(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、文書更新のたびに文書全体を差分画像生成のための演算対象とすると、書き込む予定の無い部分まで演算対象にすることになり、演算効率が悪い。
【0007】
そこで、本発明は、文書の書き込み予定部分を差分画像生成のための演算対象とする画像処理装置及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の画像処理装置は、更新前文書のうち少なくとも書き込み予定部分を差分抽出領域として記憶する文書記憶手段と、更新後文書を読み取る文書読み取り手段と、前記更新前文書の前記差分抽出領域と、前記更新後文書における前記差分抽出領域の差分画像を生成する差分画像生成手段と、前記差分画像生成手段により差分画像が生成された場合に、前記差分画像に基づいて差分抽出領域を更新する差分抽出領域更新手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記文書記憶手段は、複数の前記差分抽出領域を記憶することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記画像処理装置は、前記差分画像生成手段により生成した差分画像を、当該差分画像に関連する元差分抽出領域により分類して表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置である。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記表示手段は、前記差分画像生成手段により生成した差分画像を、当該差分画像の生成時により分類して表示することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置である。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、画像処理装置に備えられたコンピュータを、更新前文書のうち少なくとも書き込み予定部分を差分抽出領域として記憶する文書記憶手段、更新後文書を読み取る文書読み取り手段、前記更新前文書の前記差分抽出領域と、前記更新後文書における前記差分抽出領域の差分画像を生成する差分画像生成手段、前記差分画像生成手段により差分画像が生成された場合に、前記差分画像に基づいて差分抽出領域を更新する差分抽出領域更新手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び5に記載の発明によれば、文書の書き込み予定部分を差分画像生成のための演算対象とする。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、複数の領域を差分画像生成のための演算対象とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、差分画像を当該差分画像に関連する差分抽出領域により分類して表示する。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、差分画像を当該差分画像の生成時により分類して表示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理装置1の構成例を示す図である。画像処理装置1は、
図1に示すように、表示部20と、記憶部30、制御部40、スキャナ部50、入力部60を含んで構成されている。なお、制御部40と、表示部20、記憶部30、入力部60は一体となってコンピュータとして機能する。
【0020】
表示部20は、例えば液晶ディスプレイであり、画像処理装置1に読み込まれた文書画像や生成した差分画像等を表示する。また、画像処理装置1を操作するために必要な情報等を表示する。
【0021】
記憶部30は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含んでいる。記憶部30は制御部40が実行するプログラムを格納するとともに、制御部40のワークメモリとしても機能する。本実施の形態では、記憶部30は上記プログラムの実行に必要となる情報を記憶する差分抽出領域記憶部31等を含む。なお、記憶部30に格納される制御部40が実行するプログラムは、電気通信回線を介して提供されるものであってもよいし、半導体記憶素子等のコンピュータで読み取り可能な情報記憶媒体に格納されて提供されるものであってもよい。
【0022】
制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んでおり、記憶部30に格納されているプログラムを実行することにより、画像処理装置1の全体を制御する。例えば、制御部40は、読み込んだ文章を表示する場合等に表示部20の制御を行う。また、制御部40は、記憶部30に格納されている情報に基づき差分画像生成プログラムを実行することにより差分画像の生成を行う。当該処理の具体的内容については後述する。
