特許第6176072号(P6176072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6176072
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/16 20060101AFI20170731BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20170731BHJP
   H02K 1/02 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   H02K21/16 M
   H02K1/27 501A
   H02K1/02
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-235477(P2013-235477)
(22)【出願日】2013年11月13日
(65)【公開番号】特開2015-96000(P2015-96000A)
(43)【公開日】2015年5月18日
【審査請求日】2016年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】柴田 由之
【審査官】 池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−165614(JP,A)
【文献】 特開2009−296691(JP,A)
【文献】 特開2008−43099(JP,A)
【文献】 特開2000−156945(JP,A)
【文献】 米国特許第4358696(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 21/16
H02K 1/02
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを有するステータと、
前記ステータとの間に径方向に間隔を空けて配置されたロータとを備え、
前記ロータは、回転軸に一体回転可能に固定されたロータコア、及び前記ロータコアに埋め込まれる態様で固定されるとともに周方向に同一の極性が対向するように磁化された埋込磁石を有する回転電機において、
前記ロータは、前記埋込磁石の第1の極性の磁極間に周方向両側から挟まれることにより区分される第1磁極ブロックと、前記埋込磁石の第2の極性の磁極間に周方向両側から挟まれることにより区分される第2磁極ブロックとを備え、
前記第1磁極ブロックには、第1永久磁石が固定されることにより前記ステータ側に第2の極性が現れるマグネット磁極部と、該マグネット磁極部と周方向に隣り合って配置されるコア磁極部とが形成され、
前記第2磁極ブロックには、第2永久磁石が固定されることにより前記ステータ側に第1の極性が現れるマグネット磁極部と、該マグネット磁極部と周方向に隣り合って配置されるコア磁極部とが形成され、
前記第1磁極ブロックと前記第2磁極ブロックとは、前記マグネット磁極部が隣り合うとともに前記コア磁極部が隣り合うように周方向に交互に並んでおり、
前記ロータコアには、前記第1磁極ブロックから軸方向の少なくとも一方側に突出した第1突起が設けられるとともに、前記第2磁極ブロックにおける前記第1突起よりも径方向内側の位置から軸方向の少なくとも一方側に突出した第2突起が設けられ、
前記ロータの軸方向の少なくとも一方側には、周方向に巻回された補助コイル、及び前記補助コイルで作られる磁束の磁路となるヨークを有する補助界磁が配置され、
前記ヨークには、前記第1突起と軸方向において対向する外側磁極部が形成されるとともに、前記第2突起と軸方向において対向する内側磁極部が前記外側磁極部との間にギャップを介在させて形成されたことを特徴とする回転電機。
【請求項2】
請求項1に記載の回転電機において、
前記補助界磁は、前記外側磁極部に第2の極性が現れるとともに前記内側磁極部に第1の極性が現れる場合に、前記コア磁極部の極性が同じ前記磁極ブロックに含まれる前記マグネット磁極部の極性と同一になるような量の磁束を供給可能に構成されたことを特徴とする回転電機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転電機において、
前記ステータのスロット数が3N(ただし、Nは自然数)個であり、前記第1及び第2磁極ブロックの総数が2N個であることを特徴とする回転電機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の回転電機において、
前記補助界磁は、前記補助コイルで作られる磁束の磁路の途中に設けられ、該磁束に沿って磁化された可変磁石を有することを特徴とする回転電機。
【請求項5】
請求項4に記載の回転電機において、
前記可変磁石は、環状に形成されるとともに、前記補助コイルを前記ロータとの間に挟むように該補助コイルと軸方向に並置されたことを特徴とする回転電機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転電機において、
前記ロータコアは、電磁鋼板を複数枚積層することにより構成されるものであって、
前記第1磁極ブロックには、軸方向の少なくとも一方側に開口した第1挿入孔が前記外側磁極部と対向する位置に形成されるとともに、前記第2磁極ブロックには、軸方向の少なくとも一方側に開口した第2挿入孔が前記内側磁極部と対向する位置に形成され、
前記第1突起は、前記第1挿入孔に挿入され、前記ロータコアの軸方向の磁気抵抗よりも軸方向の磁気抵抗が小さな棒状の第1磁性体により構成され、
前記第2突起は、前記第2挿入孔に挿入され、前記ロータコアの軸方向の磁気抵抗よりも軸方向の磁気抵抗が小さな棒状の第2磁性体により構成されたことを特徴とする回転電機。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の回転電機において、
前記第1突起は、前記ロータコアの軸端面における前記外側磁極部と対向する位置に固定された第1磁性体により構成され、
前記第2突起は、前記ロータコアの軸端面における前記内側磁極部と対向する位置に固定された第2磁性体により構成されたことを特徴とする回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機には、ロータコアに界磁となる永久磁石を埋め込む態様で固定した所謂埋込磁石型のロータを備えたものがある(例えば、特許文献1)。こうした埋込磁石型のロータを備えた回転電機では、マグネットトルクのみならず、リラクタンストルクが発生するため、ロータコアの表面に永久磁石を固定した所謂表面磁石型のロータを備えるもの(例えば、特許文献2)に比べ、高いトルクを得られるといった利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−352702号公報
