(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記露光部材が露光を停止した時刻を時刻T0、前記転写部材が前記DC転写バイアスの印加を停止し且つ前記帯電部材がDC帯電バイアスのみ印加を停止した時刻を時刻T1、前記トナー像の先端が前記転写部材の位置に到達した時刻を時刻T2、前記トナー像の後端が前記転写部材の位置を通過した時刻を時刻T3としたとき、前記現像部材に印加されるDC現像バイアスとAC現像バイアスは前記時刻T2で印加が停止され、前記帯電部材が前記感光体の周面に印加する前記AC帯電バイアスの印加と、全構成部材の回転部材を駆動するモータの回転は、前記時刻T3で停止する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
前記転写ベルトの表面のトナーを除去する第2のクリーニングブレードを備え、全構成部材が停止して後、通常印字が再開される際、前記転写ベルトに付着したトナーは前記第2のクリーニングブレードに対する潤滑剤として作用し、前記感光体の周面に残留したトナーは前記第1のクリーニングブレードに対する潤滑剤として作用する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
感光体と、該感光体の周面のトナーを除去する第1のクリーニングブレードと、転写ベルトと、前記感光体の周面に、重畳されたDC帯電バイアスとAC帯電バイアスを印加して、前記感光体の周面を所定の電位に帯電させる帯電部材と、前記所定の電位に帯電された前記感光体の周面を通常印字の画像情報に基づき露光して前記感光体の周面に静電潜像を形成する露光部材と、重畳して印加されるDC現像バイアスとAC現像バイアスにより前記静電潜像をトナー像として現像する現像部材と、前記転写ベルトにDC転写バイアスを印加して前記トナー像を前記感光体から前記転写ベルトに転写する転写部材と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記露光部材が露光を停止し、前記転写部材が前記DC転写バイアスの印加を停止し、前記帯電部材がDC帯電バイアスのみ印加を停止し、且つ、
前記帯電部材がAC帯電バイアスの印加を継続し、前記現像部材への前記DC現像バイアスと前記AC現像バイアスの印加が継続する、
状態で、
前記感光体を回転させ、前記現像部材は前記感光体の有効周面にトナー像を吐出し、
該トナー像の先端が前記転写部材の位置に到達して後端が前記転写部材の位置を通過するまでの間に、一部が前記転写ベルトに物理的に付着し、一部が感光体の周面に残留すべく、前記トナー像の先端が前記転写部材の位置に到達した時刻で、前記現像部材に印加されるDC現像バイアスとAC現像バイアスの印加が停止され、前記トナー像の後端が前記転写部材の位置を通過した時刻で、前記帯電部材が前記感光体の周面に印加する前記AC帯電バイアスの印加と、前記感光体の回転は、停止する、
ことを特徴とする制御方法。
前記露光部材が露光を停止した時刻を時刻T0、前記転写部材が前記DC転写バイアスの印加を停止し且つ前記帯電部材がDC帯電バイアスのみ印加を停止した時刻を時刻T1、前記トナー像の先端が前記転写部材の位置に到達した時刻を時刻T2、前記トナー像の後端が前記転写部材の位置を通過した時刻を時刻T3としたとき、前記現像部材に印加されるDC現像バイアスとAC現像バイアスは前記時刻T2で印加が停止され、前記帯電部材が前記感光体の周面に印加する前記AC帯電バイアスの印加と、全構成部材の回転部材を駆動するモータの回転は、前記時刻T3で停止する、
ことを特徴とする請求項4記載の制御方法。
前記画像形成装置は、前記転写ベルトの表面のトナーを除去する第2のクリーニングブレードを備え、全構成部材が停止して後、通常印字が再開される際、前記転写ベルトに付着したトナーは前記第2のクリーニングブレードに対する潤滑剤として作用し、前記感光体の周面に残留したトナーは前記第1のクリーニングブレードに対する潤滑剤として作用する、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の制御方法。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置が知られている。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着ユニットで定着させる。
【0003】
トナー像を間接に用紙に転写する形式のものは、画像形成ユニットからトナー像を中間転写体としての中間転写ベルト等に一次転写し、中間転写ベルトから用紙に二次転写するようにしたものが多い。
【0004】
