(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)の1例および変形例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に搭載した際の前、後、上、下、左、右である。
【0014】
(実施形態の構成の説明)
図1〜
図15は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態を示す。以下、この実施形態にかかる車両用灯具の構成について説明する。
図1中、符号1は、この実施形態にかかる車両用灯具(たとえば、ヘッドランプなどの車両用前照灯)である。前記車両用灯具1は、車両の前部の左右両端部に搭載されている。
【0015】
(車両用灯具1の説明)
前記車両用灯具1は、
図1に示すように、ランプハウジング(図示せず)と、ランプレンズ(図示せず)と、光源としての半導体型光源2と、レンズ3と、レンズホルダ4と、ヒートシンク部材と兼用の取付部材(以下、「ヒートシンク部材」と称する)5と、を備えるものである。前記半導体型光源2および前記レンズ3および前記レンズホルダ4は、取付部材としての前記ヒートシンク部材5に取り付けられる被取付部材である。
【0016】
(ランプユニット2、3、4、5の説明)
前記半導体型光源2および前記レンズ3および前記レンズホルダ4および前記ヒートシンク部材5は、ランプユニットを構成する。前記ランプハウジングおよび前記ランプレンズは、灯室(図示せず)を画成する。前記ランプユニット2、3、4、5は、前記灯室内に配置されていて、かつ、上下方向用光軸調整機構(図示せず)および左右方向用光軸調整機構(図示せず)を介して前記ランプハウジングに取り付けられている。
【0017】
(半導体型光源2の説明)
前記半導体型光源2は、
図1に示すように、この例では、たとえば、LED、OELまたはOLED(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源2は、発光面を有する発光チップ(LEDチップ)と、前記発光チップを封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)と、前記パッケージを実装した基板20と、から構成されている。前記半導体型光源2は、光源ホルダ21を介して前記ヒートシンク部材5の光源取付部50に位置決めされて取り付けられている。
【0018】
前記発光チップの前記発光面は、前記レンズ3の基準光軸(基準軸)Zの前側に向いている。前記発光チップの前記発光面の中心は、前記レンズ3の基準焦点もしくはその近傍に位置し、かつ、前記レンズ3の基準光軸Z上もしくはその近傍に位置する。
【0019】
図1において、X、Y、Zは、直交座標(X−Y−Z直交座標系)を構成する。X軸は、前記発光チップの前記発光面の中心を通る左右方向の水平軸であって、この実施形態において、車両の外側、すなわち、左側が+方向であり、右側が−方向である。また、Y軸は、前記発光チップの前記発光面の中心を通る上下方向の鉛直軸であって、この実施形態において、上側が+方向であり、下側が−方向である。さらに、Z軸は、前記発光チップの前記発光面の中心を通る法線(垂線)、すなわち、前記X軸および前記Y軸と直交する前後方向の軸であって、この実施形態において、前側が+方向であり、後側が−方向である。前記レンズ3の基準光軸Zと前記Z軸とは、一致もしくはほぼ一致する。
【0020】
前記光源ホルダ21は、スクリュー22により前記ヒートシンク部材5の光源ホルダ取付部51に位置決めされて取り付けられている。前記光源ホルダ21には、前記半導体型光源2を前記ヒートシンク部材5に保持するホルダ部と、前記半導体型光源2に給電するターミナルおよび回路およびコネクタとが、それぞれ設けられている。
【0021】
(レンズ3の説明)
前記レンズ3は、
図1〜
図4、
図6、
図7に示すように、レンズ部30と、補助レンズ部(付加レンズ部)と、フランジ部31と、から構成されている。前記レンズ部30の正面視形状は、非円形形状をなす。すなわち、前記レンズ3は、異形レンズである。前記レンズ3は、樹脂部材から構成されている。
【0022】
前記レンズ3は、前記レンズホルダ4に位置決めされて保持されている。前記レンズ3は、前記レンズホルダ4を介して前記ヒートシンク部材5に位置決めされて取り付けられている。前記レンズ3は、前記半導体型光源2からの光を前記レンズ部30および前記補助レンズ部を透過させて外部に照射する。