【特許文献2】特開2010−172195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような永久磁石界磁型の回転電機では、永久磁石で作られる磁束が略一定であるため、ステータのコイルに発生する誘起電圧(逆起電圧)はロータの回転速度に比例して大きくなる。そして、この誘起電圧が電源電圧の上限に達すると、それ以上ロータを高速で回転させることができなくなる。そこで、高速回転させることが要求される用途では、永久磁石で作られる磁束(コイルに対する鎖交磁束)をロータが十分に高速回転できるような量に抑える設計とすることが考えられるが、この場合には低速回転域で十分に高いトルクを得ることができなくなる。そのため、高速回転させることができるとともに、低速回転域では高いトルクを出力できる新たな技術の開発が求められていた。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、高速回転可能かつ低速回転域で高いトルクを出力可能な回転電機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する回転電機は、コイルを有するステータと、前記ステータとの間に径方向に間隔を空けて配置されたロータとを備え、前記ロータは、回転軸に一体回転可能に固定されたロータコア、及び前記ロータコアに埋め込まれる態様で固定されるとともに周方向に同一の極性が対向するように磁化された埋込磁石を有するものにおいて、前記ロータは、前記埋込磁石の第1の極性の磁極間に周方向両側から挟まれることにより区分される第1磁極ブロックと、前記埋込磁石の第2の極性の磁極間に周方向両側から挟まれることにより区分される第2磁極ブロックとを備え、前記第1磁極ブロックには、第1永久磁石が固定されることにより前記ステータ側に第2の極性が現れるマグネット磁極部と、該マグネット磁極部と周方向に隣り合って配置されるコア磁極部とが形成され、前記第2磁極ブロックには、第2永久磁石が固定されることにより前記ステータ側に第1の極性が現れるマグネット磁極部と、該マグネット磁極部と周方向に隣り合って配置されるコア磁極部とが形成され、前記第1磁極ブロックと前記第2磁極ブロックとは、前記マグネット磁極部が隣り合うとともに前記コア磁極部が隣り合うように周方向に交互に並んでおり、前記ロータコアには、前記第1磁極ブロックから軸方向の少なくとも一方側に突出した第1突起が設けられるとともに、前記第2磁極ブロックにおける前記第1突起よりも径方向内側の位置から軸方向の少なくとも一方側に突出した第2突起が設けられ、前記ロータの軸方向の少なくとも一方側には、周方向に巻回された補助コイル、及び前記補助コイルで作られる磁束の磁路となるヨークを有する補助界磁が配置され、前記ヨークには、前記第1突起と軸方向において対向する外側磁極部が形成されるとともに、前記第2突起と軸方向において対向する内側磁極部が前記外側磁極部との間にギャップを介在させて形成されたことを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、補助界磁から磁束が供給されない場合、第1磁極ブロックのコア磁極部のステータ側には、埋込磁石で作られる磁束により第1の極性(例えばN極)が現れ、第2磁極ブロックのコア磁極部のステータ側には、第2の極性(例えばS極)が現れる。つまり、コア磁極部は同じ磁極ブロックのマグネット磁極部と反対の極性の磁極として機能するため、第1及び第2磁極ブロックはそれぞれ2つの磁極として機能する。
【0008】
ここで、補助コイルへの通電により、第1突起と対向する外側磁極部に第1の極性が現れるとともに、第2突起と対向する内側磁極部に第2の極性が現れる場合、補助界磁から第1及び第2突起を介してロータに供給される磁束は、ステータとコア磁極部との間を、埋込磁石で作られる磁束と同方向に流れるようになる。一方、第1突起と対向する外側磁極部に第2の極性が現れるとともに、第2突起と対向する内側磁極部に第1の極性が現れる場合、補助界磁から第1及び第2突起を介してロータに供給される磁束は、ステータとコア磁極部との間を、埋込磁石で作られる磁束と逆方向に流れるようになる。したがって、外側磁極部及び内側磁極部に現れる極性を調整することで、ステータとコア磁極部との間を通過する磁束(コイルに対する鎖交磁束)を調整できるため、高速回転させるとともに、低速回転域では高いトルクを出力することが可能になる。
【0009】
上記回転電機において、前記補助界磁は、前記外側磁極部に第2の極性が現れるとともに前記内側磁極部に第1の極性が現れる場合に、前記コア磁極部の極性が同じ前記磁極ブロックに含まれる前記マグネット磁極部の極性と同一になるような量の磁束を供給可能に構成されることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、外側磁極部に第2の極性が現れるとともに内側磁極部に第1の極性が現れる場合、コア磁極部は、同じ磁極ブロックのマグネット磁極部と同一の極性の磁極として機能するため、第1及び第2磁極ブロックはそれぞれ1つの磁極として機能するようになる。一方、外側磁極部に第1の極性が現れるとともに内側磁極部に第2の極性が現れる場合、及び補助界磁から磁束が供給されない場合には、コア磁極部は、同じ磁極ブロックのマグネット磁極部と反対の極性の磁極として機能するため、第1及び第2磁極ブロックはそれぞれ2つの磁極として機能する。つまり、上記構成では、ロータの磁極数を第1及び第2磁極ブロックの総数と同一又は二倍に変化させることができる。ここで、ロータの回転速度が同じ場合、ロータの磁極数が少ないと、コイルと対向する磁極が切り替わるのにかかる時間が長くなり、単位時間当たりの鎖交磁束の変化量が小さくなる。そして、誘起電圧は鎖交磁束の単位時間当たりの変化量に比例するため、ロータの磁極数が少ないと、誘起電圧が小さくなり、十分にロータを高速回転させることが可能になる。
【0011】
上記回転電機において、前記ステータのスロット数が3N(ただし、Nは自然数)個であり、前記第1及び第2磁極ブロックの総数が2N個であることが好ましい。
上記構成によれば、スロット数が3N個に対してロータの磁極数が2N個又は4N個に切り替わることになる。このようにスロット数が3N個に対してロータの磁極数が2N個又は4Nの関係が成立する場合には、巻線係数が比較的高い値(「1」に近い値)となるため、ステータにおいて界磁磁束を有効に利用でき、効率良く回転電機を駆動できる。
【0012】
上記回転電機において、前記補助界磁は、前記補助コイルで作られる磁束の磁路の途中に設けられ、該磁束に沿って磁化された可変磁石を有することが好ましい。
上記構成によれば、外側磁極部及び内側磁極部には、可変磁石の磁化方向に応じた極性が現れる。また、補助コイルに大きな電流を供給して強い磁界を形成することで、可変磁石を不可逆的に減磁又は増磁、あるいは可変磁石の磁化方向を変更できる。これにより、継続して補助コイルに電流を供給しなくても、補助界磁からロータに磁束を供給でき、省電力化を図ることができる。
【0013】
上記回転電機において、前記可変磁石は、環状に形成されるとともに、前記補助コイルを前記ロータとの間に挟むように該補助コイルと軸方向に並置されることが好ましい。