いずれにしても、電子写真方式の画像形成装置においては、感光体ドラム上の未転写トナーをクリーニングするためにクリーニングブレードが設置され、また転写ベルトを有する画像形成装置においては、転写ベルトをクリーニングするクリーニングブレードが設置されている。
【0005】
一般に、トナーは、巨視的にみると単なる粒状粉末であるが、微視的にみると凹凸のある不定形をした粒体である。不定形であるがゆえに、クリーニングブレードと感光体ドラムとの間又は転写ベルトとの間においては、残留トナーが潤滑剤としても働いており、また、クリーニング性の向上にも寄与している。
【0006】
しかし、トナーを新旧入れ替えずに長時間使用していると、トナーは凹凸を失って球形に近くなってくる。このように凹凸が無くなったトナーが多くなると、潤滑剤としての機能が薄れるためクリーニングブレードと感光体ドラムとの摩擦係数が高くなり、「鳴き」と称される音が出たり、クリーニングブレードに欠けを生じたりすることがある。クリーニング性も低下する。
【0007】
また、現像器内のトナーが使用されずに回転が続いている場合には、トナーに流動性を与えるために添加された例えばアルミナなどの外添剤がトナーに埋め込まれて劣化したり、そのために転写性が低下したりすることがある。
【0008】
これらの不具合を防止する目的で現像器内のトナーを定期的、あるいは不定期に吐き出して、劣化したトナーの割合を低下させて潤滑剤として機能を復活させ、常に機能的なトナーを維持することが行われている。このトナー吐き出しの処理は通常、書き込みヘッドを点灯させ、その部分にトナーを現像させることで、実施されている(反転現像プロセス)。
【0009】
この劣化トナーの吐き出しについては、例えば、現像速度を上げるために1個の現像器の開口部に2個の現像スリーブ(現像ローラ)を上下に備えた形式の現像器を有する画像形成装置において、下側スリーブの回転速度を上げて下側スリーブのトナー吐き出しを効果的に行う方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0010】
この特許文献1に記載の技術では、下側スリーブのトナー吐き出しを行う際、上下スリーブ間の相対速度が通常現像時より速くならないように上側スリーブの回転速度を制御することが肝要であるとしている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[実施例1]
【0018】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0019】
図1に示す画像形成装置1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、で構成されている。
【0020】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9y、9m、9c、9k)を多段式に並設した構成からなる。この画像形成部2は、
図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能に画像形成装置1本体のフレームに保持されている。
【0021】
上記4個の現像装置9のうち下流側(図の右側)の3個の現像装置9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0022】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)のトナー用の現像装置9kを例にしてその構成を説明する。
【0023】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーニングブレード11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0024】
現像器14は、現像ローラ15の下方に位置する2つの現像槽内に、第1の攪拌搬送部材16、及び第2の攪拌搬送部材17を備えている。第1及び第2の攪拌搬送部材16及び17については詳しくは後述する。
【0025】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印a及びbで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ18と従動ローラ19を備えている。
【0026】
上記の転写ベルト8は、下方を循環移動するベルト表面に、ユニットと一体に組み込まれて転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接する一次転写ローラ21によりトナー像を直接転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0027】
