【実施例1】
【0015】
(実施例1のプリンタUの全体構成の説明)
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2は本発明の実施例1の画像形成装置の要部の説明図である。
図1、
図2において、実施例1の画像形成装置の一例としてのプリンタUは、プリンタの本体U1と、プリンタの本体U1に媒体を供給する供給装置の一例としてのフィーダーユニットU2と、画像が記録された媒体が排出される排出装置の一例としての排出ユニットU3と、本体U1と排出ユニットU3との間を接続する接続部の一例としてのインターフェースモジュールU4と、利用者が操作を行う操作部UIと、を有する。
【0016】
(実施例1のマーキングの構成の説明)
図1、
図2において、前記プリンタの本体U1は、プリンタUの制御を行う制御部C1や、プリンタUの外部に図示しない専用のケーブルを介して接続された情報の送信装置の一例としてのプリント画像サーバCOMから送信された画像情報を受信する図示しない通信部、媒体に画像を記録する画像記録部の一例としてのマーキング部U1a等を有する。前記プリント画像サーバCOMには、ケーブルまたはLAN:Local Area Network等の回線を通じて接続され、プリンタUで印刷される画像の情報が送信される画像の送信装置の一例としてのパーソナルコンピュータPCが接続されている。
前記マーキング部U1aは、像保持体の一例としてY:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:黒の各色用の感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkと、写真画像等を印刷する場合に画像に光沢を出すための感光体ドラムPoと、を有する。感光体ドラムPy〜Poは、表面が感光性の誘電体で構成されている。
【0017】
図1、
図2において、黒色の感光体ドラムPkの周囲には、感光体ドラムPkの回転方向に沿って、帯電器CCk、潜像の形成装置の一例としての露光器ROSk、現像装置Gk、一次転写器の一例としての1次転写ロールT1k、像保持体用の清掃器の一例としての感光体クリーナCLkが配置されている。
他の感光体ドラムPy,Pm,Pc,Poの周囲にも同様に、帯電器CCy,CCm,CCc,CCo、露光器ROSy,ROSm,ROSc,ROSo、現像装置Gy,Gm,Gc,Go、1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1o、感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLoが配置されている。
マーキング部U1aの上部には、収容容器の一例として、現像装置Gy〜Goに補給される現像剤が収容されたトナーカートリッジKy,Kc,Km,Kk,Koが着脱可能に支持されている。
【0018】
各感光体ドラムPy〜Poの下方には、中間転写体の一例であって、像保持体の一例としての中間転写ベルトBが配置されており、中間転写ベルトBは、感光体ドラムPy〜Poと1次転写ロールT1y〜T1oとの間に挟まれる。中間転写ベルトBの裏面は、駆動部材の一例としてのドライブロールRdと、張力付与部材の一例としてのテンションロールRtと、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRwと、従動部材の一例としての複数のアイドラロールRfと、二次転写用の対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、可動部材の一例としての複数のリトラクトロールR1と、前記1次転写ロールT1y〜T1oにより支持されている。
中間転写ベルトBの表面には、ドライブロールRdの近傍に、中間転写体の清掃器の一例としてのベルトクリーナCLBが配置されている。
【0019】
バックアップロールT2aには、中間転写ベルトBを挟んで、二次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが対向して配置されている。また、バックアップロールT2aには、バックアップロールT2aに現像剤の帯電極性とは逆極性の電圧を印加するために、接触部材の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。実施例1の2次転写ロールT2bには、右下方に配置された駆動部材の一例としての駆動ロールT2dとの間に、搬送部材の一例としての搬送ベルトT2eが張架されている。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b、コンタクトロールT2cにより、実施例1の2次転写器T2が構成されており、1次転写ロールT1y〜T1o、中間転写ベルトB、2次転写器T2等により、実施例1の転写装置T1,B,T2が構成されている。
【0020】
2次転写器T2の下方には、媒体の一例としての記録シートSが収容される収容部の一例として給紙トレイTR1,TR2が設けられている。各給紙トレイTR1,TR2の右斜め上方には、取出部材の一例としてのピックアップロールRpと、捌き部材の一例としての捌きロールRsとが配置されている。捌きロールRsから、記録シートSが搬送される搬送路SHが延びており、搬送路SHに沿って、記録シートSを下流側に搬送する搬送部材の一例としての搬送ロールRsが複数配置されている。
2つの給紙トレイTR1,TR2からの搬送路SHが合流した位置に対して記録シートSの搬送方向の下流側には、不要部の除去装置の一例として、記録シートSを予め設定された圧力で挟んで下流側に搬送して、記録シートSの縁の不要部の除去、いわゆる、バリ取りを行うバリ取り装置Btが配置されている。
【0021】
バリ取り装置Btの下流側には、通過する記録シートSの厚みを計測して、記録シートSが複数枚重なっているか状態、いわゆる重送を検知するための検知装置Jkが配置されている。重送の検知装置Jkの下流側には、姿勢の補正装置の一例として、記録シートSの搬送方向に対する傾斜、いわゆるスキューを補正する補正ロールRcが配置されている。補正ロールRcの下流側には、2次転写器T2への記録シートSの搬送時期を調整する調整部材の一例としてのレジストレーションロールRrが配置されている。
なお、フィーダーユニットU2にも、給紙トレイTR1,TR2やピックアップロールRp、捌きロールRs、搬送ロールRaと同様に構成された給紙トレイTR3,TR4等が設けられており、給紙トレイTR3,TR4からの搬送路SHは、プリンタの本体U1の搬送路SHに、重送の検知装置Jkの上流側で合流する。
【0022】
搬送ベルトT2eに対して、記録シートSの搬送方向の下流側には、表面に記録シートSを保持して下流側に搬送する搬送ベルトHBが複数配置されている。
搬送ベルトHBに対して、記録シートSの搬送方向の下流側には、定着装置Fが配置されている。
定着装置Fの下流側には、記録シートSを冷却する冷却装置Coが配置されている。
冷却装置Coの下流側には、記録シートSに圧力を加えて、記録シートSの湾曲、いわゆるカールを補正するデカーラーHdが配置されている。
デカーラーHdの下流側には、記録シートSに記録された画像を読み取る画像読取装置Scが配置されている。
【0023】
画像読取装置Scの下流側には、インターフェースモジュールU4に向けて延びる搬送路SHから分岐する搬送路の一例としての反転路SH2が形成されており、反転路SH2の分岐部には、搬送方向の切替部材の一例としての第1のゲートGT1が配置されている。
反転路SH2には、正逆回転可能な搬送部材の一例としてのスイッチバックロールRbが複数配置されている。スイッチバックロールRbの上流側には、反転路SH2の上流部から分岐して、搬送路SHの反転路SH2との分岐部よりも下流側に合流する搬送路の一例としての接続路SH3が形成されている。反転路SH2と接続路SH3との分岐部には、搬送方向の切替部材の一例としての第2のゲートGT2が配置されている。
【0024】
前記反転路SH2の下流側には、冷却装置Coの下方に、記録シートSの搬送方向を反転、いわゆる、スイッチバックさせるための折り返し路SH4が配置されている。
折り返し路SH4には、正逆回転可能な搬送部材の一例としてのスイッチバックロールRbが配置されている。また、折り返し路SH4の入口には、搬送方向の切替部材の一例としての第3のゲートGT3が配置されている。
なお、折り返し路SH4の下流側の搬送路SHは、各給紙トレイTR1,TR2の搬送路SHに合流している。
【0025】
インターフェースモジュールU4には、排出ユニットU3に向けて延びる搬送路SHが形成されている。
排出ユニットU3には、排出される記録シートSが積載される積載容器の一例としてのスタッカトレイTRhが配置されており、搬送路SHから分岐してスタッカトレイTRhに延びる排出路SH5が設けられている。なお、実施例1の搬送路SHは、排出ユニットU3の右方に、図示しない追加の排出ユニットや後処理装置が追加して装着された場合に、追加された装置に対して記録シートSが搬送可能に構成されている。
【0026】
(マーキングの動作)
前記プリンタUでは、パーソナルコンピュータPCから送信された画像情報を、プリント画像サーバCOMを介して受信すると、画像形成動作であるジョブが開始される。ジョブが開始されると、感光体ドラムPy〜Poや中間転写ベルトB等が回転する。
感光体ドラムPy〜Poは、図示しない駆動源により回転駆動される。
帯電器CCy〜CCoは、予め設定された電圧が印加されて、感光体ドラムPy〜Poの表面を帯電させる。
露光器ROSy〜ROSoは、制御部Cからの制御信号に応じて、潜像を書き込む光の一例としてのレーザー光Ly,Lm,Lc,Lk,Loを出力して、感光体ドラムPy〜Poの帯電された表面に静電潜像を書き込む。
現像装置Gy〜Goは、感光体ドラムPy〜Poの表面の静電潜像を可視像に現像する。
トナーカートリッジKy〜Koは、現像装置Gy〜Goにおける現像に伴って消費された現像剤の補給を行う。
【0027】
1次転写ロールT1y〜T1oは、現像剤の帯電極性とは逆極性の1次転写電圧が印加され、感光体ドラムPy〜Poの表面の可視像を中間転写ベルトBの表面に転写する。
感光体クリーナCLy〜CLoは、1次転写後に感光体ドラムPy〜Poの表面に残留した現像剤を除去して清掃する。
中間転写ベルトBは、感光体ドラムPy〜Poに対向する1次転写領域を通過する際に、O,Y,M,C,Kの順に、画像が転写されて積層され、2次転写器T2に対向する2次転写領域Q4を通過する。なお、単色画像の場合は、1色のみの画像が転写されて2次転写領域Q4に送られる。
【0028】
ピックアップロールRpは、受信した画像情報の大きさや記録シートSの指定と、収容された記録シートSの大きさや種類等に応じて、記録シートSの供給が行われる給紙トレイTR1〜TR4から記録シートSを送り出す。
捌きロールRsは、ピックアップロールRpから送り出された記録シートSを1枚ずつ分離して捌く。
バリ取り装置Btは、通過する記録シートSに予め設定された圧力を印加してバリを除去する。
重送の検知装置Jkは、通過する記録シートSの厚さを検知することで、記録シートSの重送を検知する。
補正ロールRcは、通過する記録シートSを、図示しない壁面に接触させてスキューを補正する。
レジストレーションロールRrは、中間転写ベルトBの表面の画像が2次転写領域Q4に送られる時期に合わせて、記録シートSを送り出す。
【0029】
2次転写器T2は、コンタクトロールT2cを介してバックアップロールT2aに予め設定された現像剤の帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加され、記録シートSに中間転写ベルトBの画像を記録シートSに転写する。
ベルトクリーナCLBは、2次転写領域Q4で画像が転写された後の中間転写ベルトBの表面に残留した現像剤を除去して清掃する。
搬送ベルトT2e,HBは、2次転写器T2で画像が転写された記録シートSを表面に保持して下流側に搬送する。
【0030】
定着装置Fは、加熱部材の一例としての加熱ロールFhと、加圧部材の一例としての加圧ロールFpとを有し、加熱ロールFhの内部には、熱源の一例としてのヒータが収容されている。定着装置Fは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域を通過する記録シートSを加圧しながら加熱して、記録シートSの表面の未定着画像を定着する。
冷却装置Coは、定着装置Fで加熱された記録シートSを冷却する。
デカーラーHdは、冷却装置Coを通過した記録シートSに圧力を加えて、記録シートSの湾曲、いわゆるカールを除去する。
画像読取装置Scは、デカーラーHdを通過した記録シートSの表面の画像を読み取る。
【0031】
デカーラーHdを通過した記録シートSは、両面印刷が行われる場合には、第1のゲートGT1が作動して、反転路SH2に搬送され、折り返し路SH4でスイッチバックされて、搬送路SHを通じて、レジストレーションロールRrに再送され、2面目の印刷が行われる。
排出トレイTRhに排出される記録シートSは、搬送路SHを搬送され、スタッカトレイTRhに排出される。このとき、記録シートSの表裏が反転された状態でスタッカトレイTRhに排出される場合、搬送路SHから反転路SH2に一旦搬入され、記録シートSの搬送方向の後端が第2のゲートGT2を通過後、第2のゲートGT2が切り替わってスイッチバックロールRbが逆回転をして、接続路SH3を搬送されてスタッカトレイTRhに搬送される。
スタッカトレイTRhは、記録シートSが積載され、記録シートSの積載量に応じて、最上面が予め設定された高さとなるように、積載板TRh1が自動的に昇降する。
【0032】
(実施例1のマーキング部U1aの説明)
図3は本発明の実施例1のマーキング部の要部拡大図である。
