(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175536
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】同軸固定面接触式受動クラッチプレートを搭載した乾式クラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 43/10 20060101AFI20170724BHJP
F16D 43/08 20060101ALI20170724BHJP
F16D 1/04 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
F16D43/10
F16D43/08
F16D1/04 300
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-84869(P2016-84869)
(22)【出願日】2016年4月21日
(65)【公開番号】特開2016-205622(P2016-205622A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2016年4月21日
(31)【優先権主張番号】104113320
(32)【優先日】2015年4月24日
(33)【優先権主張国】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516120294
【氏名又は名称】楊裕修
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】楊裕修
【審査官】
渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭59−13139(JP,A)
【文献】
特開2012−241804(JP,A)
【文献】
特開2004−308758(JP,A)
【文献】
特開2004−316765(JP,A)
【文献】
特開2010−151313(JP,A)
【文献】
特開2010−60106(JP,A)
【文献】
実公昭37−16012(JP,Y1)
【文献】
国際公開第2013/183588(WO,A1)
【文献】
特開2006−137406(JP,A)
【文献】
特開2008−298129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 43/04− 43/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチであって、
前記乾式クラッチは、駆動軸受部、クラッチ装置、及び従動装置を含み、
前記駆動軸受部は、
軸受本体、及び
該軸受本体と同時に回転する主動プレート、
を含み、
前記クラッチ装置は、
前記軸受本体を嵌めることができる中心貫通孔を有し、前記中心貫通孔から離れる軸体外周縁と、複数の放射形対称を形成する非平面ガイド溝を含む駆動軸体、
前記駆動軸体と同軸で固定され、一つの接触面及び前記接触面と相反する摩擦駆動面を有し、前記摩擦駆動面は結合駆動区域を形成し、該駆動区域以外の区域で複数の弾性部及び該弾性部を設置するためのコンボポートを複数含む受動クラッチプレート、及び、
前記非平面ガイド溝に放射形対称に設置され、所定の回転速度まで回転すると、初期脱離位置から遠心力で押付作動位置まで振られる複数の遠心ローラー、
を含み、
前記弾性部は、前記受動クラッチプレートの変位距離を等しくするために用いられ、
前記従動装置は、
複数の放射状対称の駆動型締ポートが形成され、前記遠心ローラーの少なくとも1つが前記押付作動位置にある時、前記受動クラッチプレートの前記結合駆動区域と接触することにより、駆動されて回転し始まる駆動プレート、及び、
筒状内壁、環状外壁、及び前記筒状内壁と前記環状外壁を連結する連結壁を有し、前記筒状内壁の内側には出力軸を咬合して駆動させる中央係合孔を有し、前記環状外壁の裏表面には前記駆動型締ポートによって駆動される固定部が複数形成されているクラッチハウジング、
を含み、
前記受動クラッチプレートの前記結合駆動区域と接触することにより、駆動されて回転し始まる駆動プレートは一つであり、
前記駆動軸受部は、該駆動軸受部の回転を前記クラッチ装置に伝達するために用いられる、
乾式クラッチ。
