプログラムを記憶するプログラム記憶用メモリと、基板データ及び検査ポイントデータを記憶するデータ記憶用メモリとを兼ねている。
【0035】
表示手段5は、画像を表示可能な表示画面を有する例えば液晶パネル、CRT(陰極線管)である。操作手段6は、オペレータの操作を検査ポイント設定装置1に入力するためのものであり、例えばキーボードやマウスである。表示手段5及び操作手段6がタッチパネルで構成されていてもよい。
【0036】
次に、検査ポイント設定装置1の動作について説明する。
【0037】
CPU2は、データ読込手段3によりプログラムを外部から読み込んで、予め記憶手段4に記憶しておく。CPU2は、オペレータの操作により、又は起動と共に自動的に、記憶手段4に記憶されている本発明に係るプログラムを読み込んで、プログラムに従って動作を開始する。
【0038】
図2に、本発明のプログラムによる検査ポイント設定装置1の動作(検査ポイント設定処理)をフローチャートに示す。
【0039】
ステップS1で、CPU2は、データ読込手段3により、外部から基板データを読み込む。基板データは、基板設計用CAD装置から、基板の製造用データとして、例えばガーバーデータ形式で出力されるものである。読み込むデータは、オペレータによる操作手段6の操作で選択可能であってもよいし、例えばファイル名や拡張子名でCPU2が基板データであることを判別し、自動的に読み込むようにしてもよい。
【0040】
基板データは、基板を製造するために必要な、導体パターンの配置(形状及び位置)を示す導体パターンデータ、レジストの配置を示すレジストデータ、ビア(スルーホール含む)の配置を示すビアデータ、基板の形状寸法を示す形状データ、シンボルマーク(シルク)の配置を示すシンボルマークデータなどを含んでいる。基板データにネット情報を示すネット情報データなど、他のデータを含んでいてもよい。多層基板の場合であれば、基板データは、各層の導体パターンデータを含んでいることが好ましい。本発明では、後述するようにステップS6で縮小処理を行うために、基板データが少なくとも導体パターンデータを含んでいることが必要である。さらに、後述するステップS7を行う場合、基板データがレジストデータを含んでいることが必要である。基板データとして、導体パターンデータや、レジストデータなどが別々のファイルで作成されていて、別々のファイルを個々に読み込むようにしてもよい。CPU2は、読み込んだ基板データを記憶手段4に記憶させる。
【0041】
ステップS2で、CPU2は、変換処理手段11として動作して、ガーバーデータ形式の導体パターンデータを、縮小処理が行える表現形式に変換処理を行う。ガーバーデータ形式では、面状のベタパターンの領域を埋め尽くすように、位置をずらしながら細いライン状のパターンを何本も縦横に引くことで、ベタパターンが表現されている場合がある。このようなラインによる表現形式では、縮小処理が意図した通りに行えないため、予め、導体パターンを、後の縮小処理に対応した形式に変換する。縮小処理で導体パターンの輪郭(輪郭線)が使用される場合、変換処理手段11は、ガーバーデータ形式で表現されたパターンの重なり合いや接触関係を考慮して、基板に形成される導体パターンの輪郭を抽出して輪郭化する。縮小処理で導体パターンの画素が使用される場合、変換処理手段11は、ガーバーデータ形式で表現されたパターンの重なり合いや接触関係を考慮して、基板に形成される導体パターンの領域を塗り潰して示すようにビットマップ画像化(画素化)する。変換処理手段11は、変換した導体パターンデータを記憶手段4に記憶させる。なお、外部から読み込んだ基板データでそのまま縮小処理が行える場合、このステップS2は省略することができる。
【0042】
図3に変換処理の例を示す。図3(a)は変換処理前のベタパターン(導体パターン)101aを示した例であり、ガーバーデータ形式により、多数のライン状のパターン102、102・・・で、一例として正方形形状のベタパターン101aが表現されている。図3(b)に示すベタパターン101bは、ベタパターン101aを変換処理して輪郭化した例である。図3(c)に示すベタパターン101cは、ベタパターン101aを変換処理してビットマップ画像化した例である。同図では、ビットマップ画像化した画素103、103・・・を、模式的に黒色の升目で表現している。
【0043】