【0023】
前記レンズ部30は、前記レンズ3の背面側の入射面32と、前記レンズ3の正面側の出射面33と、から構成されている。前記入射面32は、前記半導体型光源2側に突出した凸曲面、もしくは、前記半導体型光源2と反対側に引っ込んだ凹曲面、もしくは、平面をなす。前記入射面32は、自由曲面、もしくは、2次曲面、もしくは、複合2次曲面、もしくは、それらの組み合わせの面、もしくは、平面から構成されている。前記出射面33は、前記半導体型光源2と反対側に突出した凸曲面をなす。前記出射面33は、自由曲面、もしくは、2次曲面、もしくは、複合2次曲面、もしくは、それらの組み合わせの面から構成されている。
【0024】
前記補助レンズ部は、前記レンズ部30の周縁部の下方中央部に一体に設けられている。前記補助レンズ部は、入射面と、反射面と、出射面と、から構成されている。
【0025】
前記フランジ部31は、前記レンズ部30および前記補助レンズ部の周縁部(全周もしくは一部)に一体に設けられている。前記フランジ部31の背面は、前記入射面32とほぼ同様に自由曲面もしくは平面からなる。前記フランジ部31の正面は、前記出射面33とほぼ同様に自由曲面からなる。前記フランジ部31の縁(端面、外面)の正面視形状は、前記レンズ部30の正面視形状と同様に非円形形状をなす。
【0026】
(レンズホルダ4の説明)
前記レンズホルダ4は、弾性を有し、かつ、前記ヒートシンク部材5よりも熱伝導率が低い(熱抵抗が大きい)部材たとえば樹脂部材から構成されている。前記レンズホルダ4は、
図1、
図2、
図5〜
図7に示すように、中央部に前記レンズ部30が配置される開口部40を有する筒構造から構成されている。前記レンズホルダ4は、保持筒部41と、保持縁部42と、取付板部43と、補強リブ部44と、から構成されている。
【0027】
前記レンズホルダ4は、前記レンズ3を位置決めして保持する。前記レンズホルダ4は、前記ヒートシンク部材5に位置決めされて取り付けられている。この結果、前記レンズ3は、前記レンズホルダ4を介して前記ヒートシンク部材5に位置決めされて取り付けられている。
【0028】
前記保持筒部41は、筒形状をなす。前記保持筒部41の正面視形状は、前記レンズ3の正面視形状と同様に非円形形状をなす。前記保持筒部41の内周面は、前記レンズ3の前記フランジ部31の縁の外周面より若干大きい形状をなす。
【0029】
前記保持縁部42は、フランジ形状をなしていて、前記保持筒部41の一端(正面側の端)から前記保持筒部41の内側に一体に設けられている。前記保持縁部42の中央部には、前記開口部40が設けられている。前記保持縁部42の内周面(すなわち、前記開口部40の縁)の正面視形状は、前記レンズ3の前記レンズ部30の正面視形状と同様に非円形形状をなす。前記保持縁部42の内周面は、前記レンズ3の前記フランジ部31の縁の外周面より若干小さく、かつ、前記レンズ部30と前記フランジ部31との境界より若干大きい形状をなす。
【0030】
前記取付板部43は、板形状をなしていて、前記保持筒部41の他端(背面側の端)の上部および下部から前記保持筒部41の上方外側および下方外側に一体に設けられている。前記取付板部43の外形の正面視形状は、ほぼ長方形状をなしている。すなわち、前記取付板部43の左右両辺のほぼ中間部は、前記保持筒部41の左右両側部の一部であって、湾曲形状をなす。
【0031】
前記補強リブ部44は、リブ形状をなしていて、前記取付板部43の4辺から正面側に一体に設けられている。前記補強リブ部44の正面視形状は、前記取付板部43の外形の正面視形状とほぼ同様にほぼ長方形状をなしている。すなわち、上側の前記補強リブ部44は、下が開口したコの字形状をなし、かつ、下側の前記補強リブ部44は、上が開口したコの字形状をなす。
【0032】
(ヒートシンク部材5の説明)
前記ヒートシンク部材5は、前記半導体型光源2と前記レンズホルダ4とが取り付けられていて、かつ、前記レンズ3が前記レンズホルダ4を介して取り付けられている取付部材である。前記ヒートシンク部材5は、前記半導体型光源2で発生する熱を外部に放射させるものである。前記ヒートシンク部材5は、たとえば、熱伝導性を有するアルミダイカストや樹脂部材からなる。前記ヒートシンク部材5は、