上記構成によれば、補助コイルで作られる磁束は、第1及び第2突起を介してロータに出入りするため、補助コイルの磁路における第1及び第2突起に近接した部分(外側磁極部及び内側磁極部)を通過する磁束は、第1及び第2突起と対向する位置に集中し易い。つまり、補助コイルで作られる磁束の磁束密度が、周方向において均一とはならず、ばらつきが生じる。そのため、例えば可変磁石を外側磁極部又は内側磁極部の近傍に配置すると、補助コイルで形成される強い磁界によって可変磁石の磁化方向を変更等する際に、磁化の程度にばらつきが生じる虞がある。一方、補助コイルの磁路における第1及び第2突起から離間した部分では、磁束が特定の箇所に集中し難くなる。したがって、上記構成のように補助コイルが可変磁石とロータとの間に挟まれるように該可変磁石を配置し、可変磁石を第1及び第2突起から離間させることで、可変磁石の磁化の程度が周方向においてばらつくことを抑制できる。
【0014】
上記回転電機において、前記ロータコアは、電磁鋼板を複数枚積層することにより構成されるものであって、前記第1磁極ブロックには、軸方向の少なくとも一方側に開口した第1挿入孔が前記外側磁極部と対向する位置に形成されるとともに、前記第2磁極ブロックには、軸方向の少なくとも一方側に開口した第2挿入孔が前記内側磁極部と対向する位置に形成され、前記第1突起は、前記第1挿入孔に挿入され、前記ロータコアの軸方向の磁気抵抗よりも軸方向の磁気抵抗が小さな棒状の第1磁性体により構成され、前記第2突起は、前記第2挿入孔に挿入され、前記ロータコアの軸方向の磁気抵抗よりも軸方向の磁気抵抗が小さな棒状の第2磁性体により構成されることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、電磁鋼板によりロータコアが構成されるため、渦電流の発生を抑制できる。ここで、電磁鋼板を積層してなるロータコアでは、例えば円柱状の一体成形品からなるロータコアに比べ、軸方向の磁気抵抗が大きくなり、磁束がロータコア内を軸方向に流れ難くなる。そのため、例えばロータコアにおける補助界磁から離れた位置では補助界磁から出た磁束が少なくなったり、埋込磁石の補助界磁から離れた部位から出た磁束が補助界磁に引き込まれ難くなることがある。その結果、ステータとロータとの間を通過する磁束が軸方向においてばらつく虞がある。この点、上記構成によれば、磁束が棒状に形成された第1及び第2磁性体を通過することで、ロータコア内を軸方向に流れ易くなるため、渦電流の発生を抑制しつつ、ステータとロータとの間を通過する磁束が軸方向においてばらつくことを抑制できる。
【0016】
上記回転電機において、前記第1突起は、前記ロータコアの軸端面における前記外側磁極部と対向する位置に固定された第1磁性体により構成され、前記第2突起は、前記ロータコアの軸端面における前記内側磁極部と対向する位置に固定された第2磁性体により構成されることが好ましい。
【0017】
上記構成によれば、第1及び第2磁極ブロックに挿入孔を形成するとともにこの挿入孔に磁性体を挿入する場合に比べ、第1及び第2磁極ブロックの径方向の磁気抵抗が大きくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ロータを高速回転させるとともに低速回転域で高いトルクを出力できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の回転電機の軸方向に沿った断面図(図2のB−B断面図)。
図2】(a)は第1実施形態の回転電機の軸方向と直交する断面図(図1のA−A断面図)、(b)は(a)のロータの部分断面図。
図3】(a)は第1実施形態の磁極数を8個とした際におけるロータの軸方向に沿った断面での磁束の流れを示す模式図、(b)は同じくロータの軸方向と直交する断面での磁束の流れを示す模式図。
図4】(a)は第1実施形態の磁極数を4個とした際におけるロータの軸方向に沿った断面での磁束の流れを示す模式図、(b)は同じくロータの軸方向と直交する断面での磁束の流れを示す模式図。
図5】ステータのスロット数及びロータの磁極数と巻線係数との関係を示す表。
図6】第2実施形態の回転電機の軸方向に沿った断面図。
図7】第2実施形態のロータを軸方向一端側から見た側面図。
図8】第3実施形態の回転電機の軸方向に沿った断面図。
図9】(a),(b)は別例の補助界磁の部分断面図。
図10】(a)〜(c)は別例のロータの軸方向と直交する部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、回転電機の第1実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2(a),(b)に示す回転電機(電動モータ)1は、例えば電気自動車やハイブリッド自動車等の走行用の駆動源として用いられるものである。同図に示すように、回転電機1は、筒状のハウジング2と、ハウジング2内に収容されたステータ3と、ステータ3の径方向内側(内周側)に間隔を空けて配置されたロータ4と、電力供給を通じてステータ3に回転磁界を発生させる制御装置5とを備えている。つまり、本実施形態の回転電機1は、インナロータ型のラジアルギャップモータとして構成されている。
【0021】
詳しくは、ハウジング2は、一端側(図1中、右側)が開口した有底円筒状のハウジング本体7と、ハウジング本体7の開口端を閉塞するように設けられる円板状のカバー8とを備えている。ハウジング本体7の底部7aの中央には、軸方向に貫通した挿通孔7bが形成され、カバー8の中央には、軸方向に貫通した挿通孔8aが形成されている。
【0022】
ステータ3は、ハウジング本体7の筒状部7cの内側に固定された円筒状の円筒部11、及び円筒部11から径方向内側に向かって放射状に延びる複数のティース12からなるステータコア13を備えている。本実施形態のステータコア13には、ティース12が6個形成されており、ティース12間に形成されるスロットの数も6個とされている。ステータコア13は、珪素鋼板等の電磁鋼板を複数枚積層することにより構成されている。そして、各ティース12には、コイル(電機子コイル)15が設けられている。なお、コイル15の接続端部15aは、ハウジング2の外部に引き出されて制御装置5に接続されている。
【0023】
ロータ4は、回転軸21と一体回転可能に固定されたロータコア22と、ロータコア22に埋め込まれる態様で固定された埋込磁石としての複数対(本実施形態では、2対)の磁石片23a,23bとを備えている。つまり、本実施形態のロータ4は、所謂埋込磁石型のロータとして構成されている。
【0024】
より詳しくは、回転軸21は、円柱状に形成されており、底部7aの挿通孔7b及びカバー8の挿通孔8aに設けられた軸受24a,24bを介して回転可能に支持されている。なお、回転軸21は、ステンレス鋼等の非磁性材料により構成されている。また、ロータコア22は、円柱状に形成されており、電磁鋼板25を複数枚積層することにより構成されている。なお、図1において拡大して示すように、電磁鋼板25の表面には、絶縁被膜25aが設けられている。
【0025】
ロータコア22には、軸方向に貫通した貫通孔26がその中央に形成されており、貫通孔26に回転軸21が圧入されることにより、ロータコア22と回転軸21とが一体回転可能に設けられている。また、ロータコア22には、磁石片23a,23bが内部に配置される複数対の空洞部27a,27bが設けられている。空洞部27a,27bは、軸方向に延びる断面長方形の孔状に形成されるとともに、断面のなす長方形の長手方向が径方向線に沿うように形成されている。また、空洞部27a,27bの径方向両側には、該空洞部27a,27bと連続する断面略半円形の膨出部28が形成されている。
