(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175595
(24)【登録日】2017年7月14日
(45)【発行日】2017年8月2日
(54)【発明の名称】洗浄機能付き便座
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20170724BHJP
A47K 13/30 20060101ALI20170724BHJP
【FI】
E03D9/08 D
E03D9/08 L
A47K13/30 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-154169(P2012-154169)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-15776(P2014-15776A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年7月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】515180907
【氏名又は名称】栗田 英華
(74)【代理人】
【識別番号】100093816
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 邦雄
(72)【発明者】
【氏名】栗田 忠
【審査官】
藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3123696(JP,U)
【文献】
特表平06−502463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00 − 9/16
A47K 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛生洗浄装置を備えた洋式トイレの便座であって、
便器後方上部に設置された前記衛生洗浄装置を制御する本体に上下回動可能に接続された便座と、
前記便座の底面かつ後方に平面略L字形で上方に向け水をシャワーする複数の噴出孔が穿設された左右ノズルが向かい合い前記便座の形状に沿って配置されるとともに前記便器のボウル内に向けスライド可能に設置された広域洗浄部と、
からなることを特徴とする洗浄機能付き便座。
【請求項2】
前記左右ノズルの便器前方側先端部が、前記便座の前後方向の略中央部に位置することを特徴とする請求項1に記載の洗浄機能付き便座。
【請求項3】
前記便座底部の前記左右ノズルが収納されたときの先端部から前記便座前方に、前記便座と便器との間からシャワーの浸みだしを防ぐストッパーを設けたことを特徴とする請求項2に記載の洗浄機能付き便座。
【請求項4】
前記左右ノズルが、前記シャワーを噴射するとき、前記スライド方向に揺動すること又は前記シャワーの噴出力が増減することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の洗浄機能付き便座。
【請求項5】
衛生洗浄装置を備えた洋式トイレの便座であって、
便座と、
前記便座の左右側面の略後方半分位置から便器の上端の下方位置まで垂下する垂下部と、
前記便座の前記垂下部がない前方部分の下部に設けたシャワーの漏出を防ぐストッパーと、
前記垂下部の側面下方内側に穿設された複数の噴出孔と、
前記噴出孔に水を供給する前記便座内に埋設された水路とからなり、
前記噴出孔から臀部に向け、シャワーを噴出することを特徴とする
洗浄機能付き便座。
【請求項6】
衛生洗浄装置を備えた洋式トイレの便座であって、
便座と、
前記便座から便器の上端の下方まで一周に渡たり垂下延設される垂下部と、
前記垂下部の側面下方内側に穿設された複数の噴出孔と、
前記噴出孔に水を供給する前記便座内に埋設された水路とからなり、
前記噴出孔から臀部に向け、シャワーを噴出することを特徴とする
洗浄機能付き便座。
【請求項7】
洋式トイレの既存の便座の上に載せかつ開口に嵌めて使用される、
衛生洗浄装置を備えた洋式トイレの便座であって、
便座と、
前記便座から便器の上端の下方まで一周に渡たり垂下延設される垂下部と、
前記垂下部の側面下方内側に穿設された複数の噴出孔と、
前記噴出孔に水を供給する前記便座内に埋設された水路と、
前記便座の底面に配置され前記既存の便座の座面に当接する緩衝部材とからなり、
前記噴出孔から臀部に向け、シャワーを噴出することを特徴とする