【0023】
スキャナ部50は、紙文書を読み込み、文書を電子データとして画像処理装置1に取り込む。取り込まれた文書の電子データは記憶部30に含まれる文書記憶部33に記憶される。
【0024】
入力部60は例えばキーボードやマウス等であり、ユーザの指示を制御部40に出力する。
【0025】
図2は、本実施の形態において読み込まれる文書70の一例を示すものである。文書70は、具体的には診療カルテ等である。文書70は個人情報等記入欄80を含んでいる。個人情報等記入欄80に書き込まれる情報は、例えば患者の氏名や生年月日等であり、一度書き込まれた後は書き替えが行われないような情報である。従って、追記や変更の可能性が無い欄である。
【0026】
なお、個人情報等記入欄80に住所等を記入する場合において、後に住所等が変更となる可能性を考慮するならば、後述する差分抽出領域を個人情報等記入欄80の特定の領域に設定するなどしてもよい。
【0027】
個人情報等記入欄80には二次元コード90が付されている。二次元コード90は、文書70の文書様式や用途等をコード化したものである。コード化された情報として上記個人情報等記入欄80に書かれた内容を含んでもよく、その場合は個人情報等記入欄80に記載があった後に二次元コード90を印刷することとしてもよい。
【0028】
本実施の形態では、一連の文書に同一コードが付されるものとする。例えば、個人の診療カルテに追記を重ねていき余白が無くなった場合等、新たな用紙に追記する必要が生じる場合が考えられるため、そのような場合には新たな用紙には当該文書が一連の文書の一であることを認識できるような同一コードを付すものとする。
【0029】
文書70は第1記入欄100、第2記入欄110、第3記入欄120を含む。各記入欄は記載する内容に応じて使い分けられるものとし、
図2に示した文書70の場合、「あいう」なる文字が第1記入欄に書き込まれ、「イロハ」なる文字が第2記入欄に書き込まれ、「ABC」なる文字が第3記入欄に書き込まれている。本実施の形態では、書き込まれている文字として上記のような文字の羅列を例として挙げたが、当然ながら意味のある文が書き込まれることを想定している。また、書き込まれる内容は文字に限られず、図であってもよい。
【0030】
各記入欄を取り囲む点線の枠は、それぞれ第1差分抽出領域130、第2差分抽出領域140、第3差分抽出領域150を表す。これらの枠線は文書70の紙面上に印刷されているものではなく、本実施の形態を説明する目的で仮想的に示したものである。
【0031】
各差分抽出領域は、文書70の左上頂点を原点とする座標を用いて枠線の四隅が指定されている。例えば、第1差分抽出領域130の場合、領域の左上隅の座標は(x1、y1)、左下の座標は(x1、y2)、右下の座標は(x2、y2)、右上の座標は(x2、y1)と指定されている。他の差分抽出領域についても同様である。なお、文書70に付された座標軸及び座標を示す実線は仮想的に付したものである。
【0032】
上記差分抽出領域の座標は、記憶部30に含まれる差分抽出領域記憶部31に記憶されているものである。
図3に本実施の形態における記憶部30の内容を示す。記憶部30は、差分抽出領域記憶部31の他に、差分画像記憶部32、文書記憶部33を含む。
【0033】
図4に、差分抽出領域記憶部31の内容を示す。差分抽出領域記憶部31には、前述のように、各差分抽出領域を指定する座標が記憶されている。本実施の形態では差分抽出領域は矩形であるとし、差分抽出領域は四隅の座標で指定されるものとしたが、差分抽出領域は多角形でもよいし、円形等であってもよい。円形とする場合は中心点と直径により差分抽出領域を指定することになる。
【0034】
差分抽出領域記憶部31には、複数の文書様式に関する差分抽出領域座標群が記憶されているものとする。画像処理装置1は、スキャナ部50で読み込んだ文書70の二次元コード90をデコードし、読み込まれた文書70の文書様式を特定し、適切な差分抽出領域座標群を選び出す。
【0035】
また、本実施の形態では二次元コード90により文書70の文書様式を特定することとしたが、スキャナ部50によって文書70を読み込んだ際に、記入欄等の枠線を判別し、当該判別された枠線の頂点を差分抽出領域座標群としてもよい。また、ユーザが適宜差分抽出領域を指定することとしてもよい。
【0036】
図5に差分抽出領域の取り方の例を2種類示す。
図5(a)は、第3記入欄120と第3差分抽出領域150を示した図であり、この場合、第3記入欄120には「ABCDEFG」なる文字が書き込まれている。
図5(a)に示す第3差分抽出領域150の取り方は
図2によるものと同じである。
【0037】
一方、
