(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る表示装置の駆動方法の一態様は、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有する表示装置の駆動方法であって、前記複数の表示画素の各々は、発光素子と、電圧を保持するための蓄積容量と、ゲート電極が前記蓄積容量の第1電極と導通し、ソース電極が前記蓄積容量の第2電極および前記発光素子のアノードと導通している、駆動トランジスタと、第1電源線と前記駆動トランジスタのドレイン電極との導通および非導通を切り換える第1スイッチと、第2電源線と前記蓄積容量の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第2スイッチと、データ信号電圧を供給するための信号線と前記蓄積容量の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第3スイッチと、前記蓄積容量の前記第2電極と第4電源線との導通および非導通を切り換える第4スイッチと、を備え、前記複数の表示画素の各々は、前記第1スイッチおよび前記第3スイッチを非導通、かつ、前記第2スイッチおよび前記第4スイッチを導通に切り換えた後の期間であって前記駆動トランジスタを初期化する初期化期間と、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを導通、かつ、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチを非導通に切り換えた後の期間であって前記駆動トランジスタの閾値電圧を補償する閾値電圧補償期間とを有し、前記複数の表示画素の各々において、前記初期化期間前に前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチのうち前記第4スイッチのみ導通に切り換えることで第1期間を開始し、前記第2スイッチを導通に切り換えることで前記第1期間に続く前記初期化期間を開始し、前記第1期間は、前記閾値電圧補償期間よりも長い。
【0013】
ここで、例えば、前記第4電源線は、前記第1電源線および前記第2電源線と直交する方向に配置されているとしてもよい。
【0014】
また、例えば、前記複数の表示画素の各々において、前記第1期間前に前記第1スイッチを非導通に切り換えることで、前記発光素子を発光させる期間を終了させて、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチが非導通に切り換えられた第2期間を開始し、前記第4スイッチを導通に切り換えることで前記第2期間に続く前記第1期間を開始するとしてもよい。
【0015】
ここで、例えば、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、前記第4スイッチおよび前記駆動トランジスタは、Nチャンネル薄膜トランジスタである。
【0016】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有する表示装置であって、前記複数の表示画素の各々は、発光素子と、電圧を保持するための蓄積容量と、ゲート電極が前記蓄積容量の第1電極と導通し、ソース電極が前記蓄積容量の第2電極および前記発光素子のアノードと導通している、駆動トランジスタと、第1電源線と前記駆動トランジスタのドレイン電極との導通および非導通を切り換える第1スイッチと、第2電源線と前記蓄積容量の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第2スイッチと、データ信号電圧を供給するための信号線と前記蓄積容量の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第3スイッチと、前記蓄積容量の前記第2電極と第4電源線との導通および非導通を切り換える第4スイッチと、前記第1スイッチおよび前記第3スイッチが非導通、かつ、前記第2スイッチおよび前記第4スイッチが導通に切り換えられて前記駆動トランジスタが初期化される初期化期間と、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチが導通、かつ、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチが非導通に切り換えられて前記駆動トランジスタの閾値電圧が補償される閾値電圧補償期間とを実行する制御部とを備え、前記第4電源線は、前記第1電源線および前記第2電源線と直交する方向に配置されており、前記制御部は、さらに、前記複数の表示画素の各々において、前記初期化期間前に前記第4スイッチのみ導通に切り換えることで第1期間を開始させ、前記第2スイッチを導通に切り換えることで前記第1期間に続く前記初期化期間を開始させ、前記第1期間は、前記閾値電圧補償期間よりも長くなるよう制御する。
【0017】
また、本発明に係る駆動方法の一態様は、マトリクス状に配置された複数の表示画素を有する表示装置の駆動方法であって、前記複数の表示画素の各々は、発光素子と、電圧を保持するための蓄積容量と、ゲート電極が前記蓄積容量の第1電極と導通し、ソース電極が前記蓄積容量の第2電極および前記発光素子のアノードと導通している、駆動トランジスタと、第1電源線と前記駆動トランジスタのドレイン電極との導通および非導通を切り換える第1スイッチと、第2電源線と前記蓄積容量の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第2スイッチと、データ信号電圧を供給するための信号線と前記蓄積容量の前記第1電極との導通および非導通を切り換える第3スイッチと、前記蓄積容量の前記第2電極と第4電源線との導通および非導通を切り換える第4スイッチと、を備え、前記複数の表示画素の各々は、前記第1スイッチおよび前記第2スイッチを導通、かつ、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチを非導通に切り換えた後の期間であって前記駆動トランジスタの閾値電圧を補償する閾値電圧補償期間を有し、前記複数の表示画素の各々において、前記閾値電圧補償期間内で、前記第1スイッチを非導通に切り換えることで、前記閾値電圧補償期間を終了させて前記閾値電圧補償期間に続く第1期間を開始し、前記第1期間の終了後に、前記第3スイッチが導通に、かつ、前記第1スイッチ、前記第2スイッチおよび前記第4スイッチが非導通に切り換えられた後の期間であって前記蓄積容量に電圧を書き込む書き込み期間を開始する。
【0018】
ここで、例えば、前記複数の表示画素の各々において、前記第1期間内で、前記第2スイッチを非導通に切り換えることで、前記第1期間を終了させて前記第1期間に続く第2期間を開始し、前記第2期間内で、前記第3スイッチを導通に切り換えることで、前記第2期間を終了させて前記第2期間に続く前記書き込み期間を開始するとしてもよい。
