(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記選択手段にて選択された調整用電池が複数存在する場合に、前記動作指示として、共通の充電開始タイミングまたは共通の放電開始タイミングを少なくとも規定した動作指示を出力する、請求項1に記載の電池制御システム。
前記選択手段は、前記複数の電池のうち、当該電池の使用を許可する旨の許可情報が通知された電池の中から、前記調整用電池を選択する、請求項1または請求項2に記載の電池制御システム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態の電池制御システムを採用した電力制御システムを示す図である。
【0026】
図2において、電力制御システムは、電力供給部1と、再生可能電源2と、監視・制御部3と、電力系統4と、供給側電池システム5と、需要家側電池システム61〜6m(mは2以上の整数)と、DEMS(Distributed Energy Management System:分散エネルギ管理システム)7と、通信ネットワーク8と、中継ノード9と、を含む。
【0027】
電力供給部1は、発電所1Aに設けられている火力等の発電機である。電力供給部1は、発電所1Aで発電した電力を出力する。
【0028】
再生可能電源2は、例えば、太陽光発電装置である。なお、再生可能電源2は、太陽光発電装置に限らず適宜変更可能であり、例えば、風力発電機でもよく、水力発電機(1千キロワット以下の電力を発電する小水力発電機を含む)でもよく、地熱発電機でもよく、これらの発電機が混在する電源でもよい。また、再生可能電源2は、供給側電池システム5内または需要家側電池システム61〜6m内に設けられ、電力線10に接続されてもよい。
【0029】
監視・制御部3は、中央給電指令所3Aに設けられている。監視・制御部3は、DEMS7と通信する。なお、中央給電指令所3Aと発電所1Aの間には、中央給電指令所3Aからの指示を発電所1Aに送るための通信線が存在する。
【0030】
電力系統4は、電力を需要家側へ供給するためのシステムであり、変圧器等を含み、電力供給部1や再生可能電源2からの発電電力の電圧を所定電圧に変圧し、所定電圧を有する電力を電力線10に供給する。なお、一般的に、電力系統4には、発電所1Aや再生可能電源2や電力線10が含まれるが、
図2では、説明の簡略化を図るため、電力系統4と、発電所1A、再生可能電源2および電力線10とを、別々に示している。
【0031】
供給側電池システム5は、発電所1Aおよび中央給電指令所3Aを管理する電力供給側(例えば、電力会社)にて管理される。
【0032】
供給側電池システム5は、ES5aと、AC/DCコンバータ5bと、同期装置5cと、通信端末5dと、ES制御装置5eと、を含む。なお、同期装置5cと通信端末5dとES制御装置5eは、電池制御装置51に含まれる。
【0033】
ES5aは、例えば、定置用蓄電池または電気自動車内の二次電池である。
【0034】
図3は、ES5aの一例を示したブロック図である。
【0035】
図3において、ES5aは、電池本体5a1と、電池本体5a1の動作(充電動作および放電動作)を制御するBMU(Battery Management Unit:蓄電池制御ユニット部)5a2と、を含む。
【0036】
BMU5a2は、電池本体5a1の特性つまりES5aの特性を把握している。
【0037】
本実施形態では、BMU5a2は、ES5aの特性として、
(1)ES5aの残存容量、
(2)ES5aの残存空容量、
(3)ES5aのSOC(State of Charge)、
(4)ES5aの充放電出力(ES5aの定格充放電出力)、
(5)充放電遅延時間(ES5aが充電または放電を指示する動作指示を受け付けてから動作指示に応じた動作を実行するまでに要する時間、本実施形態では、ES5aが動作指示を受け付けてから動作指示にて示された目標の出力を発生するまでに要する時間)、および、
(6)最長充放電継続時間(充放電出力での最長充放電継続時間)を把握している。
【0038】
なお、BMU5a2が把握するES5aの特性は、上記に限らず適宜変更可能であり、例えば、さらに、必要に応じて
(7)ES5aのSOC許容値(劣化等に応じた上限、下限、劣化の激しいSOC範囲である禁制帯等)、