【0026】
磁石片23a,23bには、フェライト系の焼結磁石やボンド磁石(例えばプラスチックマグネットやゴムマグネット)等からなるセグメント磁石が採用されている。磁石片23a,23bは、長方形板状に形成されている。磁石片23a,23bにおけるロータ4の軸方向と直交する断面形状は、上記空洞部27a,27bの断面形状に対応した長方形状とされており、磁石片23a,23bは空洞部27a,27b内に挿入されることでロータコア22に固定されている。なお、上記膨出部28は、磁石片23a,23bの磁束の回り込みを防ぐ、所謂フラックスバリアとして機能する。そして、磁石片23a,23bは、周方向において同一の極性(N極又はS極)が対向するとともに、この磁石片23a,23b間で対向する極性が周方向に沿って交互に反対となるように磁化(着磁)されている。これにより、磁石片23aは、周方向一方側の磁石片23bとは第1の極性としてのN極が対向し、周方向他方側の磁石片23bとは第2の極性としてのS極が対向している。つまり、磁石片23aは、周方向一方側の磁石片23bのみでなく、周方向他方側の磁石片23bとも同一の極性が対向するように着磁されていることになり、磁石片23aは、周方向両側に隣り合う磁石片23bのそれぞれと一対の磁石片を構成している。
【0027】
このように構成された回転電機1は、制御装置5から三相の駆動電流がコイル15に対して供給されると、ステータ3に回転磁界が発生し、その回転磁界に基づいてロータ4が回転するようになっている。
【0028】
(ロータ磁極数可変機構)
ここで、ロータ4は、磁石片23a,23bのN極に周方向両側から挟まれることにより区分された複数(本実施形態では、2個)の第1磁極ブロック31と、磁石片23a,23bのS極に周方向両側から挟まれることにより区分された複数(本実施形態では、2個)の第2磁極ブロック32とを備えている。第1磁極ブロック31には、第1永久磁石33が固定されることにより、ステータ3側にS極(第2の極性)が現れるマグネット磁極部34と、該マグネット磁極部34と周方向に隣り合って配置されるコア磁極部35とが形成されている。一方、第2磁極ブロック32には、第2永久磁石36が固定されることにより、ステータ3側にN極(第1の極性)が現れるマグネット磁極部37と、該マグネット磁極部37と周方向に隣り合って配置されるコア磁極部38とが形成されている。また、ロータコア22には、第1磁極ブロック31から軸方向一端側(図1における右側)に突出した第1突起39、及び第2磁極ブロック32における第1突起39よりも径方向内側の位置から軸方向一端側に突出した第2突起40が設けられている。さらに、ロータ4の軸方向一端側には、該ロータ4との間に間隔を空けて設けられる補助界磁SFが設けられている。そして、回転電機1では、補助界磁SFから第1及び第2突起39,40を介してロータ4に供給される磁束を調整することで、ロータ4の磁極数を第1及び第2磁極ブロック31,32の総数と同一又は二倍、すなわち4個又は8個に切り替え可能となっている。なお、上記のようにスロット数は6個であるため、本実施形態の回転電機1は、スロット数を3N(ただし、Nは自然数)個とした場合、ロータ4の磁極数が2N個又は4N個となる関係を満たす。
【0029】
先ず、ロータの構成について詳細に説明する。
図2(a),(b)に示すように、ロータコア22の第1磁極ブロック31には、第1永久磁石33が内部に配置される第1空洞部41が形成され、第2磁極ブロック32には、第2永久磁石36が内部に配置される第2空洞部42が形成されている。第1及び第2空洞部41,42は、それぞれ軸方向に延びる断面長方形の孔状に形成されるとともに、断面のなす長方形の長手方向がその中央を通る径方向線に対して略直交するように形成されている。そして、第1及び第2空洞部41,42は、上記空洞部27bにそれぞれ近接して設けられている。また、本実施形態のロータコア22には、第1及び第2空洞部41,42における空洞部27a側に空隙43がそれぞれ形成されている。なお、空隙43は、軸方向に貫通するとともに、ロータコア22の外周面から径方向内側に延びる溝状に形成されている。
【0030】
第1及び第2永久磁石33,36には、フェライト系の焼結磁石やボンド磁石等からなるセグメント磁石が採用されている。第1及び第2永久磁石33,36は、それぞれ長方形板状に形成されている。第1永久磁石33におけるロータ4の軸方向と直交する断面形状は、第1空洞部41の断面形状に対応した長方形状とされており、第1永久磁石33は第1空洞部41内に挿入されることでロータコア22に固定されている。同様に、第2永久磁石36におけるロータ4の軸方向と直交する断面形状は、第2空洞部42の断面形状に対応した長方形状とされており、第2永久磁石36は第2空洞部42内に挿入されることでロータコア22に固定されている。そして、第1永久磁石33は、外周側(ステータ3側)にS極が現れるようにその板厚方向(ロータ4の径方向に略沿った方向)に磁化され、第2永久磁石36は、外周側にN極が現れるようにその板厚方向に磁化されている。これにより、ロータコア22の外周面における第1空洞部41と対向する部位には、S極が常に現れ、第2空洞部42と対向する部位には、N極が常に現れる。
【0031】
したがって、ロータコア22における第1空洞部41の形成された部分が第1磁極ブロック31のマグネット磁極部34として機能し、第1空洞部41と空洞部27aとの間がコア磁極部35として機能する。また、ロータコア22における第2空洞部42の形成された部分が第2磁極ブロック32のマグネット磁極部37として機能し、第2空洞部42と空洞部27aとの間がコア磁極部38として機能する。そして、第1磁極ブロック31と第2磁極ブロック32とは、マグネット磁極部34,37が隣り合うとともにコア磁極部35,38が隣り合うように周方向に交互に並んでいる。なお、本実施形態のマグネット磁極部34,37及びコア磁極部35,38は、それぞれ略45°の周方向範囲に亘って延びており、各磁極ブロック31,32は略90°の周方向範囲に亘って延びている。
【0032】
図1及び図2(a),(b)に示すように、第1磁極ブロック31の径方向外側部分には、軸方向に貫通した第1挿入孔51が形成され、第2磁極ブロック32の径方向内側部分には、軸方向に貫通した第2挿入孔52が形成されている。第1及び第2挿入孔51,52は、それぞれ断面長方形状に形成されている。第1挿入孔51は、コア磁極部35が設けられた範囲内に形成され、第2挿入孔52は、マグネット磁極部37及びコア磁極部38が設けられた範囲の双方に跨って形成されている。また、第1挿入孔51が形成されている径方向の範囲と第2挿入孔52が形成されている径方向の範囲とは、周方向において重ならないように設定されている。そして、第1挿入孔51と第2挿入孔52とは、これらの断面積が互いに略等しくなるように形成されている。
【0033】