【0019】
以下、本発明の一態様に係る表示装置およびその駆動方法について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0020】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、以下の各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示したものではない。
【0021】
(実施の形態)
本実施の形態において、本開示の一態様に係る表示装置の発光素子として有機EL(Electroluminescence)素子を用いる場合について説明する。
【0022】
図1は、実施の形態に係る表示装置の機能ブロック図の一例である。
【0023】
図1に示す表示装置1は、表示パネル制御回路2と、走査線駆動回路3と、データ線駆動回路5と、表示パネル6とを備える。
【0024】
表示パネル6は、例えば有機ELパネルである。また、表示パネル6は、少なくとも、互いに平行に配置されたN(例えばN=1080)本の走査線と、N本の点灯制御線、直交して配置されたM本のソース信号線を有する(図示せず)。さらに、表示パネル6は、ソース信号線と走査線との各交点に、薄膜トランジスタおよびEL素子から構成される画素回路(図示せず)を有する。以下、同一の走査線に対応して配置された画素回路を、適宜、「表示ライン」という。すなわち、表示パネル6は、M個のEL素子を有する表示ラインをN本並べた構成となっている。
【0025】
表示パネル制御回路2は、制御部の一例である。表示パネル制御回路2は、表示データ信号S1に基づいてデータ線駆動回路5を制御するための制御信号S2を生成し、生成した制御信号S2をデータ線駆動回路5へ出力する。また、表示パネル制御回路2は、入力される同期信号に基づいて走査線駆動回路3を制御するための制御信号S3を生成する。そして、表示パネル制御回路2は、生成した制御信号S3を走査線駆動回路3へ出力する。
【0026】
ここで、表示データ信号S1は、映像信号、垂直同期信号、および水平同期信号を含む表示データを示す信号である。映像信号は、フレームごとに階調情報である各画素値を指定する信号である。垂直同期信号は、画面に対する垂直方向の処理のタイミングについて同期を取るための信号であり、ここでは、フレームごとの処理タイミングの基準となる信号である。水平同期信号は、画面に対する水平方向の処理のタイミングについて同期を取るための信号であり、ここでは、表示ラインごとの処理タイミングの基準となる信号である。
【0027】
また、制御信号S2は、映像信号および水平同期信号を含む。制御信号S3は、垂直同期信号および水平同期信号をそれぞれ含む。
【0028】
データ線駆動回路5は、表示パネル制御回路2で生成された制御信号S2に基づいて、表示パネル6のソース信号線を駆動する。より具体的には、データ線駆動回路5は、映像信号および水平同期信号に基づいて、各画素回路にソース信号を出力する。
【0029】
走査線駆動回路3は、表示パネル制御回路2で生成された制御信号S3に基づいて、表示パネル6の走査線を駆動する。より具体的には、走査線駆動回路3は、垂直同期信号および水平同期信号に基づいて、各画素回路に走査信号、REF信号、イネーブル信号、init信号を、少なくとも表示ライン単位で出力する。
【0030】
以上のように、表示装置1は構成される。
【0031】
なお、表示装置1は、例えば、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)などの記憶媒体、RAM(Random Access Memory)などの作業用メモリ、および通信回路を有するとしてもよい。例えば、表示データ信号S1は、例えば、CPUが制御プログラムを実行することにより生成される。
【0032】
図2は、実施の形態に係る表示装置の有する表示画素の回路構成の一例を示す図である。
【0033】
図2に示す画素回路60は、表示パネル6が有する一画素であり、Data線76(データ線)を介して供給されたデータ信号(データ信号電圧)により発光する機能を有する。
【0034】
画素回路60は、表示画素(発光画素)の一例であり、行列状に配置されている。画素回路60は、駆動トランジスタ61と、スイッチ62と、スイッチ63と、スイッチ64と、イネーブルスイッチ65と、EL素子66と、蓄積容量67と、を備えている。また、画素回路60には、Data線76(データ線)と、基準電圧電源線68(V
REF)と、ELアノード電源線69(V
TFT)と、ELカソード電源線70(V
EL)と、初期化電源線71(V
INI)とを備える。
【0035】
ここで、Data線76は、データ信号電圧を供給するための信号線(ソース信号線)の一例である。
【0036】
基準電圧電源線68(V
REF)は、蓄積容量67の第1電極の電圧値を規定する基準電圧V
REFを供給する第2電源線の一例である。ELアノード電源線69(V
TFT)は、駆動トランジスタ61のドレイン電極の電位を決定するための高電圧側電源線である第1電源線の一例である。ELカソード電源線70(V
EL)は、EL素子66の第2電極(カソード)に接続された低電圧側電源線である。初期化電源線71(V
INI)は、駆動トランジスタ61のソースゲート間の電圧すなわち蓄積容量67の電圧を初期化するための第4電源線の一例である。
【0037】
EL素子66は、発光素子の一例であり、行列状に配置される。EL素子66は、駆動電流が流されて発光する発光期間と、駆動電流が流されず発光しない非発光期間とを有する。具体的には、EL素子66は、駆動トランジスタ61の駆動電流により発光する。EL素子66は、例えば有機EL素子である。EL素子66は、カソード(第2電極)が、ELカソード電源線70に接続され、アノード(第1電極)が、駆動トランジスタ61のソース(ソース電極)に接続されている。ここで、ELカソード電源線70に供給されている電圧はV
ELであり、例えば0(v)である。
【0038】
駆動トランジスタ61は、EL素子66への電流の供給を制御する電圧駆動の駆動素子であり、EL素子66に電流(駆動電流)を流すことでEL素子66を発光させる。具体的には、駆動トランジスタ61は、ゲート電極が蓄積容量67の第1電極と導通し、ソース電極が蓄積容量67の第2電極およびEL素子66のアノードと導通している。
【0039】
駆動トランジスタ61は、スイッチ63(第2スイッチ)がオフ状態(非導通状態)にされて基準電圧電源線68(第2電源線)と蓄積容量67の第1電極とが非導通で、かつ、イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)がオン状態(導通状態)にされてELアノード電源線69(第1電源線)とドレイン電極と導通した場合に、当該データ信号電圧に応じた電流である駆動電流をEL素子66に流すことにより、EL素子66を発光させる。ここで、ELアノード電源線69に供給されている電圧はV