図3において、黒色の現像装置Gkは、現像剤保持体の一例としての現像ロールR0を有する。前記現像ロールR0は、像保持体の一例としての感光体ドラムPkに対向して配置される。よって、感光体ドラムPkと現像ロールR0との間には、対向領域の一例としての現像領域Qが形成される。前記現像ロールR0は、磁石部材の一例としてのマグロール1を有する。前記マグロール1は、感光体ドラムPkに沿って延びている。また、前記マグロール1は固定支持されている。前記マグロール1の周りには、円筒部材の一例としての現像スリーブ2が回転可能に支持されている。実施例1の現像スリーブ2は、一例として、現像領域Qにおいて感光体ドラムPkの回転方向と同じ方向に回転する。また、実施例1の現像スリーブ2の表面速度は、一例として、感光体ドラムPkの表面速度に比べて速く設定されている。よって、現像剤が速く供給され易くなっている。なお、実施例1では、現像剤の一例として、トナーとキャリアを含む2成分現像剤が使用される。他の色Y,M,C,Oの現像装置Gy〜Goも、Y色の現像装置Gyと同様に構成されるため、他の色Y,M,C,Oの現像装置Gy〜Goの説明は省略する。
【0033】
(実施例1の制御部の説明)
図4は本発明の実施例1の画像形成装置およびプリント画像サーバの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図である。
図5は本発明の実施例1の画像形成装置およびプリント画像サーバの制御部が備えている各機能を機能ブロック図で示した図であり、
図4の続きの図である。
図4、
図5において、実施例1のプリンタUの制御部C1は、小型の情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、外部との信号の入出力、および、入出力信号レベルの調節等を行うI/O、必要な処理を実行するためのプログラム、および、データ等が記憶された記憶媒体の一例としてのROM、必要なデータを一時的に記憶するためのRAMや、HDD、前記ROMや、前記ROMやHDD等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU、ならびにクロック発振器等を有しており、前記ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0034】
(制御部に接続された信号入力要素)
前記制御部C1には、操作部UI等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。
操作部UIは、プリンタUの電源のオン、オフをする電源投入部の一例としての電源ボタンUI1、表示部UI2、方向入力釦の一例としての矢印キー等の各種の入力キーUI3等を有する。
【0035】
(制御部C1に接続された被制御要素)
制御部C1は、次の被制御要素DL,D1,Eの制御信号を出力している。
DL:露光器の駆動回路
露光器の駆動回路DLは、露光器ROSy〜ROSoを制御して、感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pk,Poの表面に潜像を形成する。
D1:メインモータの駆動回路
主駆動源の駆動回路の一例としてのメインモータの駆動回路D1は、主駆動源の一例としてのメインモータM1を駆動することにより、感光体ドラムPy〜Po等を回転駆動する。
【0036】
E:電源回路
電源回路Eは、現像用の電源回路Ea、帯電用の電源回路Eb、転写用の電源回路Ec、定着用の電源回路Ed等を有している。
Ea:現像用の電源回路
現像用の電源回路Eaは、現像装置Gy〜Goの現像ロールに現像電圧を印加する。
Eb:帯電用の電源回路
帯電用の電源回路Ebは、帯電器CCy〜CCoに、感光体ドラムPy〜Poの表面を帯電させるための帯電電圧を印加する。
Ec:転写用の電源回路
転写用の電源回路Ecは、1次転写ロールT1y〜T1oに1次転写電圧を印加したり、2次転写器T2のコンタクトロールT2cに2次転写電圧を印加する。
Ed:定着用の電源回路
定着用の電源回路Edは、定着装置Fの加熱ロールFhにヒータ加熱用の電源を供給する。
【0037】
(プリンタUの制御部C1の機能)
プリンタUの制御部C1は、前記信号出力要素からの入力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を有している。すなわち、制御部C1は次の機能を有している。
C11:ジョブの制御手段
画像形成の制御手段の一例としてのジョブの制御手段C11は、受信した画像の情報に応じて、感光体ドラムPy〜Poや、露光器ROSy〜ROSo、帯電器CCy〜CCo、定着装置F等の動作を制御して、画像形成動作の一例としてのジョブを実行する。
【0038】
C12:メインモータの制御手段
主駆動源の制御手段の一例としてのメインモータの制御手段C12は、メインモータの駆動回路D1を介してメインモータM1の駆動を制御して、感光体ドラムPy〜Poや現像装置Gy〜Go、定着装置Fの加熱ロールFh、排出ロールRh等の駆動を制御する。
C13:電源の制御手段
電源の制御手段C13は、現像電圧の制御手段C13Aと、帯電電圧の制御手段C13Bと、転写電圧の制御手段C13Cと、定着電源の制御手段C13Dとを有し、電源回路Eの作動を制御して、各部材への電圧や電源供給を制御する。
【0039】
C13A:現像電圧の制御手段
現像電圧の制御手段C13Aは、現像用の電源回路Eaを制御して現像装置Gy〜Goへの現像電圧の印加を制御する。
C13B:帯電電圧の制御手段
帯電電圧制御手段C13Bは、帯電用の電源回路Ebを制御して、帯電器CCy〜CCoへの帯電電圧の印加を制御する。
C13C:転写電圧の制御手段
転写電圧の制御手段C13Cは、転写用の電源回路Ecを制御して、1次転写ロールT1y〜T1o等に印加する転写電圧を制御する。
【0040】
C13D:定着電源の制御手段
定着電源の制御手段C13Dは、定着用の電源回路Edを制御して、定着装置Fのオン、オフを制御して、定着温度の制御を行う。
C14:スクリーン情報の生成手段
印刷情報を作成する手段の一例としてのスクリーン情報の生成手段C14は、画像プリンタサーバーCOMから受信した画像情報に基づいて、印刷情報の一例として、2値の画素情報に展開されたスクリーン情報を生成する。
C15:露光の制御手段
露光の制御手段C15は、前記スクリーン情報に基づいて、露光器の駆動回路DLを制御して、露光器ROSy〜ROSoを駆動し、感光体ドラムPy〜Po表面に潜像を形成する。
【0041】
(プリント画像サーバCOMの機能の説明)
図4、
図5において、実施例1のプリント画像サーバCOMの本体COM1は、情報処理装置、いわゆるパーソナルコンピュータにより構成されており、外部との信号の入出力、および、入出力信号レベルの調節等を行うI/O、必要な処理を実行するためのプログラム、および、データ等が記憶された記憶媒体の一例としてのROM、必要なデータを一時的に記憶するためのRAMや、HDD、前記ROMや、前記ROMやHDD等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU、ならびにクロック発振器等を有しており、前記ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0042】
(本体COM1に接続された信号入力要素)
プリント画像サーバCOMの本体COM1には、入力部材の一例としてのキーボードCOM2やマウスCOM3等の信号出力要素からの出力信号が入力されている。また、実施例1の本体COM1には、プリンタUからの出力信号も入力される
【0043】
(本体COM1に接続された被制御要素)
プリント画像サーバCOMの本体COM1は、被制御要素である表示部の一例としてのディスプレイCOM4に制御信号を出力している。また、実施例1の本体COM1は、ケーブル等の回線を通じて電気的に接続されたプリンタUに信号を出力する。
【0044】
(プリント画像サーバCOMの本体COM1の機能)
C101:画像情報の受信手段
画像情報の受信手段C101は、外部のパーソナルコンピュータPCから送信された画像情報の一例として、ページ記述言語、いわゆる、PDL:Page Description Languageのデータを受信する。
C102:解釈手段
解釈手段C102は、受信したPDLのデータに基づいて、印刷対象の文字や画像についての位置、形状、色などを解釈する。
【0045】
C103:ラスタライズ手段
画像情報の取得手段の一例であり、画素画像の生成手段の一例としてのラスタライズ手段C103は、PDLのデータの解釈に基づいて、複数の画素で構成された画像情報であって、画素毎に濃度の情報を有する第1の画像情報の一例としてのラスターイメージを生成する。実施例1のラスタライズ手段C103は、R,G,Bの各色毎にラスターイメージを生成する。なお、実施例1では、ラスターイメージの画素が多値であり、一例として、8Bit/Pixel、すなわち、1画素当たり256階調のラスターイメージを生成する。
C104:色変換手段
色変換手段C104は、RGB色空間をプリンタUの現像装置Gy〜Goの色に対応したYMCKO色空間に変換して、RGB毎のラスターイメージを、YMCKO毎のラスターイメージに変換する。実施例1の色変換手段C104は、予め設定された色の対応情報に基づいてY〜O毎のラスターイメージに変換する。
【0046】
C105:総量規制手段
現像剤の総量の規制するための色変換手段の一例としての総量規制手段C105は、記録シートSに印刷される場合の1画素当たりのトナーの総量が規制されるように色を変換する。実施例1の総量規制手段C105は、色の再現性が変らないように予め設定された色の対応情報に基づいてラスターイメージの各画素の画素値を変換する。例えば、Y,M,Cが同一の画素値になる場合には、対応する画素値をY,M,Cでは減少させ、且つ、K色で増加させて、いわゆる、下色除去で総量を規制することが可能である。なお、総量の規制は従来公知の技術を適用であるため説明は省略する。
C106:ラスターイメージの調整手段
画素画像の調整手段の一例としてのラスターイメージの調整手段C106は、画素画像の調整の一例として、シャープネス補正、γ補正を行う。よって、Y〜Oの各色毎にラスターイメージの画素の画素値が調整される。
【0047】
図6は本発明の実施例1のラスターイメージの一例の説明図である。
図7は副走査方向の画素の画素値の一例の説明図である。
C107:エッジ検出手段
境界の検出手段の一例としてのエッジ検出手段C107は、副走査の検出手段C107Aを有する。前記エッジ検出手段C107は、濃度の異なる画像の境界を検出する。実施例1では、前記エッジ検出手段C107は、画像情報の一例としてのY〜O色の各ラスターイメージに対して、濃度情報の一例としての画素値に基づいて境界を検出する。すなわち、実施例1のエッジ検出手段C107は、複数の画素で構成される画素群について、濃度の異なる画素群の境界を検出する。
なお、エッジ検出手段C107や、下記の手段C108〜C124、C130A〜C130Cでは各色Y〜O毎に処理を行う。よって、手段C107〜C124、C108〜C124では、Y色についてのみ説明し、M,C,K,Oの各色についての説明を省略する。
【0048】
C107A:副走査の検出手段
副走査方向の境界の検出手段の一例としての副走査の検出手段C107Aは、ラスターイメージ上で、現像ロールR0の回転方向に対応する副走査方向について、異なる濃度の画素群の境界の画素を検出する。前記検出手段C107Aは、副走査方向に並ぶ一列の画素において、予め設定された画素数内で予め設定された濃度以上変化するか否かに基づいて、境界の画素の一例としての副走査エッジaを検出する。実施例1では、予め設定された画素数の一例として2画素が設定されている。また、予め設定された濃度の一例として画素値の閾値Z0が設定されている。具体的には、
図6、
図7において、副走査の検出手段C107Aは、副走査方向に並ぶ一列の画素の一例としての副走査の画素列A毎に処理を行う。
【0049】
すなわち、前記検出手段C107Aは、副走査の画素列Aにおいて、画素A1を選択する。そして、検出手段C107Aは、画素A1の副走査方向の下流側に隣接する画素A2の画素値vから、画素A1の画素値vを引いた差分Δvを演算する。そして、前記検出手段C107Aは、前記差分Δvの大きさ|Δv|が予め設定された閾値Z0以上か否かを判別する。そして、前記検出手段C107Aは、前記差分|Δv|が予め設定された閾値Z0以上である場合には、下流側の画素A2を副走査エッジaとして検出する。前記検出手段C107Aは、副走査の画素列Aの全ての画素について検出が終了すると、主走査方向に1画素ずれた副走査の画素列Aに対して検出を行う。同様にして、前記検出手段C107Aは、全ての副走査の画素列Aに対して、副走査エッジaを検出する。なお、実施例1の前記閾値Z0は、非画像部と画像部の境界が検出可能な値に設定されている。実施例1では、前記閾値Z0は、プリンタUで再現するのが難しい網点面積率と、再現可能な最小の網点面積率との差に基づいて予め設定されている。
【0050】
C108:後方エッジの特定手段
低濃度の画素から高濃度の画素に変化する副走査方向の境界の画素を検出する手段の一例であり、第1の境界を検出する手段の一例としての後方エッジの特定手段C108は、ラスターイメージに基づいて副走査方向について、予め設定された濃度以下の低濃度の画素から、前記低濃度に比べて高濃度の画素に変化する副走査方向の境界の画素を特定する。実施例1の特定手段C108では、低濃度の画素の一例としての非画像部に対応する画素から、高濃度の画素の一例としての画像部に対応する画素に変化する部分の副走査エッジaを、後方エッジa1として特定する。具体的には、
図7において、実施例1の特定手段C108は、副走査エッジaが検出された場合に、副走査エッジaの上流に隣接する画素の画素値vを取得する。そして、前記特定手段C108は、前記副走査エッジaの上流の画素値vが、予め設定された閾値Z1未満か否かを判別する。前記特定手段C108は、前記副走査エッジaの上流の画素値vが閾値Z1未満の場合に、検出された副走査エッジaを後方エッジa1として特定する。なお、前記閾値Z1は、プリンタUで再現するのが難しい網点面積率となる画素値に対応して予め設定されている。なお、実施例1のラスターイメージ上の副走査方向は、感光体ドラムPyの回転方向にも対応している。よって、プリンタUで後方エッジa1の部分が記録シートSに記録された場合、記録シートS上でもシート搬送方向に対して後方側に対応する。