(8)ES5aの電力系統4との連系点における電圧と、を把握してもよい。
【0039】
また、BMU5a2は、ES5aの識別情報であるIDを記憶している。
【0040】
なお、上記(1)〜(8)に記載したES5aの特性を把握する機能は、電池制御装置51が有していてもよい。
【0041】
図2に示したAC/DCコンバータ5bは、ES5aの充電時には、電力線10からの交流電圧を直流電圧に変換し、その直流電圧をES5aに供給する。また、AC/DCコンバータ5bは、ES5aの放電時には、ES5aからの直流電圧を交流電圧に変換し、その交流電圧を電力線10に供給する。
【0042】
同期装置5cは、同期用の時刻情報を出力する。本実施形態では、同期装置5cは、GPS(Global Positioning System)受信機(不図示)を用いてGPSの持つ時刻情報を出力する。
【0043】
通信端末5dは、一般的に通信手段と呼ぶことができる。
【0044】
通信端末5dは、通信ネットワーク8および中継ノード9を介して、DEMS7と通信する。通信端末5dは、例えば、DEMS7から、ESの特性を要求する旨の特性要求や、充電または放電を指示する動作指示や、動作指示に応じた動作を停止する旨の動作停止指示を受信し、また、DEMS7へES5aに関する特性を送信する。
【0045】
ES制御装置5eは、一般的に制御手段と呼ぶことができる。
【0046】
ES制御装置5eは、通信端末5dが受け付けたDEMS7からの指示に基づいて、ES5aを制御する。例えば、ES制御装置5eは、DEMS7からの動作指示に基づき、同期装置5cの時刻情報にて規定されるタイミングで、AC/DCコンバータ5bを介して、ES5a内のBMU5a2に放電指示または充電指示を出力する。
【0047】
需要家側電池システム61〜6mは、電力の需要家にて管理される。
【0048】
需要家側電池システム61〜6mは、それぞれ、ES6aと、AC/DCコンバータ6bと、同期装置6cと、通信端末6dと、ES制御装置6eと、負荷6fと、を含む。なお、同期装置6cと通信端末6dとES制御装置6eは、電池制御装置61に含まれる。
【0049】
ES6a、AC/DCコンバータ6b、同期装置6c、通信端末6dおよびES制御装置6eは、それぞれ、ES5a、AC/DCコンバータ5b、同期装置5c、通信端末5dおよびES制御装置5eと同様の機能を有する。このため、ES6a、AC/DCコンバータ6b、同期装置6c、通信端末6dおよびES制御装置6eについての説明は省略する。
【0050】
負荷6fは、例えば、需要家が保有する電気機器である。
【0051】
DEMS7は、一般的に、電池制御システムと呼ぶことができる。DEMS7は、例えば、配電用変電所に設けられる。なお、DEMS7の設置場所は、配電用変電所に限らず適宜変更可能である。
【0052】
DEMS7は、通信部7aと、情報収集部7bと、同期装置7cと、系統状態測定部7dと、選択部7eと、指示制御部7fと、表示部7gと、を含む。選択部7eは、状態管理部7e1と、電池選択部7e2と、を含む。
【0053】
通信部7aは、通信ネットワーク8および中継ノード9を介して、通信端末5dおよび通信端末6dの各々と通信する。
【0054】
情報収集部7bは、一般的に、検出手段と呼ぶことができる。
【0055】
情報収集部7bは、ES5aおよびES6aの各々の電池の特性を検出する。本実施形態では、情報収集部7bは、ES5aおよびES6aの各々の電池の特性を、供給側電池システム5および需要家側電池システム61〜6mの各々から所定の間隔、例えば、5秒間隔で収集する。なお、収集間隔は5秒に限らず適宜変更可能である。また、情報収集部7bは、ES5aおよびES6aの各々の電池の特性と共に、ES5aおよびES6aの各々のIDも収集する。
【0056】
同期装置7cは、同期用の時刻情報を出力する。本実施形態では、同期装置7cは、GPS受信機(不図示)を用いてGPSの持つ時刻情報を出力する。
【0057】
系統状態測定部7dは、電力系統4の電力特性を検出する。電力特性とは、例えば、電力潮流、電圧、電流、周波数、位相、無効電力量、有効電力量等である。系統状態測定部7dは、電力系統4の電力特性の検出結果に基づいて、電力系統4の電力の検出時における電力線10を含む配電網全体の総需要値を推定し、その推定結果(総需要値)を時系列で繋げることで、電力線10を含む配電網全体の総需要曲線を推定する。また、系統状態測定部7dは、総需要値に、その総需要値の推定時に同期装置7cが出力した時刻情報を付加する。
