特許第6175859号(P6175859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175859
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】風呂蓋
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20170731BHJP
【FI】
   A47K3/00 B
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-73197(P2013-73197)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-195597(P2014-195597A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2016年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157901
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 達哲
(72)【発明者】
【氏名】副島 嵩生
(72)【発明者】
【氏名】北角 俊実
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−326114(JP,A)
【文献】 特開平09−011377(JP,A)
【文献】 実開昭52−090248(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる平板部と、
前記平板部の側面を被覆して、前記平板部を反らそうとする応力に対して前記平板部よりも大きな曲げ強さを発揮する縁材と、
を備え、
前記縁材は、
前記平板部の表裏面の外縁部および前記側面の側方とに亘る領域のうち、少なくとも前記表裏面と前記側面とがなす角部を被覆する軟質樹脂製の保護部と、
前記平板部の側面を被覆する硬質樹脂製の補強部と、を有する風呂蓋。
【請求項2】
前記保護部と前記補強部とは、製造時に一体化された請求項1記載の風呂蓋。
【請求項3】
前記平板部は、
前記圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる芯材と、
前記芯材の表裏面を被覆して、外力を加えると前記芯材に追随して弾性変形する樹脂シートまたは樹脂フィルムからなる被覆樹脂と、
からなる請求項1または2に記載の風呂蓋。
【請求項4】
前記芯材と前記被覆樹脂とは、密着するように接着されている請求項3記載の風呂蓋。
【請求項5】
前記平板部は、前記圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる面材の表面に、シボ加工あるいはスキン層を形成して化粧面が形成されてなる請求項1または2に記載の風呂蓋。
【請求項6】
前記縁材において、前記平板部の表裏の厚み方向と同じ方向の長さよりも、前記平板部の周囲面に対して垂直な方向の長さが短い請求項1〜5のいずれか1つに記載の風呂蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の上に載せる風呂蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
平板状の風呂蓋は、保温性を高めるために熱で反りにくくなっており、主として、発泡樹脂等の断熱素材からなる芯材と、芯材の表裏面を被覆する硬質樹脂製の化粧板と、芯材と化粧板の間に挟まれて風呂蓋を反らないようにする補強材と、芯材の周囲を被覆する縁材(エッジプロテクター)とから構成されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、樹脂発泡体の両面に、補強材として延伸オレフィン系樹脂シートを積層し、さらにポリプロピレン系樹脂板を積層した風呂蓋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−130243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、浴槽内と浴室内の温度差によって風呂蓋が反らないようにする強度を、化粧板や補強材に頼っているが、化粧板や補強材は、芯材(面材)の表裏面と同じ大きさ(面積)であるため、風呂蓋の軽量化の障害となる。また、芯材の表裏面に補強用の部材を重ねると、製造工程が増えてしまう。
【0006】
本発明は、軽量で周端縁部が反りにくい風呂蓋を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる平板部と、前記平板部の側面を被覆して、前記平板部を反らそうとする応力に対して前記平板部よりも大きな曲げ強さを発揮する縁材と、を備えた風呂蓋であり、前記縁材は、前記平板部の表裏面の外縁部および前記側面の側方とに亘る領域のうち、少なくとも前記表裏面と前記側面とがなす角部を被覆する軟質樹脂製の保護部と、前記平板部の側面を被覆する硬質樹脂製の補強部と、を有することを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、平板部は圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなるので、使用中に風呂蓋にかかる程度の外力に対して塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、平板部は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋が局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。また、浴槽に湯が貯まった状態で浴槽の開口を風呂蓋で蓋をした場合に、浴槽内と浴室内の温度差により、風呂蓋が凹状に反ろうとする応力が働いても、浴槽の風呂蓋載置面(浴槽リム上面)に載置された平板部の周端縁部が反らないように、縁材が平板部を支えているので、風呂蓋と、浴槽の風呂蓋載置面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。
