特許第6176087号(P6176087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6176087
(24)【登録日】2017年7月21日
(45)【発行日】2017年8月9日
(54)【発明の名称】電動ステアリングロック装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/0215 20130101AFI20170731BHJP
   E05B 83/00 20140101ALI20170731BHJP
   E05B 65/00 20060101ALI20170731BHJP
【FI】
   B60R25/0215
   E05B83/00 B
   E05B65/00 T
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-246923(P2013-246923)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-104968(P2015-104968A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳元 八大
(74)【代理人】
【識別番号】100076196
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 寛治
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴博
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−313773(JP,A)
【文献】 特開2006−335321(JP,A)
【文献】 特開2011−111015(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0020835(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/0215
E05B 65/00
E05B 77/00 − 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングシャフトの回転をロックまたはアンロックするロックボルトと、
前記ロックボルトをロック位置とアンロック位置に移動させるモータと、
前記モータ給電するためのロック駆動給電回路とアンロック駆動給電回路とを有するモータ駆動回路手段と、
前記モータ駆動回路手段を制御して前記ロック駆動給電回路または前記アンロック駆動給電回路を選択的に切り換えるESL制御手段と、
前記ロックボルトの移動位置を検出するロックボルト位置検出手段と、
前記モータ駆動回路手段の給電経路に設けた電力供給制限手段と、
前記ESL制御手段にロック駆動要求信号またはアンロック駆動要求信号を出力して前記モータ駆動回路手段を切り換え動作させる上位制御手段と、
を備えた電動ステアリングロック装置であって
前記アンロック駆動要求信号に依存せず、前記ロックボルト位置検出手段からの検出信号に応動して前記モータ駆動回路手段をアンロック駆動給電回路に切り換えるアンロック切換手段を備えたことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【請求項2】
請求項1に記載した電動ステアリングロック装置であって
前記アンロック切換手段が、前記ロックボルト位置検出手段からの検出信号、または前記ESL制御手段が出力するアンロック切換信号とに応動して出力するスイッチ素子からなり、このスイッチ素子の出力でアンロックリレー駆動回路を動作させることを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した電動ステアリングロック装置であって
前記電力供給制限手段は、前記上位制御手段からの第1駆動許可信号と、前記ESL制御手段からの第2駆動許可信号とに応動して導通するスイッチング手段から構成したことを特徴とする電動ステアリングロック装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の電動ステアリングロック装置であって