図1に示すように、垂直板部52と、前記垂直板部52の一面(背面)に一体に設けた複数枚の垂直板形状のフィン部53と、から構成されている。
【0033】
前記ヒートシンク部材5の前記垂直板部52の他面(正面)の取付面(平面もしくはほぼ平面)の中央部には、ほぼ十字形状の凹部54が設けられている。前記凹部54の底面の中央部には、前記光源取付部50が設けられている。前記凹部54の底面であって、前記光源取付部50の周辺には、前記光源ホルダ取付部51が設けられている。
【0034】
(位置決め部の説明)
前記レンズ3と前記レンズホルダ4とには、位置決め部がそれぞれ設けられている。前記位置決め部は、前記レンズホルダ4に対して前記レンズ3の位置を決めるものである。前記位置決め部は、XY位置決め部と、回転位置決め部と、Z位置決め部と、から構成されている。
【0035】
(XY位置決め部の説明)
前記XY位置決め部は、前記レンズ3のX軸方向(X軸方向)およびY軸方向(Y軸方向)の位置を決めるものである。前記XY位置決め部は、
図2、
図7に示すように、Y軸方向およびZ軸方向に突出する凸部60と、前記凸部60の側面の2箇所(2点もしくは2直線)に接触する接触面61と、から構成されている。
【0036】
前記XY位置決め部の前記凸部60は、前記レンズホルダ4の前記保持筒部41の内周面の下部右側の箇所に設けられている。前記XY位置決め部の前記凸部60は、一部が、前記接触面61が2箇所点接触もしくは直線接触する曲面部から構成されているものであれば良い。たとえば、ピンであっても良い。前記XY位置決め部の前記接触面61は、前記レンズ3の前記フランジ部31の下部右側の箇所に前記凸部60と対応して設けられている。前記XY位置決め部の前記接触面61は、V字の2平面もしくは1曲面などからなる。
【0037】
(回転位置決め部の説明)
前記回転位置決め部は、前記レンズ3の前記XY位置決め部を中心(前記凸部60の曲面部の中心)とするXY面上における回転方向の位置を決めるものである。前記回転位置決め部は、
図7に示すように、Y軸方向およびZ軸方向に突出する凸部62と、前記凸部62の頂部の1箇所(1点もしくは1直線)に接触する接触面63と、から構成されている。
【0038】
前記回転位置決め部の前記凸部62は、前記レンズホルダ4の前記保持筒部41の内周面の下部左側の箇所に設けられている。前記回転位置決め部の前記凸部62は、一部が、前記接触面63が1箇所点接触もしくは直線接触する曲面部から構成されているものであれば良い。たとえば、ピンであっても良い。前記回転位置決め部の前記接触面63は、前記レンズ3の前記フランジ部31の下部左側の箇所に前記凸部62と対応して設けられている。前記回転位置決め部の前記接触面63は、平面もしくは曲面からなる。
【0039】
(Z位置決め部の説明)
前記Z位置決め部は、前記レンズ3のZ軸方向(基準光軸Z軸方向)の位置を決めるものである。前記レンズホルダ4の前記Z位置決め部は、押付部70と、位置決め面71と、から構成されている。一方、前記レンズ3の前記Z位置決め部は、受凸部72と、位置決め凸部73と、から構成されている。
【0040】
前記押付部70は、前記レンズホルダ4の前記保持筒部41の上部中央と下部左右両側との3箇所にそれぞれ前記レンズホルダ4の内側に突出して設けられている。前記押付部70の左右両側および正面側(前記保持筒部41と前記保持縁部42の境界)には、凹形状の切欠74が設けられている。この結果、前記押付部70は、前記レンズ3の基準光軸Z軸方向(Z軸方向)に対して垂直方向もしくはほぼ垂直方向に弾性を有する。前記押付部70は、前記レンズ3を前記基準光軸Z軸方向の一方向(正面方向)に押し付けるものである。
【0041】
前記位置決め面71は、前記レンズホルダ4の前記保持縁部42の上部中央と下部左右両側との3箇所の内面(背面)にそれぞれ前記押付部70と対向して設けられている。前記位置決め面71は、前記基準光軸Z軸方向に対して直交もしくはほぼ直交する面である。
【0042】
前記位置決め凸部73は、前記レンズ3の前記フランジ部31のうち前記位置決め面71と対向する面であって、前記フランジ部31の上部中央と下部左右両側との3箇所にそれぞれ前記位置決め面71に対応して設けられている。前記位置決め凸部73は、微小な円錐台形形状をなす。すなわち、前記位置決め凸部73の頂は、前記基準光軸Zに対して直交もしくはほぼ直交する微小平面からなる。この結果、前記位置決め凸部73は、前記受凸部72で受けた前記押付部70の押付力により前記位置決め面71に微小平面で当接するものである。なお、前記位置決め凸部73の形状は、前記の円錐台形形状以外の形状、たとえば、円柱形状であっても良いし、また、半球形状をなしていて、前記位置決め面71に点で当接するものであっても良い。
