(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ドアは、前記凹みに隣接して開口した前記構造物から少なくとも一つのフラップとして開くべく構成され、かつ、前記エアバッグの展開時に開くべく構成される請求項1の車両トリムコンポーネント。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、エアバッグシュートアセンブリを有するトリムコンポーネントを含む典型的な車両10の斜視図である。例示のように、車両10は内装12を含む。内装12は、座席14、アームレスト16、センターコンソール18及びインストルメントパネル20を有する。以下に詳述されるように、座席14、アームレスト16、センターコンソール18、インストルメントパネル20及び/又は内装12内の他の領域(例えばAピラー、Bピラー、後部座席等)の一定のトリムコンポーネントは、エアバッグシュートアセンブリに当接して圧縮成形された繊維パネルを含む。例えば、一定の実施形態において、車両トリムコンポーネントは、繊維パネルを金型キャビティ内に配置することと、エアバッグシュートアセンブリを繊維パネルに整列させることとを含む工程によって調製される。繊維パネルはその後、金型キャビティ内で圧縮され、当該繊維パネルが所望形状に形成される。繊維パネルの少なくとも一部分が、金型キャビティの一表面とエアバッグシュートアセンブリの一表面との間で圧縮される。繊維パネルがエアバッグシュートアセンブリに当接して圧縮成形されるので、エアバッグシュートアセンブリと繊維パネルとは互いに、トリムコンポーネント製造工程の残りの間中、固定されたままとなる。その結果、エアバッグシュートアセンブリをトリムコンポーネントの周囲構造物に対して(例えば振動溶接を介して)別個に結合する工程を不要とすることができるので、車両トリムコンポーネントの製造に関連する時間及びコストを低減することができる。
【0016】
一定の実施形態において、エアバッグシュートアセンブリは、エアバッグの展開を容易にするべく構成された(例えばシュートと一体的に形成された)ドアを含む。例えば、ドアの背面には、エアバッグ展開中に当該ドアの複数部分を互いに分離可能とする凹みが形成される。代替的に、エアバッグシュートアセンブリは、少なくとも一つの脆弱接続部を介してシュートに結合されたドアを含む。脆弱接続部は、エアバッグ展開中にドアの一部分がシュートから分離することを容易にするべく構成される。エアバッグシュートアセンブリがドアを含むことにより、車両内装の一要素内にドアを形成する工程(例えばインストルメントパネルの背面内に溝を機械加工する工程)が不要となる。その結果、車両トリムコンポーネントの製造に関連する時間及びコストがさらに低減される。
【0017】
図2は、
図1の車両に係る内装の一部分の斜視図である。例示の実施形態において、車両内装12はインストルメントパネル20を含む。インストルメントパネル20は、繊維パネル及びエアバッグシュートアセンブリを有する。以下に詳述されるように、繊維パネルをエアバッグシュートアセンブリに当接させて圧縮成形することにより、実質的に滑らかな外表面を有するトリムコンポーネントが形成される。したがって、カバーストック(例えば、圧縮積層スキン、インモールド粒状積層スキン、発泡体裏材付き材粒状化熱可塑性ポリオレフィンスキン等)がトリムコンポーネントの外表面に配置されるとき、インストルメントパネル20の外観表面は、例示のように実質的に滑らかに現れる。滑らかな外観表面は、(例えばエアバッグドアとインストルメントパネル周囲構造物との間の界面において)可視の継ぎ目を有するインストルメントパネルと比べて、車両内装の見栄えを向上させる。圧縮成形工程がインストルメントパネル20を参照して以下に説明されるが、当該圧縮成形工程は、車両10の他の内装コンポーネントに対して利用できることも理解すべきである。例えば、例示の内装12は、巻き込みドア24を有するフロアコンソール22を含む。一定の実施形態において、フロアコンソール22は、エアバッグシュートアセンブリに当接して圧縮成形された繊維パネルを含む。加えて、例示の内装12はドアパネル26を含む。ドアパネル26はまた、エアバッグシュートアセンブリに当接して圧縮成形された繊維パネルを含む。
【0018】
図3は、繊維パネルをエアバッグシュートアセンブリに当接させて圧縮成形することによってトリムコンポーネントを生産するべく構成された金型アセンブリ32の一実施形態の斜視図である。例示の実施形態において、金型アセンブリ32は、第1(例えば下側)金型要素34及び第2(例えば上側)金型要素36を含む。例示のように、第1金型要素34は、金型キャビティ40の第1部分を画定する第1表面38を含み、第2金型要素36は、金型キャビティ40の第2部分を画定する第2表面42を含む。以下に詳述されるように、第1表面38は繊維パネル44を受容するべく構成され、第2表面42は、繊維パネル44を第1表面38に当接させて圧縮し、繊維パネル44を所望形状に形成するべく構成される。
【0019】
一定の実施形態において、繊維パネル44は、構造繊維と熱可塑性樹脂との組み合わせを含む。構造繊維は、麻、木材、亜麻、ケナフ及びサイザル麻のような天然繊維、並びに/又は、ガラス繊維、炭素繊維及びポリマー繊維のような合成繊維を含む。加えて、熱可塑性樹脂は、例えば、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)及び/又はポリカーボネート(PC)結合剤を含む。例えば、繊維パネル44は、約50パーセントの天然繊維及び約50パーセントのPPから構成される。一定の実施形態において、繊維パネル44は、ミシガン州ホランドのジョンソンコントロールズテクノロジーカンパニーが製造するEcoCor(登録商標)から構成される。圧縮成形を容易にするべく繊維パネル44は、熱可塑性樹脂の軟化を引き起こす程度に(例えば摂氏約200度まで)加熱される。繊維パネル44はその後、キャビティ40の第1表面38に配置されて第1表面38と第2表面42との間で、第2金型要素36が方向46沿いに第1金型要素34に向かって駆動されるにつれて圧縮される。繊維パネル44が金型アセンブリ32内で冷却されて熱可塑性樹脂が固化することにより、金型キャビティ40の形状に一致する実質的に剛性の複合パネルが確立される。