洗浄機能付き便座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臀部を広範囲に洗浄できる洗浄機能付き便座に関する。
【背景技術】
【0002】
図6、7に示すように、腰掛けタイプの洋式トイレ20には、排泄後に局部に水をシャワー2bして洗浄する局部水洗手段2a、さらに局部水洗時の水分を送風により風乾させる乾燥手段2cを備えている。ここでは、局部水洗手段2a、又は局部水洗手段2a及び乾燥手段2cを衛生洗浄装置2という。
【0003】
洋式トイレ20は、便器7の後方上部に本体22が載置される。本体22のケース8a内には、衛生洗浄装置2その他各種機構を駆動する、各種駆動部、機器、例えば局部水洗手段2a(シャワーノズル等)のボウル7a内への挿抜を駆動するモータ、シャワー2bを温調する熱交換器、乾燥手段2cから温風を送風するファンシステム、ボウル7a内の空気を吸気排気する脱臭装置、人感センサ、蓋10の自動開閉機構等が収納される。蓋10に内側には、閉じたとき、便座21に当接し、衝撃を緩和する緩衝部材10aが備えられる。
【0004】
洋式トイレ20は、
図6のように、水洗用の水を溜めるタンク11を備えるものが一般的であるが、水道直結式もある。本体22内の各種駆動部、機器は、コンセント8dに接続されたプラグ8b及び導線8cを介して電気の供給を受け、本体22に連設する操作部23の各種スイッチで駆動制御される。
【0005】
便座21は、本体22に上下回動可能に接続部8eで接続される。便座21には、ヒータ等が埋設され、操作部23のスイッチを操作することで、ヒーティングされるものが一般的である。便座21は、
図6に示す中央が開口3dしたO型、先端部が切りかけられたU型などがある。
【0006】
便座21の裏面には、
図7に示すように、便座21を降ろしたとき、便座に着座したときの衝撃を緩和する緩衝部材3bが複数固定されている。便器7上端と接触する部分は、クッション性のある素材でできている。
【0007】
他方、介護現場などでは、被介護者の臀部は、オムツ内の排泄物によって広範囲に汚れる。現状の臀部の洗浄は、被介護者を浴室に誘導しシャワーで臀部を洗浄する、介護者が被介護者の臀部をタオルなどで拭くなどして行われている。
【0008】
被介護者は、当然にそれら作業を自ら行えず、介護者がそれら洗浄を補助しなければならず、介護現場においては極めて重要な介護である一方、介護者、被介護者にとって多大な負担がかかっているのが現状である。高齢化にともない、在宅介護もますます増加することから、介護負担軽減のために、簡便な臀部の広範囲な洗浄が希求されている。
【0009】
下痢よる広範囲の臀部の汚れを洗浄するため装置として、特許文献1などに人体局部洗浄装置が公開されている。特許文献1の人体局部洗浄装置は、人体局部の洗浄を行う衛生洗浄装置に関し、特に人体局部を広範囲にかつ衛生的に洗浄することが可能な洗浄装置であって、オートスイッチ37の指示により、女性局部に対し前後駆動モータ21をオート制御部47で制御し、元電磁弁27と水ポンプ28を制御し、ビデ洗浄ノズル15が女性局部に対して前から後ろに移動する時に洗浄噴流を噴射し、後ろから前に移動する時に停止し、肛門部に当たった噴流が女性局部に伝わってかかることを防止するというものである。
【0010】
しかしながら、特許文献1等では、例え、洗浄部が揺動、前後にスライド、左右にスイングする構成のため、構造が複雑で製造費用が高くなってしまう上、洗浄時間が長い。加えて、特許文献1の洗浄手段であったとしても、介護現場の臀部の汚れ範囲をカバーするには充分でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平9−296497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明は、簡易な構造で臀部をすばやく広範囲に洗浄することができる洗浄機能付き便座を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するため、
(1)
衛生洗浄装置を備えた洋式トイレの便座であって、
便器後方上部に設置された前記衛生洗浄装置を制御する本体に上下回動可能に接続された便座と、
前記便座の底面かつ後方に平面略L字形で上方に向け水をシャワーする複数の噴出孔が穿設された左右ノズルが向かい合い前記便座の形状に沿って配置されるとともに前記便器のボウル内に向けスライド可能に設置された広域洗浄部と、