この転写ベルトユニット3には、駆動ローラ18に掛け渡されている表面に、ベルトクリーナ24のクリーニングブレード25が当接して配置されている。ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器26が着脱自在に配置されている。
【0028】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレード25が転写ベルト8の表面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送部材により下方の廃トナー回収容器26に送り込んでいる。
【0029】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のトナーホッパー27(27y、27m、27c、27k)で構成される。4個のトナーホッパー27y、27m、27c、27kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収容している。
【0030】
トナー供給部4は、同図にY、M、C、K(以下、関連する記載を「YMCK」として表わす)で示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーを、不図示のトナー供給路を介して現像装置9の現像器14に供給する。
【0031】
給紙部5は、1個の給紙カセット29を備えている。給紙カセット29には多枚数の用紙30が収容されている。給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0032】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ19に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙30への二次転写部23を形成している。
【0033】
この二次転写部23と最下流の現像装置9yとの略中間位置で、転写ベルト8の下部走行部表面8aに近接して、拡散反射型濃度センサ36が配設されている。また、二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。
【0034】
ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する不図示の搬出ローラ対及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する不図示の排紙ローラ対が配設されている。排紙トレー37より右方に位置する本体上面端部はやや傾斜して操作パネル部38が配置されている。
【0035】
図2(a),(b)は、上記現像器14を感光体ドラム10と共に示す拡大断面図である。
図2(a)に示すように、現像器14は、外壁フレーム41と内部隔壁42とで仕切られる2つの現像槽43(43a、43b)を備えている。
【0036】
上方の第1の現像槽43aには、前述した現像ローラ15と第1の攪拌搬送部材16が配置されている。現像ローラ15には、ドクターブレード44が当接している。下方の第2の現像槽43bには前述した第2の攪拌搬送部材17が配置されている。この現像槽43bにはトナー濃度センサ45がその検知面46を槽内に露出して配置されている。
【0037】
第1の攪拌搬送部材16は、回転軸47とこの回転軸47に螺旋状に固設された螺旋状フィン48とで構成されている。第2の攪拌搬送部材17は、回転軸49とこの回転軸49に螺旋状に固設された螺旋状フィン51とで構成されている。
【0038】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ45がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーホッパー27から後述する補給口を介してトナーが補給される。
【0039】
上記のトナー濃度センサ45の検知面46は槽内に露出して配置されているので、現像剤が検知面46に滞留しやすい。現像剤が検知面46に滞留するとトナー濃度センサ45の検知精度が低下する。
【0040】
このトナー濃度センサ45の検知精度の低下を防止するために、現像槽43b内の第2の攪拌搬送部材17の回転軸49には、トナー濃度センサ45の検知面46に対向して回転する位置に、ブレード保持部52とこのブレード保持部52に保持された弾性体シート(ブレード)53から成るクリーニングブレード54が固設されている。
【0041】
クリーニングブレード54は、攪拌搬送部材17の回転軸49と共に回転し、