【0043】
前記受凸部72は、前記レンズ3の前記フランジ部31のうち前記押付部70と対向する面であって、前記フランジ部31の上部中央と下部左右両側との3箇所にそれぞれ前記押付部70に対応して設けられている。前記受凸部72は、前記フランジ部31の縁に沿った凸条形状をなす。前記受凸部72の外面は、湾曲面をなす。この結果、前記受凸部72は、前記押付部70の押付力を前記フランジ部31の縁に沿った線状もしくはほぼ線状に受ける。
【0044】
前記Z位置決め部の3個の前記押付部70および前記位置決め面71および前記受凸部72および前記位置決め凸部73のうち下部の2個は、前記XY位置決め部の前記凸部60および前記接触面61と、前記回転位置決め部の前記凸部62および前記接触面63との間に配置されている。前記Z位置決め部の3個の前記押付部70および前記位置決め面71および前記受凸部72および前記位置決め凸部73は、前記レンズ3の重心を囲う位置に配置されている。
【0045】
(隙詰部の説明)
前記レンズ3と前記レンズホルダ4とには、隙詰部がそれぞれ設けられている。前記隙詰部は、前記XY位置決め部の前記凸部60と前記接触面61との間の隙、および、前記回転位置決め部の前記凸部62と前記接触面63との間の隙を詰めるものである。すなわち、前記隙詰部は、前記レンズ3を前記XY位置決め部により決められた位置(X軸方向およびY軸方向の位置)および前記回転位置決め部により決められた位置(XY面上における回転方向の位置)にガタなく確実に位置させるものである。
【0046】
前記レンズ3の前記隙詰部は、
図2〜
図4に示すように、受面64から構成されている。前記受面64は、前記レンズ3の前記フランジ部31の縁(端面)のうち上部左右両側の2箇所にそれぞれ設けられている。2個の前記受面64は、それぞれX軸と平行もしくはほぼ平行な平面からなる。2個の前記受面64は、上部の1個の前記レンズ3の前記Z位置決め部の前記受凸部72および前記位置決め凸部73の左右両側に配置されている。
【0047】
前記レンズホルダ4の前記隙詰部は、
図5に示すように、突起65から構成されている。前記突起65は、前記レンズホルダ4の前記保持筒部41の前記保持縁部42側の部分であって、上部左右両側の2箇所にそれぞれ設けられている。2個の前記突起65の左右両側には、スリット(孔もしくは溝)66がそれぞれ設けられている。この結果、前記突起65は、それぞれZ軸方向に対して垂直方向もしくはほぼ垂直方向(マイナス(−)Y軸方向)の弾性を有する。2個の前記突起65は、上部の1個の前記レンズホルダ4の前記Z位置決め部の前記押付部70および前記位置決め面71の左右両側に配置されている。
【0048】
前記XY位置決め部の前記凸部60および前記接触面61と、前記回転位置決め部の前記凸部62および前記接触面63と、前記隙詰部の2個の前記受面64および前記突起65とは、前記レンズ3の重心を囲う位置に配置されている。
【0049】
(取付構造の説明)
前記レンズホルダ4と前記ヒートシンク部材5とには、取付構造がそれぞれ設けられている。前記取付構造は、前記レンズ3を保持する前記レンズホルダ4を前記ヒートシンク部材5にスクリューを使用せずにガタなく確実に取り付けるものである。
【0050】
前記レンズホルダ4の前記取付構造は、
図5、
図12(A)に示すように、取付フック部80と、抜止部81と、から構成されている。前記取付フック部80および前記抜止部81とは、前記レンズホルダ4の前記取付板部43の4角部の一面(背面)にそれぞれ設けられている。前記取付フック部80は、前記抜止部81に対してX軸方向と反対側に配置されている。前記レンズホルダ4の前記取付板部43の下部の2角部には、位置決め孔82がそれぞれ設けられている。なお、
図12(A)は、前記レンズホルダ4の前記取付フック部80、前記抜止部81を示す説明図である。
【0051】
前記ヒートシンク部材5の前記取付構造は、
図1、
