(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<本発明の実施形態の説明>
本発明のある実施形態であるIII族窒化物半導体デバイス1は、支持基板10と、支持基板10の主面側に配置された第1のn
-型III族窒化物半導体層21と、第1のn
-型III族窒化物半導体層21上に配置された第2のn
-型III族窒化物半導体層22と、第2のn
-型III族窒化物半導体層22上に配置されたショットキー電極40と、を含み、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数は、第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数よりも大きい。本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1は、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数が第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数よりも大きいことにより、第2のn
-型III族窒化物半導体層22にかかる圧縮歪みにより発生するピエゾ電界は逆バイアス方向への電圧の印加により発生する電界と逆方向であり、ショットキー障壁が厚くなるため、リーク電流が低減して耐圧が高くなる。
【0015】
本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第2のn
-型III族窒化物半導体層22のバンドギャップエネルギーを、第1のn
-型III族窒化物半導体層21のバンドギャップエネルギーよりも大きくすることができる。これにより、ショットキー障壁が高くなるため、耐圧が高くなる。
【0016】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数と第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数との差の第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数に対する百分率であるn
-型層間格子不整合率を2%未満とすることができる。これにより、第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22の結晶品質が高くなるため、得られるIII族窒化物半導体デバイス1の特性が高くなる。
【0017】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第1のn
-型III族窒化物半導体層21をn
-型GaN層とすることができる。これにより、酸素やシリコンといったドナー性不純物濃度を低減することができるため、低いキャリア濃度を実現し易く、空乏層を効率的に拡げることで耐圧を高くすることができる。さらに、成長速度を1μm/hr以上に高くすることができるため、生産性を向上させることができる。
【0018】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第1のn
-型III族窒化物半導体層21がn
-型GaN層のときに、第2のn
-型III族窒化物半導体層22をn
-型In
yGa
1-yN層(0<y<1)とすることができる。これにより、第2のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数を第1のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数より大きくすることができる。
【0019】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第1のn
-型III族窒化物半導体層21がn
-型GaN層のときに、第2のn
-型III族窒化物半導体層22をn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)とすることができる。これにより、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数を第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数より大きくするとともに、第2のn
-型III族窒化物半導体層22のバンドギャップエネルギーを第1のn
-型III族窒化物半導体層21のバンドギャップエネルギーよりも大きくすることができる。
【0020】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第1のn
-型III族窒化物半導体層21がn
-型GaN層のとき、第2のn
-型III族窒化物半導体層22であるn
-型In
yGa
1-yN層のIn組成yをy<0.2とすることができる。これにより、n
-型層間格子不整合率を2%未満とすることができる。
【0021】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第1のn
-型III族窒化物半導体層21がn
-型GaN層のとき、第2のn
-型III族窒化物半導体層22であるn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のAl組成xとIn組成yとを、以下の式(α)、(β)および(γ)
y>0.218x (α)
y<0.7688x
2+0.2379x (β)
y<0.218x+0.2 (γ)
を満たすようにすることができる。式(α)を満たすことにより、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の無歪みのときのa軸の格子定数をn