【0051】
C109:後方用の画素数の計数手段
副走査方向の後方用の画像幅の計数手段の一例としての後方用の画素数の計数手段C109は、後方エッジa1を基準とした副走査方向の下流側の画像部の画素の画素数nを計測する。
図6、
図7において、実施例1の後方用の画素数の計数手段C109は、後方エッジa1が特定された場合に、後方エッジa1の下流側に連続して画素値vがZ1以上の画素数nを計測する。
【0052】
図8は本発明の実施例1の後方補正の設定値の説明図であり、
図8Aは後方エッジの画素値と下限の対象画素数の関係の一例を示す図、
図8Bは後方エッジの画素値と後方エッジの補正値との関係の一例を示す図、
図8Cは後方エッジからの画素数と補正値との関係の一例を示す図である。
C110:後方用の設定の記憶手段
対応情報の記憶手段の一例であって、副走査方向の後方用の補正の設定値の記憶手段の一例としての後方用の設定の記憶手段C110は、後方エッジa1を基準にして濃度を補正する場合の補正の設定値N1,N2,V1kを記憶する。前記後方用の設定の記憶手段C110は、後方エッジa1から副走査方向の下流側の予め設定された補正する画素数の一例としての対象画素数N2を記憶する。また、前記後方用の設定の記憶手段C110は、前記対象画素数N2の範囲の上流部には濃度が濃くなる補正量の一例としての正となる補正値V1i(>0)が対応付けられ且つ対象画素数N2の範囲の下流部には濃度が薄くなる補正量の一例としての負となる補正値V1i(<0)が対応付けられた対応情報を記憶する。さらに、実施例1の後方用の設定の記憶手段C110は、補正する下限の対象画素数N1も記憶する。
【0053】
実施例1の後方用の設定の記憶手段C110は、対応情報の一例としての関数f,gにより補正の設定値N1,N2,V1iを記憶する。
図8Aにおいて、前記記憶手段C110は、後方エッジa1の画素値vと、下限の対象画素数N1の対応関係をN1=f(v)となる関数として記憶する。実施例1の関数fでは、画素値vが小さい場合や大きい場合には、下限の対象画素数N1が小さく設定される。すなわち、
図8Aに示す実施例1の関数fでは、予め設定された画素値va,vb,vc(0<va<vb<vc)に対して、画素値vがva未満の場合には、vが増加するのに応じて下限の数N1も増加する。そして、画素値vがvaからvbまでは、vが変化しても下限の数N1が一定となる。そして、画素値vがvbからvcまでは、vが増加するに連れて下限の数N1が減少する。そして、画素値vがvc以上の場合、vが変化しても下限の数N1は0より大きい一定値となる。すなわち、実施例1では、下限の対象画素数N1は、後方エッジa1の濃度が薄過ぎる場合や濃すぎる場合には、濃度が中間の場合に比べて小さくなるように設定されている。
【0054】
また、
図8B、
図8Cにおいて、前記記憶手段C110は、補正値V1iと、後方エッジa1の画素値vと、後方エッジa1から副走査方向に離れる画素数iとの対応関係を、V1i=g(v,i)となる関数gとして記憶する。実施例1の関数gについて、まず、画素値vと、i=0の場合である後方エッジa1の補正値V10との関係を説明する。
図8Bに示す実施例1の関数gでは、予め設定された画素値vd,ve(0<vd<ve)に対して、後方エッジa1の画素値vが0に近い場合には、後方エッジa1の補正値V10は0になる。そして、画素値vが0からvdになるまでは、vが増加するにつれて補正値V10は増加する。そして、画素値vがvdからveまでは、vが増加するにつれて補正値V10は減少する。そして、画素値vがve以上では、補正値V10は0より大きい一定値となる。すなわち、実施例1の後方エッジa1の補正値V10は、後方エッジa1の濃度が薄過ぎる場合や濃すぎる場合には、濃度が中間の場合に比べて小さくなるように設定されている。また、後方エッジa1の補正値V10は0以上である。
【0055】
次に、関数gについて、後方エッジa1から数i離れる画素と、i離れた画素の補正値V1iとの関係を説明する。
図8Cに示す実施例1の関数gでは、予め設定された画素数ia,ib(0<ia<ib)に対して、後方エッジa1から副走査方向にi離れるに連れて、補正値V1iは0に向かって減少する。そして、iがiaの場合に補正値V1iが0になる。そして、iがiaより大きくなると、補正値V1iは負となり、iがibになるまで補正値V1iは減少する。そして、iがibで最小値となり、ibよりも大きくなると補正値V1iは増加する。そして、iが対象画素数N2よりも大きくなると、補正値V1iは一定の0になる。前記関数gは、予め測定、設定されている。なお、
図8Cにおいて、正の補正値V1i(>0)と、負の補正値V1i(<0)とが切り替わるiaは、現像剤中のキャリア抵抗やプリンタ本体の構成などの測定に応じて予め設定される。
【0056】
C111:後方用のディフェクトの判別手段
後方エッジa1を基準とした下流側に現像不良が生じるか否かを判別する手段の一例であり、副走査方向の後方用の現像不良領域の判別手段の一例としての後方用のディフェクトの判別手段C111は、後方エッジa1を基準とした副走査方向の下流側の予め設定された個数の画素について現像不良が生じるか否かを判別する。前記判別手段C111は、後方エッジa1を基準とした前記画素数nに基づいて、後方エッジa1の副走査方向の下流側が現像不良領域の一例としてのディフェクト領域D1であるか否かを判別する。すなわち、判別手段C111は、後方エッジa1の下流側を補正するか否かを判別する。実施例1の判別手段C111は、後方エッジa1毎に処理を行う。すなわち、
図7において、前記判別手段C111は、後方エッジa1の画素値vを取得する。
【0057】
そして、前記判別手段C111は、関数fに基づいて、前記後方エッジa1の画素値vに対応する下限の対象画素数N1を取得する。そして、前記判別手段C111は、前記後方エッジa1からの画素数nがN1以上か否かを判別する。そして、前記判別手段C111は、前記後方エッジa1からの画素数nがN1以上の場合に、前記後方エッジa1の副走査方向の下流側をディフェクト領域と判別する。すなわち、判別手段C111は、前記後方エッジa1から副走査方向の下流側の画素を補正すると判別する。よって、実施例1では、前記判別手段C111でディフェクト領域D1と判別された場合、後方エッジa1の上流側に隣接する画素は非画像部に対応する画素である。また、上流側に隣接する画素
と後方エッジa1の画素の画素値の差分はZ0以上である。さらに、後方エッジa1を基準とした画素数nがN1以上となっている。
【0058】
C112:後方用の補正値の取得手段
第1の補正量の取得手段の一例であり、副走査方向の後方用の補正値の設定手段の一例としての後方用の補正値の取得手段C112は、ディフェクト領域D1の画素の補正値V1iを取得する。実施例1の後方用の補正値の取得手段C112は、後方エッジa1毎に処理を行う。すなわち、前記取得手段C112は、ディフェクト領域D1と判別された後方エッジa1毎に、後方エッジa1の画素値vと、後方エッジa1から離れる画素数i(i=0,1,2,…,N1)とに基づいて、ディフェクト領域D1の画素の補正値V1iを取得する。すなわち、補正値V1iを、V1i=g(v,i)に基づいて取得する。
【0059】
C113:中エッジの特定手段
高濃度の画素から低濃度の画素に変化する副走査方向の境界の画素を検出する手段の一例であり、第1の境界を検出する手段の一例としての中エッジの特定手段C113は、ラスターイメージに基づいて、予め設定された副走査方向について、高濃度の画素から、前記高濃度の画素に比べて濃度が低い低濃度の画素に変化する副走査方向の境界の画素を特定する。実施例1の特定手段C113では、低濃度の画素の一例としての画素値がZ1以上の中間調部が設定されている。すなわち、前記特定手段C113では、副走査方向に濃度が減少して中間調部に変化する副走査エッジaを、中エッジa2として特定する。具体的には、
図7において、実施例1の特定手段C113は、副走査エッジaが検出された場合において、副走査エッジaから上流側に隣接する画素の画素値を引いた差分Δvが、予め設定された閾値Z2(Z2<0)未満か否かを判別する。そして、前記特定手段C113は、前記差分Δvが閾値Z2未満の場合には、副走査エッジaの画素値vを取得する。そして、前記特定手段C113は、前記副走査エッジaの画素値vが、予め設定された閾値Z1(Z1>0)以上か否かを判別する。前記特定手段C113は、前記副走査エッジaの画素値vが閾値Z1以上の場合に、副走査エッジaを中エッジa2として特定する。なお、前記閾値Z2は、現像不良が生じる濃度差に基づいて予め設定されている。
【0060】
C114:中用の画素数の計数手段
副走査方向の中用の画像幅の計数手段の一例としての中用の画素数の計数手段C114は、高濃度の画素数の計数手段C114Aと、低濃度の画素数の計数手段C114Bと、を有する。中用の画素数の計数手段C114は、中エッジa2を境界とする両側の副走査方向の画素の画素数nL,nHを計測する。
C114A:高濃度の画素数の計数手段
高濃度の画素数の計数手段C114Aは、中エッジa2を境界とする高濃度側の画素数nHを数える。
図7において、実施例1の高濃度の画素数の計数手段C114Aは、前記中エッジa2毎に画素数nHを数える。すなわち、前記計数手段C114Aは、副走査方向の上流側で且つ中エッジa2に最も近い副走査エッジaを検出する。そして、前記計数手段C114Aは、中エッジa2と前記副走査エッジaとに挟まれる画素の数に1加算して、画素数nHを計測する。
C114B:低濃度の画素数の計数手段
低濃度の画素数の計数手段C114Bは、中エッジa2を境界とする低濃度側の画素数nLを数える。
図7において、実施例1の低濃度の画素数の計数手段C114Bは、前記中エッジa2毎に画素数nLを数える。すなわち、前記計数手段C114Bは、副走査方向の下流側で且つ中エッジa2に最も近い副走査エッジaを検出する。そして、前記計数手段C114Bは、中エッジa2と前記副走査エッジaとに挟まれる画素の数に1加算して、画素数nLを計測する。
【0061】
図9は本発明の実施例1の中用の補正の設定値の説明図であり、
図9Aは中エッジの画素値と対象画素数の関係の一例を示す図、
図9Bは中エッジの画素値と中エッジの補正値との関係の一例を示す図、
図9Cは中エッジからの画素数と補正値との関係の一例を示す図である。
C115:中用の設定の記憶手段
対応情報の記憶手段の一例であって、副走査方向の中用の補正の設定値の記憶手段の一例としての中用の設定の記憶手段C115は、中エッジa2を基準にして濃度を補正する場合の補正の設定値N3,V2iを記憶する。前記中用の設定の記憶手段C115は、中エッジa2から副走査方向の下流側の予め設定された補正する範囲の一例としての対象画素数N3を記憶する。また、前記中用の設定の記憶手段C115は、前記対象画素数N3の範囲の画素を補正する補正量の一例としての補正値V20の対応情報を記憶する。
【0062】
実施例1の中用の設定の記憶手段C115は、対応情報の一例としての関数s,tにより補正の設定値N3,V2iを記憶する。
図9Aにおいて、前記記憶手段C115は、中エッジa2の画素値vLおよび高濃度の画素値vHと、上限の対象画素数N3の対応関係をN3=s(vL,vH)となる関数として記憶する。
図9Aに示す実施例1の関数sでは、例えば、濃度25%に対応するvL=63の場合、vHが0〜127では画素数N3が0となる。また、画素値vHが128〜178では、vが増加するに連れて画素数N3が増加する。そして、画素値vHが179〜255では、vHが変化しても画素数N3が一定となる。すなわち、高濃度側の画素値vHが大きいほど、差分|Δv|=vH−vLが大きくなる。よって、画素値vHが小さい場合に比べて大きい方が、実施例1では、対象画素数N3は大きく設定され易くなっている。なお、関数sは予め測定、設定される。
【0063】
また、
図9Bにおいて、前記記憶手段C115は、中エッジa2の補正値V20と、中エッジa2の画素値vLと、高濃度側の画素値vHと、の対応関係を、V20=t(vL,vH)となる関数tとして記憶する。例えば、vL=63の場合、
図9Bに示す実施例1の関数Iでは、高濃度側の画素値vHが0〜127では、中エッジa2の補正値V20は0になる。そして、画素値vHが127〜255では、vが増加するに連れて補正値V20が増加する。すなわち、高濃度側の画素値vHが大きいほど、差分|Δv|=vH−vLが大きくなる。よって、画素値vHが小さい場合に比べて大きい方が、実施例1では、補正値V20は大きく設定され易くなっている。なお、関数tは予め測定、設定される。
【0064】
C116:中用のディフェクトの判別手段
中エッジa2を基準とした下流側に現像不良が生じるか否かを判別する手段の一例であり、副走査方向の中用の現像不良領域の判別手段の一例としての中用のディフェクトの判別手段C116は、中エッジa2を基準とした副走査方向の下流側の予め設定された個数の画素について現像不良が生じるか否かを判別する。前記判別手段C116は、中エッジa2を基準とした副走査方向の上流側の高濃度の画素の数nHに基づいて、中エッジa2の副走査方向の下流側が現像不良領域の一例としてのディフェクト領域D2であるか否かを判別する。すなわち、判別手段C116は、中エッジa2の下流側を補正するか否かを判別する。実施例1の判別手段C116は、中エッジa2毎に処理を行う。すなわち、前記判別手段C116は、中エッジa2からの高濃度側の画素数nHが、予め設定された画素数N4以上か否かを判別する。そして、前記判別手段C116は、前記中エッジa2からの画素数nHがN4以上の場合に、前記中エッジa1の副走査方向の下流側をディフェクト領域と判別する。すなわち、判別手段C116は、前記中エッジa2から副走査方向の下流側の画素を補正すると判別する。
【0065】
よって、実施例1では、前記判別手段C116でディフェクト領域D2と判別された場合、中エッジa2を基準とした下流側の画素は中間調部の画素である。また、中エッジa2は、副走査方向に濃度が減少して中間調部になる境界の画素である。さらに、中エッジa2の上流側に隣接する画素は中間調部に比べて画素値が|Z2|以上である。さらに、中エッジa2を境界とした高濃度側の画素数nHはN4以上である。