第1及び第2挿入孔51,52には、それぞれ長い棒状の第1及び第2磁性体53,54が挿入されている。第1磁性体53は、第1挿入孔51の断面形状に対応した断面長方形に形成されるとともに、その軸方向の全体に亘って断面略一定に形成されている。一方、第2磁性体54は、第2挿入孔52の断面形状に対応した断面長方形に形成されるとともに、その軸方向の全体に亘って断面略一定に形成されている。また、第1磁性体53と第2磁性体54とは、これらの断面積が互いに略等しくなるように形成されている。なお、本実施形態の第1及び第2磁性体53,54は、珪素鋼板等の電磁鋼板55,56をロータコア22を構成する電磁鋼板25の積層方向と直交する方向に積層することにより構成されている。これにより、第1及び第2磁性体53,54の軸方向の磁気抵抗は、ロータコア22の軸方向の磁気抵抗よりも小さくなっている。そして、図1に示すように、第1及び第2磁性体53,54は、ロータコア22の軸方向長さよりも長く形成されており、第1及び第2磁性体53,54の一端部53a,54aがロータコア22の軸端面よりも軸方向一端側に突出している。これにより、第1磁性体53の一端部53aが第1突起39として機能し、第2磁性体54の一端部54aが第2突起40として機能する。
【0034】
次に、補助界磁の構成について詳細に説明する。
補助界磁SFは、導線を周方向に巻回してなる補助コイル61と、補助コイル61で作られる磁束の磁路となるヨーク62と、補助コイル61で作られる磁束の磁路の途中に設けられた可変磁石63とを備えている。そして、ヨーク62には、第1突起39と軸方向において対向する外側磁極部64が形成されるとともに、第2突起40と軸方向において対向する内側磁極部65が外側磁極部64との間に環状のギャップGを介在させて形成されている。
【0035】
詳しくは、ヨーク62は、円筒状の外側部材71と、外側部材71の内周に配置された円筒状の内側部材72とを有している。なお、外側部材71及び内側部材72は、圧粉磁心により構成されている。外側部材71の一端部(ロータ4と反対側の端部)には、径方向内側に延出された円環状の固定フランジ部73が形成され、外側部材71の他端部(ロータ4側の端部)には、径方向内側に延出された円環状の対向フランジ部74が形成されている。そして、外側部材71は、ロータ4と同軸上に配置されるとともに、対向フランジ部74が第1突起39と軸方向において対向するようにカバー8の内側に固定されている。これにより、対向フランジ部74が外側磁極部64として機能する。
【0036】
一方、内側部材72の一端部には、径方向外側に延出された円環状の固定フランジ部75が形成され、内側部材72の他端部には、径方向外側に延出された円環状の対向フランジ部76が形成されている。そして、内側部材72は、ロータ4と同軸上に配置されるとともに、対向フランジ部76が第2突起40と軸方向において対向するようにカバー8の内側に固定されている。これにより、対向フランジ部76が内側磁極部65として機能する。
【0037】
そして、外側部材71と内側部材72とは、対向フランジ部74(外側磁極部64)と対向フランジ部76(内側磁極部65)との間に上記ギャップGが形成されるように、径方向に間隔を空けてカバー8に固定されている。ギャップGの径方向の幅は、対向フランジ部74と第1突起39との軸方向の間隔、及び対向フランジ部76と第2突起40との軸方向の間隔の双方よりも大きくなるように設定されている。これにより、外側磁極部64を通過する磁束は主に第1突起39を介してロータコア22の第1磁極ブロック31に出入りし、内側磁極部65を通過する磁束は主に第2突起40を介して第2磁極ブロック32に出入りする。
【0038】
補助コイル61は、円環状に形成されている。そして、補助コイル61は、外側部材71の軸方向中央部と内側部材72の軸方向中央部との間において、ロータ4と同軸上に配置されるように固定されている。これにより、補助コイル61で発生する磁束の磁路には、ヨーク62(外側部材71及び内側部材72)が含まれる。なお、補助コイル61の接続端部61aは、ハウジング2の外部に引き出されて制御装置5に接続されている。また、補助コイル61の導線は、上記コイル15の導線よりも線径の太いものが用いられている。
【0039】
可変磁石63には、サマリウム−コバルト系の焼結磁石等、磁石片23a,23b、第1及び第2永久磁石33,36よりも保磁力の小さなリング磁石が採用されている。可変磁石63は、円環状に形成されている。そして、可変磁石63は、外側部材71の固定フランジ部73と内側部材72の固定フランジ部75との間に固定されている。これにより、可変磁石63は、補助コイル61が可変磁石63とロータ4との間に挟まれるように補助コイル61と軸方向に並置されている。なお、可変磁石63と固定フランジ部73,75とは互いに密着している。
【0040】
可変磁石63は、補助コイル61で作られる磁束に沿った方向(本実施形態では、径方向)に磁化(着磁)されている。可変磁石63は、制御装置5から補助コイル61に大きな電流が供給されて強い磁界を形成されることで、不可逆的に減磁又は増磁、あるいは磁化方向が変更される。そして、外側磁極部64となる対向フランジ部74及び内側磁極部65となる対向フランジ部76には、可変磁石63の磁化方向に応じた極性が現れている。なお、可変磁石63には、後述するように外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れる場合に、コア磁極部35,38の極性が同じ磁極ブロック31,32のマグネット磁極部34,37の極性と同一になるような量の磁束をロータ4に供給可能な程度に磁化できるものが用いられている。
【0041】
次に、ロータの磁極数について詳細に説明する。なお、図面では、磁石の磁化方向を太線の矢印で示し、磁束の流れを破線の矢印で示している。
図3に示すように、可変磁石63の磁化方向を調整して、外側磁極部64にN極が現れるとともに内側磁極部65にS極が現れる場合に、ロータ4の磁極数が第1及び第2磁極ブロック31,32の総数の二倍となる。なお、又は補助界磁SFから磁束が供給されない場合にも、ロータ4の磁極数が第1及び第2磁極ブロック31,32の総数の二倍となる。一方、図4に示すように、外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れる場合に、コア磁極部35,38の極性が同じ磁極ブロック31,32の各マグネット磁極部34,37の極性と同一になるような量の磁束をロータ4に供給可能な強さに可変磁石63を磁化することで、ロータ4の磁極数が第1及び第2磁極ブロック31,32の総数と同一になる。
【0042】
詳しくは、図3(a),(b)に示すように、外側磁極部64にN極が現れるとともに内側磁極部65にS極が現れる場合、補助界磁SFから第1及び第2突起39,40を介してロータ4に供給される磁束は、ステータ3とコア磁極部35,38との間を、磁石片23a,23b、第1及び第2永久磁石33,36で作られる磁束と同方向に流れるようになる。これにより、第1及び第2磁極ブロック31,32のコア磁極部35,38のステータ3側には、同じ磁極ブロック31,32のマグネット磁極部34,37と反対の極性が現れ、第1及び第2磁極ブロック31,32はそれぞれ2個の磁極として機能する。
【0043】