図12(B)に示すように、挿入空所部としての取付孔部84を有する取付部としての表面取付部83および裏面取付部830から構成されている。前記取付孔部84は、前記ヒートシンク部材5の前記垂直板部52の4角部に前記取付フック部80および前記抜止部81と対応して設けられている。前記表面取付部83および前記裏面取付部830は、前記取付孔部84のX軸方向と反対方向の縁部の他面(正面)および一面(背面)にそれぞれ前記取付フック部80と対応して設けられている。前記ヒートシンク部材5の前記垂直板部52の下部の2角部には、位置決めピン85が前記位置決め孔82と対応して設けられている。なお、
図12(B)は、前記ヒートシンク部材5の表面取付部83、取付孔部84を示す説明図である。
【0052】
(取付フック部80の説明)
前記取付フック部80は、前記取付孔部84中にZ軸方向と反対方向に挿入して前記挿入方向と交差する方向すなわちX軸方向と反対方向に移動させることにより、前記レンズホルダ4の前記取付板部43との間において前記表面取付部83および前記裏面取付部830を挟み込んで前記ヒートシンク部材5に前記レンズホルダ4を取り付けるものである。前記移動方向は、重力方向(Y軸方向と反対方向)に対して交差する方向である。
【0053】
前記取付フック部80は、挟込部としての挟込板部800と、位置決め部としての位置決め板部801と、補強板部802と、から構成されている。前記レンズホルダ4の前記取付板部43のうち前記取付フック部80の近傍には、前記挟込板部800および前記位置決め板部801および前記補強板部802を金型成形するための開口部803が設けられている。
【0054】
前記挟込板部800は、前記レンズホルダ4の前記取付板部43であって、前記開口部803の縁と対向して設けられている。前記挟込板部800は、
図11に示すように、前記開口部803の縁との間において、前記ヒートシンク部材5の前記垂直板部52の前記表面取付部83および前記裏面取付部830を挟み込む。
【0055】
前記位置決め板部801は、前記開口部803の縁と前記挟込板部800との間に設けられている。前記位置決め板部801は、
図14に示すように、前記取付孔部84の前記移動方向側の縁840に当接して前記移動方向の位置を決める。
【0056】
前記補強板部802は、前記開口部803の縁と前記挟込板部800と前記位置決め板部801の間に設けられている。前記補強板部802は、前記挟込板部800および前記位置決め板部801の強度を補強するものである。
【0057】
(抜止部81の説明)
前記抜止部81の前記取付フック部80側以外の3側には、凹形状の切欠810が設けられている。この結果、前記抜止部81は、前記Z軸方向の弾性を有する。前記抜止部81の先端部(前記取付フック部80と反対側の端部)は、ランス形状をなす。
【0058】
前記抜止部81は、
図11、
図14に示すように、前記位置決め板部801の先端が前記取付孔部84の前記移動方向側の縁840に当接した状態において、前記取付孔部84の前記移動方向側の縁840と反対側の縁841に当接して前記移動方向と反対側の位置を決めて、前記取付フック部80が前記表面取付部83および前記裏面取付部830から抜けるのを止める。
【0059】
(取付孔部84の説明)
前記取付孔部84は、
図9、
図11、
図12〜
図14に示すように、前記取付フック部80が挿入し得る四角形状の孔部と、前記孔部からX軸方向と反対方向に設けられているスリット部と、から構成されている。前記スリット部には、前記位置決め板部801が当接する前記移動方向側の縁840が傾斜して設けられている。前記孔部には、前記反対側の縁841が設けられている。
【0060】
前記位置決め板部801および前記移動方向側の縁840は、前記挿入方向および前記移動方向に対して交差する方向すなわちY軸方向において、少なくとも2個ずつ設けられている。この例では、前記レンズホルダ4および前記ヒートシンク部材5の左側部の上下に2個ずつかつ右側部の上下に2個ずつ計4個ずつ設けられている。
【0061】
(位置決め孔82、位置決めピン85の説明)
前記位置決め孔82は、
図12〜
図14に示すように、X軸方向と反対側の大径孔と、X軸方向側の小径孔と、前記大径孔と前記小径孔とが連通する連通部と、を有する。前記連通部の一部は、前記小径孔の径とほぼ同等の間隔を有する。前記位置決めピン85の径は、前記大径孔の径よりも小さくかつ前記小径孔の径よりも若干大きい。
【0062】