【0020】
例示の実施形態において、繊維パネル44の少なくとも一部分が、金型キャビティ40の一表面とエアバッグシュートアセンブリ48との間で圧縮される。以下に詳述されるように、繊維パネル44をエアバッグシュートアセンブリ48に当接させて圧縮成形することにより、トリムコンポーネント製造工程の残りの間中、当該エアバッグシュートアセンブリが当該繊維パネルに固定される。その結果、エアバッグシュートアセンブリをトリムコンポーネントの周囲構造物に別個に(例えば振動溶接を介して)結合する工程が不要となる。例示のように、繊維パネル44は、エアバッグシュートアセンブリ48のシュート52を受容するべく構成された開口50を含む。例えば、繊維パネル44の圧縮成形に先立って、エアバッグシュートアセンブリ48が繊維パネル44に整列される(例えば、シュート52が開口50に整列される)。繊維パネル44が金型キャビティ40内で圧縮されると、繊維パネル44の一部分が、エアバッグシュートアセンブリ48のフランジ54に当接して圧縮される。その結果、トリムコンポーネントの実質的に滑らかな外表面(例えば繊維パネルの外表面及びフランジの外表面を含む)が形成される。
【0021】
一定の実施形態において、繊維パネル44がエアバッグシュートアセンブリ48に当接して圧縮成形された後、樹脂が金型キャビティ内に(例えばポート56を介して)射出され、第1表面38と繊維パネル44に隣接する第2表面42との間の間隙が充填される。例えば、一定の実施形態において、間隙は繊維パネル44の周囲58まわりに延びる。かかる実施形態において、射出された樹脂が間隙を充填することにより、当該樹脂が固まり及び/又は硬化するにつれて、繊維パネル44まわりに境界が確立される。金型キャビティの寸法精度ゆえに、得られるトリムコンポーネントの各縁は、実質的に所望寸法に対応する。その結果、形成後にコンポーネントの縁をトリミングする工程を不要とすることができるので、製造工程の時間が低減され、かつ、そうでなければ埋め立て地に堆積されかねない廃棄物の量が少なくなる。
【0022】
加えて、樹脂が金型キャビティ内に(例えばポート56を介して)射出されて繊維パネル44の背面に支持部材が形成される。以下に詳述されるように、支持部材は、繊維パネルの構造的剛性を向上させるべく構成されたリブを含む。一定の実施形態において、リブは、エアバッグシュートアセンブリから外方に及び/又はエアバッグシュートアセンブリまわりに延びる。
【0023】
図4は、閉位置にある金型アセンブリ32の一実施形態の断面図である。例示の実施形態において、エアバッグシュートアセンブリ48は、ドア60と、エアバッグ展開を容易にするべくドア60の背面内に形成された凹み62とを含む。例示のように、ドア60及びフランジ54は、金型キャビティ40の第1表面38に当接して配置される。繊維パネル44は、シュート52が開口50を通って延びるように、かつ、フランジ54が繊維パネル44の一部分に重なるように、エアバッグシュートアセンブリ48まわりに配置される。したがって、繊維パネル44の第1部分が金型キャビティ40の第1表面38に接触し、かつ、繊維パネル44の第2部分がエアバッグシュートアセンブリ48のフランジ54に接触する。この構成において第2金型要素36が方向46に駆動されると、繊維パネル44の第1部分が、金型キャビティ40の第1表面38と第2表面42との間で圧縮される。加えて、繊維パネル44の第2部分が、金型キャビティ40の第2表面42とエアバッグシュートアセンブリ48のフランジ54との間で圧縮される。繊維パネル44の一部分がエアバッグシュートアセンブリ48に当接して圧縮成形されるので、エアバッグシュートアセンブリ48と繊維パネル44とは互いに、トリムコンポーネント製造工程の残りの間中、固定されたままとなる。その結果、エアバッグシュートアセンブリをトリムコンポーネントの周囲構造物に対して(例えば振動溶接を介して)別個に結合する工程を不要とすることができるので、車両トリムコンポーネントの製造に関連する時間及びコストを低減することができる。
【0024】
加えて、繊維パネル44をエアバッグシュートアセンブリ48に当接させて圧縮成形することにより、実質的に滑らかな外表面を有するトリムコンポーネントが形成される。例えば、例示の実施形態において、フランジ54の外縁64が繊維パネル44に対して実質的に垂直にされる。したがって、繊維パネル44がフランジに当接して圧縮成形されるとき、得られるトリムコンポーネントは、フランジ54と繊維パネル44との間の実質的に滑らかな遷移部を含む。例えば、フランジ54と繊維パネル44との間の外表面沿いのギャップは、約1.5mm未満、約1.25mm未満、又は約1.0mm未満である。加えて、エアバッグの展開を容易にするべく構成される凹み62がドア60の背面内に形成されるので、エアバッグシュートアセンブリ48の実質的に滑らかな外表面が確立される。結果的に、カバーストック(例えば、圧縮積層スキン、インモールド粒状積層スキン、発泡体裏材付き材粒状化熱可塑性ポリオレフィンスキン等)がトリムコンポーネントの外表面に配置されるとき、インストルメントパネルの外観表面が実質的に滑らかに現れるので、車両内装の見栄えが向上する。
【0025】
