(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175448
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】シートレールのロック手段用の解放装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/08 20060101AFI20170724BHJP
【FI】
B60N2/08
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-547806(P2014-547806)
(86)(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公表番号】特表2015-500767(P2015-500767A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】EP2012073258
(87)【国際公開番号】WO2013092089
(87)【国際公開日】20130627
【審査請求日】2014年8月14日
【審判番号】不服2016-9111(P2016-9111/J1)
【審判請求日】2016年6月20日
(31)【優先権主張番号】102011121557.7
(32)【優先日】2011年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102012006060.2
(32)【優先日】2012年3月27日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】511007886
【氏名又は名称】ジョンソン コントロールズ コンポーネンツ ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】イェーナ、 ファルコ
(72)【発明者】
【氏名】ルイス、 ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】クレブス、 ユルゲン
【合議体】
【審判長】
吉村 尚
【審判官】
黒瀬 雅一
【審判官】
畑井 順一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−154356(JP,A)
【文献】
特開平7−257244(JP,A)
【文献】
特開2008−184033(JP,A)
【文献】
特開2006−315531(JP,A)
【文献】
特開2004−51082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー(2)を有し、前記レバー(2)の一端にハンドル(8)が設けられ、前記レバー(2)の他端がロック手段(6)と協働する解放装置(1)であって、
前記レバー(2)は、前記ロック手段(6)とのロック位置へと前記レバー(2)を付勢するばね手段(3)を有し、
前記ばね手段(3)によって、前記レバー(2)は自動車シートのアッパーレール(5)に回転可能に取り付けられ、
前記ハンドル(8)は、前記レバー(2)の前記一端に、形状嵌め及び/又は圧力嵌めによって前記一端との整合位置から解放可能に嵌められるように構成され、
前記ばね手段(3)は、前記ハンドル(8)を前記一端との前記整合位置へと付勢するべく構成される、解放装置。
【請求項2】
前記ロック手段(6)は、前記アッパーレール(5)をロアレールに解放可能にロックする、請求項1に記載の解放装置(1)。
【請求項3】
前記ばね手段(3)は、ワイヤから製造される脚ばねである、請求項1又は2に記載の解放装置(1)。
【請求項4】
前記脚ばねのワイヤは、前記レバー(2)の凹部(2.1)と前記アッパーレール(5)の凹部(5.1)の両方を貫通し、結果として回転軸受として機能する、請求項3に記載の解放装置(1)。
【請求項5】
前記ばね手段(3)は、一方で前記レバー(2)に接続され、他方で前記アッパーレール(5)に接続される板ばねとして設計される、請求項1又は2に記載の解放装置(1)。
【請求項6】
前記レバー(2)は、一体的に製造された板金曲げ部品である、請求項1から5のいずれか1項に記載の解放装置(1)。
【請求項7】
前記アッパーレール(5)は少なくとも部分的に前記レバー(2)を受け入れる、請求項1から6のいずれか1項に記載の解放装置(1)。
【請求項8】