TFTであり、例えば20Vである。これにより、駆動トランジスタ61は、ゲート電極に供給されたデータ信号電圧(データ信号)を、そのデータ信号電圧(データ信号)に対応した信号電流に変換し、変換された信号電流をEL素子66に供給する。
【0040】
また、駆動トランジスタ61は、スイッチ63(第2スイッチ)がオフ状態(非導通状態)にされて基準電圧電源線68(第2電源線)と蓄積容量67の第1電極とが非導通で、かつ、イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)がオフ状態(非導通状態)にされてELアノード電源線69(第1電源線)とドレイン電極とが非導通である場合に、駆動電流をEL素子66に流さないことでEL素子66を発光させない。
【0041】
さらに、駆動トランジスタ61の閾値電圧は、スイッチ63(第2スイッチ)がオン状態(導通状態)にされて基準電圧電源線68(第2電源線)と蓄積容量67の第1電極とが導通している場合、スイッチ62(第3スイッチ)がオフ状態(非導通状態)、かつ、スイッチ64(第4スイッチ)がオフ状態(非導通状態)、かつ、イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)がオン状態(導通状態)にされることで、Data線76(信号線)と蓄積容量67の第1電極とが非導通、かつ、蓄積容量67の第2電極と初期化電源線71(第4電源線)とが非導通、かつ、ELアノード電源線69(第1電源線)とドレイン電極とが導通されている間に、補償される。なお、詳細については後述するため、ここでの説明は省略する。
【0042】
蓄積容量67は、電圧を保持するための蓄積容量の一例であり、駆動トランジスタ61の流す電流量を決める電圧を保持する。具体的には、蓄積容量67の第2電極(節点B側の電極)は、駆動トランジスタ61のソース(ELカソード電源線70側)とEL素子66のアノード(第1電極)との間に接続されている。蓄積容量67の第1電極(節点A側の電極)は、駆動トランジスタ61のゲートに接続されている。また、蓄積容量67の第1電極は、基準電圧電源線68(V
REF)とスイッチ63を介して接続されている。
【0043】
蓄積容量67は、例えば、スイッチ63がオフ状態(非導通状態)となった後も、印加された基準電圧(V
REF)を維持し、継続して駆動トランジスタ61のゲートにその基準電圧(V
REF)を供給する。また、蓄積容量67は、スイッチ62がオン状態(導通状態)になった場合に、データ信号電圧が印加され、スイッチ63がオフ状態(非導通状態)になった後、そのデータ信号電圧を保持するとともに、保持しているデータ信号電圧を駆動トランジスタ61のソースおよびゲートに印加する。そして、イネーブルスイッチ65がオン状態(導通状態)となった後の駆動トランジスタ61にEL素子66へ駆動電流を供給させる。なお、蓄積容量67は、データ信号電圧を、そのデータ信号電圧に静電容量を積算した電荷で保持する。
【0044】
スイッチ62は、データ信号電圧を供給するためのData線76(信号線)と蓄積容量67の第1電極との導通および非導通を切り換える第3スイッチの一例である。具体的には、スイッチ62は、ドレインおよびソースの一方の端子がData線76に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が蓄積容量67の第1電極に接続され、ゲートが走査線であるScan線72に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ62は、Data線76を介して供給された映像信号電圧(映像信号)に応じたデータ信号電圧(データ信号)を蓄積容量67に書き込むための機能を有する。
【0045】
スイッチ63は、基準電圧V
REFを供給する基準電圧電源線68(第2電源線)と蓄積容量67の第1電極との導通および非導通を切り換える第2スイッチの一例である。具体的には、スイッチ63は、ドレインおよびソースの一方の端子が基準電圧電源線68(V
REF)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が蓄積容量67の第1電極に接続され、ゲートがRef線73に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ63は、蓄積容量67の第1電極(駆動トランジスタ61のゲート)に対して基準電圧(V
REF)を与える機能を有する。
【0046】
スイッチ64は、蓄積容量67の第2電極と初期化電源線71(第4電源線)との導通および非導通を切り換える第4スイッチの一例である。具体的には、スイッチ64は、ドレインおよびソースの一方の端子が初期化電源線71(V
INI)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が蓄積容量67の第2電極に接続され、ゲートがInit線74に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、スイッチ64は、蓄積容量67の第2電極(駆動トランジスタ61のソース)に対して初期化電圧(V
INI)を与える機能を有する。
【0047】
イネーブルスイッチ65は、ELアノード電源線69(第1電源線)と駆動トランジスタ61のドレイン電極との導通および非導通を切り換える第1スイッチの一例である。具体的には、イネーブルスイッチ65は、ドレインおよびソースの一方の端子がELアノード電源線69(V
TFT)に接続され、ドレインおよびソースの他方の端子が駆動トランジスタ61のドレイン電極に接続され、ゲートがEnable線75に接続されているスイッチングトランジスタである。換言すると、イネーブルスイッチ65は、点灯及び閾値補正制御を行う機能、すなわち駆動トランジスタ61のドレイン電極の電位(V
TFT)を与える機能と、駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthの補償動作を行わせる機能を有する。
【0048】
以上のように画素回路60は構成されている。
【0049】
なお、画素回路60を構成するスイッチ62〜スイッチ64とイネーブルスイッチ65とはn型TFTとして、以下では説明を行うが、それに限られない。スイッチ62〜スイッチ64とイネーブルスイッチ65とは、p型TFTであってもよい。また、スイッチ62〜スイッチ64とイネーブルスイッチ65とにおいて、n型TFTとp型TFTとが混在して用いられてもよい。なお、p型TFTに接続された信号線については以下で説明する電圧レベルを逆転させて考えればよい。
【0050】
また、基準電圧電源線68の電圧V