例示の実施形態において、金型キャビティ40は、金型キャビティ40の繊維パネル44と第2表面42との間に配置された第1間隙66を含む。加えて、金型キャビティ40は、繊維パネル44と金型キャビティ40の第2表面42との間に配置された第2間隙68を含む。第1及び第2間隙66及び68は、例えば支持リブ又はコネクタのような、車両トリムコンポーネントの付随的コンポーネントを形成するべく構成される。例示のように、第1流体経路70がポート56と第1間隙66との間に延び、かつ、第2流体経路72がポート56と第2間隙68との間に延びる。この構成において、液体樹脂がポート56内に射出されると当該樹脂は、間隙66及び68の中を流れるので、樹脂が硬化し及び/又は固まるにつれて繊維パネル44の背面に付随的コンポーネントが確立される。
【0026】
例示の実施形態において、金型キャビティ40は、繊維パネル44の周囲58まわりに延びる第3間隙74を含む。樹脂が間隙74内に射出され、当該樹脂が固まり及び/又は硬化するにつれて繊維パネル44まわりに境界が確立される。例示の実施形態において、金型アセンブリ32は、ポート56と間隙74の第1部分との間に延びる第3流体経路76と、ポート56と間隙74の第2部分との間に延びる第4流体経路78とを含む。この構成において、液体樹脂がポート56内に射出されると当該樹脂は間隙74の中を流れるので、繊維パネル44の周囲の境界が確立される。例示の金型キャビティは、支持リブ及び樹脂境界を形成するべく構成された間隙を含むが、一定の金型キャビティが、繊維パネルの背面にコネクタを形成するべく構成された間隙を含むことも理解すべきである。かかるコネクタによって車両トリムコンポーネントを、周囲車両構造物に結合することができる。
【0027】
操作において、繊維パネル44は金型キャビティ40内に配置される(例えば複数の保持ピンを介して所望位置/配向に保持される)。エアバッグシュートアセンブリ48はその後、繊維パネル44に整列される。例えば、シュート52は、繊維パネル44内の開口50に整列される。繊維パネル44はその後、金型キャビティ40内で圧縮され、当該繊維パネルが所望形状に形成される。前述のように、繊維パネルの少なくとも一部分が、金型キャビティの一表面とエアバッグシュートアセンブリ(例えばフランジ54)の一表面との間で圧縮される。繊維パネル44が金型キャビティ40内で固化すると、樹脂がポート56内に射出されることにより間隙66、68及び74が充填される。樹脂が硬化し及び固まるにつれて、当該樹脂は繊維パネル44に結合されるので、所望の形状、構造特定及び/又は付随的コンポーネントを有するトリムコンポーネントが形成される。一定の実施形態において、樹脂は、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)若しくはポリカーボネート(PC)のような熱可塑性材料、又は、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂若しくはビニルエステル樹脂のような熱硬化性材料を含むことができる。かかる実施形態において、樹脂は液体状態で金型内に射出され、当該樹脂が硬化し/固まるにつれて固化する。その結果、金型キャビティ40内の各間隙の形状に対応する形状を有する樹脂部品が形成される。一定の実施形態において、射出された樹脂は、トリムコンポーネントの質量を低減するべく及び/又は処理特性を高めるべく、セル状構造物とともに成形される(例えば化学又は機械的発泡剤を介して)。
【0028】
図5は、繊維パネルをエアバッグシュートアセンブリに当接させて圧縮成形することによって製造された車両トリムコンポーネント80の一実施形態の断面図である。例示のように、トリムコンポーネント80は、エアバッグシュートアセンブリ48と、当該エアバッグシュートアセンブリに接触する繊維パネル44とを含む。前述のように、繊維パネル44の一部分はエアバッグシュートアセンブリ48のフランジ54に当接して圧縮成形されるので、車両トリムコンポーネントの実質的に滑らかな外表面が確立される。例示の実施形態において、繊維パネル44の外表面82は、エアバッグシュートアセンブリの外表面84に実質的に整列される。加えて、フランジ54の外縁64は、繊維パネル44に対して実質的に垂直なとなることにより、フランジ54と繊維パネル44との間の実質的に滑らかな遷移部が確立される。整列された表面、及び表面間の滑らかな遷移部によって、トリムコンポーネント80の滑らかな外表面が確立される。
【0029】
例示の実施形態においてフランジ54の外縁64は繊維パネル44に対して実質的に垂直であるが、代替実施形態において当該フランジの外縁は他の角度に配向されてよいことも理解すべきである。例えば、一定の実施形態において、外縁64は繊維パネル44に向かうように傾斜されるか又は繊維パネルから離れるように傾斜される。さらなる実施形態において、外縁64は、複数の切子面を含むか又は曲がった部分を含む。代替実施形態において、繊維パネルの内縁がフランジの外縁に当接するので、繊維パネルとエアバッグシュートアセンブリとの重なりが実質的に低減されるか又はなくなる。
【0030】
例示の実施形態において、車両トリムコンポーネント80は第1樹脂支持部材86を含む。第1樹脂支持部材86は、繊維パネル44の背面88に射出成形され、かつ、繊維パネルを支持するべく構成される。前述のように、第1樹脂支持部材86は、樹脂を第1間隙66内に射出することによって形成される。加えて、車両トリムコンポーネント80は第2樹脂支持部材90を含む。第2樹脂支持部材90は、繊維パネル44の背面88に射出成形され、かつ、繊維パネルを支持するべく構成される。第2樹脂支持部材90は、樹脂を第2間隙68内に射出することによって形成される。例示の樹脂支持部材86及び90がシュート52へと延びるので、当該樹脂支持部材によってエアバッグシュートアセンブリ48は繊維パネル44に結合される。例示の車両トリムコンポーネント80は2つの樹脂支持部材86及び90を含むが、さらなる実施形態は、エアバッグシュートアセンブリ48から外方に延びる追加の樹脂支持部材を含むことも理解すべきである。加えて、トリムコンポーネントの一定の実施形態が、エアバッグシュートアセンブリまわりに延び、及び/又はそうでない場合には繊維パネル44の背面88に配向される樹脂支持部材を含むことも理解すべきである。