その縁材において外部に露出する部分である保護部を軟質樹脂として、人や、浴室内の他の構成物に対する当たりを柔らかくする一方で、硬質樹脂製の補強部によって、平板部を反らそうとする応力に対して平板部よりも大きな曲げ強さを発揮させている。
よって、縁材の全体を軟質樹脂で形成する構成に比べて、縁材の厚みを小さくすることができ、風呂蓋をさらに軽量化することができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記保護部と前記補強部とは、製造時に一体化されたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明によれば、補強部と保護部を平板部に別々に取り付ける必要がなく、風呂蓋の製造が容易となる。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記平板部は、前記圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる芯材と、前記芯材の表裏面を被覆して、外力を加えると前記芯材に追随して弾性変形する樹脂シートまたは樹脂フィルムからなる被覆樹脂と、からなることを特徴とする。
【0012】
第3の発明によれば、芯材は圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなるので、使用中に風呂蓋にかかる程度の外力に対して塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、芯材は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋が局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
また、被覆樹脂も、外力を加えると、芯材に追随して弾性変形する弾性を有するため、被覆樹脂は、外力によってへこんだ芯材が元に戻る弾性変形を妨げない。
【0013】
第4の発明は、第3の発明において、前記芯材と前記被覆樹脂とは、密着するように接着されていることを特徴とする。
【0014】
第4の発明によれば、芯材と被覆樹脂との間に空気が入り込まず、風呂蓋の表面にしわができない。風呂蓋の表面を凹凸のない平坦な表面にすることができ、見栄えを損ねない。また、浴槽の開口を覆った使用時、湯の温度で風呂蓋内の空気が膨張して被覆樹脂が膨らむことがない。よって、見栄えがよく、さらに、風呂蓋が載置される浴槽リムの上面との間に隙間ができることもなく、高い保温性を維持することができる。
【0015】
第5の発明は、第1または第2の発明において、前記平板部は、前記圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる面材の表面に、シボ加工あるいはスキン層を形成して化粧面が形成されてなることを特徴とする。
【0016】
第5の発明によれば、平板部(面材)の表裏面に、その表裏面と同じ面積の硬質樹脂製化粧板や補強用部材を設ける構造に比べて、大幅に軽量化することができ、持ち運び時などの取り扱い性が向上する。
【0017】
第6の発明は、第1〜第5の発明のいずれか1つにおいて、前記縁材において、前記平板部の表裏の厚み方向と同じ方向の長さよりも、前記平板部の周囲面に対して垂直な方向の長さが短いことを特徴とする。
【0018】
第6の発明によれば、平板部の表裏面に広い面積にわたって補強部材を設けなくても、平板部の周囲面に断面縦長形状の縁材を設けるだけで、平板部の周端縁部の反りを抑制することができる。また、縁材が薄くなるので、さらに軽量化できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、取り扱い性及び保温性に優れた風呂蓋が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の風呂蓋の模式平面図。
図2】(a)は、第1実施形態の風呂蓋の模式斜視図であり、(b)は、図2(a)におけるA−A断面図。
図3】(a)は、第2実施形態の風呂蓋の模式斜視図であり、(b)は、図3(a)におけるB−B断面図。
図4】実施形態の風呂蓋の縁材の変形例を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照し、実施形態について説明する。各図面中、同じ要素には同じ符号を付している。
【0022】
図1は、実施形態の風呂蓋1の模式平面図である。なお、図1に示す風呂蓋1は、後述する第1実施形態の風呂蓋1Aまたは第2実施形態の風呂蓋1Bを表す。
【0023】
風呂蓋1は、浴槽の開口を塞いで浴槽内に貯留された湯の熱が外へ逃げることを防ぐ。上方からみたときの平面視において、風呂蓋1は、例えば略矩形状に形成され、浴槽のリムの上面に渡されるように配置される。