次に、図2のステップS3に進み、CPU2は、表示処理手段12として動作して、基板データに基づきステップS2で変換処理した導体パターンを、表示手段5に表示させる。続いて、ステップS4に進み、CPU2は、選択手段15として動作して、オペレータによる操作手段6の選択操作によって指定された、検査ポイントの設定対象となる導体パターンを選択する。選択手段15は、選択操作で選択された導体パターンと導通のある全ての導体パターン、つまり同一のネットの導体パターンを全て選択する。選択手段15は、オペレータの操作手段6の操作による選択以外にも、例えば、検査ポイントの設定対象となる導体パターンを、ネット番号の順番に従って、自動的に順次選択するようにしてもよい。
【0044】
続いて、ステップS5に進み、CPU2は、縮小条件設定手段16として動作して、オペレータによる操作手段6の操作によって指示された縮小条件を、縮小処理手段13に設定する。又、CPU2は、設定された縮小条件を記憶手段4に記憶させる。縮小条件は、例えば縮小幅で指示される。縮小幅は、導体パターンにもよるが、例えば10μm〜100mm程度である。ビットマップ画像で縮小処理する場合、縮小条件設定手段16は、縮小条件として指示された縮小幅に対応する画素数を換算する。ビットマップ画像で縮小処理する場合、縮小条件として、縮小する画素数、縮小回数などを操作手段6の操作で直接設定するようにしてもよい。なお、縮小条件は予め設定された固定値であってもよい。固定値の場合、ステップS5を省略することができる。
【0045】
図4に、表示手段5の表示画面21の表示例を示す。この例では、表示画面21がタッチパネルで構成されていて、操作手段6を兼ねている。一例として、表示処理手段12は、表示画面21に、基板表示領域22、選択ネット表示枠23、検査ポイント数表示枠24、縮小表示オン/オフボタン25、検査ポイント自動設定ボタン26、縮小処理再実行ボタン27、縮小レンジ選択ボタン28、数値設定ボタン29、縮小幅設定スライダー30、及び縮小幅表示枠31を表示画面21に表示させる。
【0046】
表示処理手段12は、基板表示領域22に基板の導体パターンを表示させる。表示処理手段12は、操作手段6の操作により、導体パターンに重ね合わせて、レジスト、ビア、基板外形、シンボルマークなどの任意の画像を表示させてもよい。表示処理手段12は、基板(導体パターン)の表示倍率や表示部位を、例えば基板表示領域22内のオペレータのタッチによるピンチイン操作(画面上で2本の指の間隔を狭める操作)で縮小表示、ピンチアウト操作(画面上で2本の指の間隔を広げる操作)で拡大表示、ドラッグ操作(画面に接したまま指を動かす操作)で移動表示させるように、操作手段6の操作に対応させて自在に変更表示させる。
【0047】
同図は、検査ポイントの設定対象として、ベタパターン60が選択手段15により選択された例を示している。選択手段15は、選択操作として例えばオペレータによりダブルタップ(画面上を短く2回タッチする操作)で指定された導体パターンを選択する。選択操作はマウスで行ってもよい。表示処理手段12は、選択手段15の選択した導体パターン(ベタパターン60)を、同図に示すようにハッチングを付して表示したり、色付けして表示したりするように、表示画面21に目視で識別可能に表示させることが好ましい。さらに、表示処理手段12は、選択されたベタパターン60のネット情報を、同図の選択ネット表示枠23に示すように、表示画面21に番号等の文字で表示させることが好ましい。
【0048】
縮小条件となる縮小幅は、表示画面21に表示された縮小レンジ選択ボタン28及び縮小幅設定スライダー30によって設定することができる。縮小レンジ選択ボタン28は、縮小幅設定スライダー30で設定可能な縮小幅の範囲を切り換えるためのもので、この例では、レンジ選択用の4つのボタンである。オペレータは所望のレンジを縮小レンジ選択ボタン28で選択し、縮小幅設定スライダー30をスライド(ドラッグ)させて、所望の縮小幅に設定する。表示処理手段12は、縮小レンジ選択ボタン28で選択された縮小レンジに対応させて、縮小幅設定スライダー30の下部に目盛りを表示させる。表示処理手段12は、オペレータのスライド操作に対応するように、縮小幅設定スライダー30の表示位置を移動させる。縮小条件設定手段16は、縮小レンジ、及び縮小幅設定スライダー30の位置に対応する縮小幅を設定する。表示処理手段12は、縮小条件設定手段16の設定した縮小幅の値を縮小幅表示枠31に表示させることが好ましい。縮小幅は、数値設定ボタン29を操作(タッチ)することで、数値を入力して設定することもできる。表示処理手段12は、数値設定ボタン29がタッチされると、数値入力用のテンキーを表示画面21に表示させる。