より詳しくは、例えば図3(b)中左上のS極のマグネット磁極部34を有する第1磁極ブロック31では、磁石片23a,23bのN極から出る磁束の一部、第1永久磁石33のN極から出る磁束の一部、及び補助界磁SFから第1磁性体53(第1突起39)を介して出る磁束の一部がコア磁極部35の外周面からステータ3側に流れ出るようになり、該コア磁極部35がN極として機能する。これにより、第1磁極ブロック31のマグネット磁極部34とコア磁極部35とには異なる極性が現れ、該第1磁極ブロック31は2個の磁極として機能する。また、例えば図3(b)中右上のN極のマグネット磁極部37を有する第2磁極ブロック32では、磁石片23a,23bのS極に入る磁束の一部、第2永久磁石36のS極に入る磁束の一部、及び第2磁性体54(第2突起40)を介して補助界磁SFに入る磁束の一部が、コア磁極部38の外周面から流れ込むようになり、該コア磁極部38がS極として機能する。これにより、第2磁極ブロック32の各マグネット磁極部37とコア磁極部38とには異なる極性が現れ、該第2磁極ブロック32は2個の磁極として機能する。したがって、ロータ4の磁極数が第1及び第2磁極ブロック31,32の総数の二倍となる。
【0044】
なお、補助界磁SFから磁束が供給されない場合には、ステータ3とコア磁極部35,38との間の間を通過する磁束は、外側磁極部64にN極が現れるとともに内側磁極部65にS極が現れる場合と同様に流れる。
【0045】
一方、図4(a),(b)に示すように、外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れる場合、補助界磁SFから第1及び第2突起39,40を介してロータ4に供給される磁束は、ステータ3とコア磁極部35,38との間を、磁石片23a,23bで作られる磁束と逆方向に流れるようになる。これにより、第1及び第2磁極ブロック31,32のコア磁極部35,38のステータ3側には、同じ各磁極ブロック31,32のマグネット磁極部34,37と同一の極性が現れ、第1及び第2磁極ブロック31,32はそれぞれ1つの磁極として機能する。
【0046】
より詳しくは、例えば図4(b)中左上のS極のマグネット磁極部34を有する第1磁極ブロック31では、補助界磁SFの外側磁極部64には、磁石片23a,23bのN極から出る磁束の一部、第1永久磁石33のN極から出る磁束の一部、及びステータ3側からコア磁極部35の外周面を介して流れ込む磁束が第1磁性体53(第1突起39)を介して入るようになり、該コア磁極部35がS極として機能する。これにより、第1磁極ブロック31のマグネット磁極部34とコア磁極部35とには同一の極性が現れ、該第1磁極ブロック31は1個の磁極として機能する。また、例えば図4(b)中右上のN極のマグネット磁極部37を有する第2磁極ブロック32では、補助界磁SFの内側磁極部65から第2磁性体54(第2突起40)を介して入った磁束は、その一部が磁石片23a,23bのS極及び第2永久磁石36のS極に入るとともに、他の一部がコア磁極部38の外周面からステータ3側に流れ出るようになり、該コア磁極部38がN極として機能する。これにより、第2磁極ブロック32のマグネット磁極部37とコア磁極部38とには同一の極性が現れ、該第2磁極ブロック32は1個の磁極として機能する。したがって、ロータ4の磁極数が第1及び第2磁極ブロック31,32の総数と同一になる。
【0047】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)補助界磁SFから供給される磁束に応じてロータ4の磁極数を4個又は8個に変更可能とした。ここで、ロータ4の回転速度が同じ場合、ロータ4の磁極数が少ないと、コイル15と対向する磁極の極性が切り替わるのにかかる時間が長くなり、単位時間当たりの鎖交磁束の変化量が小さくなる。そして、誘起電圧は鎖交磁束の単位時間当たりの変化量に比例するため、ロータ4の磁極数が少ないと、誘起電圧が小さくなり、高速回転が可能となる。つまり、ロータ4の磁極数を多くした状態で高いトルクが出力可能な設計としても、ロータ4の磁極数を少なくした状態で高速回転させることが可能になる。したがって、ロータ4を高速回転させるとともに低速回転域で高いトルクを出力できる。
【0048】
(2)スロット数を3N個とした場合、ロータ4の磁極数が2N個又は4N個となる関係を満たすように回転電機1を構成した。図5に示すように、スロット数が3N個に対して、ロータの磁極数が2N個又は4Nの関係が成立する場合には、コイル15に鎖交する磁束の有効性を示す巻線係数が比較的高い値(「1」に近い値)となるため、本実施形態では回転電機1を効率良く駆動することが可能となっている。なお、図7では、説明の便宜上、巻線係数が「0.8」よりも大きくなるスロット数とロータ4の磁極数の組み合わせの欄に○印を付している。
【0049】
(3)補助界磁SFに、補助コイル61で作られる磁束に沿って磁化された可変磁石63を設けたため、継続して補助コイル61に電流を供給しなくても、補助界磁SFからロータ4に磁束を供給でき、省電力化を図ることができる。
【0050】
(4)可変磁石63を環状に形成するとともに、補助コイル61をロータ4との間に挟み込むようにして補助コイル61と軸方向に並置した。
ここで、補助コイル61で作られる磁束は、第1及び第2突起39,40を介してロータ4に出入りするため、補助コイル61の磁路における第1及び第2突起39,40に近接した部分(外側磁極部64及び内側磁極部65)を通過する磁束は、第1及び第2突起39,40と対向する位置に集中し易い。つまり、補助コイル61で作られる磁束の磁束密度が、周方向において均一とはならず、ばらつきが生じる。そのため、例えば可変磁石63を外側磁極部64又は内側磁極部65の近傍に配置すると、補助コイル61で形成される強い磁界によって可変磁石63の磁化方向を変更等する際に、磁化の程度にばらつきが生じる虞がある。一方、補助コイル61の磁路における第1及び第2突起39,40から離間した部分では、磁束が特定の箇所に集中し難くなる。したがって、本実施形態のように補助コイル61が可変磁石63とロータ4との間に挟まれるように可変磁石63を配置し、可変磁石63を第1及び第2突起39,40から離間させることで、可変磁石63の磁化の程度が周方向においてばらつくことを抑制できる。
【0051】
(5)ロータコア22は、電磁鋼板25を軸方向に複数枚積層して構成したため、渦電流の発生を抑制できる。しかし、上記のように電磁鋼板25を積層してなるロータコア22では、軸方向の磁気抵抗が径方向の磁気抵抗よりも大きくなるため、磁束がロータコア22内を軸方向に流れ難くなる。そのため、例えばロータコア22における補助界磁SFから離れた位置では補助界磁SFから出た磁束が少なくなったり、磁石片23a,23bの補助界磁SFから離れた部位から出た磁束が補助界磁SFに引き込まれ難くなったりすることがある。その結果、ステータ3とロータ4との間を通過する磁束が軸方向においてばらつく虞がある。この点、本実施形態では、第1及び第2突起39,40が、ロータコア22の軸方向の磁気抵抗よりも軸方向の磁気抵抗が小さな棒状の第1及び第2磁性体53,54の一端部53a,54aによりそれぞれ構成されている。したがって、磁束が第1及び第2磁性体53,54を通過することで、ロータコア22内を軸方向に流れ易くなるため、ステータ3とロータ4との間を通過する磁束が軸方向においてばらつくことを抑制できる。
【0052】