図2(b)に示すように、トナー濃度センサ45の検知面46を弾性体シート53により摺擦して、検知面46に滞留しようとする現像剤を払い飛ばして、直後に搬送されてくる現像剤と入替える。これにより、トナー濃度センサ45の検知面46に現像剤が滞留することによって生じる虞のあるトナー濃度の誤検知を防止している。
【0042】
図3は、上記の現像器14を
図2(b)の矢印gで示す方向に切断して内部構成と現像剤の還流経路とを示す断面図である。
図3には、
図2(a),(b)に示した構成と同一の構成部分には図(a),(b)と同一の番号を付与して示している。また、
図3ではクリーニングブレード54の図示は省略されている。
【0043】
図3に示すように、現像ローラ15の両端部は、回転軸55を介し現像器14の外壁フレーム41の現像ローラ支持部41a、41bにより回転可能に支持されている。回転軸55の一方(
図3で左方)の端部は、現像ローラ支持部41bよりも更に延び出して形成され、先端部にギア56を備えている。
【0044】
現像器14の外壁フレーム41は、現像ローラ15の回転軸55が現像ローラ支持部41bよりも更に延び出して形成されているのと同様に左方に延び出して、延出外壁フレーム41cを形成している。
【0045】
延出外壁フレーム41cで形成されるフレーム内部には、第1の循環口57が形成されている。そして、現像槽43bの第1の循環口57の下方にはトナー補給口58が連結されている。
【0046】
トナー濃度センサ45によりトナー濃度の低下が検出されると、この現像器14に対応するトナー供給部4のトナーホッパー27からトナー補給口58を介してトナーが補給される。
【0047】
上記第1の攪拌搬送部材16の回転軸47は、一方の端部を、現像ローラ支持部41aと同じ側の外壁フレーム41に回転可能に支持され、他方の端部を延出外壁フレーム41cによって回転可能に支持されている。
【0048】
第1の攪拌搬送部材16の回転軸47の延出外壁フレーム41cよりも外に出る外端部47aには駆動中継ギア59が固設されている。また、第2の攪拌搬送部材17の回転軸49の延出外壁フレーム41cよりも外に出る外部軸49aには、外部係合ギア61と駆動伝達ギア62が固設されている。
【0049】
駆動伝達ギア62は、プリンタ1本体装置側のモータ63、その回転軸64、その先端に固設された駆動ギア65から構成される現像器回転装置66の駆動ギア65に係合して回転し、第2の攪拌搬送部材17を回転させると共に外部係合ギア61を回転させる。
【0050】
外部係合ギア61は第1の攪拌搬送部材16の回転軸47の駆動中継ギア59に噛合して、駆動中継ギア59に回転駆動を伝達する。駆動中継ギア59は、第1の攪拌搬送部材16を回転させると共に、外部係合ギア61からの回転駆動をギア56に中継する。ギア56は現像ローラ15を回転させる。
【0051】
図3及び
図2(a)において、第1の攪拌搬送部材16は、
図2(a)の矢印cで示すように
図2(a)の反時計回り方向に回転し、現像槽43a内の現像剤を螺旋状フィン48で攪拌しながら
図2(a)の矢印eで示すように図の紙面奥行き方向手前から向こう側(
図3では矢印h、i、jで示す左側)へ搬送しながら、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0052】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを
図1及び
図2(a),(b)に示す感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽43a内の現像剤に混合される。
【0053】
現像剤は、
図2(a),(b)の紙面奥行き方向向こう側(
図3では左側)の第1の循環口57から矢印kで示すように現像槽43bに送り戻される。
【0054】
この現像槽43b内の第2の攪拌搬送部材17は、
図2(a)の矢印dで示すように、反時計回り方向に回転し、現像槽43b内の現像剤を螺旋状フィン51で攪拌しながら矢印fで示すように
図2(a)の紙面奥行き方向向こう側から手前側(
図3では矢印m、n、oで示す右側)へ搬送する。
【0055】
第2の攪拌搬送部材17は、現像剤を攪拌搬送しながら、
図3(a),(b)の紙面奥行き方向手前側(
図3では右側)の第2の循環口67から、矢印pで示すように現像剤を現像槽43aに送り出す。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0056】
本例のプリンタ1は、
図1では図示を省略したが、本体装置の左端後方部に電装部が配置されており、この電装部には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。