からなることを特徴とする洗浄機能付き便座の構成とした。
(2)
前記左右ノズルの便器前方側先端部が、前記便座の前後方向の略中央部に位置することを特徴とする(1)に記載の洗浄機能付き便座の構成とした。
(3)
前記便座底部の前記左右ノズルが収納されたときの先端部から前記便座前方に、前記便座と便器との間からシャワーの浸みだしを防ぐストッパーを設けたことを特徴とする(2)に記載の洗浄機能付き便座の構成とした。
(4)
前記衛生洗浄手段として、乾燥手段を備えることを特徴とする(1)〜(3)何れかに記載の洗浄機能付き便座の構成とした。
(5)
前記左右ノズルが、前記シャワーを噴射するとき、前記スライド方向に揺動すること又は前記シャワーの噴出力が増減することを特徴とする(1)〜(4)の何れかに記載の洗浄機能付き便座の構成とした。
(6)
衛生洗浄手段を備えた洋式トイレの便座であって、
複数の噴出孔を備え、便座から臀部に向け、シャワーを噴出することを特徴とする洗浄機能付き便座の構成とした。
(7)
前記シャワーの噴出孔から温風を洗浄後の臀部に向け噴出させる乾燥手段を備えることを特徴とする(1)〜(6)の何れかに記載の洗浄機能付き便座の構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、便座にシャワー機構を備えるもので、従来にない洗浄方式を提供するものである。具体的には、便座底部の左右から複数の噴出孔を有する略L字形の左右ノズルがスライドして臀部下に突出して、臀部全体に洗浄水を噴出するため、短時間で臀部を広範囲に洗浄することができる。また、広範囲に洗浄水が噴出するため、便座前方底部にストッパーを設けることで、便座前方からの洗浄水の漏出を防ぐことができる。
【0015】
さらに、便座内部に水管を通し、直接便座に複数の孔を穿設し、臀部に向け水をシャワーする構造であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明である洗浄機能付き便座の斜視模式図である。
【
図2】洗浄機能付き便座を持ち上げたときの底面模式図である。
【
図4】臀部洗浄時の前後断面(
図3A−A線)模式図である。
【
図7】従来の洋式トイレの便座を持ち上げたときの底面模式図である。
【
図8】洗浄機能付き便座の第2の実施形態の臀部洗浄時の左右断面模式図である。
【
図9】洗浄機能付き便座の第3の実施形態の臀部洗浄時の前後断面模式図である。
【
図10】洗浄機能付き便座の第4の実施形態の臀部洗浄時の前後断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき本発明について詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0018】
図1、2に、本発明の実施形態の一例である洗浄機能付き便座3を備える洋式トイレ1を示した。洗浄機能付き便座3は、衛生洗浄装置2を備えた従来の洋式トイレ20の便座21に代えて用いられ、本体8に回動可能に接続される便座3aと、便座3aの底部に設置された広域洗浄部4とからなる。本体8は、従来の本体22に本発明の洗浄機能付き便座3の機能を担保する機器を内蔵する点において異なるものの、従来の衛生洗浄装置2を駆動する機器は、従来の洋式トイレ20同様に備えている。
【0019】
広域洗浄部4は、左右ノズル5、6と、左右ノズルを便器7のボウル7a内に向け挿抜するスライド機構(図示省略)と、左右ノズルにシャワー4a用の洗浄水を供給する水供給手段(図示省略)からなる。
【0020】
左右ノズル5、6は、便座3aの底面かつ後方に平面略L字形で上方に向け水をシャワー4aする複数の噴出孔5a、6aが穿設される。そして、左右ノズル5、6は、向かい合い便座の形状に沿って配置される。そして、便器7のボウル7a内に向けスライド可能に設置される。
【0021】
図2に、左右ノズル5、6がボウル7a方向にスライドした後の様子を点線で示した。開口3dに孔5a、6aが位置する。左右ノズル5、6からシャワー4aを噴射するとき、左右ノズル5、6をスライド方向に揺動させることで、洗浄効率が高まるので、好ましい。
【0022】
孔5a、6aは、左右ノズルの上面のみならず、側面に設けてもよい。さらに、左右ノズルのボウル7a内部側の側面を、断面で底部が長い台形状に成形し、その側面部に孔5a、6aを設けてもよい。孔5a、6aの位置は、好適な噴射方向を得られるよう、便座3aの形状を勘案して、適宜変更する。