(6)第1突起39と第2突起40とを、軸方向と直交する断面積が互いに等しくなるように形成した。ここで、第1及び第2突起39,40は、それぞれ補助界磁SFで作られる磁束の磁路となるため、例えば第1及び第2突起39,40のいずれか一方の断面積のみを大きくしても、いずれか他方の断面積が小さく磁気抵抗が大きい場合には、補助界磁SFとロータ4との間を通過する磁束は増加しない。したがって、本実施形態のように第1及び第2突起39,40の断面積を互いに等しくすることで、補助界磁SFとロータ4との間を通過する磁束を効率的に増加させることができる。
【0053】
(7)各磁石片23a,23bを平板状に形成するとともにロータコア22に対して放射状に配置し、周方向において同じ極性が対向するように磁化した。そのため、第1及び第2磁極ブロック31,32を径方向の広範囲に広がった形状とするとともに、軸方向から見た第1及び第2磁極ブロック31,32の面積を大きくすることができる。これにより、第1及び第2突起39,40の断面積をそれぞれ大きくすることが可能になり、補助界磁SFとロータ4との間を通過する磁束をより増加させることができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は、第1及び第2突起の構成である。このため、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図6及び図7に示すように、第1磁極ブロック31の軸方向一端側の軸端面には、外側磁極部64と軸方向において対向する位置に短い棒状の第1磁性体81が配置され、第2磁極ブロック32の軸方向一端側の軸端面には、内側磁極部65と軸方向において対向する位置に短い棒状の第2磁性体82が配置されている。これにより、第1磁性体81が第1突起39として機能し、第2磁性体82が第2突起40として機能する。
【0056】
詳しくは、第1及び第2磁性体81,82の軸方向と直交する断面形状は、それぞれ略扇形状とされるとともに、その軸方向の全体に亘って断面略一定に形成されている。また、第1磁性体81と第2磁性体82とは、これらの断面積が互いに略等しくなるように形成されている。なお、本実施形態の第1及び第2磁性体81,82は、圧粉磁心により構成されている。そして、第1及び第2磁性体81,82は、ロータコア22の軸方向一端側の軸端面に固定されたホルダ83によって固定されている。
【0057】
ホルダ83は円板状に形成されるとともに、ホルダ83の中央には回転軸21が挿通される貫通孔84が形成されている。また、ホルダ83には、第1及び第2磁性体81,82と対応する位置にこれらが嵌合する嵌合孔85,86が形成されている。そして、ホルダ83は、接着剤等によりロータコア22に固定されている。なお、本実施形態のホルダ83は、樹脂材料により構成されている。
【0058】
本実施形態の回転電機1では、上記第1実施形態と同様に、可変磁石63の磁化方向が変更されることで外側磁極部64及び内側磁極部65に現れる極性が変更され、補助界磁SFで作られる磁束が第1及び第2突起39,40を介してロータ4に出入りすることで、ロータ4の磁極数が第1及び第2磁極ブロック31,32の総数と同一又は二倍に変化する。
【0059】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1)〜(4),(6),(7)の作用効果に加えて以下の作用効果を有する。
(8)第1突起39を第1磁極ブロック31の軸端面における外側磁極部64と対向する位置に固定された第1磁性体81により構成し、第2突起40を第2磁極ブロック32の軸端面における内側磁極部65と対向する位置に固定された第2磁性体82により構成した。そのため、上記第1実施形態のように第1及び第2磁極ブロック31,32に形成された挿入孔に磁性体を挿入する場合に比べ、第1及び第2磁極ブロック31,32の径方向の磁気抵抗が大きくなることを抑制できる。
【0060】
(9)第1及び第2磁性体81,82をホルダ83よりロータコア22に固定したため、例えば接着剤等により第1及び第2磁性体81,82をロータコア22に固定する場合に比べ、第1及び第2磁性体81,82とロータコア22との間の磁気抵抗を小さくすることができる。
【0061】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態を図面に従って説明する。なお、本実施形態と上記第1実施形態との主たる相違点は、補助界磁の構成である。このため、説明の便宜上、同一の構成については上記第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図8に示すように、本実施形態の補助界磁SFは、補助コイル61と、ヨーク62とを備えており、可変磁石63を備えていない。また、ヨーク62の外側部材71の固定フランジ部73が内側部材72の一端部に密着している。なお、補助コイル61には、外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れる場合に、コア磁極部35,38の極性が同じ磁極ブロック31,32のマグネット磁極部34,37の極性と同一になるような量の磁束を発生可能な電流を流すことができるものが用いられている。
【0063】
このように構成された補助界磁SFでは、補助コイル61への通電方向に応じた極性が外側磁極部64及び内側磁極部65に現れる。そして、上記第1実施形態と同様に、外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れる場合には、コア磁極部35,38の極性が同じ磁極ブロック31,32のマグネット磁極部34,37の極性と同一になるような量の磁束を発生させることで、ロータ4の磁極数が第1及び第2磁極ブロック31,32の総数と同一又は二倍に変化する。
【0064】
以上記述したように、本実施形態によれば、上記第1実施形態の(1),(2),(5)〜(7)と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0065】
・上記第1及び第2実施形態では、補助コイル61がロータ4と可変磁石63との間に挟まれるように補助コイル61と可変磁石63とを軸方向に並置した。しかし、これに限らず、例えば図9(a)に示すように、可変磁石63を補助コイル61の外周側に固定したり、又は図9(b)に示すように、可変磁石63を補助コイル61の内周側に固定したりしてもよい。さらに、可変磁石63を第1突起39又は第2突起40と対向するようにヨーク62に固定してもよい。なお、この場合には、可変磁石63が外側磁極部64又は内側磁極部65として構成される。
【0066】
・上記第1及び第3実施形態では、第1及び第2磁性体53,54を、電磁鋼板55,56をロータコア22を構成する電磁鋼板25の積層方向と直交する方向に積層することにより構成したが、軸方向の磁気抵抗がロータコア22の軸方向の磁気抵抗よりも小さければよく、例えば圧粉磁心等により構成してもよい。
【0067】
・上記第2実施形態では、ホルダ83によって第1及び第2磁性体81,82をロータコア22に固定したが、これに限らず、例えば接着剤等により第1及び第2磁性体81,82をロータコア22に固定してもよい。
