(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6175875
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】電極の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20170731BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20170731BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20170731BHJP
H01G 11/86 20130101ALI20170731BHJP
H01G 11/70 20130101ALI20170731BHJP
【FI】
H01M4/04 A
H01M4/139
H01M4/66 A
H01G11/86
H01G11/70
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-85645(P2013-85645)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-207208(P2014-207208A)
(43)【公開日】2014年10月30日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】林 圭一
【審査官】
青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3058450(JP,U)
【文献】
国際公開第2012/063740(WO,A1)
【文献】
特開2003−249223(JP,A)
【文献】
特開2004−259793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00− 4/84
H01G 11/00−11/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置に用いられる電極の製造方法であって、
活物質を含む電極ペーストを金属箔の塗布面に塗布する塗布工程を含み、
前記塗布工程の前工程として、前記金属箔の前記塗布面を間欠的に粗面化することによって、複数の粗面領域を形成する粗面化工程を含み、
前記塗布工程では、前記電極ペーストを間欠的に塗布することによって、前記複数の粗面領域のそれぞれに前記電極ペーストを塗布し、
前記粗面化工程では、表面に粗面化部材と非粗面化部材とを有するローラを前記塗布面に接触させて前記塗布面を粗面化する、電極の製造方法。
【請求項2】
前記粗面化工程では、前記ローラにより前記塗布面を物理的に粗面化する、請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項3】
前記粗面化工程では、前記粗面化部材を前記塗布面に接触させて前記塗布面を削ることにより前記塗布面を粗面化し、
前記塗布工程の前工程として、
前記粗面化工程後に、前記塗布面に残存する削りくずを除去する除去工程を更に含む、請求項2に記載の電極の製造方法。
【請求項4】
前記粗面化工程では、前記ローラにより前記塗布面を化学的に粗面化する、請求項1に記載の電極の製造方法。
【請求項5】
前記粗面化工程では、エッチング液を含浸させた前記粗面化部材を前記塗布面に接触させて前記塗布面を粗面化し、
前記塗布工程の前工程として、
前記粗面化工程後に、前記塗布面に残存するエッチング液を除去する除去工程を更に含む、請求項4に記載の電極の製造方法。
【請求項6】
前記塗布工程の前工程として、
前記粗面化工程後に、センサを用いて前記複数の粗面領域を検出する検出工程を更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄電装置に用いられる電極の製造方法には、例えばアルミニウムからなる金属箔の表面に電極ペーストを塗布し、これを乾燥させて金属箔の表面に活物質層を形成する工程が含まれている。当該工程で用いられる金属箔の表面には、圧延の際に酸化被膜の成長を抑制するための鉱物油が付与されている。この油分が電極ペーストを塗布する工程で金属箔の表面に残留していると、金属箔に塗布された電極ペーストの縁部が表面張力によって盛り上がってしまうという問題が生じ得る。また、金属箔の表面は、光沢のあるきめ細かい表面であるため、電極ペーストとの密着性が低いという問題が生じ得る。このような問題に対し、金属箔の表面の濡れ性及び密着性を向上させるために、電極ペーストを塗布する工程に先駆けて金属箔の表面を粗面化する工程を含めた電極の製造方法がある(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−195202号公報