前記ハンドル(8)は、前記ハンドル(8)に不適切な負荷が加わる場合に前記一端との整合位置から解放される請求項1から7のいずれか1項に記載の解放装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートレールのロック手段用の解放装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、自動車のシートは、一般にアッパーレールとロアレールとを有し、アッパーレール及びロアレールに沿って、特に自動車の進行方向及び進行方向と反対に、前記シートを調節することができる。車両シートを特定の前後位置にロックすることができるようにロック手段が設けられ、前記ロック手段は2つのレールの位置を互いに対して固定する。前記ロック手段は、従って、車両シートの前後位置を調節するために、必要に応じて解放されなければならない。この目的のために、解放装置が設けられるが、前記解放装置は、しばしば複雑に設計され、従来技術による車両シートに取り付けることが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点がない解放装置を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、レバーを有し、レバーの一端にハンドルが設けられ、レバーの他端がロック手段と協働する解放装置であって、ばね手段を有し、ばね手段がレバーにその受動位置へとプレテンションを与え、且つ同時にばね手段が、自動車シートのアッパーレールにレバーを固定するのに、特に前記レバーを回転可能に取り付けるのに使用される解放装置によって達成される。
【0005】
本発明は、自動車シートの前後方向のシート調節装置のアッパーレール及びロアレール用の解放装置に関する。一般に車両シートに接続されるアッパーレールと一般に自動車の車体に接続されるロアレールとの間にロック手段が設けられ、前記ロック手段は車両シートを所望の位置に固定する。前記ロック手段は車両シートを調節することができるように解放されなければならない。この目的のために、解放装置が提供され、前記解放装置は本発明の場合には手動で作動される。前記解放装置はレバーを有し、レバーは、車両シートのアッパーレールに好ましくは回転可能に取り付けられる。前記レバーの一端はロック手段と協働し、任意で前記ロック手段を解放する。他端にはハンドルが設けられる。このハンドルを作動すると、レバーがその受動位置からその解放位置へアッパーレールに対して移動し又は好ましくは回転し、同時にそのロック位置から解放位置へロック手段を移動させる。解放装置がロック手段と解放するように協働しないその受動位置へ解放装置が自動的に移動することを確実にするために、ばね手段が設けられ、前記ばね手段はレバーにその受動位置へとプレテンションを与える。また、ばね手段はレバーによってラトル音が生じるのを防ぐ。本発明によれば、従って、ばね手段がアッパーレールにレバーを取り付ける機能を更に担うことが定められる。結果として、部品ひいては重量が削減され、取り付けが簡素化される。
【0006】
ばね手段は、例えばワイヤから製造される、例えば脚ばねである。一端において、脚ばねは、ワイヤがレバーの凹部とアッパーレールの凹部の両方を貫通し、結果として回転軸受として機能するように設計される。
【0007】
別法として、ばね手段は、一方でレバーに接続され、他方でアッパーレールに接続される板ばねとして設計される。
【0008】
好ましくは、レバーは、特に一体的に製造された板金曲げ部品である。好ましくは、レバーは金属から製造される。好ましくは、アッパーレールは、少なくとも部分的にレバーを受け入れる。好ましくは、レバーは、アッパーレールの内部で、特に車両シートの調節方向に対して横断方向に、少量の隙間しか有していない。
【0009】
好ましくは、ロック手段と協働しないレバーの端部は、
形状嵌め、
圧力嵌め及び/又は材料接続によってハンドルに接続される。好ましくは、ハンドルは、レバー上に又はレバー内に嵌められ、且つ
形状嵌め及び/又は
圧力嵌めによって、特にラッチ接続によってレバーに接続される。好ましくは、レバー及び/又はハンドルは、ラッチ接続用の手段を有する。更に好ましくは、ハンドル及び/又はレバーは安全手段を有し、安全手段によって、ハンドルが、不適切な作動によりレバーから解放されることを防止する。
【0010】
特に好ましくは、解放装置は、ハンドルの不適切な負荷の場合にレバーが損傷するのを防ぐ安全手段を有する。例えば、前記安全手段は、特定の荷重を超えた場合に、特に特定の曲げモーメントを超えた場合に、ハンドルがもはやレバーに固定的に接続されないように、自動的に解放される接続である。結果として、解放装置及び/又はロック手段への損傷が防止される。
【0011】
車両シートが一般に2つのアッパーレールと2つのロアレールとを備え、各アッパーレール及び/又はロアレールが本発明による解放装置を有し、それにもかかわらず解放装置が好ましくは共通のハンドルによって作動されることが、当業者には理解される。
【0012】
図1−5cを参照して以下に本発明を説明する。これらの記載は、単に例として提供され、一般的発明概念を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】解放装置のアッパーレールへの取り付けを示す。
【
図3a】
図1及び2に記載のロック手段をその受動位置で示す。
【