【0066】
C117:中用の補正画素数の決定手段
中用の補正画素数の決定手段C117は、中エッジa2の副走査方向の下流側の画素について、補正する画素数nL′を決定する。実施例1の決定手段C117は、中エッジa2毎に処理を行う。すなわち、前記決定手段C117は、中エッジa2の下流側がディフェクト領域D2と判定された場合に、中エッジa2の画素値vLと、高濃度側の画素値vHを取得する。そして、前記決定手段C117は、関数sに基づいて、画素値vL,vHに対応する対象画素数N3を取得する。そして、前記決定手段C117は、中エッジa2からの低濃度側の画素数nLがN3以上か否かを判別する。そして、前記決定手段C117は、中エッジa2からの画素数nLがN3以上の場合に、補正する画素数nL′をnL′=N3とする。また、前記決定手段C117は、中エッジa2からの画素数nLがN3未満の場合には、補正する画素数nL′をnL′=nLとする。
【0067】
C118:中用の補正値の取得手段
副走査方向の中用の補正値の設定手段の一例としての中用の補正値の取得手段C118は、ディフェクト領域の画素の補正値V2iを取得する。実施例1の中用の補正値の取得手段C118は、中エッジa2毎に処理を行う。すなわち、前記取得手段C118は、ディフェクト領域D2と判別された中エッジa2毎に、中エッジa2の画素値vLと、高濃度側の画素値vHと、中エッジa1から離れる画素数i(i=0,1,2,…,nL′)とに基づいて、ディフェクト領域D2の画素に対する補正値V2iを取得する。具体的には、
図9Cにおいて、補正値V2iが、中エッジa2ではV20となり且つ中エッジa2からnL′離れた画素では0となる一次式に基づいて補正値V2iを取得する。すなわち、実施例1の取得手段C118は、補正値V2iを、下記の式(1)に基づいて取得する。
V2i=−(V20/nL′)×i+V20 …式(1)
【0068】
図10は本発明の実施例1の主走査方向の端部の説明図であり、
図10Aは注目画素と周辺画素の設定の説明図、
図10Bは処理対象の画像情報の一例の説明図、
図10Cは
図10Bとは異なる処理対象の画像情報の一例の説明図である。
C119:端部近傍の判別手段
現像不良領域の主走査方向の端からの近さを検出する手段の一例としての端部近傍の判別手段C119は、主走査端の検出手段C119Aと、主走査数の計数手段C119Bと、近傍の判別手段C119Cと、を有する。前記端部近傍の判別手段C119は、中エッジa2が、ディフェクト領域D2の主走査方向の端部近傍にあるか否かを判別する。
【0069】
C119A:主走査端の検出手段
現像不良領域の主走査方向の端を検出する手段の一例としての主走査端の検出手段C119Aは、現像不良が生じると判別された前記中エッジa2が、主走査方向に並んでいる場合に、主走査方向に並んだ中エッジa2の中で主走査方向の端の画素を検出する。実施例1では、複数の中エッジa2で構成されたディフェクト領域D2の主走査方向の端を検出する。実施例1の検出手段C119Aは、中エッジa2を注目画素P1とした場合に、注目画素P1に対して予め設定された周辺画素P2〜P4,P5〜P7に、別の中エッジa2があるか否かを判別する。これを繰り返して、前記検出手段C119Aは、ディフェクト領域D2の主走査方向の端を検出する。
【0070】
図10Aにおいて、実施例1では、P1の主走査方向に並ぶ画素の一例であり、主走査方向の下流側の周辺画素の一例として、注目画素P1の主走査方向の下流側に隣接する画素P2と、P2の副走査方向の上流側に隣接する画素P3と、P2の副走査方向の下流側に隣接する画素P4と、の3画素が設定されている。また、実施例1では、主走査方向の上流側の周辺画素の一例として、P1の主走査方向の上流側に隣接する画素P5と、P5の副走査方向の上流側に隣接する画素P6と、P5の副走査方向の下流側に隣接する画素P7と、の3画素が設定されている。これにより、実施例1の検出手段C119Aはディフェクト領域D2の主走査方向の端を検出する。なお、実施例1では、主走査方向に並ぶ画素とは、主走査方向に隣接する画素P2,P5に加え、前記主走査方向に隣接する画素P2,P5に対して副走査方向の予め設定された個数の画素P3,P4、P6,P7に対しても用いる。
【0071】
具体的には、
図10B、
図10Cにおいて、実施例1では、検出手段C119Aは、近傍の判別対象の中エッジa2を選択する。そして、前記検出手段C119Aは、判別対象の中エッジa2を注目画素P1とする。そして、前記検出手段C119Aは、P1の周辺画素P2が、中エッジa2か否かを判別する。P2が中エッジa2でない場合には、P1の周辺画素P3が中エッジa2か否かを判別する。P3が中エッジa2でない場合には、P1の周辺画素P4が中エッジa2か否かを判別する。この際に、周辺画素P2,P3,P4で中エッジa2が検出された場合には、検出された中エッジa2を新たな注目画素P1とする。すなわち、調べる対象を主走査方向の下流側にずらす。
【0072】
そして、前記検出手段C119Aは、新たな注目画素P1の周辺画素P2〜P4に対して、同様の判別を繰り返す。そして、周辺画素P2〜P4に中エッジa2が検出されなかった場合には、前記検出手段C119Aは、近傍の判別対象の中エッジa2が属するディフェクト領域について、主走査方向の下流端の画素a2′が検出されたと判別する。すなわち、最後に検出された画素a2を端の画素a2′として検出する。そして、主走査方向の下流端が検出されたと判別された場合には、前記検出手段C119Aは、もう一度、近傍の判別対象の中エッジa2を注目画素P1にする。そして、前記検出手段C119Aは、P1の上流側の周辺画素P5〜P7に対して、下流側の周辺画素P2〜P4と同様の処理を繰り返す。そして、主走査方向の上流端の画素a2′を検出する。
【0073】
C119B:主走査数の計数手段
主走査数の計数手段C119Bは、近傍の判別対象の中エッジa2から、ディフェクト領域D2の主走査方向の端までの画素数mを計測する。実施例1の主走査数の計数手段C119Bは、下流側の周辺画素P2〜P4に中エッジa2があると判別された回数を数えて、下流端までの画素数mを計数する。また、前記計数手段C119Bは、周辺画素P2〜P4に中エッジa2がないと判別された場合には画素数mを0に初期化する。そして、前記計数手段C119Bは、上流側の周辺画素P5〜P7に中エッジa2があると判別された回数を数えて、上流端までの画素数mを計数する。
【0074】
C119C:近傍の判別手段
現像不良領域の主走査方向の端への近さを判別する手段の一例としての近傍の判別手段C119Cは、主走査方向に並んだ中エッジa2と、前記主走査方向の端の画素a2′と、の距離が予め設定された画素数M1内にあるか否かを判別することで、各中エッジa2と端の画素a2′が近いか否かを判別する。実施例1では、判別手段C119Cは中エッジa2毎に判別する。すなわち、前記判別手段C119Cは、前記主走査数の計数手段C119Bが数えた画素数mが、予め設定された数M1以下であるか否かを判別する。そして、前記判別手段C119Cは、画素数mが数M1以下の場合には、近傍の判別対象の中エッジa2は主走査方向の端の画素a2′に近いと判別する。前記判別手段C119Cは、画素数mがM1より大きい場合には、近傍の判別対象の中エッジa2は主走査方向の端の画素a2′から遠いと判別する。
【0075】
図11は本発明の中用の補正値の変更補正の一例を示す図であり、
図11Aは本発明の実施例1の説明図、
図11Bは実施例1に対する変更例の説明図、
図11Cは実施例1に対する
図11Bとは異なる変更例の説明図、
図11Dは実施例1に対する
図11A,
図11Bとは異なる変更例の説明図である。
C120:中用の変更設定の記憶手段
対応情報の記憶手段の一例であって、補正値の変更用の設定値の記憶手段の一例としての中用の変更設定の記憶手段C120は、中エッジa2の補正値V2iの変更用の設定値αmを記憶する。前記中用の変更設定の記憶手段C120は、中エッジa2が、ディフェクト領域D2の主走査方向の端部に近い場合に、前記中エッジa2のディフェクト領域D2の画素の補正値を変更する係数αmを記憶する。
図11Aにおいて、前記記憶手段C120では、中エッジa2が端の画素a2′から離れる画素数mに対して、m>M1の場合には、1に設定されている。また、前記画素数mが、m≦M1の場合には、m=M1では1となり且つm=0では0となる一次式に基づいて設定されている。すなわち、実施例1の取得手段C118には、下記の式(2)に基づく計数αmが記憶されている。
αm=(m/M1) …式(2)
【0076】
なお、係数αmは一次式の構成に限定されない。
図11において、端の画素a2′に近いと判別された中エッジa2について、濃度を濃くするための補正量を、遠いと判別された中エッジa2に対する補正量よりも、大きさを小さくする任意の係数αmが可能である。よって、例えば、
図11Bに示すようにαm=(m/M1)
2などにして非線形の係数αmの構成が可能である。また、
図11Cの値となるように、αm毎に対応情報としてのルックアップテーブルとして記憶する構成が可能である。さらに、m<M1の場合にはαm=0、すなわち、補正をしない構成とさせることが可能である。なお、m<M1の場合にαm=0とする構成では、中用の変更設定の記憶手段C120は省略可能である。
【0077】
C121:中用の補正値の変更手段
第1の補正量の取得手段の一例であり、副走査方向の中用の補正値の再設定手段の一例としての中用の補正値の変更手段C121は、端の画素a2′に近いと判別された中エッジa2について、濃度を濃くするための補正量V2iを、遠いと判別された中エッジa2に対する補正量V2iよりも、大きさを小さくする。実施例1では、端の画素a2′に近いと判別された中エッジa2毎に、中エッジa2のディフェクト領域D2の画素の補正値V2iを変更する。実施例1では、中用の補正値の変更手段C121は、中用の変更設定の記憶手段C120の記憶情報に基づいて処理を行う。実施例1では、中エッジa2が主走査の端の画素a2′から遠いと判別された場合には、前記中エッジa2のディフェクト領域の補正値V2iは変更しない。そして、前記変更手段C121は、中エッジa2が主走査の境界に近いと判別された場合に、
図11Aに示すように、前記中エッジa2のディフェクト領域D2の各画素の補正値V2iを、(m/M1)倍して、新たな補正値V2iに変更する。
【0078】
図12は本発明の実施例1の乱数の生成についての説明図であり、
図12Aは乱数の生成についての説明図、
図12Bは乱数と乱数補正値の説明図である。
C122:乱数の生成手段
乱数の生成手段C122は乱数を生成する。実施例1の乱数の生成手段C122は、20bit原始多項式X
20+X
3+1に基づくM系列乱数に基づいて乱数を生成する。
乱数は予め設定された初期値に基づいて適当な処理を繰り返すことにより生成される。ここで、X
20+X
3+1に基づく乱数を、生成回路の図、いわゆる、LFSRに基づいて説明する。
図12Aにおいて、まず、2進数の初期値がBit0〜Bit19の各位に設定される。そして、次の乱数を生成する場合に、生成前の各位の値は矢印の先に移動する処理が行われる。また、○に+の記号部分ではXOR処理が行われる。なお、XOR処理は、一方のみが「1」の場合に「1」となる演算である。
【0079】
よって、例えば、Bit2とBit18が「1」で、残りが「0」の値を初期値とすると、
図12Aでは、次の値が生成される場合に、Bit3以外は、全て矢印元の値になる。また、Bit3では、Bit19の「0」とBit2の「1」がXOR処理されて値「1」になる。したがって、次の値は、Bit19とBit3が「1」で且つ残りのBitが「0」となる値になる。同様に、生成された値を元にして、繰り返し、次の値が生成される。ここで、例えば、Bit4〜Bit0に基づいて、その最上位bitを符号化に利用して「0」が正、「1」が負を表すとして10進数にすると、順に、4,8,−7,−14,…になり、不規則性のある値が生成可能である。これにより、実施例1の乱数の生成手段C122は乱数を生成する。実施例1の生成手段C122は、補正する画素毎に、乱数を生成する。また、実施例1の生成手段C122は、色Y〜O毎に異なる乱数が生じるように予め設定されている。実施例1では、Y〜O毎に異なる初期値が設定される。なお、乱数の生成は、上記構成に限定されず、従来公知の任意の構成が適用可能である。
【0080】
C123:乱数補正値の取得手段
第1の補正量の取得手段の一例であり、乱数補正量の取得手段の一例としての乱数補正値の取得手段C123は、生成された乱数に基づいて、乱数補正値V3iを取得する。実施例1では、乱数補正値の取得手段C123は、補正する画素毎に、乱数補正値V3iを取得する。
図12Bにおいて、実施例1の乱数補正値の取得手段C123では、一例として、画素値vが0〜63の場合は、重畳bit数を2bitとして、−2〜1の乱数補正値V3iを取得する。また、画素値vが64〜127の場合は、重畳bit数を3bitとして、−4〜3の乱数補正値V3iを取得する。さらに、画素値vが128〜191の場合は、重畳bit数を4bitとして、−8〜7の乱数補正値V3iを取得する。また、画素値vが192〜255の場合は、重畳bit数を5bitとして、−16〜15の乱数補正値V3iを取得する。
なお、乱数補正値の取得手段C123が取得する乱数補正値V3iは、上述の構成に限定されない。例えば、乱数補正値v3iを取得する場合に、乱数から選択するbit数は任意に選択可能である。また、画素値vに応じて重畳bit数を変更する構成を例示したが、固定する構成も可能である。さらに、最上位bitを正負の符号に割り当てない構成も可能である。
【0081】
C124:補正手段
第1の補正手段の一例としての補正手段C124は、現像不良に基づく画像不良が発生しないように画素の濃度を補正する。前記補正手段C124は、ディフェクト領域D1,D2の補正値V1i,V2iが取得された画素毎に、画素値viに対して、補正値V1i,V2iと、乱数補正値V3とを加算して、新たな画素値viに更新する。すなわち、vi=vi+V1i+V3i,vi+V2i+V3iとする。よって、補正される前の補正値vi、すなわち、補正前のラスターイメージは消去された状態となる。なお、以後の説明において、補正された補正値v、viを明示する場合については「′」をつけて、補正値v′、vi′として表す。