【0024】
1枚または複数枚の風呂蓋1によって、浴槽の開口の全体が塞がれる。図1に表した例では、2枚の風呂蓋1が浴槽の長手方向に並べて配置され、これらの風呂蓋1によって浴槽の開口の全体が覆われる。
【0025】
(第1実施形態)
図2(a)は、実施形態の風呂蓋1Aの模式斜視図であり、図2(b)は、図2(a)におけるA−A断面図である。
【0026】
風呂蓋1Aは、平板部10と、平板部10の側面を被覆している縁材18とからなる。平板部10は、芯材11と、芯材11の表裏面を被覆している被覆樹脂12とからなる。縁材18は、芯材11の側面及び被覆樹脂12の側面を被覆している。
【0027】
芯材11は、例えば平面形状が略矩形状の薄板状に形成され、表面、その反対側の裏面、および芯材11の外形輪郭線に沿って形成された側面(周囲面)を有する。なお、以下の説明において、芯材11及び平板部10の表と裏を区別せず、単に表面と表す場合もある。
【0028】
芯材11は、外力を加えると弾性変形する発泡樹脂からなる。芯材11は、例えば、JIS K6767で規定された測定方法によって算出された圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる。圧縮永久ひずみは、材料に荷重を負荷した後、その荷重を除去したときに材料に残ったひずみである。
【0029】
圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、軟質ウレタンフォーム、ポリスチレン−ポリオレフィン複合樹脂発泡体が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させたポリプロピレン(EPP)の圧縮永久ひずみは、8%〜11%程度である。
一方、圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂として、硬質ウレタンフォーム、押出発泡あるいは発泡ビーズ法で発泡させたポリスチレン系樹脂が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させたポリスチレン(EPS)の圧縮永久ひずみは、21%〜24%程度である。これらの圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂で芯材11を成形すると、芯材11に生じた凹みが元に戻らず、風呂蓋1Aの表裏面に凹凸が発生するので、風呂蓋には相応しくない。
【0030】
被覆樹脂12は、芯材11の表裏面を被覆している。芯材11の表裏面は、被覆樹脂12で被覆され、外部に露出していない。被覆樹脂12は、芯材11の表裏面を保護し、また化粧面として機能する。
【0031】
被覆樹脂12は、芯材11よりも薄く、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系の樹脂シートまたは樹脂フィルムからなる。被覆樹脂12は、外力を加えると、芯材11に追随して弾性変形する弾性を有する。また、被覆樹脂12は、非透水性を有する。
【0032】
被覆樹脂12は芯材11の表裏面に接着され、芯材11の表裏面と被覆樹脂12とは密着している。このため、芯材11と被覆樹脂12との間に空気が入り込まず、風呂蓋1Aの表面にしわができない。風呂蓋1Aの表面を凹凸のない平坦な表面にすることができ、見栄えを損ねない。
【0033】
また、浴槽の開口を覆った使用時、湯の温度で風呂蓋1A内の空気が膨張して被覆樹脂12が膨らむことがない。よって、見栄えがよく、さらに、風呂蓋1Aが載置される浴槽リムの上面との間に隙間ができることもなく、高い保温性を維持することができる。
【0034】
芯材11の側面及び被覆樹脂12の側面は、縁材18で被覆され、外部に露出していない。縁材18は、軟質樹脂製の保護部14と、保護部14よりも硬質の硬質樹脂製の補強部17とを有する。
【0035】
補強部17は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどからなる。保護部14は、例えば、ポリオレフィンからなる。
【0036】
補強部17は、硬質の帯板状に形成され、平板部10の側面(周囲面)に沿って連続して設けられ、平板部10の側面を被覆している。補強部17は、平板部10の側面と、保護部14との間に設けられ、外部に露出していない。
【0037】
保護部14は、平板部10の表裏面(被覆樹脂12の表裏面)の外縁部および平板部10の側面の側方とに亘る領域を連続して覆っている。すなわち、保護部14は、平板部10の表裏面と側面とがなす角部を覆っている。
【0038】
保護部14は、平板部10の側面(周囲面)に沿って連続して設けられ、平板部10の側面を覆う側面部15を有する。また、保護部14は、平板部10の外縁部を覆うつば部16を有する。つば部16は、側面部15の上端及び下端から、平板部10の表裏面に対して平行な方向に張り出すように形成されている。
【0039】
縁材18は、平板部10の側面(周囲面)を連続して囲み、浴槽内と浴室内の温度差によって平板部10を反らそうとする応力に対して、平板部10よりも大きな曲げ強さを発揮して、浴槽リムの上に載置される平板部10の周端縁部が反らないように平板部10を支えている(補強している)。
【0040】
実施形態によれば、芯材11の表裏面を樹脂シートまたは樹脂フィルムからなる被覆樹脂12で被覆して、風呂蓋1Aの表裏面に化粧面を形成している。また、平板部10の反りを抑制する縁材18を、平板部10の周囲面に設けている。