【特許文献2】特開2011−151143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記方法では、表面に凹凸が形成されたローラを用いて、金属箔の表面に、金属箔の搬送方向に沿って連続した粗面領域が形成される。そのため、金属箔の表面に、金属箔の搬送方向に沿って間欠的に電極ペーストを塗布しようとすると、電極ペーストが塗布されない場所(未塗工領域)には粗面領域が露出することになる。このような場合、粗面領域である未塗工領域では、油分が除去されているので、酸化被膜が成長するおそれがある。通常、未塗工領域は、電極を導電部材に溶接するための溶接部として使用される。この場合、未塗工領域に酸化被膜が形成されていると、溶接不良が発生するおそれがある。
【0005】
本発明は、未塗工領域に酸化被膜が成長し難い電極の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電極の製造方法は、蓄電装置に用いられる電極の製造方法であって、活物質を含む電極ペーストを金属箔の塗布面に塗布する塗布工程を含み、前記塗布工程の前工程として、前記金属箔の前記塗布面を間欠的に粗面化することによって、複数の粗面領域を形成する粗面化工程を含み、前記塗布工程では、前記電極ペーストを間欠的に塗布することによって、前記複数の粗面領域のそれぞれに前記電極ペーストを塗布する。
【0007】
この電極の製造方法では、金属箔の塗布面において、複数の粗面領域間に位置する非粗面領域には電極ペーストが塗布されない。すなわち、非粗面領域が未塗工領域となる。そのため、非粗面領域である未塗工領域には酸化被膜が成長し難い。よって、例えば、未塗工領域を電極の溶接部として使用すると、好適に溶接を行うことができる。
【0008】
前記粗面化工程では、前記塗布面を物理的に粗面化してもよい。上記電極の製造方法は、前記塗布工程の前工程として、前記粗面化工程後に、前記塗布面に残存する削りくずを除去する除去工程を更に含んでもよい。この場合、金属箔の塗布面と電極ペーストとの密着性が更に向上する。
【0009】
前記粗面化工程では、前記塗布面を化学的に粗面化してもよい。上記電極の製造方法は、前記塗布工程の前工程として、前記粗面化工程後に、前記塗布面に残存するエッチング液を除去する除去工程を更に含んでもよい。この場合、金属箔の塗布面と電極ペーストとの密着性が更に向上する。
【0010】
前記粗面化工程では、前記塗布面に粗面化部材を間欠的に接触させてもよい。この場合、粗面化部材を塗布面に接触させるタイミングを調整することによって、粗面領域の位置を制御することができる。
【0011】
前記粗面化工程では、表面に粗面化部材と非粗面化部材とを有するローラを前記塗布面に接触させてもよい。この場合、複数の粗面領域を簡便に形成することができる。
【0012】
上記電極の製造方法は、前記塗布工程の前工程として、前記粗面化工程後に、センサを用いて前記複数の粗面領域を検出する検出工程を更に含んでもよい。この場合、適切なタイミングで電極ペーストを塗布することができるので、電極ペーストの位置を高精度に制御することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、未塗工領域に酸化被膜が成長し難い電極の製造方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る電極の製造方法を実施するための電極の製造装置を模式的に示す図である。
【
図2】一実施形態に係る電極の製造方法の各工程を模式的に示す図である。
【
図3】
図1に示される製造装置の粗面化部の変形例を模式的に示す図である。
【
図4】
図1に示される製造装置の粗面化部の他の変形例を模式的に示す図である。
【
図5】
図1に示される製造装置の粗面化部の他の変形例を模式的に示す図である。
【
図6】
図1に示される製造装置の粗面化部の他の変形例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
【0016】
(電極の製造装置)
図1は、一実施形態に係る電極の製造方法を実施するための電極の製造装置を模式的に示す図である。