C125:補正済の記憶手段
第1の補正手段が補正した後の画像情報を記憶する手段の一例としての補正済の記憶手段C125は、第2の画像情報の一例として、ディフェクト領域D1,D2の画素値viが補正されたディフェクトの補正済みの画像情報を記憶する。すなわち、実施例1では、Y,M,C,K,Oの各色毎に補正済みの画素値v′に基づくラスターイメージが記憶される。
【0082】
C126:プレビュー判別手段
画像記録前の画像表示の判別手段の一例としてのプレビュー判別手段C126は、画像記録前の画像表示の一例としてのプレビュー表示を行うか否かを判別する。実施例1では、入力装置COM2,COM3により、プレビューを行う予め設定された入力があるか否かを判別する。そして、前記判別手段C126は、プレビューを行う入力があった場合にプレビューを行うと判別する。
C127:印刷開始の判別手段
画像記録の開始の判別手段の一例としての印刷開始の判別手段C127は、補正データに基づいて印刷を行うか否かを判別する。実施例1では、入力装置COM2,COM3により、印刷開始を行う予め設定された入力があるか否かを判別する。そして、印刷開始を行う予め設定された入力があった場合に印刷開始を行うと判別する。
C128:階調補正手段
階調補正手段C128は、補正済みの画像情報に基づいて画像の階調の補正処理を行う。実施例1の階調補正手段C128は、作業者の一例としてのユーザが調整する濃度調整や、明るさ調整、経時変化の校正用のキャリブレーションなどの階調補正を行う。
C129:送信手段
送信手段C129は、第2の画像情報の一例として、階調補正が終了した画像情報を、プリンタサーバCOMからプリンタUに送信する。すなわち、送信手段C129は、補正済の記憶手段C125から取得された画像情報に基づく画像情報が送信する。
【0083】
C130:プレビューの処理手段
画像記録前の表示用の処理手段の一例としてのプレビューの処理手段C130は、画像情報の取得手段C130Aと、逆用の補正値の取得手段C130Bと、逆補正手段C130Cと、プレビュー表示手段C130Dとを有する。前記プレビューの処理手段C130は、印刷前にユーザが画像の確認をするために、ディスプレイCOM4にプレビュー表示を行う。
C130A:画像情報の取得手段
画像情報の取得手段C130Aは、補正済の記憶手段C125に記憶された画像データを取得する。すなわち、補正値V1i,V2i,V3iが加算されて補正済みの画素値v′を取得する。
C130B:逆用の補正値の取得手段
逆用の補正値の取得手段C130Bは、画像情報の取得手段C130Aが取得した補正済みの画像データを、前記手段C107〜C123に処理させて、補正値V1i,V2iや、乱数補正値V3iを取得する。すなわち、実施例1では、エッジ検出手段C107を、第1の境界の検出手段に加えて、第2の境界の検出手段としても機能させる。また、実施例1では、後方用の補正値の取得手段C112や中用の補正値の取得手段C118、中用の補正値の変更手段C121、乱数補正値の取得手段C123を、第1の補正量の取得手段に加えて、第2の補正量の取得手段としても機能させる。なお、以後の説明において、逆用の補正値の取得手段C130Bで取得された補正値V1i,V2i,V3iを明示する場合については「′」をつけて、補正値V1i′,V2i′,V3i′として表す。
【0084】
C130C:逆補正手段
第2の補正手段の一例としての逆補正手段C130Cは、前記第2の画像情報の画素の濃度に基づいて、前記第1の補正手段がした補正を打ち消すための逆補正をする。実施例1の逆補正手段C130Cは、打ち消すための逆補正の一例として、逆補正用の補正値V1i′,V2i′が取得された画素毎に、画素値vi′から、補正値V1i′,V2i′と、乱数補正値V3i′とを減算して、新たな画素値viにする。すなわち、vi=vi−V1i′−V3i′,vi−V2i′−V3i′とする。なお、以後の説明において、逆用の補正値の取得手段C130Bで取得された画素値v,viを明示する場合については「″」をつけて、v″,vi″として表す。
C130D:プレビュー表示手段
第3の画像情報の表示手段の一例であり、画像記録前の画像の表示手段の一例としてのプレビュー表示手段C130Dは、第3の画像情報の一例としての逆補正手段C130Cが逆補正した画素値vi″に基づいて、ディスプレイCOM4にプレビュー表示をする。なお、プレビュー表示手段C130Dの表示の際に、補正手段C124の補正前の画像情報は、補正手段C124が補正した際に既に消去されている。
【0085】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、実施例1のプリンタUの処理の流れを流れ図、いわゆるフローチャートを使用して説明する。
(メイン処理のフローチャートの説明)
図13は実施例1のメイン処理のフローチャートである。
図13のフローチャートの各ST:ステップの処理は、プリント画像サーバCOMの本体COM1のハードディスク等に記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理はプリンタUの他の各種処理と並行して並列処理で実行される。
図13に示すフローチャートはプリント画像サーバCOMの電源が投入された時に開始される。
【0086】
図13のST1において、パーソナルコンピュータPCからPDLデータを受信したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、PDLデータの解釈を行う。そして、ST3に進む。
ST3において、解釈されたデータに基づいてラスターイメージを作成する。そして、ST4に進む。
ST4において、色変換を行って色Y〜O毎のラスターイメージに変換する。そして、ST5に進む。
ST5において、トナーの総量が規制されるように色毎の画素値を変換する。そして、ST6に進む。
ST6において、シャープネス補正などを行い、ラスターイメージの画素の画素値を調整する。そして、ST7に進む。
ST7において、ディフェクトの補正処理を実行する。そして、ST8に進む。
ST8において、濃度調整を行う。そして、ST9に進む。
ST9において、プリンタUにデータ送信を行う。そして、ST1に戻る。
【0087】
(ディフェクトの補正処理のフローチャートの説明)
図14は実施例1のディフェクトの補正処理のフローチャートの説明図であり、
図13のST7のサブルーチンの説明図である。
図14のST101において、エッジ検出処理を実行する。そして、ST102に進む。
ST102において、後方の補正値の取得処理を実行する。そして、ST103に進む。
ST103において、中用の補正値の取得処理を実行する。そして、ST104に進む。
ST104において、主走査端の変更処理を実行する。そして、ST105に進む。
ST105において、補正値の加算処理を実行する。そして、ST106に進む。
ST106において、補正値の加算処理が行われた画像情報を記憶する。そして、ST107に進む。
【0088】
ST107において、プレビューを行うための入力があったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST109に進み、ノー(N)の場合はST108に進む。
ST108において、印刷開始の入力があったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はディフェクトの補正処理を終了して、
図13に示すメイン処理に戻り、ノー(N)の場合はST107に戻る。
ST109において、逆補正処理を実行する。そして、ST110に進む。
ST110において、逆補正された画像情報に基づいてプレビュー表示を行う。そして、ST111に進む。
ST111において、印刷開始の入力があったか否かを判別する。イエス(Y)の場合はディフェクトの補正処理を終了して、
図13に示すメイン処理に戻り、ノー(N)の場合はST111を繰り返す。
【0089】
(エッジ検出処理のフローチャートの説明)
図15は実施例1のエッジ検出処理のフローチャートの説明図であり、
図14のST101や、
図21のST702のサブルーチンの説明図である。
図15のST201において、最初の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST202に進む。
ST202において、画素列A内の最初の画素を選択する。そして、ST203に進む。
ST203において、選択した画素A1の副走査方向の下流側に画素A2があるか否かを判別する。すなわち、選択した画素A1が、画素列Aの最後の画素でないか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST206に進み、ノー(N)の場合はST204に進む。
ST204において、副走査の画素列Aが全て選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合はエッジ検出処理を終了して呼び出し元に戻り、ノー(N)の場合はST205に進む。
【0090】
ST205において、次の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST202に戻る。
ST206において、下流側の画素A2の画素値から選択した画素A1の画素値を引いた差分Δvを演算する。そして、ST207に進む。
ST207において、差分の大きさ|Δv|が閾値Z0以上か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST208に進み、ノー(N)の場合はST214に進む。
ST208において、下流側の画素A2を副走査エッジaとして検出する。そして、ST209に進む。
ST209において、選択した画素の画素値vが閾値Z1より小さいか否かを判別する。すなわち、非画像部か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST210に進み、ノー(N)の場合はST211に進む。
【0091】
ST210において、副走査エッジaを後方エッジa1と特定する。そして、ST214に進む。
ST211において、差分Δvが閾値Z2(Z2<0)より小さいか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST212に進み、ノー(N)の場合はST214に進む。
ST212において、下流側の画素の画素値、すなわち、副走査エッジaの画素値が閾値Z1以上か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST213に進み、ノー(N)の場合はST214に進む。
ST213において、下流側の画素、すなわち、副走査エッジaを中エッジa2として特定する。そして、ST214に進む。
ST214において、下流の画素を選択する。そして、ST203に戻る。
【0092】
(後方の補正処理のフローチャートの説明)
図16は実施例1の後方の補正値の取得処理のフローチャートの説明図であり、
図14のST102や、
図21のST703のサブルーチンの説明図である。
図16のST301において、最初の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST302に進む。
ST302において、画素列A内に後方エッジa1があるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST303に進み、ノー(N)の場合はST314に進む。
ST303において、画素列A内の最初の後方エッジa1を選択する。そして、ST304に進む
【0093】
ST304において、後方エッジa1からの副走査方向に、画素値がZ1以上の連続する画素の画素数nを数える。そして、ST305に進む。
ST305において、後方エッジa1の画素値vと、関数fとに基づいて、下限の対象画素数N1を取得する。そして、ST306に進む。
ST306において、n≧N1であるか否かを判別する。すなわち、後方エッジa1から副走査方向の画像領域がディフェクト領域か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST307に進み、ノー(N)の場合はST312に進む。
ST307において、i=0とする。すなわち、iを初期化する。そして、ST308に進む。
【0094】
ST308において、後方エッジa1からのi番目の画素の補正値V1iを、関数g(v,i)に基づいて取得する。そして、ST309に進む。
ST309において、画素数iが対象画素数N2以上か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST312に進み、ノー(N)の場合はST310に進む。
ST310において、i≧nか否かを判別する。すなわち、i番目の画素が画像部の下流端部に到達したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST312に進み、ノー(N)の場合はST311に進む。
ST311において、i=i+1とする。すなわち、iに1加算する。そして、ST308に戻る。
【0095】
ST312において、画素列Aの全ての後方エッジa1が選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST314に進み、ノー(N)の場合はST313に進む。
ST313において、画素列Aの次の後方エッジa1を選択する。そして、ST304に戻る。
ST314において、副走査の画素列Aが全て選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合は後方の補正値の取得処理を終了して呼び出し元に戻り、ノー(N)の場合はST315に進む。
ST315において、次の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST302に戻る。
【0096】