図3b】
図1及び2に記載のロック手段をその解放位置で示す。
【
図4a-4c】ハンドルが設けられた
図3a及び3bに記載の解放装置を示す。
【
図5a-5c】本発明に係る解放装置の更なる実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、レバー2を有する本発明に係る解放装置を示す。前記レバーは、好ましくは金属薄板から、金属薄板を初めに打ち抜き、次いで折り曲げることによって、特に一体的に製造される。前記レバーは、いずれの場合も左右に窪み2.1を有する。また、解放装置には、ばね手段3、この場合には脚ばねが設けられる。前記脚ばねは、第1端部3.1と第2端部3.2とを有する。また、解放装置には、レバー2に設けられた開口部に挿入されるダンパ4ーが好ましくは設けられる。
【0015】
特に
図2から導かれるように、脚ばね3の端部3.2のワイヤは、レバー2の凹部2.1に挿入され、レバーがアッパーレール5に挿入されたときに突出端部がアッパーレール5の凹部5.1にラッチされる程度まで、凹部2.1から突出する。結果として、ばね手段3はアッパーレール5に対するレバー2の回転軸受を形成する。ばね手段3の端部3.1は、レバー2に支持される。
【0016】
図3aは、当業者に知られるロック手段6と協働する解放装置を示し、
ロック手段6は、一般に車両シートに接続されるアッパーレール5を、車両シートの本体に接続されるロアレール13に対してロックする。
図3aでは、解放手段はその受動位置にあり、解放手段はばね手段3によって受動位置へとプレテンションをかけられ、解放手段は受動位置ではロック手段6と解放するように協働しない。レバー2は、特に
形状嵌め及び/又は
圧力嵌めによってハンドルが接続され得る接続領域7を有することが、当業者に認識される。
【0017】
図3bは
図3aに記載の実施形態を示しており、レバー2は今や上方に時計回りに回転され、結果として、ロック手段6はそれがもはやロックするように作用しないように作動されるので、アッパーレールはロアレールに対して調節されることができる。レバー2は、この場合、ばね手段3によって形成される回転軸受を中心に回転する。
【0018】
図3a及び
図3bに記載の解放装置は、実質的に
図4a及び
図4bに示され、
図4aは、その解放位置にある解放装置を示し、
図4bは、その受動位置にある解放装置を示す。この場合、ハンドルがレバー2上に又はレバー2内に嵌められ、従って、不適切な作動によりハンドルをレバーから取り外すことができないように、レバー2に接続される。ばね要素3は、好ましくは、ハンドル8とレバー2との間の接続がいかなる騒音をも発生させないことを確実にする。好ましくは、締結手段12、特にラッチ締結手段が、ハンドル8とレバー2の間に設けられる。ハンドル8とレバー2の間の前記締結手段12は、ハンドル8が不適切に作動されたときに、すなわち、例えば反時計回りに回転されすぎたときに、
図4cに示すように、ハンドルがレバーから解放されるように、好ましくは設計される。好ましくは、締結手段12は、レバー2及び/又はそれに続く機構が損傷しないように、その後レバー2から解放される。このような「設定された破断点」を本発明に係る装置の異なる点にも設け得ることが、当業者には理解される。不適切な負荷がもはや
ハンドル8に加えられなくなるとすぐに、ばね3がハンドル8及び/又は締結手段12をその元の位置(
図4bを参照)に戻すように、ハンドル8とレバー2の間の接続、締結手段12及び/又はばね手段3を設計することができることも、当業者には理解される。解放装置は、結果として損傷を受けずに再び使用されることができる。
【0019】
本発明による装置の更なる実施形態が
図5a−cに示されている。この場合、ばね手段は板ばねとして設計され、その一端がレバー2に接続される。この端部3.1は、この場合にはレバー2に設けられた突起15によって、レバー2に接続される。一方、板ばねの他端3.2はレバー2に支持される。また、板ばねは凹部3.4を有する。前記凹部は、締結手段14、例えば、好ましくはセルフタッピングねじ山を有するねじ14によりアッパーレール5に接続され、ねじ14はアッパーレール5の凹部5.1に係合する。また、本実施形態でも、好ましくはダンパー4が設けられ、ダンパー4によって、本発明による解放装置の騒音の発生が少なくとも低減されることが意図されている。その他の点に関しては、上記図面に関連する実施形態による。
【符号の説明】
【0020】
1 解放装置
2 レバー
2.1 ばね手段3のための凹部
3 ばね手段
3.1 第1脚部
3.2 第2脚部
3.3
形状嵌め手段、くぼみ
3.4 凹部、ねじ山付き凹部
4 ダンパー
5 アッパーレール
5.1 アッパーレールの凹部
6 ロック手段
7 ハンドル8のための接続領域
8 ハンドル
9 受動位置
10 解放位置
11 不適切な位置
12 締結手段
13 ロアレール
14 締結手段
15 締結手段、突起