【0049】
図2に戻って説明を続けると、続いて、ステップS6に進み、CPU2は、縮小処理手段13として動作して、ステップS4で選択された導体パターンに対し、ステップS5で設定された縮小条件で縮小処理を実行し、縮小処理後の導体パターンを表示処理手段12に表示させる。縮小処理は公知の画像処理であり、公知の方法で演算処理できる。縮小処理を輪郭で処理する場合、CPU2は、導体パターンの輪郭を縮小幅の分だけ、導体パターンの内側に移動させる処理を行う。これにより、導体パターンは縮小幅の分だけ痩せて小さくなる。導体幅の狭い箇所では、導体パターンの分断や消滅が発生する。縮小処理をビットマップ画像で行う場合、導体パターンを黒、及び周囲を白で表すと、注目画素の周囲のX画素(縮小幅分の画素)の範囲に1画素でも白い画素が有れば注目画素を白に置き換える処理を行う。又は、注目画素に隣接する周囲の画素に1画素でも白い画素が有れば注目画素を白に置き換える処理を、縮小幅の画素の数に相当する回数繰り返す処理を行う。ビットマップ画像で処理する場合、画素単位で処理を行うので、1画素に相当する導体幅が縮小幅を設定できる最小単位になる。そのため、導体パターンを高解像度で細分化して多くの画素で表現したほうが、縮小幅を細やかに設定することができるため、好ましい。輪郭で縮小処理する場合には、縮小幅の設定に制限はないため細やかに縮小幅を設定することができる。
【0050】
図5に、具体例を示す。図5(a)は、縮小処理を行う前の状態であり、図4に示す丸枠内を拡大して示したものである。ベタパターン60には、リード部品半田付け用のランド61、表面実装部品半田付け用のランド(パッド)62、63、及び部品を実装しない層間接続用のビア64、65が設けられている。ランド61には中央部にスルーホールが形成される。部品実装用のランド61、62、63は検査ポイントを設定したい部位である。部品を実装しないビア64、65は検査ポイントには成り得るが検査ポイントとして設定すると検査ステップが増加しすぎるため検査ポイントとして設定したくない部位である。ランド61、62、63は、半田付けする際に、導体面積の広いベタパターン60に熱が逃げるのを防止するため、サーマルランド(サーマルクロス)と呼ばれる十字型に導体を残したパターン形状で、ベタパターン60に繋がっている。一例として、ランド61は導体幅0.4mmのサーマルランド、ランド63は導体幅0.6mmのサーマルランド、ランド62は導体幅0.8mmのサーマルランドで形成されているものとする。
【0051】
図5(b)に示すベタパターン60bは、ベタパターン60を、一例として縮小幅0.2mmで縮小処理した例である。同図中に破線で示したのは、縮小処理前のベタパターン60の輪郭である。この輪郭は仮想線であり表示画面21に表示されないが、元の形状を示すために表示させてもよい。縮小幅0.2mmで縮小処理を実行すると、ベタパターン60の輪郭が全て0.2mm内側に移動するため、ベタパターン60の中の導体幅0.4mm以下の部分が消滅する。そのため、導体幅0.4mmのサーマルランドであったランド61が、ベタパターン60bから分断されて独立する。ランド62、63のサーマルランドは、導体幅が0.4mmよりも広いため、導体幅は狭くなるが縮小処理後にもベタパターン60bに繋がっている。
【0052】
図5(c)に示すベタパターン60cは、ベタパターン60を、縮小幅0.4mmで縮小処理した例である。同図中に破線で示したのは、縮小処理前のベタパターン60の輪郭線である。ベタパターン60cは、縮小幅0.2mmで縮小処理した図5(b)に示すベタパターン60bを、さらに縮小幅0.2mmで縮小処理した例ともいうことができる。この例では、ベタパターン60の中の導体幅0.8mm以下の部分が消滅する。そのため、ランド61、62、63がベタパターン60cから分断されて独立する。ランド63は、一例として0.8mm幅であったため消滅している。
【0053】
一方、図5(b)、図5(c)に示すように、ビア64、65はベタパターン60b、60cから分断又は消滅しない。
【0054】