【0041】
このため、芯材11の表裏面に、その表裏面と同じ面積の硬質樹脂製化粧板や補強用部材を設ける構造に比べて、実施形態の風呂蓋1Aは軽量になり、持ち運び時などの取り扱い性が向上する。
【0042】
また、芯材11は圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなるので、使用中に風呂蓋1Aにかかる程度の外力に対して塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、芯材11は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋1Aが局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
【0043】
また、被覆樹脂12も、外力を加えると、芯材11に追随して弾性変形する弾性を有する。このため、被覆樹脂12は、外力によってへこんだ芯材11が元に戻る弾性変形を妨げない。
【0044】
浴槽に湯が貯まった状態で浴槽の開口を風呂蓋1Aで蓋をした場合に、浴槽内と浴室内の温度差により、風呂蓋1Aが凹状に反ろうとする応力が働いても、浴槽の風呂蓋載置面(浴槽リム上面)に載置された平板部10の周端縁部が反らないように縁材18が平板部10を支えているので、風呂蓋1Aと、浴槽の風呂蓋載置面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。
【0045】
縁材18において外部に露出する部分である保護部14を軟質樹脂として、人や、浴室内の他の構成物に対する当たりを柔らかくする一方で、平板部10の側面と保護部14との間に配設した硬質樹脂製の補強部17によって、平板部10の周端縁部を反らそうとする応力に対して平板部10よりも大きな曲げ強さを発揮させている。
【0046】
よって、縁材の全体を軟質樹脂で形成していた従来の縁材(エッジプロテクター)に比べて、第1実施形態によれば縁材18の厚みを小さくすることができ、風呂蓋1Aをさらに軽量化することができる。
【0047】
補強部17と保護部14は、二色成形あるいはインサート成形によって製造時に一体化することで、補強部17と保護部14を平板部10に別々に取り付ける必要がなく、風呂蓋1Aの製造が容易となる。
【0048】
また、縁材18において、平板部10の表裏の厚み方向と同じ方向の長さaよりも、平板部10の周囲面に対して垂直な方向の長さbが短い。すなわち、つば部16における平板部10の表裏面に対して平行な方向の幅bは、側面部15における周囲長に対して垂直な方向の幅aよりも小さい。
【0049】
平板部10の表裏面に広い面積にわたって補強部材を設けなくても、平板部10の周囲面に断面縦長形状の縁材18を設けるだけで、平板部10の周端縁部の反りを抑制することができる。また、縁材18が薄くなるので、さらに軽量化できる。
また、つば部16を含めた保護部14を軟質樹脂で形成しているので、風呂蓋1Aが浴槽リム上で滑らないようにすることができる。
【0050】
(第2実施形態)
図3(a)は、第2実施形態の風呂蓋1Bの模式斜視図であり、図3(b)は、図3(a)におけるB−B断面図である。
【0051】
第2実施形態の風呂蓋1Bは、平板部20と、平板部20の側面を被覆している縁材18とからなる。縁材18の構成は、第1実施形態と同じである。
【0052】
平板部20は、面材21の表面に、例えばシボ加工により化粧面22が形成されてなる。面材21は、例えば平面形状が略矩形状の薄板状に形成され、表面、その反対側の裏面、および面材21の外形輪郭線に沿って形成された側面(周囲面)を有する。なお、以下の説明において、面材21及び平板部20の表と裏を区別せず、単に表面と表す場合もある。
【0053】
面材21は、外力を加えると弾性変形する発泡樹脂からなる。第1実施形態と同様、面材21は、例えば、JIS K6767で規定された測定方法によって算出された圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなる。
【0054】
圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、軟質ウレタンフォーム、ポリスチレン−ポリオレフィン複合樹脂発泡体が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させたポリプロピレン(EPP)の圧縮永久ひずみは、8%〜11%程度である。
一方、圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂として、硬質ウレタンフォーム、押出発泡あるいは発泡ビーズ法で発泡させたポリスチレン系樹脂が挙げられる。例えば、30〜60倍率でビーズ発泡させたポリスチレン(EPS)の圧縮永久ひずみは、21%〜24%程度である。これらの圧縮永久ひずみが20%を超える発泡樹脂で面材21を成形すると、面材21に生じた凹みが元に戻らず、風呂蓋1Bの表裏面に凹凸が発生するので、風呂蓋には相応しくない
【0055】
面材21の表面は、例えば金型の表面に細かい模様(凹凸)をつけ、成形品にその模様を転写するシボ加工により形成された化粧面22となっている。
【0056】
面材21は、例えば発泡ビーズ法により成形される。具体的には、細粒状の材料樹脂にガス(例えば炭化水素ガス)を吸収させ、高温下で樹脂を軟化させると共に圧力を加えて発泡させる。
【0057】