【0031】
加えて、車両トリムコンポーネント80は、繊維パネル44の周囲58まわりに延びる樹脂境界92を含む。前述のように、樹脂境界92は、樹脂を金型キャビティ40の第3間隙74に射出することによって形成される。金型キャビティ40の第3間隙74の寸法精度ゆえに、得られるトリムコンポーネントの各縁は、実質的に所望寸法に対応する。その結果、形成後にコンポーネントの縁をトリミングする工程を不要とすることができるので、製造工程の時間が低減され、かつ、そうでなければ埋め立て地に堆積されかねない廃棄物の量が少なくなる。
【0032】
例示の実施形態において、車両トリムコンポーネントの外表面には外観表面を形成するべくカバーストック94が配置される。例示のように、樹脂境界92の外表面96、繊維パネル44の外表面82、及びエアバッグシュートアセンブリ48の外表面84は互いに、実質的に整列される。結果的に、カバーストック94が外表面に配置されると、インストルメントパネルの外観表面が実質的に滑らかに現れるので、車両内装の見栄えが向上する。
【0033】
さらに、例示の実施形態において、ドア60は、当該ドアの背面内に形成された凹み62を含む。凹み62によって、ドアの複数部分(例えばパネル)は、エアバッグ展開中に互いから分離することができる。例えば、エアバッグが展開するとき、エアバッグとドア60との接触により、凹み62に沿って当該パネルの互いからの分離が引き起こされる。エアバッグが方向98にパネルを駆動するので、当該パネルがカバーストック94を引き裂いて開口を作ることにより、エアバッグ展開が容易となる。エアバッグシュートアセンブリがドアを含むことにより、車両内装の一要素内にドアを形成する工程(例えばインストルメントパネルの背面内に溝を機械加工する工程)が不要となる。その結果、車両トリムコンポーネントの製造に関連する時間及びコストがさらに低減される。加えて、凹み62はドア60の背面に形成されるので、ドア60の外表面は実質的に滑らかとなる。それゆえ、車両トリムコンポーネント80の滑らかな見栄えが維持される。
【0034】
図6は、繊維パネルをエアバッグシュートアセンブリに当接させて圧縮成形することによって製造された車両トリムコンポーネント100の他実施形態の断面図である。例示の実施形態において、エアバッグシュートアセンブリ48の外表面84は、繊維パネル44の背面88に接触する。例示の車両トリムコンポーネント100を形成するべく、繊維パネル44は金型キャビティ40の第1表面38とエアバッグシュートアセンブリ48の外表面84との間で圧縮される。繊維パネル44はエアバッグシュートアセンブリ48に当接して圧縮成形されるので、エアバッグシュートアセンブリと繊維パネルとは互いに、トリムコンポーネント製造工程の残りの間中、固定されたままとなる。その結果、エアバッグシュートアセンブリをトリムコンポーネントの周囲構造物に対して(例えば振動溶接を介して)別個に結合する工程を不要とすることができるので、車両トリムコンポーネントの製造に関連する時間及びコストを低減することができる。
【0035】
加えて、繊維パネル44はエアバッグシュートアセンブリのための開口を含まないので、トリムコンポーネント100の外表面は実質的に滑らかとなる。その結果、カバーストック94が繊維パネル44の外表面82に適用されるときに当該カバーストックは滑らかな外観表面を形成するので、車両トリムコンポーネント100の美観が向上する。さらに、エアバッグドア60は、エアバッグ展開が容易となるように、繊維パネル44及びカバーストック94を引き裂いて開口を作るべく構成される。例えば、エアバッグが展開すると、当該エアバッグとドア60との接触によって当該ドアパネルの、凹み62に沿った互いからの分離が引き起こされる。エアバッグが方向98にパネルを駆動するので、当該パネルが繊維パネル44及びカバーストック94を引き裂いて開口を作ることにより、エアバッグ展開が容易となる。なお、車両トリムコンポーネント100の一定の実施形態は、繊維パネル44の背面88に射出成形された樹脂部材を含んで繊維パネル44を支持するべく構成される。加えて、車両トリムコンポーネント100の一定の実施形態は、繊維パネル44の周囲58まわりに延びる樹脂境界を含む。
【0036】
図7は、繊維パネルをエアバッグシュートアセンブリに当接させて圧縮成形することによって製造された車両トリムコンポーネント102のさらなる実施形態の断面図である。例示の実施形態において、エアバッグシュートアセンブリ48はドア60及びシュート52を含む。ドア60は、エアバッグ展開を容易にするべく脆弱接続部104を介してシュート52に結合される。例えば、エアバッグが展開すると、当該エアバッグとドア60との接触によってドア60の、脆弱接続部に沿ったシュート52からの分離が引き起こされる。エアバッグが方向106にドアを駆動するので、脆弱接続部104に隣接するフランジ54の一部分が繊維パネル44から分離する。ドア60はその後、カバーストック94を引き裂いて開口を作るので、エアバッグ展開が容易となる。エアバッグシュートアセンブリがドアを含むので、(例えばインストルメントパネルの背面内に溝を機械加工することによる)車両内装の一要素内にドアを形成する工程が不要となる。その結果、車両トリムコンポーネントの製造に関連する時間及びコストがさらに低減される。加えて、ドア60とシュート52との界面に脆弱接続部104が形成されるので、ドア60の外表面は実質的に滑らかとなる。それゆえ、車両トリムコンポーネント80の滑らかな見栄えが維持される。