-型GaN層の無歪みのときのa軸の格子定数より大きくすることができる。式(β)を満たすことにより、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のバンドギャップエネルギーをn
-型GaN層のバンドギャップエネルギーよりも大きくすることができる。式(γ)を満たすことにより、n
-型層間格子不整合率を2%未満とすることができる。ここで、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層は、Al組成xをx<0.25とすることができる。これにより、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層は、導入される不純物を低減することができるため、空乏層を効率的に拡げることが可能となり、耐圧を高めることができる。
【0022】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第1のn
-型III族窒化物半導体層21のドナー濃度を3×10
16cm
-3以下とすることができる。これにより、空乏層を効率的に拡げることが可能となるため、耐圧を高めることが可能となる。また、第2のn
-型III族窒化物半導体層22のドナー濃度はを1×10
17cm
-3以下とすることができる。これにより、空乏層を効率的に拡げることが可能となるため、耐圧を高めることが可能となる。
【0023】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の厚さを、第1のn
-型III族窒化物半導体層21の厚さよりも小さくすることができる。第1のn
-型III族窒化物半導体層21の厚さを大きくすることにより耐圧を高めるとともに、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の厚さを小さくすることにより順バイアス方向の抵抗を低減することができる。
【0024】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1は、III族窒化物半導体デバイス1の厚さ方向に通電する縦型構造を有することができる。これにより、第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22の導通経路を最短にすることが可能となるため、順バイアス時の抵抗を低減することができる。
【0025】
<本発明の実施形態の詳細>
図1を参照して、本発明のある実施形態であるIII族窒化物半導体デバイス1は、支持基板10と、支持基板10の主面側に配置された第1のn
-型III族窒化物半導体層21と、第1のn
-型III族窒化物半導体層21上に配置された第2のn
-型III族窒化物半導体層22と、第2のn
-型III族窒化物半導体層22上に配置されたショットキー電極40と、を含み、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数は、第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数よりも大きい。
【0026】
本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1は、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数が第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数よりも大きいことにより、第2のn
-型III族窒化物半導体層22にかかる圧縮歪みにより発生するピエゾ電界は逆バイアス方向への電圧の印加により発生する電界と逆方向であり、ショットキー障壁が厚くなるため、リーク電流が低減して耐圧が高くなる。
【0027】
ここで、第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数とは、その第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22のそれぞれについて歪みがない理想的な結晶構造のときのa軸の格子定数をいう。第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22は、一般的に、格子定数が同じ下地基板上に成長された場合には歪みがないが、格子定数が異なる下地基板上に成長された場合には、膜厚が比較的薄いときには、それぞれのa軸の格子定数が下地基板と同じになるように弾性変形し、その結果として歪みを内包して成長する。膜厚が比較的厚くなると、結晶欠陥が導入され、歪みの状況も変化する。
【0028】
第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数は、以下のようにして算出される。まず、X線回折(XRD)によって、成長方向である(0002)面の面間隔を導出し、フォトルミネッセンス(PL)測定によってバンドギャップエネルギーを算出することで、Al組成やIn組成を決定する。こうして得られた組成値と格子定数の間にはベガード則が成り立つことを用いて、これらの組成値から、無歪みのときのa軸の格子定数を決定する。
【0029】
本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第2のn
-型III族窒化物半導体層22のバンドギャップエネルギーは、第1のn
-型III族窒化物半導体層21のバンドギャップエネルギーよりも大きいことが好ましい。第2のn
-型III族窒化物半導体層22のバンドギャップエネルギーが、第1のn
-型III族窒化物半導体層21のバンドギャップエネルギーよりも大きいと、ショットキー障壁が高くなるため、耐圧が高くなる。