REFと初期化電源線71の電圧V
INIとの電位差は駆動トランジスタ61の最大閾値電圧よりも大きな電圧に設定される。
【0051】
また、基準電圧電源線68の電圧V
REF及び初期化電源線71の電圧V
INIは、EL素子66に電流が流れないように、次のように設定されている。
【0052】
電圧V
INI<電圧V
EL+(EL素子66の順方向電流閾値電圧)、
(基準電圧電源線68の電圧V
REF)<電圧V
EL+(EL素子66の順方向電流閾値電圧)+(駆動トランジスタ61の閾値電圧)
【0053】
ここで、電圧V
ELは、上述したように、ELカソード電源線70の電圧である。
【0054】
次に、
図2に示す画素回路の駆動方法について
図3〜
図4Jを用いながら説明を行う。
【0055】
図3は、実施の形態に係る表示装置の駆動時の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
図4A〜
図4Jは、
図3に示すタイミングチャートにおける画素回路の動作の一例を示す図である。
図3において、横軸は時間を表している。また横軸方向には、表示パネル6を構成するn行の画素回路60のうち対応する行の画素回路60に対するScan線72、Ref線73、Init線74と、Enable線75に発生する電圧の波形図が示されている。
【0056】
本実施の形態のおける駆動方法(走査方法)は、
図2に示す画素回路60の構成により期間T21から期間T30を実施することで実現できる。
【0057】
以下、画素回路60の動作を例に挙げて具体的に説明する。
【0058】
(期間T21)
図3に示す時刻t0〜時刻t1の期間T21は、スイッチ64のみを導通状態として、節点Bの電位を安定させる(節点Bの電位を初期化電源線71の電圧V
INIに設定する)ための期間である。
【0059】
より具体的には、
図4Aの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t0において、走査線駆動回路3は、Scan線72とRef線73とEnable線75との電圧レベルをLOWに維持しつつ、Init線74の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t0において、スイッチ62、スイッチ63及びイネーブルスイッチ65は非導通状態(オフ状態)のままで、スイッチ64が導通状態(オン状態)にされる。
【0060】
このように、Init線74の動作により、スイッチ62、スイッチ63、スイッチ64及びイネーブルスイッチ65のうちスイッチ64のみを導通とする期間T21を設けることにより、節点Bの電位を初期化電源線71の電圧V
INIにより短期間に設定することができる。また、蓄積容量67により、節点Aの電位も、初期化電源線71の電圧V
INI+前フレームでの発光時の駆動トランジスタ61のゲートソース間電圧に低下する。
【0061】
この期間T21を設ける理由は次の通りである。
【0062】
表示装置1を構成する表示パネル6のサイズや1画素あたり(画素回路60)のサイズが大きい場合に、EL素子66の容量が大きくなり、初期化電源線71の配線時定数が大きくなることで、節点Bの電圧を初期化電源線71の電圧V
INIにすることに時間を要する。そのため、スイッチ64を先に導通させる期間T21を設けることにより、節点Bの電位を初期化電源線71の電圧V
INIにより短期間で設定(電圧V
INIを書き込み)することができる。
【0063】
なお、基準電圧電源線68の電圧V
REFを節点Aに印加することも同様に時間を要する。しかし、電圧V
REFを充放電する対象は、蓄積容量67および基準電圧電源線68の配線時定数である。つまり、基準電圧電源線68と初期化電源線71との配線時定数がほぼ同等であるが、EL素子66の容量>蓄積容量67であり、容量比は、(EL素子66)/(蓄積容量67)が1.3〜9倍である。そのため、EL素子66を充電する(節点Bの電位に初期化電源線71の電圧V
INIを書き込む)方が蓄積容量67を充電する(節点Aの電位に基準電圧電源線68の電圧V
REFを書き込む)よりも時間がかかる。
【0064】
また、期間T21において、スイッチ64のみを導通させスイッチ63の導通を遅らせる利点としては次のようなものもある。
【0065】
すなわち、期間T21において、節点Bの電位に初期化電源線71の電圧V
INIを書き込む期間を設けることで基準電圧電源線68の電圧V
REFを節点Aに書き込む負荷を軽くすることができる利点がある。つまり、期間T21を設けることで、節点Aの電圧を低い電圧に設定することができ、基準電圧電源線68は画素回路60に充電するための電流(電圧)を供給するのみでよくなる。換言すると、基準電圧電源線68の電圧V
REFがEL素子66を充電するための電圧として用いられないため、基準電圧電源線68の負荷が軽くなるという利点がある。
【0066】
さらに、基準電圧電源線68の負荷をさらに軽くするために、初期化電源線71を、ELアノード電源線69および基準電圧電源線68と直交する方向に配置されているとしてもよい。以下、この場合について図を用いて説明する。
【0067】
図5および
図6は、本実施の形態における電源線の配置の一例を示す図である。
図7は、
図6に示す電源線の配線レイアウトの一例を示す図である。
【0068】
以下では、基準電圧電源線68、ELアノード電源線69、ELカソード電源線70および初期化電源線71を電源線とも称する。
【0069】
例えば
図5に示すように、4本の電源線をすべて縦方向に引くとしてもよい。しかし、この場合、表示パネル6の外周および表示パネル6とドライバIC31を備える走査線駆動回路3のフレキ部分30での抵抗を下げることが難しい。
【0070】
それに対して、例えば
図6に示すように4本の電源線のうち1本の電源線を横に引く(つまり、他の3本の電源線と直交するように配置されること)。それにより、表示パネル6の外周、ドライバIC31A、31Bを備える走査線駆動回路3のフレキ部分32、33で1電源線あたりの端子数および配線幅を太くすることができ、電圧ドロップによる電力損失を小さくできる。
【0071】
横に引く1本の電源線としては、上述したように、初期化電源線71を選ぶとよい。すなわち、初期化電源線71を他の3本の電源線と直交するように配置される1本の電源線とすればよい。
【0072】
より具体的には、画素回路60に必要な電源線は4種類あるが、電源線が表示パネル6Aの外部に引き出される場合には、配線抵抗による電圧ドロップが生じる。そのため、この電圧ドロップを抑えるために、表示パネル6の消費電力に影響する基準電圧電源線68およびELカソード電源線70を
図6の縦方向(ソース信号線の方向)に引き出すとよい。また、電源の揺れが直接表示輝度に影響する基準電圧電源線68も、