図5(b)に示す場合においては、拡大した第3差分抽出領域160が用いられている。この場合、第3記入欄120を大きく取り囲むように差分抽出領域が設定されており、「ABCDEFG」なる文字が第3記入欄120をはみ出して書き込まれている場合であっても、文字全体を差分抽出領域に含めることができる。
【0038】
このように、差分抽出領域の取り方を複数用意しておき、画像処理装置1のユーザが適宜選択することとしてもよい。その場合、差分抽出領域記憶部31に複数の差分抽出領域座標群が記憶されているものとし、ユーザに選択を委ねることとすればよい。その場合、
図5(a)のような取り方と
図5(b)のような取り方を記入欄によって使い分ける選択ができるものとしてもよい。
【0039】
図6は、差分画像記憶部32の内容を示すものである。差分画像記憶部32には、画像処理装置1により取得された差分画像が、取得元の記入欄及び生成日とともに記憶されている。本実施の形態において、
図2に示した文書70は、2013年2月1日に書き込まれた後、2013年4月1日に更新される前に読み込まれた場合の状態である。文書70の最終更新は2013年5月1日に行われており、その際に書き込まれた欄は第3記入欄のみであることが読み取れる。なお、本実施の形態では生成日を記憶することとしたが、さらに時分秒を記憶することとしてもよいし、追記を行った者の氏名等とともに記憶することとしてもよい。例えば診療カルテの場合、追記を行った者とは、医師や看護師等である。
【0040】
図7は、文書記憶部33の内容を示す図である。文書記憶部33には、記入前文書及び更新後の各文書が更新日とともに記憶されている。本実施の形態では、2013年5月1日の更新において、文書70の第3記入欄120に「GHI」なる文字を書き込んだところで余白がなくなり、同一コードが付された新たな用紙に「abcd」なる文字を書き込んでいる。そのため、2013年5月1日の更新においては、2つの文書が記憶されている。
【0041】
ここで
図6を振り返ると、2013年5月1日の第3記入欄から得られた差分画像は、「GHI」なる文字と「abcd」なる文字であることがわかる。このように、用紙を変えて書き込んだとしても、差分画像の取得元が同じ記入欄であれば、一連の差分画像が連続して記憶される。
【0042】
なお、用紙を変更して書き込みを行う場合、文書に付された二次元コード90により一連の文書であることを判別することとしてもよいし、スキャナ部50により文書を取り込んだ際に、記憶済み文書の続きであることを指定できることとしてもよい。
【0043】
図8は、制御部40により実行される差分生成プログラムの処理をフローチャートにより示したものである。以下で、当該処理の具体的な内容を説明する。
【0044】
はじめに、制御部40はスキャナ部50でスキャンした文書70のデータを読み込む(S1)。読み込まれる文書70は記入前の場合もあるし、記入済みで幾度か更新されている場合もある。
【0045】
次に、制御部40は、読み込んだ文書70を記憶部30に含まれる文書記憶部33に記憶する(S2)。この際、
図7に示したように更新日とともに記憶することとし、追記を行った者の氏名等、他の情報を付加することとしてもよい。
【0046】
制御部40は、読み込まれた文書70に付された二次元コード90を検出し、デコードを行う(S3)。これにより、読み込まれた文書70の文書様式等の情報が得られる。
【0047】
次に、制御部40は、読み込まれた文書70と同一コードが付された記入済み文書が既に文書記憶部33に記憶されているか判断する(S4)。ここでは、既に記入済み文書がある場合、すなわち当該判断がYESである場合の流れを先に追うこととする。
【0048】
読み込まれた文書70と同一コードが付された記入済み文書が既に文書記憶部33に記憶されている場合、読み込まれた文書70に付された二次元コード90から判別される適切な差分抽出領域座標群を差分抽出領域記憶部31から読み込む(S5)。本実施の形態では、例えば
図2に示したような複数の差分抽出領域が指定されることとなる。
【0049】
次に、制御部40は、読み込まれた文書70の更新履歴の中から、直前の更新前文書を文書記憶部33から読み込む(S6)。例えば、2013年2月1日と2013年4月1日に更新された文書に対し2013年5月1日にさらに書き込みを行い、画像処理装置1に読み込んだ場合、制御部40は2013年4月1日時点の文書を直前の更新前文書として読み込むこととなる。
【0050】
そして、制御部40は、更新前後の文書の差分抽出領域を比較し、差分画像を生成する(S9)。上記の例でいえば、2013年5月1日時点の文書に書き込まれているが、2013年4月1日時点の文書には書き込まれていない文字等を差分画像として生成することとなる。
【0051】
一方、読み込まれた文書70と同一コードが付された記入済み文書が文書記憶部33に記憶されていない場合、読み込まれた文書70と同一コードが付された記入前文書の差分抽出領域座標群を差分抽出領域記憶部31より読み込む(S7)。