前記レンズホルダ4の前記取付板部43であって、前記位置決め孔82の前記連通部の一側の縁には、長孔820が設けられている。前記位置決め孔82の前記連通部と前記長孔820との間の部分は、Y軸方向の弾性を有する弾性部822を構成する。前記弾性部822の両端部は、接続部821を介して前記レンズホルダ4の前記取付板部43にそれぞれ接続されている。すなわち、前記弾性部822は、両端部の前記接続部821により、両持ちの梁構造をなす。
【0063】
(組付の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、組付について説明する。
【0064】
まず、ヒートシンク部材5の光源取付部50に半導体型光源2をセットする。また、ヒートシンク部材5の光源ホルダ取付部51に光源ホルダ21をスクリュー22により取り付ける。この結果、半導体型光源2は、ヒートシンク部材5に、光源ホルダ21を介して取り付けられる。
【0065】
つぎに、レンズ3の出射面33を正面側に位置させ、かつ、レンズホルダ4の保持縁部42を正面側に位置させる。このレンズ3をレンズホルダ4の保持筒部41中に基準光軸Z軸方向すなわちZ軸方向に挿入する。すると、レンズ3側のZ位置決め部の受凸部72および位置決め凸部73が、レンズホルダ4側のZ位置決め部の押付部70と位置決め面71との間に挟み込まれていて、かつ、押付部70の押付力によりZ軸方向において固定されている。この結果、レンズ3は、レンズホルダ4に、Z軸方向の位置が決められた状態でZ軸方向に固定保持される。
【0066】
この状態において、
図7に示すように、レンズ3側のXY位置決め部の接触面61がレンズホルダ4側のXY位置決め部の凸部60の側面の2箇所に接触する。また、同じく
図7に示すように、レンズ3側の回転位置決め部の接触面63がレンズホルダ4側の回転位置決め部の凸部62の側面の1箇所に接触する。さらに、同じく
図7に示すように、レンズホルダ4側の隙詰部の突起65がレンズ3側の隙詰部の受面64にZ軸方向に対して垂直方向もしくはほぼ垂直方向(マイナス(−)Y軸方向)に弾性接触する。この結果、レンズ3は、レンズホルダ4に、X軸方向およびY軸方向および回転方向(凸部60の曲面部の中心を中心とするXY面上における回転方向)の位置がそれぞれ決められた状態で各方向に固定保持される。
【0067】
つづいて、
図9、
図13に示すように、レンズ3を保持したレンズホルダ4の取付フック部80をヒートシンク部材5の取付孔部84にZ軸方向と反対方向に挿入する。同時に、レンズ3を保持したレンズホルダ4の位置決め孔82の大径孔にヒートシンク部材5の位置決めピン85をZ軸方向と反対方向に挿入する。
【0068】
そして、レンズ3を保持したレンズホルダ4をヒートシンク部材5に対してX軸方向と反対方向に移動(スライド)させる。すると、
図11、
図14に示すように、ヒートシンク部材5の表面取付部83および裏面取付部830が、取付フック部80の挟込板部800とレンズホルダ4の取付板部43との間において挟み込まれる。また、取付フック部80の位置決め板部801の先端部の角部が、取付孔部84の移動方向側の縁840の傾斜面に食い込んで当接する。さらに、抜止部81が、取付孔部84の反対側の縁841に弾性当接する。このとき、反対側の縁841の角部が抜止部81の先端部の端面に食い込む。さらにまた、位置決めピン85が位置決め孔82の連通部に食い込んで位置する。
【0069】
この結果、レンズ3を保持したレンズホルダ4は、ヒートシンク部材5に、X軸方向およびY軸方向およびZ軸方向に対して固定される。このようにして、この実施形態にかかる車両用灯具1は、組み付けられる。
【0070】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0071】
以上のようにして組み付けられた車両用灯具1において、半導体型光源2の発光チップを点灯発光させる。すると、発光チップから放射された光の大部分は、直接、レンズ3のレンズ部30の入射面32からレンズ部30内に入射する。このとき、入射光は、入射面32において配光制御される。レンズ部30中に入射した入射光は、レンズ部30の出射面33から出射する。このとき、出射光は、出射面33において配光制御される。レンズ部30からの出射光は、所定の配光パターン、たとえば、ロービーム配光パターン、ハイビーム配光パターンとして、車両の前方に照射される。
【0072】