図1に示される電極の製造装置1は、搬送部2と、粗面化部3と、塗布部4と、乾燥部5とを備える。搬送部2は、金属箔11を搬送方向Tに搬送する。粗面化部3は、金属箔11の塗布面(一方面)11aを間欠的に粗面化する。塗布部4は、金属箔11の塗布面11aに電極ペースト12を塗布する。乾燥部5は、金属箔11に塗布された電極ペースト12を乾燥させる。粗面化部3、塗布部4及び乾燥部5は、搬送方向Tに沿ってこの順に配列される。
【0017】
搬送部2は、ロール状に巻かれた金属箔11を繰り出す繰出ローラ21と、各工程を経た金属箔11をロール状に巻き取る巻取ローラ22と、繰出ローラ21及び巻取ローラ22間に配置された複数の補助ローラ23とによって構成されている。搬送部2による金属箔11の搬送速度は、例えば10m/minである。
【0018】
搬送部2によって搬送される金属箔11は、例えば厚さ数十μm程度に圧延されたアルミニウム箔である。圧延の際、金属箔11の表面には、酸化被膜の形成を抑制するために鉱物油が塗布されており、繰出ローラ21にセットされた金属箔11の表面には、酸化被膜の形成を抑制するに十分な量の鉱物油が付着した状態となっている。
【0019】
粗面化部3は、塗布部4の前段に配置されている。本実施形態において、粗面化部3は、表面に粗面化部材25aと非粗面化部材25bとを有するローラ24を備える。粗面化部材25aの表面には凹凸が形成されている。凹凸は彫刻により形成されてもよいし、成型により形成されてもよい。非粗面化部材25bの表面は平滑化されている。ローラ24は、金属箔11の搬送方向Tと反対方向に回転する。ローラ24の回転速度は、例えば金属箔11の搬送速度と略一致するように設定される。
【0020】
ローラ24は、必ずしも回転可能でなくともよい。ローラ24は、金属箔11の搬送方向Tに略直交する方向(金属箔11の幅方向)に所定の周期で摺動可能であってもよい。
【0021】
粗面化部3では、
図2(a)に示されるように、塗布面11aに複数の粗面領域11bが形成される。具体的には、複数の粗面領域11b及び複数の非粗面領域11cが、搬送方向Tに沿って交互に配列される。複数の粗面領域11bは、所定の周期で配列される。
【0022】
粗面化部3は、
図1に示されるように、塗布面11aに残存する削りくずを除去する除去部31を備えてもよい。除去部31は、ローラ24の後段に配置されている。除去部31は例えば表面にブラシを備えるローラである。除去部31には、除去した削りくずを吸引する吸引装置32が取り付けられてもよい。除去部31は、塗布面11aに残存する削りくずを吹き飛ばす送風装置であってもよい。
【0023】
粗面化部3は、粗面領域11bを検出するセンサ33を備えてもよい。センサ33は、除去部31の後段に配置されている。センサ33は、例えば粗面領域11bの画像を取得するセンサであってもよいし、粗面領域11bの反射率を測定するセンサであってもよい。センサ33は、例えばコンピュータ等の制御部34に、粗面領域11bに関する信号を出力する。制御部34は、センサ33からの信号に基づいて、塗布面11aに電極ペースト12を供給するタイミングを決定する。
【0024】
塗布部4は、電極ペースト12を複数の粗面領域11bのそれぞれに塗布する。塗布部4は、電極ペースト12を貯蔵するタンク26と、電極ペースト12を金属箔11に向けて供給する供給管27及びポンプ28とを有している。供給管27から供給される電極ペースト12は、塗工ロール29及びコンマロール30によってガイドされた金属箔11の塗布面11aに塗布される。塗布部4は、制御部34からの信号に基づいて塗布面11aに電極ペースト12を供給することができる。電極ペースト12が塗布された金属箔11は、補助ローラ23によって乾燥部5に送られる。
【0025】
塗布部4では、
図2(b)に示されるように、複数の粗面領域11bのそれぞれに電極ペースト12が塗布される。塗布面11aの法線方向から見て、電極ペースト12の外形形状は、例えば矩形状であり、粗面領域11bの外形形状と略同一であってもよい。
【0026】
電極ペースト12は、例えば活物質、バインダ、及び溶剤を含むペーストである。電極ペースト12には、例えばアセチレンブラック等の導電助剤が更に含まれていてもよい。活物質は、正極活物質及び負極活物質のいずれであってもよい。正極活物質としては、例えば複合酸化物、金属リチウム、硫黄等が挙げられる。複合酸化物は、マンガン、ニッケル、コバルト及びアルミニウムの少なくとも1つとリチウムとを含む。
【0027】
負極活物質としては、例えば黒鉛、高配向性グラファイト、メソカーボンマイクロビーズ、ハードカーボン、ソフトカーボン等のカーボン、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、金属化合物、SiOx(0.5≦x≦1.5)等の金属酸化物、ホウ素添加炭素等が挙げられる。