【0057】
図4(a)は、上から上記構成における帯電ローラ12の有効帯電幅、用紙30の有効印字幅、光書込ヘッド13の有効ヘッド幅、現像ローラ15の有効現像幅、及びクリーニングブレード11、25の有効クリーニング幅を相関的に示す図であり、
図4(b)は、上記構成の
図1に示した部分を模式的に拡大して示す図である。
【0058】
上記の帯電ローラ12には、後述する高圧ユニット77から、直流電圧電源78aの直流高電圧と交流電圧電源79aの交流高電圧が重畳して印加される。現像ローラ15には、同じく高圧ユニット77から、直流電圧電源78bの直流高電圧と交流電圧電源79bの交流高電圧が重畳して印加される。
【0059】
また、
図4(a)の帯電ローラ12及び現像ローラ15の他に、
図4(a)には図示を省略しているが、一次転写ローラ21及び感光体ドラム10にも直流高電圧が印加される。なお、
図4(a)に示すように各部材間には「光書込ヘッド幅<現像ローラ幅<クリーニングブレード幅」の関係がある。
【0060】
図5は、上記構成のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。
図5に示すように回路ブロックは、プリンタコントローラ部70が中心となっている。このプリンタコントローラ部70には、複数のバス71を介してI/F(インターフェイス)72、ヘッドコントローラ部73が接続されている。
【0061】
上記のI/F72には他のバス71を介して前述した操作パネル部38が接続されている。また、I/F72には、例えばパーソナルコンピュータ等の図外のホスト機器から印字データ等の信号が入力される。
【0062】
I/F72は、外部から入力される印字データをヘッドコントローラ部73に送信し、印字データに含まれるコマンドデータや操作パネル部38から入力される指示データをプリンタコントローラ部70に送信する。
【0063】
プリンタコントローラ部70には、バス71を介して、更に、EEPROM(electrically erasable programmable ROM) 74、ROM(read only memory)75が接続されている。
【0064】
プリンタコントローラ部70は、ROM75に格納されている制御プログラムを読出し、その読み出した制御プログラムにしたがい、受信するセンサ出力に応じて各部を制御する。
【0065】
このプリンタコントローラ部70には、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックK(以下、単にYMCKと記載)の現像器14ごとのトナー濃度センサ45(45y、45m、45c、45k)からセンサ出力信号が入力する。
【0066】
プリンタコントローラ部70は、通常のトナー濃度制御のタイミングにおいて、各トナー濃度センサ45のセンサ出力信号がトナー補給閾値を超えるか否かを監視し、トナー補給閾値を超えたときは、YMCKごとに対応するトナーホッパー27のトナー補給装置76(76y、76m、76c、76k)を駆動してトナーを現像装置9に補給し、現像器14内の二成分現像剤のトナー濃度を一定に保つように制御する。
【0067】
また、プリンタコントローラ部70は、I/F72を介して外部から受信した印字データに基づいて、一方では給紙部5の不図示のローラ回転系の駆動モータを制御して用紙を二次転写部23まで搬送させる。
【0068】
また、プリンタコントローラ部70は、上記の印字データに基づいて、他方では、YMCKごとの感光体ドラム駆動系を制御して感光体ドラム10を回転駆動し、ヘッドコントローラ部73を介しYMCKごとの光書込ヘッド13(13y、13m、13c、13k)による上記感光体ドラム10への光書き込みによる静電潜像の形成処理を制御する。
【0069】
このとき、プリンタコントローラ部70は、高圧ユニット77を制御してYMCKごとの現像装置9(9k、9c、9m、9y)の帯電ローラ12、現像ローラ15、一次転写ローラ21へそれぞれ印加するバイアス電圧、及び光書込ヘッド13に供給する駆動電力を、後述する濃度制御のタイミングであるときと、そのタイミングでないときとに分けて制御する。
【0070】
また、プリンタコントローラ部70は、YMCKごとの現像器回転装置66(66y、66m、66c、66k)を回転駆動して、現像器14内の二成分現像剤を攪拌搬送すると共に、現像器回転装置66のモータ63を回転駆動した時間、又は回転数をYMCKごとに、EEPROM74の所定の記憶領域に記録する。
【0071】
本例では、
図1〜
図4に示した構成において、
