特許第6175572号(P6175572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175572
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0489 20130101AFI20170724BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20170724BHJP
   H03M 11/04 20060101ALI20170724BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
   G06F3/0489
   G06F3/0488 160
   G06F3/023 310L
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-559468(P2016-559468)
(86)(22)【出願日】2016年6月17日
(86)【国際出願番号】JP2016068135
(87)【国際公開番号】WO2017018092
(87)【国際公開日】20170202
【審査請求日】2016年9月27日
(31)【優先権主張番号】特願2015-151254(P2015-151254)
(32)【優先日】2015年7月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼月 也寸志
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−240983(JP,A)
【文献】 特開2004−234180(JP,A)
【文献】 特開2010−111044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0489
G06F 3/023
G06F 3/0488
H03M 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に設けられたタッチパネルと、
数値入力する機能がない複数の機能に対応付けられた指示の入力を受け付けるそれぞれのハードキーと、
複数の数値に対応付けられたそれぞれのソフトキーを前記表示部の画面に表示し、前記ソフトキーに対するタッチ操作を、前記タッチパネルを通じて検出して、このタッチ操作されたソフトキーに対応する数値の入力を受け付けると共に、前記ハードキーに対する操作を検出して、この操作されたハードキーに対応する機能の指示を受け付ける制御部とを備え、
前記制御部は、前記各ソフトキーに対応する数値を、対応するそれぞれのハードキーに割り振り、予め定められた操作がなされたことを条件として、前記ハードキーに対する操作を検出して、この操作されたハードキーに対応する数値の入力を受け付ける入力装置。
【請求項2】
前記ソフトキー又は前記ハードキーの少なくとも一方により予め定められた操作がなされたことを条件として、前記ハードキーに対する操作を検出して、この操作されたハードキーに対応する数値の入力を受け付ける請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記予め定められた操作は、前記各ハードキーに対する予め設定された操作である請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ハードキーの操作で入力された数値が予め定められたコードを示すときに、前記数値の入力を受け付ける前記各ソフトキーの操作位置の調整が可能なメンテナンスモードを開始する請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記各数値と該各数値が割り振られた各ハードキーとの対応関係を前記表示部の画面に表示する請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記各数値と該各数値が割り振られた各ハードキーとの対応関係は、該各ハードキーを模した画像と、該各ハードキーの画像に関連付けられた該各数値により表示される請求項5に記載の入力装置。
【請求項7】
前記制御部は、リスト表示により、前記各数値と該各数値が割り振られた各ハードキーとの対応関係を前記表示部の画面に表示する請求項5に記載の入力装置。
【請求項8】
前記制御部は、操作者により指定された対応関係に従って、前記各ハードキーに前記各数値のいずれかを対応付けて記憶する請求項1に記載の入力装置。
【請求項9】
前記制御部は、複数のアイコンを前記表示部の画面に表示させ、前記各アイコンのうちの規定のアイコンに対するタッチ操作を、前記タッチパネルを通じて検出した場合は、当該タッチ操作を前記予め定められた操作として、前記ハードキーに対する操作を検出して、この操作されたハードキーに対応する数値の入力を受け付け、