【請求項2】
前記非平面ガイド溝が、グラデーション傾斜形状である、請求項1に記載の乾式クラッチ。
【請求項3】
前記駆動軸体の前記軸体外周縁には複数の溝が形成され、前記受動クラッチプレートには前記溝と結合するための嵌合リブが複数形成されている、請求項1又は2に記載の乾式クラッチ。
【請求項4】
前記弾性部がスプリングである、請求項1又は2に記載の乾式クラッチ。
【請求項5】
前記コンボポートが凸柱である、請求項1又は2に記載の乾式クラッチ。
【請求項6】
前記弾性部の数が、前記コンボポートと同じである、請求項1又は2に記載の乾式クラッチ。
【請求項7】
前記出力軸が、伝動軸である、請求項1又は2に記載の乾式クラッチ。
【請求項8】
前記固定部が、工業プラスチックキーである、請求項1又は2に記載の乾式クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般車両の無段変速システムに使われる、同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
クラッチ(clutch)は自動車、バイクまたはその他の動力機器の機械的なエンジンの動力を、スイッチのような方法で車両の輪軸まで伝達する機構である。クラッチは乾式クラッチと湿式クラッチがある。湿式クラッチはオイル室に密封されており、乾式クラッチは通気性の良い乾燥環境に設置される。現在の動力機器の製造において、この二種類のクラッチはそれぞれの異なる長所がある。湿式クラッチはオイルによって潤滑され、摩擦によって生じた熱や消耗を低減させることにより、寿命を延長できるという特徴がある。しかしながら、湿式クラッチはコストが大幅に増加し、構造の体積も増加するという問題がある。
【0003】
一方、乾式クラッチはオイルに浸す必要がなく、さらに、動力の伝達がより早いため、湿式クラッチより大きなトルクと加速性を提供できる。また、トルク駆動プレートと受動プレートもオイルに浸す必要がないので、オイルの粘度に影響されて分離するという問題もない。更に、分離作業のための分離用クリップを取付ける必要もなくなり、クラッチがロックするリスクも避けられ、クラッチの構造もより簡素化になる。一方、オイルによる潤滑がないので、駆動プレートと受動プレートが消耗されやすく、使用寿命も短いという問題がある。特に、トルクが高くなるにつれ、作用力が不均一になると、スリップする恐れがある。以上のとおり、乾式と湿式クラッチの目的は同様であるが、その構造の解決策は全く異なっている。相互に互換性がないので、一部の構造を結合させて用いることはない。
【0004】
図1は、よく利用されるバイク用の乾式クラッチを示している。運転手がアクセルを踏むと、伝達要素15が直ちに乾式クラッチ1を駆動させ、同時に回転が始まる。指定した回転速度(通常は3000回転)まで回転すると、乾式クラッチ1の三つのクラッチウェイト11は伸縮スプリング12の弾性力に勝ち、遠心力で振られると、クラッチウェイト11の上にあるライニング13とクラッチハウジング14が接触して同時に回転が始まり、車両を駆動する。しかしながら、、日々の反復駆動による摩擦が累積すると、すべての伸縮スプリング12の弾性疲労の程度が必ずしも同じではなくなる。そのため、各々のクラッチウェイト11が振り出される時間、距離も異なってくる。疲労が蓄積し、本例の三つのライニング13の消耗程度の差が広がり、その中の一つが効果を失い、一部の面積だけでクラッチハウジング14に接触するようになると、駆動されたクラッチハウジング14が同時に回転される効果が減り、連動の効果も不安定になる。
【0005】
そのため、当該技術分野においては、上述した欠陥に対して、
図2に示す解決策が知られている。まず、分離したり、貼り合ったりするクラッチウェイトと伸縮スプリングの間の構造キットを取り替える。その代わりに、ディスク(符号なし)上の遠心ホイール21を用いて押上プレート22を押し付ける。押し付ける時、スプリング23が縮み、押上プレート22上のブロック状ライニング24が図の上側に向かって上昇してクラッチハウジング25と接触して摩擦し始まり、次に駆動クラッチハウジング25が回転し始まり、動力伝達を実現した。しかしながら、このようなトルク伝達は、主に一本の筒状ガイドピン231が負担する。エンジンが回転して指定した回転速度まで達していない時、クラッチハウジング25がまだ連動されておらず、スプリング23を安定させるための筒状ガイドピン231の下部が先にトルクを受ける。逆の場合は、その上部はクラッチハウジング25と同期して動けなくなる。両サイドの駆動が逆方向に動いているので、同期回転ができなくなる。速度を下げる時、車輪にブレーキが作用し、回転速度が下がるので、筒状ガイドピン231がまた回転速度不同期によるトルクを受ける。