(中用の補正値の取得処理のフローチャートの説明)
図17は実施例1の中用の補正値の取得処理のフローチャートの説明図であり、
図14のST103や、
図21のST704のサブルーチンの説明図である。
図17のST401において、最初の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST402に進む。
ST402において、画素列A内に中エッジa2があるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST403に進み、ノー(N)の場合はST417に進む。
ST403において、画素列Aの最初の中エッジa2を選択する。そして、ST404に進む。
【0097】
ST404において、中エッジa2を境界とする高濃度側の副走査方向の画素数nHを数える。そして、ST405に進む。
ST405において、中エッジa2を境界とする低濃度側の副走査方向の画素数nLを数える。そして、ST406に進む。
ST406において、高濃度側の画素数nHが、画素数N4以上か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST407に進み、ノー(N)の場合はST415に進む。
ST407において、中エッジa2の画素値vと、関数sとに基づいて、対象画素数N3を取得する。そして、ST408に進む。
【0098】
ST408において、nL≧N3であるか否かを判別する。すなわち、中エッジa2から副走査方向の画像領域の画素数が対象範囲を超えているか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST409に進み、ノー(N)の場合はST410に進む。
ST409において、nL′=N3とする。そして、ST411に進む。
ST410において、nL′=nLとする。そして、ST411に進む。
ST411において、i=0とする。すなわち、iを初期化する。そして、ST412に進む。
ST412において、中エッジa2からのi番目の画素の補正値V2iを、V20=t(nL,nH)と、nL′とに基づいて、V2i=−(V20/nL′)×i+V20として、取得する。そして、ST413に進む。
ST413において、i≧nL′か否かを判別する。すなわち、補正対象画素の全ての画素値が取得されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST415に進み、ノー(N)の場合はST414に進む。
【0099】
ST414において、i=i+1とする。すなわち、iに1加算する。そして、ST412に戻る。
ST415において、画素列Aの全ての中エッジa2が選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST417に進み、ノー(N)の場合はST416に進む。
ST416において、画素列Aの次の中エッジa2を選択する。そして、ST404に戻る。
ST417において、副走査の画素列Aが全て選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合は中用の補正値の取得処理を終了して呼び出し元に戻り、ノー(N)の場合はST418に進む。
ST418において、次の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST402に戻る。
【0100】
(主走査端の変更処理のフローチャートの説明)
図18は実施例1の主走査端の変更処理のフローチャートの説明図であり、
図14のST104や、
図21のST705のサブルーチンの説明図である。
図19は実施例1の主走査端の変更処理のフローチャートの説明図であり、
図18の続きの説明図である。
図18のST501において、最初の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST502に進む。
ST502において、画素列A内に中エッジa2があるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST503に進み、ノー(N)の場合は
図19に示すST530に進む。
ST503において、画素列Aの最初の中エッジa2を選択する。そして、ST504に進む。
【0101】
ST504において、選択した中エッジa2を判別対象の画素として、最初の注目画素P1とする。そして、ST505に進む。
ST505において、m=0とする。すなわち、主走査方向の移動回数mを初期化する。そして、ST506に進む。
ST506において、P1の周辺画素P2が中エッジa2か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST507に進み、ノー(N)の場合はST509に進む。
ST507において、P2の位置の画素を新たな注目画素P1とする。そして、ST508に進む。
ST508において、m=m+1とする。すなわち、主走査方向への移動回数を1加算する。そして、ST506に戻る。
【0102】
ST509において、P1の周辺画素P3が中エッジa2か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST510に進み、ノー(N)の場合はST511に進む。
ST510において、P3の位置の画素を新たな注目画素P1とする。そして、ST508に戻る。
ST511において、P1の周辺画素P4が中エッジa2か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST512に進み、ノー(N)の場合はST513に進む。
ST512において、P3の位置の画素を新たな注目画素P1とする。そして、ST508に戻る。
ST513において、m≦M1か否かを判別する。すなわち、判別対象の中エッジa2が主走査方向の下流側の端に近いか否かを判別する。イエス(Y)の場合は
図19に示すST524に進み、ノー(N)の場合は
図19に示すST514に進む。
【0103】
図19のST514において、最初に選択した中エッジa2を、もう一度、判別対象の画素とし
て、最初の注目画素P1とする。そして、ST515に進む。
ST515において、m=0とする。すなわち、主走査方向の移動回数mを初期化する。そして、ST516に進む。
ST516において、P1の周辺画素P5が中エッジa2か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST517に進み、ノー(N)の場合はST519に進む。
ST517において、P5の位置の画素を新たな注目画素P1とする。そして、ST518に進む。
ST518において、m=m+1とする。すなわち、主走査方向の上流側への移動回数を1加算する。そして、ST516に戻る。
ST519において、P1の周辺画素P6が中エッジa2か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST520に進み、ノー(N)の場合はST521に進む。
【0104】
ST520において、P6の位置の画素を新たな注目画素P1とする。そして、ST518に戻る。
ST521において、P1の周辺画素P7が中エッジa2か否かを判別する。イエス(Y)の場合はST522に進み、ノー(N)の場合はST523に進む。
ST522において、P7の位置の画素を新たな注目画素P1とする。そして、ST518に戻る。
ST523において、m≦M1か否かを判別する。すなわち、判別対象の中エッジa2が主走査方向の上流側の端に近いか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST524に進み、ノー(N)の場合はST528に進む。
ST524において、i=0とする。すなわち、iを初期化する。そして、ST525に進む。
【0105】
ST525において、中エッジaからの補正値V2iをm/M1倍して、補正値V2iを変更する。そして、ST526に進む。
ST526において、i≧nL′か否かを判別する。すなわち、補正対象画素の全ての画素値が取得されたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST528に進み、ノー(N)の場合はST527に進む。
ST527において、i=i+1とする。すなわち、iに1加算する。そして、ST525に戻る。
ST528において、画素列Aの全ての中エッジa2が選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST530に進み、ノー(N)の場合はST529に進む。
【0106】
ST529において、画素列Aの次の中エッジa2を選択する。そして、
図18に示すST504に戻る。
ST530において、副走査の画素列Aが全て選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合は主走査端の変更処理を終了して呼び出し元に戻り、ノー(N)の場合はST531に進む。
ST531において、次の副走査の画素列Aを選択する。そして、
図18に示すST502に戻る。
【0107】
(補正値の加算処理のフローチャートの説明)
図20は実施例1の補正値の加算処理のフローチャートの説明図であり、
図14のST105のサブルーチンの説明図である。
図20のST601において、最初の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST602に進む。
ST602において、補正値V1i,V2iが取得された画素があるか否かを判別する。すなわち、ディフェクト領域があるか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST603に進み、ノー(N)の場合はST610に進む。
ST603において、補正値V1i,V2iが取得された最初の画素を選択する。そして、ST604に進む。
ST604において、乱数を生成する。そして、ST605に進む。
ST605において、選択した画素の画素値vに応じた重畳bit数を決定する。そして、ST606に進む。
【0108】
ST606において、乱数と、決定した重畳bit数とに応じた乱数補正値V3iを取得する。そして、ST607に進む。
ST607において、画素値viを補正する。すなわち、vi′=vi+V1i+V3i(vi′=vi+V2i+V3i)とする。そして、ST608に進む。
ST608において、画素列Aにおいて、補正値V1i,V2iが取得された全ての画素が選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST610に進み、ノー(N)の場合はST609に進む。
ST609において、画素列Aにおいて、補正値V1i,V2iが取得されて且つ補正値V1i,V2iが未加算の次の画素を選択する。そして、ST604に戻る。
ST610において、副走査の画素列Aが全て選択済みか否かを判別する。イエス(Y)の場合は補正値の加算処理を終了して呼び出し元に戻り、ノー(N)の場合はST611に進む。
ST611において、次の副走査の画素列Aを選択する。そして、ST602に戻る。
【0109】
(逆補正処理のフローチャートの説明)
図21は実施例1の逆補正処理のフローチャートの説明図であり、
図14のST109のサブルーチンの説明図である。
図21のST701において、補正済みの画像情報を取得する。そして、ST702に進む。
ST702〜ST705では、
図14のST101〜ST104と同様の処理が実行される。すなわち、
図21の逆補正処理では、既に補正した記憶済みの画像情報に対して、処理が行われる点が
図14と異なっているだけなので、ST702〜ST705の説明は省略する。
ST706において、補正値の減算処理を実行する。そして、逆補正処理を終了して呼び出し元に戻る。
【0110】
(補正値の減算処理のフローチャートの説明)
図22は実施例1の補正値の減算処理のフローチャートの説明図であり、
図21のST706のサブルーチンの説明図である。
図22の補正値の減算処理では、
図20のST607に替えて、ST607′が実行される以外は、補正値の加算処理と同様の処理が実行される。よって、
図22では、ST607′についてのみ説明し、他のSTの説明は省略する。
ST607′において、画素値vi′を逆補正する。すなわち、vi″=vi′−V1i′−V3i′(vi″=vi′−V2i′−V3i′)とする。
【0111】
(実施例1のシステムの作用)
前記構成を備えた実施例の1の画像形成システムCOM+Uでは、画像処理装置の一例としてのプリント画像サーバCOMがPDLデータを受信すると、PDLデータに基づいてラスターイメージが作成され、色変換やトナーの総量規制などの色補正の処理が行われる。また、色補正の処理が終了したラスターイメージに対して、シャープネス補正などのラスターイメージの調整処理が行われる。ここで、実施例1のプリント画像サーバCOMでは、調整処理が終了したラスターイメージに対して、ディフェクトの補正処理が実行される。
【0112】
図23は本発明の実施例1の作用説明図であり、
図23Aは後方エッジの副走査方向の補正前の画素値の一例の説明図、
図23Bは後方エッジの副走査方向の補正値の一例の説明図、
図23Cは後方エッジの副走査方向の乱数補正値の一例の説明図、
図23Dは後方エッジの副走査方向の補正後の画素値の一例の説明図、
図23Eは後方エッジの主走査方向の補正前の画素値の一例の説明図、
図23Fは後方エッジの主走査方向の補正値の一例の説明図、
図23Gは後方エッジの主走査方向の乱数補正値の一例の説明図、
図23Hは後方エッジの主走査方向の補正後の画素値の一例の説明図である。
図23において、実施例1のプリント画像サーバCOMでは、後方エッジa1の副走査方向の下流側がディフェクト領域D1と判別された場合に、補正値V1i,V3iが加算される。ここで、補正値V1iは、
図23Bに示すように、後方エッジa1に近い側が正の補正値であり、後方エッジa1から予め設定された距離よりも遠い部分では負の補正値が加算される。よって、補正後の画素値vは、後方エッジa1の近い部分では濃くなるように変化し、遠い部分では薄くなるように変化する。また、補正される画素の画素値vに基づいて、異なる乱数補正値V3iが加算される。したがって、