図5に示した制御装置による制御により光書込ヘッド13を発行駆動することなく、一時転写、帯電ローラ、現像ローラの駆動制御のみで有効なトナー吐き出しを行う処理を以下に説明する。
【0072】
図6(a)は、上から、本例のモータ(不図示)の回転、一次転写ローラ21のDC電圧、帯電ローラ12のDC電圧、及びAC電圧、光書込みヘッド13の点灯駆動、現像ローラ15のDC電圧、及びAC電圧の駆動タイミングチャートである。
【0073】
図6(b)は、参考のために示す、上から、従来のモータ(不図示)の回転、一次転写ローラ21のDC電圧、帯電ローラ12のDC電圧、及びAC電圧、光書込みヘッド13の転動駆動、現像ローラ15のDC電圧、及びAC電圧の駆動タイミングチャートである。
【0074】
先ず、
図6(b)に示す従来の制御方法から説明する。従来は、印刷終了動作の終了後にトナーを吐き出させるものである。先ず、
図6(b)において、まず印刷終了時刻t0の後、時刻t1で一次転写ローラ21のDC電圧バイアスをオフすると共に光書込ヘッド13を全点灯する。
【0075】
これにより、ベタ印字用静電潜像が感光体ドラム10上に形成される。この光書込ヘッド13の全点灯(全てのLEDを点灯)を時刻t2でオフするが、その静電潜像部分が現像ローラ15を通り過ぎる時刻t4までDC・AC重畳現像バイアスを印加してベタ現像した後に、そのベタ現像部が一次転写部を通り過ぎる時刻t5でモータを停止する。なお、帯電ローラ12のDC・AC重畳電圧は、時刻t4よりも前の時刻t3まで継続してからオフしている。
【0076】
これにより、現像ローラ15から吐き出したトナーの一部を転写ベルト8へ転写させると共に、一部を感光体ドラム10上に残すようにして、クリーニングブレード11、25への潤滑剤としてのトナーを供給しようとするものである。
【0077】
図6(b)において、時刻t2から時刻t4までの時間Xは、感光体ドラム10の周面が光書込ヘッド13から現像ローラ15までの距離を走行する時間以上必要である。さらに時刻t2から時刻t5までの時間Yは、時間X以上必要になる。このような処理で、それなりに吐き出しトナーの効果は期待できる。
【0078】
ところが、上記のように、トナー吐き出しのために光書込ヘッド13を全点灯させることが必要になるため、光書込ヘッド13の寿命が短くなるという問題がある。また、
図4(a)に示したように、「光書込ヘッド幅<現像ローラ幅<クリーニングブレード幅」の関係があるため、光書込ヘッド13を全点灯させてもトナーが現像されない部分が発生する。
【0079】
このため、吐き出しトナーが無い部分(トナーが現像されない部分)で、クリーニングブレードの欠け等が生じることがあった。この問題は、光書込ヘッド13の幅を広い構成とすれば解消できるが、光書込ヘッド13の幅を広くするには、通常の印字処理に不要な部分にもLED素子チップを設置する必要があり、相当なコストの上昇は避けられない。
【0080】
そこで、発明者は、光書込ヘッド13の幅を広く変更しないだけでなく、光書込ヘッド13の全点灯さえ行わずに、劣化トナーの吐き出しを効率よく行って現像関連部材の中のクリーニングブレードに破損を生じさせることなく光書込ヘッドと共にそれらの寿命を長期化させる方法として、
図6(a)の駆動タイミングチャートに示す制御方法を考えた。
【0081】
前述したように、
図6(a)は、上から、モータ(不図示)の回転、一次転写ローラ21のDC電圧、帯電ローラ12のDC電圧とAC電圧、光書込みヘッド13の点灯駆動、現像ローラ15のDC電圧とAC電圧の駆動タイミングチャートである。
【0082】
図6(a)において、時刻T0で光書込みヘッド13の通常印字の点灯駆動がオフする。この時点で、
図4に示す感光体ドラム10上には、光書込みヘッド13から現像ローラ15までの間に通常印字の静電潜像が存在し、現像ローラ15から一次転写ローラ21までの間に通常印字の未転写トナー像が存在する。
【0083】
図6(a)において、時刻T1で、上記光書込みヘッド13の点灯駆動がオフした部分、つまり通常印字のトナー像の終端部が一次転写ローラ21の位置まで移動する。この時点で、通常印字のトナー像の転写ベルト8への転写が終了する。ここで一次転写ローラ21のDC電圧バイアスがオフすると共に帯電ローラ12のDC電圧バイアスがオフする。
【0084】
ただし帯電ローラ12のAC電圧バイアスは継続してオンし続ける。これにより、感光体ドラム10上の残留電圧が急速に0Vに収束し、帯電ローラ12のAC電圧バイアスが継続する間、略0Vを安定して維持する。この感光体ドラム10の電位0Vになった部分が現像ローラ15の位置に達するまで、感光体ドラム10に対するトナーの吐出は行われない。
【0085】