【0006】
長期間の使用に伴い、トルクが途切れたり、その強度が弱くなったり、強くなったりする。筒状ガイドピン231の上部と下部の間における材質に不均等な箇所に応力が集中して裂け目が生じたり、さらに全体構造が破壊されて折れたりする可能性がある。折れた場合、乾式クラッチの同期作動が瞬時に止まり、エンジンが空回りして動力を失い、走行危険を引き起こす。また、図のブロック状ライニング24が上に向かって変位すると、直接にクラッチハウジング25と接触することによって生じた摩擦熱がクラッチハウジング25に蓄積する。繰り返される熱膨張と冷収縮によるクラッチハウジング25における構造的破損は大きく、乾式クラッチの使用寿命が大幅に短縮する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した構造改良の不足に基づき、本発明は同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチを提供する。駆動軸受部がベルトからの動力を受けて継続的に回転する。回転速度が一定の値に達すると、放射状に配置される遠心ローラーが回りに振られ、受動クラッチプレートに接触すると、受動クラッチプレートが駆動プレートを摩擦するようになる。二者は大面積で接触するので,従来のライニングの接触面不均一の問題を避けることができる。さらに、伸縮スプリングでクラッチウェイトの振り出される距離を制御する構造キットを取り換えることにより、弾性劣化による動力伝達の不均等が避けられる。駆動プレートの同期回転が始まると、クラッチハウジングが駆動型締ポートを通じて一定の固定部を噛み合わせて動力を伝達することにより、回転に必要とする動力を獲得する。また、この動力が、中央係合孔を通じて出力軸を駆動することにより、動力設備を稼働させる。接触摩擦の対象をかつてのライニング(前述した駆動プレートに等しい)とクラッチハウジングから受動クラッチプレートと駆動プレートに取り換え、クラッチハウジングの構造が直接的な接触摩擦による熱膨張冷収縮などの物理的な影響を受けて破損することを防げる。さらに、応力による前述した筒状ガイドピンへの破損を避けるためにスプリングの設置位置を変えることにより、乾式クラッチ全体の使用寿命を延ばし、動力伝達の効率を維持する。上記内容は本発明の特徴点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの目的は同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチを提供し、大面積の面接触で動力を伝達することにより、摩擦駆動の利用面積を広げ、動力の伝達効率を維持することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチを提供し、摩擦対象の取替により、クラッチハウジングに摩擦熱が蓄積することを避け、クラッチの使用寿命を延ばすことである。
【0010】
本発明のもう一つの目的は同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチを提供し、面接触なので、触面積全体でトルクを受ける。それにより、従来のような応力が筒状ガイドピンに集中しやすいリスクを避け、クラッチの安全性を向上させる。
【0011】
上述した目的を実現するために、本発明は同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチを提供し、無段で駆動軸受部の駆動を受けることができる。駆動軸受部は軸受本体と主動プレートを含む。乾式クラッチは中心貫通孔のある駆動軸体、非平面ガイド溝および中心貫通孔から離れる軸体外周縁を含むクラッチ装置と、駆動軸体と同軸で固定されている受動クラッチプレート、接触面と摩擦駆動面を持ち、結合駆動区域の外側にコンボ弾性部を設置しているコンボポートと、非平面ガイド溝に置かれている遠心ローラーと、駆動プレートと放射状対称を形成する駆動型締ポートを含む従動装置と、筒状内壁、環状外壁および連結壁を持つクラッチハウジングを含む。そのうち、筒状内壁の裏側に中央係合孔があり、環状外壁の裏表面には固定部がある。