【0058】
選択部7eは、一般的に、選択手段と呼ぶことができる。
【0059】
選択部7eは、電力系統4の電力を調整する調整用電池の候補を選択するために使用する電池特性範囲(以下、単に「電池特性範囲」と称する)を用いて、ES5aおよびES6aの各々の中から、電池特性範囲に属する特性を有する電池(以下「該当電池」と称する)を選択する。また、選択部7eは、該当電池の中から、必要となる電力量等の所定の条件に基づいて、電力系統4の電力を調整するために用いる調整用電池を選択する。
【0060】
なお、該当電池を選択するために使用する電池特性範囲は、所定の電池特性範囲の一例である。また、該当電池は、調整用電池の候補の一例である。
【0061】
状態管理部7e1は、情報収集部7bの収集結果を記憶する。本実施形態では、状態管理部7e1は、情報収集部7bの収集結果を、最新の収集結果に更新していく。
【0062】
電池選択部7e2は、総需要曲線の平滑化目標値(以下、単に「平滑化目標値」と称する)と、電池特性範囲と、を記憶している。なお、平滑化目標値は、各時刻での目標値を示す。
【0063】
電池選択部7e2は、系統状態測定部7dが推定した総需要曲線を平滑化目標値に近づけるまたは一致させるために使用する電池(調整用電池)を選択する。
【0064】
図4は、系統状態測定部7dが電力系統4の電力の検出を通じて推定(把握)している配電網全体の総需要曲線Xと、平滑化目標値Yの一例を表した図である。
【0065】
図4に示すように、総需要曲線Xは、需要家のランダムな電力需要と、電力系統4に組み込まれている太陽光発電や風力発電等の再生可能電源2の発電変動等とがあわさって、複雑な挙動を示していることがわかる。
【0066】
本実施形態では、電池選択部7e2は、ある時刻で系統状態測定部7dが推定した総需要値がその時刻での平滑化目標値と異なっていると、ES5aおよびES6aの各々の中から該当電池を選択し、該当電池の中から調整用電池を選択する。
【0067】
指示制御部7fは、一般的に、制御手段と呼ぶことができる。
【0068】
指示制御部7fは、調整用電池が複数存在する場合には、複数の調整用電池に対して、充電または放電を指示する動作指示を、通信部7aから出力する。なお、指示制御部7fは、調整用電池が1つ存在する場合には、その1つの調整用電池に対して動作指示を通信部7aから出力する。
【0069】
表示部7gは、一般的に表示手段と呼ぶことができる。
【0070】
表示部7gは、種々の表示を実行する。表示部7gは、例えば、状態管理部7e1内の情報収集部7bの収集結果を表示する。また、表示部7gは、該当電池(調整用電池の候補)を選択するために使用する電池特性範囲と、その電池特性範囲を用いて選択された該当電池と、該当電池の中から選択された調整用電池と、を表示する。
【0072】
以下では、DEMS7が、電力系統4の周波数安定性向上のために、総需要曲線が平滑化目標値に近づくまたは一致するように、総需要曲線を平滑化する制御(ロードフィッティング制御)について説明する。
【0073】
図5は、DEMS7の動作を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、系統状態測定部7dは、総需要値を推定するごとに、その推定された総需要値に同期装置7cからの時刻情報を付加して電池選択部7e2に出力しているとする。
【0074】
DEMS7では、状態管理部7e1が、情報収集部7bの収集結果を保存するためのデータベースを準備する(ステップA1)。
【0075】
続いて、情報収集部7bが、ES5aおよびES6aの各々の電池特性パラメータを、ES5aおよびES6aの各々のIDと共に、通信ネットワーク8および中継ノード9を介して収集する(ステップA2)。
【0076】
例えば、ステップA2では、情報収集部7bは、通信部7aから供給側電池システム5および需要家側電池システム61〜6mに特性要求を送信し、その特性要求に応じて供給側電池システム5および需要家側電池システム61〜6mから送信されたES5aおよびES6aの各々の電池特性パラメータおよびIDを、通信部7aを介して受け付ける。
【0077】