前記ESL制御手段が、前記上位制御手段からのアンロック駆動要求信号を受信すると、前記アンロック駆動給電回路を選択した状態で、前記電力供給制限手段を導通制御し、前記アンロック駆動給電回路の電力供給を可能とすることを特徴とした電動ステアリングロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両に搭載する電動ステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された電動ステアリングロック装置(以下、単に「ESL」と言う)は、ロックボルトをロック位置とアンロック位置とに移動させる電動駆動機構を備えている。
【0003】
そして、ロックボルトが車両の走行中に不用意にロック位置に移動することを防止するため、モータの駆動回路としてモータをロック方向に回転させ、また、アンロック方向に回転させるモータ制御リレーの他に、モータの給電経路に設けた電力供給制限回路(スイッチング手段)を備え、モータ制御リレーと電力供給制限回路との両者の導通制御にしたがってモータ給電が可能となっている。
【0004】
図4は、ESLの電動駆動機構の分解斜視図、図5図6は同電動駆動機構の断面図を示す。
これらの図面に示すように、この電動駆動機構は、ケース本体11、ロックボルト12、カム部材13、回転体14、モータ15、プリント基板16、ケースカバー17などから構成されている。
【0005】
ロックボルト12は、ケース本体11に形成された孔部11aから、図5に示すように進出して図示しないステアリングシャフトの係合凹部に突入しステアリングシャフトの回転をロックし、また、このロックボルト12が図6に示すように、前記孔部11a内を後退し、ステアリングシャフトの係合凹部から脱出すると、ステアリングシャフトの回転を許容するアンロック状態となる。
【0006】
上記したロックボルト12は、連結ピン18によってカム部材13に連結されており、カム部材13と共にスプリング19によって上昇勢力を受けている。
また、このカム部材13は、回転体14内のカムと連結しており、回転体14の回転にしたがって上下方向に移動し、ロックボルト12を進退させる。
【0007】
回転体14は、周囲に設けられたウォームホイール14aがモータ15の出力軸に設けられたウォーム15aによって連動されて回転する。
その他、この電動駆動機構には、カム部材13に設けた磁石20と、プリント基板16に設けたホール素子21a、21bとで構成した、ロックボルト12のロック位置とアンロック位置を検出する検出センサーが設けられている。
【0008】
図7は、上記したESLの電動駆動機構を動作させる電気回路のブロック図である。
この図より分かるように、エンジン駆動制御ECUである上位ECU30によってESL31が駆動制御される構成となっている。
すなわち、エンジンスタートプッシュスイッチ(図示省略)が操作されることで、上位ECU30のESL電源供給回路によってESL31がバッテリー+Bから給電され、ESL31のESL制御部32が動作モードに入る。
【0009】
したがって、ロック位置検出センサー33とアンロック位置検出センサー34とで構成したロックボルト位置検出手段41の検出信号がESL制御部32に入力すると共に、これらの検出信号から認識したロックボルト12の位置情報が通信回路35を介して通信ライン61から上位ECU30に送られる。
これより、上位ECU30がアンド回路からなるスイッチング駆動回路36に信号ライン60から第1駆動許可信号を送ると共に、ESL制御部32に対してロック又はアンロック駆動要求信号を通信ライン61から送る。したがって、ESL制御部32がロックリレー駆動回路37またはアンロックリレー駆動回路38を動作させる作動信号を出力する。
なお、ロック位置検出センサー33とアンロック位置検出センサー34は、図4図6に示すところの磁石20とホール素子21a、21bとで構成されている。
【0010】
したがって、モータ制御リレー39のロックリレー39aまたはアンロックリレー39bが切り換わり、モータ15の給電準備モードとなる。
また、ESL制御部32が信号ライン62から第2駆動許可信号をスイッチング駆動回路36に送ることで、前記第1駆動許可信号とのアンド論理により、このスイッチング駆動回路36からの出力信号によって電力供給制限回路(スイッチング手段)40を導通させる。
【0011】
次に、上記した電気回路の動作について図8に示すタイムチャートを参照しながら説明する。
なお、図8に示したタイムチャートは、ロック位置にあるロックボルト12をアンロック位置に移動させる動作を示したものである。
【0012】
先ず、動作を開始させるために、エンジンスタートプッシュスイッチ(図示省略)を操作するが、この場合、例えば、スマートキーでエンジンを始動させる場合には、スマートキーと車両との間のID照合が一致したことを条件に、上位ECU30がプッシュスイッチの操作を認識して電気回路の動作を開始させる。