図6の縦方向(ソース信号線の方向)に引き出すとよい。基準電圧電源線68が縦方向に配置されると、基準電圧電源線68が充放電する蓄積容量67の数は、期間T22〜T24の長さに対応した画素数となるので、負荷となる容量の数が小さくなり充放電が容易となる。
【0073】
一方、初期化電源線71は、1水平走査期間で、EL素子66を1行分同時に充電する必要があるため、特に時定数が大きく、充放電に時間がかかるため、
図6の横方向(ソース信号線と直交する方向)に引き出すとよい。横方向に引き出す電源数少ないため、パネル周辺から外部に引き出す配線を太く配線することが可能である。また表示面内でも初期化電源線71の配線幅を太くすることができるので、初期化電源線71の配線遅延を少なくでき、より早く節点Bを安定させることができる。
【0074】
なお、
図5および
図6では、走査線駆動回路3の一部して、TAB(Tape Automated Bonding)で形成されたフレキ部分30、32、33を一例に図示されているが、それに限らない。COF(Chip on Film)またはTCP(Tape Carrier Package)で形成されていてもよくドライバIC31等を表示パネル6上に搭載したCOG(Chip on Glass)で形成されているとしてもよい。電源配線の引き回しの説明であり、ドライバの実施形態はパネル周辺に内蔵して形成する等、どういう形態であっても適用が可能である。また、
図5および
図6では、表示パネル6の片側にのみ形成されている例を示しているが、それに限らず両側からの給電される構成でもよい。
【0075】
期間T21の長さは、節点Bは初期化電源線71の電圧V
INIになるように、節点Bの充電期間をとる必要がある。発光状態において節点Bの電圧はV
ELから3〜8V程度上昇した電位にある。電圧V
INIは駆動トランジスタ61の閾値電圧によるが、電圧V
ELに対して1V〜7V程度低い電圧を入れるため、期間T21での節点Bの電位変化は4V〜15V程度必要である。一方、期間T24の長さは、駆動トランジスタ61の閾値電圧検出が完了するまでとなるが、初期化期間終了時から閾値電圧検出後の節点Bの電位差は1V〜9V程度であり、期間T21での電位変化量に比べて小さい。
【0076】
節点Bを所定電位に変化させるために供給される電荷は、期間T21では初期化電源線71により供給され、期間T24ではELアノード電源線69から供給される。
【0077】
配線引き回しにおいてELアノード電源線69はパネル電力に影響するため極力抵抗が小さくなる縦方向であり、1画素ごとに1本の電源線を介して画素の節点Bに電流を供給する。電源線の負荷は小さい。ただし、駆動トランジスタ61を介して供給するため、供給できる電流に制限があり、パネル表示で必要とされる最大画素電流の2倍程度である。一方、初期化電源線71は横方向のため、1本の電源線に接続される画素は同時に
図3のシーケンスを実施するため横方向の画素数により分流された電流しか供給されないが、電源回路から直接供給可能であるため、充電電流は大きくとることが可能である。最大画素電流の1万倍以上とることも可能であり、4k2k表示パネルのような横方向に4000画素×RGB接続されたとしても、ELアノード電源線69からの供給に比べても大きくすることが可能である。
【0078】
電位変動の大きさと1画素あたりに供給される電流量、電源配線時定数から考慮するとほぼ電位変動量の違いにより節点Bの充電時間が決定され、期間T21は期間T24に比べて1.6〜4倍長くする必要がある。
【0079】
期間T21を長くすることで節点Bの電位変化に従って節点Aも変化し、発光期間T29での節点A電位から低下する。発光期間T29で上昇した節点A電位を基準電圧電源線68の基準電圧V
REFに近い電圧まで低下させることができ、階調表示に影響する基準電圧電源線68の基準電圧V
REFによる節点Aの充放電をより少なくし、電位変動が小さくなる利点があり、より刻み幅の小さい階調表示が実現できる利点がある。
【0080】
なお、
図6および
図7を用いて、初期化電源線71がELアノード電源線69および基準電圧電源線68と直交する方向に配置されている場合について説明したが、それに限らない。基準電圧電源線68がELアノード電源線69および初期化電源線71と直交する方向に配置されているとしてもよい。この場合には、基準電圧電源線68を印加する期間T22を長くすればよい。
【0081】
この場合、表示パネル6の外部(パネル外部)への電源線の引き出しが、基準電圧電源線68とそれ以外で異なる方向に引き出されることから、パネル外部への電源引き出し配線を太くすることができ、表示パネル6の周辺から外部電源回路までの基準電圧電源線68の抵抗を小さく設計することが容易となる。それにより、抵抗による電圧ドロップによる電源変動の影響を受けにくくなり、均一性の高い表示が実現可能となる。
【0082】
(期間T22:初期化期間)
図3に示す時刻t1〜時刻t2の期間T22は、駆動トランジスタ61の閾値電圧補償を行うためにドレイン電流を流すのに必要な電圧を駆動トランジスタ61のソースゲート間に印加する初期化期間である。
【0083】
具体的には、
図4Bの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t1において、走査線駆動回路3は、Scan線72とEnable線75の電圧レベルをLOWに維持し、Init線74の電圧レベルをHIGHに維持しつつ、Ref線73の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t1において、スイッチ62及びイネーブルスイッチ65は非導通状態(オフ状態)、かつ、スイッチ64が導通状態(オン状態)のままで、スイッチ63が導通状態(オン状態)にされる。
【0084】
これにより、節点Aの電位が基準電圧電源線68の電圧V
REFに設定される。ここで、スイッチ64が導通状態であるから、節点Bの電位は初期化電源線71の電圧V
INIに設定されている。すなわち、駆動トランジスタ61は、基準電圧電源線68の電圧V
REF及び初期化電源線71の電圧V
INIが印加される。
【0085】
なお、期間T22は、節点Aおよび節点Bの電位が、所定電位になるまでの長さ(時間)に設定される。
【0086】
また、上述したように、駆動トランジスタ61のゲートソース間電圧は、閾値補正動作を行うのに必要な初期ドレイン電流を確保できる電圧に設定されることが必要である。そのため、基準電圧電源線68の電圧V
REFと初期化電源線71の電圧V
INIの電位差は駆動トランジスタ61の最大閾値電圧よりも大きな電圧に設定される。また、電圧V
REF及び電圧V
INIは、EL素子66に電流が流れないように、電圧V
INI<電圧V
EL+EL素子66の順方向電流閾値電圧、および、V
REF<電圧V
EL+EL素子66の順方向電流閾値電圧+駆動トランジスタ61の閾値電圧、となるように設定される。
【0087】