このとき収集されるパラメータは、ES5aおよびES6aの各々が有するBMU、または電池制御装置51および61が把握しているESの特性である。本実施形態では
(1)ESの残存容量、
(2)ESの残存空容量
(3)SOC、
(4)充放電出力、
(5)充放電遅延時間、および
(6)最長充放電継続時間
が、収集される。
【0078】
続いて、情報収集部7bは、ES5aおよびES6aの各々の電池特性パラメータの収集結果を、状態管理部7e1内のデータベースに保存する(ステップA3)。
【0079】
続いて、電池選択部7e2は、系統状態測定部7dからの現在の総需要値が、現時点での平滑化目標値とずれているかを判断する(ステップA4)。
【0080】
系統状態測定部7dからの総需要値が平滑化目標値とずれていると、電池選択部7e2は、状態管理部7e1内のデータベースを用いて、総需要曲線を平滑化目標値に近づけるまたは一致させるために使用する電池(調整用電池)を選択する(ステップA5)。
【0081】
例えば、ステップA5では、電池選択部7e2は、上記(1)〜(6)のパラメータのうち、まず(5)充放電遅延時間に着目する。本実施形態では、電池選択部7e2は、ES5aおよびES6aの中から、ESの個数の最も多い充放電遅延時間(例えば、充放電遅延時間が8〜10秒)を有するESを第1選考ESとして選択する。
【0082】
続いて、電池選択部7e2は、各調整用電池に定格充電電力と定格放電電力を一致させた動作を行わせるために、ESの動作範囲を、SOC下限が20%、SOC上限が80%と設定し、総需要曲線の平滑化制御を開始する直前の、(3)SOCのデータを参照し、第1選考ESの中から、SOCの値が50%±5%のESを、第2選考ESとして選択する。
【0083】
続いて、電池選択部7e2は、本実施形態では動作指示を送る周期が5秒であるため、充放電遅延時間とSOCとの2つのパラメータを考慮して選択された第2選考ESの中から、(6)最長充放電継続時間が5秒以上のESを該当電池(調整用電池の候補)として選択する。
【0084】
このように選択された、充放電遅延時間8〜10秒、SOC値50%±5%、最長充放電継続時間5秒以上、の該当電池の中から、電池選択部7e2は、最後に、目標とする充放電出力、つまり、総需要曲線と平滑化目標値との差を小さくするために必要な充放電出力を得るために、調整用電池を選択する。
【0085】
本実施形態では、電池選択部7e2は、該当電池の中から、(4)充放電出力(定格充放電出力)が小さいESから順番に調整用電池として選択し、調整用電池の充放電出力の合計が、目標とする充放電出力に達すると、調整用電池の選択を終了する。
【0086】
なお、該当電池の各々は、充放電遅延時間が8〜10秒の範囲、SOC値が50%±5%の範囲、かつ、充放電継続可能時間5秒以上の範囲にて規定された電池特性範囲内の特性を有するもの(調整用電池の候補)である。
【0087】
また、調整用電池の各々は、該当電池(調整用電池の候補)の各々の中から、必要となる調整電力量に基づいて選択されたものである。
【0088】
電池選択部7e2は、調整用電池を選択すると、該当電池を選択するために用いた電池特性範囲と、該当電池の選択結果と、調整電池の選択結果と、を表示部7gに出力する。表示部7gは、電池特性範囲と、該当電池の選択結果と、調整電池の選択結果と、を受け付けると、電池特性範囲と、該当電池の選択結果と、調整電池の選択結果と、を表示する。
【0089】
また、電池選択部7e2は、調整用電池を選択すると、その選択結果と、総需要値から平滑化目標値を引いた差と、を指示制御部7fに出力する。
【0090】
指示制御部7fは、調整用電池の選択結果と、総需要値から平滑化目標値を引いた差と、を受け付けると、その差が正の値を表す場合には、放電を指示する動作指示を調整用電池に出力し、その差が負の値を表す場合には、充電を指示する動作指示を調整用電池に出力する(ステップA6)。
【0091】
本実施形態では、ステップA6において、指示制御部7fは、調整用電池が複数存在する場合には、複数の調整用電池に対して、共通の充電開始タイミングまたは共通の放電開始タイミングと、出力値が定格充放電出力である旨と、を少なくとも規定した動作指示を、通信部7aから出力する。
【0092】