前記規定のアイコンのサイズを他のアイコンよりもサイズよりも大きく表示させる請求項1に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードキー及びタッチパネルを備える入力装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、各種の機能を選択したり、数値を入力したりするための入力装置が設けられている。この入力装置としては、押圧操作されるハードキーを備えるもの、表示部と、該表示部の画面に重ねられたタッチパネルとを備え、表示部の画面にソフトキーを表示して、このソフトキーに対するタッチ操作を、タッチパネルを通じて検出するもの、ハードキー及びソフトキーを併用するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1では、テンキーを表示部の画面にソフトキーとして表示し、テンキーに対するタッチ操作を、タッチパネルを通じて検出している。特許文献2では、ハードキー又はソフトキーを用いている。
【0004】
更に、特許文献3では、ハードキー及びソフトキーを併用している。また、番号と機能を予め対応付けて、テンキー(ハードキー)の操作により番号が入力されると、この番号に対応する機能を選択するようにしている。この場合は、テンキーが数値の入力のためにだけではなく、機能の選択のためにも用いられる。
【0005】
一方、ソフトキーを用いる場合は、タッチパネルにより検出されるタッチ操作の座標位置に誤差が生じると、表示部の画面上のソフトキーがタッチ操作されても、このソフトキーがタッチ操作されたとは判定されずに、誤動作が生じる。このため、一般に、タッチパネルにより検出されるタッチ操作の座標位置を補正するためのシミュレーション処理が実施される。
【0006】
例えば、特許文献4では、テンキーを表示部の画面にソフトキーとして表示しておき、テンキーの操作により暗証番号が入力されたときにタッチ操作の座標位置を記憶し、暗証番号が正しい場合は、タッチ操作の座標位置とテンキーの表示位置を比較して、タッチ操作の座標位置を補正している。これにより、暗証番号の入力の度に、タッチ操作の座標位置が自動的に補正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−141795号公報
【特許文献2】特開2009−177526号公報
【特許文献3】特開2005−268835号公報
【特許文献4】特開2008−181325号公報
【発明の概要】
【0008】
ところで、画像形成装置等の入力装置では、これらの保守管理のためにメンテナンスモードを設定し、このメンテナンスモードで様々な処理を実施している。しかしながら、表示部の画面上のソフトキーのタッチ操作によりメンテナンスモードを指示する構成では、タッチパネルにより検出されるタッチ操作の座標位置に誤差が生じて、表示画面上のソフトキーに対応するタッチ操作の検出が困難になると、ソフトキーのタッチ操作に基づくメンテナンスモードに移行する指示を検出できなくなり、メンテナンスモードの実行が不可能になって、メンテナンスモードでの上記様々な処理を実施することができなくなる。
【0009】
また、上記様々な処理の1つとして、タッチ操作の座標位置を補正するためのシミュレーション処理が設定されている場合は、このシミュレーション処理によるタッチ操作の座標位置の補正が不可能となり、表示画面上のソフトキーのタッチ操作ができなくなるおそれがある。
【0010】
このため、例えばメンテナンスモードやシミュレーション処理等の処理を指示するためにそれぞれ専用のハードキーを設ければ、上記のような問題を生じることはない。しかしながら、ハードキーの個数が増えて、入力装置の操作が煩雑になり、また入力装置の設置スペースが広くなってしまう。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、タッチパネルにより検出されるタッチ操作の座標位置に誤差が生じて、表示画面上のソフトキーに対応するタッチ操作の検出が困難になった場合であっても、ハードキーの個数を増やすことなく、メンテナンスモードやタッチパネルのシミュレーション処理等の実行指示を確実に入力可能にすることを目的とする。
【0012】
本発明の一局面に係る入力装置は、表示部と、
前記表示部に設けられたタッチパネルと、
数値入力する機能がない複数の機能に対応付けられた指示の入力を受け付けるそれぞれのハードキーと、
複数の数値に対応付けられたそれぞれのソフトキーを前記表示部の画面に表示し、前記ソフトキーに対するタッチ操作を、前記タッチパネルを通じて検出して、このタッチ操作されたソフトキーに対応する数値の入力を受け付けると共に、前記ハードキーに対する操作を検出して、この操作されたハードキーに対応する機能の指示を受け付ける制御部とを備え、