【0030】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1において、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数と第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数との差の第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数に対する百分率であるn
-型層間格子不整合率は、2%未満が好ましく、1.5%未満がより好ましく、1%未満がさらに好ましい。n
-型層間格子不整合率が2%未満であると、第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22の結晶品質が高くなるため、得られるIII族窒化物半導体デバイス1の特性が高くなる。
【0031】
本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1に含まれる支持基板10、第1のn
-型III族窒化物半導体層21、第2のn
-型III族窒化物半導体層22、およびショットキー電極40について、以下に詳細に説明する。
【0032】
(支持基板)
支持基板10は、III族窒化物半導体デバイス1の第1の第1のn
-型III族窒化物半導体層21、第2のn
-型III族窒化物半導体層22、およびショットキー電極40を支持できる基板であれば特に制限はない。支持基板10は、厚さ方向に通電する縦型構造を有するIII族窒化物半導体デバイス1とする観点から、導電性基板であることが好ましい。支持基板10は、支持基板10上に結晶品質の高い第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22を形成する観点から、III族窒化物支持基板であることが好ましい。支持基板10は、結晶品質の高い第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22が形成された厚さ方向に通電する縦型構造を有するIII族窒化物半導体デバイス1を得る観点から、n型III族窒化物半導体支持基板であることが好ましく、ドナー濃度が1×10
17cm
-3よりも高いn
+型III族窒化物半導体支持基板であることがより好ましい。
【0033】
(第1のn
-型III族窒化物半導体層)
第1のn
-型III族窒化物半導体層21は、特に制限はないが、ショットキー電極40との間に適切なショットキー障壁を形成する観点から、ドナー濃度が1×10
17cm
-3以下が好ましく、3×10
16cm
-3以下がより好ましく、8×10
15cm
-3以下がさらに好ましい。
【0034】
第1のn
-型III族窒化物半導体層21は、酸素やシリコンといったドナー性不純物濃度を低減する観点から、n
-型GaN層が好ましい。また、成長速度を高くして生産性を上げる観点からも、n
-型GaN層が好ましい。
【0035】
第1のn
-型III族窒化物半導体層21の厚さは、特に制限はないが、III族窒化物半導体デバイス1の耐圧を高くする観点から、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、順バイアス時の抵抗を下げる観点から、25μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
【0036】
(第2のn
-型III族窒化物半導体層)
第2のn
-型III族窒化物半導体層22は、特に制限はないが、ショットキー電極40との間に適切なショットキー障壁を形成する観点から、ドナー濃度が1×10
17cm
-3以下が好ましく、3×10
16cm
-3以下がより好ましく、1×10
16cm
-3以下がさらに好ましい。
【0037】
また、第1のn
-型III族窒化物半導体層21がn
-型GaN層のとき、第2のn
-型III族窒化物半導体層22はn
-型In
yGa
1-yN層(0<y<1)であることが好ましい。
図4を参照して、InN結晶はGaN結晶に比べてバンドギャップエネルギーは低いが無歪みのときのa軸の格子定数は大きい。したがって、第1のn
-型III族窒化物半導体層21がn
-型GaN層のとき、第2のn
-型III族窒化物半導体層22をn
-型In
yGa
1-yN層(0<y<1)とすることにより、第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数を第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数より大きくすることができる。
【0038】
ここで、第2のn
-型III族窒化物半導体層22であるn
-型In
yGa
1-yN層(0<y<1)は、In組成yがy<0.2であることが好ましい。
図4および
図5を参照して、n
-型In
yGa
1-yN層のIn組成yをy<0.2とすることにより、n
-型層間格子不整合率を2%未満とすることができる。
【0039】
また、第1のn
-型III族窒化物半導体層がn
-型GaN層のとき、第2のn
-型III族窒化物半導体層はn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)であることが好ましい。
図4を参照して、InN結晶はGaN結晶に比べてバンドギャップエネルギーは低いが無歪みのときのa軸の格子定数は大きく、AlN結晶はGaN結晶に比べて無歪みのときのa軸の格子定数は小さいがバンドギャップエネルギーは高い。したがって、第1のn
-型III族窒化物半導体層がn
-型GaN層のときに、第2のn
-型III族窒化物半導体層をn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層とすることにより、第2のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数を第1のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数より大きくするとともに、第2のn