図5(a)〜図5(c)から判るように、適切な縮小条件で縮小処理を行うと、検査ポイントの設定を行いたい、サーマルランドのようにライン状パターンでベタパターン60に接続されているランド61、62、63が、分断又は消滅する。一方、縮小処理を行っても、検査ポイントの設定を行いたくないビア64、65は、ベタパターン60b、60cから分断又は消滅しない。そのため、適切な縮小条件で縮小処理を行い、分断又は消滅する部位を識別することで、検査ポイントの設定箇所を抽出することができる。分断又は消滅する部位をオペレータが目視で識別して検査ポイントを手動設定してもよいし、本装置1が識別する処理を行って検査ポイントを自動設定してもよい。
【0055】
図4に示す縮小幅設定スライダー30をオペレータが動かす操作をすると、縮小条件設定手段16が縮小幅設定スライダー30の変動する位置に対応させてリアルタイムに縮小処理手段13に縮小幅を設定し、逐次設定される縮小幅で縮小処理手段13が順次縮小処理して、リアルタイムに縮小処理の結果を表示画面21に表示させることが好ましい。このように、縮小幅設定スライダー30の位置を動かすと、その位置に連動してベタパターン60が縮小処理されて表示されることで、オペレータは縮小条件の程度を変えつつ分断又は消滅する部位の発生状況を目視により的確に確認することができる。又、適切な縮小条件を設定することができる。
【0056】
分断又は消滅した部位を目視で識別して検査ポイントを設定する場合、その部位の位置を目立たせて目視で識別可能に表示することが好ましい。そのためには、検査ポイント設定装置1が分断又は消滅した部位を識別することが必要である。又、分断又は消滅した部位に自動的に検査ポイントを設定する場合、その部位を識別することが必要である。そのため、検査ポイント設定装置1は、分断又は消滅した部位を識別する分断・消滅部位識別手段14を備えていることが好ましい。縮小処理により、検査ポイントに成り得ない細いパターンも分断又は消滅するため、分断・消滅部位識別手段14は、検査ポイントになり得る部位の中で、分断又は消滅した部位を識別する必要がある。この識別のために、本発明では、レジスト開口部を利用する。
【0057】
図6に、図5(a)に対応する領域のレジスト70をハッチングで示す。レジスト70は、ベタパターン60の上に形成される。レジスト70には、レジスト開口部71〜75が形成されており、同図では白抜きで示されている。レジスト開口部71は図5(a)に示すベタパターン60のランド61に形成され、レジスト開口部72はランド62に形成され、レジスト開口部73はランド63に形成され、レジスト開口部74はビア64に形成され、レジスト開口部75はビア65に形成されている。このように、検査ポイントに成り得るランド61〜63及びビア64、65の部位には、全てレジスト開口部71〜75が形成されている。
【0058】
図2に戻って説明すると、ステップS7で、CPU2は、分断・消滅部位識別手段14として動作して、レジスト開口部71〜75に位置するベタパターン60の部位(ランド61〜63及びビア64、65)に対し、縮小処理によりベタパターン60から分断又は消滅したか否かを判別する。これにより、例えば、図5(c)の縮小処理を行った場合、分断・消滅部位識別手段14は、分断又は消滅した部位がランド61〜63であることを識別する。分断又は消滅したかは、例えばレジスト開口部71〜65の各々の開口輪郭の位置に導体パターンが存在するか否かで判定することができる。
【0059】
続いて、ステップS8で、CPU2は、検査ポイント設定手段17として動作して、検査ポイントの手動設定モードに設定されているか、検査ポイントの自動設定モードに設定されているかを判別する。この設定は、例えば、検査ポイント自動設定ボタン26(図4参照)がオペレータにより押されていなければ手動設定モードとし、押されていれば自動設定モードとする。
【0060】
手動設定モードの場合、ステップS11に進み、表示処理手段12は、分断・消滅部位識別手段14の識別した分断又は消滅した部位(ランド61〜63)の中心の位置に、例えば赤や黄色、金色のような目立つ色で、星型、丸型、三角型などの識別マーク(不図示)を、目視により視認可能に明示して表示させる。これにより、オペレータは、分断又は消滅した部位を迅速、確実に視認することができる。なお、必要性に応じて識別マークを表示させなくてもよい。手動設定で表示させない場合、ステップS7を省略することができる。
【0061】