【0012】
そのため、本発明は一種の同軸固定面接触式受動クラッチプレートを持つ乾式クラッチを開示する。駆動軸受部がベルトからの伝達動力につれて継続的に回転する。回転速度が一定の値に達すると、放射状に配置されている遠心ローラーが回りに振られ、受動クラッチプレートに接触すると、受動クラッチプレートが駆動プレートを摩擦するようになる。二者は面接触の方法で結合しているため、従来のライニングの接触面不均一の問題を避けられる。さらに、伸縮スプリングで控制クラッチウェイトの振り出される距離を制御する構造キットを取り換えることにより、弾性劣化による動力伝達の不均等を避ける。駆動プレートの同期回転が始まると、クラッチハウジングが駆動型締ポートを通じて一定の固定部を噛み合わせて動力を伝達することにより、回転に必要とする動力を獲得する。また、この動力が中央係合孔を通じて出力軸を駆動することにより、動力設備を稼働させる。駆動プレートの摩擦接触対象は受動クラッチプレートであるため、大面積で面接触している。そのため、トルクを一本のガイドピンで負担しないので、ガイドピンが集中した応力で折れ、クラッチが急に機能を失うリスクを下げる。さらに、受動クラッチプレートは直接に熱をクラッチハウジングに伝えないので、クラッチハウジングにおける熱エネルギーの積み重ねを避け、乾式クラッチ全体の使用寿命を延ばし、さらに使用時の信頼性と安全性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来型クラッチ構造の正面図。クラッチウェイトとスプリングの間の構造関係を示している。
【
図2】既存の乾式クラッチの立体分解図。振られた遠心ホイールが押上プレートを押し付けることにより,ブロック状ライニングにクラッチハウジングを接触間摩擦させることを示している。
【
図3】本発明の乾式クラッチの構造分解図を示している。
【
図4】
図4は、非平面ガイド溝に配置されている
図3の遠心ローラーの側面斜視図を示している。それぞれ駆動軸受部の回転速度が足りない場合と回転速度が高い場合における遠心ローラーが初期脱離位置における状況、及び振られて押付作動位置まで変位する状況を示している。
【
図5】非平面ガイド溝に配置されている
図3の遠心ローラーの側面斜視図を示している。それぞれ駆動軸受部の回転速度が足りない場合と回転速度が高い場合における遠心ローラーが初期脱離位置における状況、及び振られて押付作動位置まで変位する状況を示している。
【
図6】
図3に示すクラッチハウジングの立体図であり、その構造の特徴を示している。
【
図7】現行バイクの一部構造の側面図である。車両動力の出力経路を示している。
【
図8】本発明の非平面ガイド溝の第二種実施態様の平面図を示している。
【
図9】
図8の側面断面図を示している。同じく遠心ローラーが初期脱離位置における状況、及び振られて押付作動位置まで変位する状況を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の前述した内容、その他の技術内容、特徴及び効果を詳しく説明する。以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。また、各実施形態において、同じ部品は類似する符号で表示される。
【0015】
本例において、乾式クラッチは
図7に示すように、バイクの後輪に近いところに設置されるものであり、そのクラッチ作動はバイクの発動スイッチと見なすことができる。また、
図3に示すように、エンジン(図に表示なし)が一定のアイドルスピード(例えば:2000回転)を維持する時、軸受本体31とそれと同時に動作する軸受本体主動プレート33で構成した駆動軸受部3がエンジンからの動力を受けて回転する。次に、駆動軸受部3の回転速度に従い、クラッチ装置4が連動される。クラッチ装置4は中心貫通孔410を形成している駆動軸体41を軸受本体31に嵌めることにより、駆動軸体41と駆動軸受部3の安定的な回転を実現する。
【0016】
本例において、駆動軸体41に放射状対称を形成する四つの非平面ガイド溝413がある。