図23D、
図23Hに示すように画素値vが補正される。
【0113】
図24は本発明の実施例1の作用説明図であり、
図24Aは中エッジの副走査方向の補正前の画素値の一例の説明図、
図24Bは中エッジの副走査方向の補正値の一例の説明図、
図24Cは中エッジの副走査方向の乱数補正値の説明図、
図24Dは中エッジの副走査方向の補正後の画素値の一例の説明図、
図24Eは中エッジの主走査方向の補正前の画素値の一例の説明図、
図24Fは中エッジの主走査方向の補正値の一例の説明図、
図24Gは中エッジの主走査方向の乱数補正値の説明図、
図24Hは中エッジの主走査方向の補正後の画素値の一例の説明図である。
また、
図24において、実施例1のプリント画像サーバCOMでは、中エッジa2の副走査方向の下流側がディフェクト領域D2と判別された場合に、補正値V2i,V3iが加算される。ここで、補正値V2iは、
図24Bに示すように、中エッジa2に近いほど大きさが大きく、中エッジa2から遠ざかるほど大きさが小さい補正値V2iが加算される。この際に、中エッジa2の位置が、ディフェクト領域D2の主走査方向の端に近い場合には、遠い場合に比べて小さい補正値となる。すなわち、
図24Fに示すように、端から離れる画素数がmで、m≦M1の場合には、補正値V2iがV2i×(m/M1)に変更される。また、補正される画素の画素値vに基づいて、異なる乱数補正値V3が加算される。したがって、
図24D、
図24Hに示すように画素値vが補正される。
【0114】
そして、補正値V1i,V2i,V3iの加算処理が終了すると、ディフェクトの補正済みの画像情報、すなわち、補正値V1i〜V3iで補正済みの画素値に基づく画像データが記憶される。そして、入力部材COM2,COM3から印刷を開始するための入力があると、補正済みの画像データが読み込まれ、濃度調整が行われる。そして、濃度調整が行われた画像データが、システムCOM+UのプリンタUに送信される。プリンタUでは、補正済みの画像データに基づいて、印刷用の画像情報の一例としてのスクリーン情報が生成される。そして、スクリーン情報に基づいてマーキング部U1aで可視像が形成され、記録シートSに画像が印刷される。なお、キャリブレーションが実施されたり、ユーザ調整カーブが変更された場合、記憶された補正済みの画像データに基づいて濃度調整がされる。すなわち、実施例1では、濃度調整が変更される場合に、ラスターイメージの調整処理や、ディフェクトの補正処理などを繰り返す必要がない。
【0115】
図25は境界で生じる現像不良の一例の説明図であり、
図25Aはフリンジ電界の説明図、
図25Bはトナーの移動の説明図である。
図25において、濃度の異なる画像が形成される場合、感光体ドラムPy〜Po上には非画像部B0,中間調部B1、高濃度部B2などの画像の濃度に応じて表面電位が形成される。このとき、電位の異なる境界部分には、いわゆる、フリンジ電界Efが生じ、境界部分の両側では電位の差を強調するように電界が生じることが知られている。すなわち、
図25Bに示すように、感光体ドラムPy〜Po上のフリンジ電界が生じた部分では、電位の高い部分はさらに高く、電位の低い部分はさらに低くなる。よって、トナーTnがフリンジ電界Efに応じて移動すると、濃度の濃い部分は濃く、濃度の薄い部分はさらに薄くなり易い。
【0116】
図26は境界で生じる現像不良の一例の説明図であり、
図26Aは後方エッジが形成される場合の現像領域の説明図、
図26Bは
図26Aの状態から現像ロールおよび感光体ドラムが回転した状態の説明図、
図26Cは
図26Bの状態から現像ロールおよび感光体ドラムが回転した状態の説明図である。
また、
図26Aの現像領域Qでは、感光体ドラムPy〜Po上に画像部B1,B2に対応する表面電位が形成されると、現像領域Qのトナーには、現像ロールR0から感光体ドラムPy〜Poに引きつける電界E1が作用する。また、感光体ドラムPy〜Po上の表面電位が非画像部B0に対応する場合、現像領域Qのトナーには、前記電界E1とは極性が逆の電界E2が作用する。ここで、例えば、現像ロールの表面速度uRが感光体ドラムの表面速度uPよりも速く回転している場合を考える。このとき、現像ロールR0に保持された現像剤が感光体ドラムPy〜Poの非画像部B0を通過すると、
図26Bに示すように、現像ロールR0上の現像剤の感光体ドラムPy〜Po側では、逆極性の電界E2に応じて分極が生じ、トナーTnと逆極性となり易い。よって、現像ロールR0上の現像剤が感光体ドラムPy〜Po上の非画像部B0を通過して、画像部B1,B2に進入すると、分極した状態の現像剤が、感光体ドラム上の現像済みの画像部B1,B2からトナーを引き寄せて奪ってしまう場合がある。
【0117】
図27は境界で生じる現像不良の一例の説明図であり、
図27Aは現像領域の断面方向から見た説明図、
図27Bは画像部の後方エッジの説明図である。
また、
図27において、現像ロールR0に現像剤が保持される場合に、現像領域Qでは、現像剤が穂立ち状に保持され、いわゆる、磁気ブラシ01が形成される。したがって、現像ロールR0上の現像剤が現像領域Qを通過する場合に、磁気ブラシ01が感光体ドラムPy〜Poに接触して、感光体ドラムPy〜Po上のトナーを掃いて乱す場合もある。よって、画像部B1,B2の後端、すなわち、後方エッジa1から副走査方向の下流側では磁気ブラシ01の形状に応じたガサつき02が生じて濃度が薄くなる場合がある。
したがって、現像領域Qでは、
図26、
図27に示すように、画像部B1,B2の後方エッジa1の近傍で濃度が薄くなる現象、いわゆる、TED:Tail Edge Deletionが生じる場合がある。
【0118】
図28は境界で生じる現像不良の一例の説明図であり、
図28Aは後方エッジが形成される場合の現像領域の説明図、
図28Bは
図28Aの状態から現像ロールおよび感光体ドラムが回転した状態の説明図、
図28Cは
図28Bの状態から現像ロールおよび感光体ドラムが回転した状態の説明図である。
さらに、
図25〜
図27に示す現像不良は複合的にも生じる。例えば、
図28Aにおいて、非画像部B0と画像部B1,B2との境界ではフリンジ電界Efが作用して、濃度差が強調され易い。したがって、画像部B1,B2側の境界部分では画像が濃くなり易い。このとき、現像ロールR0上の現像剤が、感光体ドラムPy〜Poの非画像部B0から画像部B1,B2に進入すると、非画像部B0を通過する際に現像剤が分極する。そして、分極したままの現像剤が画像部B1,B2に進入すると、現像された画像部B1,B2の後方エッジa1側のトナーを奪う場合がある。したがって、フリンジ電界Efで濃くなった画像部B1,B2の部分のうち、後方エッジa1側では濃度が薄くなり、後方エッジa1から離れた部分ではトナーが奪われず濃いままとなる場合がある。
【0119】
図29は本発明の実施例1の作用と従来の作用の比較の説明図であり、
図29Aはディフェクトの補正前の画像データの説明図、
図29Bは
図29Aの画像データに対して実施例1の後方の補正をして画像記録をした場合の説明図、
図29Cは
図29Aの画像データに対して従来の補正をして画像記録をした場合の説明図、
図29Dは
図29Aの画像データに対して補正をせずに画像記録をした場合の説明図である。
したがって、
図29Aに示す補正前の画像データに対しディフェクトの補正をせずに画像を記録した場合、
図29Dに示すように、記録シートS上では、後方エッジa1近傍の濃度が薄くなると共に、シート搬送方向の下流側では濃度が濃くなる。よって、補正前の画像データで意図する濃淡とは異なり易い。ここで、従来の構成では、後方エッジa1を基準にして副走査方向に濃くなる補正量を加算していた。したがって、後方エッジa1の薄くなる部分の画像不良は低減された。しかしながら、濃くなる部分の画像不良は補正されなかった。
【0120】
図30は本発明の実施例1の作用説明図であり、
図30Aは補正をせずに画像を記録した場合に媒体の明度を測定した場合の説明図、
図30Bは
図30Aの画像に対する補正値の説明図、
図30Cは補正をして画像を記録した場合の媒体上の画像の明度の測定値の説明図である。
従来の補正に対して、実施例1では、
図23に示すように、濃度を濃くする補正値と濃度を薄くする補正値を加算して補正する。よって、補正済みの画像データでは、
図23D、
図23Hに示す画素値vとなる。すなわち、実施例1では、プリンタUのマーキング部U1aで現像不良が生じることを見越して、画像データが補正される。よって、
図29Bに示すように、補正済みの画像データに基いて印刷すると、記録シートS上では、ディフェクトの補正前の画像データから認識される画像をえ易くなっている。すなわち、ユーザがPCから送信した元の画像情報に近い印刷画像を得やすくなっている。よって、補正をせずに印刷した場合にシートS上の明度を測定すると、
図30Aの破線で示す明度が測定されるが、実施例1の補正をして印刷をすると、濃くなる部分と薄くなる部分の両方が補正された実線に示す明度が得られる。なお、
図30において、左軸はLスターであり明度を示している。また、右軸は補正値を示している。横軸は副走査方向の位置を示す。
【0121】
図31は境界で生じる現像不良の一例の説明図であり、
図31Aは中エッジが形成される場合の現像領域の説明図、
図31Bは
図31Aの状態から現像ロールおよび感光体ドラムが回転した状態の説明図、
図31Cは
図31Bの状態から現像ロールおよび感光体ドラムが回転した状態の説明図、
図31Dは副走査方向の上流側から現像領域を見た斜視説明図である。
また、
図31Aにおいて、感光体ドラムPy〜Po上に中間調部B1と、前記中間調部B1に比べて高濃度の高濃度部B2、とに対応する表面電位が形成されている場合、現像領域Qのトナーには、トナーを現像ロールR0から感光体ドラムPy〜Poに引き寄せる電界E1が作用する。そして、
図31Bに示すように、現像領域Qのトナーが、感光体ドラムPy〜Poの静電潜像を現像すると、現像剤中のキャリアにはトナーとは逆極性の電荷、いわゆる、カウンターチャージが生じる。よって、
図31Cにおいて、高濃度部B2を現像してきた現像剤が中間調部B1に進入すると、カウンターチャージの生じた現像剤が、現像済みの中間調部B1からトナーを引き寄せて奪う場合がある。
したがって、現像領域Qでは、
図31に示すように、高濃度部B2と中間調部B1との境界近傍で中間調部B1の濃度が薄くなる現象、いわゆる、STV:starvationが生じる場合がある。
【0122】
ここで、カウンターチャージは、現像剤が感光体ドラム上の潜像を現像した量に応じて生じ易い。よって、
図31Dにおいて、感光体ドラム上の高濃度部B2を現像する場合に、現像ロールの主走査方向では、高濃度部B2の中央に比べて端部の方が、現像する量が少なくなり易い。したがって、高濃度部B2の端部では、カウンターチャージが生じ難い。すなわち、高濃度部B2おける主走査方向の中央側ではカウンターチャージが大きくなって、STVを引き起こし易い。しかし、高濃度部B2における主走査方向の端に近い部分では、STVが生じ難くて画像不良が生じ難い。
【0123】
図32は本発明の実施例1の作用と従来の作用の比較の説明図であり、
図32Aはディフェクトの補正前の画像データの説明図、
図32Bは補正前の画像データに対して実施例1の中用の補正をした場合の画像データの説明図、
図32Cは補正前の画像データに対して従来の補正をした場合の画像データの説明図、
図32Dは
図32Aの画像データに基づいて画像記録をした場合の説明図、
図32Eは
図32Bの画像データに基づいて画像記録をした場合の説明図、
図32Fは
図32Cの画像データを記録した場合の説明図である。
したがって、ディフェクトの補正をせずに、
図32Aに示す元の画像データに基づいて印刷した場合、記録シートS上では、
図32Dに示すように、中エッジa2からシート搬送方向の下流側では濃度が薄くなり易い。ここで、従来の構成では、中エッジa2を基準にして副走査方向に濃くなる補正量を加算していた。よって、薄くなる部分の画像不良は低減される。しかしながら、従来の構成では、画素値vが変わらなければ主走査方向の補正値は変化させない。よって、主走査方向の位置が変わっても、画素値vが変わらない限り、副走査方向の補正処理は一律になされた。よって、STVが生じ難い主走査方向の端部では、端から遠い部分と同じ補正量で補正されてしまい、過補正となり易い。すなわち、従来の構成では、
図32Fに示すように、主走査方向端部で濃度が濃くなってしまった。
【0124】
これに対して、実施例1では、
図24に示すように、ディフェクト領域D2の補正する位置が、主走査方向の端に近い場合、端から遠い場合に比べて小さい補正値にして補正する。すなわち、補正済みの画像データでは、
図24D、
図24Hに示す画素値vとなる。よって、中エッジa2のディフェクト領域D2に対しても、プリンタUのマーキング部U1aで現像不良が生じることを見越して、画像データが補正される。よって、
図32Fに示すように、ユーザが意図した元の画像情報に対応した記録画像をえ易くなっている。
【0125】
特に、実施例1のディフェクトの補正処理では、補正値V1i,V2iを加算する際に、乱数補正値V3iを加算している。ここで、現像装置Gy〜Goでは、現像剤の消費量のバラツキや、現像剤の補給の時間ずれ、現像剤の攪拌され具合などに応じて、軸方向で現像剤の量や濃度が異なる恐れがある。よって、同じ画素値vに基づいて画像を記録しても、現像剤の濃度自体に軸方向にムラを生じている場合もあり、記録シートS上の画像では、主走査方向で濃度むらが生じる恐れがある。そして、このとき、ディフェクトの補正処理を行っていると、濃度むらを強調する方向に画素値が補正される場合がある。よって、記録シートS上で補正が目立ち過ぎる恐れがあった。これに対して、実施例1では、乱数補正値V3iが加算されている。よって、主走査方向に一律の補正がされ難くなっている。したがって、主走査方向に濃度むらが生じていても目立ち難くなっている。特に、実施例1では、色Y〜O毎に異なる乱数補正値V3iを加算している。よって、色Y〜O全ての画像データで同じ位置の画素で同じ乱数補正値で補正されない。したがって、各色Y〜Oの同じ乱数補正値が累積されてしまって、ディフェクト領域D1,D2の補正を強調する恐れも低減されている。