【0028】
バインダは、例えばポリアミドイミド、ポリイミド等の熱可塑性樹脂であってもよく、主鎖にイミド結合を有するポリマー樹脂であってもよい。溶剤は、例えばNMP(N−メチルピロリドン)、メタノール、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤であってもよく、水であってもよい。
【0029】
乾燥部5は、
図1に示されるように、例えば温度調節機能を備えた乾燥炉である。乾燥部5では、金属箔11の塗布面11aに塗布された電極ペースト12を例えば100℃で2分間乾燥させる。これにより、電極ペースト12中の溶剤が除去され、電極が製造される。電極は、例えば二次電池又は電気二重層キャパシタ等の蓄電装置に用いられる。二次電池としては、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池等が挙げられる。金属箔11は、これらの電池の集電体として機能する。
【0030】
図2(c)に示されるように、電極ペースト12中の溶剤を除去した後、金属箔11を打ち抜いて電極13を製造してもよい。電極13は、電極ペースト12が塗布された本体部13aと、電極ペースト12が塗布されていない溶接部(タブ部)13bとを備える。溶接部13bは、蓄電装置の導電部材に溶接される。
【0031】
(電極の製造方法)
図1に示される電極の製造装置1を用いて、本実施形態に係る電極の製造方法を以下のように実施することができる。
【0032】
(粗面化工程)
まず、
図2(a)に示されるように、金属箔11の塗布面11aを間欠的に粗面化することによって、複数の粗面領域11bを形成する。その結果、複数の粗面領域11b及び複数の非粗面領域11cが、金属箔11の搬送方向Tに沿って交互に配列される。本実施形態では、塗布面11aを物理的(機械的)に粗面化するが、化学的に粗面化してもよい。表面に粗面化部材25aと非粗面化部材25bとを有するローラ24(
図1参照)を塗布面11aに接触させることにより、複数の粗面領域11bを簡便に形成することができる。
【0033】
(塗布工程)
次に、
図2(b)に示されるように、活物質を含む電極ペースト12を金属箔11の塗布面11aに間欠的に塗布することによって、複数の粗面領域11bのそれぞれに電極ペースト12を塗布する。非粗面領域11cには電極ペースト12が塗布されない。すなわち、非粗面領域11cは、未塗工領域である。その後、電極ペースト12を乾燥させる。
【0034】
(打ち抜き工程)
次に、
図2(c)に示されるように、金属箔11を打ち抜いて電極13を製造してもよい。
【0035】
この電極の製造方法では、金属箔11の塗布面11aにおいて、複数の粗面領域11b間に位置する非粗面領域11cには電極ペースト12が塗布されない。すなわち、非粗面領域11cが未塗工領域となる。非粗面領域11cには油分が残存しているので、非粗面領域11cである未塗工領域には酸化被膜が成長し難い。よって、例えば
図2(c)に示される電極13の溶接部13bとして未塗工領域を使用すると、好適に溶接を行うことができる。また、非粗面領域11cが粗面化処理されないので、粗面領域11bの面積が小さくなり、処理コストを低減できる。
【0036】
塗布工程の前工程として、粗面化工程後に、例えば
図1の除去部31を用いて、塗布面11aに残存する削りくずを除去する除去工程を実施してもよい。この場合、金属箔11の塗布面11aと電極ペースト12との密着性が更に向上する。
【0037】
塗布工程の前工程として、除去工程後に、例えば
図1のセンサ33を用いて複数の粗面領域11bを検出する検出工程を実施してもよい。この場合、適切なタイミングで電極ペースト12を塗布面11aに塗布することができる。
【0038】
(変形例)
図3は、
図1に示される製造装置の粗面化部の変形例を模式的に示す図である。
図3に示される粗面化部3aは、
図1の粗面化部3に代えて使用され得る。粗面化部3aは、表面に粗面化部材25aと非粗面化部材25bとを有するローラ24に代えて、表面に粗面化部材25aを有するローラ24と、ローラ24の軸に接続された棒状の支持部材35と、支持部材35を駆動する駆動部36とを備えること以外は粗面化部3と同一の構成を備える。粗面化部3aでは、ローラ24の全周にわたって粗面化部材25aが巻き付けられている。粗面化部3aでは、駆動部36が、金属箔11の塗布面11aの法線方向に沿って、支持部材35を伸縮させることができる。駆動部36は、制御部34によって制御されてもよい。
【0039】