続いて、情報収集部7bは、調整用電池の各々の電池特性パラメータを調整用電池のIDと共に、通信ネットワーク8および中継ノード9を介して収集し、その収集結果を用いて、状態管理部7e1内のデータベースを更新する(ステップA7)。
【0093】
なお、ステップA7では、情報収集部7bが、通信部7aから調整用電池の各々に特性要求を送信し、その特性要求に応じて送信された調整用電池の各々の電池特性パラメータおよびIDを、通信部7aを介して受け付け、その受信結果を用いて、状態管理部7e1内のデータベースを更新する。
【0094】
続いて、電池選択部7e2は、総需要値から平滑化目標値を引いた差が正の値を表す場合には、更新された状態管理部7e1内のデータベースを参照して、調整用電池の中に、ESの残存容量が枯渇を示すものがあるかを判断し、その差が負の値を表す場合には、更新された状態管理部7e1内のデータベースを参照して、調整用電池の中に、ESの残存空容量が満充電を示すものがあるかを判断する(ステップA8)。
【0095】
ステップA8で、調整用電池の中に残存容量が枯渇しているものまたは満充電になっているものがあると、電池選択部7e2は、処理をステップA5に戻す。
【0096】
一方、ステップA8で、調整用電池の中に残存容量が枯渇しているものおよび満充電になっているものがないと、電池選択部7e2は、情報収集部7bに、ESの電池特性パラメータを収集する旨の収集依頼を出力する(ステップA9)。
【0097】
情報収集部7bは、収集依頼を受け付けると、前回のステップA2の実行時から5秒経過するまで待つ(ステップA10)。
【0098】
前回のステップA2の実行時から5秒経過すると、情報収集部7bは、処理をステップA2に戻す。
【0099】
一方、ステップA4で、系統状態測定部7dからの総需要値が平滑化目標値とずれていないと、電池選択部7e2は、調整用電池に動作指示を送信した状況であるロードフィッティング動作中であるかを判断する(ステップA11)。
【0100】
ステップA11で、ロードフィッティング動作中であると、電池選択部7e2は、ロードフィッティング動作が不要になったと判断して、動作指示に応じた動作(充電または放電)を停止する旨の動作停止指示を調整用電池に出力し(ステップA12)、その後、ステップA9を実行する。
【0101】
一方、ステップA11で、ロードフィッティング動作中でないと、電池選択部7e2は、ステップA9を実行する。
【0102】
図6は、DEMS7からの特性要求を受信したときの供給側電池システム5の動作を説明するためのフローチャートである。
【0103】
通信端末5dは、特性要求を受信すると(ステップB1)、特性要求をES制御装置5eに出力する。
【0104】
ES制御装置5eは、特性要求を受け付けると、AC/DCコンバータ5bを介してES5a内のBMU5a2から、ES5aに関する特性を収集する(ステップB2)。
【0105】
本実施形態では、ES5aに関する特性として、
(1)ESの残存容量、
(2)ESの残存空容量
(3)SOC、
(4)充放電出力、
(5)充放電遅延時間、および
(6)最長充放電継続時間
が用いられる。
【0106】
ES制御装置5eは、ES5aの特性を収集すると、ES5aの特性を通信端末5dからDEMS7に送信する(ステップB3)。
【0107】
なお、DEMS7からの特性要求を受信したときの需要家側電池システム61〜6mの動作は、DEMS7から特性要求を受信したときの供給側電池システム5の動作に準ずるので説明を省略する。
【0108】
図7は、DEMS7からの動作指示を受信したときの供給側電池システム5の動作を説明するためのフローチャートである。
【0109】
通信端末5dは、動作指示を受信すると(ステップC1)、動作指示をES制御装置5eに出力する。
【0110】
ES制御装置5eは、動作指示に従ってES5aの動作を制御する(ステップC2)。
【0111】
本実施形態では、ステップC2では、ES制御装置5eは、動作指示が充電開始タイミングと出力値とを規定している場合には、同期装置5cの時刻情報にて表される時刻が充電開始タイミングになると、AC/DCコンバータ5bを介して、ES5a内のBMU5a2に、動作指示に規定された出力値の出力を実行する旨の充電指示を出力する。BMU5a2は、充電指示に従って電池本体5a1に充電動作を実行させる。
【0112】