【0068】
・上記各実施形態では、複数対の磁石片23a,23bを放射状に配置し、磁石片23aが周方向両側に隣り合う磁石片23bのそれぞれと一対の磁石片を構成するようにした。しかし、これに限らず、例えば図10(a)に示すように、磁石片23aと磁石片23bとを、それぞれの断面のなす長方形の長手方向が径方向に対して互いに逆方向に傾くように配置し、磁石片23aが周方向一方側に隣り合う磁石片23bのみと一対の磁石片を構成するようにしてもよい。
【0069】
また、埋込磁石を対になる磁石片により構成せず、単一の部材により構成してもよく、例えば図10(b)に示すように、埋込磁石91を径方向内側に凸となる円弧状に形成してもよい。なお、この場合には、回転軸21を磁性材料により構成してもよい。
【0070】
要するに埋込磁石は、周方向において同一の極性が対向するとともに、第1磁極ブロック31から突出する第1突起39と第2磁極ブロック32から突出する第2突起40とを周方向において重ならないように設けることができれば、その形状や配置等は適宜変更可能である。
【0071】
・上記各実施形態では、第1及び第2永久磁石33,36をロータコア22の第1及び第2空洞部41,42にそれぞれ埋め込む態様で固定したが、これに限らず、例えば図10(c)に示すように、第1及び第2永久磁石33,36をそれぞれロータコア22の表面に固定してもよい。なお、この場合には、第1及び第2永久磁石33,36自体がそれぞれマグネット磁極部34,37として機能する。
【0072】
・上記各実施形態では、磁石片23a,23b、第1及び第2永久磁石33,36にフェライト系の焼結磁石やボンド磁石を用いたが、これに限らず、例えばネオジウム系の焼結磁石等の他の磁石を用いてもよい。同様に、可変磁石63にサマリウム−コバルト系の焼結磁石以外の磁石を用いてもよい。
【0073】
・上記各実施形態において、ロータコア22に第1及び第2磁極ブロック31,32から軸方向両側に突出する第1及び第2突起39,40を設けるとともに、補助界磁SFをロータ4の軸方向両側に設けてもよい。
【0074】
・上記各実施形態において、第1の極性をS極とし、第2の極性をN極としてもよい。
・上記各実施形態において、第1突起39の断面積と第2突起40の断面積とが互いに異なるように形成してもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、外側部材71、内側部材72、第1磁性体81、第2磁性体82を圧粉磁心により構成したが、例えば低炭素鋼等を用いてもよい。
・上記各実施形態おいて、ロータコア22に空隙43を形成しなくてもよい。
【0076】
・上記各実施形態では、ステータ3のスロット数を6個とし、ロータ4の磁極数を4個又は8個に変更可能とした。しかし、これに限らず、スロット数を3N個とした場合、ロータ4の磁極数が2N個又は4N個となる関係を満たさなくともよく、スロット数及び磁極数は適宜変更可能である。
【0077】
・上記各実施形態では、回転電機1をインナロータ型のラジアルギャップモータとしたが、これに限らず、アウタロータ型のラジアルギャップモータとしてもよい。
・上記各実施形態では、外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れる場合に、コア磁極部35,38の極性が同じ磁極ブロック31,32の各マグネット磁極部34,37と同一の極性となるような量の磁束をロータ4に供給可能に補助界磁SFを構成した。しかし、これに限らず、補助界磁SFを、外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れる場合に、コア磁極部35,38の極性が同じ磁極ブロック31,32の各マグネット磁極部34,37の極性と反対のままになるような量の磁束しか供給できない構成としてもよい。この場合でも、外側磁極部64にS極が現れるとともに内側磁極部65にN極が現れると、補助界磁SFからロータ4に供給される磁束は、ステータ3とコア磁極部35,38との間を、磁石片23a,23bで作られる磁束と逆方向に流れる。そのため、外側磁極部64にN極が現れるとともに内側磁極部65にS極が現れる場合、及び補助界磁SFから磁束が供給されない場合に比べ、ステータ3とコア磁極部35,38との間を通過する磁束が減少する。これにより、誘起電圧を小さく抑えることが可能になり、ロータ4を高速回転させることが可能になる。
【0078】
・上記各実施形態では、回転電機1を電気自動車やハイブリッド自動車の駆動源として用いたが、これに限らず、例えば電動パワーステアリング装置等の他の装置の駆動源として用いてもよく、また、発電機として用いてもよい。なお、上記第1及び第2実施形態のように可変磁石63によって補助界磁SFの磁束を発生させる回転電機は、大きなトルクを出力する状態又は高速回転する状態が継続する用途に適用することが好ましい。また、上記第3実施形態のように補助コイル61によって補助界磁SFの磁束を発生させる回転電機は、大きなトルクを出力する状態又は高速回転する状態が頻繁に切り替わる用途に適用することが好ましい。
【0079】
次に、上記各実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)前記第1突起と前記第2突起とは、軸方向と直交する断面積が互いに等しくなるように形成されたことを特徴とする回転電機。ここで、第1及び第2突起はそれぞれ補助界磁で作られる磁束の磁路となるため、例えば第1及び第2突起のいずれか一方の断面積のみを大きくしても、いずれか他方の断面積が小さく磁気抵抗が大きい場合には、補助界磁とロータとの間を通過する磁束は増加しない。したがって、上記構成のように第1及び第2突起の断面積を互いに等しくすることで、補助界磁とロータとの間を通過する磁束を効率的に増加させることができる。
【0080】
(ロ)前記埋込磁石は、板状に形成された一対の磁石片からなり、前記各磁石片は、前記ロータコアに対して放射状に配置されるとともに、周方向において同じ極性が対向するように磁化されていることを特徴とする回転電機。上記構成によれば、第1及び第2磁極ブロックを径方向の広範囲に広がった形状とするとともに、軸方向から見た第1及び第2磁極ブロックの面積を大きくすることができるため、第1及び第2突起の断面積をそれぞれ大きくすることが可能になり、補助界磁とロータとの間を通過する磁束をより増加させることができる。
【符号の説明】
【0081】
1…回転電機、3…ステータ、4…ロータ、15…コイル、21…回転軸、22…ロータコア、23a,23b…磁石片、25,55,56…電磁鋼板、31…第1磁極ブロック、32…第2磁極ブロック、33…第1永久磁石、34,37…マグネット磁極部、35,38…コア磁極部、36…第2永久磁石、39…第1突起、40…第2突起、51…第1挿入孔、52…第2挿入孔、53,81…第1磁性体、54,82…第2磁性体、61…補助コイル、62…ヨーク、63…可変磁石、64…外側磁極部、65…内側磁極部、73,75…固定フランジ部、74,76…対向フランジ部、91…埋込磁石、G…ギャップ、SF…補助界磁。
図1
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図10