-型III族窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーを第1のn
-型III族窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーよりも大きくすることができる。
【0040】
ここで、第2のn
-型III族窒化物半導体層22であるn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層は、Al組成xとIn組成yとが、以下の式(α)、(β)および(γ)
y>0.218x (α)
y<0.7688x
2+0.2379x (β)
y<0.218x+0.2 (γ)
を満たすことが好ましい。
【0041】
図4および
図5を参照して、n
-型GaN層の無歪みのときのa軸の格子定数と同じ無歪みのときのa軸の格子定数を有するn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のAl組成xとGa組成yとは、以下の式(α0)
y=0.218x (α0)
を満たす。したがって、式(α)を満たすことにより、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の無歪みのときのa軸の格子定数をn
-型GaN層の無歪みのときのa軸の格子定数より大きくすることができる。
【0042】
また、n-型GaN層のバンドギャップエネルギーと同じバンドギャップエネルギーを有するn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のAl組成xとGa組成yとは、以下の式(β0)
y=0.7688x
2+0.2379x (β0)
を満たす。したがって、式(β)を満たすことにより、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のバンドギャップエネルギーをn
-型GaN層のバンドギャップエネルギーよりも大きくすることができる。
【0043】
また、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の無歪みのときのa軸の格子定数とn
-型GaN層の無歪みのときのa軸の格子定数との差のn
-型GaN層の無歪みのときのa軸の格子定数に対する百分率であるn
-型層間格子不整合率が2%であるn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のAl組成xとGa組成yとは、以下の式(γ0)
y=0.218x+0.2 (γ0)
を満たす。したがって、上記の式(γ)を満たすことにより、n
-型層間格子不整合率を2%未満とすることができる。
【0044】
すなわち、
図5において、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のAl組成xとGa組成yとは、上記の式(α0)、(β0)および(γ0)ならびに以下の式(δ0)
y=1−x (δ0)
で囲まれた内部(式(α0)、(β0)、(γ0)および(δ0)を含まない)のドットが付された領域、すなわち、上記の式(α)、(β)および(γ)ならびに以下の式(δ)
y<1−x (δ)
を満たす第1の領域R1内にあることが好ましい。
【0045】
さらに、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層は、Al組成xがx<0.25であることが好ましい。n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層は、Al組成xをx<0.25とすることにより、導入される不純物を低減することができるため、1×10
17cm
-3以下のドナー濃度を実現し易く、耐圧を効率的に高めることが可能となる。
【0046】
すなわち、
図5において、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のAl組成xとGa組成yとは、上記の式(α0)および(β0)ならびに以下の式(ε0)
x=0.25 (ε0)
で囲まれた内部(式(α0)、(β0)および(ε0)を含まない)のドットおよび斜線が付された領域、すなわち、上記の式(α)および(β)ならびに以下の式(ε)
x<0.25 (ε)
を満たす第2の領域R2内にあることがさらに好ましい。
【0047】
第2のn
-型III族窒化物半導体層22の厚さは、特に制限はないが、III族窒化物半導体デバイス1の空乏層を効率的に拡げて耐圧を稼ぐ観点から、0.5μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましく、ピエゾ電界を効率的に得る観点から、0.003μm以上が好ましく、0.005μm以上がより好ましい。
【0048】
また、第2のn
-型III族窒化物半導体層の厚さは、第1のn
-型III族窒化物半導体層の厚さよりも小さいことが好ましい。第1のn
-型III族窒化物半導体層の厚さを大きくすることにより耐圧を高めるとともに、第2のn
-型III族窒化物半導体層の厚さを小さくすることにより順バイアス方向の抵抗を低減することができる。
【0049】
(ショットキー電極)
ショットキー電極40は、特に制限はないが、第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22と好適なショットキー接触をする観点から、Ni電極、Pd電極、Pt電極、Au電極などを含む電極が好ましい。
【0050】
(開口部を有する絶縁体層)
また、
図1を参照して、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1は、第2のn