前記制御部は、前記各ソフトキーに対応する数値を、対応するそれぞれのハードキーに割り振り、予め設定された操作がなされたことを条件として、前記ハードキーに対する操作を検出して、この操作されたハードキーに対応する数値の入力を受け付けるものである。
【0013】
本発明によれば、タッチパネルにより検出されるタッチ操作の座標位置に誤差が生じて、表示画面上のソフトキーに対応するタッチ操作の検出が困難になった場合であっても、ハードキーの個数を増やすことなく、メンテナンスモードやタッチパネルのシミュレーション処理等の実行指示を確実に入力することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る一実施形態の入力装置が適用された画像形成装置の構造を示す正面断面図である。
図2】画像形成装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】入力装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】入力装置を示す平面図である。
図5】入力装置における表示部の画面の一例を示す図である。
図6】メンテナンスモードを設定して、シミュレーション処理等の処理を実施するまでの手順を示すフローチャートである。
図7】入力装置における表示部の画面の他の例を示す図である。
図8】入力装置における表示部の画面の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る一実施形態の入力装置が適用された画像形成装置の構造を示す正面断面図である。画像形成装置1は、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機である。また、画像形成装置1は、装置本体2に、画像読取装置(ISU;Image scanner unit)5、入力装置47、画像形成部120、定着部13、及び給紙部14等を設けて構成される。なお、入力装置47及びこれを備える画像形成装置1の双方ともに、特許請求の範囲における入力装置の一例となり得る。
【0017】
入力装置47は、利用者により操作され、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について利用者から画像形成動作実行指示や画像読取動作実行指示等の指示を受け付ける。
【0018】
画像読取動作を行う場合、画像読取部5は、原稿の画像を光学的に読取って、画像データを生成する。画像読取部5により生成された画像データは、内蔵HDD又はネットワーク接続されたコンピューター等に保存される。
【0019】
画像形成動作を行う場合は、上記画像読取動作により生成された画像データ、ネットワーク接続されたコンピューターやスマートフォン等の利用者端末装置から受信した画像データ、又は内蔵HDDに記憶されている画像データ等に基づいて、画像形成部120が、給紙部14から供給される記録媒体としての記録紙Pにトナー像を形成する。
【0020】
画像形成部120の画像形成ユニット12M、12C、12Y、及び12Bkは、感光体ドラム122と、感光体ドラム122の表面を均一に帯電させる帯電装置と、感光体ドラム122の表面を露光して、その表面に静電潜像を形成する露光装置(LSU;Laser scanning units)123と、トナーを用いて、感光体ドラム122の表面の静電潜像をトナー像に現像する現像装置124と、1次転写ローラー126とをそれぞれ備えている。
【0021】
カラー印刷を行う場合、画像形成部120のマゼンタ用の画像形成ユニット12M、シアン用の画像形成ユニット12C、イエロー用の画像形成ユニット12Y、及びブラック用の画像形成ユニット12Bkにおいては、感光体ドラム122の表面を均一に帯電させてから露光して、その表面にカラーの色成分の画像に対応する静電潜像を形成し、感光体ドラム122の表面の静電潜像を現像装置124により現像して、感光体ドラム122上にその色成分のトナー像を形成し、トナー像を1次転写ローラー126により駆動ローラー125A及び従動ローラー125Bに張架されている中間転写ベルト125上に1次転写させる。
【0022】
中間転写ベルト125は、その外周面にトナー像が転写される像担持面が設定されており、感光体ドラム122の周面に当接した状態で駆動ローラー125Aによって駆動される。中間転写ベルト125は、各感光体ドラム122と同期しながら、駆動ローラー125Aと従動ローラー125Bとの間を無端走行する。
【0023】
中間転写ベルト125上に転写される各色成分のトナー画像は、転写タイミングを調整して中間転写ベルト125上で重ね合わされ、カラーのトナー像となる。2次転写ローラー210は、中間転写ベルト125の表面に形成されたカラーのトナー像を、中間転写ベルト125との間のニップ部Nにおいて、給紙部14から搬送路190を通じて搬送されてきた記録紙Pに2次転写させる。