(期間T23)
図3に示す時刻t2〜時刻t3の期間T23は、スイッチ64とイネーブルスイッチ65とが同時に導通状態とならないようにするための期間である。
【0088】
より具体的には、
図4Cの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t2において、走査線駆動回路3は、Scan線72とEnable線75の電圧レベルをLOWに維持し、Ref線73の電圧レベルをHIGHに維持しつつ、Init線74の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t2において、スイッチ62及びイネーブルスイッチ65は非導通状態(オフ状態)、かつ、スイッチ63が導通状態(オン状態)のままで、スイッチ64が非導通状態(オフ状態)にされる。
【0089】
このように、Init線74の動作によりスイッチ64を非導通とする期間T23を設けることにより、期間T23がなければスイッチ64とイネーブルスイッチ65とが同時に導通状態となり、イネーブルスイッチ65、駆動トランジスタ61、および、スイッチ64を介して、ELアノード電源線69と初期化電源線71との間に貫通電流が流れてしまうのを防止することができる。
【0090】
なお、この時の貫通電流は、駆動トランジスタ61が閾値補償動作を行うのに十分な電流となるため、駆動トランジスタ61の閾値電圧が小さい場合には最高階調以上の電流が流れることも想定される。
【0091】
ELアノード電源線69は、発光期間においてEL素子66に流れる電流に対応して、電圧降下が少ないように太く配線されているため、期間T23での貫通電流があっても、電圧変動の影響が少ない。一方、初期化電源線71については、節点Bを所定電位に充電できればよく、電流が必要でない配線のため、ELアノード電源線69ほど太く配線されない。しかし、貫通電流が発生すると、ELアノード電源線69の配線抵抗により電圧降下がおき、電圧降下量が大きくなることから、節点Bの所定の電位が印加できなくなる場合も考えられる。初期化電源線71の配線幅を太くすればよいが、配線幅を太くしないで良い方法として、本開示のように期間T23を設ける(挿入する)方法がある。期間T23を挿入する(設ける)ことにより、上述したように、初期化電源線71に流れる電流を少なくすることができるので、細い配線であっても節点Bに所定電圧を印加することができる。
【0092】
(期間T24:閾値補償期間)
次に、
図3の時刻t3〜時刻t4の期間T24は、駆動トランジスタ61の閾値電圧を補償する閾値補償期間である。
【0093】
具体的には、
図4Dの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t3において、走査線駆動回路3は、Scan線72およびInit線74の電圧レベルをLOW、Ref線73の電圧レベルをHIGHに維持し、Enable線75の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t3において、スイッチ62およびスイッチ64は非導通状態(オフ状態)に、かつ、スイッチ63は導通状態(オン状態)に維持されつつ、イネーブルスイッチ65が導通状態(オン状態)にされる。
【0094】
ここで、電圧は、初期化期間(期間T22)で上述したように設定されているので、EL素子66には電流が流れない。駆動トランジスタ61は、ELアノード電源線69の電圧V
TFTによりドレイン電流が供給されるが、それとともに駆動トランジスタ61のソース電位が変化する。言い換えると、駆動トランジスタ61は、ELアノード電源線69の電圧V
TFTにより供給されるドレイン電流が0となる点まで駆動トランジスタ61のソース電位が変化する。
【0095】
このように、駆動トランジスタ61のゲート電極に基準電圧電源線68の電圧V
REFを入力した状態で、イネーブルスイッチ65を導通状態(オン状態)にすると、駆動トランジスタ61の閾値補償動作を開始することができる。
【0096】
そして、期間T24の終了時(時刻t4)には、節点Aと節点Bとの電位差(駆動トランジスタ61のゲートソース間電圧)は駆動トランジスタ61の閾値に相当する電位差となっており、この電圧は蓄積容量67に保持(記憶)される。
【0097】
(期間T25)
図3に示す時刻t4〜時刻t5の期間T25は、閾値補償動作を終了させるための期間である。
【0098】
より具体的には、
図4Eの画素回路60の動作状態に示されるように、走査線駆動回路3は、Scan線72およびInit線74の電圧レベルをLOW、Ref線73の電圧レベルをHIGHに維持し、Enable線75の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t4において、スイッチ62およびスイッチ64は非導通状態(オフ状態)に、かつ、スイッチ63は導通状態(オン状態)に維持されつつ、イネーブルスイッチ65が非導通状態(オフ状態)にされる。
【0099】
このようにして、Enable線75の動作によりイネーブルスイッチ65を非導通とする期間T25を設けることにより、駆動トランジスタ61経由で、ELアノード電源線69から節点Bへの電流の供給をなくすことができ、閾値補償動作を確実に終了させてから次の動作を行うことができる。
【0100】
(期間T26)
図3に示す時刻t5〜時刻t6の期間T26は、スイッチ63を非導通状態(オフ状態)にすることで、Data線76を介して供給されたデータ信号電圧と基準電圧電源線68の電圧V
REFとが同時に節点Aに印加されるのを防止する期間である。
【0101】
具体的には、
図4Fの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t5において、走査線駆動回路3は、Scan線72とInit線74とEnable線75との電圧レベルをLOWに維持しつつ、Ref線73の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t5において、スイッチ62、スイッチ64及びイネーブルスイッチ65は非導通状態(オフ状態)のままで、スイッチ63が非導通状態(オフ状態)にされる。
【0102】
このように、Ref線73の動作によりスイッチ63をさらに非導通とし、スイッチ62およびスイッチ63が非導通状態(オフ状態)となる期間T26を設けることで、Data線76を介してスイッチ62から供給されるデータ信号電圧と、基準電圧電源線68の電圧V
REFとが節点Aに同時に印加されるのを防止することができる。
【0103】
なお、スイッチ63とイネーブルスイッチ65とを同時に非導通状態(オフ状態)にし、期間T25および期間T26は一つにまとめてもよい。
【0104】