一方、動作指示が放電開始タイミングと出力値とを規定している場合には、ES制御装置5eは、同期装置5cの時刻情報にて表される時刻が放電開始タイミングになると、AC/DCコンバータ5bを介して、ES5a内のBMU5a2に、動作指示に規定された出力値の出力を実行する旨の放電指示を出力する。BMU5a2は、放電指示に従って電池本体5a1に放電動作を実行させる。
【0113】
なお、DEMS7からの動作指示を受信したときの需要家側電池システム61〜6mの動作は、DEMS7から動作指示を受信したときの供給側電池システム5の動作に準ずるので説明を省略する。
【0114】
図8は、DEMS7から動作停止指示を受信したときの供給側電池システム5の動作を説明するためのフローチャートである。
【0115】
通信端末5dは、動作停止指示を受信すると(ステップD1)、動作停止指示をES制御装置5eに出力する。
【0116】
ES制御装置5eは、動作停止指示に従ってES5aの動作を停止する(ステップD2)。
【0117】
本実施形態では、ステップD2では、ES制御装置5eは、AC/DCコンバータ5bを介して、ES5a内のBMU5a2に動作停止指示を出力する。BMU5a2は、動作停止指示に従って電池本体5a1に動作を停止する。
【0119】
本実施形態によれば、情報収集部7bは、ES5aおよびES6aの各々の電池の特性を検出する。選択部7eは、ES5aおよびES6aの各々の中から、所定の電池特性範囲内の特性を有する電池を、調整用電池の候補(該当電池)として選択し、調整用電池の候補の中から所定の条件に基づいて調整用電池を選択する。指示制御部7fは、調整用電池に対して、充電または放電を指示する動作指示を出力する。
【0120】
このため、電力系統の電力を調整するために用いる調整用電池は、電池特性が類似したものとなり、よって、調整用電池間の電池特性のばらつきを小さくすることが可能になる。したがって、電力系統の電力を調整するために用いる電池間の特性のばらつきに起因する電力需給調整の精度の悪化を抑制することが可能になる。また、複数の調整用電池は、電池特性が類似したものとなるため、複数の調整用電池を、仮想的に1つの電池(電池クラスタ)として取り扱うことが可能になる。
【0121】
なお、上記効果は、情報収集部7bと選択部7eと指示制御部7fとからなる電池制御システムでも奏する。
【0122】
図9は、情報収集部7bと選択部7eと指示制御部7fとからなる電池制御システムを示した図である。
図10は、
図9に示した電池制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
図9に示した電池制御システムでは、まず、情報収集部7bは、ES5aおよびES6aの各々の電池特性パラメータ(電池の特性)を検出する(ステップE1)。続いて、選択部7eは、ES5aおよびES6aの各々の中から、所定の電池特性範囲内の特性を有する電池を、調整用電池の候補(該当電池)として選択し、調整用電池の候補の中から所定の条件に基づいて調整用電池を選択する(ステップE2)。続いて、指示制御部7fは、調整用電池に対して、充電または放電を指示する動作指示を出力する(ステップE3)。
【0123】
また、本実施形態では、情報収集部7bは、電池の特性として、少なくとも、電池の充電または放電に関する特性を検出する。また、所定の電池特性範囲は、少なくとも、電池の充電または放電に関する特性の範囲を規定するものである。このため、電池の充電または放電に関する特性が類似する電池を調整用電池として選択することが可能になり、充電または放電の特性のばらつきに起因する電力需給調整の精度の悪化を抑制することが可能になる。
【0124】
なお、電池の充電または放電に関する特性は、電池が動作指示を受け付けてから動作指示に応じた動作を実行するまでの時間である遅延時間と、電池の最長充放電継続時間と、電池の充放電出力と、電池の残存容量と、電池の残存空容量と、電池のSOCと、電池の電力系統との連系点における電圧と、の少なくともいずれか1つにて規定されるものでもよい。
【0125】
また、本実施形態では、指示制御部7fは、調整用電池が複数存在する場合に、動作指示として、共通の充電開始タイミングまたは共通の放電開始タイミングを少なくとも規定した動作指示を出力する。電力系統の電力を調整するために用いる調整用電池は、電池特性が類似したものとなっているため、調整用電池間の充電開始タイミングのずれまたは調整用電池間の共通の放電開始タイミングのずれを小さくすることが可能になる。