【0013】
ESL制御部32は、時間T1において、上位ECU30によってバッテリー+Bより電源電力が供給されると、ロック位置検出センサー33とアンロック位置検出センサー34の検出信号から、ロックボルト12がロック位置にあることを認識し、このロック認識信号を通信回路35から通信ライン61を介して上位ECU30に送る。(時間T2)
上位ECU30が第1駆動許可信号を出力し、この駆動許可信号を信号ライン60からスイッチング駆動回路36の一方の入力端子に送る。(時間T3)
【0014】
この状態で、上位ECU30からESL制御部32に対して通信ライン61からアンロック駆動要求信号が送られる。(時間T4)
したがって、ESL制御部32がアンロック駆動要求信号を受信することにより、アンロックリレー駆動回路38を動作させ、モータ制御リレー39のアンロックリレー39bを切り換え動作する。
ちなみに、ロック駆動時/アンロック駆動時以外のときは、アンロックリレー39bとロックリレー39aの各々がグランド(GND)側端子bに投入されており、モータ15が短絡状態となっている。
【0015】
したがって、上記のようにアンロックリレー39bを切り換えると、グランド側端子bから電源側端子aに切り換わり、モータ給電 準備モードとなる。(時間T5)
続いて、ESL制御部32から第2駆動許可信号がスイッチング駆動回路36に信号ライン62から送られ、すでに入力されている第1駆動許可信号とのアンド論理によって、このスイッチング駆動回路36が動作信号を出力する。
【0016】
これより、電力供給制限回路40がこの動作信号に応動して導通するので、アンロックリレー39bの電源側端子a、モータ15、ロックリレー39aのグランド側端子b、電力供給制限回路40とでモータ給電経路が形成されてモータ電流が流れ、モータ15がアンロック方向に回転し、電動駆動機構がロックボルト12をアンロック位置に向かって移動するようになる。(時間T6)
【0017】
続いて、ESL制御部32がロックボルト12の位置を監視し、このときアンロック位置検出センサー34及びロック位置検出センサー33の検出信号からロックボルト12がアンロック位置にあることを認識し、アンロック作動信号の出力を停止してアンロック駆動回路38を非動作とし、モータ制御リレー39のアンロックリレー39bを電源側端子aからグランド側端子bに復動させる。(時間T7、T8)
この結果、モータ15が短絡状態となり電流が流れなくなるため、モータ15が停止する。
したがって、電動駆動機構がロックボルト12をアンロック位置に保持し、アンロックとなる。
【0018】
また、ESL制御部32はアンロック状態を認識すると、第2駆動許可信号の出力を停止してスイッチング駆動回路36を非動作とする。この結果、電力供給制限回路40が非動通となり、モータ制御リレー39への給電経路が遮断される。(時間T9)
さらに、ESL制御部32からアンロック認識信号が通信線61より上位ECU30に送られ、上位ECU30がそのアンロック認識信号に応動して第1駆動許可信号の出力をストップする。(時間T10、時間T11)
続いて、上位ECU30がESL31の電源電力の供給を停止する。(時間T12)
したがって、無給電となったロック位置検出センサー33とアンロック位置検出センサー34が無給電となり、非動作の不定状態となる。(時間T13)
その後、上位ECU30によってエンジンスタータが動作され、エンジンが始動する。(時間T14)
【0019】
以上は、ステアリングシャフトのアンロック動作について説明したが、エンジンを停止してロック動作する場合は、ESL制御部32がロックリレー駆動回路37を動作させてロックリレー39aを電源側端子aに切り換え、モータ給電準備モードに移す。その他は上記同様の動作となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2005−185015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上記した従来のESLは、ESL制御部32が上位ECU30からアンロック駆動要求信号を入力してから、モータ制御リレー39のアンロックリレー39bを切り換え、その後、第2駆動許可信号を出力し、電力供給制限回路40を導通させてモータ始動させる構成であるため、アンロック駆動に入るまでの時間(時間T4〜T6)が長くなり、これがエンジンスタートプッシュスイッチの操作からエンジン始動までの時間を長くする大きな原因となっており、操作性の悪いものとなっていた。
【0022】