発泡ビーズ法による成形で発泡ビーズの模様が露出した面材21の表面に、個々の発泡ビーズの粒径よりも小さな大きさのシボを施すことによって、化粧面22を形成する。
【0058】
シボの大きさを、個々の発泡ビーズの粒径よりも小さくしたので、面材21の表面から発泡ビーズの模様が目立たなくなり、風呂蓋1Bの外観に高級感を与えることができる。また、風呂蓋1Bの表面の触り心地を良くし、滑りを防止でき、汚れ、指紋、傷を目立ちにくくすることができる。また、化粧面22は、非透水性を有する。
【0059】
第2実施形態によれば、面材21の表裏面に、シボ加工により化粧面22を形成している。また、面材21の反りを抑制する縁材18を、面材21(平板部20)の周囲面に設けている。
【0060】
このため、第2実施形態の風呂蓋1Bは、発泡樹脂からなる平板部20と、平板部20の周囲を被覆する縁材18とから構成されることになり、平板部(面材)の表裏面に、その表裏面と同じ面積の硬質樹脂製化粧板や補強用部材を設ける構造に比べて、大幅に軽量化することができ、持ち運び時などの取り扱い性が向上する。
【0061】
また、面材21は圧縮永久ひずみが20%以下の発泡樹脂からなるので、使用中に風呂蓋1Bにかかる程度の外力に対して塑性変形や破壊することがなく、弾性変形するにとどまる。このため、面材21は外力によって一時的に変形しても、すぐに元に戻り、風呂蓋1Bが局部的にへこんだままになったり、大きく変形することがない。
【0062】
浴槽に湯が貯まった状態で浴槽の開口を風呂蓋1Bで蓋をした場合に、浴槽内と浴室内の温度差により、風呂蓋1Bが凹状に反ろうとする応力が働いても、浴槽の風呂蓋載置面(浴槽リム上面)に載置された平板部20の周端縁部が反らないように縁材18が平板部20を支えているので、風呂蓋1Bと、浴槽の風呂蓋載置面との間に生じる隙間を抑制でき、高い保温能力を発揮することができる。
【0063】
第2実施形態においても、縁材18において外部に露出する部分である保護部14を軟質樹脂として、人や、浴室内の他の構成物に対する当たりを柔らかくする一方で、平板部20の側面と保護部14との間に配設した硬質樹脂製の補強部17によって、平板部20の周端縁部を反らそうとする応力に対して平板部20よりも大きな曲げ強さを発揮させている。
【0064】
よって、縁材の全体を軟質樹脂で形成していた従来の縁材(エッジプロテクター)に比べて、第2実施形態によれば縁材18の厚みを小さくすることができ、風呂蓋1Bをさらに軽量化することができる。
【0065】
また、面材21の表面にスキン層を形成し、そのスキン層の表面が化粧面となる構成としてもよい。スキン層は、発泡樹脂を成形する際に発生する成形品表面の密度の高い層である。すなわち、化粧面(スキン層)は、面材21における表面と裏面との間の部分(例えば厚さ方向の中央部分など)に比べて高密度である。
【0066】
スキン層が化粧面として形成されることで、面材21の表面から発泡ビーズの模様が見えなくなり、風呂蓋1Bの外観に高級感を与えることができる。また、このスキン層は、非透水性を有する。
【0067】
図4は、実施形態の風呂蓋の縁材の変形例を示す模式断面図である。
【0068】
図4に示す縁材30は、軟質樹脂製の保護部32と、保護部32よりも硬質の硬質樹脂製の補強部31とを有する。第1実施形態の平板部10または第2実施形態の平板部20の側面は、縁材30で被覆され、外部に露出していない。
【0069】
補強部31は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどからなる。保護部32は、例えば、ポリオレフィンからなる。
【0070】
補強部31は、硬質の帯板状に形成され、平板部10、20の側面(周囲面)に沿って連続して設けられ、平板部10、20の側面を被覆している。
【0071】
保護部32は、平板部10、20の表裏面の外縁部を覆っている。したがって、保護部32と補強部31とからなる縁材30は、平板部10、20の表裏面と側面とがなす角部を覆っている。また、保護部32は、補強部31の側面よりも突出している。保護部32、平板部10、20の面方向の外側に突出している。
【0072】
この縁材30も、平板部10、20の側面(周囲面)を連続して囲み、浴槽内と浴室内の温度差によって平板部10、20を反らそうとする応力に対して、平板部10、20よりも大きな曲げ強さを発揮して、浴槽リムの上に載置される平板部10、20の周端縁部が反らないように平板部10、20を支えている(補強している)。
【0073】
軟質の保護部32が、平板部10、20の表裏面の外縁部で、補強部31の側面よりも突出することで、硬質の角部が露出せず、突き出た保護部32が人や浴室内構造物に当たることで、当たりを柔らかくすることができる。なおかつ、平板部10、20の側面に設けた硬質樹脂製の補強部31によって、平板部10、20の周端縁部を反らそうとする応力に対して平板部10、20よりも大きな曲げ強さを発揮させている。
【0074】
補強部31と保護部32は、二色成形あるいはインサート成形によって製造時に一体化することで、補強部31と保護部32を平板部10、20に別々に取り付ける必要がなく、風呂蓋の製造が容易となる。
また、保護部32を軟質樹脂で形成しているので、風呂蓋1A、1Bが浴槽リム上で滑らないようにすることができる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1,1A,1B…風呂蓋、10,20…平板部、11…芯材、12…被覆樹脂、14,32…保護部、17,31…補強部、18,30…縁材、21…面材、22…化粧面
図1
図2
図3
図4