【0024】
この後、定着部13で記録紙Pが加熱及び加圧されて、記録紙P上のトナー像が熱圧着により定着され、更に記録紙Pが排出ローラー対159を通じて排出トレイ151に排出される。
【0025】
給紙部14は、複数の記録紙Pを収容しており、ピックアップローラー23を回転駆動して、記録紙Pを搬送路190へと搬送供給する。
【0026】
次に、画像形成装置1の構成を説明する。図2は、画像形成装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0027】
画像形成装置1は、制御ユニット60、画像読取部5、定着部13、画像形成部120、入力装置47、画像メモリー62、HDD63、ファクシミリ通信部64、及びネットワークインターフェイス部66等を備えて構成される。尚、図1を用いて説明した構成要素と同じものには同じ番号を付している。
【0028】
制御ユニット60は、CPU(Central Processing Unit)、RAM、ROM、及び専用のハードウェア回路等から構成される。制御ユニット60は、制御部61を備える。当該RAMは、制御部61のワークエリアとなる。また、上記ROMは、プログラムや表示部72に表示させるソフトキーやアイコン等の画像を記憶している。
【0029】
制御部61は、制御ユニット60、画像読取部5、定着部13、画像形成部120、入力装置47、画像メモリー62、HDD63、ファクシミリ通信部64、及びネットワークインターフェイス部66等と接続され、これらの制御を行って、画像形成装置1を全体的に制御する。
【0030】
ファクシミリ通信部64は、図略の符号化/復号化部、変復調部、及びNCU(Network Control Unit)を備え、公衆電話回線網を用いてのファクシミリ通信を行うものである。
【0031】
ネットワークインターフェイス部66は、LANボード等の通信モジュールから構成され、ネットワークインターフェイス部66に接続されたLAN等を介して、ローカルエリア内又はインターネット上のパーソナルコンピューター等の端末装置67と種々のデータ通信を行う。
【0032】
画像メモリー62は、画像読取部5により読取られた原稿画像のデータを一時的に記憶したり、画像形成部120のプリント対象となるデータを一時的に保存したりする領域である。
【0033】
HDD63は、画像読取部5によって読取られた原稿画像等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0034】
このような構成において、利用者は、入力装置47を操作することによりファクシミリ通信機能、コピー機能、プリンター機能、及びスキャナー機能のいずれかを選択して、選択した機能の動作に必要な設定項目の値を入力し、選択した機能の動作を開始させることができる。例えば、入力装置47の操作により、コピー機能が選択され、記録紙の枚数及びサイズが指示され、コピー動作の開始が指示されると、制御部61は、画像読取部5により原稿の画像を読取らせ、画像形成部120により該原稿の画像を上記指示された枚数及びサイズの記録紙に印刷させる。同様に、ファクシミリ通信機能、プリンター機能、およびスキャナー機能についても、入力装置47の操作により、機能の選択や、設定項目の値の入力、動作の開始等が指示されると、その指示された処理が実行される。
【0035】
次に、本実施形態の入力装置47について詳しく説明する。図3は、入力装置47の機能構成を示すブロック図である。また、図4は、入力装置47を示す平面図である。
【0036】
入力装置47は、複数のハードキー71a〜71m、ソフトキーやアイコン等を表示する表示部72、表示ドライバー73、表示部72の画面72aに重ねて設けられた透明なタッチパネル74等を備えている。
【0037】
各ハードキー71a〜71mは、「コピー」、「送信」、「Fax」、「テンキー」、「ユニバーサル」、「ジョブ中止」、「メニュー」、「リセット」、「ストップ」、「スタート」、「割込」、「ログアウト」、「節電」というそれぞれの機能に対応付けられて、これらの機能を指示するために押圧操作される。
【0038】
制御部61は、各ハードキー71a〜71mのいずれかが押圧操作されると、この押圧操作されたハードキーに対応する機能の指示を受け付ける。
【0039】
また、タッチパネル74は、表示部72の画面72aに対するタッチ操作がなされたときに該画面72aにおけるタッチ操作の座標位置を検出する。例えば、タッチパネル74として、抵抗膜方式、静電容量方式、表面型静電容量方式等のものを適用することができる。
【0040】