-型III族窒化物半導体層22とショットキー電極40との間に配置された開口部30wを有する絶縁体層30をさらに含み、ショットキー電極40は、絶縁体層30の開口部30wにおける第2のn
-型III族窒化物半導体層22上および開口部30wの近傍(たとえば開口端から100μm以下の距離内)の絶縁体層30上に配置されていることが好ましい。かかる開口部30wを有する絶縁体層30の存在により、ショットキー電極40の端部に電界が集中するのが抑制されることから、III族窒化物半導体デバイス1はリーク電流が抑制されて耐圧が高くなる。
【0051】
開口部30wを有する絶縁体層30は、特に制限はないが、ショットキー電極40の端部への電界の集中を効果的に抑制する観点から、SiO
2層、Si
3N
4層などが好ましい。
【0052】
(n
+型III族窒化物半導体層)
また、
図1を参照して、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1は、支持基板10と第1のn
-型III族窒化物半導体層21との間に配置されたn
+型III族窒化物半導体層20をさらに含むことが好ましい。かかるn
+型III族窒化物半導体層20の存在により、エピ成長初期の不安定な不純物の取り込みの影響を小さくできることから、生産歩留まりを高くすることが可能となる。
【0053】
n
+型III族窒化物半導体層20は、特に制限はないが、不安定な不純物の取り込みの影響を小さくする観点から、ドナー濃度が1×10
17cm
-3よりも高いことが好ましく、5×10
17cm
-3以上がより好ましく、1×10
18cm
-3以上がさらに好ましい。
【0054】
n
+型III族窒化物半導体層20は、特に制限はないが、生産性を上げる観点から、化学組成が第1のn
-型III族窒化物半導体層21と同じであることが好ましい。ここで、n
+型III族窒化物半導体層20の化学組成とn
-型III族窒化物半導体層21の化学組成とが同じとは、ドナー濃度、アクセプタ濃度およびキャリア濃度に拘わらず、それらの半導体層を構成するIII族窒化物の化学組成が同じであることを意味する。すなわち、化学組成が同じとは、第1のn
-型III族窒化物半導体層21がn
-型GaN層のとき、n
+型III族窒化物半導体層20はn
+型GaN層であることを意味する。
【0055】
(オーミック電極)
また、
図1を参照して、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1は、支持基板10における第1のn
-型III族窒化物半導体層21、第2のn
-型III族窒化物半導体層22、およびショットキー電極40が形成されている側の主面と反対側の主面上に配置されているオーミック電極50をさらに含むことが好ましい。かかるオーミック電極50の存在により、余分な接触抵抗による電圧降下を避けることが可能となることから、順バイアス時の抵抗を低くすることが可能となる。
【0056】
オーミック電極50は、特に制限はないが、支持基板10と好適なオーミック接触をする観点から、Al電極、Ti電極、Au電極などを含む電極が好ましい。
【0057】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1は、第1のn
-型III族窒化物半導体層21および第2のn
-型III族窒化物半導体層22の導通経路を最短にすることにより順バイアス時の抵抗を小さくする観点から、III族窒化物半導体デバイス1の厚さ方向に通電する縦型構造を有することが好ましい。
【0058】
(III族窒化物半導体デバイスの製造方法)
図3を参照して、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1の製造方法は、特に制限はないが、効率的に本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1を製造する観点から、支持基板10の主面側に第1のn
-型III族窒化物半導体層21に形成する工程(
図3(A))と、第1のn
-型III族窒化物半導体層21上に第2のn
-型III族窒化物半導体層22を形成する工程(
図3(A))と、第2のn
-型III族窒化物半導体層22上にショットキー電極40を形成する工程(
図3(C))と、を含むことが好ましい。
【0059】
本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1の製造方法において、エピ成長初期の不安定な不純物の取り込みの影響を小さくし、生産歩留まりを高くする観点から、第1のn
-型III族窒化物半導体層21を形成する工程(
図3(A))の前に、支持基板10の主面側にn
+型III族窒化物半導体層20を形成する工程(
図3(A))をさらに含み、第1のn
-型III族窒化物半導体層21に形成する工程は、n
+型III族窒化物半導体層20上に第1のn
-型III族窒化物半導体層21に形成する工程であることが好ましい。
【0060】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1の製造方法において、ショットキー電極40の端部に電界が集中するのを抑制することにより、III族窒化物半導体デバイス1のリーク電流を抑制して耐圧を高める観点から、第2のn
-型III族窒化物半導体層22に形成する工程(
図3(A))の後、ショットキー電極40を形成する工程(
図3(C))の前に、第2のn
-型III族窒化物半導体層22上に開口部30wを有する絶縁体層30を形成する工程(
図3(B))をさらに含み、ショットキー電極40を形成する工程は、絶縁体層30の開口部30wにおける第2のn
-型III族窒化物半導体層22上および開口部30wの近傍(たとえば開口端から100μm以下の距離内)の絶縁体層30上にショットキー電極40を形成する工程であることが好ましい。
【0061】
また、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1の製造方法において、ショットキー電極40を形成する工程(