図4を併せて参照すると、本例における非平面ガイド溝413は左高右低なグラデーション傾斜形状となっている。なお、そのうちやや反りがあっても、本発明の実施に支障がない。すべての非平面ガイド溝413に、例示されている一つの遠心ローラー43が置かれている。エンジンの回転速度がアイドルスピードを上回っていない時には、遠心ローラー43が初期脱離位置430に保たれ、同軸で駆動軸体41の外縁に固定されている受動クラッチプレート45を接触できず、受動クラッチプレート45と駆動プレート51の距離が保たれる。
【0017】
ここで説明しなければならないのは、前述した同軸固定は駆動軸体及び受動クラッチプレートの軸心が同一軸線にあって結合されている。本発明においては、このような結合関係を同軸固定と定義する。もちろん、当業者であれば、非平面ガイド溝に置かれる遠心ローラーの数について、一つの非平面ガイドに一つの遠心ローラーしか置けないと制限されていないことは明らかである。一つの非平面ガイド溝に複数の遠心ローラーを置くことも可能である。さらに、例えば、六つの放射線状ガイド溝の場合、一つおきに一つを置き、合計三つを置くことも可能である。また、上述した非平面ガイド溝は簡単斜面溝(ここでの簡単斜面というのは、前述した溝の横方向から見ると、溝の外観が傾斜する直線に見えることである)と記述された場合,外観構造上における簡単な変更に見え、本発明の実施に支障がない。
【0018】
駆動軸体41は中心貫通孔410から離れる箇所に軸体外周縁411を形成している。本例において、軸体外周縁411の外郭は受動クラッチプレート45の内郭に等しいので、受動クラッチプレート45が駆動軸体41の軸体外周縁411をしっかり締め付けられる。二者の同時回転を確保するために、本例の軸体外周縁411は、例えば、八つの溝415があり、すべての溝415は図面の上下方向に直立している。一方、受動クラッチプレート45は同じ数量の嵌合リブ451が設けられ、すべての嵌合リブ451がそれぞれに対応する溝415に嵌め込まれる。受動クラッチプレート45は図の下方側面にあり、ここでは接触面453と呼ばれ、遠心ローラー43からの押付力を受ける。接触面453の反対側にある上方側面は摩擦駆動面455と呼ばれる。例えば、その上に八つのコンボポート456が設置されている。本例における八つのコンボポート456は受動クラッチプレート45の裏側に設置されているので、摩擦駆動面455がコンボポート456の外側に一つの結合駆動區458を形成している。また、本例におけるコンボポート456は凸柱で、本例におけるスプリングと記載される弾性部457との組合せに用いられる。
【0019】
ここで例として挙げられスプリングをスプリングパッド等に取り替えても同様な弾性作用力を持つので、本発明の技術特徴の応用に支障がない。もちろん、当業者であれば、弾性部とコンボポートの数量における関係は適宜設計変更できることは明らかである。例えば、一つのコンボポートに複数の弾性部を設置してもよい。一方、一部のコンボポートに設置せず、残りのコンボポートに弾性部を設置してもよい。受動クラッチプレートの変位は等距離であることを確保することができれば、接触不均一の問題がない。
【0020】
図3と
図5を参照して説明する。バイクのエンジンが指定したアイドルスピードを上回ると、遠心ローラー43が
図4に示した初期脱離位置430から図の左側に示した外縁へ向かって振り出される。遠心ローラー43が外側に振られて押付作動位置431にずれると、受動クラッチプレート45を押し始めて図の上側へ移動させることにより、摩擦駆動面455の結合駆動區458が図の上側に向かって面接触で従動装置5の駆動プレート51を押して回転させる。本発明において、受動クラッチプレート45と駆動プレート51は大面積で結合されているためより安定している。さらに、各遠心ローラー43または非平面ガイド溝413が成型される時に公差が生じても、駆動軸体41の回転のため、より消耗されている遠心ローラー43が慣性力でより遠くまで振られることにより、受動クラッチプレート45の接触面453と同様な押し当てる力を生じさせ、受動クラッチプレート45と駆動プレート51の面接触がバランスを保つ。さらに、たとえ受動クラッチプレート45と駆動プレート51の間の面接触にずれがあっても、ある程度消耗されると、新たな均衡が取れ、大面積接触が保たれる。そのため、現行技術による問題を解決する。
【0021】
図6は、駆動プレートと係り合うクラッチハウジングを説明するための図である。