【0037】
例示の実施形態は一つの脆弱接続部104を含むが、代替実施形態が、ドア60とシュート52との間に追加の脆弱接続部を含むことも理解すべきである。例えば、一定の実施形態においてシュート52は4つの側部を有し、当該側部のうち3つが脆弱接続部を含む。かかる実施形態において、当該ドアは、エアバッグ展開後、残りの側部によってシュートに取り付けられたままとなる。
【0038】
図8は、繊維パネルをエアバッグシュートアセンブリに当接させて圧縮成形することによって車両トリムコンポーネントを製造する方法108の一実施形態のフロー図である。まず、ブロック109に代表されるように、繊維パネルが加熱される。例えば、繊維パネルが熱可塑性樹脂を含む場合、パネルの加熱により当該樹脂が軟化するので、当該パネルの圧縮成形が容易となる。次に、ブロック110に代表されるように、繊維パネルが金型キャビティ内に配置される。エアバッグシュートアセンブリはその後、ブロック112に代表されるように、繊維パネルに整列される。例えば、エアバッグシュートアセンブリのシュートが、繊維パネルの開口に整列される。代替的に、エアバッグシュートアセンブリのドアが、繊維パネルの所望領域に整列される。代替実施形態において、エアバッグシュートアセンブリは、繊維パネルに先立って金型キャビティ内に配置される。例えば、エアバッグシュートアセンブリが金型キャビティ内に配置され、繊維パネルが当該エアバッグシュートアセンブリに整列される。さらなる実施形態において、エアバッグシュートアセンブリは、双方の要素を金型キャビティ内に配置することに先立って繊維パネルに整列される。
【0039】
次に、ブロック114に代表されるように、繊維パネルが金型キャビティ内で圧縮される。前述のように、繊維パネルの少なくとも一部分が、金型キャビティの一表面とエアバッグシュートアセンブリの一表面との間で圧縮される。例えば、一定の実施形態において、エアバッグシュートアセンブリは、シュートから外方に延びて繊維パネルの一部分と重なるべく構成されたフランジを含む。繊維パネルが金型キャビティ内で圧縮されると、繊維パネルの当該部分が金型キャビティの一表面とフランジの一表面との間で圧縮される。さらなる実施形態において、繊維パネルは、金型キャビティの一表面とエアバッグシュートアセンブリのドアの一表面との間で圧縮される。繊維パネルがエアバッグシュートアセンブリに当接して圧縮成形されるので、エアバッグシュートアセンブリ及び繊維パネルは互いに、トリムコンポーネント製造工程の残りの間中、固定されたままとなる。それゆえ、エアバッグシュートアセンブリをトリムコンポーネントの周囲構造物に(例えば振動溶接によって)別個に結合する工程が不要となる。
【0040】
一定の実施形態において、ブロック116に代表されるように、繊維パネルの背面に支持部材を形成するべく樹脂が金型キャビティ内に射出される。前述のように、支持部材は、繊維パネルの構造的剛性を向上させるべく構成されたリブを含む。例えば、リブは、エアバッグシュートアセンブリから外方に及び/又はエアバッグシュートアセンブリまわりに延びる。次に、ブロック118に代表されるように、繊維パネルの周囲の少なくとも一部分まわりに延びる樹脂境界を形成するべく樹脂が金型キャビティ内に射出される。前述のように、金型キャビティの寸法精度ゆえに、得られるトリムコンポーネントの各縁は、実質的に所望寸法に対応する。その結果、形成後にコンポーネントの縁をトリミングする工程を不要とすることができるので、製造工程の時間が低減され、かつ、そうでなければ埋め立て地に堆積されかねない廃棄物の量が少なくなる。一定の実施形態において、トリムコンポーネントの外表面には、当該コンポーネントの外観表面の美観を向上させるべくカバーストックが配置される。かかる実施形態において、ブロック120に代表されるように、車両トリムコンポーネントは金型キャビティから取り外される。次に、ブロック122に代表されるように、外観表面を形成するべく当該コンポーネントの外表面にカバーストックが配置される。
【0041】
図9は、樹脂をエアバッグシュートアセンブリまわりに射出して支持構造物を形成することによって製造された車両トリムコンポーネント124の一実施形態の断面図である。例示の実施形態において、フランジ54の背面125に樹脂が射出されることにより、シュート52から横方向外側に延びる支持構造物126が形成される。支持構造物126は、トリムコンポーネント124を車両内装の所望領域に固定するべく車両構造物の要素に結合される。樹脂がエアバッグシュートアセンブリに直接射出されるので、他の実施形態において用いられる繊維パネルを不要とすることができる。
【0042】
例示の実施形態において、エアバッグシュートアセンブリ48の外表面84が、支持構造物126の外表面128に実質的に整列されるので、フランジ54と支持構造物126との間の実質的に滑らかな遷移部が確立される。整列された表面と当該表面間の滑らかな遷移部とにより、トリムコンポーネント124の滑らかな外表面が確立される。例示の実施形態において、車両トリムコンポーネントの外表面には外観表面を形成するべくカバーストック94が配置される。車両トリムコンポーネントの外表面が実質的に滑らかとなるので、実質的に滑らかな外観表面が形成される。それゆえ、車両内装の見栄えが向上する。
【0043】