図3(C))の後、支持基板10における第1のn
-型III族窒化物半導体層21、第2のn
-型III族窒化物半導体層22、およびショットキー電極40が形成されている側の主面と反対側の主面上にオーミック電極50を形成する工程(
図3(D))をさらに含むことが好ましい。その結果、III族窒化物半導体デバイス1の支持基板10側での余分な電圧降下を避けることが可能となる。
【0062】
以下、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1の製造方法の好ましい例を、詳細に説明する。
【0063】
(n
+型III族窒化物半導体層を形成する工程)
まず、
図3(A)を参照して、支持基板10の主面上にn
+型III族窒化物半導体層20を形成する工程において、n
+型III族窒化物半導体層20を形成する方法は、特に制限はないが、結晶品質の高いn
+型III族窒化物半導体層20を形成する観点から、気相法としては、MOVPE(有機金属気相成長)法、MBE(分子線気相成長)法、HVPE(ハイドライド気相成長)法、昇華法などが好ましく、液相法としては、高窒素圧溶液法、フラックス法などが好ましい。
【0064】
(第1のn
-型III族窒化物半導体層を形成する工程)
次に、
図3(A)を参照して、n
+型III族窒化物半導体層20上に第1のn
-型III族窒化物半導体層21を形成する工程において、第1のn
-型III族窒化物半導体層21を形成する方法は、特に制限はないが、結晶品質の高い第1のn
-型III族窒化物半導体層21を形成する観点から、気相法としては、MOVPE法、MBE法、HVPE法、昇華法などが好ましく、液相法としては、高窒素圧溶液法、フラックス法などが好ましい。
【0065】
(第2のn
-型III族窒化物半導体層を形成する工程)
次に、
図3(A)を参照して、第1のn
-型III族窒化物半導体層21上に第2のn
-型III族窒化物半導体層22を形成する工程において、第2のn
-型III族窒化物半導体層22を形成する方法は、特に制限はないが、結晶品質の高い第2のn
-型III族窒化物半導体層22を形成する観点から、気相法としては、MOVPE法、MBE法、HVPE法、昇華法などが好ましく、液相法としては、高窒素圧溶液法、フラックス法などが好ましい。
【0066】
(開口部を有する絶縁体層を形成する工程)
次に、
図3(B)を参照して、第2のn
-型III族窒化物半導体層22上に開口部を有する絶縁体層30を形成する工程は、特に制限はないが、絶縁体層30を形成するサブ工程、絶縁体層30に開口部30wを形成するサブ工程を含むことが好ましい。絶縁体層30を形成する方法は、特に制限はなく、プラズマCVD(化学気相堆積)法、スパッタ法などが適用できる。絶縁体層30に開口部30wを形成する方法は、特に制限はなく、フォトリソグラフィー法で形成したレジストマスク(図示せず)を用いて絶縁体層30をエッチングする方法などが適用できる。
【0067】
(ショットキー電極を形成する工程)
次に、
図3(C)を参照して、絶縁体層30の開口部30wにおける第2のn
-型III族窒化物半導体層22上および開口部30wの近傍(たとえば開口端から100μm以下の距離内)の絶縁体層30上にショットキー電極40を形成する工程において、ショットキー電極40を形成する方法は、特に制限はなく、フォトリソグラフィー法でレジストマスク(図示せず)を形成し、その上からEB(電子線)蒸着法、抵抗加熱法、スパッタ法などにより複数層からなる金属膜を形成し、さらにリフトオフすることによりパターン化させた後、複数層からなる金属膜をアニールすることにより合金化する方法などが適用できる。
【0068】
(オーミック電極を形成する工程)
次に、
図3(D)を参照して、支持基板10における第1のn
-型III族窒化物半導体層21、第2のn
-型III族窒化物半導体層22、およびショットキー電極40が形成されている側の主面と反対側の主面上にオーミック電極50を形成する工程において、オーミック電極50を形成する方法は、特に制限なく、たとえば、EB蒸着法、抵抗加熱法、スパッタ法などにより複数層からなる金属膜を形成した後アニールする方法などが適用できる。
【0069】
このようにして、本実施形態のIII族窒化物半導体デバイス1が効率よく得られる。
【実施例】
【0070】
(実施例1)
1.n
+型III族窒化物半導体層、第1のn
-型III族窒化物半導体層、および第2のn
-型III族窒化物半導体層の形成
図3(A)を参照して、支持基板10である直径が2インチ(5.08cm)で厚さが400μmのGaN支持基板の面方位が(0001)の主面上に、MOVPE(有機金属気相成長)法により、n
+型III族窒化物半導体層20、第1のn
-型III族窒化物半導体層21、および第2のn
-型III族窒化物半導体層22をエピタキシャル成長させた。原料ガスとして、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルインジウム)、NH
3(アンモニア)、およびシラン(SiH
4)を用いた。
【0071】
ここで、支持基板10であるGaN支持基板は、主面の(0001)面からのオフ角は、m軸方向(<1−100>方向)に0.4°〜0.8°、a軸方向(<11−20>方向)に0.0°〜0.1°であった。GaN支持基板の貫通転位密度は1×10
7cm
-3以下であったため、サファイア支持基板やシリコン支持基板の主面上に、n
+型III族窒化物半導体層20、第1のn
-型III族窒化物半導体層21、および第2のn
-型III族窒化物半導体層22を成長させる場合に比べて、貫通転位密度が低減できることから、結晶欠陥を介したリーク電流を抑制できるため、本発明の効果を初めて得ることができる。
【0072】