図6におけるクラッチハウジング53は、
図3の上下をひっくり返して表示される図である。クラッチハウジング53は軸心にある筒状内壁531、筒状内壁531から離れる環状外壁532、並びに筒状内壁531及び環状外壁532を連結する結壁533によって構成される。動力伝達の効率を向上させるために、本例の環状外壁532の裏表面534にはさらに工業プラスチックキーである固定部535が八つあり、駆動プレート51における放射状対称を形成している同数量の駆動型締ポート511と係り合って固定するのに用いられる。クラッチハウジング53は駆動プレート51による作動を受けて回転するので、摩擦によって生じた受動クラッチプレート45と駆動プレート51の間の熱エネルギーが簡単にクラッチハウジング53に伝わらなく、熱膨張冷収縮の作用は主に消耗品となる受動クラッチプレート45と駆動プレート51のみに影響を与える。そのため、直接クラッチハウジング53に支障を及ぼさなく、効率的にクラッチの使用寿命を延ばすことができる。
【0022】
図3、
図6及び
図7を参照しながら説明する。エンジンの動力がプーリー6による回転作動を通じて、プーリー6上の伝動ベルト7を牽引することにより、動力を乾式クラッチ(符号なし)まで伝達する。回転速度が所定のアイドルスピード値を上回ると、受動クラッチプレート45が遠心ローラー43に押され、駆動プレート51を接触摩擦し始まると、クラッチハウジング53が連動され回転が始まる。さらに、筒状内壁531の裏に形成されている中央係合孔536に出力軸8が噛み合って駆動する。それにより、出力軸8が駆動軸受部3による相対的な回転により、軸心方向に中心貫通孔410を通し、減速ギアと連結してバイク後輪のホイール9を連動することにより、車両が運行する運動エネルギーを取得し、車両を駆動させる。つまり、出力軸8は伝動軸として機能する。もちろん、当業者であれば、前述した固定部と駆動型締ポートの間の結合固定関係が分かるはずである。従来のいずれかの固定方法を用いて安定的に係り合わせても、本発明の技術の実施に影響を与えない。また、主動プレート33上に形成されている非平面ガイド溝は放射状対称に配置されており、高速回転によって生じたトルクがいずれかの非平面ガイド溝の一か所に蓄積しないので、構造への破損率が大幅に低減する。
【0023】
もちろん、当業者であれば、前述した実施形態におけるガイド溝並びに遠心ローラの数及び形状が制限されていないことは明らかである。
図8と
図9は、本発明の第二の実施形態を示している。
図8に示す駆動軸体41’は、八つの放射状に配置されている非平面ガイド溝413’を含んでいる。すべての平面ガイド溝413’の中心貫通孔410’に近い部分は、より平面状となっている。一方、
図9に示すように、中心貫通孔410’から離れる部分には転換点があり、外側に向かった傾斜面となっている。それにより遠心ローラー43’の初期脱離位置430’と押付作動位置(符号なし)における作動状態をはっきり区別できる。
【0024】
ただし、前述した内容は本発明の実施形態を示しているのであって、本発明の実施範囲はそれにより制限されていない。本発明の特許請求の範囲及び明細書の内容に記載された簡単な設計変更及び付加のいずれも、本発明の範囲内になる。
【符号の説明】
【0025】
3…駆動軸受部
31…軸受本体
33…主動プレート
4…クラッチ装置
41、41’…駆動軸体
410、410’…中心貫通孔
411…軸体外周縁
413、413’…非平面ガイド溝
415…溝
43、43’…遠心ローラー
430、430’ 初期脱離位置
431…押付作動位置
45…受動クラッチプレート
451…嵌合リブ
453…接触面
455…摩擦駆動面
456…コンボポート
457…弾性部
458…結合駆動區
5…従動装置
51…駆動プレート
511…駆動型締ポート
53…クラッチハウジング
531…筒状内壁
532…環状外壁
533…連結壁
534…裏表面
535…固定部
536…中央係合孔
6…プーリー
7…伝動ベルト
8…出力軸
9…ホイール
従来の構造
1…乾式クラッチ
11…クラッチウェイト
12…伸縮スプリング
13…ライニング
14…クラッチハウジング
15…伝達要素
21…遠心ホイール
22…押上プレート
23…スプリング
231…筒状ガイドピン
24…ブロック状ライニング
25…クラッチハウジング