【0052】
さらに、読み込まれた文書70と同一コードが付された記入前文書を文書記憶部33より読み込む(S8)。
【0053】
そして、制御部40は、更新前後の文書、すなわち記入前文書と読み込まれた文書70、の差分抽出領域を比較し、差分画像を生成する(S9)。
【0054】
そのようにして制御部40によって生成された差分画像を、記入欄番号及び生成日とともに差分画像記憶部32に記憶する(S10)。前述のように、差分画像とともに記憶する情報については種々の追加が考えられる。
【0055】
最後に、制御部40は、差分抽出領域を更新する(S11)。この処理について次に説明する。
【0056】
図9(a)に更新前の第3差分抽出領域150、
図9(b)に更新した第3差分抽出領域170をそれぞれ示す。ここで、
図9(a)に示す第3差分抽出領域150は、文書70を読み込み、差分抽出領域座標群を差分抽出領域記憶部31から読み込んだ段階(
図8に示すフローチャートにおけるS5もしくはS7の段階)の状態を示すものとする。一方、
図9(b)に示す更新した第3差分抽出領域170は、差分画像生成を終え、
図8に示すフローチャートにおけるS11の処理を終えた状態を示すものとする。
【0057】
第3記入欄120には「ABCDEFG」なる文字が書き込まれているが、差分抽出領域の更新処理(S11)により、更新した第3差分抽出領域170には当該文字部分は含まれていない。差分抽出領域の更新処理(S11)の際、制御部40は、差分画像を生成した部分を第3差分抽出領域120から差し引き、更新した第3差分抽出領域170とする。
【0058】
このような差分抽出領域の更新処理は、差分抽出領域記憶部31に記憶される差分抽出領域座標群を更新することにより行われる。本実施の形態の場合、
図4に示した第3記入欄の4つの差分抽出領域座標を更新し、
図9(b)に示す六角形の各頂点を左上から反時計回りに追った6つの座標を新たに記憶することとする。
【0059】
このように差分抽出領域を更新することにより、既に記載があった部分を差分生成のための演算対象から外すことができるため、差分抽出処理にかかる時間を逐次削減していくことが可能となる。
【0060】
本実施の形態では、文字を囲む矩形領域により差分画像の生成を行う。その際、文字を囲む最小面積の矩形を選ぶこととするが、余白を持たせることとしてもよい。また、文字を囲む多角形領域により差分画像の生成を行なってもよいし、円形としてもよい。さらに、差分抽出領域の更新を行うかどうかをユーザが適宜選択できることとしてもよい。
【0061】
図10に、差分画像記憶部32に記憶された一連の差分画像を表示部20により表示する方法の例を示す。本実施の形態では、記入欄毎に、当該記入欄から生成された差分画像を全表示するか、生成日の期間を指定して表示するか、一切表示しないか、選択できることとする。
【0062】
図10(a)は、第1記入欄100及び第3記入欄120において生成された全ての差分画像を生成日順に表示した場合を示す図である。選択差分画像表示欄(1)190には第1記入欄100から生成された差分画像が表示され、選択差分画像表示欄(2)200には第3記入欄120から生成された差分画像が表示されている。ここで、選択差分画像表示欄(2)200には、別用紙の第3記入欄120に書き込まれた「abcd」なる文字も連続して表示されており、紙文書による場合よりも一覧性が向上していることがわかる。
【0063】
図10(b)は、第1記入欄100において生成された全ての差分画像を表示し、かつ2013年4月中に第2記入欄110及び第3記入欄120において生成された差分画像を表示することとした場合を示す図である。選択差分画像表示欄(3)210には、第1記入欄100から生成された差分画像が表示され、選択差分画像表示欄(4)220には、第2記入欄110において4月中に生成された差分画像が表示され、選択差分画像表示欄(5)230には、第3記入欄120から生成された差分画像が表示されている。
【0064】
この他に、例えば追記を行った者の氏名等とともに差分画像を記憶している場合、追記を行った者により差分画像を分類し、表示する差分画像を選択できることとしてもよい。
【0065】
このように表示する差分画像を選択できるようにすることで、紙文書におけるレイアウトとは異なる形で更新履歴を閲覧することが可能になる。これにより、閲覧の目的に応じたレイアウト構成が可能となり、一覧性や検索性が向上した表示を行うことができる。
【0066】
以上により、本実施の形態に係る画像処理装置1における差分画像の生成及び表示が行われる。
【0067】
なお、本発明の実施の形態は以上に説明したものに限られない。例えば、画像処理装置1は通信ネットワークに接続され、当該通信ネットワークを介して取得した文書等について差分画像を生成及び表示することとしてもよい。