期間T25および期間T26と2段階にわける場合には、以下に説明する利点がある。すなわち、期間T25および期間T26を設けることで、駆動トランジスタ61のゲート電位である節点Aの電位が不定となる期間をなるべく短くし、不定期間中で発生する恐れのある電位変動を抑え、映像信号に基づいた表示がより正確にできる。
【0105】
また、階調表示は期間T26の最後(時刻t6)の節点Aの電位と、Data線76で入力されるデータ信号電圧(映像信号)の書き込み完了時(時刻t27)の節点Aの電位との電位差によって行われるため、期間T26における節点Aの電位変動は少ないほうが好ましい。理想的には、期間T24において節点Aに基準電圧電源線68の電圧V
REFが印加され、期間T25においては節点Aの電位が保持されることから、電位差(映像信号電圧−電圧V
REF)に基づいてEL素子66の表示輝度が決まる。
【0106】
なお、(映像信号電圧−電圧V
REF)の電位差を正確に反映させるには、期間T26はなるべく短い方がよい。
【0107】
また、Enable線75に接続されるイネーブルスイッチ65は
図4F(
図2)に示すように駆動トランジスタ61のドレイン側に接続されている。イネーブルスイッチ65をn型トランジスタで形成した場合、イネーブルスイッチ65のオン抵抗は高くなりやすく、オン抵抗による電圧ドロップは、表示パネル6の消費電力に影響する。そのため、できる限りイネーブルスイッチ65のオン抵抗を下げて形成する。一般的にはイネーブルスイッチ65のチャネルサイズを大きくしたり、Enable線75のオン制御電圧を高くしたりするなどでオン抵抗を下げる方法が知られているが、いずれの方法であってもEnable線75の立下り時間を長くする方向となってしまう。
【0108】
そこで、本実施の形態では、Ref線73に対して先にEnable線75を立ち下げる期間T25を設けることにより、節点Aの電圧が不安定となる期間を短くすることができる、つまり、立下り時間を短くすることができる。
【0109】
(期間T27:書込期間)
次に、
図3の時刻t6〜時刻t7の期間T27は、Data線76から表示階調に応じた映像信号電圧(データ信号電圧)を画素回路60にスイッチ62を介して取り込み、蓄積容量67に書き込む書込期間である。
【0110】
具体的には、
図4Gの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t6において、走査線駆動回路3は、Init線74、Ref線73及びEnable線75の電圧レベルをLOWに維持しつつ、Scan線72の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t6において、スイッチ63とスイッチ64とイネーブルスイッチ65は非導通状態(オフ状態)に維持されつつ、スイッチ62が導通状態(オン状態)にされる。
【0111】
これにより、蓄積容量67には、閾値補償期間で記憶された駆動トランジスタ61の閾値電圧Vthに加えて、映像信号電圧と基準電圧電源線68の電圧V
REFとの電圧差が、(EL素子66の容量)/(EL素子66の容量+蓄積容量67の容量)倍されて、記憶(保持)される。イネーブルスイッチ65が非導通状態にあるため、駆動トランジスタ61はドレイン電流を流さない。そのため、節点Bの電位は期間T27の間で大きく変化することはない。
【0112】
大画面化(表示パネル6のサイズが大きくなる)、かつ、画素回路60の数が増加するのに伴い、画素回路60に映像信号を書き込むための期間(水平走査期間)が短くなる。大画面化に伴いScan線72配線時定数も増加するため、水平走査期間の短縮とあわせて、所定の階調電圧を画素回路60に書き込むことが難しくなる。
【0113】
そこで、本実施の形態では、
図3に示すように、限られた時間で映像信号(データ信号電圧)を取り込むために、スイッチ62を導通させる時間(期間T27)を増加させている。また、本実施の形態では、Scan線72の波形なまりがあっても、所定の映像信号(データ信号電圧)がData線76に入力される前にScan線72が立ち上がりを完了させて、スイッチ62が導通状態(オン状態)となるようにしている。これは期間T27での節点B電位変動が大きく発生しないためである。
【0114】
これにより、Scan線72の負荷(配線時定数)が大きく、立ち上がりに時間がかかるような大画面、高画素数の表示パネル6であっても確実に書き込むことができる。
【0115】
なお、このように駆動させることから、Scan線72の配線幅をより細くすることもできる。その場合、配線幅を細くした分を蓄積容量67の大きさ(容量)を拡大することに用いて、表示性能を上げるとしてもよい。
【0116】
表示性能は、蓄積容量67が小さいと、駆動トランジスタ61のドレインゲート間寄生容量と蓄積容量67とEL素子66の容量が直列になっている関係から、ELカソード電源線70の変動により、蓄積容量67に書き込まれている電荷量が変化するという問題が顕著となる。そのため、表示性能は、寄生容量と蓄積容量の比率が重要であり、蓄積容量/寄生容量>>1が好ましい。
【0117】
このように、期間T27(書込期間)では、データ信号電圧(映像信号電圧)及び駆動トランジスタ61の閾値電圧に応じた電圧が蓄積容量67に記憶(保持)される。
【0118】
(期間T28)
図3に示す時刻t7〜時刻t8の期間T28は、スイッチ62を確実に非導通にさせるための期間である。
【0119】
より具体的には、
図4Hの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t7において、走査線駆動回路3は、Ref線73とInit線74とEnable線75の電圧レベルをLOWに維持しつつ、Scan線72の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t7において、スイッチ63、スイッチ64およびイネーブルスイッチ65は非導通状態(オフ状態)のままで、スイッチ62が非導通状態(オフ状態)にされる。
【0120】
これにより、続く期間T29(発光期間)においてイネーブルスイッチ65が導通状態(オン状態)にするまえにスイッチ62を確実に非導通状態(オフ状態)にすることができる。
【0121】
期間T28を設けず、イネーブルスイッチ65とスイッチ62とが同時に導通状態(オン状態)になってしまった場合、駆動トランジスタ61のドレイン電流により、節点Bの電位が上昇する一方で、節点Aの電位はデータ信号電圧となることから、駆動トランジスタ61のソースゲート間電圧が小さくなってしまう。この場合には、所望の輝度に比べて少ない輝度で発光してしまうという問題となる。これを防止するため、本実施の形態では、期間T28を設けてスイッチ62が非導通であることを確保してから、続く期間T29においてイネーブルスイッチ65を導通状態にする。
【0122】
(期間T29:発光期間)
次に、
図3に示す時刻t8〜時刻t9の期間T29は、発光期間である。
【0123】
具体的には、