制御部61は、表示ドライバー73を通じて表示部72を制御し、表示部72の画面72aにソフトキー86やアイコン82〜84等を表示する。そして、制御部61は、タッチパネル74により表示部72の画面72aにおけるタッチ操作の座標位置が検出されると、この検出された座標位置と表示部72の画面72aにおけるソフトキー86やアイコン82〜84の座標領域を比較し、この座標位置がソフトキー86やアイコン82〜84のいずれかの座標領域に重なると、この座標位置が重なった座標領域のソフトキー又はアイコンがタッチ操作されたと判定して、このソフトキー又はアイコンのタッチ操作による入力を受け付ける。なお、制御部61は、特許請求の範囲における「制御部」の一例となる。
【0041】
例えば、図4において、テンキーの表示を指示するためのアイコン82がタッチ操作されると、タッチパネル74によりそのタッチ操作の座標位置が検出される。このとき、制御部61は、この検出された座標位置がアイコン82の座標領域に重なると、アイコン82がタッチ操作されたと判定して、テンキーの表示の指示を受け付ける。そして、制御部61は、テンキーの表示が指示されたことから、図5に示すように表示部72の画面72aに複数のテンキー81をソフトキーとして表示する。
【0042】
更に、図5において、各テンキー81のいずれかがタッチ操作されると、タッチパネル74によりそのタッチ操作の座標位置が検出される。そして、制御部61は、この検出された座標位置がタッチ操作されたテンキー81の座標領域に重なるため、このテンキー81がタッチ操作されたと判定して、このテンキー81の数値を入力する。
【0043】
また、図4及び図5において、各種の機能を指示するための各アイコン83のいずれかがタッチ操作されて、タッチパネル74によりそのタッチ操作の座標位置が検出されると、制御部61は、この検出された座標位置がタッチ操作されたアイコン83の座標領域に重なるため、このアイコン83がタッチ操作されたと判定して、このアイコン83の機能の指示を受け付ける。
【0044】
そして、制御部61は、表示部72の画面のテンキー81のタッチ操作により数値が入 力されたり、アイコン83のタッチ操作により機能が指示されたり、あるいはハードキーの押圧操作により機能が指示されたりすると、これらの数値や機能の指示を画像形成装置1の制御部61に出力する。制御部61は、これらの数値や機能に基づき、画像形成装置1を制御して、種々の処理を実施する。
【0045】
本実施形態の入力装置47では、複数の数値を配列してなる予め定められたコードの入力により、画像形成装置1のメンテナンスモードの実行指示を入力可能とされている。例えば、制御部61がソフトキー操作に基づいて上記コードを示す数値の入力を受け付けたとき、制御ユニット60が備えるROMに記憶されたプログラムに従った制御部61の動作により、各種の処理が可能なメンテナンスモードが実行される。制御部61は、メンテナンスモードの実行時には、入力装置47を介して操作者により入力される選択指示に基づいて、当該各種の処理のいずれかを選択的に実施する。これらの処理は、予め定められたそれぞれの更なるコードに対応付けられており、操作者による各テンキーの操作でいずれかのコードが入力されると、制御部61は、このコードに対応する処理を実施する。
【0046】
しかしながら、表示部72の画面72a上のソフトキーの操作により上記メンテナンスコードの実行を指示する構成としたならば、タッチパネル74により検出されるタッチ操作の座標位置(ソフトキーの操作に基づいて数値の入力を受け付ける際における当該ソフトキーに対する操作位置)に誤差が生じたときに、上記ソフトキーのタッチ操作の検出が困難になり、メンテナンスモードを設定することができなくなる。例えば、タッチパネル74の座標軸のデータが消失したり、タッチパネル74の動作不良が発生したりした場合に、そのような事態が生じる。
【0047】
また、表示部72の画面72a上の各テンキー81の操作により上記コードを入力しようとしても、各テンキー81のタッチ操作の座標位置にそもそも誤差が生じているため、各テンキー81に対応するタッチ操作の検出が困難であり、上記コードに対応する処理を実施することができない事態が生じる。
【0048】
更には、例えばメンテナンスモードで実施される1つの処理として、タッチ操作の座標位置を補正するシミュレーション処理が設定されている場合は、テンキー81のタッチ操作により操作者がコードを入力して、シミュレーション処理の実施を指示しようとしても、上記誤差が生じていると、各テンキー81に対応するタッチ操作の検出が困難であるために、制御部61は、このシミュレーション処理を実施させる指示の入力を受け付け不可能になる。この結果、ソフトキーやアイコンのタッチ操作ができなくなる事態も生じる。
【0049】