【0126】
また、本実施形態では、表示部7gは、該当電池(調整用電池の候補)を選択するために用いた電池特性範囲と、該当電池の選択結果と、調整電池の選択結果と、を表示する。このため、電池制御システムの使用者は、電池制御システムの動作状態(該当電池の選択結果や調整電池の選択結果)を確認できる。よって、電池制御システムの使用者は、該当電池の選択結果や調整電池の選択結果が意図した結果とずれていた場合に、電池特性範囲を修正して、該当電池の選択結果や調整電池の選択結果を調整することが可能になる。
【0127】
また、本実施形態の電池制御装置61では、ES制御装置6eは、通信端末6dが特性要求を受信すると、ES6aの特性を特性要求の送信元に通信端末6dから送信し、通信端末6dが動作指示を受信すると、動作指示に基づいてES6aを制御する。このため、DEMS7の制御に従って、ES6aの動作を制御することが可能になる。
【0128】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態の電池制御システムを採用した電力制御システムを示す図である。なお、
図11において、
図2に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。以下、
図11に示した電力制御システムについて、
図2に示した電力制御システムと異なる点を中心に説明する。
【0129】
図11に示した電力制御システムでは、ES5aおよびES6aの各々が有するBMU、または電池制御装置51および61の各々が、ESの特性として、さらに、(9)ESの満充電容量と(10)放電深度とを把握している。なお、(9)ESの満充電容量と(10)放電深度の各々は、ESの劣化に伴って変化する。そして、ES5aおよびES6aの各々は、特性要求に応じて、さらに、(9)ESの満充電容量と(10)放電深度とをDEMS7に送信する。
【0130】
また、
図11に示した電力制御システムでは、
図2に示した第1実施形態における選択部7eの代わりに選択部7eAが用いられ、状態管理部7e1の代わりに状態管理部7e1Aが用いられ、電池選択部7e2の代わりに電池選択部7e2Aが用いられる。
【0131】
状態管理部7e1Aは、状態管理部7e1が有するデータベース(以下「第1DB」と称する)に加えて、ES5aおよびES6aの各々から情報収集部7bが最初に収集した特性を保存するデータベース(以下「第2DB」と称する)を有する。
【0132】
電池選択部7e2Aは、電池選択部7e2と同様に、平滑化目標値と電池特性範囲とを記憶している。
【0133】
電池選択部7e2Aは、ある時刻で系統状態測定部7dが推定した総需要がその時刻での平滑化目標値と異なっていると、第1DB内の(9)ESの満充電容量および(10)放電深度と、第2DB内の(9)ESの満充電容量および(10)放電深度と、をそれぞれESごとに比較する。
【0134】
電池選択部7e2Aは、(9)ESの満充電容量の差が第1所定値以上または(10)放電深度の差が第2所定値以上であるESを、劣化状態にある劣化電池として特定する。
【0135】
そして、電池選択部7e2Aは、ES5aおよびES6aの各々のうち劣化電池以外の電池の中から、電池選択部7e2と同様に該当電池を選択し、該当電池の中から電池選択部7e2と同様に調整用電池を選択する。
【0136】
本実施形態では、選択部7eは、ESごとに複数回検出された電池の特性の変化に基づいて、複数のESの中から劣化状態にある劣化電池を特定し、複数のESのうち劣化電池以外の電池の中から、該当電池を選択する。このため、劣化電池を調整用電池として使用することを防止でき、劣化電池を調整用電池として使用することに起因する電力需給調整の精度の悪化を抑制することが可能になる。
【0137】
なお、上記各実施形態において、供給側電池システム5は、省略されてもよいし、複数存在してもよい。
【0138】