例示の実施形態において、ドア60は、エアバッグ展開を容易にするべく脆弱接続部104を介してシュート52に結合される。例えば、エアバッグが展開すると、当該エアバッグとドア60との接触によってドア60の、脆弱接続部に沿ったシュート52からの分離が引き起こされる。エアバッグが方向106にドアを駆動するので、脆弱接続部104に隣接するフランジ54の一部分が支持構造物126から分離する。ドア60はその後、カバーストック94を引き裂いて開口を作るので、エアバッグ展開が容易となる。さらなる実施形態において、エアバッグドア60は、エアバッグ展開を容易にするべくドア60の背面内に形成された凹み62を含む。
【0044】
図10は、支持構造物を形成するべくエアバッグシュートアセンブリまわりに樹脂を射出することによって車両トリムコンポーネントを製造する方法130の一実施形態のフロー図である。まず、ブロック132に代表されるように、エアバッグシュートアセンブリが金型キャビティ内に配置される。その後、ブロック134に代表されるように、樹脂が金型キャビティ内に射出されてエアバッグシュートアセンブリまわりに支持構造物が形成される。例えば、樹脂支持構造物が、樹脂を金型キャビティ内の間隙に射出することによって形成される。前述のように、金型キャビティが、エアバッグシュートアセンブリに実質的に整列する支持構造物を形成するべく構成されるので、車両トリムコンポーネントの実質的に滑らかな外表面が確立される。一定の実施形態において、トリムコンポーネントの外表面には、コンポーネントの外観表面の美観を向上させるべくカバーストックが配置される。かかる実施形態において、ブロック136に代表されるように、車両トリムコンポーネントが金型キャビティから取り外される。次に、ブロック138に代表されるように、外観表面を形成するべく当該コンポーネントの外表面にはカバーストックが配置される。
【0045】
図11は、エアバッグ展開時に基板から分離されるべく構成されたエアバッグシュートアセンブリを有する車両トリムコンポーネント140の一実施形態の断面図である。例示の実施形態において、車両トリムコンポーネントは、例示の繊維パネル44のような、開口50を有する基板を含む。車両トリムコンポーネント140はまたエアバッグシュートアセンブリ48も含む。エアバッグシュートアセンブリ48は、ドア60と、ドア60に結合されかつ開口50を通って延びるシュート52と、シュート52から外方に延びかつ繊維パネル44の一部分と重なるフランジ54とを有する。繊維パネル44はフランジ54に当接して圧縮成形されるので、フランジ54の背面125が繊維パネル44の外表面82に固定される。しかしながら、エアバッグ展開中、フランジ54が繊維パネル44から分離するべく構成されるので、繊維パネル44に対するエアバッグシュートアセンブリ48の動きが容易となる。例えば、エアバッグとドア60との接触時、フランジ54の背面125は、繊維パネル44の外表面82から分離される。それゆえ、エアバッグシュートアセンブリ48の方向142への動きが容易となる。その結果、ドア60の回転中のフランジ54と繊維パネル44との接触可能性が、実質的に低減され又はなくなる。
【0046】
例示の実施形態において基板は繊維パネルから形成されるが、代替実施形態において基板は他の材料から形成されることも理解すべきである。例えば、一定の実施形態において、基板は、数ある材料の中でもとりわけ、射出成形ポリマー材料及び/又はスタンピング成形金属薄板から形成される。かかる実施形態において、フランジは、数ある接続システムの中でもとりわけ、締結具により、接着結合により、及び/又は圧力嵌めにより基板に固定される。しかしながら、各接続システムは、フランジがエアバッグとドアとの接触時に基板から分離することができるように構成されるので、当該基板に対するエアバッグシュートアセンブリの動きが容易となる。
【0047】
例示の実施形態において、シュート52は、取り付け構造物146を受容するべく構成された窓144を含む。取り付け構造物146は、エアバッグシュートアセンブリ48及び/又は車両トリムコンポーネント140を車両内装内に支持するべく構成される。窓144が、エアバッグシュートアセンブリ48の取り付け構造物146に対する動きを容易とするので、フランジが繊維パネルから分離することが可能となる。窓144の長さ148は特に、エアバッグシュートアセンブリ48の繊維パネル44に対する動きを制御するべく選択される。例えば、長い窓がエアバッグ展開中のエアバッグシュートアセンブリ48の大きな距離の動きを可能とし、短い窓は、エアバッグ展開中の当該エアバッグシュートアセンブリの動きを低減させる。例示の実施形態は2つの窓144を含むが、代替実施形態が、例えば1、2、4、6、8、10、12又はこれらより多くの窓のような、これよりも多いか又は少ない窓を含むことも理解すべきである。
【0048】
図12は、
図11の車両トリムコンポーネント140の断面図である。エアバッグシュートアセンブリ48が繊維パネル44から分離される。
図7を参照して上述された実施形態と同様に、ドア60は、エアバッグ展開を容易にするべく脆弱接続部104を介してシュート52に結合される。エアバッグが展開すると、当該エアバッグとドア60との接触によってエアバッグシュートアセンブリ48の、窓144の長さ148に対応する距離149だけの方向142への動きが引き起こされる。車両トリムコンポーネント140がカバーストックを含む場合、エアバッグシュートアセンブリ48の動きによってカバーストックが変形し、変位し及び/又は引き裂かれる。取り付け構造物146とシュート52との接触時、エアバッグシュートアセンブリ48の方向142への動きがブロックされる。その結果、エアバッグの連続した展開により、ドア60の脆弱接続部104に沿ったシュート52からの分離が引き起こされるので、ドア60の方向106への回転が容易となる。
【0049】