そこで、本発明では、冗長性が高いシステムにおいて、エンジン始動までの時間が長いESL31を改善し、エンジンスタートプッシュスイッチの操作からエンジンが始動するまでの時間を短縮させるため、アンロック駆動時間を可能な限り短縮させたESLを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記した目的を達成するため、本発明では、第1の発明として、
車両のステアリングシャフトの回転をロックまたはアンロックするロックボルトと、
前記ロックボルトをロック位置とアンロック位置に移動させる電動駆動機構を構成するモータと、
前記モータを給電するためのロック駆動給電回路とアンロック駆動給電回路とを有するモータ駆動回路手段と、前記モータ駆動回路手段を制御してロック駆動給電回路またはアンロック駆動給電回路を選択的に切り換えるESL制御手段と、前記ロックボルトの移動位置を検出するロックボルト位置検出手段と、前記モータ駆動回路手段の給電経路に設けた電力供給制限手段と、前記ESL制御手段にロック駆動要求信号またはアンロック駆動要求信号を出力して前記モータ駆動回路手段を切り換え動作させる上位制御手段と、を備えた電動ステアリングロック装置において、前記ロックボルト位置検出手段からの検出信号に応動し、前記アンロック駆動命令要求信号を受信する前に、前記モータ駆動回路手段をアンロック駆動給電回路に切り換えるアンロック切換手段を備えたことを特徴とする電動ステアリングロック装置を提案する。
【0024】
第2の発明として、上記した第1の発明の電動ステアリングロック装置において、前記アンロック切換手段が、前記ロックボルト位置検出手段からの検出信号、または前記ESL制御手段が出力するアンロック切換信号に応動して出力するスイッチ素子からなり、このスイッチ素子の出力でアンロックリレー駆動回路を動作させる構成としたことを特徴とする電動ステアリングロック装置を提案する。
【0025】
第3の発明としては、上記した第1または第2の発明の電動ステアリングロック装置において、前記電力供給制限手段は、前記上位制御手段からの第1駆動許可信号と、前記ESL制御手段からの第2駆動許可信号とに応動して導通するスイッチング手段から構成したことを特徴とする電動ステアリングロック装置を提案する。
【0026】
第4の発明としては、上記した第1からだ3の発明のいずれかにおいて、前記ESL制御手段が、前記上位制御手段からのアンロック駆動要求信号を受信すると、前記アンロック駆動給電回路を選択した状態で、前記電力供給制限手段を導通制御し、前記アンロック駆動給電回路の電力供給を可能とする電動ステアリングロック装置を提案する。
【発明の効果】
【0027】
第1の発明は、ESL31に電源電力が給電されると、ロックボルト位置検出手段の検出信号に応動して、アンロック切換手段が切り換え動作してアンロック駆動給電回路が形成される為、アンロック駆動要求信号を受信する前にモータへの給電準備モードに移る。
したがって、ESL制御手段が上位制御手段からアンロック駆動要求信号を受信後、電力供給制限手段を導通すれば、モータ駆動回路手段に電流が流れ、モータがアンロック方向に始動し、ロックボルトがアンロック位置に移動する。
【0028】
これより、アンロック駆動要求信号の受信後ESL制御手段の制御工程が減少するので、アンロック駆動要求信号を受信してから、アンロック駆動に入るまでの時間が短縮される。
この結果として、プッシュスイッチを操作してからエンジン始動までの時間を短くすることができるステアリングロック装置となる。
【0029】
第2の発明によれば、スイッチ素子は、前記ロックボルト位置検出手段からの検出信号、または前記ESL制御手段からのアンロック切換信号のどちらかを入力すれば、アンロックリレー駆動回路を動作させるための動作信号を出力する。
そのため、前記ロックボルトがロック位置にあるときには、前記ロックボルト位置検出手段が出力する検出信号により、アンロックリレー駆動回路を動作させることができる。また、前記ロックボルトがロック位置にない場合には、前記アンロック切換信号に応じて前記アンロックリレー駆動回路を動作させることができる。
【0030】
第3の発明は、電力供給制限手段が、上位制御手段からの第1駆動許可信号と、ESL制御手段からの第2駆動許可信号とがスイッチング駆動手段に入力しないかぎり導通しないので、意図しないアンロック駆動/ロック駆動を防ぐことができる。
【0031】
第4の発明によれば、ESL制御手段は前記上位制御手段からのアンロック駆動要求信号を受信後、電力供給制限手段を導通制御するだけで、アンロック動作を開始できるので、エンジン始動までの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の一実施形態であるESLの電気回路を示すブロック図である。