【0023】
左右ノズル5、6の便器7前方側先端部5d、6dは、
図2に示すように、便座3aの前後方向の略中央部に位置するとよい。臀部を広範囲かつ充分にシャワー洗浄することができるとともに、大腿部を不必要にシャワー4aで濡らさないようにすることができる。
【0024】
左右ノズル5、6のスライド機構は、例えば、
図2に示すように、スライド方向をガイドするレーン5c、6cと、レール5c、6cにスライド可能に取り付けた左右ノズル5、6をモータ駆動で挿抜する。モータは、本体8内、或いは便座3a内に収納するとよい。また、左右ノズル5、6のスライド機構は、左右ノズルを脱落することなく挿抜できれば、その機構は限定されるものではない。
【0025】
左右ノズル5、6への水供給手段は、
図2に示すように、左右ノズル5、6内に、洗浄水をチューブなどの水路5b、6bを介して送水し、噴出孔5a、6aからシャワー4aを噴出させる。水源としては、従来の局部水洗手段2aへの供給水経路から分岐取得しても、別途水道水、タンク11から取得してもよい。送水ポンプについて、局部水洗手段2aへの送水ポンプを使用しても、左右ノズル5、6からのシャワー4a噴出用の専用のポンプを本体8に別途設置してもよい。また、従来のシャワー2bと同様、シャワー4aも本体8内の熱交換器で温調されることが好ましい。
【0026】
例えば、シャワー4aの水源は、局部水洗手段2aの送水ポンプ後から後で、熱交換器も通過したところから分岐取得することで、局部水洗手段2aの送水ポンプ、熱交換器による温調水を使用すれば、簡易かつコンパクトに従来の洋式トイレ20の便座21に左右ノズル5、6への水供給手段を付加することができる。
【0027】
左右ノズル5、6からシャワー4aを噴射するとき、シャワー4aの噴出圧を増減するよう、送水ポンプを制御すると、臀部洗浄効果が高まるので、好ましい。
【0028】
広域洗浄部4の駆動、即ち左右ノズル5、6のスライド及びシャワー4aの駆動制御は、本体8に連設される操作部9の広域洗浄スイッチ9aで行う。別途壁13に広域洗浄部4の駆動用の広域洗浄スイッチを設けてもよい。電源は、従来同様商用電源のコンセント8dから供給される。
【0029】
便座3は、底面に左右ノズル5、6を配置することから、緩衝部材3bは、左右ノズルの配置、スライドを邪魔しない位置に配置することが必要である。また、左右ノズル5、6のスライドを許容するため、即ち使用者が便座3aに腰掛けたとき、便座3aによって左右ノズル5、6を便器7上端面に押しつけないように、一定の高さを確保する必要がある。
【0030】
便座3には、さらに、左右ノズル5、6が収納されたときの先端部5d、6dから便座3a前方に、便座3aと便器7との間からシャワー4a浸みだしを防ぐため、便座3a底部にストッパー3cを設けるとよい。
【0031】
ストッパー3cは、緩衝部材3bと同じ高さで、同じ素材でもよい。また、便器7上端と接触する部分は、クッション性があり、緩衝部材3bより一層密着性がよい素材で形成するとなおよい。例えば、ゴムなどが例示できる。また、汚れによる交換を考慮して、便座3aへネジ3eなどで着脱可能に固定するとよい。
【0032】
図3〜
図5に臀部の洗浄エリアを示した。また
図5を参照しつつ介護時の臀部洗浄方法を説明する。先ず、洗浄機能付き便座3の便座3aに、被介護者12を着座してもらう。このとき、両大腿部12bを閉じることで、大腿部12bからのシャワー4aの漏出、噴出を抑えられる。
【0033】
着座、大腿部12を閉じたことを確認したら、介護者が操作部9の広域洗浄部4の起動用の広域洗浄スイッチ9aを押す。すると、本体8内部に収納されたモータの回転駆動で、左右ノズル5、6が便座3aの開口3dに向けスライドし、
図2点線位置で停止する。そのとき孔5a、6aは、便座3aより内側に位置する。また、左右ノズル5、6が押し出てきたいとき、左右ノズル5、6の便器7後方端部が、接触するような長さであると、シャワー4aの便器7後方の便器7上端と便座3aとの間からの漏出を防止することができる。
【0034】
左右ノズル5、6がスライドして押し出されて停止後、臀部12aに向けシャワー4a(
図3〜5破線矢印)が噴出する。これにより
図5に示すうに、臀部12aの広範囲(グレー部分)を線上することができる。
【0035】