具体的には、MOVPE装置の成膜室内のサセプタ上に、支持基板10を配置し、成膜室内の圧力を27kPaに制御しながら成膜室内にNH
3とH
2とを導入し、基板温度1000℃で10分間クリーニングを行った。
【0073】
その後、成膜室内の圧力を100kPaとして、基板温度を1100℃に昇温し、キャリアガスとしてH
2を用いて、成膜室内にTMG、SiH
4を導入し、n
+型III族窒化物半導体層20として厚さ1000nmのn
+型GaN層を成長させた。かかるn
+型GaN層のドナー濃度は、電解液を用いたCV測定をしたところ、1×10
18cm
-3であった。
【0074】
次に、SiH
4の供給量を調整して、第1のn
-型III族窒化物半導体層21として厚さ7μmのn
-型GaN層を成長させた。かかるn
-型GaN層のドナー濃度は6×10
15cm
-3であった。
【0075】
次に、NH
3以外の原料ガスの供給を停止し、基板温度を900℃まで降温した。キャリアガスとしてN
2を用い、成膜室内の圧力を27kPaに制御し、成膜室内にTMG、TMA、TMI、およびSiH
4を供給して、第2のn
-型III族窒化物半導体層22として厚さ0.01μmのn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)を成長させた。かかるn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のドナー濃度は1×10
16cm
-3であった。また、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層のIn組成yおよびAl組成xは、X線回折およびフォトルミネッセンスを用いて測定したところ、y=0.05およびx=0.20であった。これから、第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数に対する第2のn
-型III族窒化物半導体層22の無歪みのときのa軸の格子定数と第1のn
-型III族窒化物半導体層21の無歪みのときのa軸の格子定数との差の百分率であるn
-型層間格子不整合率は、0.069%と見積もられた。
【0076】
2.開口部を有する絶縁体層の形成
次に、
図3(B)を参照して、第2のn
-型III族窒化物半導体層22上に、プラズマCVD(化学気相堆積)法により原料ガスとしてNH
3およびSiH
4を用いて、絶縁体層30として厚さ0.5μmのSi
3N
4層を形成した。次いで、フッ酸を用いたウェットエッチング法により、絶縁体層30であるSi
3N
4層に直径200μmの開口部30wを形成した。
【0077】
3.ショットキー電極の形成
次に、
図3(C)を参照して、絶縁体層30の開口部30wにおける第2のn
-型III族窒化物半導体層22上および開口部30wの開口端から100μm以下の距離内の絶縁体層30上に、電子ビーム蒸着法により厚さ150nmのNi層および厚さ150nmのAu層を順次形成した後、400℃で1分間アニールすることにより、ショットキー電極40を形成した。
【0078】
4.支持基板の減厚
次に、支持基板10における第1のn
-型III族窒化物半導体層21、第2のn
-型III族窒化物半導体層22、およびショットキー電極40が形成されている側の主面と反対側の主面を研磨することにより、支持基板10の厚さを300μmまで低減した。
【0079】
5.オーミック電極の形成
次に、
図3(D)を参照して、支持基板10の上記の研磨された主面上に、電子ビーム蒸着法により、厚さ100nmのTi層、厚さ200nmのAl層、厚さ100nmのTi層、および厚さ200nmのAu層を順次形成することにより、オーミック電極50を得た。このようにして、
図1および
図3(D)に示すIII族窒化物半導体デバイス1であるSBD(ショットキーバリアダイオード)が得られた。
【0080】
6.III族窒化物半導体デバイスの特性評価
本実施例で得られたIII族窒化物半導体デバイス1であるSBDについて、その順バイアス方向におけるオン抵抗および電圧、ならびに逆バイアス方向におけるリーク電流を、プローバーおよびパラメータ・アナライザを用いて測定した。順バイアス方向におけるオン抵抗は0.8mmΩcm
2であった。順バイアス方向における電流密度が500A/cm
2のときの電圧は1.5Vであった。また、逆バイアス方向におけるリーク電流は、−5V印加時には1×10
-8A/cm
2未満であり、−20V印加時には1×10
-8A/cm
2未満であり、−50V印加時には1×10
-8A/cm
2であり、−100V印加時には3×10
-8A/cm
2であり、−200V印加時には5×10
-8A/cm
2であり、−600V印加時には3×10
-7A/cm
2であった。結果を表1にまとめた。
【0081】
(比較例1)
第2のn
-型III族窒化物半導体層であるn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、
図2に示すIII族窒化物半導体デバイス1RであるSBDを得た。すなわち、
図2に示すIII族窒化物半導体デバイス1Rは、
図1に示す実施例1のIII族窒化物半導体デバイス1から第2のn
-型III族窒化物半導体層22が除外されて、第1のn
-型III族窒化物半導体層21上に、開口部30wを有する絶縁体層30およびショットキー電極40が順次配置された構造であった。
【0082】
本比較例で得られたIII族窒化物半導体デバイス1RであるSBDについて、順バイアス方向におけるオン抵抗は0.8mmΩcm
2であった。順バイアス方向における電流密度が500A/cm
2のときの電圧は1.5Vであった。また、逆バイアス方向におけるリーク電流は、−5V印加時には1×10
-7A/cm
2であり、−20V印加時には4×10
-7A/cm
2であり、−50V印加時には7×10
-6A/cm
2であり、−100V印加時には6×10
-5A/cm
2であり、−200V印加時には3×10