そこで、本実施形態では、制御部61は、各ハードキー71a〜71mのうちの10個のハードキーを「0」〜「9」の数値に対応付けておき、各ハードキー71a〜71mに対して予め設定された押圧操作が行われると、操作者による各ハードキー71a〜71mの操作に基づいて、各ハードキー71a〜71mに対応付けられた各数値の入力を受け付ける。また、制御部61は、表示部72の画面72aに格別に大きなサイズのアイコン84を表示させておき、このアイコン84がタッチ操作されたときにも、上記各ハードキー71a〜71mに対応付けられた各数値の入力を受け付ける。
【0050】
そして、制御部61は、各ハードキー71a〜71mに対して上記予め設定された押圧操作(特許請求の範囲における予め定められた操作の一例)が行われたときに、このメンテナンスモードの実行を開始する。
【0051】
次に、そのようなメンテナンスモードの実行を開始して、コードに対応する処理を実施するまでの手順を、図6に示すフローチャートに従って具体的に説明する。
【0052】
まず、制御部61は、メンテナンスモードの指示を待機している(ステップS12「No」)。ここでは、制御部61は、3つのハードキー71h、71i、71jが操作者により同時に押圧される操作を、上記予め設定された押圧操作として記憶している。
【0053】
制御部61は、上記3つのハードキー71h、71i、71jが同時に押圧操作されると(ステップS12「Yes」)、操作者による各ハードキー71a〜71mの操作に基づいて、各ハードキー71a〜71mに対応付けられた各数値の入力を受け付け可能な状態にする(ステップS13)。
【0054】
また、図4及び図5に示すような表示部72の画面72aに表示されているアイコン84をタッチ操作することによっても、制御部61は、メンテナンスモードの実行指示を受け付ける。制御部61は、このアイコン84を、表示部72の画面72aの周縁から離れた箇所にかつ他のアイコンよりも十分に大きなサイズで表示させている。これは、タッチパネル74により検出されるタッチ操作の座標位置に誤差が生じても、アイコン84のタッチ操作の検出確率を高めるためである。
【0055】
制御部61は、アイコン84がタッチ操作されて、タッチパネル74によりタッチ操作の座標位置が検出されると、この検出された座標位置がアイコン84の座標領域に重なるため、アイコン84がタッチ操作されたと判定して(ステップS12)、この判定に基づいて、制御部61は、操作者による各ハードキー71a〜71mの操作に基づいて、各ハードキー71a〜71mに対応付けられた各数値の入力を受け付け可能な状態にする(ステップS13)。当該アイコン84に対するタッチ操作は、特許請求の範囲における予め定められた操作の一例である。
【0056】
例えば、制御部61は、7個の各ハードキー71a、71b、……、71gに7つの数値「0」、「1」、……、「6」を対応付けると共に、3個の各ハードキー71k、71l、71mに3つの数値「7」、「8」、「9」を対応付けて記憶している。制御部61は、上記ステップS12による上記判定を条件に、10個のハードキーを「0」〜「9」の数値に対応付けるために、7個の各ハードキー71a、71b、……、71gと「コピー」、「送信」、……「メニュー」という機能の対応付けをキャンセルすると共に、3個の各ハードキー71k、71l、71mと「割込」、「ログアウト」、「節電」という機能の対応付けをキャンセルし、7個の各ハードキー71a、71b、……、71g及び3個の各ハードキー71k、71l、71mの操作により、各ハードキーに対応付けられた数値の入力を受け付ける状態とする。
【0057】
さらに、制御部61は、図7に示すような表示部72の画面72aを表示部473に表示させる。この図7の画面72aには、各ハードキーとその操作により入力が可能な数値の対応関係を示すハードキー参照欄91と、メンテナンスモードに含まれる各処理と該各処理のコードの対応関係とが表示される(ステップS14)。
【0058】
ハードキー参照欄91には、各ハードキー71a〜71mの画像が表示されると共に、各数値「0」〜「9」が10個の各ハードキー71a、71b、……71g、71k、71l、71mの画像に重ねて表示されている。すなわち、上記10個の各ハードキーと各数値「0」〜「9」の対応関係が表示されている。このため、利用者は、その対応関係を参照しつつ、該各ハードキーを選択的に押圧操作して、メンテナンスモードの実行指示としての、複数の数値からなるコードを容易かつ確実に入力することができる。
【0059】
この状態で、制御部61は、10個の各ハードキー71a、71b、……71g、71k、71l、71mが選択的に押圧操作されると、この押圧操作されたハードキーに割り振られた数値の入力を受け付ける。例えば、制御部61は、ハードキー71aが押圧操作されると、ハードキー71aに割り振られた数値「0」の入力を受け付け、またハードキー71bが押圧操作されると、ハードキー71bに割り振られた数値「1」の入力を受け付ける。