続いて、ステップS12に進み、検査ポイント設定手段17は、操作手段6により指定された位置に検査ポイントを設定して、検査ポイントデータとして記憶手段4に記憶させる。例えば、検査ポイント設定手段17は、オペレータによってロングタップ(一定時間以上タッチする操作)された位置やマウスで指定された位置に、検査ポイントを設定する。識別マークを指定することで、検査ポイントを設定するようにしてもよい。オペレータは識別マークの表示された位置の全てに検査ポイントを設定してもよく、必要性に応じて取捨選別して検査ポイントを設定してもよい。又、必要性があれば、ビア64、65に検査ポイントを設定してもよい。
【0062】
表示処理手段12は、検査ポイントの設定された位置に、検査ポイントの位置を目視により識別可能に明示するような検査ポイントマークを、表示手段5に表示させる。例えば、図5(b)、図5(c)では、検査ポイントTP1、TP2、TP3の位置を示すように×印を表示させている。
【0063】
縮小処理後のベタパターン60c(図5(c)参照)の形状では、元のベタパターン60(図5(a)参照)の形状が判り難い。そのため、検査ポイントの設定を行い難い場合、縮小表示ボタン25(図4参照)のオフ(OFF)の選択で、表示処理手段12は、ベタパターン60cに換えてベタパターン60を表示させ、縮小表示ボタン25のオン(ON)の選択で、再度、縮小処理後のベタパターン60cを表示させるようにしてよい。
【0064】
ステップS13ではステップS12に連動させて、検査ポイント設定手段17が、ベタパターン60に対して設定された検査ポイントの数を算出し、例えば表示画面21の検査ポイント数表示枠24(図4参照)に示すように、表示処理手段12に検査ポイントの数を表示させる。このように検査ポイントの数を表示してオペレータに注意を促すことで、同一ネットの導体パターンに対して検査ポイントの設定がされずに、検査ポイントの数がゼロ(0)になってしまうことを防止できる。
【0065】
ステップS14で例えば縮小処理再実行ボタン27(図4参照)が操作(タッチ)されるような、縮小処理を再度行わせる操作がされると、ステップS6に戻り、縮小処理手段13は、縮小処理されて表示されている状態の導体パターンに対し、既に設定されている縮小条件でさらに縮小処理を実行する。例えば、縮小処理により図5(b)のベタパターン60bが表示された状態で縮小処理再実行ボタン27が操作されると、さらに縮小処理が行われ、図5(c)のベタパターン60cが表示される。
【0066】
縮小処理の再実行や再設定が行われなければ、検査ポイントの手動設定モードを終了する。
【0067】
自動設定モードの場合、ステップS8からステップS21に進む。
【0068】
ステップS21では、CPU2(検査ポイント設定手段17)は、分断・消滅部位識別手段14の識別結果から分断又は消滅した部位の有無を判別し、分断又は消滅した部位が1つもなければステップS6に戻る。ステップS6では、縮小処理手段13が縮小処理された導体パターンに対し、さらに縮小処理を実行して表示させて、以下、ステップS7、S8、S21へと進む。このように、分断又は消滅した部位が1つもない場合に縮小処理を再度実行することで、適切な縮小条件で縮小処理できるようになり、検査ポイントの設定漏れを防止することができる。
【0069】
ステップS21で、分断又は消滅した部位が有ると判別した場合、ステップS22に進み、検査ポイント設定手段17は、分断又は消滅した部位に、検査ポイントを自動的に設定する。表示処理手段12は、検査ポイント設定手段17が設定した検査ポイントTP1、TP2、TP3(図5(b)、図5(c)参照)の位置を示す検査ポイントマークを表示させる。続いて、ステップS23に進み、検査ポイント設定手段17は、検査ポイント数表示枠24(図4参照)に設定した検査ポイントの数を表示させる。
【0070】
続いて、ステップS24に進み、検査ポイント設定手段17は、縮小処理を再度行うか否かを判別する再処理条件を満たしているか判別する。再処理条件を満たしている場合、ステップS6、S7、S8、S21、S22、S23、S24のループを繰り返す。再処理条件を満たしていない場合、終了する。
【0071】
再処理条件には、種々の条件を設定できる。例えば、分断又は消滅していないレジスト開口部内の導体パターンについて、縮小処理の前後の面積を比較して、面積が減少していれば再処理条件を満たし、面積が減少していなければ再処理条件を満たさないとしてもよい。又、例えば、導体パターンの分断又は消滅していないレジスト開口部が複数ある場合、再処理条件を満たし、導体パターンの分断又は消滅していないレジスト開口部が複数ない場合、再処理条件を満たさないとしてもよい。又、例えば、縮小処理を行う回数をカウントし、その数が所定回数未満であれば再処理条件を満たし、所定回数に達したら再処理条件を満たさないとしてもよい。又、縮小幅の累計値(総和)を算出し、所定累計値未満であれば再処理条件を満たし、所定累計値に達したら再処理条件を満たさないとしてもよい。