-4A/cm
2であり、−600V印加時には6×10
-2A/cm
2であった。結果を表1にまとめた。
【0083】
【表1】
【0084】
表1を参照して、順バイアス方向におけるオン抵抗および電流密度500A/cm
2のときの電圧に関して、実施例1で得られたSBDは比較例1で得られたSBDと同等であった。オン抵抗は、主として第1のn
-型III族窒化物半導体層の物性により決まるためと考えられた。逆バイアス方向におけるリーク電流に関して、実施例1で得られたSBDは比較例1で得られたSBDに比べて、著しく低減できた。実施例1で得られたSBD、第2のn
-型III族窒化物半導体層としてn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)を有することにより、第2のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数が第1のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数より大きくなるととともに、第2のn
-型III族窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーが第1のn
-型III族窒化物半導体層のバンドギャップエネルギーよりも大きくなり、トンネル電流が低減したためと考えられた。
【0085】
(実施例2)
第2のn
-型III族窒化物半導体層であるn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)のAl組成xおよびIn組成yの組み合わせ(x,y)を、それぞれ(0.20,0.03)、(0.20,0.04)、(0.20,0.05)または(0.20,0.06)としたこと以外は、実施例1と同様にして、
図1に示すIII族窒化物半導体デバイス1である4種類のSBDを得た。得られた4種類のSBDの逆バイアス方向である−600V印加時のリーク電流は、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)の(x,y)が(0.20,0.03)のSBDが3×10
-4A/cm
2、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)の(x,y)が(0.20,0.04)のSBDが3×10
-5A/cm
2、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)の(x,y)が(0.20,0.05)のSBDが3×10
-7A/cm
2、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)の(x,y)が(0.20,0.06)のSBDが3×10
-7A/cm
2であった。結果を表2にまとめた。
【0086】
【表2】
【0087】
表2を参照して、実施例2において得られたSBDのうち、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の(x,y)が式(α)を満たすもの、たとえば(0.20,0.05)または(0.20,0.06)であるものは、第2のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数が第1のn
-型III族窒化物半導体層の無歪みのときのa軸の格子定数よりも大きくなり、第2のn
-型III族窒化物半導体層にかかる圧縮歪みにより発生するピエゾ電界は逆バイアス方向への電圧の印加により発生する電界と逆方向であり、ショットキー障壁が厚くなったためリーク電流が低減したと考えられた。
【0088】
(実施例3)
第2のn
-型III族窒化物半導体層であるn
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層(0<y<1、0<x<1)の厚さを、それぞれ10nm、50nm、100nm、200nm、300nm、または500nmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、
図1に示すIII族窒化物半導体デバイス1である6種類のSBDを得た。得られた6種類のSBDの逆バイアス方向である−600V印加時のリーク電流は、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の厚さが10nmのSBDが3×10
-7A/cm
2であり、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の厚さが50nmのSBDが3×10
-7A/cm
2であり、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の厚さが100nmのSBDが3×10
-7A/cm
2であり、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の厚さが200nmのSBDが3×10
-7A/cm
2であり、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の厚さが300nmのSBDが3×10
-5A/cm
2であり、n
-型In
yAl
xGa
1-x-yN層の厚さが500nmのSBDが3×10
-4A/cm
2であった。結果を表3にまとめた。
【0089】
【表3】
【0090】
表3を参照して、実施例3で得られたSBDのうち、第2のn
-型III族窒化物半導体層の厚さが200nm以下のものは、欠乏層が十分に広がることにおより耐圧が高く維持されるとともに、第2のn
-型III族窒化物半導体層の結晶品質が高く維持されたため、リーク電流が低く維持されたものと考えられた。
【0091】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。