【0060】
そして、制御部61は、上記10個の各ハードキーの選択的な押圧操作により、メンテナンスモードの実行指示としてのコードが入力されると(ステップS15「Yes」)、メンテナンスモードの実行を開始する(ステップS16)。
【0061】
また、このメンテナンスモードの実行時に、上記10個の各ハードキーの選択的な押圧操作により、メンテナンスモードにおける各処理の実行を指示するための上記予め定められたコードが入力されると(ステップS17「Yes」)、制御部61は、この入力されたコードに対応する処理の指示を受け付けて、当該処理を実施する(ステップS18)。
【0062】
例えば、上記10個の各ハードキーの選択的な押圧操作により、タッチ操作の座標位置を補正するためのシミュレーション処理に対応するコードが入力されると、シミュレーション処理の指示が受け付けられ、このシミュレーション処理が制御部61により実施される。
【0063】
このシミュレーション処理は、周知の方式でよい。例えば、制御部61が、表示部72の画面72aに複数のポイントマークを表示させ、利用者が各ポイントマークを順次タッチ操作して、タッチパネル74によりタッチ操作の座標位置を逐次検出し、各ポイントマークの座標位置と各タッチ操作の座標位置が一致するように、タッチ操作の座標位置の補正量を求める。
【0064】
このシミュレーション処理が終了すると、制御部61は、図7の表示部72の画面72aに表示部473の表示を戻し、上記10個の各ハードキーの選択的な押圧操作により他の処理のコードの入力を受け付けて、他の処理を実施したり、あるいは上記10個の各ハードキーの選択的な押圧操作によりメンテナンスモードの終了コードの入力を受け付けて、メンテナンスモードを終了したりする。
【0065】
このように本実施形態では、各ハードキー71a〜71mに対して予め設定された押圧操作が行われるか、あるいは他のアイコンよりも十分に大きなサイズのアイコン84がタッチ操作されると、制御部61は、各ハードキー71a〜71mのうちの10個の各ハードキーを「0」〜「9」の数値に対応付けて、各数値の入力を受け付ける。このため、タッチパネル74により検出されるタッチ操作の座標位置に誤差が生じて、ソフトキーのタッチ操作に不具合が発生しても、上記10個の各ハードキーの押圧操作により各種の処理のコードを入力して、メンテナンスモードの実行を開始することが可能になる。
【0066】
また、タッチパネル74により検出されるタッチ操作の座標位置に誤差が生じても、上記コードの入力により、シミュレーション処理を確実に実施することができ、タッチパネル74の正常動作を復帰させることが可能となる。
【0067】
更に、上記10個の各ハードキーと各数値「0」〜「9」の対応関係を表示部72の画面72aに表示しているため、操作者は、この対応関係を参照しつつ、複数の数値からなるコードを容易かつ確実に入力することができる。
【0068】
しかも、ハードキーとして各テンキー等を設ける必要がないため、ハードキーの個数を抑えて、入力装置47の操作を簡単化し、また入力装置47の設置スペースを節減することができる。
【0069】
なお、上記実施形態では、図7に示すような表示形態で10個の各ハードキーと各数値「0」〜「9」の対応関係を表示しているが、制御部61が、図8に示すように10個の各ハードキーの機能と各数値「0」〜「9」の対応関係を示す一覧表92をリスト表示するようにしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、3つのハードキー71h、71i、71jを同時に押圧操作したときに、各ハードキーに対応する各数値を制御部61が受け付けるものとしているが、2つ又は4つ以上のハードキーを同時に押圧操作されたり、1つのハードキーを長押しされたりしたことをもって、制御部61が、各ハードキーに対応する各数値を受け付けるものとしても構わない。
【0071】
また、制御部61は、操作者により指定された対応関係に従って、上記各ハードキーに各数値「0」〜「9」のいずれかを対応付けて記憶するようにしてもよい。例えば、制御部61は、表示部72に各数値「0」〜「9」を示す画像を表示させ、操作者により上記各ハードキーのいずれかが押下され、当該ハードキーに対応付けられた信号の入力を受け付けた後に、表示部72における各数値「0」〜「9」を示す画像のいずれかの表示領域への操作者による押下操作を検出したときに、当該信号入力を受け付けたハードキーと、当該押下操作がされた表示領域に表示されている画像が示す数値とを対応付けて記憶する。これにより、操作者は、所望のハードキーの操作により、予め設定しておいた数値を入力することが可能になる。
【0072】
また、図1乃至図8を用いて説明した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8