図2図1に示す電気回路の動作を示すタイムチャートである。
図3】本発明の他の実施形態を示す図1同様のブロック図である。
図4】ESLの電動駆動機構を示す分解斜視図である。
図5】ロックボルトがロック位置に移動した状態を示す上記ESLの断面図である。
図6】ロックボルトがアンロック位置に移動した状態を示す図5同様の断面図である。
図7】従来のESLの電気回路として示した図1同様のブロック図である。
図8】従来のESLの電気回路について動作を示した図2同様のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、本発明に関わるESLの一実施形態について図面に沿って説明する。
本実施形態のESLは、図4図6に示したところの電動駆動機構を備えると共に、図1にブロック図で示す当該ESLの電気回路を備えている。
【0034】
また、本実施形態のESLは、上位ECU30からアンロック駆動要求信号に依存せず、モータ制御リレー39をアンロック駆動給電回路に切り換えるアンロック作動信号を出力するアンロック切換手段を設けたことに特徴があり、その他は従来例と同様の構成となっている。
したがって、アンロック切換手段以外は図7に比べ同じ構成であるから、同一の回路および部材については、それらの説明を省略する。
【0035】
本実施形態では、アンロック切換手段として、ロック位置検出センサー33の検出信号がロック状態、又はESL制御部32からの制御信号がアンロック作動信号の場合、アンロック作動信号をON出力させる論理素子からなるスイッチ素子55が使用してある。
【0036】
したがって、スイッチ素子55がアンロック作動信号をON出力すると、アンロックリレー駆動回路38が動作し、モータ制御リレー39のアンロックリレー39bを切り換える。
すなわち、アンロックリレー39bが電源側端子aに切り換わり、これより、アンロックリレー39aの電源側端子a、モータ15、ロックリレー39aのグランド側端子bとの給電経路が形成され、モータ制御リレー39が給電準備モードとなる。
【0037】
続いて、図1に示す電気回路の動作について図2のタイムチャートを参照しながら説明する。
図2より分かるように、本実施形態のESL31は、ESL制御部32が、上位ECU30の動作下にバッテリー+Bから電力給電されると、ロック位置検出センサー33とアンロック位置検出センサー34の検出信号からロックボルト12がロック位置にあることを認識する。(時間T1、T2)
【0038】
そして、信号ライン70からロックボルト12がロック位置にあるときにロック位置検出センサー33が出力する検出信号がスイッチ素子55の他方端子に入力する。
【0039】
これより、この検出信号に応じてスイッチ素子55がアンロック作動信号をON出力し、この出力信号によってアンロックリレー駆動回路38が動作し、モータ制御リレー39が切り換え動作する。(時間T2))
したがって、モータ制御リレー39のアンロックリレー39bを電源側端子aに切り換える。
これより、既に述べたように、アンロックリレー39bの電源側端子a、モータ15、ロックリレー39aのグランド側端子bの給電回路が接続され、モータ制御リレー39がモータへの給電準備モードとなる。
【0040】
さらに、ESL制御部32がロック状態を認識すると、そのロック認識信号を通信ライン51から上位ECU30に送る。
次に、上位ECU30は第1駆動許可信号を信号ライン60から出力する。(時間T3)
したがって、スイッチング駆動回路36の一方の入力端子に第1駆動許可信号が入力する。
続いて、上位ECU30は、ロック認識信号を入力することで、ESL制御部32に対して通信ライン61からアンロック駆動要求信号を送る。(時間T4)
【0041】
また、ESL制御部32は、アンロック駆動要求信号に応動して直ちに信号ライン62から第2駆動許可信号を出力するとともに、スイッチ素子55にアンロック切換信号が出力され、このアンロック切換信号がスイッチ素子55の一方端子に入力される。この第2駆動許可信号がスイッチング駆動回路36の他方端子に送られるから、既に入力されている第1駆動許可信号とのアンド論理によって、このスイッチング駆動回路36の動作にしたがって電力供給制限回路40が導通する。(時間T5)また、アンロック切換信号を入力しておくことによって、ロック位置検出センサー33が出力する検出信号がロックボルト12がロック位置から外れて出力しなくなってもアンロック作動を継続することができる。