また、発光チップから放射された光の小部分は、直接、レンズ3の補助レンズ部の入射面から補助レンズ部内に入射する。このとき、入射光は、入射面において配光制御される。補助レンズ部中に入射した入射光は、補助レンズ部の反射面で反射する。このとき、反射光は、反射面において配光制御される。この反射光は、補助レンズ部の出射面から出射する。このとき、出射光は、出射面において配光制御される。補助レンズ部からの出射光は、所定の補助配光パターンとして、車両の外部に照射される。
【0073】
さらに、半導体型光源2の発光チップにおいて発生する熱は、ヒートシンク部材5を介して外部に放射される。
【0074】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかる車両用灯具1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0075】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、ヒートシンク部材5の表面取付部83および裏面取付部830を、レンズホルダ4の取付板部43と取付フック部80の挟込板部800との間に、挟み込んでヒートシンク部材5にレンズホルダ4を取り付けるものである。このために、表面取付部83とレンズホルダ4の取付板部43とが相互に当接する方向と反対方向のガタを、裏面取付部830と取付フック部80の挟込板部800との相互当接により、なくすことができる。一方、裏面取付部830と取付フック部80の挟込板部800とが相互に当接する方向と反対方向のガタを、表面取付部83とレンズホルダ4の取付板部43との相互当接により、なくすことができる。このように、レンズホルダ4をヒートシンク部材5にスクリューなどを使用せずにZ軸方向にガタなく確実に取り付けることができる。しかも、挟込によりZ軸方向の位置が決められる。
【0076】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、レンズホルダ4の取付板部43と挟込板部800との間に移動方向に設けられている位置決め板部801がヒートシンク部材5の取付孔部84の移動方向側の縁840に当接する。このように、移動方向の位置が決められるので、レンズホルダ4をヒートシンク部材5に移動方向にガタなく取り付けることができる。
【0077】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、位置決め板部801が取付孔部84の移動方向側の縁840に当接した状態において、レンズホルダ4の抜止部81がヒートシンク部材5の取付孔部84の反対側の縁841に当接する。このように、移動方向と反対側の方向の位置が決められるので、レンズホルダ4をヒートシンク部材5に移動方向と反対側の方向にガタなく取り付けることができる。すなわち、レンズホルダ4をヒートシンク部材5にスクリューなどを使用せずにX軸方向にガタなく確実に取り付けることができる。
【0078】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、位置決め板部801および移動方向側の縁840を、挿入方向および移動方向に対して交差する方向すなわちY軸方向において、レンズホルダ4およびヒートシンク部材5の左側部の上下に2個ずつかつ右側部の上下に2個ずつ計4個ずつ設けるものである。このために、Y軸方向の上下2個の位置決め板部801がY軸方向の上下2個の移動方向側の縁840にそれぞれ当接することにより、Y軸方向の位置が決められる。この結果、レンズホルダ4をヒートシンク部材5にスクリューなどを使用せずにY軸方向にガタなく取り付けることができる。
【0079】
特に、この実施形態にかかる車両用灯具1は、ヒートシンク部材5の位置決めピン85がレンズホルダ4の位置決め孔82の連通部に食い込んで位置する。このとき、
図15に示すように、連通部の間隔よりも若干大きい位置決めピン85が連通部に圧入されると、弾性部822がY軸方向(実線矢印方向)に弾性変形する。このために、弾性部822の弾性復帰力が位置決めピン85にY軸と反対方向(破線矢印方向)に作用する。これにより、位置決めピン85は、位置決め孔82の連通部の両側縁部により弾性挟持される。この結果、レンズホルダ4をヒートシンク部材5にスクリューなどを使用せずにY軸方向にガタなく取り付けることができる。