例示の実施形態は一つの脆弱接続部104を含むが、代替実施形態が、ドア60とシュート52との間に追加の脆弱接続部を含むことも理解すべきである。例えば、一定の実施形態においてシュート52は4つの側部を有し、当該側部のうち3つが脆弱接続部を含む。かかる実施形態において、当該ドアは、エアバッグ展開後、残りの側部によってシュートに取り付けられたままとなる。
【0050】
図13は、
図11の車両トリムコンポーネント140の断面図である。エアバッグシュートアセンブリ48のドア60が、脆弱接続部104に沿ってシュート52から分離される。前述のように、エアバッグとドア60との接触によって当該ドアの方向106への回転が引き起こされるので、当該エアバッグの展開が容易となる。カバーストックがエアバッグシュートアセンブリ48の方向142への動きによって引き裂かれない場合でも、当該カバーストックはドア60の回転によって引き裂かれるので、エアバッグの完全な展開が可能となる。エアバッグシュートアセンブリ48は、ドア60が方向106に回転する前に方向142に距離149だけ動くので、フランジ54と繊維パネル44との接触可能性が実質的に低減され又はなくなる。その結果、エアバッグ展開が促進され、及び/又は、ドアとシュートとの間に配置されるヒンジのような追加コンポーネントが不要となる。
【0051】
図14は、樹脂を繊維パネルの後ろ側に射出してエアバッグモジュール用取り付け構造物を形成することによって製造された車両トリムコンポーネント150の一実施形態の断面図である。例示の実施形態において、車両トリムコンポーネント150は、繊維パネル44と、繊維パネル44の背面88に射出成形された樹脂取り付け構造物152とを含む。樹脂取り付け構造物152がエアバッグモジュールを直接支持するべく構成されるので、エアバッグシュートアセンブリが不要となる。したがって、製造コスト及び/又は車両トリムコンポーネントの複雑性が低減される。
【0052】
例示の実施形態において、樹脂取り付け構造物152は、エアバッグモジュール支持セクション154及び繊維パネル支持セクション156を含む。エアバッグモジュール支持セクション154は、エアバッグモジュールを車両トリムコンポーネントに固定するべく、かつ、エアバッグ展開中に当該エアバッグを繊維パネル44に向けるべく構成される。繊維パネル支持セクション156は、繊維パネル44の構造的剛性を向上させるべく構成される。例えば、繊維パネル支持セクション156は、エアバッグモジュール支持セクション154から外方に延びるリブ又は他の構造部材である。構造部材はまた、車両トリムコンポーネントの構造的剛性を向上させるべく、繊維パネル44の背面88沿いに幾何学的形状パターン(例えば、三角形、矩形、六角形等)を形成する。代替実施形態において、繊維パネル支持セクション156は省略され、他の構造要素が繊維パネル44を支持するべく用いられる。
【0053】
例示のように、凹み158は、エアバッグモジュールからのエアバッグの展開を容易とするべく、繊維パネル44の背面88内に形成される。例示の実施形態において、繊維パネル44は、樹脂取り付け構造物152と凹み158との間に延びるドア部分160を含む。ドア部分は、エアバッグの展開時に方向106に回転するべく構成される。例えば、エアバッグが展開すると、当該エアバッグと繊維パネル44のドア部分160との接触によってドア部分160の、凹み158に沿った繊維パネル44からの分離が引き起こされる。エアバッグが方向106にドア部分160を駆動するので、エアバッグ/ドア部分160がカバーストック94を引き裂いて開口を作ることにより、エアバッグ展開が容易となる。繊維パネル44がドア部分160を含むので、車両内装の要素内に(例えばインストルメントパネルの背面内に溝を機械加工することによって)ドアを形成する工程が不要となる。その結果、車両トリムコンポーネントの製造に関連する時間及びコストが低減される。加えて、凹み158が繊維パネル44の背面88に形成されるので、繊維パネル44の外表面82は実質的に滑らかとなる。それゆえ、車両トリムコンポーネント150の滑らかな見栄えが維持される。
【0054】
例示の実施形態は一つの凹み158を含むが、代替実施形態が、繊維パネル44のドア部分160の周囲に追加の凹みを含むことも理解すべきである。例えば、一定の実施形態においてドア部分160は4つの側部を有し、当該側部のうち3つが対応凹みを含む。かかる実施形態において、ドア部分160は、エアバッグ展開後、残りの側部によって繊維パネル44に取り付けられたままとなる。さらなる実施形態において、織物支持部162は、エアバッグ展開中にドア部分160を保持するべく利用される。かかる実施形態において、織物支持部162は、樹脂取り付け構造物152を介して繊維パネル44の背面88に結合される。例えば、樹脂取り付け構造物152は射出成形工程によって形成されているときに、樹脂が織物支持部を通って繊維パネル44の背面88へと流れる。それゆえ、織物支持部は繊維パネル44に固定される。加えて、樹脂特徴部164が、織物支持部162をドア部分に固定するべく、ドア部分160の背面に射出成形される。樹脂取り付け特徴部152と同様に、樹脂特徴部が形成されるときに樹脂が織物支持部を通ってドア部分の背面へと流れるので、当該織物支持部は当該ドア部分に固定される。エアバッグ展開中、織物支持部が一体ヒンジとして機能するので、ドア部分が方向106に回転することができる一方、ドア部分160が車両トリムコンポーネント150に固定される。一定の実施形態において、織物支持部162は、とりわけ、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、及び/又はポリマー繊維のような、織布及び/又は不織布から形成される。
【0055】