粗面化部3aでは粗面化部3と同様の作用効果が得られる。さらに、粗面化部3aを用いると、塗布面11aに粗面化部材25aを間欠的に接触させることができる。この場合、粗面化部材25aを塗布面11aに接触させるタイミングを調整することによって、粗面領域11bの位置を制御することができる。制御部34により駆動部36を制御すると、粗面領域11bの位置を高精度に制御することができる。
【0040】
図4は、
図1に示される製造装置の粗面化部の他の変形例を模式的に示す図である。
図4に示される粗面化部3bは、
図1の粗面化部3に代えて使用され得る。粗面化部3bは、ローラ24に代えて半円柱状の部材24aを備え、半円柱状の部材24aの軸に接続された棒状の支持部材35と、支持部材35を駆動する駆動部36とを備えること以外は粗面化部3と同一の構成を備える。粗面化部3bでは、半円柱状の部材24aが、棒状の支持部材35の駆動部36側の端部を中心に回転可能である。駆動部36は、制御部34によって制御されてもよい。粗面化部3aでは粗面化部3と同様の作用効果が得られる。
【0041】
図5は、
図1に示される製造装置の粗面化部の他の変形例を模式的に示す図である。
図5に示される粗面化部3cは、
図1の粗面化部3に代えて使用され得る。粗面化部3cは、表面に粗面化部材25aを有するローラ24に代えて、パッド状の粗面化部材25aを備えること以外は粗面化部3aと同一の構成を備える。粗面化部3cでは、パッド状の粗面化部材25aとローラ37との間に金属箔11が挟まれる。粗面化部3cでは粗面化部3aと同様の作用効果が得られる。
【0042】
図6は、
図1に示される製造装置の粗面化部の他の変形例を模式的に示す図である。
図6に示される粗面化部3dは、
図1の粗面化部3に代えて使用され得る。粗面化部3dは、粗面化部材25a及び非粗面化部材25bに代えて粗面化部材25c及び非粗面化部材25dを備え、除去部31及び吸引装置32に代えて除去部39を備え、エッチング液を収容する容器38を更に備えること以外は粗面化部3と同一の構成を備える。
【0043】
粗面化部材25cは、エッチング液を含浸可能である。粗面化部材25cは容器38内のエッチング液に常時接触してもよいし、間欠的に接触してもよい。非粗面化部材25dには、容器38内のエッチング液が含浸されない。粗面化部材25cとしては、例えばパルプ、ポリプロピレン、不織布などからなるシートが用いられる。エッチング液としては、例えば水酸化ナトリウムといったアルカリ性溶液が挙げられる。また、粗面化部材25cの表面に、エッチング液を収容可能な凹部が形成されてもよい。
【0044】
除去部39は、金属箔11の塗布面11aに残存するエッチング液を除去する。除去部39は、エッチング液を拭き取る部材であってもよいし、エッチング液を乾燥させるドライヤーであってもよい。
【0045】
粗面化部3aでは粗面化部3と同様の作用効果が得られる。さらに、粗面化部3dを用いると、塗布面11aを化学的に粗面化することができる。また、除去部39によって塗布面11aに残存するエッチング液を除去すると、塗布面11aと電極ペースト12との密着性を更に向上させることができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0047】
例えば、上記実施形態では、ローラ24を金属箔11の搬送方向と反対方向に回転させているが、ローラ24は、金属箔11の搬送方向と同方向に回転させてもよい。ローラ24の回転速度は、繰出ローラ21及び巻取ローラ22の回転速度と異なっていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、金属箔11の一方面である塗布面11aにのみ電極ペースト12を塗布しているが、塗布工程において金属箔11の両面に電極ペースト12を塗布してもよい。この場合、粗面化部3,3a,3b,3c,3dをそれぞれ金属箔11の両面側に配置すれば、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0049】
また、粗面化部3aにおいて、粗面化部材25aを粗面化部材25cに置き換えてもよい。同様に、粗面化部3bにおいて、粗面化部材25a及び非粗面化部材25bをそれぞれ粗面化部材25c及び非粗面化部材25dに置き換えてもよい。同様に、粗面化部3cにおいて、粗面化部材25aを粗面化部材25cに置き換えてもよい。いずれの場合においても、除去部31及び吸引装置32は除去部39に置き換えられる。
【符号の説明】
【0050】
11…金属箔、11a…塗布面、11b…粗面領域、12…電極ペースト、24…ローラ、25a,25c…粗面化部材、25b,25d…非粗面化部材、33…センサ。