図4Iの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t8において、走査線駆動回路3は、Scan線72、Ref線73及びInit線74の電圧レベルをLOWに維持しつつ、Enable線75の電圧レベルをLOWからHIGHに変化させる。すなわち、時刻t8において、スイッチ62、スイッチ63及びスイッチ64は非導通状態(オフ状態)に維持されつつ、イネーブルスイッチ65が導通状態(オン状態)にされる。
【0124】
このように、イネーブルスイッチ65を導通状態(オン状態)にさせることで、蓄積容量67に蓄えられた電圧に応じて駆動トランジスタ61にEL素子66に電流を供給しEL素子66を発光させることができる。
【0125】
(期間T30)
図3に示す時刻t9〜時刻t0の期間T30は、すべてのスイッチを非導通状態として、節点Aおよび節点Bの電位を、期間T21で必要な電圧に近い電圧まで変化させるための期間である。
【0126】
より具体的には、
図4Jの画素回路60の動作状態に示されるように、時刻t9において、走査線駆動回路3は、Scan線72とRef線73とInit線74の電圧レベルをLOWに維持しつつ、Enable線75の電圧レベルをHIGHからLOWに変化させる。すなわち、時刻t9において、スイッチ62、スイッチ63、スイッチ64は非導通状態(オフ状態)のままで、さらにイネーブルスイッチ65が非導通状態(オフ状態)にされる。
【0127】
このようにすることで、期間T29と期間T21の間に期間T30を設けることで、電源線による電流の充放電なしに、節点Aおよび節点Bの電位を、期間T21で必要な電圧に近い電圧まで変化させることができる。
【0128】
より具体的には、節点Bは、期間T30において、ELカソード電源線70の電圧V
EL+EL素子66の閾値電圧に収束する。また、節点Aは、期間T30において、節点Bの電圧+蓄積容量67に記憶された電圧となる。
【0129】
つまり、期間T21の開始時点(時刻t0)では、期間T29の終了時点(時刻t9)に比べ、EL素子66の発光時電圧―閾値電圧分だけ低くできる。
【0130】
この電位低下により、期間T21での初期化電源線71の電圧V
INIと基準電圧電源線68の電圧V
REFによる充放電作業の負荷が軽くなる。
【0131】
以上のようなシーケンスにより、画素回路60は、階調表示を行う。
【0132】
なお、表示パネル制御回路2は、表示パネル6を構成する他の画素回路60についても、同様の駆動方法を線順次に行う。
【0133】
以上、実施の形態によれば、表示パネルのサイズが大きい場合でも高精度な画像表示を可能とする駆動方法および表示装置を実現することができる。
【0134】
より具体的には、例えば、表示パネル制御回路2は、複数の画素回路60の各々において,イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)およびスイッチ62(第3スイッチ)が非導通、かつ、スイッチ63(第2スイッチ)およびスイッチ64(第4スイッチ)が導通に切り換えられて駆動トランジスタ61が初期化される期間T22(初期化期間)を実行する。また、表示パネル制御回路2は、イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)およびスイッチ63(第2スイッチ)が導通、かつ、スイッチ62(第3スイッチ)およびスイッチ64(第4スイッチ)が非導通に切り換えられて駆動トランジスタ61の閾値電圧が補償される期間T24(閾値電圧補償期間)を実行する。
【0135】
また、例えば、表示パネル制御回路2は、複数の画素回路60の各々において、期間T22(初期化期間)の前にスイッチ64(第4スイッチ)のみ導通に切り換えることで期間T21を開始させ、スイッチ63(第2スイッチ)を導通に切り換えることで期間T21に続く期間T22(初期化期間)を開始させ、期間T21は、期間T24(閾値電圧補償期間)よりも長くなるよう制御する。
【0136】
また、例えば、表示パネル制御回路2は、複数の画素回路60の各々において、期間T21の前にイネーブルスイッチ65(第1スイッチ)を非導通に切り換えることで、EL素子66を発光させる期間を終了させて、イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)、スイッチ63(第2スイッチ)、スイッチ62(第3スイッチ)およびスイッチ64(第4スイッチ)が非導通に切り換えられた後の期間T30を開始し、スイッチ64(第4スイッチ)を導通に切り換えることで期間T30に続く期間T21を開始する。
【0137】
また、表示パネル制御回路2は、複数の画素回路60の各々において、期間T24(閾値電圧補償期間)内で、イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)を非導通に切り換えることで、期間T24(閾値電圧補償期間)を終了させて期間T24(閾値電圧補償期間)に続く期間T25を開始し、期間T25の終了後に、スイッチ62(第3スイッチ)が導通に、かつ、イネーブルスイッチ65(第1スイッチ)、スイッチ63(第2スイッチ)およびスイッチ64(第4スイッチ)が非導通に切り換えられた後の期間であって蓄積容量67に電圧を書き込む期間T27(書込期間)を開始する。
【0138】
また、例えば、表示パネル制御回路2は、複数の画素回路60の各々において、期間T25内で、スイッチ63(第2スイッチ)を非導通に切り換えることで、期間T25を終了させて期間T25に続く期間T26を開始し、期間T26内で、スイッチ62(第3スイッチ)を導通に切り換えることで、期間T26を終了させて期間T26に続く期間T27(書込期間)を開始する。
【0139】
以上のように、本発明によれば、表示パネルのサイズが大きい場合でも高精度な画像表示を可能とする駆動方法および表示装置を実現することができる。
【0140】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る表示装置およびその駆動方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0141】
なお、本発明において、スイッチ62〜スイッチ64、イネーブルスイッチ65および駆動トランジスタ61を構成する薄膜トランジスタ(TFT)はn型であってもp型であっても、両方の組み合わせであってもよい。また、薄膜トランジスタのチャネル層は、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、ポリシリコン、酸化物半導体および有機半導体などのうちのいずれかで形成されていてもよい。
【0142】
また、EL素子66は、典型的には有機発光素子であるが、電流に応じて発光強度が変化するデバイスであればどんな電流−光変換デバイスでもよい。