【0080】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、レンズホルダ4をヒートシンク部材5に、X軸方向と反対方向に移動(スライド)させて、取り付けるものである。このために、レンズホルダ4の移動方向すなわちX軸方向が、重力方向すなわちY軸方向と交差(直交もしくはほぼ直交)する方向である。このために、レンズホルダ4をヒートシンク部材5に、車両のY軸方向の振動や衝撃に対して、ガタなく確実に取り付けることができる。
【0081】
この実施形態にかかる車両用灯具1は、取付フック部80において、開口部803の縁と挟込板部800と位置決め板部801の間に補強板部802を設けて、挟込板部800および位置決め板部801の強度を補強するものである。このために、挟込板部800の挟込と位置決め板部801の当接とを確実に行うことができる。これにより、レンズホルダ4をヒートシンク部材5にガタなく確実に取り付けることができる。
【0082】
(変形例の説明)
図16は、この発明にかかる車両用灯具の変形例を示す。以下、この変形例における車両用灯具について説明する。図中、
図1〜
図15と同符号は、同一のものを示す。
【0083】
前記の実施形態の車両用灯具1は、
図12(B)に示すように、挿入空所部が四角形状の孔部とスリット部とから構成されている取付孔部84からなるものである。これに対して、この変形例の車両用灯具は、挿入空所部が四角形状の凹部とスリット形状の凹部とから構成されている取付凹部842からなるものである。
【0084】
(実施形態、変形例以外の例の説明)
この実施形態、変形例においては、ロービーム配光パターン、ハイビーム配光パターンを車両の前方に照射するヘッドランプなどの車両用前照灯に使用した例である。ところが、この発明においては、ヘッドランプなどの車両用前照灯以外の車両用灯具、たとえば、フォグランプなどの補助前照灯、追加灯、テールランプ、ストップランプ、テール・ストップランプなどの車両用灯具にも使用することができる。
【0085】
また、この実施形態、変形例においては、光源として半導体型光源2を使用するものである。ところが、この発明においては、光源として半導体型光源2以外の光源(発光体、発光素子、発光部材、発光装置)を使用しても良い。
【0086】
さらに、この実施形態、変形例においては、レンズホルダ4に取付フック部80と抜止部81を設け、ヒートシンク部材5に表面取付部83および裏面取付部830と取付孔部84を設けるものである。ところが、この発明においては、レンズホルダに表面取付部および裏面取付部と取付孔部を設け、ヒートシンク部材に取付フック部と抜止部を設けるものであっても良い。また、レンズホルダに取付フック部、抜止部と表面取付部および裏面取付部、取付孔部とをそれぞれ設け、ヒートシンク部材に表面取付部および裏面取付部、取付孔部と取付フック部、抜止部とをそれぞれ設けるものであっても良い。
【0087】
さらにまた、この実施形態、変形例においては、4個の取付フック部80、4個の抜止部81、4個の表面取付部83および裏面取付部830、4個の取付孔部84を設けるものである。ところが、この発明においては、取付フック部、抜止部、表面取付部および裏面取付部、取付孔部を1個もしくは複数個設けるものであっても良い。
【0088】
さらにまた、この実施形態、変形例においては、表面取付部83および裏面取付部830を設けるものである。ところが、この発明においては、表面取付部および裏面取付部を設けなくても良い。
【0089】
さらにまた、この実施形態、変形例においては、位置決め孔82および位置決めピン85を設けるものである。ところが、この発明においては、位置決め孔および位置決めピンを設けなくても良い。
【0090】
さらにまた、この実施形態、変形例においては、正面視形状がほぼ楕円形状の異形のレンズ3を使用するものである。ところが、この発明においては、正面視形状が円形のレンズを使用しても良い。この場合、レンズホルダをヒートシンク部材に対して移動(スライド)させる方向として円方向であっても良い。無論、移動方向として縦方向あるいは横方向であっても良い。
【0091】
さらにまた、この実施形態、変形例においては、取付フック部80の挟込部および位置決め部が板形状をなす挟込板部800および位置決め板部801から構成されているものである。ところが、この発明においては、取付フック部の挟込部および位置決め部を、板形状をなす挟込板部800および位置決め板部801以外のものから構成されているものであっても良い。