例示の実施形態において、第2樹脂特徴部165が、繊維パネル44の凹み158内に射出成形される。第2樹脂特徴部165は、エアバッグの展開に先立ってドア部分160を繊維パネル44に固定するべく構成される。加えて、第2樹脂特徴部165は、ドア部分160が凹み158に沿って繊維パネル44から分離することを容易とする。一定の実施形態において、第2樹脂特徴部165は当該分離を促進する延性材料から形成されるので、エアバッグ展開が容易となる。さらなる実施形態において、第2樹脂特徴部165は繊維パネル44の背面88から外表面82へと延びるので、ドア部分160が繊維パネル44に接続される。さらに、一定の実施形態において、織物支持部162は、エアバッグ展開中に第2樹脂特徴部165を保持するべく、(例えば射出成形工程を介して)第2樹脂特徴部165に結合される。
【0056】
図15は、樹脂を繊維パネルの後ろ側に射出してエアバッグモジュール用取り付け構造物を形成することによって車両トリムコンポーネントを製造する方法166の一実施形態のフロー図である。まず、ブロック168に代表されるように、繊維パネルが加熱される。例えば、繊維パネルが熱可塑性樹脂を含む場合、パネルの加熱により当該樹脂が軟化するので、当該パネルの圧縮成形が容易となる。次に、ブロック170に代表されるように、繊維パネルは金型キャビティ内に配置される。一定の実施形態において、ブロック172に代表されるように、織物支持部が繊維パネルの背面に配置される。前述のように、織物支持部は、エアバッグの展開中に繊維パネルのドア部分を保持するべく構成される。
【0057】
次に、ブロック174に代表されるように、繊維パネルは、当該繊維パネルを所望形状に形成するべく金型キャビティ内で圧縮される。加えて、繊維パネルを圧縮することによって凹みが繊維パネルの背面内に形成される。前述のように、凹みは、エアバッグのエアバッグモジュールからの展開を容易とするべく構成される。一定の実施形態において、凹みは、繊維パネルの背面に面する金型要素から延びる突起によって形成される。例えば、繊維パネルが金型キャビティ内で圧縮されるので、当該突起が繊維パネルの背面に係合することによって凹みが形成される。
【0058】
その後、ブロック176に代表されるように、樹脂が金型キャビティ内に射出されて繊維パネルの背面に取り付け構造物が形成される。前述のように、取り付け構造物はエアバッグモジュールを支持すべく構成されるので、別個のエアバッグシュートアセンブリが不要となる。一定の実施形態において、取り付け構造物は、エアバッグモジュール支持セクション及び繊維パネル支持セクションを含む。繊維パネル支持セクションは、繊維パネルの構造的剛性を向上させるべく構成されたリブを含む。例えば、リブは、エアバッグモジュール支持セクションから外方に及び/又はエアバッグモジュール支持セクションまわりに延びる。織物支持部を含む車両トリムコンポーネントの実施形態において、ブロック178に代表されるように、樹脂が金型キャビティ内に射出されて繊維パネルのドア部分の背面に樹脂特徴部が形成される。前述のように、樹脂特徴部は、織物支持部をドア部分に固定するべく構成される。例えば、射出成形工程中、樹脂が織物支持部を通ってドア部分の背面へと流れることにより、当該織物支持部が当該ドア部分に固定される。
【0059】
次に、ブロック180に代表されるように、樹脂が金型キャビティ内に射出されて第2樹脂特徴部が形成される。前述のように、第2樹脂特徴部は、エアバッグ展開に先立ってドア部分を繊維パネルに固定し、及び/又は、ドア部分が凹みに沿って繊維パネルから分離することを容易とする。一定の実施形態において、トリムコンポーネントの外表面には、当該コンポーネントの外観表面の美観を向上させるべくカバーストックが配置される。かかる実施形態において、ブロック182に代表されるように、車両トリムコンポーネントが金型キャビティから取り外される。その後、ブロック184に代表されるように、カバーストックが当該コンポーネントの外表面に配置されて外観表面が形成される。
【0060】
一定の実施形態において、繊維パネルを圧縮しかつ樹脂コンポーネントの射出成形を容易にするべく単数の金型キャビティが利用される。しかしながら、代替実施形態において、繊維パネルが第1金型キャビティ内で圧縮された後に第2金型キャビティへと移送されて樹脂コンポーネントの射出成形が容易とされる。
【0061】
本発明の一定の特徴部及び実施形態のみが例示かつ説明されたが、当業者にとって、特許請求の範囲に記載された主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正及び変更(例えば、サイズ、寸法、構造、形状及び様々な要素の比率、パラメータ値(例えば、温度、圧力等)、取り付け配置、使用材料、色、配向等のバリエーション)が可能である。いずれの工程又は方法ステップの順序又はシーケンスも、代替実施形態に応じて変更又は再シーケンス化することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の要旨に該当するすべての修正及び変更をカバーすることが意図されることを理解すべきである。さらに、典型的な実施形態の簡潔な説明を与える努力のもと、現実的な実装のすべての特徴部が説明されているわけではない(すなわち、本発明を実施するべく現在考えられるベストモードに無関係なもの、又は特許請求の範囲に係る発明を可能とすることに無関係なもの)。なお、任意のエンジニアリング又は設計プロジェクトにおいてのような、任意のかかる現実的な実装の開発において、多数の実装固有の決定がなされ得る。かかる開発努力は複雑でかつ時間がかかり得るが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては、過度の実験もなく、設計、製作及び製造に取り組むルーチンとなる。