【0072】
例えば、最初の縮小処理で図5(b)のように検査ポイントTP1が設定され、再処理条件を満たして縮小処理が再度行われることで、図5(c)のように、検査ポイントTP2、TP3が追加されて設定される。
【0073】
このように、再処理条件により縮小処理を再度実行することで、適切な縮小条件で縮小処理できるようになり、検査ポイントの設定漏れを防止することができる。
【0074】
手動設定モード、及び自動設定モードにかかわらず、図2のステップS31に示すように、縮小レンジ選択ボタン28、数値設定ボタン29、縮小幅設定スライダー30が操作されて縮小条件が設定し直されると、ステップS5に戻り、設定し直された縮小条件でベタパターン60が縮小処理されて、表示画面21に表示される。この場合、既に設定された検査ポイントを保持することが好ましい。又、手動設定モードの途中であっても、自動設定モードに切り替えることができる。逆に、自動設定モードの途中であっても、手動設定モードに切り替えることができ、操作手段6の操作で、自動設定された検査ポイントを取捨選択して削除したり、検査ポイントを追加設定したりすることができる。
【0075】
以上で、ベタパターン60に対する検査ポイントの設定が終了する。続いて、ステップS4に戻り、他の導体パターンに対して検査ポイントの設定を行うようにしてもよい。記憶手段4に記憶された検査ポイントに基づいて、プリント基板検査装置が検査を実行する。
【0076】
なお、手動設定モード及び/又は自動設定モードにて、縮小処理の有無、及び、分断又は消滅の有無にかかわらず、レジスト開口部に位置する導体パターンの部位に対し、ビア(スルーホール)の有無を判定し、ビアの無い部位に検査ポイントを予め自動的に設定するようにしてもよい。この処理は、例えば、図2のステップS4の後からステップS7の前までの間に実行する。このように処理すると、ビアが存在するレジスト開口部の部位に対してだけ、縮小処理で分断又は消滅したか否かを判定して、分断又は消滅した部位に検査ポイントを追加設定するように動作させればよいので、検査ポイント設定処理の負荷が軽減するため好ましい。ビアの無い部分は表面実装部品の半田付け用パッドである場合が多いので、検査ポイントを予め自動的に設定しても問題ない。
【0077】
本発明の検査ポイント設定装置1及びプログラムで、ベタパターン以外のライン状の導体パターンに対して縮小処理を行って、検査ポイントを設定することもできる。ライン状の導体パターンの多くは、その端にライン幅よりも広い幅のランドが設けられるため、縮小処理によりランド部分が分断して、ランド部分を識別することができる。
【0078】
検査ポイント設定装置1及びプログラムを、手動設定モード及び自動設定モードのいずれか一方だけで動作するようにしてもよい。又、汎用的なコンピュータを本発明に係るプログラムで動作させることで、検査ポイント設定装置1とした例について説明したが、汎用的なコンピュータを用いずに、専用のハードウエアで検査ポイント設定装置1を構成してもよい。
【符号の説明】
【0079】
1は検査ポイント設定装置、2はCPU、3はデータ読込手段、4は記憶手段、5は表示手段、6は操作手段、11は変換処理手段、12は表示処理手段、13は縮小処理手段、14は分断・消滅部位識別手段、15は選択手段、16は縮小条件設定手段、17は検査ポイント設定手段、18は外部I/F部、19は外部記録装置、21は表示画面、22は基板表示領域、23は選択ネット表示枠、24は検査ポイント数表示枠、25は縮小表示オン/オフボタン、26は検査ポイント自動設定ボタン、27は縮小処理再実行ボタン、28は縮小レンジ選択ボタン、29は数値設定ボタン、30は縮小幅設定スライダー、31は縮小幅表示枠、60・60b・60cはベタパターン(導体パターン)、61〜63はランド、64・65はビア、70はレジスト、71〜74はレジスト開口部、101a・101b・101cはベタパターン、102はパターン、103は画素、TP1・TP2・TP3は検査ポイントである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6