【0126】
また、実施例1では、プレビューを行うための入力があると、ディフェクトの補正済みの画像データに基づいて、逆補正処理が行われる。つまり、ディフェクトの補正済みの画素値v′、すなわち、手段C124が補正した順補正後の画素値v′に基づいて、エッジa1,a2や、後方処理の補正値V1i′、中間調処理の補正値V2i′、乱数補正値V3I′などが、順補正の場合と同様の処理で取得される。そして、取得された補正値V1i′,V2i′,V3i′が、順補正後の画素値v′から減算される。よって、補正値V1i′,V2i′,V3i′が、順補正時に加算した補正値V1i,V2i,V3iの影響を低減している。よって、順補正時の補正値V1i,V2i,V3iの影響が低減された画素値v″の画像データに基づいて、プレビュー表示がされる。
【0127】
ここで、逆補正を行わないで、補正済みの画像データに基づいてプレビュー表示する構成では、補正済みの画像データに基づく画像がディスプレイCOM4に表示されることになる。例えば、ユーザが
図32Aの画像データを記録しようとする場合において、ディフェクトの補正処理がされると、画像データは、
図32Bに示すような画像データとなる。したがって、ディスプレイCOM4には、
図32Aではなくて、
図32Bに対応する画像がプレビュー表示される。しかしながら、ディフェクトの補正処理は、プリンタUの構成などに依存する処理であり、ユーザが予め意図する画像の補正ではない。よって、ディフェクトの補正済みの画像がプレービュー表示されると、ユーザには画像不良が生じていると誤認される恐れがある。したがって、画像不良を解消しようとしてユーザがパソコン上の画像情報を修正し直し、さらに、プリント画像サーバーCOMに修正した画像情報を送信し直すなど、不要な作業を招く恐れがある。よって、ユーザの作業性を悪化させる恐れがあった。
【0128】
また、プレビュー表示をする場合に、ディフェクトの補正前の画像データ、すなわち、ラスターイメージの調整が終了した後の画像データに基づいて、プレビュー表示することも考えられる。しかしながら、プリント画像サーバCOMで補正処理に使用されるラスターイメージは一般に画素数が多い。よって、画像データのデータ量が大きくなり易く、処理用の記憶部を多く必要とし易い。したがって、調整終了後の画像データを保持するには、ディフェクトの補正処理用の記憶部に加えて、さらに、保持用の記憶部までもが必要となり、装置が複雑化、大型化し易く、高費用化し易い。
【0129】
これに対して、実施例1では、補正済みの画像データを、逆補正処理して、プレビュー表示している。よって、補正値V1i,V2i,V3iの影響が低減された画像データに基づいて、プレビュー表示される。よって、プリンタUの構成などに依存する補正の内容はプレビュー表示され難く、ユーザが予め意図する画像となり易い。よって、実施例1では、装置が複雑化、大型化し難い構成で、ユーザの作業性を悪化させ難い、プレビュー表示がされる。
【0130】
なお、順補正済みの画素値v′は、ディフェクトの補正前の画素値vに対して異なっている。したがって、逆補正処理において、取得されるエッジa1,a2の位置や画素値v′、補正値V1i′,V2i′,V3i′は、順補正時のエッジa1,a2の位置や画素値v、補正値V1i,V2i,V3iとは必ずしも一致しない。しかしながら、ディフェクトの補正用の対応関係から取得される補正値V1i,V2i,V3iは一般には小さい。したがって、順補正後に画素値の大小が画像の境界では逆転し難い。よって、ディフェクトの補正前の画像データでも、順補正済みの画像データでも、同じ位置の画素でエッジa1,a2が検出され易い。また、このとき、順補正後の画素値v′から取得される補正値V1i′,V2i′も、順補正用の補正値V1,V2に対して90%から110%の値になり易い。したがって、逆補正用の補正値V1i′,V2i′に基づいて、順補正後の画素値v′から減算する構成であっても、ディフェクトの補正前の画素値vに近づいた画素値v″となり易い。
【0131】
つまり、例えば、ある後方エッジa1の順補正において、画素値が30の場合には補正値が10となり、画素値が40の場合には補正値が11となるように関数gが予め設定されているとする。このとき、ディフェクトの補正前の後方エッジa1の画素値vが30だったとすると、手段C112により、順補正の補正値は10となる。よって、ディフェクトの補正後の画素値v′は、乱数補正値を無視すると、40になる。このとき、同じ位置の後方エッジa1の逆補正時では、補正済みの画素値40に対して補正値が取得される。よって、関数gに基づいて、補正値11が取得される。したがって、逆補正処理では、画素値40から補正値11が減算されて、逆補正後の画素値29が得られる。よって、逆補正後の画素値29は、補正済みの画素値40に比べて、順補正前の画素値30に近づくことになる。
したがって、実施例1では、ディフェクトの補正処理済みの画像データをプレビュー表示する場合に比べて、簡素な構成で、ディフェクトの補正前の画像をプレビュー表示させ易くなっている。なお、画素値vとv″の違いは、プレビュー表示における画像のゆらぎとして許容され易い。
【0132】
(現像不良の官能評価について)
ディフェクト領域D1,D2の画像不良が目立つか否かの官能評価を行った。評価実験では、感光体ドラム上の非画像部の電位Vhを−800[V]、現像スリーブ上の電位Vbを−650[V]、感光体ドラム上の画像部の電位Vlを−400[V]に設定した。また、トナーの帯電量は40[μc/g]とした。現像剤中のトナー含有の割合を9.0[%]とした。また、キャリアの粒径は35[μm]とし、比重を4.8とした。さらに、キャリア磁化を58[emu/g]とした。また、トナーの粒径は5.8[μm]とし、比重を1.1とした。感光体ドラムの表面速度は350[mm/sec]に設定した。そして、感光体ドラムに対する現像スリーブの周速比を1.75として、感光体ドラムの回転方向とは逆側に回転させた。さらに、現像領域Qにおいて、マグロールの現像磁極が、感光体ドラム表面と現像スリーブ表面の最近接位置から、現像スリーブの回転方向上流側に傾く角度、いわゆる、MSAを、+5°に設定した。また、マグロールの径は20[mm]とした。また、現像スリーブの表面には軸方向に延びる溝を形成し、周方向の溝の間隔は400[μm]とし、溝の深さは100[μm]とした。そして、エッジa1,a2が生じる画像データに基づいて、記録シートSに画像を記録し、記録シートS上の画像評価を行った。
【0133】
図33は境界で生じる現像不良に基づく画像不良の官能評価の説明図であり、
図33Aは後方エッジのディフェクト領域の官能評価の説明図、
図33Bは中エッジのディフェクト領域の官能評価の説明図である。
図33Aには、後方エッジa1のディフェクト領域D1についての官能評価の結果を示す。
図33Aにおいて、キャリア抵抗Rが大きくなるほど、ディフェクトが目立ち易く画像が悪化している。また、現像スリーブの表面と感光体ドラムの表面の間隔dを広げるほど、ディフェクトが目立ち易く画像が悪化している。さらに、ニップ密度yが高くなるほど、ディフェクトが目立ち易く画像が悪化している。なお、ニップ密度yとは、現像スリーブ表面の単位面積あたりで搬送される現像剤量をx[g/m
2]とした場合に、y=x/dで得られる値である。また、周囲の相対湿度の影響は、キャリア抵抗R、ニップ密度y、間隔dに比べると影響は小さい。
よって、キャリア抵抗Rが高い場合は、現像剤の分極状態が解消され難くなり、画像端部の濃度が薄くなって、いわゆる、白抜けが発生し易くなったと判断される。また、ニップ密度yが大きい場合は磁気ブラシの掃き寄せる力が強くなって、白抜けが発生し易くなったと判断される。さらに、キャリア抵抗Rが高い場合や、間隔dが広い場合には、フリンジ電界も強くなって、白抜けと強調が共に起き易くなったと判断される。
【0134】
したがって、仮に、後方の補正処理を行わずに現像不良による画像不良を低減しようとすると、キャリア抵抗Rを下げるか、間隔dを小さくするか、ニップ密度yを小さくすることが考えられる。しかしながら、キャリア抵抗が10
5[Ω]未満になると、現像時に、キャリアへの電荷注入が生じ易くなる。よって、現像時にキャリアが感光体ドラムに移動し易くなって、他の画像不良が発生する。また、間隔dを150[μm]以下にすると、現像剤が、感光体ドラムと現像スリーブとの間に詰まり易くなってしまう。さらに、ニップ密度を0.8以下にすると、感光体ドラムPy〜Poに供給されるトナー量が少なくなり、濃度低下が生じたり、濃度が不安定になり易くなる。
よって、実施例1の後方の補正処理は、特に、キャリア抵抗Rが10
6[Ω]以上の場合に好適に適用可能である。また、実施例1の後方の補正処理は、特に、ニップ密度yが0.8以上の場合に好適に適用可能である。さらに、実施例1の後方の補正処理は、特に、間隔dが150[μm]以上の場合に好適に適用可能である。
【0135】
また、
図33Bにおいて、中エッジa2に対する官能評価の結果では、キャリア抵抗Rが大きくなるほど、STVが発生し易く画像が悪化している。また、間隔dを広げるほど、STVが発生し易く画像が悪化している。さらに、周囲の相対湿度が小さくなるほど、STVが発生し易く画像が悪化している。
よって、キャリア抵抗Rが高い場合や、周囲の湿度が高い場合には、残されたカウンターチャージが解消され難くなって、STVが発生しやすくなったと判断される。また、感光体ドラムと現像スリーブ2の距離dが離れているとフリンジ電界が強くなって、エッジの濃度が強調され易くなったと判断される。
【0136】
したがって、仮に、中用の補正処理を行わずに現像不良による画像不良を低減させようとすると、キャリア抵抗Rを下げるか、間隔dを小さくするか、ニップ密度yを小さくすることが考えられる。しかしながら、上述した通り、キャリア抵抗が10
5[Ω]未満の場合に、他の画像欠陥が発生する。また、間隔dを150[μm]以下にすると、現像剤が詰まり易くなってしまう。
よって、実施例1の中用の補正処理は、特に、キャリア抵抗Rが10
6[Ω]以上の場合に好適に適用可能である。また、実施例1の中用の補正処理は、間隔dが150[μm]以上の場合に好適に適用可能である。
【0137】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H011)を下記に例示する。
(H01)前記各実施例において、画像形成装置の一例としてプリンタUを例示したが、これに限定されず、複写機、FAX、あるいはこれら複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。また、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。
(H02)前記各実施例において、プリント画像サーバCOMにおいて、ディフェクトの補正処理が行われる構成を例示したがこれに限定されず、プリンタUで処理する構成も可能である。
【0138】
(H03)前記実施例において、パーソナルコンピュータPCから画像情報が送信される構成を例示したがこれに限定されず、画像の読取部、いわゆる、スキャナが読み取った複数の画素で構成された画像情報に対して、本願発明の構成を適用することも可能である。
(H04)前記各実施例において、乱数補正値V3i,V3i′が補正する画素毎生成される構成を例示したがこれに限定されない。例えば、主走査方向の画素毎に乱数を変更して、乱数補正値を生成する構成も可能である。
(H05)前記各実施例において、乱数補正値V3i,V3i′を加算、減算する構成が望ましいが、乱数補正値V3i,V3i′を加算、減算しない構成も可能である。すなわち、乱数に関する構成を省略する構成も可能である。
【0139】
(H06)前記実施例において、中エッジa2の補正値v2iについては、画素値vL,vHなどに基づいて補正値を取得する構成を例示したが、これに限定されない。例えば、画素値vと露光エネルギーの対応関係と、露光エネルギーの差と対象画素数の対応関係と、露光エネルギーの差と補正値の対応関係と、を予め測定記憶しておく。そして、特許第3832521号公報に記載のように、低濃度の画素値vLと、高濃度の画素値vHとのそれぞれから露光エネルギーを求め、その差に基づく対応関係から、対象画素数や補正値を取得するなど、の構成も適用可能である。
(H07)前記実施例において、副走査方向の境界を検出して画素の濃度を補正する構成を例示したが、例えば、特許第3832521号公報に記載のように、主走査方向の境界を検出して濃度を補正した際に、逆補正してプレビュー表示する構成も可能である。
【0140】
(H08)前記実施例において、P1の主走査方向に並ぶ画素として、主走査方向に隣接する画素から、副走査方向にずれた画素も含む構成を例示し、副走査方向では3個の画素が
含まれる構成を例示したが、これに限定されない。現像不良の発生に応じて、副走査方向では1個や2個、あるいは、4個以上ずれた画素が中エッジa2の場合であっても、P1の主走査方向に並ぶ画素として検出する構成が可能である。
(H09)前記実施例において、逆補正処理は、最初の補正、すなわち、順補正の場合の対応情報と共通化することが望ましいがこれに限定されない。例えば、逆補正専用の対応情報を予め用意しておき、逆補正時には、順補正後の画素値v′から、逆補正専用の対応情報に基づいて補正値V1i′,V2iを求める構成などが可能である。
【0141】
(H010)前記実施例において、閾値Z0〜Z2や、画素数N1〜N3、M1などは、プリンタUに応じた現像不良の発生する領域D1,D2に応じて領域D1,D2を検出可能に任意の値に設定可能である。
(H011)前記実施例において、関数gはiaの両側で正負が異なる構成を例示したがこれに限定されない。例えば、iaから予め設定された画素数では補正値を0とし、さらに大きくなると負の補正値になる構成が可能である。同様に、ibの両側で減少から増加に転じる構成を例示したが、これに限定されず、ibから予め設定された画素数ではibと同じ一定の補正値とし、さらに大きくなると補正値が増加に転じる構成も可能である。