臀部12aの洗浄を充分行った後に、介護者が操作部9の広域洗浄スイッチ9aを押すことで、シャワー4aの噴射が終了し、左右ノズル5、6は、もとの便座3aの底面部に収納される。なお、シャワー4aの噴射時間は、タイマー制御にしてもよい。
【0036】
シャワー4aによる臀部12aの洗浄が、終了した後には、介護者が操作部9の乾燥手段を起動させるスイッチを押す。これにより、従来から洋式トイレ20に装備される乾燥手段2cでシャワー4aの付着水滴を吹き飛ばし、臀部12aを風乾させる。また、シャワー4aの噴出孔6aから、温風を臀部に向け噴射し、風圧で水滴を吹き飛ばし、乾燥する構成としてもよい。この場合、従来の乾燥手段のエアーを導入しても、別途温風用ファンシステムを備える構成としてもよい。また、シャワー4aの噴出孔6aからの風圧で洗浄後お水滴を吹き飛ばし、その後従来の乾燥手段を用いて乾燥してもよい。
【0037】
水滴が多量に残存している場合には、介護者が被介護者12の大腿部12bの隙間から手を入れタオルなどで水滴を拭き取ればよい。その後、被介護者に起立してもらい、介護者が水分を拭き取ればよい。このような作業であれば、従来のバスでのシャワー、タオル拭きに比べ、簡易かつ短時間に作業でき、介護者、被介護者双方の負担が極めて軽減される。
【実施例2】
【0038】
図8に、本発明である洗浄機能付き便座30の第2の実施形態の臀部洗浄時の左右断面模式図を示した。洗浄機能付き便座30は、実施例1の便座3aにおいて、ボウル7a内の端部が下方に延設された垂下部30bを備える便座30aとした。その他の構成、機能は、実施例1と同様である。
【0039】
垂下部30b下方にシャワー4aの噴出孔30cを設けた。垂下部30bの便器7前後方向の設置位置は、実施例1の孔5a、6aの位置まである。また、便器7下方向への先端位置は、便座30aと便器7の上端との接触部より下方とするとよい。また、従来の衛生洗浄装置2の機能を阻害しない位置であることが望ましい。噴出孔30cまで水を送る水路30dは便座30a内に埋設される。
【0040】
実施例2によれば、左右ノズル5、6を用いることなく、便座にシャワー4aの噴出孔30cを設けることで、左右ノズル5、6と便座を一体にしたもので、より簡易な構造の洗浄機能付き便座30を実現することができる。さらに、垂下部30bが壁となって、便座30aと便器7の上端部からのシャワー4aの漏出を防止することができる。便器7前方には、便座30a下部にストッパー3cを設けることでシャワー4aの漏出を防ぐ。
【実施例3】
【0041】
図9に、本発明である洗浄機能付き便座40の第3の実施形態の臀部洗浄時の前後断面模式図を示した。洗浄機能付き便座40は、実施例2の便座30aにおいて、ボウル7a内の端部が便座40aの一周に渡って、下方に延設された垂下部40bを備える便座40aとした。その他の構成、機能は、実施例2と同様である。
【実施例4】
【0042】
図10に、本発明である洗浄機能付き便座50の第4の実施形態の臀部洗浄時の前後断面模式図を示した。洗浄機能付き便座50は、従来の洋式トイレ20の便座21の上から開口3dに嵌めて使用されるもので、既存の洋式トイレ20をそのまま利用して介護用の洗浄機能付き便座50を提供するものである。
【0043】
洗浄機能付き便座50は、実施例3の便座40aおいて、本体8に回動可能に接続されない点、さらに洗浄水の供給経路、シャワー水の温調経路本体8を介さない点、さらにシャワー4aの噴出の操作が操作部にないこと以外は同じである。それら機能は、従来の洋式トイレ20とは別に必要である。
【符号の説明】
【0044】
1 洋式トイレ
2 衛生洗浄装置
2a 局部水洗手段
2b シャワー
2c 乾燥手段
3 洗浄機能付き便座
3a 便座
3b 緩衝部材
3c ストッパー
3d 開口
3e ネジ
4 広域洗浄部
4a シャワー
5 左ノズル
5a 孔
5b 水路
5c レール
5d 先端部
6 右ノズル
6a 孔
6b 水路
6c レール
6d 先端部
7 便器
7a ボウル
8 本体
8a ケース
8b プラグ
8c 導線
8d コンセント
8e 接続部
9 操作部
9a 広域洗浄スイッチ
10 蓋
10a 緩衝部材
11 タンク
12 被介護者
12a 臀部
12b 大腿部
13 壁
20 洋式トイレ
21 便座
22 本体
23 操作部
30 洗浄機能付き便座
30a 便座
30b 垂下部
30c 孔
30d 水路
40 洗浄機能付き便座
40a 便座
40b 垂下部
50 洗浄機能付き便座
50a 便座
50b 垂下部
50c 孔
50d 水路