そして、感光体ドラム10の電位0Vの部分が現像ローラ15の位置にくると、現像ローラ15のDC電圧バイアスとAC電圧バイアスの印加が継続していることにより、現像ローラ15から、0V電位の感光体ドラム10の周面の全幅にわたって、トナーが吐き出される。
【0086】
図6(a)において、時刻T2で、トナーの吐き出し開始位置が一次転写ローラ21の位置に到達する。この時点で現像ローラ15のDC電圧バイアスとAC電圧バイアスが共にオフとなってトナーの吐出が停止する。
【0087】
トナーの吐出が停止した時刻T2では既に一次転写ローラ21の転写バイアスはオフとなっているので、時刻T2から吐き出しトナーの部分が一次転写ローラ21を通り過ぎる時刻T3までの時間Bの間、感光体ドラム10上に吐き出されたトナーは、一部が物理付着で転写ベルト8上に移行し、移行しなかったトナーが感光体ドラム10上に残留する。
【0088】
吐き出しトナーが全て一次転写ローラ21の位置を通過した時刻T3で、帯電ローラ12のAC電圧バイアスをオフすると共にモータの回転を停止する。これにより、所望の量と幅の吐き出しトナーが、一部が転写ベルト8上に、一部が感光体ドラム10上に形成される。
【0089】
転写ベルト8上と感光体ドラム10上の吐き出しトナーは、次の印刷プロセスが開始されるときに、それぞれクリーニング ブレード11及び25に到達することで、潤滑剤として働くため、クリーニング ブレード11及び25に欠け等の不具合は発生しない。
【0090】
以上説明したように、本発明は、光書込ヘッド13の点灯時間で吐き出しトナーの量や幅を制御しようとするものではなく、感光体ドラム10の電位を略0Vとした部分に、現像ローラへの電圧バイアス印加時間で吐き出しトナーの量を制御すると共に、感光体ドラム10の全幅に吐き出しトナーのベタ印字状態を作り出すので、光書込ヘッド13の点灯時間の短縮と、トナー吐き出し幅を広く形成することができる。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0092】
感光体と、
該感光体の周面のトナーを除去する第1のクリーニングブレードと、
転写ベルトと、
前記感光体の周面に、重畳されたDC帯電バイアスとAC帯電バイアスを印加して、前記感光体の周面を所定の電位に帯電させる帯電部材と、
前記所定の電位に帯電された前記感光体の周面を通常印字の画像情報に基づき露光して前記感光体の周面に静電潜像を形成する露光部材と、
重畳して印加されるDC現像バイアスとAC現像バイアスにより前記静電潜像をトナー像として現像する現像部材と、
前記転写ベルトにDC転写バイアスを印加して前記トナー像を前記感光体から前記転写ベルトに転写する転写部材と、
を備え、
前記露光部材が露光を停止し、前記転写部材が前記DC転写バイアスの印加を停止し、前記帯電部材がDC帯電バイアスのみ印加を停止し、且つ、
前記帯電部材がAC帯電バイアスの印加を継続し、前記現像部材への前記DC現像バイアスと前記AC現像バイアスの印加が継続する、
状態で、
前記感光体を回転させ、前記現像部材は前記感光体の有効周面にトナー像を吐出し、
該トナー像の先端が前記転写部材の位置に到達して後端が前記転写部材の位置を通過するまでの間に、一部が前記転写ベルトに物理的に付着し、一部が感光体の周面に残留すべく、前記DC現像バイアスと前記AC現像バイアスの印加の停止と、前記感光体の回転の停止を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
[付記2]
【0093】
前記露光部材が露光を停止した時刻を時刻T0、前記転写部材が前記DC転写バイアスの印加を停止し且つ前記帯電部材がDC帯電バイアスのみ印加を停止した時刻を時刻T1、前記トナー像の先端が前記転写部材の位置に到達した時刻を時刻T2、前記トナー像の後端が前記転写部材の位置を通過した時刻を時刻T3としたとき、前記現像部材に印加されるDC現像バイアスとAC現像バイアスは前記時刻T2で印加が停止され、前記帯電部材が前記感光体の周面に印加する前記AC帯電バイアスの印加と、前記全構成部材の回転部材を駆動するモータの回転は、前記時刻T3で停止する、
ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記2]
【0094】
前記転写ベルトの表面のトナーを除去する第2のクリーニングブレードを備え、前記全体構成部材が停止して後、通常印字が再開される際、前記転写ベルトに付着したトナーは前記第2のクリーニングブレードに対する潤滑剤として作用し、前記感光体の周面に残留したトナーは前記第1のクリーニングブレードに対する潤滑剤として作用する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の画像形成装置。