なお、ESL制御部32には、アンロック駆動要求信号の入力に応答して直ちに第2駆動許可信号を出力する機能が設けてある。
【0042】
このように、モータ制御リレー39が給電準備モードとして電力供給制限回路40が導通するため、アンロックリレー39bの電源側端子a、モータ15、ロックリレー39aのグランド側端子b、電力供給制限回路40の給電経路が形成され、モータ15が給電されてアンロック方向に回転し、ロックボルト12をアンロック位置に向かって移動させる。
その他は、従来例のESLに比べて同じ動作となる。
【0043】
上記した実施形態より分かるように、ロックボルト12が車両の走行中に不用意にロック位置に移動することを防止するため、モータ制御リレーと電力供給制限回路(スイッチング手段)により冗長化されたESLにおいても、エンジン始動までの時間を短縮させることができる。
【0044】
具体的には、ESL制御部32がアンロック駆動要求を受けた時点T4からアンロック駆動を開始する時点T5の間の時間を短縮できるので、総体的には、スタートプッシュスイッチの操作時点T1からエンジンが始動する時点T14までの時間を短縮させることができ、冗長性が高いシステムにおいて、エンジン始動までの時間を短縮することができる。
【0045】
図3は、他の実施形態として示した図1同様のブロック図である。
図示する如く、この実施形態のESL31は、図1に示すESL31のモータ制御リレー39を無接点スイッチ素子で形成したモータ駆動給電回路50としたことに特徴があり、その他は図1に示すESL31と同構成となっている。
具体的には、モータ駆動給電回路50は、4つのパワーMOSFET50a、50b、50c、50dで形成したブリッジ回路としてあり、接続部A、Bにはモータ15が接続してある。
【0046】
また、このモータ駆動給電回路50のMOSFET50a、50bはスイッチ素子55の出力信号で制御されるアンロック駆動回路51a、51bの動作下にON、OFFし、MOSFET50c、50dが同様にスイッチ素子55の出力信号で制御されるロック駆動回路51c、51dの動作下にON、OFFする。
なお、MOSFET50a〜50dの全てがOFFとなるロック駆動時/アンロック駆動時以外のときは、接続部A、Bが同電位となるからモータ15には電流が流れない。
【0047】
また、MOSFET50a、50bがONすることで、モータ15がアンロック方向に回転し、MOSFET50c、50dがONすることで、モータ15がロック方向に回転する。
【0048】
以上、この好ましい実施形態について説明したが、上位ECU30としては、エンジンを駆動するECUに限らず、使用者が所有する電子キーとの間でデータ通信を行うことで、ロック・アンロックするためのスマートECU、車両の電源制御を行う電源制御ECU、車両に搭載された各種電装品を統合制御するボディコントロールECUなどを使用してもよい。
なお、ESL31の制御とエンジン始動とを別のECUで行う構成とすることもできる。
【0049】
また、スイッチ素子55は同様に動作する他の論理素子を使用することができ、また、電力供給制限回路40については、パワーMOSFETで構成するが、リレー、パワートランジスタなどで構成してもよく、さらに、この電力供給制限回路40はモータ制御リレー39の上流側に設けることもできる。
さらに、他の実施形態のESLに備えたモータ駆動給電回路50については、パワートランジスタを使用したブリッジ回路やモータドライバICなどを使用することもできる。
【0050】
すなわち、上記した実施形態のように、本願発明における前記モータ駆動回路手段は、リレーで構成し、ロック駆動時/アンロック駆動時以外はモータを短絡接続する構成としても、前記モータ駆動回路手段は、無接点スイッチ素子で構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
車両に搭載する電動ステアリングロック装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
30 上位ECU
31 ESL
32 ESL制御部
33 ロック位置検出センサー
34 アンロック位置検出センサー
36 スイッチング駆動回路
37 ロックリレー駆動回路
38 アンロックリレー駆動回路
39 モータ制御リレー
40 電力供給制限回路
41 ロックボルト位置検出手段
50 モータ駆動給電回路
55 スイッチ素子










図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8