また、上記各実施形態において、情報収集部7bが収集する電池の特性(パラメータ)は、上記に限るものではなく適宜変更可能であり、例えば、上述した特性(パラメータ)のうちのいずれか1つまたはいくつかでもよいし、例えば、ESの劣化関連パラメータ(寿命や温度等)や、ESの連系点の電圧上限・下限の許容値(V許容値)や、ESの最小充放電出力や、ESのロケーション情報や、ESの種類や、充電状態(急速充電中か定格充電中か等)に対するSOCの上下限値や、ESのオン/オフ状態や、ESのメンテナンス情報(例えば、メンテナンスが定期的に行われているかを表す情報、または、今後のメンテナンスの時期を表す情報等)や、ESの充放電の有効電力量や、ESの無効電力量や、ESの電圧や、ESの電流のいずれか1つまたはいくつがでもよい。
【0139】
例えば、情報収集部7bが各ESの温度を収集した場合、電池選択部7e2Aは、ESのうち基準温度以上の温度を有するESを劣化電池として特定し、複数のESのうち劣化電池以外の電池の中から、該当電池を選択する。
【0140】
また、例えば、情報収集部7bが各ESの今後のメンテナンスの時期を表す情報を収集した場合、電池選択部7e2Aは、ESのうち、現在の日時から今後のメンテナンスの時期までの期間が基準期間よりも短い電池を劣化電池として特定し、複数のESのうち劣化電池以外の電池の中から、該当電池を選択する。
【0141】
また、上記各実施形態において、電池特性範囲を規定する電池の特性は、上述した3つ(充放電遅延時間、SOCおよび最長充放電継続時間)に限らず、情報収集部7bが収集する電池の特性と同様に適宜変更可能である。
【0142】
また、上記各実施形態では、ES内のBMUが、最長充放電継続時間を把握し、最長充放電継続時間をDEMS7に送信したが、例えば、DEMS7内の情報収集部7bが、ESごとに、ESの残存容量をESの充放電出力で割ることで最長充放電継続時間を算出してもよい。この場合、ES内のBMUは、最長充放電継続時間を把握する必要がなくなる。
【0143】
また、上記各実施形態において、電池選択部7e2または7e2Aは、複数のESのうち、ESの使用を許可する旨の許可情報がESのユーザ(需要家)にて通知されたESの中から、調整用電池の候補を選択してもよい。この場合、ESのユーザ(需要家)にて使用が許可されたESを、調整用電池として使用することが可能となる。
【0144】
また、上記各実施形態において、電池選択部7e2または7e2Aは、複数のESのうち、ESの充放電容量の一部の使用を許可する旨の使用許可情報が通知されたESの中から、調整用電池の候補を選択し、指示制御部7fは、調整用電池が複数存在する場合に、複数の調整用電池に対して、使用が許可された充放電容量の一部の範囲内で充電または放電を指示する動作指示を出力してもよい。この場合、ESのユーザ(需要家)にて使用が許可されたESの充放電容量の一部を使用して、電力需給調整を行うことが可能になる。
【0145】
また、上記各実施形態において、中継ノード9は省略されてもよい。中継ノード9が省略された場合、供給側電池システム5と需要家側電池システム61〜6mは、通信ネットワーク8と接続する。
【0146】
なお、DEMS7は、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能なCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)のような記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、通信部7a、情報収集部7b、同期装置7c、系統状態測定部7d、選択部7eまたは7eA、指示制御部7fおよび表示部7gとして機能する。記録媒体は、CD−ROMに限らず適宜変更可能である。
【0147】
また、ES制御装置5eまたは6eは、コンピュータにて実現されてもよい。この場合、コンピュータは、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを読込み実行して、ES制御装置5eまたは6eとして機能する。
【0148】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記各実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0149】
この出願は、2011年9月2日に出願された日本出願特願2011−191732を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。